天安門事件から25年の今年中国では

 

天安門事件から25/「事件を知る方法はな」「当時の学生は勇気ある/北京大学で学生・教師に聞く

 

198964日、中国で民主化を求める学生・市民の平和的なデモが武力弾圧された「天安門事件」が起きて4日で25年になります。事件から四半世紀が過ぎ、現在の大学生は事件後に生まれた人がほとんど。彼らは事件についてどう考えているのか、当時、民主化運動の主力として多くの学生や教師がデモに参加し、3人が犠牲になったという北京大学を訪れ、学生や教師に聞きました。

(北京-小林拓也)

「大学入学後に、授業で初めて知った」-国際関係学部の大学院生の男性(24)は、高校卒業まで事件についてまったく知らなかったといいます。

 

黙とう呼び掛け

 

北京大学は比較的自由な校風で知られ、毎年56月に授業で事件について紹介する教師が少なくありません。授業で犠牲者に対し3分間の黙とうを呼び掛ける教師もいるといいます。

政府によって厳しく管理されている中国のインターネットでは、「天安門事件」や「六四事件」などのキーワードで検索しても、関連するサイトを見ることはできません。この男性は「事件について知りたくても、知るルートや資料がほとんどない」と嘆きます。

一方、法学部の男子学生(22)は高校生のころ、事件当時、民主化運動に参加していた両親が事件について教えてくれました。

「初めて聞いた時はびっくりした。私たちのように北京にいれば知る機会はあるが、地方にいる若者は事件についてほとんど知らないのではないか」と話します。

男性は「当時の学生は勇気があると思う。要求は正しかった」と評価する一方、「彼らは一つにまとまっていなかった。学生を利用して中国の政治体制を変えようとした一部の知識人がいた」と指摘。そのうえで「いつか中国政府が事件について全面的に公開する日が来ることを願っている」と語りました。

 

いまだに恐れる

 

北京大学で中国政治を教える准教授の一人は、ほぼ毎年の64日前後に、授業で事件について触れています。「現在の学生は事件についてほとんど知らないし、一度も聞いたことがないという学生もいる。ただ、好奇心は旺盛だ」と言います。さらに、准教授はこう強調します。

「中国共産党と政府は、学生や市民が事件について語るのをいまだに恐れている25年間、政府は事件に向き合うことを回避してきた。しかし将来、向き合わざるを得ないときが来るだろう

 

天安門事件とは/市民の民主化デモを中国党指導部が弾圧

 

198963日深夜から4日未明にかけて、中国の首都北京の中心にある天安門広場周辺で起きた事件。中国共産党指導部が民主化を求める学生・市民の平和的なデモを武力で弾圧しました。中国共産党の公式発表では、死者は319人となっていますが、実際はこれ以上の死者が出たといわれています。

日本共産党は、天安門事件が起きた直後に党の声明を発表。平和的な運動を武力で弾圧することは社会主義的民主主義とは両立しない暴挙だ、と厳しく批判しました。

19987月、不破哲三委員長(当時)は、中国共産党の胡錦清政治局常務委員(当時)と会談した際、天安門事件-の日本共産党の立場に触れ、「将来的には、どのような体制であれ、社会にほんとうに根をおろしたといえるためには、言論による体制批判にたいしては、これを禁止することなく、言論で対応するという政治制度-の発展を展望することが重要だ」と述べました。

2005年の日中両党の理論交流でも不破氏は「反対政党を含む複数政党の存在とその政治活動の権利をきちんと認めることが、その国の革命の将来の発展、社会主義の世界的な発展にとって、より有利な、より妥当な方法になる」と強調しました。

(20140602,「赤旗)

 

天安門事件から25/人権派弁護士の拘束相次ぐ/EUは中国に懸念を表明

 

天安門事件25年を4日に控え、中国では人権擁護や民主化を訴える弁護士や活動家らの拘束が相次いでいます。ロイターは「当局が敏感になっていると指摘しています。

弱者支援で知られた河南省の人権派弁護士、常伯陽氏が529日までに公共秩序騒乱容疑で公安当局に拘束されました。常氏は2004年、河南省で初の民間法律援助ボランティア組織を発足させ、08年には汚染粉ミルク事件の被害者弁護団で中心的役割を果たしました。

また、天安門事件の際に失脚した故・趨紫陽元共産党総書記の出身地である河南省滑県で今年2月、趨氏の追悼活動を組織した陳衛、干世文夫妻も529日までに公共秩序騒乱容疑で拘束されたことが判明しています。 6日には、北京市内で研究会を開いて天安門事件の真相調査を要求した人権派弁護士、浦志強氏を含む5人を騒動挑発の容疑で拘束8日には国家機密を違法に海外ニュースサイトに提供したとして、ジャーナリスト高論氏を北京市で、16日には広東省広州市の人権派弁護士、唐荊陵氏を騒動挑発容疑で拘束しています。

欧州連合(EU)の外務省に当たる欧州対外活動庁(EEAS)28日発表した声明で、中国で浦氏ら人権活動家や知識人らが相次いで身柄を拘束されていることについて、「深く懸念している」と表明。

声明は中国当局に世界人権宣言に従って良心・表現・結社の自由を尊重するよう改めて要求。弁護士や人権活動家、ジャーナリストが嫌がらせや干渉を受けずに活動できるよう求めました。

(20140602,「赤旗)

 

「天安門」25年、民主化求めデモ/香港

 

【香港-時事】中国・北京の民主化運動が武力弾圧された天安門事件からちょうど25年となる4日を前に、香港民主派が1日、中国本土の民主化を求めるデモを行いました。

デモは民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)が主催しました。デモ隊は香港島中心部の公園から政府本部まで行進し、天安門事件の評価見直しや中国政治犯の釈放を要求。支連会の李卓人主席は「本土の民主主義はこの25年でかえって後退し、反体制派が次々と拘束されている」と批判しました。

支連会によると、デモ参加者数は約3000人で、昨年(1600)の約2倍。警察発表でも昨年より700人より多い1900人でした。

デモのコースとなった大通りでは、「六四真相」と称する約10人の親中派グループが「天安門広場内で学生が虐殺されたという説は事実ではない」と主張するパンフレットを配布。民主派のデモ隊と一時、ののしり合いになりましたが、大きな混乱はありませんでした。

(20140603,「赤旗)

 

「天安門」取材妨害に抗議声明

 

【北京-時事】北京の中国外国人記者クラブは21989年の天安門事件25年を4日に控え、中国公安当局が外国人記者の取材を妨害していると抗議する声明を発表しました。具体例として、米メディア関係者が天安門事件に関する「敏感な取材」を行わないよう警告され、従わなければ「最も深刻な結果を招く」と告げられました。

(20140604,「赤旗)

 

広場は厳戒態勢に/天安門事件から25/中国

 

【北京-小林拓也】民主化を求める学生・市民の平和的なデモを武力弾圧した中国の天安門事件から25年を迎えた4日、現場となった北京市中心部の天安門広場では、広場内や周辺で多くの警官や武装警察が警備にあたり、厳戒態勢が敷かれました。

広場を訪れた市民や観光客は、立ち入りを認められたものの、身体検査などのために炎天下に2時間以上待たされることに。観光客らからは「耐えられないなどの不満の声が漏れました。この日、当局は、外国メディアの広場での取材を規制する措置をとりました。

中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は3日の記者会見で1980年代末に発生した政治的風波とそれに関わる問題について、政府はすでに結論を出している」と事件に対する政府の評価に変化がないことを強調。「改革開放から30年以上たち、中国の経済と社会は注目すべき偉大な成果を上げた。中国の特色ある社会主義の道が、中国の国情と人民の根本利益に合致しているといえる」などと従来と同じ主張を繰り返しました。

天安門事件25年に関連して、中国当局による人権派弁護士や活動家、ジャーナリストらの拘束が相次いでおり、国際的な批判が高まっています。

(20140605,「赤旗)

 

米が中国に「拘束者の釈放を

 

【ワシントン-時事】米国務省のハーフ副報道官は3日の記者会見で、中国政府に対し、天安門事件25年を控えて拘束した全ての活動家、記者、弁護士の釈放を要求しました。ハーフ氏は「中国は成長している国だ。事件が議論される余地を設ける時期に来ている」と指摘しました。

(20140605,「赤旗)

 

天安門事件25/18万人が集会/香港

 

【香港-時事】中国・北京で民主化運動が「反革命」の暴動として武力鎮圧された19896月の天安門事件からちょうど25年に当たる4日夜、香港最大の民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)が事件犠牲者を追悼し、中国の民主化を求める大集会を開催しました。

支連会は、昨年より3万人多い18万人が参加したと発表。警察発表では、参加者数は99500人で、昨年と比べて8割増えました。

(20140606,「赤旗)

 

中国、豪州国籍芸術家を拘束

 

【北京-時事AFP通信によると、オーストラリア外務省は6日、北京に住む豪州国籍の芸術家、郭健氏(52)が中国当局に拘束され、国外追放処分を受けることを明らかにしました。郭氏は1989年の天安門事件に絡む作品を発表した後の今月1日に自宅から連行されていました。

(20140608,「赤旗)