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見出し
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12月
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平和への希望 90年前の記録エスペラント語
◆ 9月
◆ 6月
◆ 5月
◆ 4月
◆ 平和と暮らしの進路かかった参院選 抜本的対案示す共産党の躍進を
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A・A・ミルン生誕140年 『クマのプーさん』の平和主義
◆ 3月
◆ 1月
【本文】
12月
2022年12月17日
安保3文書を読み、「たたかひは創造の父、文化の母である」という言葉が脳裏に浮かびました。1934年に当時の陸軍省が発行したパンフレット「国防の本義と其強化の提唱」の書き出しです。パンフは「国防」を至上命令とし、総力戦準備のために軍拡や統制経済を主張し、ファシズムの台頭につながりました。安保3文書もあらゆる分野で軍事動員をはかるという点で酷似しています。
安保3文書をめぐる議論は順序が逆立ちしています。本来はまず3文書を国民に提示し、世論の動向を見ながら国会で議論し、「専守防衛」に照らして個別兵器の導入を検討すべきです。しかし、今回の3文書は憲法との整合性も図らないまま敵基地攻撃の保有を決めるなど兵器の購入ありきです。ロシアによるウクライナ侵略や中国脅威を逆手に取り、閣議決定だけで決めるのは、火事場泥棒と言わざるを得ません。
国家安保戦略は「専守防衛の考え方を変更しない」と言及しますが、全く説得力はありません。12式地対艦ミサイルは、間違いなく憲法が禁じる「攻撃的兵器」です。ましてトマホークは「中距離核ミサイル」に分類されるもので「専守防衛」の逸脱は明らかです。
安保3文書は、抑止力一辺倒の立場に立っています。「抑止力強化」のために軍拡すれば、必ず軍拡競争を引き起こします。中国の軍事動向を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置付け、これまで以上に敵視していることも重大です。
安保3文書が行きつく先は何か。冒頭の陸軍省パンフが示唆しています。パンフ発行の3年後に起こったのが日中全面戦争であり、その後、日本は破滅への道を突き進みました。そうさせないために、軍事に頼らず平和外交にかじを切るべきです。
2022年12月13日
【ロンドン=時事】2022年のノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーのオスロ市庁舎で行われ、共同受賞者のウクライナ人権団体「市民自由センター(CCL)」、ロシア人権団体「メモリアル」、ベラルーシ人権活動家アレシ・ビャリャツキ氏に記念メダルと賞状が贈られました。CCLのマトイチュク代表はロシアのウクライナ侵攻に関し「武器を置いても平和には至らない」と強調し、ウクライナ支援の継続を世界に訴えました。
ビャリャツキ氏は収監中のため、妻ナタリヤさんが代理出席。メモリアルからはラチンスキー代表が招かれました。
マトイチュク氏は、「ロシアは私たちの抵抗をやめさせ占領するため意図的に市民に危害を加えている」と強く非難。「ウクライナの人々は世界の誰より平和を望んでいるが、攻撃されている国が武器を置いても平和に到達できない。それは平和ではなく占領だ」と語り、抵抗への連帯を呼び掛けました。
ラチンスキー氏も侵攻を「異常で犯罪的な侵略戦争」と表現し、ウクライナの抗戦をファシズムと呼ぶロシアのプロパガンダは第2次大戦中のソ連軍による「真の反ファシスト戦争」の記憶をゆがめると指摘。ビャリャツキ氏のメッセージを代読したナタリヤさんは、ロシアのプーチン政権はウクライナをベラルーシと同じロシアに従属する独裁国家に仕立てようと望んでいると指弾しました。
CCLは07年創設で、ロシアのウクライナ侵攻後は戦争犯罪の調査・記録に取り組んでいます。メモリアルは旧ソ連末期に誕生し、反体制派の弾圧が著しいロシアで人権擁護活動を継続。ビャリャツキ氏はベラルーシの人権団体「ビャスナ(春)」創設者で、強権的なルカシェンコ政権を批判するなどし、拘束されました。
いずれも、それぞれの国で長年「権力を批判する権利の促進と基本的人権の擁護」に尽力したことが評価されました。授賞には、ウクライナ侵攻を背景に、人道主義や民主主義の大切さを改めて世界に訴える狙いもあります。
2022年11月1日
「昨日は、ベルリンで国会議事堂が火事になりました。…共産党員が犯人だなんて信じられますか?」(1933年3月1日付、ドイツからの手紙)。30年代に群馬県の男性が残した国際文通録が日本語訳され、『島ア敏一・国際文通物語 1930年代を生きたエスペランチストたち』の書名で世に出ました。記されていたのは人工の国際語「エスペラント」。翻訳し出版した堀泰雄さん(80)=前橋市=は「当時の生々しい歴史が眼前によみがえる」と言います。(林直子)
島ア敏一さん(1913〜46)は、藤岡市の200年近く続く絹問屋に生まれました。前橋商業学校でエスペラント・クラブをつくり、16歳から文通を始めます。相手からの返信約290通を家族が保存していました。
「希望ある人」を意味するエスペラントは、中立公平で学びやすい国際語として1887年に発表されました。互いを理解し平和を実現する理想があります。手紙を翻訳した元世界エスペラント協会理事の堀さんは「エスペラントは社会を変える思想。文通することで諸民族間の友情が育まれます。各国の機関紙には文通希望欄がありました」と話します。島アさんもここから文通相手を探しました。
島アさんは約40人と文通していました。イタリアのピアノ教師、ベトナムの郵便局員、ウクライナの鉱山労働者、中国の学生、ハンガリー革命に参加しアメリカに逃れたハンガリー人、特別高等警察に拷問され25歳で亡くなった活動家・相沢良ともやりとりしています。日本共産党の創立に関わった片山潜がソ連で死亡し、埋葬される1933年のキリル文字の新聞の切り抜きも送られています。
冒頭の手紙はドイツの共産党員からのもの。33年2月27日にドイツ国会議事堂で起きた火事を指しています。ナチスは共産党を放火犯にしたて弾圧、民主的なワイマール憲法を止め独裁に進みます。
別の党員シュランプさんからの手紙は、32年11月を最後に途絶えています。堀さんがドイツの友人に調査を頼んだところ、ダッハウ強制収容所記念館の囚人記録にシュランプさんの名がありました。政治警察に捕まり33年に収監されたものの生き抜き、49年までは存命したと記されています。
ファシズムの台頭によりエスペラントは各国で禁じられました。島アさんの文通も40年を境になくなり、43年に島アさんは中国に出兵し33歳で亡くなりました。
息子の妙一さん(80)が堀さんに頼み、すべての手紙やはがきが翻訳されました。「私が1歳のとき父は戦争に行き、終戦で帰国したものの3カ月で亡くなりました。父のことは母や祖母から聞くしかなかった。堀さんに会わなかったら、父を知らないままだったかもしれない。この本のことは私には奇跡なんです」
2022年9月28日
「国葬やめろ!」―北海道から沖縄まで全国各地で抗議の声があがるなか、岸田内閣は27日、安倍晋三元首相の「国葬」を強行しました。午後2時に東京都千代田区の日本武道館で「国葬」が始まると同時に、国会前では市民が大行動をスタート。識者や市民運動家、日本共産党の志位和夫委員長はじめ立憲民主党、れいわ新選組、社民党の野党各党代表が演壇でスピーチしました。「国葬」では、岸田文雄首相、菅義偉前首相が、安保法制や秘密保護法の強行など立憲主義破壊の安倍政治を礼賛しました。
国会正門前で行われた大行動には1万5000人(主催者発表)が集まり、「憲法違反の国葬反対」「安倍政治を美化するな」と声をあげました。「憲法守れ」などが書かれたプラカードが並び、学生など若い世代の参加者も目立ちました。
横浜市に住む大学4年生の鈴木択也さん(22)は、初めて国会前行動に参加しました。岸田首相が言う「国葬」の理由には何一つ納得がいかないと語り、「そもそも憲法違反である『国葬』を強行することがおかしい。反対の意思を示さないといけないと思って来ました」と話しました。
主催者を代表してあいさつした菱山南帆子さん(憲法9条を壊すな!実行委員会)は、安倍元首相は憲法と民主主義を破壊し続けてきた政治家だと指摘し、「国葬」によって「悪政を美化するわけにはいきません」と訴え。「民意を軽視して『国葬』を強行した岸田政権をみんなの力で終わらせよう」と語りました。
野党から、日本共産党の志位和夫委員長、立憲民主党の近藤昭一衆院議員、社民党の福島瑞穂参院議員、れいわ新選組の櫛渕万里衆院議員があいさつ。参院会派「沖縄の風」のメッセージが紹介されました。
志位氏は、「国葬」強行で「済んだこと」とするわけにはいかないと強調。二点を訴えたいとして、「『国葬』が憲法違反である点は絶対にあいまいにしてはならない」と述べ、「一片の閣議決定で、憲法をくつがえすような国にしてはならない」と訴え。あわせて、岸田政権は安倍政治を礼賛し、国民に押し付けようとしていると告発し、「こんなことは断固お断りしようじゃないですか」と語りました。
その上で、「たたかいはこれからだ」「理不尽なことは理不尽だと声を上げ続けよう」と訴え、戦後最悪の「安倍政治」を国民に強要する岸田政権を終わらせ、「みんなで力をあわせて、新しい政治をつくりましょう」と呼びかけました。
さまざまな立場の市民がスピーチしました。前法政大学総長の田中優子さんは、「国葬」は大日本帝国憲法の遺物であり、法的根拠もない「国葬」を閣議決定だけで実施することは「国会の軽視、国民の無視、民主主義の破壊です」と強調。ファシズムへの道を許さないために、声をあげ続けようと述べました。
劇作家の坂手洋二さんは、国家によって国民に自粛や弔意の強制があってはならないと発言。「国葬」には、16億円超ともいわれる税金が使われると話し、「私たちは怒らないといけない。こんな政治は選挙で変えましょう」と語りました。
大行動は、幅広い団体でつくる実行委員会が主催し、総がかり行動実行委員会が呼びかけました。
2022年9月28日
25日投票のイタリア総選挙では、極右「イタリアの同胞」(FDI)などの右派連合が下院(400議席)で235議席、上院(200議席)で112議席といずれも過半数を獲得しました。これに対し、民主党などの中道左派連合は下院で80議席にとどまり、前回選挙で第1党だった「五つ星運動」も51議席と激減させました。
イタリアの上下両院選挙は、議席の3分の1を当選者が1人の小選挙区制、残りを比例代表制で選出する制度。第1党が有利になるため、下院ではそれぞれ得票率では右派連合43・8%、中道左派連合26・1%でしたが、小選挙区で、右派121議席、中道左派13議席と大きな差がつきました。
FDIは約26%の得票で第1党となりました。13年の選挙では約2%、18年に4・4%の得票率にとどまっていました。今回、第1党に躍り出た要因は、前回の18年選挙以来、さまざまな組み合わせの政権ができたなかで、唯一野党にとどまったことで、国民の不満の受け皿となったことがあります。
特に21年2月に発足したドラギ政権は、民主党、五つ星運動、同盟、フォルツァ・イタリアなどすべてが参加する「挙国一致」内閣で、経済閣僚に金融専門家を任命しました。
同政権は、欧州連合の新型コロナ復興基金からの交付を受けるための国内改革を推進。しかし新型コロナ禍につづく、ウクライナ戦争後の物価高騰で国民の生活苦が増す中で、「イタリアの国益を守る」などと右派民族主義的主張を強めたFDIへの支持が高まる結果となりました。中道右派の大物政治家のFDIへのくら替えも相次ぎました。
イタリア初の女性首相就任が確実視されるFDIのメローニ党首は、大幅減税や保育料の無料化などを訴える一方、不法移民の厳格な取り締まり、「伝統的な家族」の価値尊重を唱え、LGBTQ(性的少数者)の権利などに批判的な立場をとっています。
FDIは、戦後ムソリーニの支持者がつくったネオファシスト政党「イタリア社会運動」が母体です。その後身「国民同盟」が2009年に中道右派政党「フォルツァ・イタリア」と合併し「自由国民」(党首・ベルルスコーニ首相)を創設。12年にベルルスコーニ氏のスキャンダルで党が分裂し、現メローニ党首らがFDIを結成しました。
「イタリア社会運動」に15歳で参加したメローニ氏は、ファシストに共鳴した過去について、FDIとしてファシズムと決別したと主張。ただ、それに懐疑的な見方も根強くあります。
選挙の投票率は、前回から9ポイント減の63・9%で、国民の政治不信の根深さを示しています。
2022年9月28日
【ニューヨーク=石黒みずほ】ニューヨークで26日、在米日本人有志による安倍晋三元首相の国葬に対する抗議行動が行われました。参加者は小太鼓のリズムに合わせて「国葬反対」と唱和し、ニューヨーク公共図書館から日本総領事館までを行進しました。
参加者は発着地点で声明文を読み上げました。当日が「核兵器全面廃絶国際デー」であることにふれ、安倍氏が被爆者はじめ核廃絶を求める世界中の人々を裏切り核共有を主張したことや、憲法に反する軍拡を進めてきたと指摘。それぞれの参加者が安倍氏や国葬開催への怒りの声を上げました。
総領事館では声明文などを手渡し、大使館や政府に伝えるよう要請。担当者は「必ず届けます」と応じました。
参加した大学院生は「安倍さんは、女性や障がい者など立場が弱い人をより生きづらくした。『慰安婦』問題でも歴史に向き合わず日本をファシズムに導いた人だ」と憤ります。「国民が何も言わずに国葬が進んだとはさせない。少人数でも声を上げることが大事」だと話しました。
訴えを聞いていたジェイムズ・キャロルさん(64)は在日米軍基地問題に関心があり、安倍氏が沖縄の辺野古新基地建設を強行したことを知りました。国葬について「テレビを見ているだけでは安倍氏はみんなに評価されているのだと思っていた。国民の声こそが実態を示す。もっと調べて何か力になりたい」と話しました。
米西部サンフランシスコでも、日本総領事館が入るビル前に市民約35人が集まり、国葬に反対する集会を開きました。サンフランシスコ・ベイエリアの反原発・反核組織「ノー・ニュークス・アクション委員会」など市民団体が共同で呼び掛けました。
2022年9月28日
27日の「安倍元首相の国葬反対 国会正門前大行動」では、劇作家や大学教授らが次々とスピーチしました。
前法政大学総長の田中優子さんは、国葬は大日本帝国憲法の遺物で、国会の軽視、国民無視、民主主義の破壊になるものだと指摘。日本国憲法が、民主主義と人権は不断の努力なしには実現できないとうたっていることを挙げ「時代錯誤した国葬をいったん認めて不断の努力を怠ったらファシズムの道だ」と強調しました。「国会で何が議論され、どのように無視されるのか、国民がどのように軽視されるのか、民主主義はどのように破壊されるのか、その兆候を私たちは見つけて、常にたたかっていかなければならない」と訴えました。
劇作家の坂手洋二さんは「総理大臣が国葬をやると言ったらできてしまうのか。お葬式は終わった。みなさん、ここは怒ろう」と訴えました。
著述業の栗田隆子さんは「カトリック信徒だからこそ政教分離すべきだ」と語りました。
在日ビルマ市民労働組合会長のミン・スイさんは「日本がどんな民主主義なのか、ミャンマーを変えられるならと日本で学んだ。岸田政権は言葉では民主主義というが、中身は腐っている。日本の民主主義を取り戻すためにみなさんと一緒に頑張る」と訴えました。
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表の梁澄子(ヤン・チンジャ)さんは「岸田首相は安倍外交を継承・発展するといっているが、米国におもねり、アジア諸国を無視することが本質だ」と批判しました。
念仏者九条の会事務局長の小武正教(おだけ・しょうきょう)さんは、“安倍氏への追悼文”を講談調に話し、「平和憲法を私たちが立て直し、展開することで安倍氏ののろいを解く」と語りました。
高千穂大学教授の五野井郁夫さんは、国葬には法的な根拠は全くなく、議会制民主主義を無視した状況は到底容認できないと批判し、民意は国葬反対、安倍氏には負の業績しかないと指摘。「権力が暴行を働いた時は私たちも国会前、日本中の路上に集い、今後も民主主義を守るために憲法の非暴力、平和主義を貫き、声を上げよう」と呼びかけました。
フォークシンガーの小室等さんが歌を披露しました。
2022年6月24日
「日本の戦争」をテーマに、撮影・取材を続けるカメラマンの安島太佳由(たかよし)さんが、5月に2冊の写真集を出版しました。太平洋戦争末期に繰り広げられた、敵艦めがけて体当たりする空と海の「特攻」(特別攻撃隊)をとりあげています。(徳永慎二)
安島さんは「特攻」をとりあげたわけについて「なぜ多くの若者が、理不尽な死を遂げなければならなかったのか。私なりの納得できる理由が知りたかった」と話します。
2冊のうち『上原良司と特攻隊』は、2010年に出した同名写真集の改訂版です。
上原良司は、1922年生まれ。長野県出身の慶応義塾大学の学生でした。45年5月11日、他の特攻隊員とともに、鹿児島県の知覧飛行場を飛び立ちました。同日、沖縄本島沖で敵艦に体当たりして戦死しました。22歳でした。出撃前夜に書いた「所感」が、戦没学生の手記集『新版 きけわだつみのこえ』の冒頭に掲載されています。
「所感」は、特攻隊に選ばれたことを「身の光栄」としつつ「権力主義全体主義の国家ハ一時的に隆盛であらうとも必ずや最後にハ敗れる事ハ明白な事実です」とのべ、「ファシズムのイタリヤ」「ナチズムのドイツ」の「滅亡」は「自由の偉大さの証明」であり、「嬉(うれ)しい限り」と記しています。改訂版は「良司の息づかいを感じてほしい」(安島さん)と「所感」全文を拡大写真で紹介しています。
写真集で、安島さんは上原少尉の恋を紹介しました。幼なじみの女性、nq(きょうこ)さんに愛の告白ができないまま彼女は結婚しますが、結核で21歳で亡くなりました。良司は「美しき君が逝きたる天国に我天独り行かまほしとぞ思う」と詠みました。愛読書の文字を拾って○で囲んでつなげ「きょうこちゃんさようなら僕はきみがすきだった」とのメッセージにしました。
安島さんは2004年、「全体主義の国家」を否定した「所感」を遺族を通して知り、衝撃を受けました。良司の足跡をたどった安島さんは「良司たち特攻隊員のことを思うと、自然に涙が出てきます。楽しく青春を送りたかった、という声が聞こえてきそうだ」といいます。「特攻隊員たちの日記や遺品は、宝物です。後世に受け継いでいきたいです」
もう1冊は、『楠公(なんこう)精神と回天特攻隊』と題する写真集です。
回天は1944年、日本海軍が開発した日本軍初の特攻兵器。人間魚雷といわれ、1人乗りで爆薬を積み、敵艦船に体当たりします。回天という呼称には「戦局を逆転させる」という意味を込めています。
「回天特攻を考えるとき、つきあたったのが『楠公精神』でした。写真集は、『楠公精神』を探る旅の記録でもある」と安島さん。
楠公は、鎌倉・南北朝時代の武将・楠木(くすのき)正成のことです。天皇に忠誠を誓って足利尊氏とたたかって敗れ、自刃しました。「天皇のために命をささげることが尊いという考えが『楠公精神』」だといいます。
回天の訓練基地のあった山口県周南市・大津島の回天記念館。回天のレプリカには楠木正成の家紋「菊水」がありました。
安島さんは、水戸学の茨城県水戸市、正成の崇拝者吉田松陰をまつる松陰神社のある山口県萩市、正成生誕の地・大阪府千早赤阪村を訪ねました。岐阜県の飛騨信貴山には「楠公社」と回天の碑が並んで建っていました。「『楠公精神』と回天の接点の地です。誤った精神主義が悲劇を生んだ。戦争末期の玉砕や特攻は戦争の不条理そのものだった」といいます。
写真集の「あとがき」には「多くの犠牲者や敗戦の教訓によって成り立っている憲法のもとで、私たちは戦後社会を生きている。しかも戦争のない平和な世の中で。これこそがいちばん尊いこと」と記しています。
『上原良司と特攻隊』は1000円。『楠公精神と回天特攻隊』は1200円(いずれもA4判。税込み、送料別)。注文は電話090(1030)6827かメールで。メールには氏名・郵便番号・住所・電話番号・冊数を記入。写真集到着後に郵便局で料金振り込みを。メールアドレスはphoto@yasujima-takayoshi.com
2022年5月23日
日本共産党の小池晃書記局長は22日、茨城県の取手、つくば、水戸の3市で街頭演説を行い、「参院選の公示予定日までちょうど1カ月。『比例は共産党』と広げに広げ、いわぶち友さんを含むベストチーム5議席への躍進を必ず。茨城選挙区から大内くみ子さんを国会へ。12月の県議選では3議席の実現を」と熱く訴えました。各所で声援や大きな拍手が送られました。
小池氏は、暮らしの問題に関わって、深刻な物価高騰は新型コロナウイルスやウクライナ侵略の影響だけでなく、安倍政権以来の「異次元の金融緩和」がもたらした円安による輸入物価高に原因があると指摘し「アベノミクスの大失政だ」と批判。冷たく成長できない経済の土台にある新自由主義の政治を変える必要があると述べ、困っている人に「やさしい経済」こそ持続的成長と強い経済をつくるとして、消費税減税とインボイス導入撤回などを訴えました。
小池氏は、気候危機の問題について、日本のエネルギー自給率は10%程度で「先進国」では最低レベルだと指摘し「ウクライナ侵略による原油高騰で外国頼みは危険だとはっきりした」と強調。その上で、「原発頼みはもっと危険だ。東海第2原発は運転開始から40年以上の老朽原発。30キロ圏内に94万人もの人が住み、水戸地裁も運転差し止めの判決を下した。再稼働などとんでもない、廃炉にしよう」と力を込めました。県内にある大型石炭火力発電所の問題もあげ、「100%国産の再生可能エネルギーと、省エネルギーで、254万人の雇用がうまれる。これこそ『やさしく強い経済』だ」と訴えました。
平和の問題では、ロシアによるウクライナ侵略を厳しく糾弾。「国連憲章守れ」「ロシアは侵略をやめよ」の一点で世界が力を合わせる時だと呼びかけました。
一方、日本ではウクライナ危機に乗じて「敵基地攻撃能力」の議論などが進められていると指摘。「敵基地攻撃能力」と安保法制がセットになれば、日本が直接武力攻撃を受けていないのに、米国と一緒に敵基地を攻撃する危険なものとなり、先制攻撃そのものだと批判しました。
さらに、自民党が軍事費を5年以内にGDP(国内総生産)比2%に引き上げると提言していることに触れ、「暮らしも平和も押しつぶすようなことは許さない。安保法制を廃止し、海外で戦争する国にしない。そのために力をあわせよう」と呼びかけ、憲法9条を生かした徹底的な平和外交を提案する日本共産党の「外交ビジョン」を力説しました。
小池氏は、「憲法をめぐっても正念場」だとして、自民党や日本維新の会が9条改定を狙っていると指摘。自衛隊が9条に書きこまれれば9条の制約がなくなり、無制限に海外での武力行使が可能になり、「戦争しない国」が「戦争する国」に変貌すると警鐘を鳴らしました。また、「緊急事態条項」の創設も狙われているとして、「憲法を無視して国会を開かなかった自民党に、国会を開かず何でも決められる権限を与えるなど言語道断だ」と批判しました。
最後に小池氏は、「党をつくって100年、戦争とファシズムに命をかけて反対してきたのが共産党。あなたの声を議会に届け、政治を動かし社会を変える共産党の議席を伸ばしてほしい」と呼びかけました。
いわぶち議員は福島県出身の議員として、国会で70回にわたり原発ゼロを迫ってきたと紹介。「放射能汚染水の海洋放出を許さず、東海第2原発の再稼働ストップの願いを届けるため、再び国会で働かせてほしい」と力説し、大内候補は「地方議員40年の経験を生かし、一人ひとりが人間らしく生きられるジェンダー平等社会をつくる。人権の党、共産党を伸ばしてほしい」と呼びかけました。江尻加那(水戸市・城里町)、山中たい子(つくば市)両県議、佐野太一県議候補(取手市)も訴え。二見伸明元公明党副委員長、茨城一新会(小沢一郎後援会)の畑静枝会長が駆け付けました。
2022年4月17日
夏の参院選の前哨戦として各党が党首や幹部を次々投入し、総力を挙げる参院石川選挙区補選(定数1、24日投票)で、日本共産党の西村ひろし候補(67)=新=を何としても押し上げようと16日、紙智子参院議員が金沢市に入り、「反戦・平和、民主主義、国民の苦難軽減にとたたかってきた西村さん勝利へ、何としても支持を広げに広げ、夏の参院選につないでください」と訴えました。
紙氏は、ロシアのウクライナ侵略は国連憲章と国際法に照らしてロシアが侵略者なのは明らかだと糾弾。日本国憲法9条には、第2次世界大戦の惨禍を経て、多くの国民の「戦争は二度としない」との思いが込められていると指摘し、危機に乗じて日米軍事同盟の強化や憲法9条改定、「敵基地攻撃能力」保有、「核共有」を狙う自民党や維新の会について、「9条とは絶対に相いれない。日本を軍事対軍事の道に引き込む動きにキッパリとストップをかけよう」と呼びかけました。
岸田政権に対決し、しっかりと対案を示す党議員が増えれば、▽「翼賛体制」を許さない最強の力▽野党共闘の何よりの推進力になる―と強調した紙氏は「戦争とファシズムに命がけで反対し、国民の利益を守る100年ブレない日本共産党を伸ばしてほしい」と訴えました。
西村候補は「今こそ、9条を生かした粘り強い対話で東アジアに平和の地域を広げよう」と呼びかけ。消費税減税で暮らしと営業を守り、医療・介護・保育への直接支援、労働者の賃金アップなどの実現を語りました。
◇
17日午後3時半から、市田忠義副委員長を迎えて金沢市のスーパー「バロー木曳野(きびきの)店」前で街頭演説を行います。
2022年4月12日
日本共産党の小池晃書記局長は10日、松江市内で演説し、公示まで2カ月半を切った参院選の躍進に向けて「参院選では平和の問題でも、暮らしの問題でも日本の進路が問われます。『比例は共産党』と広げに広げ、にひそうへい比例候補をはじめ5人全員の当選を。選挙区は、島根原発の再稼働に反対する福住ひでゆき候補を」と熱く訴えました。
にひ比例候補は「自公政権はコロナ危機のもと、憲法をないがしろに、自己責任を押し付けてきた。『やさしく強い経済』を実現し、格差と貧困をただそう」と訴えました。福住ひでゆき鳥取・島根選挙区候補が決意表明しました。
小池氏はウクライナで多数の高齢者や女性、子どもを殺害しているロシアを怒りを込めて糾弾し、「いかなる理由があろうとも『主権の尊重』『領土の保全』『武力行使の禁止』を定めた国連憲章違反の侵略に他ならない」「病院、学校、原発への攻撃は国際人道法違反の戦争犯罪だ」「核兵器の先制使用表明も断じて許されない」と批判しました。
その上で、2度の緊急国連総会がロシア非難決議を140カ国以上の賛成で採択したことなどを示し、「平和を求める世界の圧倒的世論で侵略を止めよう」と訴えました。
小池氏は、この危機に乗じて、安倍晋三元首相や日本維新の会が「核共有」や9条改憲を主張し、「9条は空想的、思考停止」と攻撃していることに対し、「9条を生かした外交努力を積み重ねてこそ平和を実現できる。9条に背を向け、軍事に軍事で向かえば破局的な戦争になる。『軍事力による平和』こそ思考停止だ」と訴えました。
また、小池氏は「ロシアはもともと共産主義」という誤解について、「旧ソ連は共産主義とは無縁の覇権主義、専制主義の抑圧国家であり、事実は正反対」と述べ、1991年のソ連共産党の解体にあたって日本共産党が「もろ手を挙げて歓迎すべき歴史的出来事」と表明していたことを紹介しました。
そして、「日本共産党はソ連共産党の覇権主義的干渉とたたかい、うちやぶった歴史を持つ党だ」と述べ、「どんな国であれ覇権主義は許さない。この一点で国際社会が団結を」と呼びかけると会場は大きな拍手で応えました。
小池氏は、「やさしく強い経済」の実現をめぐり、世界各国が2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロの目標を掲げる中、日本は9カ所の石炭火力の新増設や原発再稼働をねらっていると厳しく批判。島根原発は国内で唯一県庁所在地にあり、要介護などで避難時に支援が必要な人は日本で一番多い5万2千人だと述べ、「再稼働せず、原発ゼロの島根へ」と訴えました。
さらに小池氏は、省エネと再エネの組み合わせで新たに254万人の雇用を生み出せることを示し、気候危機打開の諸課題が「『やさしく強い経済』をつくることにつながる」と熱く訴えました。
演説の後半で小池氏は、共産党への疑問に答える「はてな」リーフを詳しく説明。自衛隊に関わって、「日本国憲法は悲惨な戦争をへて『二度と再び戦争をしない』と誓い、軍隊を持たないと宣言した」と述べ、「この原点はウクライナの事態のもとでますます大事だ」と主張しました。
そして、「憲法9条は、戦争を放棄し、武力の保持を禁じているが、『無抵抗主義』ではない」と強調し、「9条のもとでも個別的自衛権は存在し、必要な場合にその権利を行使し、日本を守ることは当然だ。共産党は、9条も、国民の命も守り抜く立場だ」と訴えました。
小池氏は「戦争とファシズムに命をかけて反対し、市民との約束を裏切らない共産党の躍進に力を貸していただくことを心から呼びかけます」と述べ、「しんぶん赤旗」の購読と日本共産党への入党を熱く訴えました。
島根県内各地で視聴会場が設けられ、安来市で50代の男性、美郷町で60代の女性がそれぞれ入党を決意しました。
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2022年4月12日
1925年のクリスマス・イブ、ロンドンの『イブニング・ニューズ』紙に、プーの最初のエピソードが載った。ハチミツが大好物のプーは、黒雲のふりをして風船にぶらさがりハチの巣に近づくが、ハチたちはだまされてくれず、にっちもさっちもいかなくなり、クリストファー・ロビンに救われてことなきを得る。これがのちに物語の第1章となった。
単行本『クマのプーさん』(1926)ではE・H・シェパードの絵があまりにも有名だが、このときの挿絵はJ・H・ダウドが描いた。Tシャツにショートパンツのクリストファー・ロビンは、今風のやんちゃな男の子だ。本物そっくりの銃を持ち、足元には泥まみれのプーが転がっている。プーがぶらさがっていた風船を撃ちおとす救出作戦の成功を描いているのだが、構図だけで判断するとけっこう不穏な絵である。
このエピソードが単行本に収録されたとき、シェパードはクリストファー・ロビンにおもちゃにしか見えない銃を持たせた。銃口からはひも付きのコルクが垂れ下がっている。この銃弾で空に浮かぶ風船を撃ちおとせるとは思えない。平和主義者だった作者A・A・ミルン(1882〜1956)の意にかなう変更だったのではないか。
本年はミルン生誕140年にあたる。平和主義をつらぬいてきた彼が、1915年に志願兵として第1次世界大戦に参加したのは、「あらゆる戦争を終わらせるための戦争」といううたい文句に動かされてのことだった。
通信将校の訓練をうけ、1916年7月まで内地で教官をつとめた。その後、前線に送られ、大戦最悪の激戦地ソンムで、電線をつなぐために、技師を引きつれ、塹壕(ざんごう)を飛びだして最前線まで走ったこともあった。多くの仲間の死を目撃し、自身は生きて帰還するが、この体験は彼の心に癒えない傷を残した。
この戦争の4年間はなかったことにしたい、と晩年のミルンは自伝に書いた。「ここで*を打って、以下の註(ちゅう)をつけたい。『わたしがふたたび一般人に戻ったのは、一九一九年であった』。あの精神的・道徳的退廃の悪夢、つまり戦争のことを考えただけで、いわば身体的に吐き気をおぼえる」と。くしくも挿絵画家シェパードもソンムの戦いに志願していた。ふたりの生還なしにクマのプーさんは生まれなかっただろう。
戦後、劇作家として名をなしたミルンは、知人に乞われて書いた子どものための詩が人気を博し、やがてクマのプーさんの作者として一世を風靡(ふうび)する。
ミルンの描く、プーたちの暮らす百町森の世界に、戦争はない。諍(いさか)いらしい諍いもない。やさしい兄貴分のクリストファー・ロビンに見守られ、プーやコブタらのぬいぐるみの動物たちは、つかず離れず、なんとなくいっしょにいる。それぞれべつの木の洞の家に住んでいるが、しょっちゅう声をかけあい、お茶やおやつをともにする。あらたにカンガルーの親子カンガとルー、トラの子のトラーがやって来たとき、仲間はずれの動きがでるも、いつのまにかうやむやに。
ほんとうの脅威は自然から来る。大水で孤立したコブタを、「プーの頭丸」(ボート代わりの逆さまの傘)に乗って助けだすのは「頭のわるい」プーだし、フクロウのフクロに招かれてお茶の最中、フクロの家がわりの老木が大風でひっくり返ると、いまや天井となったドアにある郵便受けまでよじのぼり、外に助けを求めに行くのは、いつもは気のよわいコブタである。
ふだんはへなへなのぬいぐるみでも、いざとなれば勇気と知恵をふりしぼる。そして仲間たちとたのしく生きていく。
過酷な塹壕戦を生きぬいたミルンは、のどかな百町森を描いた。ぬいぐるみたちに仮託した、争いの絶えない世界への抵抗のかたちとして。
あだち・まみ 聖心女子大学教授。英文学者、翻訳家。日本シェイクスピア協会元会長。1956年生まれ。著書に『くまのプーさん 英国文学の想像力』、訳書に『シェイクスピアを盗め!』『帝国の計画とファシズム』ほか
2022年4月4日
日本共産党の小池晃書記局長は3日、宮崎市内で演説し、参院選の躍進に向けて「比例代表で『日本共産党』を広げに広げ、5人全員当選を。戦争とファシズムに命がけで反対した100年の歴史を持つ共産党の躍進で、改憲と暮らし破壊の翼賛体制づくりを止めよう」と訴えました。
にひそうへい比例候補・前参院議員は「コロナ危機とウクライナ侵略―暮らしと平和の進路が問われる歴史的選挙です。憲法を力に個人の尊厳を守る先頭に立ってたたかいます」と訴えました。白江好友宮崎選挙区候補が決意表明しました。
立憲民主党の満行潤一県連代表代行、社民党の松村秀利県連代表、「市民連合みやざき」の中村哲朗共同代表、LGBT交流会「レインボービュー宮崎」の山田健二代表があいさつしました。
小池氏は、ロシアによるウクライナ侵略に関連し、病院や原発を攻撃するという戦争犯罪に加え、プーチン政権が核兵器の使用に言及していることを糾弾。「先制使用でいかなる被害が出ようとも、核の使用をためらわないような指導者に『核抑止力論』など通用しない」と述べ、「核兵器を使わせないためには核兵器をなくすしかない」と訴えました。
その上で小池氏は、「核兵器廃絶は夢物語ではない」と強調。核兵器禁止条約に86カ国が署名し、60カ国が批准しているとし、「唯一の戦争被爆国である日本こそ条約に参加し、核戦争の恐怖のない世界をつくる先頭に立とう」と訴えました。
この危機に乗じて安倍晋三元首相や日本維新の会が、9条改憲や核共有を主張し「憲法9条は空想的、思考停止」などと攻撃していることに対し、「9条を空想的だとあざ笑い、軍事に対し軍事で向かえば破局的な戦争になる。軍事力による『平和』こそ空想的、思考停止ではないか」と語りかけ、「9条を守り、日本を戦争する国にせず、9条を広げ、戦争のない世界をつくろう」と訴えると、会場からは大きな拍手がわき起こりました。
小池氏は、岸田政権がコロナ禍のもとで430もの公立・公的病院の統廃合を迫り、宮崎でも宮崎江南病院など七つの病院が名指しされていると指摘。言語道断として直ちに中止をと訴えました。
88%が日本の経済格差を「深刻」だと答えた「読売」の世論調査を紹介した小池氏。同調査では格差縮小のためには、「賃金の底上げ」、「大企業や富裕層への課税強化」、「教育の無償化」などが必要だとしているとし、「共産党の提案とぴったり一致する」と強調しました。
小池氏は、▽非正規雇用を拡大した労働法制の規制緩和をただす▽アベノミクスで466兆円に積み上がった大企業の内部留保に課税し、その財源で中小企業を支援して最低賃金を1500円に引き上げる▽男女賃金格差を是正する―などをあげ、「これが共産党の『成長戦略』です」と訴えると会場は大きな拍手で応えました。
小池氏は、共産党への疑問に答える「はてな」リーフを詳しく説明。宮崎の新田原(にゅうたばる)基地に米軍の弾薬庫建設が強行され、ステルス戦闘機F35Bの配備が計画されていると批判。憲法9条を守り生かす外交と、日米安保条約を廃棄し、米国と対等平等の友好条約を結ぶことこそアジアの平和に必要だと訴えました。
小池氏は、市民と野党の共闘をめぐって、共産党と立憲民主党が参院選協力の協議開始で合意したと報告。「共闘の前途にはさまざまな困難もある。共闘の発展のためには共産党の躍進がどうしても必要です」と訴え、支援を呼びかけました。
2022年3月21日
日本共産党の小池晃書記局長は20日、和歌山市内で演説し、「『比例は共産党』と広げに広げ、大門みきし比例候補をはじめ5人全員の絶対勝利を。共産党の躍進で岸田自公政権に厳しい審判を下そう」と熱く訴えました。小池氏は、日米安保条約や自衛隊問題など共産党への疑問に答える「はてな」リーフを示して、詳しく紹介しました。演説会はオンラインで配信され、230カ所で視聴されました。
大門参院議員は「和歌山県が進めるカジノ誘致は来訪者数の予測にもまったく根拠がない。犯罪を生み、自己破産を生むカジノにノーの審判を下し、『やさしく強い経済』の実現で地域経済の活性化を」と決意表明。
社民党の東山昭久県連代表がメッセージを寄せ、「市民連合わかやま」の堀内秀雄共同代表が応援に立ちました。
小池氏はロシアのウクライナ侵略について、ロシア軍による産科・小児科病院爆撃は、国際人道法に照らしても絶対に許されず、プーチン大統領が核兵器使用を口にしたことは、人類全体への挑戦だと糾弾し、「侵略を止める何よりの力は世界の国々と市民社会の声でロシアを包囲することだ」と強調しました。
小池氏は、世界各国がロシアに経済制裁を加えている中、岸田政権が来年度予算に21億円ものロシア経済協力プランを盛り込んだことについて「撤回すべきだ。全額を、ウクライナへの食料や医薬品、防寒着などの非軍事の支援に切り替えるべきだ」と訴えました。
続けて小池氏は、これまで共産党に寄せられたウクライナ支援募金4000万円分(第1次分)を国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とユニセフに届けたと述べ、「さらにその後2000万円以上が寄せられている」と報告。「ウクライナの人々を殺すな・殺させるなの一点で力を合わせよう」と呼びかけました。
小池氏は新型コロナ対策について、岸田政権が3回目接種の遅れやPCR検査のひっ迫も、「アベノマスク」の失敗も反省せず、全国430の公立・公的病院の統廃合を迫っていると厳しく批判。和歌山でも済生会和歌山病院など5病院が名指しされているとし、「コロナ禍でも保健所を減らし、病院もつぶすなど言語道断。コロナから命と暮らしを守る政治に変えよう」と訴えると、会場は大きな拍手で応えました。
岸田政権が、4月から年金が引き下げになる年金生活者に5000円の給付金の支給を検討していることについて小池氏は、「物価が上がりつつある時に年金を下げることが間違い。(給付金は)1回限りで規模も対象も限られている」と批判。年金を引き下げる仕組みそのものをやめて、「減らない年金」にせよと訴えました。
日本維新の会について小池氏は、自公政権を右から引っ張る「けん引勢力」だと指摘。ウクライナ危機に乗じてアメリカとの「核共有」を政府に提言し、非正規雇用を増やす政策など、自民党に暴走をけしかけていると批判し、「共産党の躍進が、改憲と暮らし破壊の『翼賛体制』づくりを止める最強の力になる。戦争とファシズムに命懸けで反対した共産党に願いを託してください」と熱く訴えました。
さらに小池氏は、共産党の志位和夫委員長と立憲民主党の泉健太代表の党首会談で、「現政権に厳しい審判を下すため、1人区での候補者調整の協議開始」で合意したと報告した上で、「共闘の前途は困難も予想される。大局的な前進には共産党の躍進が不可欠だ」と力説。共産党が2013年の都議選とその直後の参院選、14年の総選挙で躍進したことが、15年の安保法制反対から始まった市民と野党の共闘で大きな力を発揮したと強調し、「この国の政治を変えたいと願う全ての方々に、共産党の躍進に力を貸していただくことを心から訴えます。『比例は共産党』と広げに広げてください」と熱く訴えました。
2022年3月15日
婦人民主クラブは12日、東京都内で「創立76周年記念のつどい」を開きました。
主催者あいさつした山田博子会長は、ウクライナ危機に乗じて改憲や「核共有」を言い募る与党や維新の会の政治家を批判。「子どもや母親が殺されている今、唯一の戦争被爆国として、憲法9条を掲げ、その理念を広げる役割を果たすよう政府に強く求めていきたい」と語りました。
文芸評論家の澤田章子さんが、「今日を照らす宮本百合子―平和を熱望することば―」と題して講演。宮本百合子が、戦中に弾圧を受けながらも反戦平和を貫いたことや、戦後の民主運動創設に果たした役割などを紹介し、「彼女の意思を継ぎ、日々の生活の中からファシズムとたたかっていきたい」と語りました。
森川拓哉さんと専光秀紀さんが、ウクライナ支援の思いをこめて映画「シンドラーのリスト」のテーマ曲など、バイオリンデュオを奏でました。
2022年3月5日
国連人権理事会は3日、ジュネーブの国連欧州本部でウクライナ情勢に関する緊急討議を開きました。ウクライナの要請で招集されたもので、ロシアの人権侵害に対する特別調査委員会の設置が提案されています。
バチェレ国連人権高等弁務官は、ロシアの攻撃で「数千万人のウクライナ人が、潜在的に死の危険にさらされている」と警告。人口密集地への砲撃や、病院、学校、幼稚園への大規模な被害、救急車への攻撃が起きているとして、戦闘の即時停止を求めました。
ウクライナのジェパル外務次官は、「人権原則の存亡の危機」だと強調。同外務次官は、ロシアが侵攻したクリミアから2014年に娘とともに脱出した体験に触れつつ、「核のボタンを手にした戦争犯罪人が、国際法やルールに基づく秩序を無視して戦争を起こした」と非難。調査委員会の設置を強く訴えました。
討議では、「ファシズム打倒で共にたたかった国がこのような国際法の侵害を行うのは言語道断だ」(英国)、「主権、領土保全の尊重は、1955年アジア・アフリカ会議のバンドン10原則、東南アジア友好協力条約でもうたわれている」(インドネシア)などと批判が相次ぎました。
中国は「人権の政治利用反対」を理由に、調査委員会の設置に反対を表明しました。
2022年1月22日
「憲法を考える映画の会」(東京都国分寺市)は、2013年4月から昨年末まで、79回、100作品以上を上映してきました。発起人の花崎哲さんは「単なる映画の鑑賞会ではなく、憲法を話し合う場にしたい。岸田政権の改憲の動きに対抗する市民運動を盛り上げたい」と話します。(遠藤寿人)
上映会は2カ月に1回。憲法記念日(5月3日)前には「憲法映画祭」などを開きます。
花崎さんは「社会問題に関心を持っているけど、集会などにはなかなか行かないような人に参加してもらいたい。映画だと敷居が低く、誘いやすく集まりやすい」といいます。
憲法、人権、ファシズム、安全保障、日本軍、沖縄、原爆、「慰安婦」、原発などのテーマを扱った新旧作品を取り上げてきました。
上映作品の中から花崎さんが選ぶ印象深い3作は、新自由主義の問題点を突いた「ショック・ドクトリン」(2009年)、なぜナチスの台頭を許したのかを描く「ありふれたファシズム 野獣たちのバラード」(1965年)、「慰安婦」問題の論争をまとめた「主戦場」(2018年)です。
上映後、参加者と短時間の話し合いをもちます。映画監督や出演者などとのトーク企画も工夫しています。
「話し慣れている人よりも、あまり発言しないような人の話のほうが新鮮だったりします」と花崎さん。「総選挙結果にがっかりしながらも、参院選を前に、何とかしなきゃいけないと思いながら、どうしていいか分からない人もいます。社会が息苦しくなっていることなどをそれぞれ語ってくれます」
花崎さんは教育映画の制作に携わっていました。1982年、中曽根康弘内閣の軍拡路線に対抗して、反戦を考える映画会を実施。2012年、改憲に執着する安倍晋三内閣になり、その動きを止めようと「憲法を考える映画の会」を立ち上げました。
同会では少人数の「映画と話し合いの会合」が広がることを望んでいます。「憲法を考える映画のリスト 2021年版」を発行。164作品を紹介しています。
「この映画はどこで借りられるの」「お金はどれくらい」といった疑問に答えるため、作品のあらすじ・解説に加え、映画の手配(連絡)先や貸出料金を記載しています。
岸田内閣は敵基地攻撃能力の保有に踏み出そうとし、9条改憲に前のめりになって、大軍拡路線を進めようとしています。
花崎さんは「若い人に若い世代の人が作った『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』や環境活動家のグレタ・トゥンベリさんの作品を見てもらいたい」といい、「映画を見て、考え、話すことから始め、自分たちの声を力のあるものにする。憲法を自分たちのものとして勝ち取るために映画を『武器』として運動で利用してもらいたい」と力を込めます。
2022年1月19日
年の瀬に海外から明るいニュースが飛び込んできた。南米チリで、共産党も支持する左派連合のガブリエル・ボリッチ氏が当選し、チリ史上最年少の大統領が誕生したというニュースだ。
1回目の選挙で2位だったボリッチ氏が、1位だった右派のアントニオ・カスト氏を抑え、決選投票で逆転した。胸のすくようなこの快挙はどのようにして実現したのだろうか。
まず、新自由主義との決別、ジェンダー平等、先住民の尊重など、人権を守る国への転換という公約だ。次に、ファシズムの復活を許さないという人々の堅い結束だ。126万軒を訪問するというダイナミックで緻密な対話作戦が展開された。
対立候補のカスト氏はピノチェト軍事独裁政権を賛美していたという。ピノチェトといえば、1973年に軍隊を動かしてクーデターを起こし、軍政を置き、チリの歴史を逆行させた人物だ。
当時、クーデターに抗し、民主主義と平和と自由を求めて立ち上がった人々の中に、国民的なシンガー・ソングライターのビクトル・ハラがいた。彼は歌によって人々を励まし続け、命を奪われた。
弾圧の過去を乗り越えて培われたチリの希望のうねりが、日本の私たちに強い決意を促している。