【当団体の紹介】

1、沿  革

2、規  約

1、沿革

治安維持法は、1925年に実施され、太平洋戦争の敗戦後の1945年10月に廃止されるまで、当時の天皇制政府の絶対的な権力が国民をおさえつけ、権力に従わせる法律として猛威をふるいました。

 この法律は思想そのものを犯罪とするものでした。天皇制の政治体制をかえて国民主権の政治を願う政党の幹部や役員には、最高死刑という重罰を科するものでした。活動に少しでも協力するだけで犯罪とされ、宗教者や自由主義者も、弾圧の対象とされました。

 戦後、社会の民主的改革のなかで当然この法律は廃止されました。しかし、自民党政治をすすめた勢力は、治安維持法の被害者に謝罪や損害補償をしないばかりか、戦前の弾圧を正当化したり、反動的な政治の復活に悪用してきました。

 治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟は、1968年に当時の犠牲者や遺族、家族の人びとを中心に、設立されました。治安維持法の時代の実態やその教訓を学び、治安維持法など戦前の悪法で弾圧の被害をうけた犠牲者たちに国としての責任を認めさせ、謝罪させ、国家賠償をおこなう法律を制定するよう正々堂々と要求する運動をすすめる組織をつくったのです。その後、国家賠償要求同盟は、直接に被害をうけた人や親族の運動にとどまらず、ふたたび戦争と暗黒政治の復活を許さないために闘う多くの人たちが加入して大きく発展を続けています。

 

犠牲者数

拷問で虐殺されたり獄死したりした人が194人、獄中で病死した人が1503人、逮捕投獄された人は数十万人におよびます。作家小林多喜二の獄中での拷問虐殺や日本共産党名誉役員宮本顕治氏の12年にわたる獄中生活は一般によく知られています。

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2、規約

治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟規約

2003623日改正

治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟 (略称 治安維持法国賠同盟)は1968年3月15日、「315事件」の40周年を記念して結成された。

戦犯岸内閲のもとで、勤務評定反対、警職法粉砕、60年安保闘争など、戦後の独立・平和・民主主義のたたかいの国民的高揚をうけ、首都東京に初の革新知事が誕生するという情勢の下での発足であった。

それは、戦前の歴史の真実を証言し、日本国民の革新的伝統を語りつぐ役割をもつ組織として革新・民主の活動に一つの礎石をすえるものであった。

治安維持法は1925年、絶対主義的天皇制によって制定された。それは、国民を天皇の 「民」として隷属させてきた明治維新以来のおびただしい数の抑圧法規の集大成であり、またそれらの背骨の役割をなすものであった。同法は28年最高刑死刑など侵略戦争の拡大に先んじて改悪され、ますます凶暴なものとなっていった。これにより国民の一切の自由と権利は奪い去られ、全国に張りめぐらされた特別高等警察(特高)の網の目によって文字通りの暗黒政治が現出した。平和・民主主義をめざす活動はことごとく弾圧され、国民は有無をいわさず侵略戦争に動員された。

治安維持法による逮捕、送検者は数10万人にのぼり、言語に絶する残虐な拷岡、長期拘留、苛酷な懲役が通例のこととしておこなわれた。治安維持法に反対した山本宣治は刺殺され、小林多喜二、野呂栄太郎、市川正一など多くの人士が虐殺、獄死させられた。相沢良、伊藤千代子ら女性たちの多くも犠牲となった。10数年間もの獄中生活、失職、特高の監視、戸籍はく奪などなど無数の肉体的、精神的迫害の事実が歴史に刻み込まれた.

こうして、平和と民主主義の声を圧殺しておしすすめられた15年にわたる侵略戦争は、アジア諸国民2千万人以上の殺害、日本国民310万人以上の犠牲の上に1945年8月15日、天皇制政府のポツダム宣言の受諾、無条件降伏によって終わりを告げた。敗戦により希代の悪法治安維持法は廃止され、獄中にあった人々はすべて釈放された。

暗黒政治のもとでも、弾圧に屈することなく人類史の進歩を確信し、戦争反対と国民主権を主張し続けた人々と組繊の苦闘は、戦後日本国憲法の平和的、民主的原則として結実した。

日本とともに第二次世界大戦で世界侵略の挙に出たドイツ、イタリアでは、敗戦とともに国内外からの戦犯追及が徹底してすすめられた。さらに1968年の国連第23回総会で採択され、70年に国際法として発効した「戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約」は、欧米諸国の「戦後処理」への対応をうながし、犠牲者やレジスタンス参加者に救済、顕彰がおこなわれ、戦争犯罪人への追及はいまなおきびしくつづけられている。

韓国でも、日本の植民地時代の治安維持法犠牲者は愛国者として尊敬され、補償もおこなわれている。

ところが、こうした世界のすう勢に反して日本では敗戦後、最高戦争指導者の天皇の責任は不問にされ、また国民抑圧と侵略戦争推進の責任者とその系譜につらなる人脈と勢カが平然と政・官・財などの重要な地位を占めるなど、戦争犯罪追及と責任究明はきわめて不徹底のまま推移してきた。このことは戦後歴代の日本政府が過去の侵略戦争と植民地支配を歴史的事実として正しく認めようとせず、反省していないということ、また従軍慰安婦岡題にみられるように、アジアの人々からのさまざまな戦争被害にかかわる謝罪と補償の要求に対しても一片の誠意さえ示そうとしないことにつながっている。

戦争に反対してたたかった日本の治安維持法犠牲者への謝罪と賠償の要求に対して政府が無視しているのもまったく同様の事情による。

日本弁護士連合会が1993年開催した人権擁護大会では「治安維持法犠牲者は、日本の軍国主義に抵抗し戦争に反対した者としてその行為は高く評価されなければならない」とし 「他の戦争被害補償に先んじて補償がなされなければならないのに、それが放置されているところに、日本の戦後処理のゆがみが端的に現れている」と明確に指摘した。

本同盟は結成以来こうした日本政府の態度をきびしく批判しながら「ふたたび戦争と暗黒政治を許さない」保証として治安維持法犠牲者への謝罪と賠償の実行を要求し、毎年政府と国会に対して請願と要請を行っている。また地方議会から国へ謝罪と賠償を行うよう決議し、意見書として送付するよう要請してきたが多くの市区町村議会で決議されており、さらに1997年からは、国連の人権委員会に問題を提起し、国際世論の喚起にも努力している。今日、日本は、先人たちがまさに生命を賭してその実現を希求してやまなかった「国民が主人公」の政治革新へ向けて歴史的な躍動の時代への一歩を踏み出している。こうした清勢の進展に確信をもち、本同盟は戦争と暗黒政治の再現に向けて歴史を逆転させようとするいかなるくわだてをも絶対にゆるさず、治安維持法犠牲者への一日も早い謝罪と賠償の実現を期して奮闘するものである.

 

第1条  本同盟は、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟(略称・治安維持法国賠同盟)と称し、中央本部の事務所を東京都文京区湯島2丁目4番4号、平和と労働センター全労連会館九階におく。

 

第2条  本同盟は次にかかげる運動の基本を実現することを目的とする。

      ふたたび戦争と暗黒政治を許すな。

     1、治安維持法体制の復活に反対する。

     2、国は治安維持法が人道に反する悪法であったことを認めること。

     3、国は治安維持法の犠牲者に謝罪と賠償をおこなうこと。

 

第3条  1、本同盟は、前条の目的に賛成し、会費を納め、同盟の運動に参加、協カする個人、および団体をもって組織する。

     2、また、次条の諸運動を遂行するため、本同盟の目的に賛同し、これを援助する個人、および団体を賛助会b貝とする。

     3、本同盟は、次の通り組繊される。

       中央本部−都道府県本部−支部または班。

       都道府県本部、支部の構成は、別に細則をもって定める。

 

第4条  本同盟は第二条の目的を達成するため、つぎの諸運動をおこなう。

1、「治安維持法犠牲者国家賠償法」(仮称)求める署名運動の促進と国会請願行動、紹介議員の拡充。地方議会への陳情、請願。

2、「国賠法案」の審議、作成のための作業。国連への要請活動など。

3、治安維持法犠牲者の体験を風化させず継承、発掘、顕彰、出版、歴史マップの作成ツアーなどをすすめる。

      「315」「416」など弾圧事件の歴史を 記念する集会を開き、講演、映画、ビデオなどを上映する。

4、憲法改悪、治安立法の策動に反対し、自由と人権、民主主義を守る。

5、国民主権を侵す天皇美化に反対し、天皇制国家とその指導者の戦争と人道に反する行為の責任を追及する。「平和のための戦争展」などへ参加する.

     6、平和と民主主義のためにたたかう諸団体との連帯を強め、共同、共闘をすすめる。

       革新政党との交流、懇談をすすめる。

 

第5条  本同盟に以下の機閑をおく。

     1、全国大会。

     2、理事会。

     3、常任理事会。

     4、三役会。

 

第6条  全国大会は、中央役員、代議員、および評議員で構成され、代議員総数の過半数によって成立する。代議員の選出方法は別に定める。

全国大会は、本同盟の最高機関で、2年に1回原則として五月に開催し、つぎの事項を審議決定する。

1、活動報告 運動方針。

2、収支決算、監査報告、および収支予算。

3、役員の選出。

4、規約の決定、または改正。

5、都道府県本部から提出された議案。

       ただし、全国大会が開催されない年度の本条第2項2については、会計年度終了のつど直近の理事会に報告して承認を受ける。

 

第7条  中央理事会は、会長、副会長、常任理事、事務局長、事務局次長、および理事で構成され、次期大会までのあいだ、必要な諸方針を定める。

     理事会は、大会から大会までの間に1回以上開催する。

 

第8条  1、常任理事会は、会長、副会長、事務局長、事務局次長、および常任理事で構成され、大会および理事会の決議にもとづいて、日常の同盟業務を遂行し、また緊急事項を処理する。常任理事会は、3カ月に1回以上開催する。

     2、常任理事会は、必要に応じて、担当役員会議、専門部、委員会を設けることができる。

 

第9条  全国大会、理事会、常任理事会の決議は、第21条の但し書き、および第22条で特に規定するほかは、すべて出席者の遇半数をもって決する。

 

10条 三役会は、会長、副会長、事務局長、および事務局次長で構成され、常任理事会から、常任理事会までのあいだの会務を処理し、立案して報告する。

 

11条 本同盟に、左の役員をおく。

1、会長        1名。

     2、副会長      若干名。

     3、事務局長      1名。

     4、事務局次長    若干名。

     5、常任理事     若干名。

     6、理事       若干名。

     7、会計監査      2名。

会長、副会長、事務局長、事務局次長、ならびに会計監査は、全国大会で選出される。理事、常任理事は細則にもとづいて全国大会で選出される。

     役員の任期はすべて2年とし、再選を妨げない。

     前項の規定に拘らず、必要がある場合は、理事会で事故のある役員の補充をはかることができる。補充役員の任期は前任者の残任期間とする。

 

12条 会長は、本同盟を代表する。

 

13条 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その1名がこれを代行する。

 

14条 事務局長は、事務局を代表し、同盟の会務を処理する。

 

15条 事務局次長は、事務局長を補佐し、事務局長に事故があるときは、その1名がこれを代行する。

     事務局員の任命は、三役会が行い、常任理事会の承認を受ける。

 

16条 会計監査は、会計年度が終わったつど、収支決算について監査を行い、その結果を直近の理事会、または大会に報告して承認を受ける。会計監査は、本同盟の他の役員を兼務することはできない。但し、役員会に出席して意見を述べることができる。

 

17条 本同盟に、名著役員、顧岡をおくことができる。名著役員、顧問は、全国大会の推薦によって、会長から委嘱される。

     名誉役員は、常時会議に出席して意見を述べることができる。

     顧開は会長の諮聞に応じ、また役員会に出席して意見を述べることができる。

 

18条 会計については、次の通り定める。

     1、本同盟の経費は、会費、賛助会費、寄付金、および事業その他の収入をもってあてる。

     2、同盟員の会費は、1口年額4,000円(但し、中央機関紙『不屈』の紙代を含む、会費は分割して納入することもできる)とする。

       夫婦会員の会費は年額6,000円とする。

       未成年者、障害者、生活困窮者等の会費は都道府県本部で検討して適切に減額などし、中央本部に報告する。

       賛助会費は、1口年額1万円とする。

     3、都道府県本部の、会費および賛助会費の中央上納額は、全国大会で決める。

     4、会計年度は、4月1日より翌年3月31日までとし、決議機関の承認後、同盟員の要請があれば、いつでも会計帳簿を閲覧に供する。

 

19条 同盟員が規律をみだし、本同盟に不利益をもたらす行為を行ったときは、規約にてらして退会を求める場合がある。

     但し、退会を求める場合には、常任理事会出席者の3分の2以上の同意を必要とし、中央本部へ報告する。

 

20条 本同盟の規約変更は、全国大会において出席者の3分の2以上の同意を必要とする。

 

付    則

 

21条 この規約について、さらに細目の規則を必要とする場合は、常任理事会で細則を定めることができる。

     但し、その場合は、次期大会の承認を受けなければならない。

 

22条 本同盟の事業に功績があったものには、常任理事会の議を経たのち、全国大会で表彰をすることができる。

 

23 1、この規約は、1968年3月15日より施行する。

2、この規約は、2003年6月23日より一部改正する。

以  上

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