2019年 国内回顧

【見出し】

フラワーデモ 全国に 伊藤詩織さんが元TBS支局長に勝訴

高校生が政治動かす 不公正な英語民間試験・記述式導入を阻止

表現の自由守れ 「不自由展」中止に「国の検閲だ」の声

豪雨・台風 大被害 実態に見合った対策求められる

天皇の政治利用に批判 憲法原則に背く「代替わり」儀式

統一候補 各地で議席 改憲勢力は参院議席3分の2を割る

埼玉と岩手 勝利 高知知事選は野党支援の松本氏大健闘

「桜」疑惑 政権を直撃 逃げ回る首相の姿勢に批判強まる

改憲 首相執念も…4国会連続 自民4項目提示阻む

消費税10%の暴挙 5%減税へ共産党が財源示し運動

【本文】

フラワーデモ 全国に 伊藤詩織さんが元TBS支局長に勝訴

20191230

 性被害の当事者が声を上げ、性暴力の根絶への機運が高まった1年でした。

 福岡地裁久留米支部など各地の地裁や高裁で性犯罪事件の無罪判決が相次ぎました。これに危機感を抱いた作家の北原みのりさんらの呼びかけで、花を手に集まる「フラワーデモ」が4月11日、東京駅前で行われました。

 これまで注目されなかった性被害体験を当事者が次々と語り、参加者と共感し合う新しい「場」となった「フラワーデモ」。以来、毎月11日に各地で行われるようになり、12月には少なくとも32都市に参加の呼びかけが広がりました。

 『週刊SPA!』(扶桑社)が、女子大生の尊厳を傷つける記事を掲載した問題では、女子大生らが謝罪と撤回を求めるネット署名を展開。同誌は1月に謝罪し、メディアでもこれらの経緯が広く報じられました。

 また、重要な司法判断もありました。

 山口敬之・元TBSワシントン支局長からレイプ被害を受けたとして東京地裁に提訴したジャーナリストの伊藤詩織さんが12月18日、元支局長に慰謝料など330万円の支払いを命じる判決を勝ち取りました。

 判決後、支援者らに囲まれた伊藤さんは「多くの方に支えてもらった。長かったが少しずつ変化が起き、見える景色が以前とまったく違うものになった」と語りました。

 性犯罪をめぐる刑法規定は、来年をめどに見直されます。処罰のハードルを上げている強制性交等罪の「暴行・脅迫」要件の撤廃と同意要件の新設に向け、被害者と市民が運動を強めています。

 

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高校生が政治動かす 不公正な英語民間試験・記述式導入を阻止

20191230日【特集】

 安倍政権が「大学入試改革」の2本柱として2020年度からの大学入学共通テストでの導入を狙った英語民間試験と記述式問題。民間企業に丸投げでアルバイトにも採点を任せる仕組みに公正性への不安が高まり、大問題となりました。

 大学教授や予備校講師らの「入試改革を考える会」は、記述式導入の延期とセンター試験の継続を求める声明を2度にわたり萩生田光一文部科学相に提出。高校生らも国会に何度も足を運び、文科省に現場の声を突き付けました。ある高校生は記述式導入の中止を求める4万2千人分の署名を文科省に提出。何度も行われた文科省前での抗議に多くの高校生が駆けつけ、「入試改革白紙に戻せ」と声を上げました。

 日本共産党国会議員団は9月17日、萩生田文科相に英語民間試験導入の中止を緊急に申し入れたほか、国会審議でも早い段階から問題点を指摘し、現場の声に耳を傾けるよう繰り返し訴えました。

 野党は合同ヒアリングで問題点を鋭く追及。英語民間試験の導入延期法案(10月24日)と記述式問題導入中止法案(11月14日)を衆院にそれぞれ共同提出し、文科相への申し入れも共同で行うなど最後まで結束して取り組みました。

 「身の丈」に合った受験をなどと格差を容認した萩生田氏の暴言は、教育の機会均等を保障する憲法と教育基本法に反するとの批判を浴び、同氏は謝罪に追い込まれました。

 結局、萩生田氏は11月1日に英語民間試験導入の「延期」を、12月17日には記述式問題導入の「見送り」を表明。いずれも20年度導入は阻止されました。

 野党は、「延期」や「見送り」ではなく、きっぱり中止をと引き続き要求しています。

 

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表現の自由守れ 「不自由展」中止に「国の検閲だ」の声

20191230日【特集】

 「ジェンダー平等」などをかかげた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(実行委員会会長=大村秀章愛知県知事、芸術監督=津田大介氏)が8月1日開幕。その中の企画展「表現の不自由展・その後」が、日本軍「慰安婦」を象徴する「平和の少女像」や、昭和天皇の肖像を使った映像作品への政治的圧力、電話やメールの脅迫を受けて開幕後3日間で閉鎖された事件は大きな議論を呼びました。

 開幕直後の8月2日、菅義偉官房長官が「あいちトリエンナーレ2019」への補助金について「事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と発言。これを受け、文化庁が9月26日、補助金全額7800万円の不交付を決定したことから、「補助金を介した国の検閲だ」「自主規制を招く」との厳しい批判を浴びました。

 芸術表現への不当な攻撃に対する当事者のたたかいに呼応した国内外の支援の広がりを受け、「表現の不自由展・その後」実行委は名古屋地裁に展示再開を求める仮処分を申し立て、「あいちトリエンナーレ」実行委と協議した結果、9月30日に再開の方向で和解。最終盤の10月8日に展示が再開されました。

 今回の事件をきっかけに、これまでの自主規制を含む「検閲」事件の問題点を正面から問う動きが出たことは、今後の「表現の自由」を求めるたたかいを励ます力となりました。閉幕後も「表現の自由」をめぐる集会や議論が続いています。

 

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豪雨・台風 大被害 実態に見合った対策求められる

20191230日【特集】

 8月の記録的な九州北部豪雨や、記録的暴風をもたらした9月の台風15号、非常に強い勢力を保ったまま伊豆半島に上陸した10月の台風19号とその後の前線による大雨などが全国各地を襲い、大きな被害をもたらしました。

 台風19号では、国土交通省資料によると、堤防の決壊は71河川140カ所、越水・溢水(いっすい)は多くの河川で少なくとも325カ所にのぼり、浸水面積は極めて広範囲です。総務省消防庁によると、同台風による住家被害は約8万8000棟にのぼります(12月12日現在)。仮設住宅や浸水が及ばなかった自宅上階などでの避難生活が続きます。

 日本共産党国会議員団は各災害の対策本部を設置。被災者救援や復旧支援ボランティア、募金活動に全力を尽くしました。志位和夫委員長は台風19号発災直後、2度にわたり武田良太防災相に避難所の改善を電話で要請。被災者の声をもとに、温かい食事の提供やプライバシーの確保、医療スタッフの派遣などを求め、改善につなげました。

 住宅再建では、九州北部豪雨での油まじりの浸水被害、台風15号の暴風による屋根被害、台風19号などによる広範囲な浸水など、いままでにない形や規模の被害が広がるなか、住まいとしての機能の損害実態に見合った住宅被害認定が求められています。

 被災者生活再建支援法の対象拡大・支援額引き上げや農林漁業・中小業者の再建に向けた公的支援の抜本的強化は喫緊の課題です。

 

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天皇の政治利用に批判 憲法原則に背く「代替わり」儀式

20191230日【特集】

 憲政史上初の天皇の生前退位に伴う天皇「代替わり」で一連の行事が行われました。

 4月1日には新元号「令和」を発表しましたが、安倍晋三首相が前例のない「談話」を発表するなど、自ら前面に出て事実上政治利用したことに批判の声が上がりました。

 5月1日には「即位の礼」関連の儀式として「剣璽(けんじ)等承継の儀」「即位後朝見(ちょうけん)の儀」が、10月22日には「即位礼正殿の儀」などが、憲法上の天皇の国事行為として行われました。

 しかし、一連の儀式は天皇の神格化と国家神道を徹底する立場から明治期につくられた旧皇室典範や登極令(とうきょくれい)にある儀式をほぼそのまま踏襲するなど宗教色が強く、現行憲法の国民主権原理や政教分離原則に背く数々の問題のある内容の儀式となりました。

 日本共産党は日本国憲法を厳格にまもる立場から儀式内容の見直しを求めましたが、いずれも是正されなかったため、一連の儀式に出席しませんでした。

 11月14日には天皇が神と一体になり、民を支配する権威を身につける宗教的儀式「大嘗祭(だいじょうさい)」が、24億4000万円もの公費をつぎ込むなど事実上の国家的行事として挙行されたことも批判を呼びました。

 

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統一候補 各地で議席 改憲勢力は参院議席3分の2を割る

20191230日【特集】

 7月21日に投開票された参院選では、全国32の1人区のうち10選挙区で野党統一候補が激戦を制し勝利しました。安倍晋三首相は第一声から改憲を前面に押し出す演説を繰り返しましたが、改憲勢力は逆に改憲発議に必要な3分の2の議席を割り込みました。日本共産党は7議席(比例4、選挙区3)を獲得し健闘しました。

 参院選に先立つ1月28日、6野党・会派の党首が会談し、全1人区での候補者一本化に向け書記局長・幹事長間で早急な協議を推進することで合意。協議を重ね、6月13日には全32の1人区での一本化完了と最大限の協力で勝利を目指すことが確認されました。

 政策面でも大きな前進が。5月29日、5野党・会派の党首が市民連合から安保法制=戦争法の廃止など13項目の政策要望を受け署名。共産党の志位和夫委員長は、参院選に向け「重要なスタートを切る画期的な合意」だと述べました。

 選挙戦では各野党の幹部が他党出身の統一候補を応援するのが当たり前の風景に。7月10日、立憲民主党の枝野幸男代表が福井市で共産党公認の山田和雄候補の応援に入り、演説会で小池晃書記局長と並び立ちました。

 参院選で共闘が一層大きく発展した新たな情勢のもと、志位委員長は8月26日から野党連合政権に向けた話し合いの開始とそのための党首会談の開催を各野党に順次申し入れました。これまでの会談では、安倍政治から転換するため、(1)立憲主義の回復(2)格差是正(3)多様性の尊重―の3点の方向性を確認し、政権交代を図るために協力することなどで合意しています。

 この3点は、まさに参院選で市民連合と野党が確認した13項目の政策の基本をなす理念であり、今後の野党間の選挙協力や連合政権実現を大きく後押しすると期待されます。

 

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埼玉と岩手 勝利 高知知事選は野党支援の松本氏大健闘

20191230日【特集】

 今年は首長選でも市民と野党の共闘が前進しました。埼玉県知事選(8月25日投開票)では立憲民主党、国民民主党、社民党が支持し、日本共産党が支援する大野元裕氏が、自公推薦候補との激戦を勝ち抜き初当選。岩手県知事選(9月8日投開票)でも共産、立民、国民、社民の各党が推薦する達増拓也知事が4選を果たしました。

 高知県知事選(11月24日投開票)では、日本共産党籍を持つ松本顕治氏が市民と野党の統一候補として出馬。野党各党の党首をはじめ全国から少なくとも55人の国会議員(元職を含む)が応援に入り、保守を含む幅広い人たちの支援を受け大健闘しました。

 元自民党の建設相だった中村喜四郎衆院議員(無所属)は、松本氏勝利をめざす高知市での総決起集会(11月2日)で「『共産党だから駄目だ』とか、『共産党は応援できない』という考え方を持っていたから自民党が強い時代が今まで続いてしまった」「共産党が勝ったら奇跡が起こる。この奇跡を今後の総選挙、参院選につなげていこう」と呼びかけました。

 これまで事実上の「オール与党」だった自治体でも首長選での共闘を求める動きが生まれているほか、来年の東京都知事選での野党統一候補擁立にも期待が広がっています。

 

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「桜」疑惑 政権を直撃 逃げ回る首相の姿勢に批判強まる

20191230日【特集】

 安倍晋三首相主催「桜を見る会」を私物化し、850人もの後援会一行を国民の血税を使って接待した選挙買収の疑惑が浮上。野党の追及で問題点はさらに広がるばかりです。

 「赤旗」日曜版のスクープに続く日本共産党の田村智子副委員長の参院予算委員会(11月8日)での質問が事態を大きく動かし、野党は追及チームを発足させ、さらに全野党参加の「総理主催『桜を見る会』追及本部」に格上げ(同25日)し追及を強めました。

 今年の招待者約1万5000人のうち約8000人が官邸・自民党関係者の推薦枠。2015年には、悪徳マルチ商法の「ジャパンライフ」会長(当時)まで首相枠で招待していたことが、招待状の「区分番号」などで明らかになりました。

 安倍首相の後援会が桜を見る会の前日に主催した「前夜祭」の不透明な収支は、公職選挙法や政治資金規正法に違反する疑いがあります。

 さらに、日本共産党の宮本徹衆院議員が資料要求した直後に内閣府が招待者名簿を裁断機で破棄していたことも判明。組織的な証拠隠ぺいの疑いまで浮き彫りになりました。

 田村氏の予算委での追及以来、国会での一問一答での追及から逃げ回る首相の姿勢に世論の批判が強まり、「朝日」や共同通信など主要メディアの世論調査では、安倍内閣支持率が軒並み急落。野党は年明け以降も追及を強める姿勢です。

 

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改憲 首相執念も…4国会連続 自民4項目提示阻む

20191230日【特集】

 安倍晋三首相は、年初から施政方針演説(1月28日)で「憲法審査会で各党の議論が深められることを期待する」と国会に改憲論議を押し付ける姿勢をあらわにしました。

 安倍首相は内閣改造(9月11日)に伴う国会と党の役員人事で、野党との交渉を担ってきた佐藤勉・元国対委員長を衆院憲法審査会長に充てたほか、官邸直結の世耕弘成前経済産業相を参院幹事長に据えるなど新たな改憲シフトを敷きました。しかし、相次ぐ閣僚辞任や「桜を見る会」疑惑への追及から安倍首相自身が逃げ回る事態となり、与野党対決は深まりました。

 野党は結束して与野党合意なき一方的な憲法審運営を許さず、衆院憲法審では欧州視察報告についての討論が行われたものの、日本共産党の赤嶺政賢、本村伸子両議員が改憲原案発議が役割である憲法審は動かすべきではないとの道理ある論陣を張るもとで、自民党は国民投票法改定案の審議・採決もゴリ押しできず、9条への「自衛隊明記」を含む自民党改憲4項目の提示は果たせませんでした。

 昨年の通常国会以来4国会連続の提示見送りで安倍首相の「2020年の新憲法施行」という野望は挫折に直面。日本共産党の志位和夫委員長は「4国会連続で見送りに追い込んだことも共闘の重要な成果」(12月9日、党国会議員団総会)だと強調しました。

 一方で自民党は各地で改憲集会を開くなど、世論喚起に一段と力を入れています。

 

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消費税10%の暴挙 5%減税へ共産党が財源示し運動

20191230日【特集】

 安倍政権は10月1日、消費税率の10%への引き上げを強行しました。前回の5%から8%への引き上げ(14年4月)による消費不況から日本経済が立ち直れない状況での暴挙です。

 今回の税率引き上げで景気はさらに悪化。暮らしに関わる指標の落ち込みは前回増税時より大きく、10月の景気動向指数は前月比5・6ポイント下落(前回14年4月は同4・8ポイント下落)、家計支出は前年同月比5・1%減少(同4・6%減少)となりました。

 安倍首相は増税にあたり、「経済対策」で「いただいたものをすべてお返しする」と宣言。自動車、住宅購入時の税制優遇や複数税率、中小店舗でのキャッシュレス(非現金)決済への「ポイント還元」を導入しました。

 しかし「対策」が混乱を招いています。複数税率は食料品などを税率8%に据え置くものの、酒類と外食は10%。店内飲食と持ち帰りでも税率が異なり、客にも事業者にも重い負担がかかっています。高知のあるスーパーは、増税による売り上げ不振に加え、複数税率によるレジ改修の負担やキャッシュレス導入による資金繰りの悪化で倒産を余儀なくされました。

 日本共産党は消費税増税なしでも暮らしと社会保障は充実できることを財源も示して明らかにし反対を貫きました。増税後は消費税の廃止を目標に、当面は5%に引き下げるよう主張して運動を広げています。

 

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