2016年回顧】

n  16回顧/出版/政権告発と打開の模索

n  16回顧/文学/全ての命、祝福する社会へ

n  16回顧/音楽/反戦・復興問う曲多数

n  16回顧/映画/情報新時代、邦画に秀作

n  16回顧/美術/たたかう群像に光あて

n  16回顧/演劇/苦悩見つめて共生問う

n  2016年回顧/パリ協定発効/破局的な未来回避へ

n  2016年回顧/英EU離脱/経済格差を背景に

n  2016年回顧/米サンダース旋風/若者から熱烈な支持

n  2016年回顧/コロンビア和平/半世紀の内戦が終結

n  2016年回顧/米大統領選/既存政治打破の思いが…

n  2016年回顧/南シナ海仲裁判決/中国の権利主張を否定

n  日ロ首脳会談・野党共闘/小池書記局長語る/ラジオ番組

n  2016年回顧/イラク戦争の傷痕/米英の政治も是とせず

n  2016年回顧/北朝鮮の核実験/2度の強行、深まる孤立

n  2016年回顧/台湾の政権交代/中台関係が停滞

n  2016年回顧/ベトナム/原発撤回、TPP見送り

n  波動/私の「放送ベスト3」/石井彰

n  2016年回顧/キューバ国交正常化へ/88年ぶり米大統領訪問

n  パリ・シネマテークで「日本の銀幕」展/まばゆい映画遺産/今泉幸子

n  2016年回顧/核軍縮/大きな前進へ踏み出す

n  2016年回顧/難民・移民問題/国連生命と人権守る

n  2016国内回顧/安倍暴走政権の打倒へ/市民と野党の共闘前進/その1

n  2016国内回顧/安倍暴走政権の打倒へ/市民と野党の共闘前進/その2

 

 

16回顧/出版/政権告発と打開の模索

 戦争法の強行など暴走する安倍政権を告発すると同時に、打開の道を模索する本の出版が今年も相次ぎました。

改憲策動に警鐘鳴らす
 「立憲デモクラシーの会」の中心メンバーで市民運動の先頭に立つ中野晃一著『つながり、変える 私たちの立憲政治』(大月書店)は、安倍政権やメディアの報道を分析しながら、市民が互いを尊重し共同する新たな運動の展望を示しました。7月の参院選で野党統一候補としてたたかった纐纈厚著『逆走する安倍政治』(日本評論社)は、憲法を破壊し戦前回帰をめざす安倍政権の危険性に警鐘を鳴らしました。
 岸井成格・佐高信著『偽りの保守・安倍晋三の正体』(講談社+α新書)は、言論規制などの動きをあげ従来の保守とは異質の安倍政権の姿を解明。浜矩子著『アホノミクス完全崩壊に備えよ』(角川新書)は、まともに国民生活を顧みない政権を批判しました。
 青木理著『日本会議の正体』(平凡社新書)、俵義文著『日本会議の全貌』(花伝社)など、安倍政権と連動するように草の根から改憲運動を進める「日本会議」の姿を明らかにする本が次々出ました。
 自民党改憲案を解説した冊子『あたらしい憲法草案のはなし』(太郎次郎社エディタス)が話題になりました。国民主権や平和主義を掲げた戦後の憲法の意義を解説した1947年刊行の宮沢俊義著『あたらしい憲法のはなし』(三陸書房)、55年刊行の佐藤功著『憲法と君たち』(時事通信社)がそれぞれ復刻されました。
 世界の近現代史に新しい提起をした不破哲三著『スターリン秘史』全6巻(新日本出版社)が今年完結し、関心を呼びました。

格差と貧困、実態を描く
 格差と貧困の実態を浮き彫りにする本の出版が近年続いています。今年は飯島裕子著『ルポ 貧困女子』(岩波新書)、藤田孝典著『貧困世代』(講談社現代新書)などが貧困のさまざまな実態を明らかにしました。
 米クリントン政権の労働長官を務めたロバート・B・ライシュ著『最後の資本主義』(東洋経済新報社)、同政権の大統領経済諮問委員長を務めたジョセフ・E・スティグリッツ著『これから始まる「新しい世界経済」の教科書』(徳間書店)など、新自由主義の経済が貧困と格差をもたらした問題に切り込み是正を提案する本も出ました。
 マイナス傾向が続く書籍・雑誌の今年の販売額は出版科学研究所によると、1兆4500億円の見込みです。前年比約4・7%減になります。うち書籍は前年比約1%減の7300億円に対し、雑誌は同6・6%減の7200億円。雑誌が書籍の販売額を下回るのは31年ぶりといいます。
 一方で電子出版は電子コミックを中心に伸びています。市場規模が前年比31・3%増の1502億円になった2015年を、今年は上回る見込みです。(同研究所)
 昨年240万部のベストセラー『火花』のような書籍が今年はありませんが、アニメでヒットした新海誠著『小説 君の名は。』(角川文庫)は130万部。J・K・ローリング著『ハリー・ポッターと呪いの子』(静山社)は11月に刊行されたばかりですが、100万部をこえました。
 (隅田哲)
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2016年12月25日,「赤旗」)

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16回顧/文学/全ての命、祝福する社会へ

 戦争の濃い影と収束しない原発災害、格差と貧困の広がりのなかで、文学界では緊迫感をもって、個人の尊厳と自由、平和の価値を可視化させる多様な表現が試みられた一年でした。
 日本ペンクラブは2度にわたりシンポジウム「戦争と文学」を開催。戦時に生きた人間一人ひとりを描くことが小説家としての使命と語った浅田次郎会長は、自ら反戦小説集と銘打った『帰郷』を出版しました。
 没後100年を迎えた夏目漱石の文学が多角的に顕彰され、なかでも第1次世界大戦中の国家主義の高揚に反して個人主義を主張し、「自分の自由を愛すると共に他の自由を尊敬する」とうたった思想が、現代に照らして注目されました。
 芥川賞受賞作の本谷有希子『異類婚姻譚』、村田沙耶香『コンビニ人間』はいずれも、他者の侵食や社会の同調圧力に抗し、個を守ろうとする葛藤を描出しました。山崎ナオコーラ『美しい距離』もまた、自立した夫婦が最期まで互いを尊重する関係を描き、作家たちが多様性の受容を重要なテーマの一つと考えていることがうかがえます。
 現実に警鐘を鳴らす手法として近未来を描くディストピア(反理想郷)小説が相次いだのも今年の特徴です。原発事故が続発した後の汚染された日本を舞台にした桐野夏生『バラカ』、古川日出男『あるいは修羅の十億年』。国家が生殖を管理する窪美澄『アカガミ』、一人の人間の細胞から人工授精によって生まれた存在が登場する吉田修一『橋を渡る』。河川敷で暮らす野宿者たちが主人公の木村友祐『野良ビトたちの燃え上がる肖像』は、オリンピックを2年後に控え格差と断絶の深刻化する社会の苛酷さを告発しました。
 現実と切り結びながら社会変革の道を探る作品も印象的でした。民主文学新人賞受賞作の岩崎明日香「角煮とマルクス」は活動を通して自己責任論を乗り越え仲間とつながる青年を、井上文夫『青空』は航空会社の人権侵害とたたかう客室乗務員を描きました。田島一・日本民主主義文学会会長の『前衛』連載ルポ「ロックアウト解雇に立ち向かう日本IBM労働者」、製薬会社の研究室を舞台にした本紙連載小説「薬理屋讃歌」(櫂悦子)、酪農家の苦悩と喜びに迫った『民主文学』連載小説「ピンネ山麓」(高橋篤子)は、働く者の誇りと連帯の軌跡です。
 2月、津島佑子氏が急逝しました。敗戦から現代に至る経済最優先の日本の在り方を鋭く批判した作家でした。遺作となった『半減期を祝って』『ジャッカ・ドフニ―海の記憶の物語』『狩りの時代』は、差別の構造と原子力推進が、戦争と一体であることを暴いています。作家が私たちに託したものは、すべての命が祝福される社会の実現ではないでしょうか。
 (平川由美)
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2016年12月16日,「赤旗」)

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16回顧/音楽/反戦・復興問う曲多数

 日本や世界の情勢が激動する中で、反戦、反原発、震災の復興をうたったメッセージ性の高い現代の作品を取り上げる傾向が現れ、それを真摯に受けとめる聴衆の姿がありました。
 安保法制(戦争法)の廃止を求める音楽関係者の行動も続いています。池辺晋一郎氏ら著名な音楽家9氏の呼びかけで結成された「戦争法に終止符を! 音楽人・団体の会」は講演と音楽の集いを開催。その集いで作曲・編曲家の井上鑑氏は、世界的なチェロ奏者カザルスが広め、平和希求のシンボルとされるカタルーニャ民謡「鳥の歌」をさまざまな分野の音楽家が演奏する連歌「鳥の歌」プロジェクトを紹介し、音楽には社会問題に目を向けるきっかけとなる力があると語りました。
 日本のうたごえ祭典が愛媛で開かれ、初めての四国開催となりました。「いのち輝く未来へ 平和と希望をうたおう」をテーマに原発問題や沖縄の新基地建設反対のたたかいに連帯する歌がうたわれました。幅広い世代が、それぞれ抱える困難を率直に表現し、それを共有するなかで解決策を見いだしていこうとするメッセージを発信しました。
 「レクイエム(鎮魂曲)」や「祈り」を題材とした演奏会も印象に残りました。京都フィルハーモニー室内合奏団は、ドイツ在住の作曲家・久保摩耶子氏の歌曲「三陸のうた」を初演し、東日本大震災の記憶をとどめようとする思いを感じさせました。
 新国立劇場は、チェコの作曲家ヤナーチェクのオペラ「イェヌーファ」を上演し、村社会の閉鎖性と抑圧にあえぐ女性の苦悩を、水準の高い演奏で聴かせました。今シーズン開幕のワーグナー「ワルキューレ」も注目を集めました。ただ、いずれも海外の歌劇場が制作した舞台が基になっており、来年開館20周年を迎える同劇場には自前制作の舞台をより多く上演することが期待されます。
 メモリアルイヤーの日本人作曲家として没後20年の武満徹、生誕100年の柴田南雄などの作品が多く演奏されました。日本フィルハーモニー交響楽団は、正指揮者の山田和樹氏がプロデュースした柴田作品のコンサートを開き、自然と共生する芸術の可能性を次代に引き継ぐ意味を問いかけました。
 病から復帰し、左手のピアニストとして活躍する舘野泉氏は、傘寿記念コンサートで左手のための協奏曲4曲を演奏。80歳でなお独自の表現を探求する力強い音楽で魅了しました。
 (中村尚代)
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2016年12月14日,「赤旗」)

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16回顧/映画/情報新時代、邦画に秀作

 日本映画がさまざまに話題を呼んだ年でした。
 山田洋次監督の20年ぶりの喜劇「家族はつらいよ」は鍛え抜かれた技で熟年離婚を描き、劇場を笑いで包みました。是枝裕和「海よりもまだ深く」は母と息子の、西川美和「永い言い訳」は夫婦の絆を見つめました。温かくもあり苦くもある厄介な家族が人間へのいとおしさを募らせ、明日への希望を抱かせます。
 言葉を発せない子や貧困児童に向き合う教師が奮闘する「校庭に東風吹いて」も上映が広がっています。
 アニメーションの力作も並びました。
 戦争の時代の日常が平和の尊さを刻み付ける「この世界の片隅に」。男女高校生の心身が入れ替わる設定で若い観客の夢を集めた「君の名は。」。いじめによる心の痛みが痛切な「映画 聲の形」。スタジオジブリが海外と共同製作した「レッドタートル」。
 大震災後の日本の現実を視野に入れた劇映画「シン・ゴジラ」や「君の名は。」などのアニメのヒットの一つの要素となった、SNSなどによる情報の拡散という新しい現象があります。
 民族間の紛争や報復の戦闘。いつまで悲しみを生み続けるのか―。そんな問いに真摯に向き合う数々の外国映画がありました。敵同士の兵士を一つ屋根の下にかくまう「みかんの丘」(ジョージア)、愛の強さで異民族の憎しみに立ち向かう「灼熱」(クロアチア)、派兵された兵士の苦悩を浮き彫りにする「ある戦争」(デンマーク)。ナチスの犯罪とその発掘も、「サウルの息子」(ハンガリー)、「アイヒマン・ショー」(イギリス)など、時効を認めない映画人の志です。
 米映画の力作も特筆されます。赤狩りに屈しない映画人の良心が浮かび上がる「トランボ」、真実の報道を目指し苦闘する「スポットライト 世紀のスクープ」などの劇映画。スノーデンの命懸けの告発や「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」などのドキュメンタリー。また、韓国の「弁護人」、暴圧に抗する「チリの闘い」も鮮烈に映画の力を示しました。
 日本のドキュメンタリーでは、東日本大震災の被災地のその後や、シールズ、沖縄など、たたかいの貴重な記録があります。
 映画人九条の会は、戦時中のアニメーション「桃太郎 海の神兵」の上映会などを開きました。映画の力を再び国策に貢献させてはならないという警告は生き続けています。
 (児玉由紀恵)
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2016年12月14日,「赤旗」)

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16回顧/美術/たたかう群像に光あて

 戦争する国≠ヨ暴走する安倍政権に、野党と市民が対決した一年でした。
 アンデパンダン展主催の日本美術会が創立70年を迎え、記念のアートフォーラムで戦争画に見る芸術家の責任などを討論、熱気に包まれました。民主的美術運動の実践と理論で中心的役割を果たしてきた画家・永井潔の業績を語り合うシンポジウムも開催。平和美術展や九条美術展、職美展、写真展「視点」、漫画家の「くまんばち展」などで、戦争法への怒りと平和への危機感、たたかいへの共感が数多く表現されました。
 東京・府中市美術館で開催の新海覚雄展は、彼の初の美術館での回顧展でした。米軍基地拡張に反対した「砂川闘争」のさなかに描かれた農民たちの素描群は、たたかう群像に改めて光をあてるものとなりました。戦前の女性画家で結核のため30歳で亡くなった川上律江の作品が日本共産党本部のエントランスホールに展示中です。検挙された家族や仲間に会いに来た人々と、監視の警官との緊張感あふれる「面会」など、厳しい時代に真の画家として生きた気概が伝わってきます。戦争という時代と向き合った画家として新聞でも紹介されました。
 3・11以降、政治的メッセージを込めた作品にクレームがつく例が増えています。前述の新海覚雄展でも「内容が偏っているので公立美術館にふさわしくない」と、館上層部からクレームがあり、協議の結果、変更せず実施した経緯があります。東京都美術館でシンポジウム「美術と表現の自由」が、国際美術評論家連盟の日本支部主催で開催。学芸員や美術評論家などから「美術館における『表現の自由』は作家や学芸員が一緒に探すものでは」「日本には美術館の倫理規定がない。ふさわしい規定をつくる必要がある」などの意見が出されました。
 印象派人気は健在ですが、ボッティチェリ、カラヴァッジョなどのルネサンス美術展も好調です。個性がぶつかりあうゴッホとゴーギャン展、生誕300年の若冲展が話題を呼びました。日本の近代を振り返る企画が減る中で1945年+−5年展が注目を集め、現代アートのベテラン、柳幸典、折元立身も健闘。沖縄の現実を生活者の目線で捉えた宮良瑛子展も好評でした。
 (日高ルミ)
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2016年12月13日,「赤旗」)

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16回顧/演劇/苦悩見つめて共生問う

 今年は、戦争法施行後の日本の現実を見据え警鐘を鳴らす作品が目を引きました。
 青年劇場「雲ヲ掴ム」は、家族経営の町工場を舞台にした作品。庶民の目線で武器を輸出し戦争をする国へと向かう日本の現状を、町工場の経営との矛盾も内包しながら描きました。
 劇団東演「琉球の風」は、都内の旅行代理店のオフィスを舞台に、沖縄の辺野古や高江での基地問題に思いをはせる作品。心の葛藤とその中で成長する人間像が新鮮でした。
 劇団俳優座と劇団文化座がほぼ同時期に上演した「反応工程」は、終戦間近の軍需工場を舞台に、動員学徒として働く若者たちの、徴兵を目の前にした苦悩を表現し、今の日本の状況にピタリとかみ合うものになりました。
 非戦を選ぶ演劇人の会による19回目を迎えた「ピースリーディング」、初めて行われた「全国同時多発ピースリーディング」、さらに「安保法制と安倍政権の暴走を許さない演劇人・舞台表現者の会」による毎月19日の駅頭でのサイレントスタンディングは、粘り強い反戦平和の意思の演劇人らしい表現として、国民を励まし続けています。
 ヘイトスピーチなどの排外主義、排斥が横行する中、過去の歴史に真摯に学ぶことで共生と希望を見いだそうとする貴重な作品もありました。
 劇団民芸の「SOETSU」は、日本統治下の朝鮮を主な舞台に、朝鮮陶器の美に魅せられた柳宗悦の生き方をとおして侵略された民族の怒りと、加害者である日本の今を考えさせるものでした。
 東京芸術座「KYOKAI」は、在日コリアンの人権獲得に半生をかけた在日韓国人牧師のたたかいを描き、偏見、差別に立ち向かうことの意味、共生の道はどこにあるのかを問いかけました。
 創立85周年を迎えた劇団前進座が「東海道四谷怪談」の通し上演に挑み、次代を担う若手も含めて人間ドラマとしての光を当てたことは、今後につながる財産になりました。
 シェークスピア没後400年の今年、新国立劇場がシェークスピア歴史劇シリーズの一環として大作「ヘンリー四世」を上演。開場50周年を迎えた国立劇場は「仮名手本忠臣蔵」の3カ月連続全十一段上演に取り組みました。
 (寺田忠生)
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2016年12月13日,「赤旗」)

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2016年回顧/パリ協定発効/破局的な未来回避へ

 気候変動対策の新たな国際的枠組み「パリ協定」が11月4日に発効しました。同月にモロッコで開かれた国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)では、パリ協定の詳細な運用ルールづくりに着手。気候変動に伴う大規模災害や食糧危機、海面上昇など破局的な未来を回避する第一歩を踏み出しました。
 2020年に運用が始まるパリ協定は、産業革命(1850年ごろ)後の世界の平均気温上昇を1・5〜2度未満に抑えるため、今世紀中にも温室効果ガス排出の「実質ゼロ」(人為的な温室効果ガス排出量と吸収量が等しくなる状態)を目指します。各国には今後、現状では不十分な温室ガス削減目標の定期的な引き上げと達成が求められます。

歴史的な偉業
 2015年末に合意した同協定は、各国の積極姿勢により合意から約1年、国際条約としては異例の早さで発効しました。
 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は協定発効を「歴史的な偉業」と評価。「気候変動による最悪の結末を防ぐことができる最後の世代はわれわれだ」と述べ、各国の貢献を求めました。
 協定発効直後に開かれたCOP22では、各国の削減努力の評価基準や透明性の確保策など、協定の運用ルールを18年までに確定することで合意。参加した各国NGOや市民は、再生可能エネルギーの拡充による「脱炭素化」「脱化石燃料」の早期実現を求めました。

逆行が際立つ
 ただ、資金拠出を中心とした先進・途上国間の対立は根強く、米大統領選で気候変動対策に消極的なトランプ氏が勝利したなかで課題も残されています。今後は、協定の目標達成に向けた協力と行動に加え、米国に大量排出国の責任に見合った行動を促す努力も必要となりそうです。
 世界第5位の排出国である日本は、国内外で石炭火力発電所を推進し、削減目標は他の先進国に比べて極めて低い水準にとどまるなど、「脱炭素化」への逆行が際立っています。日本政府には、期待される再生可能エネルギー分野での貢献や途上国支援に向けた抜本的な政策見直しが求められています。
 (パリ=島崎桂)
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2016年12月15日,「赤旗」)

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2016年回顧/英EU離脱/経済格差を背景に

 6月23日、世界がかたずをのんで見守る中、英政府は欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を行い、国民は離脱51・9%、残留48・1%の僅差で離脱を選びました。EU発足以来、加盟国の離脱は初めて。経済規模でドイツに次ぐ大国の決定は、世界を揺るがせました。

懸念を利用し
 もともとEU離脱・移民排斥を主張して勢力を伸ばしていたのはイギリス独立党(UKIP)でした。2004年に東欧諸国がEUに加盟後、移民が増加。UKIPは労働者の「職を奪われる」との懸念を利用し、主張を広げました。14年の欧州議会選挙では、同国の73議席中24議席を得て第1党となり、その後も与党、保守党からのくら替えや補欠選挙での勝利が続きました。
 この中でキャメロン首相はEUと交渉し、EU圏からの移民の福祉利用制限をかけるなどの「特別な地位」を勝ち取った上で、2月に正式に国民投票実施を決めました。
 離脱の決定の背景には経済格差の問題がありました。サッチャー保守党政権以来の構造改革や金融ビッグバンで格差が拡大。行き詰まった現状を変えたいという思いが離脱票となりました。
 EUが域内での自由競争を推進し、金融危機以来、加盟各国に緊縮策を押し付けたことや、巨大な官僚機構を生み出したことが、各国市民とEU機構との間の隔たりを生んだことも一つの要因でした。
 キャメロン氏は責任を取って辞職。後任のメイ首相は、EUの単一市場へのアクセスなどを求めながら、来年3月に離脱を通告し、2年以内に離脱する方針。一方、EU側は「労働者の移動の自由を認めないままでの、いいとこどりはありえない」(バルニエ首席交渉官)との見解です。

最高裁が審理
 正式な離脱手続きの開始をめぐっては、議会の承認が必要かどうかで訴訟となり、ロンドンの最高裁が審理中。
 英国の中でも、EU残留派が多数を占めたスコットランドや北アイルランドは、「EU離脱のがけから突き落とされるのを傍観するわけにはいかない」(スコットランドのスタージョン首相)とメイ氏を批判。分離独立の住民投票実施も含みに協議を続けています。
 英国、EU双方の労組は「離脱の対価を労働者に支払わせてはならない」と訴えています。
 (片岡正明)
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2016年12月16日,「赤旗」)

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2016年回顧/米サンダース旋風/若者から熱烈な支持

 米大統領選の民主党の候補者指名争いでヒラリー・クリントン前国務長官に匹敵する争いを見せた「民主的社会主義者」のバーニー・サンダース上院議員が、米国の大変革に向けた大旋風を巻き起こし、その風は現在もやむことはありません。
 世界最大の資本主義国であり、社会主義が異端中の異端とされてきた米国の国民意識が変化しています。ギャラップ社の2015年6月の世論調査では、社会主義者の大統領候補でも票を投じると答えたのは、全体で47%、民主党支持層では59%、29歳以下では69%でした。

大変革掲げる
 国内雇用の海外流出を生んだ自由主義的貿易政策やイラク戦争、ウォール街(金融資本)・大企業への優遇策を早くから批判してきたサンダース氏。予備選でクリントン氏に敗れるも22州で勝利、1203万弱の票(クリントン氏は約1508万票)を得ました。
 サンダース氏は異常な経済的不平等と富裕層の献金による政治買収を正し、米国民すべてに機能する経済と、米国民すべてが参加する政治に転換する「政治的大変革」を掲げました。
 若者の圧倒的多数が同氏を熱烈に支持。2011年に起きた富裕層上位1%に99%が抗議するオキュパイ(占拠)運動に取り組んだ市民とも結び付き、平均27j(約3200円)の個人献金による草の根の選挙運動が広がりました。
 環太平洋連携協定(TPP)反対を明確に掲げ、最低賃金時給15j(約1800円)までの引き上げ、公立大学の授業料無償化、国民皆保険制度の実現を訴えるサンダース氏の主張は、クリントン氏の姿勢や民主党の政策綱領を大きく前進させました。トランプ氏も選挙戦終盤で「真の変革」といった文言を強調するようになりました。
対案示し注目 サンダース氏の唱えた大変革の中身は、米国の重要問題として議題に上がる状況となりました。同氏は大変革の実現を目指して8月に草の根の運動団体「われわれの大変革」を設立しました。
 サンダース氏は民主党の上院指導部入りし、同党を真に勤労者の党にするための改革にも取り組んでいます。トランプ次期大統領の危険な動きを批判し、対案を示し、注目され続けています。
 (ワシントン=洞口昇幸)
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2016年12月17日,「赤旗」)

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2016年回顧/コロンビア和平/半世紀の内戦が終結

 南米コロンビアの上下両院は11月末、政府と同国最大の反政府武装集団「コロンビア革命軍」(FARC)の和平合意案を承認し、和平合意は発効しました。これにより半世紀続いた内戦の終結が実現することになりました。
 1960年代から続いてきたコロンビア政府とFARCの内戦では、これまでに少なくとも22万人が犠牲になり、数百万人が強制移住を強いられました。
 政府とFARCは2012年から和平交渉を断続的に続け、今年6月に停戦協定に署名。8月には内戦を終結させることで最終的な和平合意に達しました。

反対意見考慮
 10月2日にはこの和平合意について賛否を問う国民投票が行われましたが、小差で反対多数となりました。
 合意は、農地改革や武装集団メンバーの政治参加、犠牲者への補償などを柱としています。内戦終結が歓迎される一方で、FARC戦闘員への恩赦などが寛大すぎるとして反対意見も出ていました。
 国民投票の結果を受けて、政府は反対派の意見を聞いたうえでFARCと再交渉。反対派の意見も取り入れた修正案に政府とFARCが11月下旬に署名し、上下両院での承認に至りました。
 和平合意の発効で、政府は今後、収監中のFARCメンバーを特赦、減刑する法律の制定を急ぎます。またFARCは国連監視部隊への武器引き渡しを急ぎ、武装組織から政党へ転換します。
 4年に及んだ交渉では、中南米カリブ海地域の全独立国33カ国でつくる中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)がプロセスを後押ししました。CELACは2014年の首脳会議で、中南米カリブ海地域を「平和地帯」と宣言し、武力行使の放棄や紛争の平和的解決を確認しています。

平和賞弾みに
 コロンビアのサントス大統領は10月7日、「内戦終結に向けた断固とした努力」を行ったとして、ノーベル平和賞を受賞しました。これが和平合意達成の弾みになりました。
 サントス氏は受賞決定を受けて「私個人ではなくコロンビア全国民、とりわけ50年以上に及ぶ内戦での犠牲者の名において賞を受ける」と演説しました。FARCは「(サントス氏の受賞が)和平合意に命を吹き込み、コロンビア人に尊厳を与える力になることを期待する」と表明しました。
 (島田峰隆)
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2016年12月18日,「赤旗」)

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2016年回顧/米大統領選/既存政治打破の思いが…

 11月8日の米大統領選は、直前の世論調査で優勢だった民主党候補、ヒラリー・クリントン前国務長官に対し、政治経験がなく移民やイスラム教徒への差別発言で国内外から非難を浴びた実業家の共和党候補、ドナルド・トランプ氏が競り勝ちました。

有権者の関心事
 民主、共和の二大政党それぞれの候補者指名争いからすでに、有権者の間には現在の政治と経済への不満や怒りがあり、既存の政治勢力を打破・変革したいという強い思いがありました。深刻化する所得格差等の解決が、有権者の最大の関心事の一つでした。
 トランプ氏は政治の世界では「アウトサイダー」(部外者)であることを強調し、保守層や白人労働者の現状を変えてほしいという思いの受け皿となり、他の共和党有力候補を圧倒しました。
 クリントン氏は「全ての人のためになる経済」を唱えるなど一定の前進的な姿勢を示しました。しかし、ウォール街(金融業界)から多額の献金を受け取るなど既存政治家の代表とみなされ、国務長官時代に私用メールを公務に使った問題なども合わせて、有権者の不信感を払しょくできませんでした。
 女性蔑視発言も明らかになり、選挙最終盤まで物議を醸したトランプ氏は、減税策を掲げ、ウォール街の既存の政治勢力の打破を強調。民主・共和両党が伯仲する主要な「激戦州」と、これまでの自由主義的な貿易政策で製造業が大きく衰退した「ラストベルト」(さびついた地域)の諸州を制したことで、勝利に至りました。

各地で抗議行動
 しかし、トランプ氏の唱える経済政策の実態は、これまで機能しなかった「トリクルダウン」(富裕層や大企業に大減税・規制緩和を施して利益を上げさせれば、富が庶民にも滴り落ちる)理論の典型です。
 来年1月20日の大統領就任・新政権発足に向けてトランプ氏は閣僚級人事を決めましたが、タカ派やウォール街・大企業の代表、元軍人、億万長者で占められています。
 差別・排外的な政策や時代に逆行する政治を許さない米市民らは、各地で抗議行動を続け、大統領就任式に合わせて大規模な行動も計画しています。
 (ワシントン=洞口昇幸)
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2016年12月19日,「赤旗」)

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2016年回顧/南シナ海仲裁判決/中国の権利主張を否定

 領有権や管轄権の争いが続く南シナ海問題で今年、法的拘束力を持つ初の国際司法判断が示されました。常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が7月12日に出した裁定(判決)で、中国がほぼ全海域で主張する権利を否定する内容です。
 南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島と西沙(英語名パラセル)諸島をめぐっては、中国とASEAN諸国のうちベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの4カ国が全域、あるいは一部の領有権を主張。さらに近年、米国が「航行の自由」を掲げて中国批判を強めており、緊張が高まっています。

条約基づき判断
 裁判は、フィリピンが2013年に提訴したものです。判決は「海の憲法」と呼ばれる国連海洋法条約に基づいて、次のように判断しました。
 
南シナ海のほぼ全域を囲む「九段線」は法的な根拠がない。
 
中国が自国領の「島」と主張する岩礁で、「岩」や干潮時だけ海面上に現れる「低潮高地」は排他的経済水域(EEZ)や大陸棚の権利を生まない。
 
中国によるフィリピン漁民の操業妨害、石油探査妨害、人工島の建設は紛争を悪化させた。

平和的な解決を
 注目すべき点は、判決が「紛争の根源」について、「海洋法条約の下でのそれぞれの権利の理解において根本的な相違があること」だと指摘していることです。刑事裁判のように一方を「罪人」扱いするのではなく、話し合いによる紛争の平和的な解決のために、法的な基盤を提供する判決になっています。
 フィリピンは「画期的な判決」であり「紛争解決の努力への重要な貢献」と評価し、ベトナムは「判決を歓迎」した上で「国際法に基づく平和的解決」を改めて主張。一方の中国は判決を「無効で何の拘束力もない」と反発しています。
 しかし、今回の裁判は国連海洋法条約に基づいて進められており、条約批准国である中国は判決を受け入れる義務があります。
 9月のASEAN首脳会議は共同声明で、「法的および外交的プロセスの全面尊重」による平和的解決を確認。明記はしていませんが、仲裁判決の示した国際法解釈に基づいて話し合いで解決するべきだと中国に求めるものになりました。
 (面川誠)
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2016年12月20日,「赤旗」)

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日ロ首脳会談・野党共闘/小池書記局長語る/ラジオ番組

 日本共産党の小池晃書記局長は21日、ラジオ日本「岩瀬恵子のスマートNEWS」に出演し、日ロ首脳会談や野党共闘などについて語りました。
 「小池さんは番組最多出演です」と紹介した岩瀬氏に「どんな一年だったか」と問われた小池氏は、「手ごたえのあった一年」だったと回顧。参院選の11選挙区で野党統一候補が勝利し、新潟知事選で米山隆一知事が誕生したことに触れ、「市民の皆さんと野党が力を合わせて政治を変える大きなうねりが始まった年」だったと振り返りました。
 領土問題を棚上げし、共同経済活動を進めることが合意された日ロ首脳会談について聞かれ小池氏は、「危険だ。ロシアの支配を後押ししてしまうことになりかねない」と指摘。かつて小渕政権が「共同経済活動の検討」といったときは「国境画定委員会を同時並行で立ち上げていた」と述べ、「今回はそれもない。共同経済活動で協議が調わなければ、領土問題の交渉に入っていけないことになる」と安倍政権の対応を批判しました。
 共同会見で「第2次世界大戦の結果、南千島をロシアが得た」と述べたプーチン大統領に安倍首相が何の反論もしていないことも批判。「戦後処理の大原則は『領土不拡大』だ。その原則に照らせば、国後(くなしり)、択捉(えとろふ)だけでなく(千島の北東端の)占守(しゅむしゅ)島までが日本の歴史的な領土だ。日本の領有権を棚上げにし、共同経済活動といってしまったのは、だらしない外交と言われても仕方がない」と語りました。
 衆院解散について岩瀬氏は「年内、年明けという話もあったが、永田町はどうなったのか」と問いかけました。小池氏は「いつ解散があってもいいように野党の間では選挙協力の話し合いも進めている。4党の書記局長・幹事長会談も近々開かれる」と話しました。
 「衆院選挙でも野党共闘ですか」との質問に小池氏は、「安倍政権を打倒するためには、参院選以上に協力を発展させて、多くの小選挙区で与野党逆転の状況をつくり出さなければならない」と強調しました。
 選挙協力の在り方については「香川選挙区以外の1人区では共産党が一方的に候補者を降ろした参院選とは違う」とも述べ、「衆院選では共産党の候補者を一方的に降ろすようなことは考えておりません。『相互推薦・相互支援でやっていきましょう』と野党間で話し合っていきます」と語りました。
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2016年12月22日,「赤旗」)

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2016年回顧/イラク戦争の傷痕/米英の政治も是とせず

 2003年の米英のイラク戦争とその後の占領の問題がついてまわった1年でもありました。
 トランプ次期米大統領が国防長官に選んだのは、イラク占領期のファルージャ掃討作戦を担った軍人マティス氏でした。
 イラクの政治評論家ワリド・ズバイディ氏は本紙にこう話しました。「彼の指揮した作戦が占領に抵抗する市民を殺したことをイラク人は忘れていない。占領と破壊と虐殺が過激組織ISを生み出したことも」

民間犠牲者6500人
 ファルージャは米英侵攻の10年後、2013年にISが制圧。それに対しイラク軍とシーア派民兵が今年になって米軍の支援を受けて掃討作戦を開始。6月末に奪還を宣言するや、その1週間後にバグダッドで爆弾テロが発生し、ISが犯行声明を出しました。死者数は300人に迫り、1回の自動車爆弾テロとしてイラク戦争後最多を記録しました。
 イラク軍などはさらに10月、ISが支配するモスルの奪還作戦の開始を宣言。翌11月にISが犯行を声明したトラックの自爆テロでイラン人巡礼者ら100人以上が死亡しました。モスル作戦は、現在進行中です。
 国連によると今年、イラクでのテロや紛争で犠牲になった民間人は11月までに約6500人です。

米大統領選にも
 今年の米大統領選挙。イラク戦争にも役回りがありました。
 侵攻したブッシュ大統領を兄に持つジェブ・ブッシュ氏(元フロリダ州知事)は、共和党候補に名乗りを上げたものの、イラク戦争への態度が二転三転し、早々と撤退しました。
 トランプ氏は、自身が侵攻当初からイラク戦争に反対したと主張、これに対し民主党クリントン候補は侵攻当時、賛成したと非難しました。トランプ氏の当初の反対は本当ではなかったとの米メディアの追及もありました。
 英国では、ブラウン首相の意向で2009年に作業を始めたイラク戦争検証委員会が今年7月、報告書を発表。「武力行使は最後の手段ではなかった」と当時のブレア政権の判断の誤りを指摘しました。
 侵攻した当の米英の政治は今年、イラク戦争を是としないことを強く示しました。
 そして冒頭のマティス氏が米国防長官になります。評論家ズバイディ氏は「新政権の方針をみなければならない」と語っています。
 (カイロ=小玉純一)
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2016年12月22日,「赤旗」)

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2016年回顧/北朝鮮の核実験/2度の強行、深まる孤立

 北朝鮮は1月と9月、2度の核実験を強行しました。4度目となった1月の核実験では初の水爆実験に成功したと軍事力を誇示しました。国連安全保障理事会は、3月と11月に決議を採択し、北朝鮮に対する制裁を強化。同国の国際社会からの孤立は深まっています。
 5度目の核実験と繰り返される弾道ミサイル発射に対し採択された国連安保理決議2321(11月30日採択)は、国民の生活や人道援助への悪影響は避けるとしつつ、3月の決議2270より厳しい内容となりました。
 同決議は加盟国に対して、外貨獲得源として北朝鮮が主に中国向けに輸出してきた石炭について年間の輸入量を750万d以下か、輸入額で4億j(約470億円)以下のいずれか低い方に抑えるよう要求。北朝鮮からの銀、銅、ニッケル、亜鉛を輸入禁止品目に追加するなどしました。

6カ国協議支持
 平和的・外交的・政治的解決も明記し、6カ国協議(北朝鮮と日米韓中ロ)の支持を再確認。「同協議の再開を要請し、2005年9月に出された共同声明に定める誓約(平和的な方法による朝鮮半島の非核化の検証、米朝が互いの主権を尊重し共存を約束したことなどを含む)への支持を改めて表明する」としました。
 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、「国連加盟国は、制裁が完全に履行されることを確かなものにするため、あらゆる努力を行うことに責任を負っている」と述べ、国際社会の結束した行動を呼びかけました。

先制使用を否定
 北朝鮮はこの間、米国に「平和協定」の締結交渉を要求しています。圧倒的な軍事力を持つ米国と対峙(たいじ)するためには核が必要だとし、5月に開いた第7回朝鮮労働党大会でも「責任ある核保有国」を強調しました。その一方で、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、「侵略的な敵対勢力が、核でわれわれの自主権を侵害しない限り、先に核兵器を使用しない」などと発言しています。
 安保理決議の採択に向かう討論では、北朝鮮による核兵器開発の口実を失わせ、核放棄を強く迫るためには、世界が核兵器廃絶に向かうことが重要だとの声が出されました。エジプトなどの代表は、地球上の核兵器すべてを廃絶する取り組みの緊急性を主張しました。
 (栗原千鶴)
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2016年12月23日,「赤旗」)

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2016年回顧/台湾の政権交代/中台関係が停滞

 1月の台湾総統選挙で民進党の蔡英文(さいえいぶん)主席が勝利し、8年ぶりの政権交代を果たしました。蔡氏は698万票を獲得し、与党・国民党の候補に300万票以上の差をつけました。同時に実施された立法院議員選(定数113)でも民進党が68議席を得て、初めて過半数を占めました。

変化求めた市民
 政権交代を後押ししたのは、馬英九・前政権への不満、変化を求めた学生や市民の運動でした。
 馬政権は2008年の就任以降、中台関係を発展させ、昨年11月には66年ぶりに中台トップ会談を実現。一方、中台関係発展で一部の大企業は恩恵を受けたものの、台湾の雇用が大陸に流出するなど台湾住民の生活は改善していません。20〜24歳の失業率は13%に達し、若年層の収入は低いままで、不満が高まりました。
 経済回復や改革への期待から、5月の総統就任時の蔡政権の支持率は70%に達しました。しかし改革は期待通りに進まず、11月実施の台湾民意基金会の世論調査では、支持率が41・4%で、不支持の42・6%を下回っています。

「現状維持」強調
 中国政府は蔡政権を警戒し、台湾を中国の一部とする「一つの中国」を双方が認め合ったとされる「92年合意」の受け入れが交流の基礎だとする姿勢を崩していません。
 蔡氏は大陸側を「挑発しない」とし、中台関係の「現状維持」を強調。「92年に会談があった歴史的事実は尊重する」と繰り返し表明していますが、「92年合意」を明確には認めていません。
 5月以降、中台間の公式の対話はストップしたまま。経済や民間交流も停滞しています。台湾を訪れる大陸の観光客は、5月以降は前年比35%減。11月は前年比51・4%減となり、観光業界が打撃を受けています。
 11月に当選したトランプ次期米大統領は今月2日、蔡総統と電話で会談。「一つの中国」原則に縛られない考えを示し、中国をけん制しています。
 台湾大学政治学科の王業立教授は「トランプ氏は中国との交渉のため、台湾を将棋の駒として使っている」と指摘。中台関係に関し、「中国はさまざまな圧力をかけてきており、短期的に好転することはなく、むしろ緊張が高まるだろう」と語ります。
 (北京=小林拓也)
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2016年12月24日,「赤旗」)

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2016年回顧/ベトナム/原発撤回、TPP見送り

 ベトナムでは今年1月のベトナム共産党大会後に成立した新政権下で、国の重要な針路をめぐる二つの出来事がありました。

背景に福島原発
 一つは原子力発電所建設の撤回です。ベトナムでは経済発展に伴う電力需要の高まりで、2010年に日本とロシアに南部ニントゥアン省での各原発2基の発注を決定。しかし政府は今年11月、財政難を理由に原発建設撤回を決定し、国会は同月22日に原発建設白紙撤回を承認します。
 背景には11年3月の東京電力福島第1原発事故の影響があり、国民の間で安全性への懸念が強まっていました。今年4月に台湾企業が引き起こした海洋汚染による魚の大量死問題も、環境問題への関心を高めて原発建設の不安を促したといわれます。
 地元電子サイト・ベトナム・ネットで、エネルギー会社「ソン・ホン」の元取締役グエン・タイン・ソン氏は「原子力発電はクリーンなエネルギーではなく、危険で汚いと思われている」と発言。ソン氏は原発撤回によって、「水力と地熱の発電比率が高まるだろう」と語りました。政府は現在、風力発電など再生可能エネルギーも重視し、欧州企業との共同もすすめています。

畜産衰退の不安
 もう一つの出来事は環太平洋連携協定(TPP)の国会審議見送りです。
 政府は2月に同協定に調印。繊維製品などの輸出で経済発展を意図しましたが、安価な外国製品の流入による畜産・家禽(かきん)業の衰退への不安も抱えていました。
 グエン・ティ・キム・ガン国会議長は9月、後半国会会期(10月20〜11月23日)でのTPP批准について、「党中央の判断や世界情勢をふまえて判断する」と述べ、事実上先送りを発言。米大統領選挙で民主党クリントン、共和党トランプ両候補がTPPに反対を表明し、米国の参加が不透明になったことが大きいといわれます。
 11月にはグエン・スアン・フック首相が、米議会でTPP批准が提出されなかったことを受けて、ベトナム国会への批准提案を見送りました。
 政府はTPP批准にいまも固執していますが、地元紙サイゴン・タイムズは「複数の国家指導者は、TPP発効がなくても政府は企業のために事業環境改善の努力を継続すると述べている」と報じています。
 (ハノイ=松本眞志)
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2016年12月26日,「赤旗」)

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波動/私の「放送ベスト3」/石井彰

 年末は、各紙でこの一年を回顧する記事が目につきます。政治・経済といった分野だけでなく、文化=書籍・映画・音楽などの回顧や、評論家他による「ベスト3」などが掲載されています。
 でも放送への言及はとても少ないのにお気づきでしょうか。もともと毎月の文化時評でも、放送が取り上げられることは少ないのです。どうやら放送は、他のジャンルとは違って、文化とは考えられていないフシが感じられます。そこで本欄をお借りして、勝手に私が選んだ「テレビ放送ベスト3」をご紹介します。
 今年は夏目漱石の没百年、生誕百五十年だったこともあり、漱石を題材にした番組が、いくつも放送されました。
 そのなかでもNHKの土曜ドラマ「夏目漱石の妻」全4回は見応えがありました。文豪漱石の実像と、悪妻というレッテルを貼られてきた妻・鏡子の姿、そして夫婦の壮絶な葛藤を描いていました。池端俊策の脚本が見事なうえに、妻役を演じた尾野真千子の鬼気迫る演技に、毎週引き込まれて画面を見つめました。
 特にお金をめぐって鏡子が実親と、そして漱石の養父と縁切りする場面には胸をつかれました。
 もうひとつの大事なドラマが、山田太一脚本によるテレビ朝日「五年目のひとり」です。東日本大震災から5年がすぎ、私たちが忘れている、忘れようとしている出来事を、山田脚本が真正面から突きつけていました。
 津波で家族全員を亡くし心に傷を抱えた男(渡辺謙)が、亡くした娘にそっくりの少女(蒔田彩珠)と出会う物語です。二人の演技と堀川とんこうの巧みな演出で、心に刺さりました。どんなに歳月が過ぎても忘れられない悲しみ、忘れてはならない現実があります。
 ドキュメンタリーでは東海テレビ「人生フルーツ」が群を抜いていました。愛知県の高蔵寺ニュータウンなどを設計した建築家・津端修一さん(90歳)と、妻の英子さん(87歳)の日々を描きました。自分が設計した街の一角に住み、70種の野菜と50種の果実を育てる生活から、ほんとうの豊かな暮らしが見えてきます。テレビ版を再構成した映画版が、来年1月2日からポレポレ東中野など、全国各地の映画館で公開されます。ぜひ御覧ください。
 (いしい・あきら 放送作家)
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2016年12月26日,「赤旗」)

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2016年回顧/キューバ国交正常化へ/88年ぶり米大統領訪問

 オバマ米大統領は3月20日から22日にかけて、キューバを訪問しました。現職米大統領のキューバ訪問は88年ぶりです。首都ハバナで会談したオバマ氏とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長は、国交正常化へ対話を続けることで一致しました。

政策破綻認める
 会談後の共同会見でカストロ氏は、米国が半世紀以上続ける経済封鎖について「キューバの経済発展と国民生活の最大の障害だ」と語り、全面解除を求めました。オバマ氏は「経済封鎖を50年も続けたが米国の利益にもキューバ国民の利益にもならなかった」と述べ、政策の破綻を認めました。
 米政府は、親米独裁政権を倒したキューバの革命政権を崩壊させようと、1962年から経済封鎖を押し付けています。
 今年の国連総会(193カ国)は10月26日、米国による対キューバ経済封鎖の解除を求める決議案を賛成191、反対ゼロ、棄権2(米国とイスラエル)で採択しました。同趣旨の決議採択は1992年以来、25年連続です。米国は今年初めて、反対せず、棄権しました。
 体制転換を狙った一方的な経済封鎖は、内政不干渉や主権平等を定めた国連憲章に違反すると国際的に批判されてきました。米国が国連総会決議に反対できなくなったことは、こうした批判を受け入れざるをえなくなったことを示しています。
 両国は2014年12月に国交正常化交渉の開始を発表し、昨年7月には54年ぶりに国交を回復しました。オバマ政権は経済封鎖の全面解除を求めていますが、共和党が多数派の上下両院が反対しているため、見通しがたっていません。
 オバマ政権は部分的な緩和を重ね、今年は対キューバ輸出の金融規制、貿易や旅行に関する規制の緩和、米航空会社による定期便の就航許可などを発表しました。

トランプ政権は
 トランプ次期米大統領は、キューバとの国交正常化交渉を見直す姿勢を示しています。オバマ政権が交渉開始に踏み切った背景には、対キューバ投資の機会を求める米経済界の要求がありました。米系ホテルやクルーズ船がキューバに進出し始めており、トランプ氏が見直しを強行すれば、自らの支持基盤と矛盾を抱えるという指摘が出ています。
 (島田峰隆)
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2016年12月27日,「赤旗」)

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パリ・シネマテークで「日本の銀幕」展/まばゆい映画遺産/今泉幸子

 ただ今映画ファンのメッカ、国立図書館の対岸ベルシー公園を見晴らすパリのシネマテーク・フランセーズで、懐かしい日本映画のポスターや写真、衣装やデッサンを集めた「日本の銀幕」展が催されている。同時にカンヌやベネチアで受賞した日本映画の傑作群も上映している。

静謐な空間
 私は高畑勲監督「じゃりン子チエ」をスタッフの念入りな解説付きで見た。その後、シネマテークの創立者アンリ・ラングロワの集めた宝物が所狭しと陳列されている豪華な常設映画博物館を通過、エレベーターで1階上って「日本の銀幕」展に入場。こちらは常設展示と打って変わって簡素で静謐なムードに包まれている。
 まず目を射るのは、スクリーンに投影される3本の映画の断片だ。溝口健二監督「残菊物語」(1939年)の白黒画面、小津安二郎監督「彼岸花」の美女たちのおしゃべり、そして小林正樹監督「切腹」の、仲代達矢と丹波哲郎の息をのむ決闘シーン。この作品はカンヌで審査員特別賞、仲代はキネマ旬報主演男優賞などを受賞している。
 スクリーンの左側ガラスケースに収められた衣笠貞之助監督のカンヌグランプリ受賞「地獄門」(53年)の衣装の美しさ。圧巻は、長年溝口監督を支えた水谷浩美術監督描く「楊貴妃」の装置と衣装のオリジナル水彩画だ。水谷氏自らシネマテークに寄贈されたと聞く。黒澤明監督の筆による「七人の侍」の衣装デッサンは、ユーモアたっぷり表情豊かで笑いを誘う。「影武者」のポスターも監督の手になる。
 次世代で一番奇抜なポスターは、横尾忠則の浮世絵コラージュ、大島渚監督「新宿泥棒日記」であろう。すでに40年前、ベネチアビエンナーレで横尾は、ワッホールと並ぶ世界的版画家であった。大島に続き、篠田正浩、吉田喜重、寺山修司、勅使河原宏、そしてカンヌパルムドール2回受賞の今村昌平監督たち。アニメの手塚治虫、宮崎駿のポスターもある。

次代へ贈る
 寄贈された数々の私的写真にも心奪われる。日本で最初にフィルムライブラリーを立ち上げ、世界に日本映画を発信し続けた川喜多かしこ夫人の優美な着物姿。その傍らにジャン・コクトーやジェラール・フィリップがほほ笑んでいる。夫人を支え、パリのシネマテークで600本もの日本映画回顧特集を組んだヒロコ・ゴヴァース女史も今はない。
 これらのまばゆい遺品の数々は、後に残された若い世代への尊い贈り物なのだと一人うなずいた。
 (2017年6月12日まで開催)
 (いまいずみ・ゆきこ 映画評論家 在パリ)
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2016年12月27日,「赤旗」)

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2016年回顧/核軍縮/大きな前進へ踏み出す

 核軍縮をめぐって、2016年は大きな前進の一歩を踏み出した年となりました。第71回国連総会は12月23日の全体会合で、核兵器禁止条約の交渉を開始するための国連の会議を来年開催するとした決議を賛成多数で採択しました。
 昨年の国連総会決議に基づき、2月22日からスイス・ジュネーブの国連欧州本部で、核兵器廃絶に向けた法的措置を話し合う新たな核軍縮作業部会が開かれました。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の被爆者代表2人も出席。「核兵器不使用を保証できるのは、核兵器廃絶以外にない」と訴えました。
 同作業部会は引き続き、5月と8月に開かれ、最終日の8月19日には、核兵器禁止条約の交渉を17年に開始するよう国連総会に勧告。第71回国連総会は10月27日、軍縮・国際安全保障問題を扱う第1委員会で、核兵器禁止条約の交渉を開始するための国連の会議を来年開催するとした決議案を賛成123、反対38、棄権16で採択しました。

日本政府は反対
 核保有国5カ国(米英仏中ロ)のうち中国は棄権し、他の4カ国は反対。日本も米国に従い反対しました。全体会合も同様でした。
 核兵器禁止条約をめぐっては、ベネズエラで9月17、18両日、開かれた非同盟諸国会議第17回首脳会議が、交渉開始の要求などを盛り込んだ宣言を採択しました。
 オバマ米大統領は5月27日、現職の米大統領として初めて広島を訪問しました。平和記念公園で演説し、「(核のない世界の)可能性を追求しなければならない」と表明。ただ具体的な提案は行いませんでした。

反核運動が支持
 核保有国が核不拡散条約(NPT)で義務づけられた核軍縮義務を怠っているのは国際法違反だとして、マーシャル諸島共和国が核保有国を提訴した世界初の訴訟で、オランダ・ハーグの国際司法裁判所は10月5日、同裁判所に管轄権がないとする「門前払い」の判断を僅差で示しました。訴訟は世界の反核運動が支持しました。
 英国唯一の核戦力である潜水艦発射型核ミサイルシステム「トライデント」の更新をめぐり、反核団体・核軍縮運動(CND)は2月27日、反対デモを全国で実施、約6万人が参加しました。しかし下院は7月18日、賛成多数で更新を容認しました。
 (山崎伸治)
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2016年12月28日,「赤旗」)

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2016年回顧/難民・移民問題/国連生命と人権守る

 第2次世界大戦後で最悪の人道危機となっている難民・移民問題をめぐり、国連は9月19日、ニューヨークで「難民と移民に関する国連サミット」を開きました。
 サミットは、難民や移民の生命と人権を守るために各国政府や国際機関が協力するとした「ニューヨーク宣言」を採択しました。宣言は、難民や移民への対応について国際的な規範となる文書を2018年に取りまとめるとしています。
 武力紛争や迫害、貧困などが原因で、生まれた国を追われた難民や移民は2015年の時点で約2億4400万人。今年も中東やアフリカから地中海を渡って欧州を目指す難民の船が転覆する事件が相次ぎました。

過去最悪の人数
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が10月下旬に明らかにしたところによると、欧州を目指して地中海を渡る途中、死亡または行方不明になった難民らの数は年初から少なくとも3800人に上り、昨年1年間の数を上回って過去最悪になりました。
 ニューヨーク宣言は、すべての難民・移民の人権保護、子どもへの教育保障などを求めています。移民・難民への敵視や排除を非難し、敵視を許さない世界的な取り組みや受け入れ国への財政支援などを訴えています。
 また武力紛争や貧困など「難民や移民の大量移動をもたらす根本原因に対処する決意」も表明しました。

「解決の転機に」
 5月23、24の両日にはトルコのイスタンブールで、難民・移民、自然災害や貧困など人道危機への対応を協議する「世界人道サミット」が開かれました。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が提唱した会議で、人道問題に特化した首脳級会議としては初めてのものでした。
 同サミットは人道支援の資金拡充などを確認しました。潘氏は閉幕あいさつで「このサミットはわれわれを新しい方向へ導く」と語り、人道危機の解決への転機とするよう呼びかけました。
 人道援助団体などからは、各国政府がサミットで人道問題を議論する一方で、シリアなどでは医療施設を狙った攻撃が相次いでいることへ批判の声も出ました。またニューヨーク宣言についても「言葉が行動にならなければならない」(国際援助団体「オックスファム」)という指摘や注文が出ています。
 (島田峰隆)
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2016年12月29日,「赤旗」)

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2016国内回顧/安倍暴走政権の打倒へ/市民と野党の共闘前進/その1

電通/新入社員の過労自殺労災認定/長時間労働への怒りが広がる
 広告代理店最大手の電通で、新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=が長時間労働によって昨年12月に過労自殺したとして、9月30日、三田労働基準監督署で労災認定されました。電通では、1991年、2013年と従業員の過労死・自殺が繰り返され、昨年夏も労働基準法違反で是正勧告を受けていました。過労死・自殺を生む長時間労働に怒りが広がっています。
 「赤旗」10月26日付は、厚労省が電通の違法を知りつつ、時短や子育てサポートを行う企業として認定し「くるみんマーク」を与えていたことを告発。11月1日、「くるみん」は返上となり、同7日、同省東京労働局などが電通を労基法違反の疑いで強制捜査し、書類送検しました。石井直社長は辞意を表明しました。
 共産、民進、自由、社民の4野党は11月15日、残業時間の法規制、勤務間インターバル規制導入などを盛り込んだ長時間労働規制法案を衆院に共同で再提出しました。過労死の悲劇を繰り返さないため、力を合わせています。

統一/参院選で選挙協力11氏当選・新潟知事選も勝利
 7月の参院選で、安保法制=戦争法の廃止、立憲主義回復という大義を掲げて安倍政権打倒をめざす野党と市民の共闘によって、全国32の全1人区で野党統一候補が実現し、11の選挙区で勝利しました。10月の新潟県知事選挙でも、原発再稼働反対を掲げる野党と市民の統一候補の米山隆一氏が自公両党推薦候補に圧勝しました。
 日本共産党第27回大会決議案は、「国民の願いにこたえる『大義の旗』を掲げ、野党と市民が『本気の共闘』に取り組むなら、政府・与党の激しい攻撃をはねかえして勝利することができることが示された。これは、日本の前途にとっての大きな希望である」と強調しています。
 日本共産党は、国政選挙で選挙協力を発展させ、「改憲勢力3分2体制」を打破し、さらに自公と補完勢力を少数派に追い込むために全力をあげています。

豊洲/地下に盛り土なし/共産党が告発
 東京都では、石原慎太郎元知事が推進してきた築地市場(中央区)の移転先、豊洲新市場予定地(江東区)の土壌汚染が大問題になっています。地下水や地下空間の空気から有害物質のベンゼンやヒ素、水銀が環境基準を超えて検出され、市場関係者や都民から移転計画の見直しを求める声があがっています。
 舛添要一知事が6月、公私混同問題を追及され任期途中で辞職。小池百合子新知事は8月31日、豊洲新市場の開場計画(11月7日)の延期を決めました。
 日本共産党都議団は9月12日、豊洲新市場施設の地下では土壌汚染対策で必要な盛り土をせずに地下空間をつくっていた事実を告発。移転計画を大きく揺るがす問題に進展しています。共産党は、石原元知事らの参考人招致と百条委員会の設置を提案。土壌汚染対策のための地下水管理システムの欠陥、東京ガス工場跡地の取得をめぐる疑惑、市場施設工事の官製談合疑惑などを追及し、移転計画の抜本見直しを求めています。

原発/「再稼働反対」の声が各地で
 首都圏反原発連合(反原連)が2012年3月から毎週金曜日に「原発ゼロ」「再稼働反対」を訴えてきた首相官邸前抗議は12月23日、227回を迎えました。全国各地で金曜行動が続いています。原発を「ベースロード電源」と位置付け再稼働へ暴走する安倍晋三政権の前に、世論と運動が立ちはだかっています。
 原発立地県の鹿児島県と新潟県の知事選では、再稼働問題が最大の争点になり、野党と市民の力で再稼働反対の新人が勝利。どの世論調査でも再稼働反対が5割を超え、揺るぎない多数派になっています。この世論と運動の力で、1年11カ月間も「稼働原発ゼロ」となり、原発なしでもやっていけることを証明しました。
 福島第1原発事故から6年近く過ぎたのに、放射能汚染の深刻化など収束には程遠く、8万6千人もの人が避難生活を余儀なくされています。ところが、再稼働推進のために、損害賠償の打ち切りなど、福島切り捨てをすすめる安倍政権。全国で怒りが広がり、「原発やめろ」「安倍はやめろ」の声が高まっています。

沖縄/辺野古新基地建設、高まる反対運動
 「新辺野古基地は造らせない。オスプレイ配備撤回はいままさに新しいスタートに立った」。12月20日、沖縄県名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐり最高裁で敗訴が確定したのを受け、翁長雄志県知事はこう語り、「たたかう民意」のさらなる結束を呼びかけ、新基地建設を断念させるまでたたかい抜く不退転の決意を改めて示しました。
 夏の参院選では、辺野古新基地ノー、オスプレイ配備反対を訴える「オール沖縄」の伊波洋一氏が現職閣僚を大差で破って勝利。ところがその直後、安倍政権は米軍北部訓練場(東村高江など)のオスプレイパッド建設を強行。県民は機動隊の暴力にも屈せず、たたかい続けました。
 元米海兵隊員による女性暴行殺害事件、ハリアーに続くオスプレイの墜落事故。基地あるが故の事件・事故が起こるたび県民は苦しみと怒りを抱き、基地のない沖縄への思いを強めました。この中で、県議会で海兵隊撤退を求める初の決議が可決されました。
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2016年12月30日,「赤旗」)

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2016国内回顧/安倍暴走政権の打倒へ/市民と野党の共闘前進/その2

緊迫/自衛隊、「駆け付け警護」で武力行使が現実になる危険
 自衛隊の南スーダンPKO(国連平和維持活動)部隊に付与された戦争法の新任務―「駆け付け警護」「宿営地の共同防衛」が12月12日から実施可能となり、憲法違反の武力行使が現実になる危険が高まっています。
 2013年12月以降、南スーダンでは大統領派と前副大統領派による内戦が続いています。7月に首都ジュバで発生した大規模な戦闘により、国連は両者の和平合意が「崩壊した」と発表(11月)。大統領政府軍が国連やNGO職員らへの攻撃を繰り返しており、自衛隊が「駆け付け警護」などを行えば、戦火を交えるのは明らかです。
 しかし安倍政権は自衛隊が活動する首都ジュバは「比較的平穏」などとごまかし、南スーダンの現実や、戦争法に反対する多くの国民の声を一顧だにしません。南スーダンからの自衛隊の速やかな撤退と、非軍事の人道支援、民生支援への抜本的転換が必要です。

発見/大隅良典さんにノーベル医学・生理学賞
 2016年のノーベル医学・生理学賞は、生物の細胞内のリサイクル機構「オートファジー」(自食作用)の解明に貢献した、大隅良典・東京工業大学栄誉教授に贈られました。
 酵母菌を顕微鏡で観察し、細胞内で不要になったタンパク質などを分解・再利用するしくみを見いだし、その後、オートファジー研究が一気に加速。さまざまな病気との関連や生命のしくみの解明が進んでいます。
 大隅さんは受賞決定後、基礎科学の大切さを強調。効率ばかり重視する日本の科学界を取り巻く現状に警鐘を鳴らし、「科学を文化として認める社会を」と訴えました。

災害/熊本で震度7の激震/東北・北海道は台風被害甚大
 4月14、16両日の2度にわたり震度7の激震を記録し、その後も大きな揺れが続いた熊本地震は、熊本県と大分県を中心に大きな被害をもたらしました。
 家屋の倒壊などによる直接死が50人。その後の避難生活における体調悪化などによる災害関連死は106人(12月14日現在)に上ります。被害を受けた家屋は約18万棟。避難者は一時、18万人を超えました。
 当初、避難所では食事が満足に支給されないなど、被災者は困難な生活を余儀なくされました。家屋が「一部損壊」と判定され、十分な公的支援を受けられない被災者も多数います。
 8月末に発生した台風10号が、東北、北海道を直撃し、死者・行方不明者は27人に。岩手県岩泉町では、高齢者福祉施設が川の氾濫により浸水し9人が死亡。約6千棟の住宅が被害を受けるなど、東日本大震災から再建途上の地域に深い爪あとを残しました。

待望/プロ野球の広島、25年ぶりセ・リーグ優勝
 プロ野球の広島が25年ぶりとなるセ・リーグ優勝を決めました。
 今季の広島は、エースだった前田健太投手が大リーグに移籍し、前評判はあまり高くありませんでしたが、黒田博樹投手や新井貴浩内野手らベテランに若手の活躍が融合。6月に首位に立つと独走で優勝を決めました。
 2試合連続サヨナラ本塁打を放つなど鈴木誠也外野手の勝負強い打撃を評して、緒方孝市監督が口にした「神ってる」という言葉は、流行語大賞に選ばれました。
 日本シリーズではパ・リーグを制した日本ハムが広島と対戦。日本ハムは初戦と第2戦を落としたものの、第3戦で大谷翔平投手のサヨナラ打で勝利すると勢いに乗り、第6戦まですべて逆転勝ち。4勝2敗で10年ぶりの日本一に輝きました。
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2016年12月30日,「赤旗」)

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