2019回顧 激動の世界 

 

中南米 緊縮に抗議

グレタさんの訴え 拡大

核兵器禁止条約2年

香港 200万人がデモ

仏「改革」ノン

大統領辞任迫る

欧州 極右政党反対

ASEAN 印太平洋構想

告発次々 女性の権利向上

米朝が2度会談

米が国際法無視

 

 

中南米 緊縮に抗議

20191231

 中南米では緊縮政策や格差拡大に抗議する大規模デモが相次いで行われました。

 チリでは10月、首都の地下鉄料金値上げへの抗議が、貧困と格差を広げる新自由主義モデルの転換を求める全国的なデモに発展。ピニェラ政権は最低賃金引き上げなどを提示しましたが、100万人規模の抗議は続き、政府・与党は11月、新自由主義の土台となっている現行憲法の改定作業開始を受け入れざるをえなくなりました。写真(ロイター)はサンティアゴで11月、プラカードを掲げる女性。

 エクアドルでも10月、補助金廃止による燃料価格高騰に抗議する運動が展開され、政府は撤回。アルゼンチンでは国民の緊縮反対運動が10月の左派大統領当選に結びつきました。

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グレタさんの訴え 拡大

20191231日【特集】

 スウェーデンの高校生グレタ・トゥンベリさんは昨年、深刻化する地球温暖化の被害に政府が真剣に向き合うよう求め、一人で座り込みの抗議行動を始めました。トゥンベリさんの訴えは共感を呼び、全世界に広がりました。写真(池田晋撮影)は9月、ワシントンのデモに参加したトゥンベリさん。

 世界各地の若者らが、各国政府に具体的な地球温暖化対策を求め「気候ストライキ」を実施。9月末までに185カ国6100カ所以上、計700万人が抗議行動に参加。

 一連の行動は着実に国際社会を動かしつつあります。2050年までの二酸化炭素排出実質ゼロに向けた長期戦略を提示する意欲を示した国が、121カ国に達しました。

 

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核兵器禁止条約2年

20191231

 人類史上初めて核兵器を違法なものと定めた核兵器禁止条約が採択されてから2年。28日現在、80カ国が署名し、34カ国が批准。条約が発効するのに必要な50カ国批准まであと16カ国に迫っています。9月には条約の署名・批准書提出式(写真、遠藤誠二撮影)が国連で開催。

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は被爆地、長崎・広島で11月、「核兵器禁止条約を含めた国際的な法的原則にのっとり、迅速に行動し、訴える」と核兵器廃絶を世界に訴えました。

 一方で、米国のトランプ政権は爆発力の小さい新型核弾頭の製造を開始。さらに中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱。新たな核軍拡の懸念が高まっています。

 

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香港 200万人がデモ

20191231

 香港では6月、逃亡犯条例改定案への反対を発端とした政府への大規模な抗議行動が本格化しました。6月9日には103万人、6月16日には200万人がデモ行進しました。写真(釘丸晶撮影)は12月8日。

 香港政府は10月に条例改定案を完全撤回したものの、真の普通選挙実現などの「五大要求」を掲げ、大規模な抗議が続いています。一部のデモ隊と警察の衝突も深刻化。警察は半年間で、約1万6000発の催涙弾を発射し、6022人を逮捕しました。

 11月24日には区議選が行われ、民主派が8割以上の議席を得て圧勝。「五大要求」が香港人の意思だと示しました。しかし、香港政府や中国政府は強硬姿勢を維持しています。

 

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仏「改革」ノン

20191231

 フランスのマクロン政権は大企業・富裕層の税制改革を行う一方で、労働コスト削減を図る労働法制規制緩和、公共サービスの削減、年金削減計画など庶民には冷たい「改革」に次々と着手。これに対し国民的な反撃が始まっています。

 年金の満額受給年齢を引き上げるなどの年金削減計画には、9月から一大運動が展開され、12月5日に150万人、17日には全労組参加の180万人のデモが行われました。5日に始まった無期限の交通ストはクリスマスシーズンも続行。オペラ座では、バレリーナが屋外で「白鳥の湖」を踊り抗議しました。

 医療労働者は、病床と人員の増加を求めストを実施。写真(米沢博史撮影)は9月パリのデモ。

 

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大統領辞任迫る

20191231

 4月、アフリカの二つのアラブの国で民衆デモが長期政権を倒しました。スーダンのバシル政権は30年、アルジェリアのブーテフリカ政権は20年です。

 スーダンのデモはパンの値上げに反対し昨年12月に始まり、大統領辞任要求へ発展。アルジェリアのデモは大統領5選に反対し2月から始まり、100万人規模で続きました。 スーダン軍は大統領を辞任させデモ隊を武力弾圧。しかし民衆は不屈にたたかい、軍とデモ隊が8月、文民移管をめざし権力の分有に合意。写真(ロイター)は12月19日にハルツームで蜂起デモ1年で行進する市民。

 アルジェリア軍は大統領選を12月に強行。デモ隊はこれを認めず、体制打倒をめざしています。

 

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欧州 極右政党反対

20191231

 28カ国が加盟する欧州連合(EU)の欧州議会の選挙が5月23〜26日に投票されました。

 中道右派と社会民主党の二大グループが退潮。40年間下がり続けてきた投票率は初めて上昇しました。

 気候変動の対策を求める若者の声でドイツ、フランスなどで環境派の緑の党が躍進し、ドイツで第2党、フランスで第3党に。一方、極右も伸び、イタリアの同盟は得票率34%、フランスの国民連合も23・3%で第1党になりました。写真(伊藤寿庸撮影)は5月19日ベルリンでの極右政党反対のデモ。EUでは、今年、執行機関の欧州委員会の新体制も発足。フォンデアライエン氏が女性として初めて欧州委員長に就任しました。

 

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ASEAN 印太平洋構想

20191231

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は6月22、23日にバンコクで開いた首脳会議で、アジア・太平洋とインド洋地域で友好協力を進める外交指針である「ASEANインド太平洋構想」を採択しました。(写真、ASEANのウェブサイトから)

 構想は、米中間の対立が強まる中で、インド太平洋を「対抗でなく対話と協力の地域」にしようと提唱。ASEANが広域協力を主導するとうたっています。

 特に、紛争の平和解決の原則などを定めた東南アジア友好協力条約(TAC)を広域で推進していく意思を示しました。「TACを世界レベルに引き上げる試み」(タイのジャーナリスト、ガビ氏)と注目されています。

 

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告発次々 女性の権利向上

20191231

 米国では1月、女性差別などで分断をあおるトランプ米大統領に抗議し、全米約100カ所で「女性の行進」が行われました。写真(遠藤誠二撮影)は首都ワシントンのデモ。

 欧州では、史上初の女性トップが、スロバキア(4月)、オーストリア(6月)、欧州委員会(7月)で誕生。国際労働機関(ILO)では6月に、職場での「暴力とハラスメント禁止条約」が採択され、新たな国際労働基準ができました。

 中米エルサルバドルでは8月、人工妊娠中絶で殺人罪に問われた女性がやり直し裁判で逆転無罪に。

 インドやバングラデシュでは、セクハラやレイプを告発した女性が殺害される事件が相次ぎ、抗議行動が全土に広がりました。

 

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米朝が2度会談

20191231

 米朝の非核化交渉は、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の直接対話が2度、行われました。

 2月にベトナムの首都ハノイで行われた首脳会談では、昨年6月の初会談で交わした共同声明の具体化を協議しました。北朝鮮が段階的な措置を求めたのに対し、米国は早期の非核化を要求。合意には至りませんでした。

 金氏は4月の最高人民会議で、「年内を期限」として米国側の譲歩を求めました。

 両首脳は6月、南北軍事境界線にある板門店で再会。停滞していた実務者協議の再開を約束しました(写真、ロイター)。10月に開いた実務者協議では、北朝鮮が米国側の提案内容に不満を表明。「決裂」しました。

 

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米が国際法無視

20191231

 トランプ政権は従来の米政権の態度を変え、相次いでイスラエルの占領政策を認めました。

 3月、イスラエルが1967年の第3次中東戦争以来占領し併合したシリア領ゴラン高原について、イスラエルの主権を認定。11月には、同じくイスラエルが占領するパレスチナのヨルダン川西岸へのユダヤ人入植を容認しました。

 戦争による領土拡大を認めないとした国連諸決議や、占領地への入植を認めない国際法を無視しての暴挙です。パレスチナの地では抗議行動が続きました。写真(ロイター)は1月、ガザ地区の抗議行動で負傷した少年を運ぶ人。中東、欧州諸国をはじめ各国が反対を表明。トランプ政権の孤立を際立たせました。

 

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