慰安婦トップ
2015年【慰安婦犠牲者の活動と関連記事】
【1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】
（12月ヘッドライン）
「慰安婦」問題全面解決を／日本大使館前で集会／市民団体／ソウル
「慰安婦」問題日韓合意／少女像・記憶遺産…両政府で見解の相違
「慰安婦」問題日韓合意／世界の反響／米政府・国連／台湾／韓国紙／米紙／欧州メディア
「慰安婦」問題日韓合意／最終解決にするには／強制された性奴隷の実態／「被害者の尊厳回復を」
「慰安婦」問題、日韓が合意／日本政府、軍関与認め「心からおわび」／韓国設立財団に１０億円
アーカイブズ学と歴史学から考える秘密保護法の問題点／東京でシンポ
Ｑ＆Ａでわかる宗教と教育・人権・平和／加藤西郷・信楽峻麿・森田俊男・山口和孝・平和・国際教育研究会「宗教と教育」部会編／評者三輪定宣千葉大学名誉教授
「慰安婦」テーマ展示／ニコンの中止は違法／写真家が勝訴／東京地裁
人間の尊厳守る政治を／わたなべ参院選挙区候補訴え／青年と語るトークイベント／東大阪
「慰安婦」記念館オープン／狭い部屋から悲しみ、恐怖…／中国・南京
ワールドリポート／韓国・大邱市に「慰安婦」歴史館／〝ハルモニのこと忘れない〟
ワールドリポート／中国・武漢／旧日本軍慰安所跡を訪ねて／３００人の「慰安婦」が生活
【12月本文】
慰安婦「おわび」／謝罪といえない／日本の市民団体
戦後補償ネットワークの有光健・世話人代表は２８日に行われた「慰安婦」問題での日韓外相会談の結果について同日、コメントを発表し、「おわび」の文言は被害者が求める「謝罪」にはなっていないと批判しました。
「支援事業」として日本が政府予算で約１０億円を拠出するとしたことについて「被害者が求めているのは『支援』ではなく『謝罪と賠償』であり筋が違う」と指摘。「アジア女性基金」よりは改善したと評価する一方、「数字を強調して先行させる手法は、札束で解決を図るとの批判は免れないだろう」としています。
また、日韓両政府が、被害者抜きで外交当局同士の妥結・合意を図ったと批判。「再び合意が宙に浮く可能性を指摘せざるをえない」としています。
( ２０１５年１２月３１日，「赤旗」)
「慰安婦」を象徴の少女像／移転反対が６６．３％／韓国世論
【ソウル=時事】韓国のＭＢＮテレビは３０日、ソウルの日本大使館前にある慰安婦問題を象徴する少女像に関する世論調査結果を発表しました。移転に反対する人が６６･３%に上り、賛成の１９･３%を大きく上回りました。
朴槿恵大統領の地元である大邱・慶尚北道地域でも、他地域より多いものの、賛成は２３・５％にとどまり、反対の４９・５％を大きく下回りました。朴大統領の支持層である５０、６０代でも反対が多数。野党支持層は反対が７０％を超え、与党支持層でも、賛成が３２・９％なのに対し、反対が４９・１％とほぼ半数に上りました。
調査は、民間世論調査機関「リアルメーター」を通じ２９日に実施されました。
( ２０１５年１２月３１日，「赤旗」)
「慰安婦」問題全面解決を／日本大使館前で集会／市民団体／ソウル
「慰安婦」被害者を支援する市民団体が主催する水曜集会が３０日、ソウル市内の在韓日本大使館前で行われ、「慰安婦」被害者と支援者ら約７００人が参加しました。現地からの報道によると、参加者らは２８日に行われた日韓外相会談の合意を受け、全面的な解決に向けて、さらにたたかいを進めていく決意を固め合いました。
集会に参加した被害者の李容洙（イ・ヨンス）さん（８７）は、「交渉前には何も知らされなかった。韓国政府は何をしているのか。あまりにも悔しくて悲しい」と心情を吐露。李さんは「亡くなった被害者のためにも、日本の公式謝罪と法的賠償を受けなければならない」と語りました。
参加した梨花女子大学の学生は「おばあさんたちこそ、生きる教科書だと思う。私たちも誤った歴史を正し、真実を知らせていく」と発言しました。
集会に先立ち、被害者らを支援する大学生・青年団体や市民団体が記者会見しました。大学生は「日本の名誉だけが保たれた屈辱的な日韓政府間の合意であり、認めることはできない」と主張。市民団体代表は「（韓国政府は）完全に日本の要求を受け入れた。日本の犯罪に免罪符を渡した屈辱的な第２の韓日協定（１９６５年の日韓基本条約と関連文書）」だとし、合意廃棄を求めました。
( ２０１５年１２月３１日，「赤旗」)
「慰安婦」問題日韓合意／少女像・記憶遺産…両政府で見解の相違
日本と韓国は２８日の外相会談で「慰安婦」問題の解決策に合意して以降、在韓日本大使館前に「慰安婦」の象徴として設置された少女像をめぐる問題や国連教育科学文化機関（ユネスコ）記憶遺産への登録申請などについて、両国政府の間で見解の違いが相次いで明らかになっています。
（栗原千鶴）
日本の複数のメディアは３０日、韓国政府が設立する財団に日本政府が約１０億円を拠出する問題で、「（日本政府は）拠出前に少女像が撤去されるように要請した」「少女像を移転することが財団への拠出の前提になっていることは、韓国と内々に確認している」と報じました。
外相会談の合意では少女像について、「韓国政府としても可能な対応の方向性について関連団体との協議などを通じて適切に解決されるよう努力する」ことになっています。
これについて岸田文雄外相は２８日、日本メディアに対し、「適切に移転される」と発言しました。
韓国政府当局者はこれに反発。現地メディアに「完全にねつ造だ」と述べ、「会談や交渉の過程で日本がそのような主張をしたこともない。関連団体との協議を通じて適切解決されるように努力するということがすべて」と強調しました。
中国と韓国が「慰安婦」に関する資料の世界記憶遺産登録を目指していることについても食い違いが見られます。
岸田氏は２８日、「韓国が（登録の）申請に加わることはないと認識している」と発言。これに対して韓国外務省報道官は２９日、「事実無根」として、「この問題は民間団体主導で推進中の事案だ」と述べました。
また、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」したとする内容について、韓国の政府当局者は「不可逆的というのは相互に当てはまる。日本側が『謝罪』、『反省』、『責任の痛感』に反したことをしたら合意違反になる」との認識だと表明しました。
中央日報は、日本側が「不可逆的」に固執したとの報道に対し「事実と違う」という政府当局者の発言を掲載。「不可逆的」という表現を入れる問題は交渉中に韓国側が先に提起したもので、日本の政治家が初めて「慰安婦」の強制性を認めた「河野談話」などを否定する発言を繰り返すことを念頭に置いたものだとしています。
( ２０１５年１２月３１日，「赤旗」)
「慰安婦」解決、中国も要求
【北京＝時事】中国外務省の陸慷報道局長は２９日の定例会見で、慰安婦問題での日韓合意を受け、中国人の元慰安婦について「日本の軍国主義は中国各地で（女性に）慰安婦となることを強制し、重大な人道に反する罪を犯した。日本が切実に責任を負い、被害者の懸念を尊重することを促す」と述べ、日本側に「適切な解決」を要求しました。
( ２０１５年１２月３１日，「赤旗」)
「慰安婦」合意／「誤解生む言行ないよう」／日本に韓国外相
【ソウル＝時事】韓国の尹炳世外相は３０日、韓国記者団と懇談し、慰安婦問題をめぐる日韓合意に関連し、「誤解を生むような日本側の言行がないよう望む」と述べました。また「日本側では、国内のさまざまな勢力をうまく説得するよう期待する」と語りました。
自民党などの保守派から合意に不満が出ていることを念頭に、「軍の関与」や「心からのおわびと反省」といった合意内容を否定する発言が日本側から飛び出さないよう注文を付けた発言と受け止められています。
韓国国内では、安倍晋三首相をはじめ政府関係者から慰安婦問題に関する日本政府の責任を否定するような「妄言」が出れば、「問題は再び原点に戻る」（中央日報社説）という見方が強い。
( ２０１５年１２月３１日，「赤旗」)
潮流
突然、発表された｢報道ステーション｣古舘伊知郎キャスター降板の報。今年の放送界を集約するかのような出来事です。司会者らが交代するのはままあります。しかし、古舘氏の場合、なぜこの時期に▼「慰安婦」問題を検証し、原発の再稼働を批判した「報道ステーション」。戦争法反対の国会前行動を生中継したり、沖縄の新基地建設についても迫りました。安倍政権にとって、うっとうしかったことは間違いありません▼番組でゲストの古賀茂明氏が「官邸の圧力」発言をして、自民党はテレビ朝日幹部を呼びつけました。同党の会合で「懲らしめるにはＣＭ収入がなくなることだ」との意見が出たのも記憶に残ります▼これに対して、放送界の内部から「政権党の圧力そのもの」と強い抗議が表明されました。ＮＨＫと民放連が設置したＢＰＯ（放送倫理・番組向上機構）です。首相が国会で反論しますが、その後もＢＰＯは「介入」を批判してひるみません▼ＴＢＳ「ニュース２３」のアンカー岸井成格氏らに対し、「降板」との文字が飛び交っています。スポーツ紙は何の確認もなく報じました。ある種の意図をもって流す〝にせ情報〟ではないか。政権の支配が強まる下で、迎合する異様な状況が懸念されます▼テレビ局は沈黙を守っていますが、放送労働者の組合が声をあげています。民放労連は矢継ぎ早に抗議声明を出し、日放労（ＮＨＫ労組）の中部支部（名古屋）も市民との対話を始めました。新年への力強い動きに注目です。
( ２０１５年１２月３１日，「赤旗」)
「慰安婦」問題日韓合意／韓国政府、被害者に説明
「なぜ事前に説明ない」被害者／「公式謝罪引き出した」外務次官
韓国外務省は２９日、外務次官２人をそれぞれ日本軍「慰安婦」被害者が共同生活を送る住居に派遣し、日本政府との合意内容を説明しました。現地からの報道によると、被害者は口々に「なぜ事前に私たちに説明がなかったのか」と当事者抜きの協議を非難。長年求めてきた日本政府の「法的責任」と「公式賠償」を改めて求めました。
（面川誠）
林聖男（イム・ソンナム）第１次官が訪ねたソウル市内の住居では、金福童（キム・ボクトン）さん（８９）が「交渉する前に私たちの考えを聞くべきなのに、（韓国）政府が一言もなしに政府同士で話をしたあと、妥結したと発表してはだめだ」と批判。李容洙（イ・ヨンス）さん（８７）は「（交渉を）もう一度やり直してほしい」と訴えました。
「最善尽くした」理解を求める
日本大使館前に設置された少女像については、金さんが「少女像は市民が少しずつお金を出し合って建てたものだ。韓国政府や日本政府がああしろ、こうしろと言うべきことではない」と指摘。「後世の人々が『韓国にこんな悲劇があったのか』と学べる歴史のしるしだ」と語り、移転しないよう求めました。
これに対して林次官は「（韓国）政府の最大の原則は、おばあさんの尊厳と名誉の回復だ」と述べ、「おばあさんたちが亡くなってから交渉しても意味はない。時間がなくなる前に最善を尽くした」と理解を求めました。
趙兌烈（チョ・テヨル）第２次官は京畿道広州市にある「ナヌムの家」を訪問。「おばあさんたちが満足できないことは分かる」と述べた上で、「全力を尽くして問題解決のために努力した」と訴えました。
法的な基準で謝罪と賠償を
説明を聞いた柳喜男（ユ・ヒナム）さん（８８）は、「（韓国政府が）苦労したことは知っているが、（日本政府は）法的な基準で謝罪し賠償すべきだ」と述べ、「立派な待遇を受けたいのではない。とても残念だ」と心情を吐露。金君子（キム・クンジャ）さん（９０）は、「被害者は私たちなのに、どうして政府だけで合意できるのか。認められない」と訴えました。
被害者の訴えに耳を傾けた趙次官は、「政府だけで合意できるのか、という言葉はその通りだ」と認める一方で、「私たちはおばあさんたちを代表して協議に臨んだ」と強調。「１００％の満足はないが、日本政府の代表者から公式謝罪と責任の認定を引き出したことが合意の意味だ」と繰り返し理解を求めました。
「ナヌムの家」の安信権（アン・シングォン）所長は、「被害者のおばあさんたちは、これまで日本政府を相手にたたかってきたが、これからは韓国政府を相手にたたかわなければならないことになった」と語りました。
( ２０１５年１２月３０日，「赤旗」)
日韓合意／「不可逆的」は相互の約束／韓国政府当局者述べる
【ソウル＝時事】韓国政府当局者は２９日、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」した日韓両政府の合意に関連し、「不可逆的というのは相互のことだ」と述べました。聯合ニュースが伝えました。
韓国側が問題を蒸し返す場合だけでなく、日本側から「軍の関与」「心からのおわびと反省」といった合意内容を否定する発言や見解が出された場合も、合意違反になるとの認識を示唆したものです。
( ２０１５年１２月３０日，「赤旗」)
「日韓合意、履行を」
安倍晋三首相は２９日、東京都内のホテルで岸田文雄外相と会談し、慰安婦問題をめぐる２８日の日韓外相会談での合意内容について報告を受けました。首相は「合意された事項について、しっかりフォローアップをしてほしい」と述べ、着実に履行するよう指示しました。
２８日の外相会談で、日本政府は元慰安婦支援のため、韓国政府が設立する財団に１０億円程度を一括拠出することで合意しました。首相はこうした事業を着実に進めることで、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を急ぎ、韓国との関係改善を軌道に乗せたい考えです。
( ２０１５年１２月３０日，「赤旗」)
「慰安婦」問題日韓合意／世界の反響／米政府・国連／台湾／韓国紙／米紙／欧州メディア
米政府・国連／歓迎声明を発表
【ワシントン＝洞口昇幸】日韓両政府が２８日、旧日本軍「慰安婦」問題で合意に達したことについて、米政府と国連は同日、それぞれ歓迎する声明を発表しました。
ケリー米国務長官は声明で「この合意が米国の最も重要な同盟国である２国間の関係修復と和解の促進に役立つと考える」と述べ、「われわれは国際社会にこれを支持するよう呼び掛ける」としています。
国連の潘基文（パン・ギムン）事務総長は報道官を通じて声明を発表。同合意を歓迎し、北東アジア諸国が歴史的和解に基づいて未来志向の関係を構築することの重要性を強調しています。
台湾／日本に協議要求
【台北＝小林拓也】「慰安婦」問題に関する日韓両政府の合意を受け、台湾総統府の報道官は２８日、日本政府の行動を評価した上で、台湾にいる被害者の尊厳回復のため、日本と交渉を続けると表明しました。
台湾外交部の報道官は、台北駐日経済文化代表処（駐日代表部に相当）に対し、日本政府に協議を求めるよう指示を出したと明らかにしました。
台湾の元「慰安婦」を支援している台北市婦女救援基金会の康淑華執行長は台湾メディアに対し、「今回の協議は数十年来で最も大きな進展だ」と評価。「同様の協議を、台湾を含めた各国と進めてほしい」と求めました。同基金会によると、生存する元「慰安婦」は４人です。
韓国紙／評価と批判
韓国各紙は２９日付社説で、「慰安婦」問題での日韓両政府の合意を取り上げました。
朝鮮日報は「政治的に妥協した内容」だとした上で、「軍の関与と日本政府の責任を認め、首相が謝罪したことはひとまず肯定的に評価できる」と指摘。一方で日本政府の「法的責任を回避した内容」だとして、被害者に対し、「合意内容について最大限の詳しい説明と配慮があるべきだ」と強調しました。
中央日報は「合意が社会的に受け入れられるかどうかは、日本側の態度にかかっている」と指摘。韓国政府も「被害当事者である慰安婦だったおばあさんをはじめ、全国民を説得すべき難題を抱えた」と述べました。
ハンギョレ新聞は「慰安婦制度という『国家犯罪』に対する日本政府の法的責任を明確にしていない」と批判。「法的責任を認めない案をもって両国政府が『最終』だと判断する権利はない」とし、「韓米日協力を強調してきた米国を考慮したものなら大きな問題だ」と述べました。
米紙／「元慰安婦不在」
【ワシントン＝洞口昇幸】日韓両政府が２８日、旧日本軍「慰安婦」問題で合意したことについて、米紙ニューヨーク・タイムズ（電子版）は同日、合意内容を紹介するとともに、元「慰安婦」から不十分だとの批判の声が上がっていることを紹介しています。
同紙は、元「慰安婦」の李容洙（イ・ヨンス）さんや韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会（挺対協）の反応を紹介。李さんは「合意は元『慰安婦』の考えを反映したものではない」と批判し、元「慰安婦」らが求める公式謝罪や法的賠償には至らないものだとしています。
欧州メディア／「歴史的な合意」
【パリ＝島崎桂】旧日本軍「慰安婦」問題で日韓両政府が合意に達したことを受け、複数の欧州メディアは２８日、「歴史的な合意」と評価しました。
仏紙ルモンド（電子版）は「韓国と日本が『慰安婦』という難しい問題で歴史的な合意に達した」と報道。
仏紙リベラシオン（電子版）も、合意を「歴史的」とした上で、数百人の日本の歴史学者が今年５月、日本政府の責任を問う共同声明を発表したことを紹介し、「（日本）政府に責任を認めさせるため、日本の市民社会の圧力が高まっていた」と論じました。
英紙ガーディアン（電子版）は日韓両国が「関係改善に向けた最大の障害を取り除いた」と報じました。日本政府が責任を認めたとする一方、「安倍（首相）や他の保守政治家は以前、日本政府と軍が強制したか否かを疑問視していた」ことを指摘しました。
( ２０１５年１２月３０日，「赤旗」)
潮流
「もし自分が同じ立場だったら怖くて話せなかったと思う」「会ったことはないけど、尊敬できる女性です」。今年８月、ソウルの広場に集まった日韓の学生が思いをはせたのは、２４年前に声をあげた一人の女性でした▼初めて「慰安婦」だったと名乗り出た韓国人の金学順さん。当時、日本政府が「慰安婦」について「民間業者がやったこと」などと軍や政府の関与を認めなかったことに対し、「歴史の証人」として自ら立ち上がったのです▼金さんが実名を公表して記者会見したのは１９９１年８月１４日。学生たちはその勇気をたたえ、国連の「日本軍『慰安婦』メモリアルデー」にしたいと活動しています▼金さんは同年１２月、２人の被害者とともに日本政府に謝罪と賠償を求め提訴しました。翌年には支援団体とともに日本大使館前で毎週水曜にデモを開始。雨の日も、雪の日も、「人権と尊厳、名誉の回復」を求め続けてきました▼２８日に行われた日韓外相会談での合意には「軍の関与」「責任」「心からおわび」の言葉が盛り込まれました。一方、被害者が日本政府に対し望んでいた真相究明や歴史教科書への記述の約束などはありません▼被害者の李容洙さんは、会談の内容について記者団に問われ、「私はまだ解放されていません」と語りました。いま韓国で生存する被害者は４６人、平均年齢は８９･２歳です｡日本政府が全面的解決にむけた行動のための時間はもう多くありません。被害者が名誉と尊厳を回復し、本当の解放を迎える日まで。
( ２０１５年１２月３０日，「赤旗」)
「慰安婦」問題日韓合意／最終解決にするには／強制された性奴隷の実態／「被害者の尊厳回復を」
強制された性奴隷の実態／平均８９歳、解決は急務
今回の日韓両政府の合意で、日本政府が「軍の関与」を認め、「日本政府の責任を痛感」したと明記したことは当然です。
日本軍「慰安婦」については、河野官房長官談話や、元「慰安婦」が日本政府に謝罪と賠償を求めた裁判などで、強制性と「性奴隷」というべき悲惨な実態が認定されています。
東京高裁は２００３年７月、韓国人元「慰安婦」が提訴した訴訟の判決は、▽「慰安婦」を募集したあっせん業者が甘言、詐欺脅迫で本人の意思に反して集めた▽「慰安婦」の出身地は朝鮮半島が多かった▽旧日本軍による慰安所の設置、運営への直接関与があった▽戦地では常時日本軍の管理下に置かれた―ことを認めました。
朝鮮半島出身の「慰安婦」の総数は不明ですが、韓国の研究では最大で推計２０万人。戦後、被害者は口を閉ざしてきましたが、１９９１年に金学順さんが初めて被害者として名乗りでました。
日本政府は、６５年の日韓国交正常化時に締結した日韓請求権協定で法的に解決済みとの立場を取る一方で、９５年に「女性のためのアジア平和国民基金」を設立。政府拠出金と民間募金から「償い金」を支給しましたが、韓国人元「慰安婦」の多くは「国家責任があいまい」と反発して受け取りを拒否しました。
韓国政府に登録されている元「慰安婦」２３８人のうち、すでに１９２人が死去。生存している４６人も平均年齢が８９歳と高齢となり、解決は待ったなしとなっています。
（面川誠）
「被害者の尊厳回復を」／共産党、一貫して主張
日本共産党はこの問題で、「国家責任の立場」で「慰安婦」問題を解決するために、一貫して被害者の尊厳が回復される解決を求めてきました。
２０００年に民主党、社民党とともに「戦時性的強制被害者問題の解決促進に関する法律案」を参議院に提出。計７回にわたり同法案を提出しました。
志位和夫委員長は２０１４年３月、「歴史の偽造は許されない―『河野談話』と日本軍『慰安婦』問題の真実」と題した見解を発表し、次のように訴えました。
「歴史はつくりかえることはできません。しかし向き合うことはできます。歴史の真実に正面から向き合い、誠実かつ真摯に誤りを認め、未来への教訓とする態度をとってこそ、日本はアジアと世界から信頼され尊敬される国となることができるでしょう」
同年１０月にソウルで開かれた日韓・韓日議員連盟の合同総会では、日本共産党を含めた超党派議員の努力で、「慰安婦」問題が初めて正式議題に取り上げられました。閉会総会で採択された共同声明には、被害者の「名誉回復と心の痛みをいやすことができるような措置が早急に取られるように日韓双方がともに努力する」ことが盛り込まれました。
今年１月の第３回中央委員会総会で志位氏は、戦後７０年にあたって日本とアジア諸国との「和解と友好」に向かう年にするために、「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」を提唱。「慰安婦」への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すよう求めました。
最終解決にするには／「慰安婦」訴訟に取り組む大森典子弁護士の話
日本国の軍の関与のもとに女性の尊厳を傷つけたことが問題であったこと、日本国としての責任を痛感すると責任を認めたこと、総理大臣として心からのおわびと反省の気持ちをあらわすなど、河野談話を改めて確認したもので、その点は評価できる。ただし「少女像」の撤去を韓国政府に求めたことは筋違いである。
その上で心の傷を癒やす措置として財団にお金を拠出するというが賠償なり補償という性格になる。この事業を韓国政府が行う場合には、被害者を加えた運営などをして、被害者のほんとうに納得がいく形で実施してもらいたい。それを日本政府は見届ける必要があるだろう。
日本政府はこれを最終的解決にしたいのなら、河野談話を否定したり、被害を与えたことを歴史の事実として認めないというような言説を、政府として反駁し、日本政府としての立場を明確にし続けるということがなければ最終解決にはならない。
韓国が蒸し返したのではなく歴史を逆行させる日本の勢力が蒸し返した。日本軍による人権侵害事件であったことを、日本政府の責任で後世へ伝えることがどうしても必要になってくる。
■｢慰安婦｣問題をめぐる動き
１９６５年６月 日韓国交正常化。日韓請求権協定に署名
１９９１年８月 韓国人の金学順（キム・ハクスン）さんが初めて「慰安婦」だったと名乗りでる
１２月 金学順さん含む「慰安婦」被害者３人が日本政府に対し、法的責任と賠償を求めて東京地裁に提訴（以後、各国被害者の提訴相次ぐ）
１９９３年８月 旧日本軍の関与と強制性を認める「河野談話」を表明
１９９４年８月 村山富市首相が「戦後５０年に向けた談話」で「慰安婦」問題で反省とお詫びを表明
１９９５年７月 「女性のためのアジア平和国民基金」設立（２００７年３月に解散）
８月 侵略と植民地支配に反省とお詫びを盛り込んだ「村山談話」を発表
１９９６年１月 国連人権委員会「女性への暴力」特別報告官の報告で、日本政府に個人補償や公的謝罪を勧告
１９９７年４月 韓国政府がアジア女性基金受け取り拒否の被害者に支援金を支給。日本政府に「アジア女性基金」中止と責任ある措置を要請
８月 国連人権特別報告官が「慰安婦」問題について政府の法的責任と責任者処罰を含む報告書
１９９９年２月 フィリピン下院人権小委員会で日本の国会に補償法制定を求める決議
２０００年１０月 参院に共産・民主・社民が「戦時性的強制被害者問題の解決促進に関する法律案」提出（以後、７回提出）
２００７年３月 安倍政権が「軍や官憲による強制連行を直接示す証拠はない」などと主張する政府答弁書を閣議決定
２０１１年８月 韓国憲法裁が、「慰安婦」被害者の賠償請求権をめぐり、韓国政府が日本側と交渉する努力をしないのは違憲と判決
１２月 在韓日本大使館前に少女像を建立
同月 日韓首脳会談で韓国の李明博（イ・ミョンバク）大統領が「慰安婦」問題の政治決断での解決を野田佳彦首相に要求
２０１２年１２月 第２次安倍政権の初閣議後、菅官房長官が河野談話の修正に言及
２０１４年４月 慰安婦問題を論議する局長級会談始まる
２０１５年１１月 安倍首相と朴槿恵（パク・クネ）大統領による首脳会談で、「慰安婦」問題早期解決を目指し協議を加速することで一致
１２月２８日 日韓外相会談を開催
（肩書はすべて当時）
( ２０１５年１２月２９日，「赤旗」)
日韓外相共同記者発表／要旨
岸田文雄外相と韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相が２８日の会談後に共同記者発表した内容（要旨）は次の通りです。
岸田外相 日韓国交正常化５０周年の年の年末にソウルを訪問し、尹炳世長官との間において、大変重要な日韓外相会談を開催できたことをうれしく思う。
日韓間の「慰安婦」問題については、これまで両国局長協議等において、集中的に協議をおこなってきた。その結果にもとづき、日本政府として以下を申し述べる。
１、「慰安婦」問題は当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から日本政府は責任を痛感している。
安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて「慰安婦」としてあまたの苦痛を経験され心身にわたり癒やしがたい傷を負われたすべての方々にたいし、心からおわびと反省の気持ちを表明する。
２、日本政府はこれまでも本問題に真摯（しんし）に取り組んできたところ、その経験に立ち、今般、日本政府の予算により、すべての元慰安婦の方々の心の傷を癒す措置を講じる。
具体的には､韓国政府が元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し､これに日本政府の予算で､資金を一括で拠出し､日韓両政府が協力しすべての元｢慰安婦｣の方々の名誉と尊厳の回復､心の傷の癒やしのための事業を行うこととする｡
３、日本政府は以上を表明するとともに、以上申し上げた措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表によりこの問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
あわせて、日本政府は韓国政府とともに今後、国連等、国際社会において、本問題について互いに非難、批判することを控える。
なお、先ほど申し上げた予算措置については、規模としておおむね１０億円程度となった。
以上のことについては、日韓両首脳の指示にもとづいておこなってきた協議の結果であり、これをもって日韓関係が新時代に入ることを確信している。
尹外相 本日の合意事項にたいして韓国政府の立場について私より発表させていただく。
日本軍「慰安婦」被害者問題に対してはこれまで、両国局長協議などを通じて集中的に協議をしてきた。その結果に基づき、韓国政府として以下を表明する。
１、韓国政府は、日本政府の表明とこのたびの発表にいたるまでの取り組みを評価し、日本政府が先に表明した措置を着実に実施されるとの前提で、このたびの発表を通じて日本政府とともにこの問題が、最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は、日本政府が実施する措置に協力する。
２、韓国政府は日本政府が在韓国日本大使館前の少女像にたいし、公館の安寧、威厳の維持といった観点から懸念しているという点を認知し、韓国政府としても可能な対応方向にたいし、関連団体との協議などを通じて適切に解決されるよう努力する。
３、韓国政府は今般、このたびの日本政府が表明した措置が着実に実施されるとの前提で、日本政府とともに今後、国連など国際社会において、本問題にたいする相互非難、批判を自制する。
以上を持って、韓国政府の立場について申し上げた。
韓日、日韓国交正常化５０周年である今年が過ぎさる前に、岸田外務大臣と共にこれまで至難であった交渉にピリオドを打ち、本日、この場で交渉の妥結宣言ができることを、大変うれしく思う。
今後、このたびの合意のフォローアップが着実に履行され、厳しい忍耐の歳月を耐えてこられた日本軍「慰安婦」被害者の方々の名誉と尊厳が回復され、心の傷が癒やされることを心より祈念する。
同時に､韓日､日韓両国間で最も困難で厳しい過去の歴史､懸案であった日本軍｢慰安婦｣被害者問題交渉が仕上げられることをきっかけとして､新年においては､韓日両国が新しい心でもって新しい韓日関係を切り開いていくことができることを衷心より祈念する｡
( ２０１５年１２月２９日，「赤旗」)
「慰安婦」問題日韓合意／挺対協など反発／韓国
韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会（挺対協）は２８日、日韓合意について「被害者と国民を裏切る行為」だとする声明を発表しました。
同声明は「『慰安婦』犯罪が、日本政府および軍によって組織的に強行されたという点は、今回の合意では見当たらない。関与のレベルではなく、日本政府が犯罪の主体である不法性を確認しなかった」と強調。真相究明や再発防止については、「まったく触れていない」としています。また、こうした合意で「不可逆的」とする日本政府の要求を認めた韓国政府に対し、「失望した」と語りました。
同日、被害者の李容洙（イ・ヨンス）さん（８７）は「被害者のことを考えているとは思えない内容だ」と表明しました。補償と賠償には明らかな違いがあるとし、「法的賠償」を求める立場を改めて強調。「私たちはまだ解放されていない。日本が公式謝罪、法的賠償をしなければ解放されない」と語りました。
被害者らが共同生活を送る「ナヌムの家」の安信権（アン・シングォン）所長は「妥結内容は政治的野合だ」と反発。一方、記者会見した被害者の柳喜男（ユ・ヒナム）さん（８８）は、「私たちが生きてきた過去を考えると、人間の権利を持たずに生きてきたので満足することはできない。お金の問題ではない」としながらも、「政府に従っていく」と語りました。
( ２０１５年１２月２９日，「赤旗」)
「慰安婦」問題日韓合意／歴史的合意を高く評価する／民団
在日本大韓民国民団の呉公太団長の話 韓日両国間の最大の懸案に、国交正常化５０周年の土壇場で解決の道筋ができた。両国の地道な外交努力がもたらした歴史的合意を高く評価し、歓迎する。懸案は残っているが、一つの大きな壁を乗り越えることができた。今後も対話を重ね、未来志向のより良い安定した関係づくりへ進むことを強く望む。
( ２０１５年１２月２９日，「赤旗」)
「慰安婦」問題日韓合意／地域安定への寄与を望む／中国
【北京＝時事】中国外務省の陸慷報道局長は２８日の記者会見で、日韓両国の従軍慰安婦問題での合意を受け「韓日関係改善が地域の安定と発展に寄与し（日本が）平和的発展の道を堅持する上で助けになることを望む」と述べました。
また「慰安婦の強制は日本軍国主義による重大な人道的犯罪だ」と強調。「日本は侵略の歴史を直視、反省し、責任ある態度で、問題を適切に解決すべきだ」と訴えました。
中国は慰安婦に関する資料を国連教育科学文化機関（ユネスコ）の世界記憶遺産に登録申請するなど、歴史問題をめぐる韓国との「対日共闘」を進めています。
( ２０１５年１２月２９日，「赤旗」)
「慰安婦」問題日韓合意／岸田外相が記者会見
岸田文雄外相は２８日､韓国･ソウルの日本大使館で記者会見し､日本軍｢慰安婦｣問題での日韓共同発表の意義について､｢日韓関係は未来志向の新時代へと発展する｣と述べた上で､｢日韓､日米間の安保協力が前進する素地ができたと考える｡北東アジア地域の安全保障の現状を踏まえると､わが国の国益に資するのみならず､この地域の平和と安定に大きく貢献しうる｣との考えを示しました｡
米国は北朝鮮の核・弾道ミサイル開発への対処などで日米韓の連携を強める必要があるとして、その障害になっている日韓の歴史問題を解決するよう、両政府に繰り返し働きかけていました。今回の共同発表を契機に、日韓の軍事協力が加速する可能性があります。
米政府は今回の発表に対し、ただちに歓迎声明を出す意向です。
また、元慰安婦に対する安倍晋三首相のおわびと反省の気持ちの表明について、「先ほど私が共同記者発表で申し上げたとおり」だと述べ、手紙などのような形式は、現時点で想定していないとの考えを示唆しました。
( ２０１５年１２月２９日，「赤旗」)
日韓外相会談について／日本共産党幹部会委員長志位和夫
一、日韓外相会談で、日本政府は、日本軍「慰安婦」問題について、「当時の軍の関与」を認め、「責任を痛感している」と表明した。また、安倍首相は、「心からおわびと反省の気持ちを表明する」とした。そのうえで、日本政府が予算を出し、韓国政府と協力して「全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業」を行うことを発表した。これらは、問題解決に向けての前進と評価できる。
一、今回の日韓両国政府の合意とそれにもとづく措置が、元「慰安婦」の方々の人間としての名誉と尊厳を回復し、問題の全面的解決につながることを願う。
( ２０１５年１２月２９日，「赤旗」)
「慰安婦」問題、日韓が合意／日本政府、軍関与認め「心からおわび」／韓国設立財団に１０億円
岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相は２８日、ソウルの韓国外務省で会談し、両政府の懸案だった旧日本軍「慰安婦」問題で合意に達したと発表しました。
（関連２・３面）
会談後に共同記者発表した岸田氏は、「慰安婦問題は当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している。安倍晋三首相は元慰安婦に対して心からのおわびと反省の気持ちを表明する」と明言しました。
安倍首相と韓国の朴槿恵大統領は同日、外相会談での合意を受け電話会談し、日韓新時代を切り開くことで一致しました。
岸田氏は共同記者発表で、元「慰安婦」支援のため、韓国政府が財団を設立し、日本政府の予算で１０億円程度の資金を一括拠出することを発表しました。
ソウルの日本大使館前に設置された「慰安婦」問題を象徴する少女像について尹氏は、「可能な対応方法に対し、関連団体との協議などを通じて適切に解決されるよう努力する」と発言。岸田氏は会談後、在韓日本大使館で記者団に対し、「（少女像は）適切な移転がなされるものだと認識している｣と表明しました｡
両外相はそれぞれ、共同記者発表で「今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決される」「今後、国連等、国際社会において本問題に対する相互非難、批判を控える」と強調しました。
岸田氏は在韓日本大使館で記者団の質問に答え、「慰安婦」関連資料のユネスコ（国連教育科学文化機関）世界記憶遺産への登録問題に関して、「韓国が申請に加わることはないと認識している」と発言。また、「日韓間の財産および請求権に関する日本政府の立場は従来と何ら変わらない」と強調し、元「慰安婦」の請求権を含む法的問題について、１９６５年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」との日本政府の立場を改めて強調しました。
日韓共同記者発表の骨子
【岸田外相】
①慰安婦問題は当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題。日本政府は責任を痛感。安倍首相は心からおわびと反省の気持ちを表明
②韓国政府が元慰安婦支援の財団を設立し、日本政府の予算１０億円を一括で拠出
③今回の発表により、この問題の最終的・不可逆的な解決を確認
【尹外相】
①韓国政府は、この問題の最終的・不可逆的な解決を確認。日本政府の措置に協力
②日本大使館前の少女像で、関連団体との協議を通じて適切な解決へ努力
③国連など国際社会で、本問題にたいする相互非難、批判を自制
( ２０１５年１２月２９日，「赤旗」)
アーカイブズ学と歴史学から考える秘密保護法の問題点／東京でシンポ
多くの反対を押し切った秘密保護法の施行から１年を迎えました。情報公開と「知る権利」を制限する同法の問題点を、歴史学とアーカイブズ（記録保存）学の立場から検討し、同法を廃止する道筋を展望するシンポジウムが今月はじめ、東京の明治大学で開かれました。歴史学とアーカイブズ学の７学会が共同シンポジウムを開くのは、今回が初めてです。
（米重知聡）
長野県短期大学の瀬畑源助教が、歴史学の立場から秘密保護法の現状と課題を報告しました。同法はアメリカの要請でつくられたもので、米側の軍事機密を日本に渡した時の機密性を保証することが主な目的だと強調。安保法（戦争法）の前提として同法が必要だったと述べました。
出版・報道側が特定秘密を入手した場合、入手した側は刑事罰から外されているけれど、情報を漏らした内部の人間は対象となっている点や、研究者のオーラルヒストリー（関係者への聞き取り）に制約がかかる可能性があること、もし特定秘密を入手してしまった時の対応について、研究者側の危機意識が低いことなどを指摘しました。
秘密文書全体の保全・公開必要
特定秘密は既定の年数が過ぎれば原則として国立公文書館に移管され、廃棄には首相の同意（内閣府公文書管理課のチェック）が必要とされています。しかし、実質的に人手が足りていないことや、特定秘密では省庁同士での情報の共有にも不便なので、今後、そうした手続きなしで廃棄できる「極秘」「秘」での対応が増える可能性があると指摘。「特定秘密だけでなく『極秘』なども含めた秘密文書全体が残る仕組みが必要だ。『いつか公開される』という省庁への意識付けが、特定秘密の乱用防止になる」と強調しました。
記録管理学会の小川千代子会長は、国立公文書館に勤めていた経験も交えて、公文書の管理制度と基本的人権の観点から報告しました。日米の秘密文書の扱いを比較し「アメリカの秘密文書は、どの法律を根拠にして秘密指定するのか、いつ指定解除されるのか、誰が指定したのか、実際にいつ解除されたのかが、文書に押されたスタンプなどからわかる。日本ではいつ誰が指定し解除したのかわからない」と公開された文書を例に示しました。
記録は作成時点を切り取って将来に伝えるものであると述べ、記録管理学の立場から歴史学への期待として、社会情勢の変化に賢く対応するために、蓄積された情報を生かし、過去を調べるだけではなくその成果を現代とのかかわりの中に位置づけてほしいと述べました。
日韓会談不開示／研究妨げる日本
新潟国際情報大学の吉沢文寿教授は、１９６５年の日韓国交正常化と日韓基本条約締結に向けた日韓会談をめぐる外交文書の情報公開請求運動について報告しました。運動は、２００５年に韓国で日韓会談の文書が全面公開されたことをきっかけに始まりました。
日本政府は情報公開請求訴訟の中で、多くの文書を不開示とした理由を「韓国とは国交正常化したが、同じ問題が北朝鮮と続いている」「韓国とも竹島（独島）問題がある」ためだとしています。韓国では全面開示されているため、韓国側の文書を見れば日本側の不開示部分がある程度わかりますが、日本政府は「韓国と日本では次元が違う」と不開示の姿勢を崩さないといいます。
吉沢教授は、韓国側が全面公開したことで文書が利用しやすくなり、日本軍「慰安婦」や徴用工裁判の進展につながっている一方で、日本側は情報量が多いのに不開示部分が多いために現代史研究の進展を妨げていると指摘しました。
( ２０１５年１２月２８日，「赤旗」)
尹外相が未解決強調
【ソウル＝時事】韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相は２７日、日韓請求権協定に関し「われわれの立場は変わりないし、今後も変わらない」と述べ、慰安婦問題は請求権協定の対象外で、解決していないとの従来の考えを強調しました。ソウルで記者団に語りました。
日本は、慰安婦問題は同協定で法的に解決済みとの立場で、２８日の日韓外相会談を控え、改めて見解の差が浮き彫りになりました。
尹外相は「先月の韓日首脳会談を契機に、協議が加速している。この時期に韓日外相会談を行うのは時期的に非常に重要だ」と強調。さらに、「われわれの立場を最大限反映させるよう努力を尽くす。局長級協議に臨む李相徳（イ・サンドク）東北アジア局長に、韓国政府の確固とした立場を指示してある」と語りました。
( ２０１５年１２月２８日，「赤旗」)
「慰安婦」問題が焦点／日韓外相きょう会談
岸田文雄外相は２８日に韓国を訪問し、尹炳世（ユン･ビョンセ）外相と会談します。慰安婦問題の妥結で合意できるかが焦点。「最終決着」と位置付けることを条件に日本側は、元慰安婦への人道支援のための新基金創設や、安倍晋三首相の「おわび」の手紙を届ける案を提起する方針です。日本側は合意内容を文書化することも求め、日韓は２７日、外務省局長級協議をソウルで開き、詰めの調整を行いました。
２７日の局長級協議は、日本から石兼公博アジア大洋州局長、韓国から李相徳（イ・サンドク）東北アジア局長が出席し、約２時間行われました。両局長は協議後、内容について記者団に明らかにしませんでした。
合意文書に関して、慰安婦問題が再び政治問題化することを避けたい日本政府は「包括的かつ最終的な解決」などの文言を盛り込みたい考えです。基金についても韓国側の関与を明確にする狙いから、共同出資を求める案が出ています。
元慰安婦に対する首相のおわびのメッセージの中身や、日本側が求めるソウルの日本大使館前の慰安婦少女像の撤去も調整課題となっています。
( ２０１５年１２月２８日，「赤旗」)
Ｑ＆Ａでわかる宗教と教育・人権・平和／加藤西郷・信楽峻麿・森田俊男・山口和孝・平和・国際教育研究会「宗教と教育」部会編／評者三輪定宣千葉大学名誉教授
歴史的に内心の自由の意義説く
本書は、平和・国際教育研究会の「宗教と教育」部会の編（執筆者２２人）であり、内容は、宗教と教育・人権・平和に関する諸問題が幅広く論じられている。
基調である序章「非暴力・平和の教え」は、会の創始者・初代会長の故森田俊男氏の執筆であり、一人ひとりの内心の自由の大切さと諸宗教、平和の意義が説かれている。
以下、テーマ別に、第１章「宗教」（世界の宗教の種類、カルト、妖怪、新興宗教など）、第２章「宗教と教育」（宗教的行事、宗教に関する寛容、宗教と授業、国公立学校と宗教など）、第３章「宗教と政治」（信教の自由、国家神道、靖国神社、戦時中の教団の態度と宗教者の抵抗、植民地での神社参拝強要、愛媛玉串料訴訟、精神的自由など）、第４章「宗教と社会問題」（ジェンダー、「慰安婦」、環境破壊、自殺、老い、核時代など）と多彩である。
第２～３章は、国家神道や靖国神社の崇拝強要が、戦前の軍国主義化の手段となった痛恨の歴史と対比して憲法２０条の「信教の自由」「政教分離の原則」、教育基本法１５条の国公立学校の宗教的活動禁止の意義を説いており、その歴史的認識を深める手がかりとなる。
戦後７０年の今日、戦争体制の成立、政治の右傾化、「愛国心」教育を推進する「教育再生」、ＩＳ（「イスラム国」）によるパリ同時多発テロなどイスラム教や「テロ戦争」への関心が増大するなどの時代状況で、本書は、生徒をはじめ教職員、市民が「宗教と教育・人権・平和」について考え、学習するための時宜に適った好著である。
編集委員＝信楽峻麿・山口和孝・亀井顕雄・吉川徹忍・築田哲雄
( ２０１５年１２月２７日，「赤旗」)
韓国紙「譲れない線」
【ソウル＝時事】２６日付の韓国各紙は慰安婦問題決着に向けた２８日の日韓外相会談を社説で取り上げました。中央日報は「前向きな結果」に期待しながらも「譲れない線がある」と強調し、「慰安婦の強制連行の事実認定などは最小限、守らなければならない」と主張。「会談が安倍（晋三首相）の歴史修正主義を後押しする形になってはならない」と警戒感をにじませました。
朝鮮日報も「安倍内閣は、慰安婦動員の強制性を認めた『河野談話』を巧妙に否定までした政権」と警戒。「会談で従来の立場を繰り返せば、韓国国民の感情を刺激するだけ」とけん制しました。
東亜日報は「日本側に慰安婦問題を解決したいという誠意があるなら、『国家的責任』を明確にすることが必須条件」と指摘しました。
( ２０１５年１２月２７日，「赤旗」)
〝教育者として若者育てる〟／負けるな北星！の会報告会／札幌
日本軍「慰安婦」報道にかかわった元朝日新聞記者で非常勤講師の植村隆氏を辞めさせるよう脅迫された北星学園大学（札幌市）の応援を続けてきた「負けるな北星！の会」が２３日、札幌市内で報告会を開きました。
来年３月から、韓国の私立大の招聘（しょうへい）教授に就任することが決まった植村氏が報告。「北星を追い出されたわけではない。激しいバッシングはつらかったが、支えてくれる人たちとの出会いがあった。この２年間で私はとても強くなった。来年は教育者として、力を合わせてアジアの未来を切り開いていける若者を育てたい」と述べました。
同会呼びかけ人の荻野富士夫小樽商科大学教授が講演。日本が国民の「戦意」を沸騰させ、侵略戦争への道を突き進んだ１９３０年代に行われた言論弾圧事件と、北星学園大と植村氏への攻撃を比較し、これとたたかう意義を強調しました。
(２０１５年１２月２６日，「赤旗」)
日韓外相、２８日に会談／「慰安婦」問題の妥結目指す
日韓両政府は２５日、岸田文雄外相が２８日に日帰りで韓国を訪問し、尹炳世（ユン・ビョンセ）外相と会談すると発表しました。両国首脳が確認したいわゆる日本軍「慰安婦」問題の早期妥結について、結論を目指します。岸田氏は元「慰安婦」に対する人道措置を拡充する考えを説明する方針。「最終決着」へ日韓がどう折り合うかが焦点となります。
岸田氏は２５日、外務省で記者団の質問に答え、「慰安婦」問題について、「何ができるか、自分としてもぎりぎりの調整を行いたい」と述べ、解決への意欲を強調しました。
「慰安婦」問題をめぐっては、安倍晋三首相と朴槿恵大統領が１１月２日の首脳会談で早期妥結を図ることで一致。韓国側が年内の決着を求め続けてきたことを踏まえ、首相は２４日、岸田氏に訪韓を指示しました。ただ、「慰安婦」問題について日本側が法的には解決済みとしているのに対し、韓国側は「被害者や国民が納得できる解決」を求めており、日韓間には隔たりが残っています。
( ２０１５年１２月２６日，「赤旗」)
「慰安婦」テーマ展示／ニコンの中止は違法／写真家が勝訴／東京地裁
中国に置き去りにされた日本軍「慰安婦」をテーマにした写真展が、会場を運営するニコンによって一方的に中止されたのは不当だとして、韓国人写真家の安世鴻（アン・セホン）さん（４４）＝名古屋市＝がニコンに損害賠償などを求めた裁判の判決が２５日、東京地裁でありました。谷口園恵裁判長は、ニコンの中止決定を違法とし、不法行為があったとして１１０万円の支払いを命じました。
判決などによると、安さんとニコンとの間には会場を使用する契約が成立しており、ニコンが一方的に中止したのは契約違反であり違法であると判断しました。また、ニコン側が中止理由で主張していた抗議や脅迫などによる安さんへの危険などは現実的には考えられず、ニコンは表現の場を提供する義務があったとしました。
安さんは、「表現の場を守る判決が出て何よりもうれしい。戦争や原発など社会問題を発表する場がつぶされることがあってはならない」と語りました。
弁護団の李春熙（リ・チュニ）弁護士は「私企業の施設であっても表現の場を与え、守らねばならないという初の判決だろう。自粛傾向のある世の中の風潮に警鐘を鳴らすものだ」と話しました。
( ２０１５年１２月２６日，「赤旗」)
菅長官「発言控える」
菅義偉官房長官は２４日の記者会見で、韓国憲法裁判所が日韓請求権協定の違憲性を問う訴えを却下したことについて、「政府としてコメントは控えたい。わが国の立場は完全かつ最終的に解決済みであると一貫している」と述べました。
日韓関係をめぐっては、韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相がいわゆる日本軍「慰安婦」問題に関し「もう少し待ってもらえば、結果を報告する時が来る」と発言。菅長官は、協議が近く決着する可能性に関し、「そのような状況については報告を受けていない」とすると同時に、「引き続き粘り強く議論を続けていきたい」と語りました。
( ２０１５年１２月２５日，「赤旗」)
首相が外相に年内訪韓指示／「慰安婦」協議か
安倍晋三首相は２４日、首相官邸で岸田文雄外相と会い、年内に訪韓するよう指示しました。日本軍「慰安婦」問題をめぐる協議が念頭にあるとみられます。日本政府関係者によると、外相は２８日の訪問を軸に韓国側と調整を進めています。
首相は、韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領との先月の会談で、早期妥結に向けて協議を加速させることで合意していました。
( ２０１５年１２月２５日，「赤旗」)
人間の尊厳守る政治を／わたなべ参院選挙区候補訴え／青年と語るトークイベント／東大阪
日本共産党の、わたなべ結参院大阪選挙区候補が青年と語るトークイベント「ＹＵＩは何しに国会へ？」が２２日夜、東大阪市で行われました。
憲法や消費税などに関するクイズを参加者が○×形式で答え、わたなべ氏が丁寧に解説。青年らと交流しました。
参加者から「日本の憲法は現状にあっていないんじゃないか」と質問。わたなべ氏は「武力に頼らないことを決めた憲法９条は先進的なものです」と答えました。憲法違反の戦争法の強行採決などにふれながら「そもそも、現状に沿っていないのは安倍政権が憲法を守っていないからです。憲法の精神通りに政治をすれば、もっと暮らしは豊かになるはずです」と話しました。
わたなべ氏は、韓国を訪れ、元「慰安婦」のハルモニと懇談したことなどを紹介し、人権を無視し、歴史と向き合わない安倍政権を批判しました。
最後に、わたなべ氏は「戦争法推進、改憲勢力を少数に追い込むため、来年の参院選挙で必ず勝ち抜きます。政治に殺されることのないよう、人間の尊厳を守る新しい政治を一緒につくりましょう」と語りました。
(２０１５年１２月２４日，「赤旗」)
「慰安婦」記念館オープン／狭い部屋から悲しみ、恐怖…／中国・南京
中国江蘇省南京市で慰安所跡を利用した旧日本軍の「慰安婦」問題に関する記念館が今月１日にオープンしました。「慰安婦」問題の記念館としては世界最大規模。修復された建物の中の元「慰安婦」たちが押しこめられたであろう狭い部屋に入ると、彼女たちの悲しみや恐怖が伝わってきます。
（南京＝小林拓也 写真も)
南京市中心部の利済巷にできた「南京利済巷慰安所旧跡陳列館」。約２０００平方㍍の敷地に８棟の建物があります。うち２棟は旧日本軍が利用した慰安所でした。
女性たちの「涙」
敷地に入り、まず目に飛び込んでくるのが、壁一面に貼られた元「慰安婦」の顔写真です｡その近くには､日本兵にレイプされ、妊娠させられた「慰安婦」と、彼女に寄りそって泣く２人の女性の銅像があります。その後ろの壁の１０個ほどの大きな水滴が､｢慰安婦｣たちが流した涙を表しています｡
館内では、１６００点以上の文物と約７００枚の写真を展示。中国や韓国、東南アジアの「慰安婦」問題について解説しています。
また、「日本が『慰安婦』の歴史的事実を否定していることが、被害国人民の怒りを呼び起こし、国際社会の批判を招いている」と指摘。「慰安婦」問題に関する資料を国連教育科学文化機関（ユネスコ）の世界記憶遺産に登録する意義を強調しています。
朝鮮半島からも
敷地内には当時、主に日本人「慰安婦」がいた「故郷楼慰安所」と、主に朝鮮半島から連れてこられた「慰安婦」がいた「東雲慰安所」がありました。「東雲」は２階建てで、３０の小部屋に分かれていました。ある部屋には屋根裏部屋が隠されていました。新しく来たばかりの｢慰安婦｣と高級将校が屋根裏に上った後ではしごを外し､｢慰安婦｣を逃げられなくしたと説明されています｡
朝鮮半島出身の元「慰安婦」、朴永心（パク・ヨンシム）さん（２００６年に８５歳で死去）は０３年にここを訪れ、１９３９～４２年にこの慰安所にいたと断言。また、修復の過程で、「慰安婦」らが使っていたとみられる傘や茶わん、包丁などが見つかりました。
記念館は、中国大陸の慰安所跡に造られたものとしては雲南省、黒竜江省に続き三つ目です。上海師範大学中国慰安婦問題研究センターの蘇智良主任は、「ここは『慰安婦』問題についての世界最大規模の記念館だ。旧日本軍の性奴隷制度という反人道的な戦争犯罪を全面的に展示している。参観者は彼女たちの苦難の歴史を理解することができる。ぜひ多くの日本の方に訪れてほしい」と語ります。
中国の「慰安婦」
中国側の研究によると、中国を侵略した日本は各地で慰安所をつくり、朝鮮人や中国人を「慰安婦」にしました。北は黒竜江省から南は海南島、東は遼寧省から西は雲南省とほぼすべてに慰安所が置かれ、中国人の被害者は２０万人に上るといいます。中国大陸にいる元「慰安婦」の生存者は約２０人で、ほとんどが９０歳以上です。
( ２０１５年１２月２２日，「赤旗」)
難民差別本に抗議／市民団体など共同会見
難民や在日韓国人などへの差別、憎悪表現を繰り返す女性漫画家はすみとしこ氏が１９日に『そうだ難民しよう！』（青林堂）を刊行した問題で、これに抗議する共同記者会見が２１日、国会内で開催されました。
会見の主催は「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会（ＢＬＡＲ）」と、「のりこえねっと（ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク）」。
ＢＬＡＲ事務局の岩下結氏（大月書店編集部長）は、青林堂について「一貫して排外主義の書物を出版し続けてきており、差別助長の意志があると考えざるを得ない」と批判。広告を掲載した産経新聞などのメディアに対しても「表現の自由の確保は必要だが、野放しに何でも言っていいわけではない」と指摘しました。
のりこえねっとの辛淑玉共同代表は、この本が「ナチスのやり方を再生産したものだ」と強調。「この本は犯罪であり、私たちの市民社会を攻撃するものだ。書店でこの本が売られ続けるのか、それに向き合って新しい社会をつくるのか、私たちの責任が問われている」と述べました。
( ２０１５年１２月２２日，「赤旗」)
ナチスの標語入れ墨で起訴／ドイツ
【ベルリン＝ＡＦＰ時事】ドイツ検察当局は１６日、ナチスの標語やホロコースト（ユダヤ人大虐殺）の舞台となったアウシュビッツ強制収容所の絵柄の入れ墨を体に彫ったとして、極右・国家民主党に所属する地方議員マルツェル・ツェヒ被告（２７）を起訴しました。
ツェヒ被告が１１月、ベルリン郊外の公共プールでシャツを脱いだ際、入れ墨を写真に撮られました。検察によると、人種的憎悪を扇動した罪に問われており、有罪なら５年以下の禁錮刑を科されます。
被告は、ドイツ中部にあったブーヘンワルト強制収容所の入り口に掲げられた「各人に各人のものを」というドイツ語の標語とアウシュビッツ収容所の入れ墨を彫っていました。
( ２０１５年１２月２１日，「赤旗」)
潮流
日本と韓国は１８日、国交を正常化した日韓基本条約の発効から５０周年を迎えました。韓国外務省によれば、ことし両国で催された記念行事は４１０あまり。ただ、両国とも祝賀ムードに欠けるのが残念です▼最大の懸案となっている日本軍「慰安婦」問題の政府間協議は、解決が越年となる見通し。韓国政府に登録された２３８人の元「慰安婦」は次々と亡くなり、生存者は４６人です▼友好への努力も続いています。江戸時代に李王朝が日本に派遣した外交使節「朝鮮通信使」を国連教育科学文化機関（ユネスコ）の世界記憶遺産に登録しようと、両国の団体が来年３月に共同申請する予定です▼一方で、日本が植民地支配した朝鮮半島の北半部、北朝鮮との国交正常化はめどが立っていません。北朝鮮が国交正常化を初めて呼び掛けたのは１９５５年でした▼その後、北朝鮮が行った核･ミサイル開発､日本人拉致は国交正常化の大きな障害をつくり出しました。２０００年代に国交正常化交渉にかかわった元日本外交官は「日朝国交正常化交渉の課題の多くは国際問題だ」と難しさを吐露します▼朝鮮半島が「敗戦国」の植民地として終戦を迎えたことが南北分断につながり、北東アジア情勢を複雑化させます。北朝鮮の核開発問題の解決をめざす６カ国協議（南北と日米中ロ）の共同声明（０５年）は「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」を明記しています。そのための外交努力は日本政府の歴史的責任でもあります。
( ２０１５年１２月２１日，「赤旗」)
安倍政権の先兵役あらわ／橋下氏会見
大阪市の橋下徹市長は任期満了の１８日、退任の記者会見を開きました。このなかで、憲法「改正」について、「外交・安全保障（の改憲）は安倍政権が進めているが、行政機構の意思決定のあり方が時代についていっていない。その部分の改正は重要」などと力説。「（参院選は）大チャンス。（自民、公明、『おおさか維新の会』で）３分の２を確保するのは非常に大切」とのべ、国政新党「おおさか維新の会」が、改憲で安倍自公政権の先兵役を担う姿勢をあらわにしました。
また、「慰安婦」問題について、「『当時、必要だった』、世界各国必要だった」などと改めて正当化しました。
橋下氏は、５月の住民投票で否決・廃案となった大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想について、「住民投票まででき、『都』構想の『協定書』も一応でき上がっている。ここから反対している人と話をしていくのが吉村洋文新市長の真骨頂」とのべ、「都」構想の実現に執念をみせました。
また、「何かを削って、何かを増やす住民サービスの転換にずっと挑戦してきた」とのべ、３年で４６９億円もの市民向け施策・事業を切り捨てきたことを誇り、「万人から好かれる政治はできない」と開き直りました。
( ２０１５年１２月１９日，「赤旗」)
加害・被害の事実伝える／徳島市
戦争における加害と被害の事実を正しく伝えようと「戦後７０年平和ミュージアムとくしま」が１２、１３の両日、徳島市の徳島大学常三島キャンパスで開かれました。九条の会などの関係者らでつくる実行委員会の主催です。
「７３１部隊」の生体解剖実験の模型や研究データの写真、「従軍慰安婦」を解説したパネルの他、三好市出身の戦没画学生の絵画、松茂町にあった白菊特攻隊の解説のパネルなど多彩に展示。参加者は、資料にじっくり目を通していました。
戦争体験者３人による語りで、通信兵として１９歳でフィリピン戦線に従軍した藍住町の樽家圓一さん（９１）は「多くが無残な死だった。戦争は始めたらいかん」と訴えました。
徳島大学の学生８人が鳴門市のシベリア抑留体験者からの聞き取り調査を発表。引き継ぐべき教訓として「時流に流されず、国家に疑いの目を持ち生きることだ」と結びました。
調査に参加した仙石千尋さん（２０）は「命の大切さを改めて感じた。戦争する国にしたくない」と語りました。
(２０１５年１２月１７日，「赤旗」)
「慰安婦」問題、協議を継続／日韓局長
外務省の石兼公博アジア大洋州局長は１５日、韓国の李相徳（イ・サンドク）外務省東北アジア局長と東京都内で会談しました。いわゆる日本軍「慰安婦」問題など両国の懸案について話し合いましたが、双方は協議の継続を確認して終了しました。日韓が早期の決着を目指す「慰安婦」問題の越年が濃厚になりました。
日韓局長級協議は先月１１日にソウルで行って以来。今後の協議に関して日本外務省幹部は「年内はさすがに無理だ」との認識を示しました。
「慰安婦」問題をめぐっては、安倍晋三首相と朴槿恵（パク・クネ）大統領の先月２日の会談で、早期妥結に向け協議を加速させることで合意。ただ、韓国側に法的責任を認めるよう求める声があるのに対し、日本政府は１９６５年の日韓請求権協定で解決済みとの立場を崩しておらず、溝は埋まっていません。
岸田文雄外相は１５日の閣議後の記者会見で、「慰安婦」問題について「両国にとって極めて敏感で、難しい課題だ。見通しを申し上げることは難しいが、努力を続けていかなければいけない」と述べました。
( ２０１５年１２月１６日，「赤旗」)
ワールドリポート／韓国・大邱市に「慰安婦」歴史館／〝ハルモニのこと忘れない〟
日本軍「慰安婦」問題の解決に尽力する「挺身隊ハルモニ（おばあさん）とともにする市民の会」はこのほど、韓国の主要都市の一つ大邱市に「ヒウム日本軍慰安婦歴史館」を開館しました。韓国には「慰安婦」被害者関連の歴史館として、京畿道広州の「日本軍慰安婦歴史館」、釜山市水営区の「民族と女性歴史館」、ソウル市麻浦区の「戦争と女性の人権博物館」があり、同歴史館は四つ目です。
（大邱〈韓国〉＝栗原千鶴 写真も）
「ヒウム」は「希望を集め、花を咲かせる」という意味の韓国語を短くした造語です。歴史館は２階建てで約２８３平方㍍の規模。目を引くのは日本風の外観です。
日本語常勤スタッフの白宣幸（ペク・ソネン）さん（２９）は「被害者であるハルモニたちが生きた日本の植民地下だった時代、この辺りは日本風の建物が多くありました。その時代を理解できるよう日本風のままにしました」と語ります。
展示は「慰安婦」問題の歴史を、当時の写真や年表を交えて伝え、国内外の被害者の証言映像も見ることができます。「今後は日本語や英語、中国語の説明文も対応したい」（白さん）。
■生きてきた姿
同歴史館の展示の特徴は、大邱市と慶尚北道の被害者２６人（うち生存者は５人）にスポットをあてた点です。被害者たちの被害の実態はもちろん、戦後、支援を受けながら外出する様子の写真や、幼少時に教育を受けることができなかった被害者が名前をハングルで書けるように練習したノートなどが展示され、この地で必死に生きてきた姿を見てとることができます。
白さんは「ハルモニたちが６０代、７０代だったころは支援者と一緒に出かけたりして親しいつきあいでした。高齢になって多くのハルモニが亡くなりました。ハルモニたちのことを忘れない、それが大事だと思う」と語ります。
■日本の活動も
日本の市民団体の活動を紹介したコーナーもあります。「『慰安婦』問題というと、日韓政府の問題で、互いにいがみ合ってばかりだったと思っている人もいます。しかし、日韓市民は解決に向けて力を合わせています」と白さんは言います。
「ここを訪れた日本の方には、ハルモニのことを記憶にとどめてもらい、この問題を女性の人権、世界の平和全体の問題だと感じてもらって、日本での活動に加わってほしいと思います」
同歴史館の建設は２００９年、推進委員会が発足してスタート。「ヒウム」をブランド化し、ハルモニがつくった押し花の模様をモチーフにした柄のポーチなどを販売して資金集めを始めました。
大邱市に歴史館の建設を望んだ被害者の故キム・スンアクさんの遺産が寄付されたり、市や国からの補助金が下りたりするなど、計１３億ウォン（約１億３０００万円）が集まり、開館にこぎつけました。
( ２０１５年１２月１５日，「赤旗」)
女性差別撤廃直ちに／婦団連がリポート発表
日本婦人団体連合会（婦団連）は１２日、女性差別撤廃条約にもとづく国連の女性差別撤廃委員会（ＣＥＤＡＷ）が、来年２月に日本政府の施策実施状況を審議することに向けたリポートを東京都内で発表しました。
日本政府が直ちに実現すべき課題として▽民法の差別的法規の改正▽「慰安婦」問題の解決▽同条約選択議定書の批准―の３点を強調しています。
婦団連の柴田真佐子会長は、「三つの課題は、前回の審議でも実施を強く勧告されています。政府がこれ以上放置することは許されない」と話しました。
リポートは、女性に対する暴力や政治的・公的活動、教育、雇用、健康など１０の分野にわたるもの。政府報告以外に国内の実態を伝えるため、婦団連の加盟団体が共同作成しました。各分野の実情や前回審議（２００９年）以降の差別是正状況、政府見解を明らかにしています。
リポートは総論で、条約の批准以来３０年間、日本の女性差別是正に十分な進展が見られないのは、政府が条約を軽視し、真剣に取り組んでいないからだと指摘。ＣＥＤＡＷの勧告などを誠実に実施し、日本の社会・経済的ルールを国際基準に引き上げることが必要だとしています。
各論では政治参画の遅れ、男女の賃金格差、家事・育児負担の押し付け、家族従業女性の無償労働、夫婦同姓の強制など日本の女性差別の実態を告発しています。
女性差別撤廃条約
１９７９年の国連総会で採択された条約。さまざまな分野における女性差別の根絶を目的とし、法律だけでなく慣習・慣行などの是正も求めています。締約国は今年７月現在１８９カ国。日本は８５年に批准。批准した国に実施状況の報告を義務付けています。報告を審議するのは女性差別撤廃委員会。来年２月に日本政府の「第７回及び第８回報告」を審議します。
( ２０１５年１２月１５日，「赤旗」)
日韓、１５日に局長級協議
日韓両政府は１１日、外務省局長級協議を１５日に東京で開催すると発表しました。日本軍「慰安婦」問題をめぐり、１１月の首脳会談で合意した「早期妥結」に向け意見交換します。日本側は石兼公博アジア大洋州局長、韓国側は李相徳東北アジア局長が出席します。
日韓首脳会談後の局長級協議は先月１１日に続き２回目です。
( ２０１５年１２月１２日，「赤旗」)
「慰安婦」考える映画と講演の会／東京・西東京
東京都西東京市でこのほど、「慰安婦」問題を考える｢映画とお話の会｣が開かれました｡この会は､市民有志が「『慰安婦』とされた女性たちの人権回復は、私たち市民の尊厳ある生へつながっていく事だ｣と企画しました｡
１６歳で日本軍にだまされてとらわれの身となった在日韓国人宋神道さんを描いた映画「オレの心は負けてない」が上映され、「宋神道さんを支える会」の梁澄子（ヤン・チンジャ）さんが講演しました。
梁さんは、「慰安婦」問題の解決は事実に基づき、被害者が納得できる内容であることが必要だと強調。「慰安婦」問題全国行動が作成した「日本政府への要請書」について説明し、協力を呼びかけました。
会には４８人が出席。「『慰安婦』問題の事実が聞けて良かった」「宋さんが『戦争はしてはいけない』と言っていたことが心に残った」「より正しい情報を求めて考え行動したい」などの感想が聞かれました。
(２０１５年１２月１１日，「赤旗」)
「慰安婦」本起訴／学問の自由と別／韓国・学者ら会見
【ソウル＝時事】韓国の学術書「帝国の慰安婦」の著者、朴裕河（パク・ユハ）世宗大教授が名誉毀損（きそん）罪で在宅起訴されたことをめぐり、同書を批判する学者らが９日、ソウルで記者会見しました。学者らは「原則として法的に刑事責任を問うのは適切でない」としつつも、今回の起訴が学問の自由への弾圧だという批判は当たらないという考えを示しました。
金昌禄（キム・チャンロク）慶北大教授は、起訴は国家権力が直接特定の人物を狙い撃ちしたのではなく、元慰安婦の告訴に基づくものだと強調しました。
( ２０１５年１２月１１日，「赤旗」)
著者への起訴、議論に／『帝国の慰安婦』めぐり／韓国
【ソウル＝栗原千鶴】日本軍「慰安婦」問題を扱った世宗大学の朴裕河（パク・ユハ）教授が、自著『帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘争』の記述をめぐり、元「慰安婦」の被害者らに対する名誉毀損（きそん）罪で韓国検察に在宅起訴された問題が、韓国国内で議論を呼んでいます。
ソウル東部地検は１１月、「慰安婦」と日本軍が「同志的関係にあった」などとする記述が、被害者の名誉を傷つけ「学問の自由を逸脱した」としました。
朴氏は２日、記者会見し「同志的関係」について、植民地支配下の朝鮮人女性が「日本帝国の一員」だったことを浮き彫りにするための記述だったと説明。これまでも多くの被害者と交流してきたと述べ、「当事者への配慮を欠いた本は書いていない」と反論しました。
また同日、朴氏の起訴に対して教授や小説家など１９２人が、「研究や発言の自由が制限される」と起訴に反対する声明を発表しました。
この声明に対し、告訴した被害者らが生活する「ナヌムの家」は３日、「学問の自由の問題ではなく、誤った表現が被害者の名誉を傷つけたかどうかの問題だ」「被害者の苦痛に対する認識が欠如している」と批判しました。
起訴前に、朴氏と話し合いが行われ、「誤った表現を使わないでほしい」と被害者が要求しましたが、朴氏が拒否したといいます。ナヌムの家側は、「学問の自由は、完璧に保障されなければならないが、学問の自由の名を借りて、事実と異なる表現で被害者に苦痛を与え続ける行為は許してはならない」と訴えています。
初公判は今月１４日に行われます。
( ２０１５年１２月０８日，「赤旗」)
ワールドリポート／中国・武漢／旧日本軍慰安所跡を訪ねて／３００人の「慰安婦」が生活
歴史建築として保存へ
中国湖北省の省都・武漢の中心部に、旧日本軍が第２次世界大戦中、管理していた慰安所の跡があります。戦後７０年たった現在でも、この一角は当時の建物が残されており、外観もほぼそのまま。武漢市関係者によると、この場所は歴史建築として保存される見込みです。
（武漢＝小林拓也）
武漢を東西に流れる長江（揚子江）の北側、漢口地区の大通り・中山大道に面した「積慶里」と呼ばれる一角。１万平方㍍以上の敷地に２階建ての古いアパート群が並んでいます。向かい合う部屋の窓から窓にわたって洗濯物が干されており、多くの人が住んでいるのがわかります。
占領直後に物色
武漢は、日本の中国侵略が本格化する中、１９３７年１２月に陥落した南京に続き、３８年１０月に日本軍に占領されました。
日本軍は占領直後から、市内で慰安所を設置する場所を物色。２０年ごろに資産家によって建てられたレンガ造りの積慶里に目を付け、「漢口特殊慰安所」と名付けました。
ここには日本人や朝鮮人が運営する２０余りの施設（図参考）がありました。武漢に約６０カ所あったとされる慰安所の中で最大でした。日本の敗戦までの７年間にわたり慰安所として使われ、常に約３００人の「慰安婦」がいました。うち日本人と朝鮮人が半々だったといいます。
外観当時のまま
武漢の近現代史に詳しい民間歴史研究者の王汗吾さん（６４）によると、積慶里の建物の中は住民によって改装されたものの、外観はほぼ当時のままです。ただ、住民の多くはこの場所が元慰安所だったことを知らないといいます。
敷地内の南側には公園があり、亡くなった「慰安婦」の供養塔などがありました。しかし、いまは公園の跡地に高校の校舎が建てられ、供養塔も取り壊されました。
王さんは「慰安所跡が当時のまま保存されている場所は中国でも少ない。ここの建物は保存していきたい」と語りました。
漢口特殊慰安所は、元武漢兵站（へいたん）副官、山田清吉著『武漢兵站』（７８年、図書出版社）や元漢口兵站司令部・軍医大尉、長沢健一著『漢口慰安所』（８３年、同）などで、軍による管理の状況が詳しく描かれています。
( ２０１５年１２月０４日，「赤旗」)
慰安婦問題著者、起訴に抗議
【ソウル＝時事】旧日本軍の慰安婦問題を扱った「帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘争」の著者で、名誉毀損（きそん）罪で起訴された世宗大の朴裕河（パク・ユハ）教授が２日、ソウルで記者会見し、「人権に反する非人道的な捜査と起訴に強く抗議する」と訴えました。
( ２０１５年１２月０３日，「赤旗」)
（11月ヘッドライン）
「ＮＥＷＳ２３」と岸井氏攻撃の意見広告／「権力は踏み込まず」が原則／上智大学教授（メディア論）音好宏さん
『帝国の慰安婦』の著者朴裕河さん起訴に抗議／研究者ら有志が声明
「戦時性暴力」根本解決願う／被害者支援２５年を語る／韓国挺対協講演会
侵略の歴史、現地で学ぶ／青年が韓国ツアー／上／歴史の真実をゆがめる日本政府／変えるのが私たちの仕事
侵略の歴史、現地で学ぶ／青年が韓国ツアー／下／ハルモニたちのたたかい紹介／植民地支配と向き合って
韓国各界・各層の人々との関係発展／日本共産党、全方位の野党外交／緒方副委員長と笠井衆院議員が対談
憲法破壊〝許さない〟／さいたま／山梨・韮崎／群馬・太田／横浜
「慰安婦」問題／日韓議連決議の立場で一歩踏み出すのが大切／山下氏が強調
日韓首脳会談／「慰安婦」問題、交渉を加速／朴大統領、被害者の納得できる解決を
日中韓３年半ぶり首脳会談／定例化一致／共同宣言で「歴史直視」
戦後７０年北東アジアの平和―歴史をふまえ未来を展望する／建国大学での講演／要旨
11月（本文）
「ＮＥＷＳ２３」と岸井氏攻撃の意見広告／「権力は踏み込まず」が原則／上智大学教授（メディア論）音好宏さん
意見広告は「ＮＥＷＳ２３」の岸井成格さんが放送法第４条に違反していると言っています。明確な個人攻撃です。
なぜ「産経」や「読売」というメディアでああいう広告が載せられてしまうのか。背景には、いまの政治権力のメディアに対する向き合い方が、以前よりも露骨になっていることがあると思います。
まず「慰安婦問題」で「朝日」を攻撃し、次にＮＨＫと「報道ステーション」（テレビ朝日）に向かい、〝次はおまえだぞ〟と脅す。自分たちをうるさく批判するメディアは個別に攻撃し、擦り寄るメディアはいろんな形で積極的に扱う。今回の意見広告も、こうした安倍政権の特徴に呼応する形で出されたものだと思っています。
意見広告に書かれている「多様な情報や意見」が出てくることはいいことです。世の中の多様な意見を提示するのがメディアの役割で、そのために放送法第４条で「政治的に公平であること」と書かれているのです。しかし、番組の内容に政治権力が踏み込まない、という放送法の概念やその歴史的経緯を十分理解しているか疑問です。
放送法の解釈については、意見広告が出される前の６日、ＢＰＯ（放送倫理・番組向上機構）の放送倫理検証委員会で、「政府が個別の番組内容に介入することは許されない」という考え方を提示しています。これと比べてみると、意見広告のおかしさが際立っていることは確かです。
( ２０１５年１１月３０日，「赤旗」)
日韓議連の額賀氏、韓国首相と会談
【ソウル＝時事】日韓議員連盟会長の額賀福志郎元財務相は２６日、韓国の黄教安首相と会談しました。黄首相は、従軍慰安婦問題などについて「日韓議連としても解決に向けて努力してほしい」と要請しました。
額賀氏は「これまでも真摯（しんし）に取り組み努力してきた。韓国側も譲るべきものは譲り、共通の解決策を模索するよう努力してもらいたい」と応じた。額賀氏は日本政府特派大使として、故金泳三元大統領の告別式に参列しました。
( ２０１５年１１月２９日，
元朝日記者が韓国の大学へ／北星学園大発表
日本軍「慰安婦」報道に関わった元朝日新聞記者の植村隆氏（５７）が非常勤講師を務める北星学園大（札幌市）は２６日、植村氏が今年度で非常勤講師を辞め、来年３月から韓国の私立大の招聘（しょうへい）教授に就任すると発表しました。
北星学園大によると、植村氏が勤務するのは韓国カトリック大学校で、北星学園大の提携校といいます。任期は来年３月から１年。植村氏から１９日に申し出がありました。
昨年から北星学園大には、植村氏を辞めさせないと学生に危害を加えるとの脅迫が続いていました。田村信一学長は記者会見で、「大学への攻撃は日本の大学の在り方に対する挑戦だった。この問題を総括し、社会に発信したい」と話しました。
( ２０１５年１１月２７日，「赤旗」)
『帝国の慰安婦』の著者朴裕河さん起訴に抗議／研究者ら有志が声明
『帝国の慰安婦』の著者の朴裕河（パク・ユハ）世宗大学教授が同書の記述を理由に、ソウルの地方検察庁から１８日に名誉毀損（きそん）で起訴された問題で、東京大学名誉教授の上野千鶴子、作家の中沢けい氏などの研究者、作家、ジャーナリストの有志が２６日、都内で抗議する声明を発表しました。
声明は、韓国の検察の起訴を「特定の歴史観をもとに学問や言論の自由を封殺する」と批判し、「言論に対しては言論で対抗すべきであり、学問の場に公権力は踏み込むべきではない」とのべています。
声明は裁判所の「民主主義の常識と良識に恥じない判断」を求め、日本と韓国の活発な議論を望んでいます。
上野さんは「著作に全面的に賛成ではないが、書物が法廷で裁かれることに危機感を持つ」と述べました。
声明への賛同者は、作家の大江健三郎氏、元官房長官の河野洋平氏など５４人（２６日現在）です。
出席した賛同者は、上野、中沢両氏のほか、東京大学教授の小森陽一さん、日本国際交流センターの若宮啓文さん、共同通信客員論説委員の安尾芳典さんです。
( ２０１５年１１月２７日，「赤旗」)
５カ国、慰安婦問題で議会連合創設
【ニューヨーク＝時事】従軍慰安婦を含め、紛争地域や自然災害被災地での「性犯罪撲滅」のための啓発を目的として、カナダや米、韓国など５カ国の議員が２３日、議会連携組織「性奴隷制の犠牲者のための国際議会連合」を発足させました。マイク・ホンダ米下院議員ら創設メンバーが同日、国連本部で記者会見し、いわゆる従軍慰安婦問題で事実を明らかにし、日本政府に公式謝罪を求めることを最初の活動目標に据える方針を明らかにしました。
韓国系のカナダ上院議員ヨナ・マーティン氏が組織運営委員会の議長を務めます。カナダと米韓のほか、英国とニュージーランドの議員も創設メンバーに加わりました。マーティン氏は会見で声明を読み上げ、「日本の従軍慰安婦問題の解決は将来の世代が戦時の女性の人権問題に対処するためのモデルとなるだろう」と述べました。
マーティン氏は５カ国以外の国の議員にも参加を呼び掛けました。
( ２０１５年１１月２５日，「赤旗」)
差別撤廃・安保法制廃止を／ＮＧＯ日本女性大会決議
日本の女性全国組織３６団体が加盟する国際婦人年連絡会は２２日、東京都内でＮＧＯ日本女性大会を開き、３５０人が集まりました。２０３０年までにあらゆる分野で女性比率を５０％にする「２０３０５０」の実現や安保法制（戦争法）廃止などの行動目標を決議しました。
開会あいさつで、連絡会世話人の山口みつ子さんは「私たちは、憲法をもとに活動してきました。安保法制の影響を被るのは若者たちです。若者の目線で問題を共有したい」と語りました。
パネルディスカッションで、立憲デモクラシーの会の中野晃一・上智大学教授が「安保関連法案反対の運動では、ママの会など女性が重要な役割を担った。シールズなど若者たちは男女一緒に活動していた」とのべました。
若い参加者が目立ち、就職活動中の女子大学生は「コース別人事や地域限定職などで女性が低処遇に誘導されている」と発言しました。
大会決議では、女性差別撤廃の取り組み、安保法制の廃止、沖縄の基地縮小・撤去、「慰安婦」問題の根本的解決、雇用差別禁止や労働時間短縮、子どもの貧困根絶―などを掲げました。
日本共産党の高橋千鶴子、梅村さえこ両衆院議員、民主党、無所属の国会議員が出席しました。
( ２０１５年１１月２４日，「赤旗」)
「戦時性暴力」根本解決願う／被害者支援２５年を語る／韓国挺対協講演会
日本軍「慰安婦」問題解決全国行動は２２日、尹美香（ユン・ミヒャン）韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会（挺対協）常任代表を招き、挺対協の２５年を語る講演会を東京都内で開きました。会場いっぱいの１００人を超える人が参加しました。
尹氏は、挺対協が発足した当時は韓国・日本でも注目されていなかった日本軍「慰安婦」問題を、被害者とともに解決のための運動を国際的に展開し、同時に被害者への経済的・心理的支援を今日も絶えず行っていることを説明。挺対協は「日本の軍国主義復活の動きを憂慮している」として、「挺対協は民間レベルでできる救済で、何ができるかを追求してきた。根本にある構造を変えないと『戦時性暴力』の被害は絶えず生まれ、永遠に救済が必要になる」として根本的な解決を求めました。
一方で、日本では挺対協が「反日団体」などと誹謗（ひぼう）中傷を受けていることを指摘し、「疑念を払しょくするための説明が必要なこと自体が、この問題をとりまく現状を表している」と危惧しました。
講演後の会見で、尹氏は「日本政府は被害者の願いを正確にくみ取った解決策を」と訴えました。
( ２０１５年１１月２３日，「赤旗」)
慰安婦問題柔軟姿勢
【ソウル＝時事】ワシントンを訪問した韓国の趙兌烈（チョ・テヨル）外務第２次官は１９日、米国の朝鮮半島問題専門家らと懇談し、日韓関係について「慰安婦問題解決が他の分野の協力進展のための『関門』ではあるが、前提条件ではない。関係改善に向け、努力を続ける」と柔軟な姿勢を示しました。
韓国外務省が２２日、発表しました。
慰安婦問題が解決すれば各分野の協力をより加速できるが、解決していなくても日本と協力しないわけではないと韓国の立場を米側に説明しました。
対中政策に関しては「強固な韓米同盟を土台に、未来への投資という長期的、戦略的な意味で行っている」と強調。韓国は中国寄りになっていると疑う一部の見方を否定しました。
( ２０１５年１１月２３日，「赤旗」)
「慰安婦」問題どう解決／日韓の歴史学者が討論会
歴史学者などでつくる「日韓歴史問題に関する日本知識人声明の会」は２０日、国会内で日本軍「慰安婦」問題の解決案がどうあるべきかの討論会を開きました。同会は「村山談話」と「河野談話」の継承を日本政府に求める声明を６月８日に発表しています。
アジア女性基金専務理事を務めた和田春樹東京大学名誉教授は、解決案の共通条件は「河野談話」とアジア女性基金の事業の評価だとし、「『基金』が問題解決にならなかったという経験から出発するしかない」と述べました。
鄭在貞（チョン・ジェジョン）ソウル市立大学教授は、被害者と韓国国民が納得する解決のために、日韓両政府、両国の支援団体の４者で意思疎通を図ることを提案。「なにより大切なことは被害者の尊厳と名誉を回復する心のケアだ」と話しました。
１９９２年に山口地裁下関支部に「慰安婦」被害者などが提訴し、一部勝訴した裁判の支援をしてきた花房俊雄さん(７１)は「多くの被害者は無念のうちに亡くなっており、一日も早い解決が迫られている。被害者に会って、直接謝罪することが被害者の望んでいることだ」と語りました｡
「慰安婦」問題をめぐっては２日の日韓首脳会談で、早期妥結に向けて交渉を加速することで一致しています。
( ２０１５年１１月２２日，「赤旗」)
「帝国の慰安婦」著者を在宅起訴／韓国検察
【ソウル＝時事】韓国のソウル東部地検は１９日までに、旧日本軍の慰安婦問題を扱った韓国の学術書「帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘争」の著者、世宗大の朴裕河（パク・ユハ）教授を名誉毀損（きそん）罪で在宅起訴しました。
元慰安婦らは昨年６月、朴氏が同書で慰安婦を「自発的な売春婦」「日本軍と同志的な関係にあった」などと描写し、侮辱したとして、刑事告訴しました。検察は、河野官房長官談話や国連の報告書などを根拠に、「元慰安婦は性奴隷に等しい被害者であり、日本軍に自ら協力したわけではない」と指摘。「本に虚偽の内容が含まれ、被害者の名誉を傷つけ、学問の自由を逸脱した」と説明しました。
( ２０１５年１１月２０日，「赤旗」)
慰安婦像の撤去要求
今月２日にソウルで行われた日韓首脳会談で、安倍晋三首相が朴槿恵大統領に対し、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の撤去を要求していたことが分かりました。日本政府関係者が１９日、明らかにしました。
約３年半ぶりの首脳会談で、両首脳は慰安婦問題の早期妥結を目指し、交渉を加速させる方針で一致。その際、首相から大統領に直接、大使館前の慰安婦問題を象徴する少女像の撤去を要求。首相は米国にある慰安婦像に関しても何らかの対応を求めたといいます。
菅義偉官房長官は１９日の記者会見で「会談の内容については対外公表しないというのが韓国側との合意だ」とした上で、「両首脳の合意に基づき、慰安婦問題を含む諸懸案について引き続き（韓国側と）議論しているところだ」と述べました。
慰安婦像は、韓国の民間団体が２０１１年、大使館前の歩道に設置。日本政府はこれまで、再三にわたって撤去を要求。韓国政府は「民間が設置した。政府は関与できない」と述べるなど、撤去に否定的な考えを示しています。
( ２０１５年１１月２０日，「赤旗」)
「慰安婦」妥結へ努力
菅義偉官房長官は１３日の記者会見で、韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領がメディアとの書面インタビューで日本軍「慰安婦」問題の早期解決を日本政府に求めたことについて、「現実問題として日韓関係の障害になっていることは事実だ。妥結に向けて今、努力をしている」と述べました。菅長官は同時に、「わが国として、この問題が法的には解決済みという立場に変わりはない」とも語りました。
( ２０１５年１１月１５日，「赤旗」)
対日訴訟の「慰安婦」張先兔さん死去
【北京＝小林拓也】第２次世界大戦中に、中国山西省で旧日本軍の「慰安婦」にさせられ、対日賠償請求訴訟に参加した中国人被害者１６人のうち唯一の生存者だった張先兔さんが１２日、山西省盂（う）県の自宅で亡くなりました。８９歳でした。
張先兔さんは１９９８年に謝罪と賠償を求めて日本政府を提訴。２００７年の最高裁で敗訴が確定しました。
( ２０１５年１１月１５日，「赤旗」)
侵略の歴史、現地で学ぶ／青年が韓国ツアー／上／歴史の真実をゆがめる日本政府／変えるのが私たちの仕事
福岡、佐賀両県の青年党員、民青同盟員ら１３人が韓国スタディーツアー（９月１２～１４日）を行い、いせだ良子参院比例候補も参加しました。ツアー実行委員会の宮崎雄士さん（民青福岡県委員長）の報告です。
福岡･佐賀の１３人
ツアーは、戦後７０年の節目である今年、日本の侵略戦争の歴史に向き合い、真実を学ぶとともに、実際に加害の歴史を現地でつかみ、これからの日本の平和について考える場にしたいという思いから出発したものです。
毎月実行委員会を開催し、事前学習として、「日本軍『慰安婦』の歴史と実相について」「歴史問題をどう解決するか」「近現代史と日本共産党」などテーマを決めて学ぶことを大事にしてきました。
朝鮮半島を侵略する中で日本軍がどんな愚行をはたらいてきたか、日本軍「慰安婦」とされたハルモニ（おばあちゃん）たちの話や女性国際戦犯法廷で裁かれた内容など歴史に沿って学びました。
朝鮮王朝儀軌の返還など日本共産党が歴史に向き合い、両国間のパイプ役として果たした役割もつかむことができ、党が植民地支配の打破を掲げ、侵略戦争に命がけで反対を貫いてきたことが、韓国で深い信頼を築いていることも知ることができました。「しっかりと歴史に向き合いたい。学びたい」との意欲を高め、ツアーに臨みました。
ツアーではまず、日本軍「慰安婦」とされた被害者たちが共同して暮らしているナヌムの家に行きました。
「悪いのは政府」
そこで出会った朴玉善（パク・オクソン）ハルモニの話は、想像を絶する体験の上での悲しみと怒りにあふれたものでした。
われわれを前に「悪いのは政府、あなたたちじゃない。早く問題が解決できるようにみんなに知らせてほしい。いつでもまたいらっしゃい」「（私たちが持参した日本・韓国平和と書いたボードを一緒に持って）一番好きな言葉は平和。平和のために頑張りましょう」と声をかけてくれたことは忘れることができません。
私たちが日本で、戦争法案の廃案と、安倍政権の退陣をもとめる運動をしていることと、日本の多くの若者も声をあげ立ち上がっていることも紹介すると、ニコニコしながら何度もうなずいてくれていました。
傷つきながらも思いだし、苦痛の体験を話し、差別をうけてもたたかうハルモニを前に、「慰安婦はいない」「軍は関与していない。自ら望んでなったもの」と事実をゆがめる日本政府と政治家への怒りは増し、日本政治を変えることがわれわれに求められていることだと再認識することができました。（つづく）
(２０１５年１１月１３日，「赤旗」)
侵略の歴史、現地で学ぶ／青年が韓国ツアー／下／ハルモニたちのたたかい紹介／植民地支配と向き合って
福岡、佐賀の青年のスタディーツアーで最初に訪れたナヌムの家では、ソウル市内の大学の学生が大勢ボランティアに参加しており、片言の英語で交流することもできました。
日本の憲法９条を知らない学生もいましたが、「安倍首相」という名前を出すと顔をゆがめ、一瞬ピリっとした空気になりましたが、私たちの今回のツアーの目的と、「事実を学びたい」との思いを伝えると打ち解け、交流することができました。
国民レベルでも
私たち国民レベルでも、話し合って理解しあい、誤解を解き、戦争ができない状態をつくることは可能じゃないかと考えることができました。
次に向かった先は西大門刑務所でした。植民地時代にたたかった朝鮮人たちを閉じ込め拷問した刑務所です。以前設置されていた当時の拷問の様子を伝える人形などの多くが撤去されていたことは残念でしたが、座ることのできない狭く暗い箱や高い天井につるされた首をかけるひも、独房の続く廊下、そのどれもが当時の悲惨な弾圧の痕を物語っていました。
天皇制のもとで反戦・平和を貫きたたかった党の先輩たちの歴史は学ぶことがありましたが、国が違えど同じ思いでたたかった人たちの歴史を知らないことが認識できたので、今後学びたいという気持ちになりました。
怒りがこみあげ
また、戦争と女性の人権博物館は２０１２年に開館したばかりの新しい博物館でした。日本軍「慰安婦」の証言をもとにした真相や実態、何よりもこの「慰安婦」制度が明らかに日本軍国主義による、組織的な国家犯罪であることが、日本軍の文書や手紙などの資料でよく分かり怒りがこみあげてくるものでした。
立ち上がったハルモニたちのたたかいの歴史も紹介され、展示の最後には１９９２年から始まった日本大使館前での水曜行動の映像が流されていました。連帯が広がっている様子もわかり、とても励まされると同時に、日本でもっと運動を広げていかなければという思いも強くしました。
今回、ツアーの発起人で参加者でもある、いせだ良子さんはこう感想を語っています。
「私は日本人として、これまで日本が行ってきた侵略と植民地支配、歴史と誠実に向き合い、これからの活動をすすめていきたいと決意を新たにすることができました。歴史の真実に目を背けることなく、反省すべきところは反省し、日本の教科書にきちんとしめし、しっかり私たちが引き継いでいくこと、そして日本軍『慰安婦』のみなさんに心を寄せた具体的な措置を政府にもとめる必要があると感じます。来年夏の参院選の比例候補者として、戦争法廃止の国民連合政府の実現にむけてがんばっていきます」（おわり）
(２０１５年１１月１４日，「赤旗」)
「慰安婦解決を要求」
【ソウル＝時事】韓国の韓昇洙（ハン・スンス）元首相は１２日、従軍慰安婦問題で朴槿恵（パク・クネ）政権が日本に早期解決を求めていることについて、「韓国の若い層の要求と理解してほしい」と述べ、日本側に前向きな対応を促しました。ソウルでの時事通信など日中韓３カ国報道機関の共同取材で語りました。
日本政府は慰安婦問題に関し、１９６５年の日韓請求権協定で「解決済み」との立場を取っています。韓氏は「日本では朴大統領が（慰安婦問題に）こだわっていると思われているかもしれないが、そうではない。大統領は国民、特に若者の考えを代表している」と話しました。
一方、韓氏は「韓国にとって日本ほど価値観を共有する国はない」として、両国関係をさらに強めるべきだと強調。地球温暖化問題や災害対策で、中国も含めた３カ国の連携強化も呼び掛けました。
韓氏は李明博（イ・ミョンバク）政権で最初の首相を務めました。
( ２０１５年１１月１４日，「赤旗」)
韓国大統領、慰安婦問題で早期の進展期待
【ソウル＝時事】韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領は、従軍慰安婦問題について「早期に目に見える進展があるよう期待する」と述べ、「過去の傷を癒やすことのできる決断」を下すよう安倍晋三首相に求めました。大統領府が１３日、聯合ニュースなどとの書面インタビューの内容を公表しました。
２日の日韓首脳会談では、早期妥結に向けた協議の加速化で合意しました。
大統領は「この問題が一日も早く解決されなければ、日本政府にとっても大きな歴史的負担になる。また、日本の未来の世代にも、大きな重荷を背負わせることになる」と指摘しました。
安倍首相は首脳会談で「この問題が将来の世代の障害にならないようにすることが重要だ」と強調しており、こうした認識を意識した発言とみられます。
朴大統領はさらに、「（慰安婦問題は）単純な韓日間の問題ではなく、普遍的な女性の人権問題だ」と位置付け、「問題を認めないまま、先送りするのは世界的な感覚にもそぐわない」とけん制しました。
( ２０１５年１１月１４日，「赤旗」)
慰安婦問題で日韓局長級会談
【ソウル＝時事】外務省の石兼公博アジア大洋州局長は１１日、韓国外務省の李相徳東北アジア局長とソウルで会談しました。いわゆる従軍慰安婦問題が主要テーマ。日韓間の立場の違いを確認する一方、次回会合をできるだけ早期に行う方向で調整することで一致しました。
局長級協議は、２日にソウルで行われた日韓首脳会談で、安倍晋三首相と朴槿恵（パク・クネ）大統領が慰安婦問題の早期妥結に向けた協議の加速化で合意して以降、初めて。
石兼局長は協議終了後、記者団に「２時間にわたり、いわゆる慰安婦問題を含め率直に意見交換した。双方の立場、意見の隔たりを確認した上で、接点を探る努力をした」と説明。「有意義だった」と評価するとともに、今後の協議に関し、「この問題は日韓関係発展の障害になっているという（両首脳の）認識を踏まえ、早急に解消するための努力をしていく」と強調しました。
( ２０１５年１１月１２日，「赤旗」)
大学人９条の会、憲法講演会開く／富山
大学人９条の会（富山）は７日、富山市で憲法講演会を開きました。７５人が参加しました。
「平和憲法の現代的意義―軍事力と平和は相容（い）れない」と題して講演した同志社大学大学院の岡野八代教授は、日本軍「慰安婦」問題とアメリカの行う戦争を例に日本国憲法の意義について語りました。
安倍晋三首相らが日本軍「慰安婦」を否定しようとすることについて岡野氏は、日本が戦争に参加するためには戦前の日本軍が合法的に性奴隷や人権侵害などを行ったことが不都合だと考えているからだとのべました。アメリカについては、軍需産業の影響力が大きく、戦争が必要な産業構造になっていると指摘。グローバリゼーションに加わらない国や地域を、アメリカのルールに従わせるために戦争をしかけていると話しました。
岡野氏は、戦争する国家と立憲民主主義は絶対に相いれないことを強調。安倍政権は来年３月の戦争法施行に向けて着々と戦争の準備をすすめているが、施行させないよういまこそ市民ががんばらないといけないと訴えました。
参加者からは「自民党の憲法草案は、権力の主体を国民から国家に移行するというもので、クーデターではないか」などの意見が出されました。
(２０１５年１１月１１日，「赤旗」)
日韓が局長級協議開催へ
日韓両政府が１１日にもソウルで外務省局長級協議を開催することが分かりました。両国政府関係者が１０日、明らかにしました。慰安婦問題をめぐり、安倍晋三首相と朴槿恵大統領が２日の首脳会談で合意した「早期妥結」に向け、双方の接点を探るとみられています。
日本側は石兼公博アジア大洋州局長、韓国側は李相徳東北アジア局長が出席。局長級協議は、９月１８日に東京で行って以来です。
( ２０１５年１１月１１日，「赤旗」)
アベチャンネルいや／３５０人がＮＨＫを包囲／東京
ＮＨＫの政権擁護報道がひどすぎると７日、渋谷区のＮＨＫ放送センター前で抗議行動が行われ、市民ら約３５０人が｢ＮＨＫをアベチャンネルにするな｣｢籾井会長はやめろ｣と声を上げました｡抗議後､渋谷駅周辺をデモ行進しました｡主催は､視聴者団体などでつくる実行委員会｡
主催者の一人、今井潤さん（放送を語る会代表）は「現場からは、上層部のクレームで放送中止や延期があちこちで起こっていると伝わっています。制作現場の自由な言論活動を保障し、創造的な活力を取り戻してほしい」と呼びかけました。
リレートークで７人が発言。元ＮＨＫディレクターの池田恵理子さんは、１０月２５日に放送された「ＮＨＫスペシャル～第一次世界大戦」について「フランス軍兵士を相手にした女性を『慰安婦』とさらっと呼んだ。どこにでも『慰安婦』はいたと言った籾井会長と同じ内容だ」と批判。「ＮＨＫで働く人と連帯を。まずは籾井会長にやめてもらうしかない」と訴えました。
インターネットで知って参加したという女性（４１）は「震災以降、ＮＨＫの報道が政権寄りではないかとずっと感じていました｡(ドイツ国民を扇動した）ナチスのようなやり口にＮＨＫは加担すべきではないと思います」。
全国各地でも 同日、ビラ配布や宣伝などの行動が広島、神戸、大阪、京都、奈良、大津、水戸、福島などの各ＮＨＫ前や周辺で取り組まれました。事前に福岡、岐阜、名古屋で宣伝や申し入れをしています。
( ２０１５年１１月０８日，「赤旗」)
韓国各界・各層の人々との関係発展／日本共産党、全方位の野党外交／緒方副委員長と笠井衆院議員が対談
日本共産党の志位和夫委員長が１０月２０～２３日、韓国の首都ソウルを訪問しました。志位氏の訪韓は２００６年９月のアジア政党国際会議（ＩＣＡＰＰ）総会出席から５回目。今回は志位氏の著書『戦争か平和か』韓国語版を出版した建国大学の招請で講演し、「日韓親善友好の集いｉｎ Ｓｅｏｕｌ」（日韓、韓日の両親善協会と在日本大韓民国民団〈民団〉が主催）に出席しあいさつしました。訪韓に同行した緒方靖夫副委員長と笠井亮衆院議員が、これまでの日本共産党と韓国の各界・各層の人々との関係発展について語り合いました。
「反共」の国是―困難を乗り越えて
緒方 わたしたちの野党外交の中で、韓国との関係が大きく発展してきたなと痛感します。韓国は１９８７年に民主化宣言し、９１年に国家保安法が緩和されて外国の共産党との交流の法的条件が生まれました。でも「反共」国是から抜けるのは容易ではなく、歩みは慎重でゆっくりとしたものでした。困難を乗り越えながら進んできました。
笠井 象徴的なのは、９８年に金大中（キム・デジュン）大統領が訪日したとき、不破哲三委員長と志位和夫書記局長が国会で会ったこと。９７年には松本善明議員が国会代表団員として列国議会同盟（ＩＰＵ）のソウル総会に出席しました。日本軍「慰安婦」問題や歴史教科書問題で交流があるときは、吉川春子議員や西山登紀子議員が活躍しました。
緒方 それを前後して韓国メディアが相次いで不破さん、志位さんにインタビューする。９８年から日韓国会議員サッカー大会に穀田恵二議員や宮本岳志議員が参加し、これが続きます。９２年から赤旗記者が取材ビザを受けられるようになりました。一つ一つステップを踏んできました。
理解と共感が広まり心通う友好関係が前進
笠井 建国大学での講演で、昨年の高麗大学での講演に続き大学との交流が広がりました。志位さんが訪問するたびに日本共産党に対する韓国の方々の理解と共感が広まり、心通う友好関係が前進しています。
緒方 歴史問題での立場や、北東アジアの平和と安定を築く道筋について、日本共産党の主張が違和感なく韓国の方々から共感を得ていると感じました。安倍政治への怒りが韓国にもあって、国民連合政府の提案をしている日本共産党への理解が深まる訪問になったのではないでしょうか。
笠井 建国大学での講演で祝辞を述べてくれた崔相龍（チェ・サンヨン）元駐日大使は、金大中大統領が訪日した際の特別随行員でした。この時の「日韓パートナーシップ共同宣言」が両国関係前進の基礎になりましたが、宣言の起草にかかわった方です。大統領歓迎夕食会で、崔さんの隣に不破さんが座り、その隣に志位さんが座ったという思い出話をしていました。
２０００年の日本共産党第２２回大会には民団代表が来賓として初参加し、「共産党の大会に来るとは夢にも思わなかった」と語りました。今回の「日韓親善友好の集い」の朝食会では、民団顧問との間で当時のことが大いに話題になりました。
こうした交流も、日本共産党と韓国の関係が深まり、広がってきた背景にあるでしょう。
緒方 国会派遣の訪韓ではなく、党独自の最初の訪問として、私は０１年に仁川で開かれた「北東アジア知識人連帯運動国際会議」に出席しました。金大中政権で日本大衆文化開放の政府諮問委員長を務めた池明観(チ・ミョングァン)さんが最高顧問でした。私を招待した理由は、「教科書問題や歴史問題で日本共産党が一番まともだ。この党を除外してきたが、招待してどんな党かをみよう」ということだったんです。私はジロジロと観察されました。
その３カ月後に、もっと交流しようということで労働組合、参与連帯などの市民団体､歴史家､国会議員などと会う訪韓をしました。０３年には韓国与党議員から「イラク戦争反対で頑張っている議員」として交流したいと招待されました。
「植民地支配に反対した党」と認識広がる
笠井 韓国では、共産主義者といえば北朝鮮で、鬼のように角が生えていると教えられてきたのに、「角がありませんね」とひと笑いしてから本題に入るという感じでした。いまはそんなこともありません。今回ソウルで会った在日韓国商工会議所の会長さんは、「あなた方が植民地支配に反対してわれわれに連帯してくれた党であることをよく知っている」と言うんです。韓国の方々の中で日本共産党の話が広がっていると強く感じました。
緒方 日本共産党の野党外交は全方位です。志位さんが初めて訪韓した時も、与野党問わず全ての政党代表に会いました。これは本当に大事で、政権が代わっても付き合いが続いています。
笠井 取り組みでいうと、国際的な要求実現運動です。植民地期に朝鮮総督府が、朝鮮王朝儀軌という李朝時代の王室記録文献を宮内省（当時）に「寄贈」してしまいます。そのまま戦後も宮内庁書陵部にあった儀軌を取り戻そうという運動が韓国で起きました。
緒方 ０７年に衆院で石井郁子議員が、参院で私が韓国に返すよう政府に求めました。それを知った返還運動団体の代表団が訪日し、参院選直前、一緒に外務省に要請に行きました。
笠井 もともと儀軌があった韓国北東部の月精寺というお寺の住職がたいへん喜んで、私と緒方さんをお寺に招待してくれ、８月に訪問しました。
緒方 北朝鮮との休戦ラインに近く、非常に反共意識も強いところだそうですが、自治体首長、幹部、地方議員らが大歓迎してくれました。
笠井 返還の仕事は私が緒方さんから引き継ぎました。返還運動団体が日本に来れば、私たちが一緒に外務省などに出向き、私たちもたびたび韓国を訪問するという相互訪問の協力と運動です。日本でも超党派の運動に発展しました。１０年８月に菅直人首相の談話で韓国への引き渡しが発表され、１１年１２月にソウルで返還記念式典があり、韓国政府が私と駐韓日本大使を招待しました。文化体育観光相から感謝の言葉を受けました。
０６年の志位委員長初訪韓が画期に
緒方 ２００６年の志位さんの初訪韓はインパクトが大きかった。独立運動家が投獄され、処刑までされた西大門刑務所歴史館を訪問した時は、大変な数の取材記者が押し寄せました。時がたつにつれて、志位さんの訪韓が当たり前になる。同時に深い理解に基づく取材と報道が増えています。
笠井 今回、韓日議連の幹部との会談で、北東アジア平和協力構想と「慰安婦」問題が議論になりました。韓国側からは、「いい構想だが、共産党だけでは難しい」という懸念に対して、「儀軌返還も最初は日本共産党だけだったが、実現したじゃないか。よく話し合って協力を強めることが大事だ」という意見も出ました。
緒方 韓国の人々と共同で取り組み、返還を実現したことが日本共産党への信頼を高めたのですね。
笠井 未解決の大問題は「慰安婦」です。１２年８月、「慰安婦」被害者が共同生活する「ナヌムの家」から日本の全国会議員に招待状が届きましたが、行ったのは党を代表した私一人でした。１３年８月には、「ナヌムの家」１５周年、併設する「日本軍『慰安婦』歴史館」２１周年の式典があり、志位さんのメッセージを私が出席して伝えました。１４年９月には「慰安婦」セミナーに招待され、所管の女性家族相と懇談しました。日本共産党として、超党派で一貫して努力していることが理解されたと思います。
緒方 侵略戦争と植民地支配に反対してたたかい、誤った歴史への反省を明確にした交流だから、党を知ってもらえば理解は早い。
笠井 １０年１０月には、それまで加入を拒んでいた日韓議連が、日本共産党にも入ってほしいということで、党議員全員が加入しました。しかもこの間の党躍進で人数も倍増しました。
緒方 日本共産党と韓国の交流の積み重ねがあったから、共産党抜きではできなくなったんですね。
笠井 日韓・韓日議連は昨年１０月の合同総会で「慰安婦」問題について、河野談話と村山談話にふさわしい行動を取る、被害者の名誉を回復する措置を取る、という２点を明記した共同声明を採択し、今年７月の合同総会でも再確認しました。私たちが主張し、共同で努力して全体のものになったことは、問題解決のために大事なことです。
日韓議連役員として志位さんは、３度にわたり青瓦台（大統領府）で、李明博（イ・ミョンバク）、朴槿恵（パク・クネ）両大統領との会談に出席しました。
緒方 非政府組織（ＮＧＯ）や労組との交流や連帯も大事です。韓国から原水爆禁止世界大会に毎年参加するようになったり、日韓の被爆者連帯が進んだり。
平和的統一と「北」の非核化を重視
緒方 私たちの交流で一貫しているのは、南北朝鮮の平和的統一を支持する立場であり、北朝鮮の非核化です。
韓国社会が民主化で変わるにともなって、交流も発展した。戦争法反対のたたかいについて、建国大学での志位さんの講演を聞きに来た小さいお子さんを持つ韓国人女性が、「自分たちの経験から、『ママの会』に共鳴できる。連帯する」と言っていました。私たちも国民の運動を発展させるために、党が変わらなければと頑張っている。そういう響き合いの中で交流が進んでいると感じます。
笠井 日韓関係の発展を口にすると、「韓国の味方だ」「韓国に帰れ」などと言われることがあります。私たちは日本の国民的大義に立って、歴史を踏まえた当たり前の付き合いをやろうという立場です。同時に、言うべきことはきちんと言います。竹島（韓国名・独島）問題でも、歴史的経緯を踏まえれば日本の領土だと主張して、韓国の議員と激論になったこともあります。
今回も志位さんが産経新聞の前ソウル支局長が韓国大統領の名誉を棄損したとして起訴・求刑されたことに懸念を伝えました。互いの立場を理解すれば、大局的な立場から日韓両国の関係、国民の友好をどう前進させるかという議論ができる気持ちいい関係になります。
( ２０１５年１１月０６日，「赤旗」)
慰安婦問題で誠意ある姿勢を
【ソウル＝時事】韓国外務省副報道官は５日の記者会見で、安倍晋三首相が慰安婦問題の年内妥結は困難との認識を示したことに関連し、「日本政府が局長級協議などにより誠意ある姿勢で臨み、問題が早期に解決されることを期待する」と語り、「そうすることが日本の将来のためにも望ましい」と強調しました。
慰安婦問題などを話し合う日韓の外務省局長級協議の時期に関しては「日本側と調整しようと思っている」と述べるにとどめました。
( ２０１５年１１月０６日，「赤旗」)
米が日韓交渉を歓迎
【ワシントン=時事】米国務省のトルドー報道部長は２日の記者会見で、安倍晋三首相と韓国の朴槿恵大統領が２日の首脳会談で従軍慰安婦問題の交渉加速で一致したことについて「デリケートな問題の解決努力の加速に合意したことを歓迎する」と述べました。また、１日の日中韓首脳会談に関しては「関係改善に向けた３カ国の努力を支持する」と表明。さらに「日中韓３カ国が強力で建設的な関係を保つことは、地域の利益に資する平和と繁栄を下支えする」と語りました。
オバマ大統領は今年、日中韓の３カ国首脳を個別にホワイトハウスに招待。日韓双方に歴史問題の解決を働き掛ける一方で、中国に対しては国際法や規範の順守を求めてきました。オバマ政権は、対中抑止を進める上で、日韓関係の改善を最優先事項に位置付けています。
( ２０１５年１１月０５日，「赤旗」)
首相「慰安婦、年内妥結は困難」
安倍晋三首相は４日、自民党の谷垣禎一幹事長と首相官邸で会談し、日本軍「慰安婦」問題をめぐる韓国政府との妥結について、年内は困難との認識を示しました。首相は「韓国からは年内（妥結）というような話がある」と説明した上で、「双方の基本的立場が違うこともあり、年内と（期限を）切ると難しくなる」と指摘しました。
首相は韓国の朴槿恵大統領と２日にソウルで初めて会談したことに関し、「今まで韓国とトップ会談ができなかったわけだから、それは良かった」とも語りました。
( ２０１５年１１月０５日，「赤旗」)
憲法破壊〝許さない〟／さいたま／山梨・韮崎／群馬・太田／横浜
「アベ政治を許さない」のポスターを毎月３日に掲げましょう―。作家で九条の会呼びかけ人の澤地久枝さんのこの呼びかけに応えて、憲法公布記念日の３日、首都圏各地で、戦争法（安保法制）の廃止や安倍内閣の打倒をめざす行動が取り組まれました。
これが国民の声だ／さいたま
さいたま市のＪＲ北浦和駅前では、日本共産党の伊藤岳参院埼玉選挙区候補と市民ら１０人が「アベ政治を許さない」のポスターを掲げました。
伊藤氏らが「戦争法廃止の新しい政府を」「若者を戦場に送らない」とアピールすると、通行人や駅を利用する人たちの注目を集め、「頑張れ」と激励していく人もいました。
１人で駅前に立ち、途中から伊藤氏らの行動に合流した吉岡尚志さん（６４）は、７月にこの行動が呼びかけられてから戦争法が成立するまで駅前で、毎日出勤前に１人でポスターを掲げていたといいます。「また行動の呼びかけがあったので、ここに来ました。祖父は戦前、戦争に反対して殺されそうになった。今は反対の声をあげられる時代だから、できることをやりたい」と語りました。
伊藤氏は「『アベ政治を許さない』が国民的な声になっている空気を感じます。戦争法廃止のため『国民連合政府』の実現へ頑張りたい」と話しました。
観光客にアピール／山梨・韮崎
山梨県韮崎市では、日本共産党市委員会のメンバー６人が「アベ政治を許さない」のポスターを掲げて戦争法廃止を訴えました。
１０月の市議選で当選した小林恵理子、渡辺吉基両市議らが、大型スーパーやチェーン店が集まる国道沿いで、八ケ岳方面に観光にむかう車や買い物客に「国民世論と野党の結束で安倍政権を退陣に追い込み、参院選挙でも戦争法廃止の勢力を勝利させましょう」と呼びかけました。ポスターやのぼりを見て、手を振っていく車も目立ちました。
同市委員会では、場所や曜日を変え、毎月３回以上のスタンディングを実施しています。
孫の顔思いコール／群馬・太田
群馬県の「戦争する国づくりストップ！ 太田共同行動実行委員会」は、太田市役所前交差点で「アベ政治を許さない」行動に取り組み、４２人が参加しました。
午後１時きっかりに、参加者らは「アベ政治を許さない」の横断幕やプラカードを掲げてコール。マイクを握り「過去の侵略戦争や植民地支配の反省がない勢力が勝手に憲法解釈を変えて海外に軍事力でのりだす。これほど危険な政権はない」「国民の世論と運動で野党の選挙協力を促し、安倍独裁政権をストップさせよう」などと訴えました。
太田平和委員会会長の斎藤匠弁護士が駆けつけ「憲法を破壊する安倍政治を許さないという一点で国民のみなさまと広く連帯し、日本国憲法を今後も守り抜いていこう」と呼びかけました。
夫と参加した市内の女性（６９）は、韓国の「慰安婦」問題の安倍首相の対応について「誠意のある謝罪をしてほしい」と話しました。
両手にプラカードを持ち、高く掲げていた笠原悦夫さん（７０）は「孫の顔を思いながら参加した。アベ政治にはメチャクチャ反対だ」と語りました。
いろいろな世代が／横浜
戦争法廃止をめざして活動する「ママの会＠神奈川」のメンバーらは、横浜駅西口（横浜市西区）でスタンディングを行いました。同会がＳＮＳで他団体や個人に呼びかけた初めてのものです。
「アベ政治を許さない」と書かれたポスターをもつ約２０人の参加者は、買い物客らの注目を集めました。
ママの会メンバーで、スタンディングを呼びかけた栄島佳子さん（４４）＝横浜市西区＝は「せっかく活動するならいろいろな人と交流してやりたいと思いました。ママだけではなく、いろいろな世代の方が来てくれてよかったです。できれば毎月１回はやりたい」と語りました。
福島第１原発事故がきっかけで、経産省前テントに何度も通っているという帯谷れい子さん（６６）＝横浜市保土ケ谷区＝は「澤地さんの考えに共感しているので、呼びかけに応えたいと思いました。今動かなければ後悔すると思っています」と語りました。
スタンディングには、日本共産党の、あさか由香参院神奈川選挙区候補も駆けつけ、参加者とともにポスターを掲げました。
(２０１５年１１月０４日，「赤旗」)
韓国各紙厳しい評価
【ソウル＝時事】３日付の韓国各紙の社説では、２日の日韓首脳会談で、従軍慰安婦問題の「早期妥結に向けた交渉加速化」で合意したことについて「妥結の時期、内容、方法のどれ一つ具体化していない」（朝鮮日報）などと厳しい評価が目立ちました。一方で、会談開催自体には意味があったとして、「両首脳は今後も頻繁に会って話すべきだ」（中央日報）という意見もだされています。
「慰安婦」問題に関しては「日本の謝罪や責任認定といった根本的な解決策とは距離がある」（京郷新聞）と否定的な見解が大勢。日本に対し、ソウル新聞は「昨日の合意を安倍晋三首相が履行しなければ、信頼は壊れる。日本側に前向きな立場への転換を求める」と要求。ハンギョレ新聞は「過去を度外視した未来はあり得ないという点を日本は肝に銘じるべきだ」とくぎを刺しました。
( ２０１５年１１月０４日，「赤旗」)
局長級協議が中心に
【ソウル＝時事】韓国外務省副報道官は３日の記者会見で、日韓首脳会談で慰安婦問題の早期妥結に向け協議を加速化させることで合意したことに関連し、「これまで行ってきた（外務省）局長級協議が中心になる予定だ」と述べました。２日の首脳会談後、日本側も「現在行っている局長級の協議を引き続き加速する」と説明しており、これを確認した形です。
( ２０１５年１１月０４日，「赤旗」)
「解決済み」立場固執
安倍晋三首相は２日夜のＢＳフジの番組で、日本軍「慰安婦」問題について、「日本の基本的立場は１９６５年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みであるという立場は変わらない」と改めて強調し、日本政府の従来の立場に固執しました。
安倍首相は２日の日韓首脳会談で、朴槿恵（パク・クネ）韓国大統領と「慰安婦」問題の「早期妥結」に向けた交渉加速で合意しています。
安倍首相は番組で、「（慰安婦問題が）現実に日韓間の障害になっているという認識は共有しているが、日本の基本的立場は変わらない」と強調。「そのなかでどのような知恵があるのか、交渉を続ける中で一致点を見出すことができる」との見通しを語りました。
２０１２年５月以来約３年半ぶりに日韓首脳会談が実現したことについて、「今まで、（慰安婦問題などの）そういう障害があるから、首脳会談の成立自体が難しかった」との認識を示し、「そういう障害を乗り越えなければ何も始まらないという今までの状態は大きく変わった」と語りました。
( ２０１５年１１月０４日，「赤旗」)
「慰安婦」問題／早期妥結の声に応えよ
安倍首相と韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領は２日の首脳会談で、日本軍「慰安婦」問題について、早期の妥結に向けて交渉を加速することで一致しました。閉ざされた対話のドアが開かれたことは、日韓関係改善の重要な一歩といえます。
「慰安婦」問題についてかねてから「（元慰安婦の）彼女らが生きている間に、心の傷を治す速やかな解決策が必要だ」（９月２８日、国連総会）と訴えてきた朴大統領。会談での合意を受け、日本政府が問題の真の解決に向け、真摯（しんし）な態度で向き合うことが求められています。
ただ、現時点で日本政府は「早期妥結」の具体的な手順や方法について、「補償の問題は解決済み」との従来の対応にとどまっています。
安倍首相は、「慰安婦」問題での旧日本軍の関与と強制性を認めて謝罪を表明した「河野談話」について、「全体を引き継ぐ」と語るだけで、その核心部分を語ることから逃げてきました。戦後７０年談話では、日本軍「慰安婦」問題について一言も言及しませんでした。
会談後の記者会見で安倍首相は「慰安婦問題は、未来志向の協力関係を構築していく上で、将来世代に障害を残すことがあってはならないと考えている」と語りました。
問題の早期妥結に真剣に向き合うのであれば、｢河野談話」の核心部分を語れない自らの歴史認識をまず改めるべきです。それができないのであれば、安倍首相自身が日韓関係の最大の障害となるでしょう。
（山田英明）
( ２０１５年１１月０３日，「赤旗」)
「慰安婦」問題／日韓議連決議の立場で一歩踏み出すのが大切／山下氏が強調
日本共産党の山下芳生書記局長は２日、国会内で会見し、同日、３年半ぶりに日韓首脳会談が開かれたことを問われ、「（開催まで）時間はかかったが、首脳会談が開かれて双方から両国関係を改善したいとの希望が表明されたことは重要だ」と述べました。
山下氏は同時に、日韓関係の改善を本格的に実現して未来にむかうためには、１日に開かれた日中韓首脳会談の共同声明が述べている「歴史を直視する」ことが大事だと指摘。「日本側としては侵略戦争と植民地支配への反省をしっかりと土台にすえることが必要だ」と語りました。
日韓間の最大の懸案である日本軍「慰安婦」問題で「できるだけ早期の妥結をめざし交渉を加速させていくこと」が合意されたことについて山下氏は、「昨年１０月、今年７月の日韓・韓日議員連盟合同総会で『河野談話、村山談話の精神にふさわしい行動をとる』『当事者たちの名誉回復と心の痛みをいやすことができるような措置を早急に講じる』と決議されている」「こうした立場で一歩踏み出すことが『早期の妥結』には求められる」と強調しました。
( ２０１５年１１月０３日，「赤旗」)
日韓首脳会談／「慰安婦」問題、交渉を加速／朴大統領、被害者の納得できる解決を
安倍晋三首相は２日午前、韓国の朴槿恵大統領とソウルの青瓦台（大統領府）で約１時間４０分会談しました。日韓首脳会談は２０１２年５月以来、約３年半ぶり。安倍、朴両首脳の公式の会談は初めて。両首脳は懸案の日本軍「慰安婦」問題について、早期の妥結に向け交渉を加速させることで一致しました。（関連２面）
会談で安倍首相は「（『慰安婦』問題について）未来志向の協力関係を構築していく上で、将来の世代の障害にならないようにすることが重要だ」と強調。朴大統領は「本日の会談でつらい歴史を癒やし、大局的に真実に基づいた会談にすることで、両国関係のさらなる発展を見いだしていきたい」と表明しました。
韓国政府関係者によると、朴大統領は席上、「『慰安婦』問題が両国関係改善の最も大きな障害だ」と指摘し、被害者と韓国国民が納得できる解決策を求めました。
これに関して日本政府関係者は、１９６５年の日韓請求権協定などを踏まえ「補償の問題は解決済みだ」と重ねて強調し、従来の対応に固執しました。一方で「人道的見地に立った対応」を検討していることを明らかにしましたが、具体的な解決策や時期についての見通しは示されていません。
今回の首脳会談実現は、冷え込んだ日韓関係を好転させる転機になるものですが、次回の２国間首脳会談の確約もできておらず、当面は実務者レベルで一致点を探っていくことになりそうです。
( ２０１５年１１月０３日，「赤旗」)
「慰安婦」は性奴隷、論証／一橋大学園祭で講演会
講演会「日本軍『慰安婦』問題とどう向き合うのか」が１日、東京・国立の一橋大学の学園祭で開かれ、会場いっぱいの約１５０人が参加しました。
同大学の吉田裕教授は、「安倍内閣の積極的平和主義路線は、国民の歴史認識のつくり替えと常にワンセット」と指摘し、安倍談話の問題点と国民意識の変化を解説。安保法反対の若者の運動が広がる一方で、植民地支配や侵略戦争を「やむを得なかった」とする回答が増えていることを挙げ、反韓・反中のナショナリズムが平和主義を腐食する可能性に警鐘を鳴らしました。「常に歴史を直視し、絶えず学び直す姿勢が必要。『慰安婦』問題はその試金石」だとのべました。
立教大学の小野沢あかね教授は、「『慰安婦』は公娼（こうしょう）であり性奴隷ではない」という論に対し、「慰安婦」全員が元公娼ではないと指摘。そもそも公娼は、当時の国際法や国内法、政治家や学者の発言、新聞の社説などでも「人身売買された性奴隷」として認識されていたと示し、「公娼から『慰安婦』になった女性も性奴隷」だと強調しました。
中央大学の吉見義明教授は、「『慰安婦』は性奴隷」という論は捏造（ねつぞう）だとする言説に対し、「慰安婦」は居住や外出の自由、軍人の性の相手となることを拒否する自由、廃業の自由がない性奴隷だったことを、米軍資料や「慰安婦」証言から論証しました。
( ２０１５年１１月０２日，「赤旗」)
日中韓３年半ぶり首脳会談／定例化一致／共同宣言で「歴史直視」
安倍晋三首相と中国の李克強首相、韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領は１日、ソウルの青瓦台（大統領府）で会談しました。日中韓首脳会談（サミット）の開催は２０１２年５月以来、約３年半ぶり。３首脳は、北東アジアの平和協力の拡大にむけて３カ国首脳会議を定例化することで一致。日中韓自由貿易協定（ＦＴＡ）の交渉加速でも一致しました。
会談後には３カ国の協力をうたった共同宣言を発表し、この中で、歴史問題を直視して未来志向の関係構築に努めることを明記しました。
会談では、北朝鮮の核開発問題について、北朝鮮の非核化目標を断固維持する方向を確認。６カ国協議の速やかな再開に向け努力することにしました。
会談後の記者会見で安倍首相は、「日韓中３カ国による協力プロセスを正常化させることができたことは大変大きな成果だ」と語りました。
歴史問題をめぐり、李首相は会談の冒頭、「協力は、歴史をはじめとした敏感な問題を処理する土台の上に成り立つ」と強調。朴大統領も「反目をもたらす問題を解消できていない。協力の障害物をともに克服することを期待する」と述べ、日本軍「慰安婦」問題などの懸案解決を求めました。
国際会議から独立した形式の日中韓首脳会談は、０８年に福岡県で初めて開かれ、３カ国の持ち回りで１２年まで毎年開かれてきました。しかし、尖閣諸島をめぐる日中の対立や日本軍「慰安婦」問題による日韓関係の悪化などのため、開催が途絶えていました。
今回の会談で、再開・定例化で一致したことは「大きな成果」（安倍氏）であるものの、会談後の記者会見で朴、李両氏が「歴史を直視する」と口をそろえたように、引き続き安倍首相の歴史認識問題が厳しく問われています。
（関連２面）
( ２０１５年１１月０２日，「赤旗」)
戦後７０年北東アジアの平和―歴史をふまえ未来を展望する／建国大学での講演／要旨
志位和夫委員長は１０月２２日、ソウル市内の建国大学で「戦後７０年 北東アジアの平和―歴史をふまえ未来を展望する」と題して講演しました。ポイントは―。
戦前―侵略戦争と植民地支配
北東アジア諸国は古くから相互往来の歴史と伝統を持ち、経済的・文化的交流が発展する一方、政治的協力で大きな立ち遅れがあります。志位氏は、日本側の問題点として「過去の歴史に対する姿勢」を指摘しました。
第一は戦前の歴史、日本による侵略戦争と植民地支配の歴史についてです。
日清・日露戦争は韓国・朝鮮の支配をめぐる植民地化戦争でした。韓国・朝鮮の植民地支配を完成させた「韓国併合条約」は、日本の軍事的強圧による不法･不当な条約です｡
いま日本で、この歴史の事実を乱暴に歪曲（わいきょく）する主張が公然と行われています。安倍晋三首相の「戦後７０年談話」は「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」と述べています。
戦後７０年―歴史問題という角度から
第二は戦後７０年の歴史です。
「戦後の自民党政治は、過去の歴史にまともに向き合おうとしない重大な弱点を持つ」と強調した志位氏。日本政府の植民地支配への認識は、侵略戦争への認識よりさらに遅れています。それを最もよく表すのが、外務省が１９４９、５０年に作成した文書（２００５年解禁）。そこには「むき出しの植民地支配正当化論」（志位氏）が書かれています。
こういう認識で日韓国交正常化交渉を始めたため、６５年締結の日韓基本条約の交渉では大きな問題点があらわれました。
①日本側が「日本の朝鮮統治は良い面もあった」などと述べ、和解への重大な障害となりました。②当時の佐藤栄作首相が韓国併合条約を「対等な立場で締結された」と繰り返しました。③日韓基本条約は植民地支配に一切言及していません。
こうした歴史認識の遅れの根本には、戦犯勢力が戦後日本政治の中枢に復権した問題があります。
９０年代に入り、国内外の批判と運動におされ、歴史問題に対する政府の姿勢に「前向きの変化」（志位氏）が起こりました。日本軍「慰安婦」問題についての「河野（官房長官）談話」や、日本の侵略についての「村山（首相）談話」などが内外で肯定的に評価されました。
ところが、この変化への逆流が起こります。その中心として台頭してきたのが安倍首相でした。そのような〝侵略戦争賛美〟勢力が政権と自民党をのみこんだ状態です。
志位氏は「歴史を偽造する極右勢力による政治支配を一日も早く終わらせるため全力を尽くす｣と述べました｡
未来にむけ―北東アジアの平和どう築く
第三は、「北東アジアの平和をどうつくるか」です。
いま日本共産党は、戦争法廃止、安倍政権打倒のたたかいを発展させ、「国民連合政府」をつくる「歴史的チャレンジ（挑戦）」（志位氏）に取り組んでいます。国民連合政府が実現すれば、日本の政治に新局面を開くとともに、アジアと世界の平和への貢献となります。
北東アジアの平和と安定を築くため、日本共産党は「北東アジア平和協力構想」を提唱し、対話を続けてきました。これは、東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）の実践を参考に、紛争を戦争にしない枠組みを北東アジアにもつくるものです。
志位氏は「この構想こそ安倍政権の戦争法に対する、真の平和的対案だと確信する」と強調しました。
この構想を実らせる最大のカギの一つが歴史問題の解決です。日本共産党は、戦後７０年の今年を、日本とアジア諸国との「和解と友好」の年とするため、日本の政治がとるべき五つの基本姿勢を提唱しています。
志位氏は「日本の政治がこうした理性ある方向に進み、北東アジアに真の平和、安定、友好をつくりだすため力の限り奮闘する」と表明しました。
（全文は日刊「しんぶん赤旗」１０月２４日付、党ウェブサイトに掲載）
(２０１５年１１月０１日，「赤旗」)
３年半ぶり日韓首脳会談へ／「慰安婦」問題が最大焦点
安倍晋三首相は１１月１～２日の予定で訪韓し、日中韓サミットに出席します。２日には韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領との会談を行うほか、日中首脳会談を１日に行う見通しです。日韓、日中韓とも首脳会談の開催は２０１２年５月以来３年半ぶり。いずれも安倍政権になってからは初めてです。最大の焦点は冷え込んだ日韓関係の進展です。日本軍「慰安婦」問題をはじめ、植民地支配、侵略戦争について安倍政権の歴史認識が問われています。
領土、歴史で悪化
日韓関係は、李明博（イ・ミョンバク）前大統領による竹島（韓国名・独島）上陸（１２年８月）で関係悪化に拍車がかかりましたが、戦後、未解決のままだった歴史問題が、安倍政権になって顕在化したことが最大の要因です。
なかでも、日本軍「慰安婦」問題が日韓首脳会談での最大の焦点になります。韓国側は、この問題で日本との外交交渉を行うよう求めた１１年の憲法裁判所決定を受け、早急な「解決」と「誠意ある措置」を求めています。
一方、安倍政権は、旧日本軍による強制を認め、「心からのお詫びと反省」を表明した１９９３年の「河野談話」について、「全体として引き継ぐ」と述べるにとどまっています。
こうしたもとでの対話再開の背景には、米国の影がちらつきます。オバマ米大統領は１０月１６日の朴大統領との会談後に、「３カ国首脳会議は、韓国、日本、中国との前向きな関係を構築する上で一歩前進だ」と表明し、日中韓サミット開催を後押ししました。
知日派で知られるアーミテージ元国務副長官は、１３年に公表した「第３次アーミテージ報告」で「日米韓同盟」の強化を強調。その理由として、①北朝鮮の核兵器開発の抑止②中国の再興への対応―を挙げています。アーミテージ氏はその後も、同様の発言を繰り返しています。
興味深いのは、米国の国益の観点から見ても、歴史問題の解決は急務ということです。
オバマ氏は、「日米韓の交流や歴史問題の解決によって、北東アジアに良好な協力と前向きな関係を築くことが私の望みだ」（１０月１６日の記者会見）とも表明。日韓関係の改善に向け、歴史問題の解決は米国にとっても重要な課題との見方を示しました。
日韓関係をめぐる主な出来事
２０１２年５月 日韓首脳会談（日中韓首脳会議：中国・北京）
８月 韓国の李明博大統領が竹島に上陸
９月 日韓外相会談（国連総会：ニューヨーク）
１２月 第２次安倍政権が発足
２０１３年１２月 安倍首相が靖国神社参拝
２０１５年８月 安倍首相が戦後７０年談話
１１月 日中韓サミット、日中首脳会談、日韓首脳会談（ソウル）
( ２０１５年１１月０１日，「赤旗」)
（10月）ヘッドライン
「慰安婦」問題解決へ要望書／韓国・市民団体
「慰安婦」問題／３カ国の首脳は被害者と面談を／市民団体が声明
対談／永田浩三武蔵大学教授／わたなべ結参院大阪選挙区候補／上
対談／永田浩三武蔵大学教授／わたなべ結参院大阪選挙区候補／下
歴史教科書不採択を検証／育鵬社に警戒怠らず／運動の継続をよびかけ／名古屋で報告集会
「慰安婦」で補助教材／教育の自由侵す介入／共産党大阪府委が談話
「慰安婦」で補助教材／全府立高生に配布へ／大阪府教委
韓国元「慰安婦」提訴へ／日本政府に慰謝料請求
語録にみる橋下「維新」政治／下
〝慰安婦必要〟発言あやまれ／橋下暴言に抗議／市役所包囲アクション／大阪
日韓首脳会談、来月２日を提案
日本の植民地支配解放７０年／台湾で「光復節」式典／中国政府も重視
南京大虐殺・ユネスコ登録／日本政府拠出金停止と〝脅し〟／海外から批判「東京がユネスコ罵倒」
建国大中国研究院／志位委員長が座談会出席
「北東アジア平和協力構想」で協力を／志位委員長と金・韓日議連会長代行が会談
親善の集い、建国大総長との面談／志位委員長、各界と交流／ソウル
第２次世界大戦終結７０年／朝鮮半島／今も残る支配の傷痕／４／二度と同じ被害生まない
「南京事件」記憶遺産申請／日本政府に反省要求／中国「事実は否定できない」
ユネスコ登録／記憶遺産にシベリア抑留資料／「東寺百合文書」も／中国申請、南京大虐殺も
過去と向き合う批判精神こそ／元毎日放送記者西村秀樹さんが講演／ＮＨＫ問題を考える奈良の会
日本軍「慰安婦」問題の核心／林博史著／評者吉見義明中央大学教授
１０月（本文）
岸田外相〝慰安婦問題は解決済み〟
岸田文雄外相は３０日の記者会見で、韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領が日本軍「慰安婦」問題の早期解決を求めていることについて、「わが国の基本的な立場は変わっていない。従来説明してきた通りで、粘り強く議論していく」と述べ、法的に解決済みとの見解を強調しました。
( ２０１５年１０月３１日，「赤旗」)
「慰安婦」問題解決へ要望書／韓国・市民団体
【ソウル＝時事】３年半ぶりとなる日韓首脳会談を１１月２日に控え、元慰安婦や韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会（挺対協）など慰安婦問題解決を求める市民団体が３０日、ソウルの日本大使館と韓国外務省に要望書を提出しました。
要望書は、慰安婦問題の進展が見通せない中で首脳会談が開かれることに疑問を提起。「慰安婦問題解決と歴史の清算を通じ、平和の歩みに踏み出す首脳会談を望む」と強調し、安倍晋三首相の謝罪や日本政府の法的責任認定などを求めました。元慰安婦の李容洙（イ・ヨンス）さんによると、大使館幹部は「安倍首相も元慰安婦らが毎週、大使館前で集会を開いていることを知っている。本国政府に伝える」と応じました。
( ２０１５年１０月３１日，「赤旗」)
「慰安婦」問題／３カ国の首脳は被害者と面談を／市民団体が声明
日中韓３カ国首脳会議が１１月１日にソウルで開催されるのを前に、日本の市民団体「『慰安婦』問題の立法解決を求める会」は２８日、日本の安倍晋三首相をはじめ習近平中国国家主席、朴槿恵（パク・クネ）韓国大統領に対し、「『慰安婦』問題の早期解決に関する要望書」を送付しました。
要望書は「慰安婦」の被害にあった生存者が少なくなっている現状に触れ、まず３カ国の首脳が直接面談することが必要だと強調。「被害者とよく話し合い、主張に耳を傾けてから何をなすべきかを決めるべき」だとしています。
また、「ことは日本が引き起こした犯罪」であり、「国際的な女性に対する人権問題」だとし、安倍首相は歴史認識を改め、明快な謝罪をすることを求めています。
( ２０１５年１０月３０日，「赤旗」)
対談／永田浩三武蔵大学教授／わたなべ結参院大阪選挙区候補／上
戦争法廃止へ運動大きく／「国民連合政府」いいこと
来夏の参院選に大阪選挙区から立候補する、わたなべ結候補が、元ＮＨＫプロデューサーの永田浩三武蔵大学教授と対談しました。戦争法廃止に向けた運動、「慰安婦」問題と橋下徹大阪市長の態度などについて語り合いました。
わたなべ 永田さんとは実家がすぐ近所で、高校（府立住吉高校）も同じなんですよね。
永田 ほんとにご近所ですね。
明らかに違憲
永田 安保法制の一連の動きで、集団的自衛権行使をめぐる議論を、ＮＨＫのニュースがきちんと伝えない問題がありました。今回、明らかに違憲とされるような法律を成立させてしまって。これがまかり通るならば、憲法って一体何なんだろうと。
わたなべ 何に基づいて政治をやるのか。何でもありになってしまうのは本当に怖いです。
永田 どうやって廃案にもっていくか。一つは、次の参院選挙で落選運動をすること。もう一つは、集団的自衛権行使や安保法制に反対する議員さんを一人でも多く当選させることです。
わたなべ そうですね。私たちも「国民連合政府」を呼びかけさせていただいていまして。
永田 すごくいいことじゃないでしょうか。憲法を旗印に、安保法制を廃案にする点で結集しましょうと。
わたなべ そうなんです。
永田 僕はずっとデモに通いましたが、春先には民主党の長妻さん（昭・代表代行）と共産党の志位さん（和夫・委員長）は手をつながなかった（笑い）。それが、８月の国会前では間に誰かを挟むことなく、野党４党の党首が握手したんです。大きな前進だったと思います。
全国の市民の声
わたなべ そこをまとまらせたのは、全国の市民の声だと感じています。なかでも若い人の立ち上がりに希望が見えました。永田さんは、大学で教えていて、１０、２０代の変化を感じますか。
永田 劇的に変わってきたと思います。授業で僕の考えを押し付けることはありませんが、「安倍政権にはいろんな問題があるから一緒に考えましょう」とは言います。すると、自分の判断で国会に行ったり、裁判を傍聴したり、そういう子はすごく増えました。
わたなべ まっすぐに正義感をもって、民主主義を壊すものに敏感に反応するのが若者らしいところだなと思います。国民の声を聞かない政府のやり方が、怒りの集中点になっていますよね。
永田 そうですね。議論してお互い分かりあえる道を探るという、ごく当たり前のことが、国会の中では行われていません。
わたなべ 安倍首相と橋下徹大阪市長はすごく似ているんです。東京と大阪で、二つの悪いエンジンで暴走している感じです。大阪では、１１月に府知事と大阪市長の選挙があります。まっとうな民主主義のある、憲法通りの大阪府政・市政を取り戻そうというのが、私たちの一番押し出したい旗印です。（つづく）
永田浩三さん １９５４年大阪市住吉区出身。元ＮＨＫプロデュサー。ＥＴＶ番組改変事件（２００１年）当時の番組の編集長。０９年にＮＨＫを退職後、武蔵大学社会学部でテレビジャーナリズム・ドキュメンタリーを教える。
(２０１５年１０月２８日，「赤旗」)
対談／永田浩三武蔵大学教授／わたなべ結参院大阪選挙区候補／下
大阪市長として世界に恥／橋下「慰安婦」暴言ひどい
永田 橋下さん（大阪市長）が２０１３年に「慰安婦は必要だった」と言い、沖縄駐留の米軍に「風俗活用」を進言したとき、私は民放の生放送番組で〝橋下さん、いいかげんにしてください″と言ったんです。そうしたら、大学に苦情の電話がかかってきました。
わたなべ そうなんですか。
永田 当時、僕はアメリカにいて、発言にびっくりしたんです。「慰安婦」は国際的にみれば性奴隷です。奴隷制度を克服したアメリカ社会で「奴隷はよかったんだ」と言っているのと同じなんですね。ひどい発言でした。
水曜デモに参加
わたなべ 私は１２年に、元「慰安婦」のハルモニ（おばあさん）たちが暮らす、韓国のナヌムの家に初めて行きました。ハルモニが日本政府に謝罪と補償を求める水曜デモにも参加しました。ハルモニたちは日本語が上手で、それを聞いただけでも背負ってこられた歴史の重みを感じ、ショックでした。
永田 そうでしたか。
わたなべ 大阪市の友好都市・サンフランシスコで「慰安婦」像を建てるのを市議会が支持する決議を上げる動きがあって、橋下市長は、この期に及んで「懸念を表明する」書簡を送ったんです。〝「慰安婦」の問題は日本特有の問題でなく、戦時下の性暴力は世界中どこにでもある。悪いのは日本だけじゃない″と。大阪市長として、世界に恥をさらしています。
永田 安倍さんや橋下さんは、公人でありながら、ありもしないような暴言を吐き続けて、日本のイメージを悪くすることに貢献しています。アメリカの下院が「慰安婦」問題の解決を求める決議を出したのは、安倍さんたちが現地の新聞に意見広告を出したのが発端です。やればやるほど、日本政府や旧日本軍のやったことのひどさが定着することになっています。
友好が遠ざかる
わたなべ 政府が安保法案を通すために振りまいた中国脅威論や、一部メディアが流布する「嫌韓」論のために、本当の意味での友好からどんどん遠ざかって、むしろ自分たちの首を絞めている気がして悔しいです。歴史をきちんと見ることを土台に、私たち自身の認識を外に開いていかないといけないと思います。
永田 中国は、敬意を払いながら文化を取り入れてきた相手国です。仏教が伝来したのは朝鮮半島経由です。お兄さん、お姉さんである両国を尊敬こそすれ、バカにしたり嫌ったりするのはおかしいと思うんです。私はよく、勉強会とか国会での院内集会をやるんですが、共産党の議員さんはよく頑張って出てこられますよね。その一員としてぜひ頑張っていただきたいです。
わたなべ はい。まず国会へ行けるよう頑張ります。今日はありがとうございました。（おわり）
ＮＨＫ番組改変事件
日本軍「慰安婦」問題を取り上げた「ＥＴＶ２００１ 問われる戦時性暴力」について、放送前に安倍晋三官房副長官（当時、現首相）らが、ＮＨＫ幹部に対し「公平・公正にすべきだ」などと圧力をかけたことが疑われ、意を受けたＮＨＫ幹部が、元「慰安婦」の証言などを削除させた事件。政治的圧力は、番組担当デスクの告発で明らかにされた。
(２０１５年１０月２９日，「赤旗」)
歴史教科書不採択を検証／育鵬社に警戒怠らず／運動の継続をよびかけ／名古屋で報告集会
来年４月から使われる中学校歴史教科書の採択結果について検証する愛知県民報告集会が２５日、名古屋市内で開かれました。「侵略戦争を美化する育鵬社・自由社の教科書は愛知県内で採択されなかったが、警戒を怠らず運動の継続が必要」との意見がだされました。主催は、「戦争を肯定する教科書」を採択させない愛知県実行委員会。
元小学校教員の小野政美さんが各地の採択状況を報告。南京大虐殺と日本軍「慰安婦」を否定する河村たかし市長のもと、「名古屋が危ないといわれていた中で育鵬社が採択されなかったのは、多くの市民・県民が運動で押しとどめた結果だ」とのべました。一方、全国的に育鵬社の採択率が上昇していることと戦争法成立は、安倍政権の戦争する国づくりの一環として考えるべきだとし、それに対抗する運動の継続・強化をよびかけました。
名古屋市の採択で、市教委６人中２人が育鵬社を支持したことについて議論が相次ぎました。歴史教育者協議会の三浦明夫さんは、「教科書展示会の市民意見の８６％が育鵬社ノーだったことは、市教委事務局が採択会議で明らかにしたが、逆に育鵬社を採用してほしいとの声がわずか２％にすぎなかったことは隠されていた」とのべました。事前に市教委は市民意見も参考にするといっていたのだから「どうみても育鵬社に２票はありえないこと。自分たちが決めた内容を踏みにじっている」と批判しました。
別の男性は、採択が無記名投票で行われたことを問題視。「市民の意見に反し、なぜ育鵬社に入れたのか理由がわからない。政治的な力が働いたのではないか」
教科書カフェでママたちと学び行動してきた新婦人のメンバーは教科書展示会場を増やしてほしいと訴え。「私の区には会場がなく隣区まで行かざるをえなかった。子連れではむずかしい」
日本共産党の高橋ゆうすけ市議は「教科書会社から下りてくる冊数が少ないのが要因なので、増やすよう要望したい」と答えました。
名古屋市立高等学校教員組合の小島俊樹委員長は、集団的自衛権行使容認の閣議決定の内容を教科書に反映させなければならなくなったことから、戦後７０年の「安倍談話」を批判的に読み解く力を身につける必要があると指摘。名古屋大学の安川寿之輔名誉教授がていねいに解説しました。
安川氏は、安倍談話の最後で、子どもに謝罪の宿命を負わせるなとのべた直後、日本人は世代を超え歴史に向き合え、としているのは矛盾していると批判。「戦争責任で大事なのは、被害者にとっては償いきれるものではない。未来永劫（えいごう）、戦争の道を歩まないようにする未来責任にこそある」と強調しました。
(２０１５年１０月２９日，「赤旗」)
「慰安婦」で補助教材／教育の自由侵す介入／共産党大阪府委が談話
日本共産党大阪府委員会文教委員会の小林裕和責任者は２８日、次のような談話を発表しました。
一、大阪府教育委員会は２８日の教育委員会会議で、日本軍「慰安婦」に関する府独自の補助教材を明らかにしました。府立学校で、「慰安婦」問題を授業などで取り扱う場合には、補助教材を生徒に配布して活用することを求めています。
この問題は昨年１０月以降、松井一郎府知事が高校教科書にある日本軍｢慰安婦｣に関する記述を問題視し、府独自の補助教材を作成する方針を打ち出していたことの具体化です。
これは、憲法が保障する教育の自由を侵害し、政治権力が教育に介入するものであり許されません。私たちは、補助教材を学校と生徒に強制しないことを強く求めます。
一、日本軍「慰安婦」についての「河野談話」は、「われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」とアジアと世界に公約しています。
大阪の子どもたちにも、その発達段階におうじた適切なやり方で、この問題での事実をしっかりと伝えていくことが大切です。
日本共産党は、教育に介入する「維新政治」に終止符を打ち、子どもの成長が大切にされる教育改革にむけて力を尽くします。
( ２０１５年１０月２９日，「赤旗」)
「慰安婦」で補助教材／全府立高生に配布へ／大阪府教委
大阪府教育委員会は２８日、日本軍「慰安婦」に関して府独自の補助教材を作成し、府立高校と府立支援学校高等部の受講生徒全員に配布することを決めました。活用状況の報告を求めます。
補助教材は近年の主な動きのほか、韓国・済州島で旧日本軍が「慰安婦」を強制連行したとする故吉田清治氏の証言を虚偽と判断し、記事の一部を取り消した朝日新聞の説明を掲載。政府見解として、旧日本軍の関与と強制を認めた「河野談話」（１９９３年８月）、「強制連行を示す記述はない」とした閣議決定（２００７年３月）、河野談話の見直しはしないとする安倍首相答弁（１４年１０月）、戦後７０年にあたっての安倍首相談話（１５年８月）を掲載しています。
補助教材をめぐっては｢大阪維新の会｣の西田薫府議が昨年１０月に府議会で松井一郎知事に要請｡松井知事が｢間違った記述があるとするならただすべきだ」として府教委に作成を指示していました。
( ２０１５年１０月２９日，「赤旗」)
韓国元「慰安婦」提訴へ／日本政府に慰謝料請求
【ソウル＝時事】旧日本軍の慰安婦だった韓国人女性らが日本政府を相手取り、１人１億ウォン（約１０００万円）の慰謝料支払いを求める訴訟の手続きに入りました。弁護士が２７日明らかにしました。
元慰安婦らは２０１３年８月、ソウル中央地裁に民事調停を申し立てましたが、日本政府が応じないため、訴訟に切り替えました。関連文書を官報などに掲示する訴訟方式を取り、「日本政府側が出廷しなくとも、裁判所は判決を下すことができる」（弁護士）といいます。
民事調停を申し立てたのは１２人でしたが、その後２人が死亡し、１０人になりました。弁護士は「元慰安婦は日韓首脳会談の開催前に訴訟に入ることを希望した」と述べました。
( ２０１５年１０月２８日，「赤旗」)
語録にみる橋下「維新」政治／上
橋下「維新」政治とはどんな政治なのか―。「大阪維新の会」代表の橋下徹大阪市長、同幹事長の松井一郎大阪府知事、同会の大阪市長選候補、吉村洋文前衆院議員の語録から振り返ってみます。
「重要なのは独裁」
【政治姿勢】
「政治家を志すっちゅうのは、権力欲、名誉欲の最高峰だよ」（橋下氏、２００６年１２月、著書『まっとう勝負！』）
「２万％ない」（橋下氏、０７年１２月６日、府知事選出馬について。同１２日、出馬表明）
「日本の政治のなかで一番重要なのは独裁｣(橋下氏、１１年６月２９日、政治資金パーティーで）
「皆さんは国民に命令する立場になった」（橋下氏、１２年４月２日、新規採用職員に）
「市長の顔色をうかがわなくてだれの顔色をうかがうのか」（橋下氏、１２年４月１３日、市議会財政総務委で）
「民主主義はフィクション（つくり事）」（橋下氏、１４年１月６日、記者団に）
「指揮官を１人に」
【大阪市廃止・解体】
「府市を解体して指揮官を１人にすれば、全ての問題は解決する」（橋下氏、１０年２月２２日）
「大阪市の権限、財源をむしり取る」（橋下氏、１１年６月２９日、政治資金パーティーで）
「（大阪市を）バラバラにしない。五つにまとめるだけ」（橋下氏、１４年３月９日、出直し市長選の第一声）
「８割の人が大阪都構想、よく分からないと言ってます。でもいいんです」（橋下氏、１４年１０月１１日、街頭で）
「単純な話、今やっている維新政治を誰が知事になっても継続していくことだ」（橋下氏、１４年１０月２５日、街頭で）
「大阪都構想やったからといって、お金が極端に増えるわけでもありません」（橋下氏、１５年４月２７日、住民投票告示日に街頭で）
「格差と言うか特色と言うかは言いよう」（橋下氏、同日、大阪市を廃止してつくる五つの特別区間に住民サービスの格差が生まれるとの指摘に）
「誤解を招くので、そういった回答の仕方はしない」「大阪市の中に五つの特別区をつくる」（吉村氏、１５年３月３１日、大阪市内で開かれた６党の国会議員らの公開討論会で、５月の住民投票で賛成多数となったら大阪市は廃止されるのか「イエスかノーでお答えを」と問われ）
「大事なのは１人の指揮官で成長戦略をつくること」「（住民サービスの）どれを優先的にするか、新たな（特別区）区長のなかで選択する。それをサービスが下がると評価するのか、地域の特色と評価するのかの違いだ」（吉村氏、１５年５月１０日、大阪市内で開かれた超党派の勉強会で）
「ラストチャンス」
【「都」構想再挑戦】
「何度もやるものではない。一回限り」（橋下氏、１５年５月７日、住民投票について記者団に）
「僕が提案した大阪都構想、市民のみなさまに受け入れられなかったということで、やっぱり間違っていたということになるでしょうね」（橋下氏、１５年５月１７日、住民投票で反対多数となった結果を受け､記者会見で)
「『ラスト』とは、都構想以外では二重行政はなくならない、唯一という意味だ」（橋下氏、５月の住民投票で「ラストチャンス」と呼びかけたのに、「都」構想に再挑戦することを釈明）
「１１月の(府知事､大阪市長の）ダブル選挙で、大阪都構想の設計図をもう一度つくり直していいかどうか、市民、府民に問い直したい」（松井氏、１５年９月１５日、大阪市内で開いた大阪維新の会の政治資金パーティーで）
（つづく）
( ２０１５年１０月２７日，「赤旗」)
語録にみる橋下「維新」政治／下
「市民はぜいたく」
【くらし切り捨て】
「大阪市民は非常にぜいたくな住民サービスを受けている」（橋下徹大阪市長、２０１２年４月５日、記者団に）
「地下鉄に乗らずに歩くことで健康になる人はいっぱいいる」「１駅分２駅分敬老パス使わずに、なければ歩いて行こう」（橋下氏、１２年５月２３日、市議会民生保健委で、「敬老パス有料化で高齢者の外出の頻度が落ちれば健康のレベルが下がる」と指摘され）
「ばくだいな公金を投入して公立病院を維持するのは、行政のありかたとして間違っている」（橋下氏、１５年１月２２日、市議会民生保健委で、存続を求める署名７万人分が提出された市立住吉市民病院廃止に関し）
「勝負師になろう」
【カジノ・成長戦略】
「強い国になるためにカジノ法案を通してほしい」「小さいころから勝負を積み重ねて勝負師になれないと世界に勝てない」（橋下氏、１０年１０月２８日、カジノ推進団体の総会で）
「原発の再稼働を認めなければ（府県民には）応分の負担がある」「産業には影響を与えないようにする」（橋下氏、１２年４月２６日、関西広域連合の会合・囲み取材で）
「日本の成長戦略のために絶対に必要だ」「やった後で何か問題が出てきて、下火になったら、またその時に考えればいい」（橋下氏、１５年２月１９日、カジノを中核とする統合型リゾートについて、記者団に）
「嫌なら出ていけ」
【教育】
「日本は自己責任の国。いやなら出ていくしかない」（橋下氏、０８年１０月２３日、私学助成を削減しないよう訴えた高校生に）
「教育とは２万％強制」（橋下氏、１１年６月１２日、ツイッターで）
「蹴られた怖さ、腹をどつかれた痛さが分かれば歯止めになる」（橋下氏、１２年１０月、教育振興基本計画有識者会議で）
「罷免要件には当たらない。謙虚に反省し、教育『改革』を進めてもらいたい」（松井一郎知事、１５年２月２０日、第三者による調査チームが中原府教育長の発言を「違法性を帯びたパワーハラスメント」と認定したことについて、記者団に）
「魅力のない学校で定員にも満たず、その学校に通うことは生徒自身の成長につながらない」（松井氏、１５年９月３日、記者会見で府立西淀川高校が募集停止の対象校とされたことについて）
「改憲協力できる」
【憲法・戦争法】
「慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」（橋下氏、１３年５月１３日、記者団に）
「憲法改正は絶対必要だ。もう安倍総理しかできないと思う」「その予行練習ですよ、大阪都構想は」（橋下氏、１５年１月１５日、記者団に）
「こんな人数のデモで国家の意思が決定されるなら、サザンのコンサートで意思決定する方がよほど民主主義だ」（橋下氏、１５年８月３１日、ツイッターで空前の規模になった３０日の戦争法案反対国会前行動について）
「安倍政権とは価値観が合う｣｢憲法改正を進めるのは協力できる」（松井氏、「日経」１５年１０月１日付インタビューで）
「（維新の党は）いつの間にか安保法制をみても、完全に『なんでも反対』になっている」（松井氏、１５年１０月１日の記者会見で。この場で橋下氏は「維新の党が偽物の維新の党になってしまったので本物の維新の党をつくる」と国政新党「おおさか維新の会」結成を表明）
「安倍さんは集団的自衛権の行使、環太平洋戦略的経済連携協定（ＴＰＰ）を乗り越えた」「これまで誰も本気でやらなかった」（橋下氏、「産経」１５年１０月１５日付インタビューで安倍首相を絶賛）（おわり）
( ２０１５年１０月２８日，「赤旗」)
〝慰安婦必要〟発言あやまれ／橋下暴言に抗議／市役所包囲アクション／大阪
「慰安婦制度が必要なのは誰でもわかる」など女性蔑視の発言を繰り返した橋下徹大阪市長に対して、「橋下市長の『慰安婦』・性暴力発言を許さず辞任を求める会」は２６日、大阪市役所前で辞任を求める市役所包囲アクションを行いました。
参加者は黄色いスカーフや帽子などを身につけ「勝手にやめたらあかん。『慰安婦』暴言を謝って撤回してから、きっぱりやめて」などと訴えました。
同会の中野冬美代表は事前集会で「問われているのは橋下市長の人権感覚にもかかわらず、それを受け止めない。市民の命を預かり、人権を守り、福祉をすすめる市長としての資質は全く欠如しているというほかない」とのべ、「１２月の任期満了まで居座ることは許されない。謝罪、撤回して辞任していただく」と訴えました。
集会では、性暴力許さない女の会、日本軍「慰安婦」問題関西ネットワーク、大阪の男女共同参画施策をすすめる会、新婦人大阪府本部、国際婦人年大阪の会、女性問題研究会、ＰＥＡＣＥ・ＷＥＳＴ ＷＯＭＥＮの７団体が発言しました。
集会に先立ち、橋下氏に申し入れを行いました。
(２０１５年１０月２７日，「赤旗」)
日韓首脳会談、来月２日を提案
【ソウル＝時事】韓国大統領府関係者は２６日、日中韓首脳会談の機会にソウルで行われる日韓首脳会談について「１１月２日の開催を日本側に提案し、回答を待っているところだ」と述べました。また、大統領府は、中国の李克強首相が今月３１日～１１月２日の日程で訪韓し、日中韓首脳会談に出席するとともに、３１日に朴槿恵大統領と会談すると発表しました。
日中韓首脳会談は１１月１日に行う方向で調整されています。日韓首脳会談については、日程だけでなく、慰安婦問題の扱いなど内容面でも調整が難航しているもよう。中韓首脳会談だけ先に発表する異例の形となりました。
( ２０１５年１０月２７日，「赤旗」)
日本の植民地支配解放７０年／台湾で「光復節」式典／中国政府も重視
【北京＝小林拓也】台湾は２５日、日本による植民地支配からの解放記念日である「光復節」を迎えました。今年は解放から７０周年で、台北で記念式典が開かれました。
式典では、馬英九総統が演説し､｢たとえ侵略の過ちを許すことができても、血と涙の歴史は忘れることはできない」と表明。日本の侵略戦争で多くの軍民が犠牲になり、いまでも苦しんでいる元「慰安婦」がいると述べ、「日本政府は反省すべきだ」と訴えました。
中国政府も、抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利７０周年を記念する一連の行事の一つとして、台湾の光復節を重視。２３日に北京の人民大会堂で記念式典が開かれ、演説した兪正声・全国政治協商会議主席は台湾の植民地化は「中国近代史の悲惨な一ページだ」とし、「日本の５０年間の植民地支配で、台湾同胞は歴史的痛手を受けた」と強調しました。
兪主席は「台湾と大陸は引き裂くことのできない運命共同体だ」と改めて指摘。「大陸と台湾が一つの中国に属するという事実は変えることはできない」と述べ、「台湾独立勢力」への反対を表明しました。
北京郊外の盧溝橋近くにある中国人民抗日戦争記念館では、２３日から台湾の反植民地闘争に関する特別展示が始まりました。
( ２０１５年１０月２６日，「赤旗」)
南京大虐殺・ユネスコ登録／日本政府拠出金停止と〝脅し〟／海外から批判「東京がユネスコ罵倒」
国連教育科学文化機関（ユネスコ）の世界記憶遺産に、中国が申請した日本軍による南京大虐殺（１９３７年）に関する資料が登録されました（１０日）。これに反発した日本政府は、ユネスコへの拠出金の停止を検討すると表明。この強権的な姿勢に海外メディアからも批判の声が上がっています。
本吉真希、坂口明記者
世界記憶遺産に登録されたのは、当時の日本兵が撮影した写真や米国人牧師による記録映像、ＢＣ級戦犯裁判の一つである南京軍事法廷の判決（４７年）など。中国が同時に申請した日本軍「慰安婦」に関する資料は登録されませんでした。
ユネスコでの登録審査を前に、菅義偉官房長官は「過去の一時期における負の遺産をいたずらに強調し、極めて遺憾だ」と申請取り下げを要求（２日）。登録が決まると、ユネスコへの拠出金の停止や削減を検討する考えを表明（１２日）、反発を強めています。
自民党は日本政府に対し、拠出金の停止や登録撤回の「新提案」を直ちに行うよう求める決議をあげました。（１４日）
こうした日本政府の対応に、英紙ガーディアンは「日本がユネスコを脅している」、米ＣＮＮテレビは「東京がユネスコを罵倒」と報道しました。（いずれも１３日の電子版）
ユネスコの松浦晃一郎前事務局長は共同通信の取材に「日本の国際的な存在感の低下に拍車を掛け、墓穴を掘るだけだ」と語っています。（１４日）
米テンプル大学ジャパンのジェフ・キングストン教授（アジア研究学、史学）は、日本のユネスコ非難が「日本を卑しく訳が分からないものに見せている」と指摘します。（ジャパン・タイムズ１８日付）
大虐殺は歴史的事実
そもそも南京事件は、日中両国の歴史認識として確認されている事実です。
第１次安倍政権時に安倍首相自ら中国側に提起した「日中歴史共同研究」（２００６年開始）の報告書（１０年公表）では次のように結論づけています。
「日本軍による捕虜、敗残兵、便衣兵（私服兵）、及び一部の市民に対して集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦（ごうかん）、略奪や放火も頻発した」
議論のある犠牲者数についても「日本側の研究では２０万人を上限として、４万人、２万人など様々な推計がなされている」との見解を示しています。
今回の問題は国際的にも注目され、海外メディアは南京大虐殺の写真付きで報じています。
仏ＡＦＰ通信電子版（１０日）は、ＮＨＫ経営委員だった百田（ひゃくた）尚樹氏（作家）が昨年２月に南京大虐殺を否定する、などの動きが日本にあると紹介。「一部の尊敬される外国人研究者は殺害された人の数が（中国側が言う）３０万人より少ないとするが、大虐殺が起こったことを疑う主流の専門家はほとんどいない」と報じています。
世界記憶遺産とは
世界記憶遺産は１９９２年に始まり、歴史的文書や絵画、音楽などを保存、後世への継承を目的としています。日本では山本作兵衛の筑豊の炭鉱画、戦後のシベリア抑留者資料など、世界ではフランス人権宣言やアンネの日記、マルクスの注釈が書き込まれた『資本論』、『共産党宣言』草稿などが登録されています。
(２０１５年１０月２５日，「赤旗」)
建国大中国研究院／志位委員長が座談会出席
【ソウル＝中祖寅一】日本共産党の志位和夫委員長は２２日、建国大学での講演に先立って、同大学中国研究院の丁相基（チョン・サンギ）硯座教授、韓仁熙（ハン・インヒ）同研究院院長との座談会に出席しました。
座談会では、歴史認識や日本軍「慰安婦」問題についての日本共産党の考え方について、丁、韓両教授からの質問に志位氏がていねいに答えました。
志位氏が日韓関係の改善に向け、過去における日本の植民地支配の不当性を認めることが不可欠だとしたうえで、「基本的な部分で歴史認識を日韓双方で共有することが関係改善への根本的な問題」と述べたのに対し、丁氏は「その発言は高く評価したい」と答えました。
韓氏が、「安倍政権下での日米同盟強化の動きに中国が反発することは、北東アジア情勢に影響する」と述べたのに対し志位氏は、「戦争法の動きは軍事対軍事の悪循環をもたらす。地球規模で軍事力を行使する動きに、国民の多くが反対している」と述べました。
また、志位氏は戦争法廃止の国民連合政府の提案や、北東アジア平和協力構想について説明。丁、韓両教授から賛意が示され、その中で、日中韓３カ国の協力をどう進めるかについて意見交換しました。
( ２０１５年１０月２４日，「赤旗」)
「北東アジア平和協力構想」で協力を／志位委員長と金・韓日議連会長代行が会談
【ソウル＝面川誠】日本共産党の志位和夫委員長は２３日、韓国のソウルで韓日議員連盟の金泰煥会長代行と会談しました。会談には日本共産党から笠井亮常任幹部会委員・衆院議員、韓日議連から姜昌一幹事長が、それぞれ同席しました。（関連２面）
金氏は再会を喜びながら、「２１日にソウルで開かれた『日韓親善友好の集いｉｎ Ｓｅｏｕｌ』（主催＝日韓親善協会、韓日親善協会と、在日本大韓民国民団）での志位委員長のあいさつに多くの参加者が感銘を受けました」と述べ、「韓日友好のために引き続き力を発揮していただきたい」と期待を表明。志位氏は「今後も力を尽くします」と答えました。
志位氏は日本共産党が提唱している「北東アジア平和協力構想」（別項）の内容を説明し、「この基本方向で協力ができればと願っています」と語りました。金氏、姜氏は「望ましい方向です」「良い考えです」と賛意を示した上で、「韓中日３カ国の協力が重要です」と強調。志位氏も「私たちも、まず可能なところから一歩一歩進めたいと考えています｣と応じました｡
朴槿恵韓国大統領も「北東アジア平和協力構想」を打ち出し、東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）、中国との首脳会談でも支持されています。志位氏は、韓国政府の提唱と、日本共産党の「構想」は方向性を共有していると述べ、金氏らと、「構想」の方向を現実のものにするためには何が必要かについて、活発な意見交換を行いました。
さらに、志位氏は日本軍「慰安婦」問題の解決が急がれると指摘。昨年１０月と今年７月の日韓・韓日議員連盟合同総会で、「『河野談話』、『村山談話』の精神にふさわしい行動をとる」「当事者たちの名誉回復と心の痛みを癒やすことができるような措置をとる」ことが明記されたことをあげ、「こうした立場で日本政府が一歩踏み出すことが必要です」と強調しました。この問題でも、解決に向けた方途について、金氏らと突っ込んだ意見交換を行いました。
最後に志位氏は、産経新聞の前ソウル支局長が朴大統領の名誉を傷付けたとして在宅起訴され求刑を受けている事件に言及。「深く懸念しています。言論による体制批判には言論で応えるというのが民主主義社会のあるべき姿で、今回のようなやり方はとるべきではないと考えます」と表明。金氏は「懸念を理解します」と応じました。
◇
志位委員長ら一行は同日午後、帰国しました。
「北東アジア平和協力構想」
①域内の平和のルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結する、②北朝鮮問題を「６カ国協議」で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる、③領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶ、④日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台となる。
( ２０１５年１０月２４日，「赤旗」)
日韓親善友好の集い／志位委員長のあいさつ
２１日にソウルで開かれた「日韓親善友好の集い ｉｎ Ｓｅｏｕｌ」で、日本共産党の志位和夫委員長が行ったあいさつは次のとおりです。
アンニョンハセヨ（みなさん、こんにちは）。日本共産党の志位和夫です。
歴史に誠実に向き合う
日韓国交正常化から５０年を経て、両国の経済的・文化的・人的交流は大きく発展してきていると思います。大変喜ばしいことであります。この点で、日韓・韓日親善協会のみなさん、そして民団のみなさんが、両国の懸け橋として努力されてきたことに、私は心からの敬意を申し上げたいと思います。（拍手）
同時に、両国の政治的協力は遅れている。ここにはギャップが存在していると思います。いかにして、日本と韓国両国の、心が開いた友好関係をかちとるか。私は、双方の努力が必要だと考えますが、日本側の姿勢としては、過去の歴史に対して誠実に向き合うことが何よりも大切だと考えております。（拍手）
歴史は書き換えることはできません。都合を悪い部分を消しゴムで消すこともできません。しかし、向き合うことはできます。歴史に誠実に向き合い、誤りはきちんと認め、清算し、未来への教訓とする。こうしてこそ、子々孫々にわたって日韓両国国民の心が開いた、本当の友好がかちとれるというのが、私たちの確信であります。（拍手）
日韓・韓日議連の決定
私は、昨年１０月、ソウルで開かれた日韓・韓日議員連盟の合同総会に参加しました。この合同総会では、全会一致で採択された共同宣言で歴史問題についてたいへんに大事な二つの決定をいたしました。
一つは「河野談話」「村山談話」を継承することはもちろんですが、これらの「談話の精神にふさわしい行動をとる」ということです。
いま一つは、日本軍「慰安婦」問題では被害にあわれた方々の、人間としての尊厳が回復される措置をとるということです。
私は、こういう決定が超党派の日韓・韓日議員連盟の合同総会で採択され、さらに今年７月に東京で開催された合同総会でも再度確認されたことは、両国の歴史問題の解決の基本方向を示すものと確信するものです。（拍手）
とくに日本軍「慰安婦」問題の解決は、急がなければなりません。時間がありません。ですから共同声明の精神に沿って解決を図るよう、私も全力を尽くすことをお約束したいと思います。（大きな拍手）
長い交流の歴史をふまえて
われわれ日韓両国の交流の歴史は長いものがあります。古代からの交流、そして朝鮮通信使の交流、今日の交流。この長い交流の歴史の中で、不幸な時代はごくわずかなものです。これをぜひ乗り越えて、本当の意味で、日韓の友好が築かれ、北東アジアの平和と安定を築くために私たちも力を尽くしたいということを申し上げ、ごあいさつとします。（大きな拍手）
( ２０１５年１０月２２日，「赤旗」)
親善の集い、建国大総長との面談／志位委員長、各界と交流／ソウル
【ソウル＝中祖寅一】日本共産党の志位和夫委員長は２１日、ソウル市内で開かれた「日韓親善友好の集いｉｎ Ｓｅｏｕｌ」に出席しあいさつしました。集いは日韓、韓日の両親善協会と在日本大韓民国民団が主催したものです。
（あいさつ詳報２面）
志位氏は、日韓両国民の心を開いた真の友好をかちとるために、「何より日本側が過去の歴史に誠実に向き合うことが必要だ」と力説。「河野談話」「村山談話」の精神にふさわしい行動をとり、日本軍「慰安婦」の被害者の「人間としての尊厳」を回復する措置をとるという、この間の日韓・韓日議員連盟の決定が重要だとし、その方向で問題解決に全力を尽くすと述べました。会場は大きな拍手でこたえました。集いでは、生活の党の小沢一郎代表、自民党の河村建夫衆院議員もあいさつしました。
日本共産党の笠井亮衆院議員、緒方靖夫副委員長、森原公敏国際委員会副責任者も出席しました。
また志位氏は同日、建国大学の宋熹永（ソン・ヒヨン）総長と、同大学（ソウル市内）の行政舎内で面談しました。
２２日には、同大学で戦後７０年、日韓国交正常化５０年の記念事業の一環として、志位氏の講演が予定されています。面談は講演を前に行われました。
宋総長は、志位氏の講演に若い学生が期待を寄せていると歓迎の意思を表明。志位氏は、著書『戦争か平和か―歴史の岐路と日本共産党』の韓国版刊行に合わせて企画された講演に招待を受けたことに、感謝の気持ちを伝えました。
志位氏は、歴史問題、北朝鮮問題の打開に特別の努力が必要だと指摘。北東アジア平和協力構想を紹介しつつ、現在、日本で戦争法廃止の国民連合政府を提起するという新たなチャレンジを開始していると語り、「これが実現し安倍政権を倒せば、北東アジアの平和と安定にとっても大きな貢献になると思います」とのべました。
志位氏はまた、同日、韓国のメディアの単独、共同のインタビューを連続で受け、歴史問題や国民連合政府の問題などで質問に答え、日本共産党の立場について縦横に語りました。
また笠井議員は、韓日親善協会主催の朝食会に出席しました。
( ２０１５年１０月２２日，「赤旗」)
志位委員長、ソウルに到着／あす建国大学で講演
【ソウル＝中祖寅一】日本共産党の志位和夫委員長は２０日、韓国の建国大学の招きで講演を行うため、ソウルに到着しました。志位氏は同日夕には、２１日にソウルで開かれる「日韓親善友好の集いｉｎ Ｓｅｏｕｌ」（日韓、韓日の両親善協会と在日本大韓民国民団の共催）に参加する両国の国会議員らとの夕食会に笠井亮衆院議員とともに出席し、懇談しました。
志位氏の講演は２２日午後、建国大学法学専門大学院の国際会議室で「戦後７０年 北東アジアの平和―歴史をふまえ未来を展望する」をテーマに行われます。同大学は、戦後７０年、日韓国交正常化５０年の今年、記念事業の一環として、志位氏の著書『戦争か平和か―歴史の岐路と日本共産党』の韓国版の刊行に合わせ講演会を企画しました。
また、志位氏と丁相基（チョン・サンギ）建国大学中国研究院碩座教授（元北東アジア協力大使）、韓仁熙（ハン・インヒ）同研究院院長との座談会も行われる予定です。
韓国メディアとのインタビューも予定されています。安倍政権の戦争法強行と対決する国民運動の高揚や、日本共産党の「国民連合政府」の提案への関心も広がっています。
訪韓には、緒方靖夫副委員長、森原公敏国際委員会副責任者、田川実同事務局長らが同行しています。
( ２０１５年１０月２１日，「赤旗」)
慰安婦問題の進展見られず／韓国外相
【ソウル＝時事】韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相は１９日の国会答弁で、いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる日韓の協議について「外務省局長級協議などで努力しており、ときには進展も見え、ときには停滞もあった。現時点ではまだ進んでいない状況だ」と述べ、両国の立場の違いが依然大きいという認識を示しました。尹氏は１１月１日で調整されている日韓首脳会談に関し「意味のある首脳会談にしようとすれば、懸案で進展が必要だと何回も話している」と語り、慰安婦問題での日本側の前向きな対応を改めて求めました。
( ２０１５年１０月２０日，「赤旗」)
首相、記憶遺産「検証が必要」
安倍晋三首相は１５日、自民党の秋葉賢也外交部会長らと首相官邸で会談しました。国連教育科学文化機関（ユネスコ）世界記憶遺産に南京事件の資料が登録されたことについて、首相は「日本として組織的な活動をしなかったのは反省材料だ。しっかりした検証が必要だ」と述べました。また、韓国が旧日本軍「慰安婦」資料の登録を目指していることについて「登録されないよう今から万全を尽くすことが大事だ」と強調しました。
秋葉氏らは南京事件の登録撤回や、ユネスコ分担金の拠出停止を求める外交部会などの決議文を首相に手渡しました。
( ２０１５年１０月１８日，「赤旗」)
首相、中韓首脳との会談「必ずやる」
安倍晋三首相は１６日、自民党の河村建夫元官房長官と首相官邸で会い、来月１日にソウルで開く方向で調整中の日中韓首脳会談に合わせ、中国の李克強首相、韓国の朴槿恵大統領と個別に会談することを伝えました。河村氏が「まだ決まっていないのではないか」と尋ねたのに対し、首相は「そんなことはない。必ずやる」と述べました。河村氏は「慰安婦問題も含め、ぜひ成功させてもらいたい」と伝えました。
( ２０１５年１０月１８日，「赤旗」)
潮流
「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」。今年亡くなったドイツのワイツゼッカー元大統領が終戦４０周年の記念演説で訴えた有名な一節です▼彼はそのくだりの直前にこうも語っています。「罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません。だれもが過去からの帰結に関わり合っており、過去に対する責任を負わされている」（『荒れ野の４０年／永井清彦訳』）▼いま、ナチスの戦争犯罪を告発する二つのドイツ映画が日本で公開されています。独裁者の命を狙った家具職人の人生と信念を描いた「ヒトラー暗殺、１３分の誤算」。忍び寄るファシズムを追いながら音楽や自由を愛する〝普通の男〟を突き動かしたものを描きます▼「顔のないヒトラーたち」からは戦後ドイツの苦闘が見えてきます。良き隣人として日常生活を送るかつてのファシストたち。正義感あふれる若き検察官がその偽りと沈黙を暴く。真実を追及するあまり、親しい人たちとも対立する主人公の姿が痛ましい。アウシュビッツ裁判につながり、ドイツの歴史認識を変えていきます▼くり返し、自国の戦争犯罪と向き合い、記憶を消さないドイツ。翻って日本はどうか。日本軍慰安婦や南京大虐殺の実態を隠そうとするなど、いまだにアジアの国々との関係はとげとげしい▼あの戦争は何だったのか―。個人と国の歴史を見つめ直した節目の今年。過去に対する責任は、侵略戦争を正しかったとする安倍政権に、刃となって向かうはずです。
( ２０１５年１０月１８日，「赤旗」)
日韓首脳会談は可能
【ワシントン＝時事】訪米中の朴槿恵（パク・クネ）韓国大統領は１５日、ワシントン市内で講演し、日中韓首脳会談が１１月初めにソウルで開かれる際、安倍晋三首相と初の２国間首脳会談を行うことが可能だと述べました。朴氏が日韓首脳会談の実現に直接言及したのは初めて。
朴氏は、日中韓首脳会談について「北東アジアの平和だけではなく、２国間関係の改善も期待できる」と指摘しました。日韓関係に関しては「首脳会談を本当に意味あるものにするためには、（日韓）両国が未来志向で前進できることが重要だ」と強調しました。
具体的な課題としては、いわゆる従軍慰安婦問題に触れ、「この問題の進展をもたらす会談こそが、有意義な首脳会談と見なすことができる」と改めて主張。安倍首相との会談で取り上げる方針を示しました。
( ２０１５年１０月１７日，「赤旗」)
第２次世界大戦終結７０年／朝鮮半島／今も残る支配の傷痕／４／二度と同じ被害生まない
韓国政府が認定した日本軍「慰安婦」被害者は２３８人、今年はこれまでに８人が亡くなり、生存者は４７人になりました。平均年齢は８９・１歳です。
被害者の１人、金福童（キム・ボクトン）さん（８９）は訴えます。「私たちは高齢で、死ぬまでの残り時間が少ない。日本政府には、せめて私たちが生きている間に解決してほしい」
日本は批判対象
金さんは、日本政府の謝罪を求め、国際世論を高めようと国連人権理事会のあるスイス・ジュネーブやドイツ、ノルウェー、フランス、米国などで証言してきました。「外国に行くと日本政府がこの問題について、すでに解決したと思っている人が多い。話をするとみなさん驚いて、このままではダメだと多くの方が共感してくださいます」
この間、女性に対する組織的な強姦（ごうかん）、性的奴隷、強制売淫、強制妊娠、強制不妊などの性暴力を、時効のない「人道に対する罪」と位置づけた国際刑事裁判所の「規程」が採択（１９９８年）されるなど、女性の国際的な人権保障は大きく発展してきました。「慰安婦」問題で、謝罪も賠償もしていない日本の態度は、たえず批判の対象にされるのは当然です。
金さんは、「同じ思いをする女性が二度と生まれないように」との思いから、自らの体験を語ってきました。一方、話をする先々で、性暴力に遭った女性たちに出会いました。
「女性に対する性暴力は世界中で行われたし、いまも行われています。被害者は、若いときは生活できても、老いることで働き口がなく、生計をたてることができないと訴えます。その姿を見て、自分と同じ被害者を助けることができないかと思い、韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会（挺対協）と相談して『ナビ基金』をつくりました」
若い世代に託す
「ナビ」とは韓国語で空に羽ばたくチョウの意味。２０１２年に設立されました。日本政府から賠償を受け取った場合、全額が「基金」に充てられる予定です。それまでは趣旨に賛同する市民に寄付を募って運営します。現在は、コンゴとベトナムの被害女性に、定期的に送金しています。
基金の賛同者には小学生から大学生まで、未来の世代も多数含まれています。金さんは若い世代に、自らの思いを託します。
「戦争は絶対に起こしてはならない。起こってしまえば同じような被害を受ける人がでてきます。戦争がないことによって心置きなく生きて、学び、成長することができる。何があっても戦争だけはしてはいけないということを、学生たちには知ってほしいと思います」
（栗原千鶴）
（おわり）
( ２０１５年１０月１４日，「赤旗」)
日韓国会議長間の交流定例化を合意
【ソウル＝時事】韓国を訪問した大島理森衆院議長は１２日、韓国国会の鄭義和（チョン・ウィファ）議長と会談し、日韓国会議長間の交流定例化で合意しました。また、中国も含めた３国の国会議長会議の開催も積極的に検討していくことで一致しました。
大島氏は今月末にも開かれる日中韓首脳会談や、それに合わせて開催されるとみられる日韓首脳会談の成功に向けた協力を要請。鄭氏は日韓首脳会談について「慰安婦問題を乗り越えていかなければならない」と指摘し、大島氏は「日本政府も一生懸命努力している。知恵を出して努力していくだろう」と応じました。
( ２０１５年１０月１４日，「赤旗」)
世界記憶遺産／「慰安婦」登録、共同でめざす／中国外務省
【北京＝小林拓也】中国外務省の華春瑩・副報道局長は１２日の記者会見で、国連教育科学文化機関（ユネスコ）の世界記憶遺産への登録が見送られた旧日本軍「慰安婦」関連の資料について、ユネスコから「関係国との共同申請を勧める」意見があったことを明らかにし、再び登録を目指す意向を示しました。
華副局長によると、ユネスコの意見は「中国以外にも『慰安婦』問題の被害国がある。規定に基づき、関係国との共同申請を勧める。２０１７年の次回会議で申請を審議するだろう」というもの。
( ２０１５年１０月１４日，「赤旗」)
日本軍「慰安婦」写真展／「彼女たちの声感じて」
日本軍占領下のインドネシアで日本軍「慰安婦」にさせられた女性たちを撮影したオランダ人写真家ヤン・バニングさんの日本初の写真展「Ｃｏｍｆｏｒｔ Ｗｏｍｅｎ ―インドネシアの日本軍『慰安婦』」が１０日から東京都内で始まりました。１１日、ヤンさんと、ヤンさんとともに取材したオランダ人ジャーナリストのヒルデ・ヤンセンさんが語り合いました。
ヤンさんは「パスポートの証明写真のような構図で撮影した理由は、慰安所では、彼女たちの証明写真が並んでいて、兵士たちはそれを見て女性を選んだからです。同じ構図で撮ることによって、過去と現在につながる橋をかけたいと思った」と語りました。
ヒルデさんは「女性たちは、自分たちの体験したことを世界に、とりわけ日本の人たちに聞いてほしいと願っています。写真から彼女たちの声を感じてください｣と話しました｡
写真展は、東京都世田谷区の「キッド・アイラック・アート・ホール３～４階ギャラリー」で２５日まで。正午から午後７時（最終日は午後５時）。火曜は休館。入館料７００円。問い合わせはアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」℡０３（３２０２）４６３３。
( ２０１５年１０月１２日，「赤旗」)
安倍首相「日韓首脳会談実現させたい」
安倍晋三首相は９日夜、韓国訪問を終えて帰国した公明党の山口那津男代表と首相官邸で会談しました。
山口氏は朴槿恵大統領と会談したことを報告、「（大統領は）慰安婦問題解決への強い意欲を示した。日韓首脳会談でテーマとする意欲の表れだ」と述べ、月末にも韓国で開催が調整されている日中韓首脳会談に合わせ、日韓両首脳の個別会談も実現するとの見通しを示しました。
首相は「ぜひそういう機会を実現させたい」と応じました。
( ２０１５年１０月１１日，「赤旗」)
「南京事件」記憶遺産申請／日本政府に反省要求／中国「事実は否定できない」
【北京＝時事】中国外務省の華春瑩・副報道局長は９日の記者会見で、中国が旧日本軍による「南京事件」と「慰安婦」に関する資料の世界記憶遺産登録を申請したことに関し、日本の登録反対は「再度、歴史問題での誤った姿勢を証明した」として、日本に対し「子孫・後世に責任ある態度で歴史を直視・反省する」よう求めました。
華副局長は申請の目的について「日本国民を含む世界の人々が戦争の残虐性をより深く認識し、歴史を心に刻み、共同で人類の尊厳を守るためだ」と説明。「事実は否定できず、歴史は改ざんできない」と強調しました。
( ２０１５年１０月１１日，「赤旗」)
ユネスコ登録／記憶遺産にシベリア抑留資料／「東寺百合文書」も／中国申請、南京大虐殺も
国連教育科学文化機関（ユネスコ）は１０日、重要な歴史文書などの保存を目的とする世界記憶遺産に第２次世界大戦後のシベリア抑留者に関する資料「舞鶴への生還」と、国宝「東寺百合文書」を登録したと発表しました。中国が申請していた「南京大虐殺」に関する資料やインドネシアの「アジア・アフリカ会議」（バンドン会議）文書など、あわせて４７件が登録されました。
（関連２・１５面）「赤旗」)
４日からアラブ首長国連邦（ＵＡＥ）のアブダビで開かれていた国際諮問委員会で審査していました。
シベリア抑留資料は、舞鶴引揚記念館が所蔵する５７０点。抑留中の生活や心情などを白樺の樹皮にすすで作ったインクでつづった「白樺日誌」や、引き揚げ船の乗船名簿などです。
東寺百合文書は、京都市の東寺に伝わる約２万５０００通におよぶ古文書群です。８～１８世紀の約１０００年間にわたる古文書で、足利義満の直筆や織田信長の書状などの資料も含まれています。
中国が申請していた「南京大虐殺」は、日中戦争時の１９３７年１２月に日本軍が南京を侵略した際に起こした大虐殺事件で、登録の対象は、日本兵が撮影した写真や米国人神父による記録映像、４７年に開かれた南京軍事法廷の記録などです。先の大戦での日本の加害にかかわる記憶遺産の登録は初めて。同時に申請していた「慰安婦」に関する資料は不登録でした。
中国政府は昨年、これら二つの案件を登録申請した際に、「人道に反し、人権を侵し、反人類的な行為を二度と起こさないようにするためだ」と表明。日本政府は、「政治利用だ」と登録に反対してきました。
世界記憶遺産
１９９２年に始まり、世界遺産、無形文化遺産と並ぶユネスコの遺産事業の一つ。記憶遺産は古文書や絵画、映像、音楽などを対象としており、これまでフランスの人権宣言やカール・マルクス自身が注釈を書きこんだ『資本論』など３０１件が登録されています。
( ２０１５年１０月１１日，「赤旗」)
被害女性と連帯／政府の謝罪訴え／広島・慰安婦ネット
日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワークは７日、広島市中区で毎月第１水曜日定例の昼休み宣伝をしました。韓国ソウルの日本大使館前で被害女性らが毎週水曜日に開く抗議行動「水曜デモ」に連帯するものです。
約３０人が参加して「日本政府はあやまれ、つぐなえ」と書いた横断幕を掲げ、「戦争と性暴力のない平和な世界を」と書いたビラを配布。土井桂子共同代表はハンドマイクで「日本を再び戦争のできる国にしようとする安倍首相の強引な手法は、国内外の批判を招き、被害者たちに再び恐怖と危惧を与えています」と訴えました。
(２０１５年１０月０９日，「赤旗」)
改造内閣「極右重用」と韓国メディア
【ソウル＝時事】韓国のニュース専門テレビ局ＹＴＮは７日、第３次安倍改造内閣について、馳浩氏の文部科学相起用などを取り上げ、「極右（の人物）が重用された」と伝えました。
毎日経済新聞（電子版）も「保守・右翼傾向の側近が入閣した」と報じました。
聯合ニュースは、官房副長官に抜てきされた萩生田光一氏に関し、「『（慰安婦問題で謝罪した）河野談話の役割は終わった』などと発言し、物議を醸した」と指摘しました。
( ２０１５年１０月０８日，「赤旗」)
過去と向き合う批判精神こそ／元毎日放送記者西村秀樹さんが講演／ＮＨＫ問題を考える奈良の会
政権与党による放送への介入が激しくなるなか、視聴者は何をすればいいのでしょうか。市民団体「ＮＨＫ問題を考える奈良の会」（代表・佐藤真理弁護士）は９月末、元毎日放送記者の西村秀樹さん（近畿大学客員教授）を招いた講演会を開催。放送の歴史を通じ、「情報を読み取る力の大切さ」が語られました。
西村さんは１９７５年入社。ニュースやドキュメンタリー番組を制作してきた経験をもとに、「我々は過去とどう向き合い、今後どう進むべきか～民間放送から考える」と題して講演しました。
戦争の責任は
「日本人３１０万人、アジアでは２０００万人が死んだ戦争を起こした責任は、メディアにもあるのではないか」と問いかけ、「大本営発表」をキーワードに戦前のＮＨＫ（日本放送協会）の役割をひもときます。
１９２３年の関東大震災で流言飛語が飛び交った教訓から、政府は欧米からラジオ技術を導入。最初の放送は２５年の東京放送局で、名古屋、大阪の局が続きました。翌年に３局を統合して日本放送協会が設立されますが、「『放送これを干渉す』と、ニュース原稿は逓信（ていしん）省の役人が書いた。〝勝った勝った〟という大本営発表を、職員が吟味する権限はありませんでした」
しかも、戦前は民放などフリーなラジオが認められず、放送メディア間の競争はありませんでした｡新聞も｢戦争は部数が増えてもうかる」と反戦の主張を降ろして、「国民が戦争遂行の先兵となることをあおりました」。
戦後、ＮＨＫと民間放送の「二元体制」ができたのは、戦前の反省からでした。ＧＨＱも当初は放送の民主化に取り組みますが、５０年の朝鮮戦争を機に「反共」へと方針転換し、戦争責任を追及してストを打つ労働組合を徹底して弾圧していったといいます。
毎日放送の前身、新日本放送が大阪でラジオ放送を開始したのが５１年。「当時のトップたちは、なぜあの戦争を止められなかったのかを痛感し、新しい日本を建設するためのラジオ会社を終戦直後に設立しました」。レッドパージでＮＨＫを追われた職員も加わりました。「毎日放送には、かろうじてみなさんに評価される批判精神があると思っています」
西村さんは９１年、日本軍「慰安婦」だと一番最初に名乗り出た韓国のキム・ハクスンさんを描いたテレビドキュメンタリー番組を制作しました。
現場の激励も
「『日の丸が私の人生をめちゃくちゃにした』という証言のリアリティーさが、映像では伝わるんです。だからこそ、メディアは伝え抜くことが大事。批判精神がないメディアは、メディアとは言えません」
公共放送・ＮＨＫに対しても徹底した批判精神を求め、「戦後７０年を特集した番組を見ても、その力はある」と期待します。「みなさんも、ＮＨＫに対して叱咤（しった）だけでなく激励もする。現場は励まされると思います」と参加者に呼び掛けました。
( ２０１５年１０月０８日，「赤旗」)
「慰安婦」ねつ造訴訟結審／吉見教授〝許されない〟／東京地裁
日本維新の会（当時）の桜内文城元衆院議員が吉見義明中央大学教授の著書を「これは既にねつ造であるということが、いろんな証拠によって明らかとされております」と発言（２０１３年５月２７日の日本外国特派員協会）したことについて、吉見教授が桜内氏を名誉毀損（きそん）で訴えた裁判の第９回口頭弁論が５日、東京地裁であり、結審しました。
これまでの口頭弁論で桜内氏側は、吉見教授の著書ではなく「慰安婦」は性奴隷だったということがねつ造であると主張していましたが、今口頭弁論では「（性奴隷だったかどうかは）学説間の対立であり、吉見氏の名誉毀損にはあたらない」と新たな論点を持ち出しました。
吉見教授は「研究者にとって『ねつ造』と言われることほど名誉を傷つけられる行為はない。根拠もない中傷によって、勤務先にも迷惑が及んでおり、私自身深く傷つけられている」と陳述しました。
報告集会では、吉見教授の代理人を務める大森典子弁護団長は「苦しまぎれの論点ずらしだ」と指摘。「この社会の中で、桜内氏のような発言が許されないと定着するまで、まだまだやらなければいけない」と決意をのべました。
判決は１６年１月２０日です。
( ２０１５年１０月０６日，「赤旗」)
「慰安婦」否定意見書出すな／県革新懇が反対呼びかけ／山形
山形県革新懇は５日、山形県議会の自民党が議会最終日の６日に「慰安婦問題に関する適切な対応を求める意見書」を提出しようとしていることについて、提出しないことを求める緊急県民運動の取り組みを呼びかけました。
準備されている意見書は、慰安婦問題について、朝日新聞で報道された吉田清治氏の慰安婦問題の証言に関する記事を朝日新聞が虚偽だったとして取り消したことを持ち出し、河野談話が「具体的な事実が見いだせないのにもかかわらず、強制連行を認める発言をしたことにより国連を含め国際社会において史実に基づかない誤った認識が史実化している…日本の国益と国民の名誉を回復するため、慰安婦問題に関する新しい見解を国際社会に発信することを要望」するとしています。
準備されている意見書は２０１４年９月１１日のテレビ報道番組で、河野談話発表時の官房副長官石原信雄氏が「河野談話は吉田証言を根拠にしていない」「吉田談話をベースに韓国側と議論をしていない」「元慰安婦の証言によって慰安婦とされた強制性を認定した」という事実を真っ向から否定するものです。朝日新聞が吉田清治氏の証言記事を取り消したことにより強制連行がなかったようなことを言うのは、歴史の事実を否定するものであり見過ごすことのできないものです。
山形県議会の自民党は昨年の１２月定例会に、河野談話の見直しを求める意見書提出を準備しましたが、多くの県民の反対運動により意見書提出を断念していました。
( ２０１５年１０月０６日，「赤旗」)
日本軍「慰安婦」問題の核心／林博史著／評者吉見義明中央大学教授
新資料用い解明、米軍との比較も
本書は、著者が自らの「慰安婦」問題の諸研究をまとめたものである。著者はこれまでに多くの成果を発表しているので、「慰安婦」問題の単著はこれがはじめてだと聞くと驚くが、それだけに内容のある著作となっている。
まず、２０１４年に起きた朝日新聞の吉田証言取り消し以降の日本の異様な｢慰安婦｣バッシングに対して、著者は理をつくして批判し、よりよい未来をつくるために「過去の克服」が必要なことを明らかにしている。（第Ⅰ部）
第二に、著者は、新資料を発見・紹介し、日本軍の責任を多面的に解明している。たとえば、旧法務省所蔵文書から出てきた海軍の「三警事件」資料とか、ジョンベル憲兵隊事件などである（第Ⅱ部・第Ⅲ部）。マレー・シンガポールでの「慰安婦」徴募の実態を解明したことや、日本軍による性暴力被害の多様な現れ方を類型・定式化したことも重要な貢献であろう。
第三に、日本軍と比較してのアメリカ軍の性売買対策と性暴力の特徴を原資料に基づいて解明している。その分析は重厚であり、第２次大戦中は、ピューリタニズムの影響もあってアメリカ政府と軍中央は売春を否認していたこと、他方で娼婦を犯罪者扱いし、黒人兵は問題児集団のように取り扱っていたこと、軍は買売春に批判的な本国世論を意識せざるをえなかったことなどを明らかにしている（第Ⅳ部)｡また、これまでに明らかになっている諸研究から各国軍隊の実態を整理し、今後の課題を提示している。
このように、本書は、「慰安婦」問題がよりよく理解されるために、広く読まれるべき本である、といえよう。
はやし・ひろふみ ５５年生まれ。関東学院大学教授。『沖縄戦と民衆』
( ２０１５年１０月０４日，「赤旗」)
世界記憶遺産に慰安婦登録反対／菅長官
菅義偉官房長官は２日の記者会見で、国連教育科学文化機関（ユネスコ）の世界記憶遺産に関する４日からの国際諮問委員会で、中国が申請した旧日本軍による南京事件と日本軍「慰安婦」の史料の登録の可否が審査されることについて、「ユネスコの政治的利用に対する懸念を説明し、慎重な審議を行うよう強く申し入れている」と述べ、登録に反対する考えを改めて示しました。
菅長官は、昨年６月の中国の登録申請後、累次にわたり取り下げを求めたと説明。「日中間の過去の一時期における負の遺産をいたずらに強調しようとすることは極めて遺憾だ」と述べました。
( ２０１５年１０月０３日，「赤旗」)
（９月）ヘッドライン
日中関係の未来をひらくつどい／中国人戦争被害賠償訴訟弁護団の報告から／加害認識に欠ける日本
女性差別撤廃条約批准３０年／ジェンダー格差世界１０４位／来年２月国連機関の日本審査に向けて／柴田真佐子
志位委員長の著書『戦争か平和か』が教材に／戦後７０年、韓国の大学が出版
廃案！！戦争法案／私の主張／佐野修道院シスター上田還子さん（６７）栃木県佐野市／戦争放棄は宗教者の願い
本立て／戦後７０年・残される課題 未解決の戦後補償Ⅱ／中山武敏ら著
９月（本文）
「慰安婦」問題解決早く／韓国大統領が強調／国連総会
【ニューヨーク＝洞口昇幸】韓国の朴槿恵大統領は２８日、国連総会で行った一般討論演説で、日本軍「慰安婦」問題の速やかな解決を訴えました。朴氏は「第２次世界大戦中の残虐な性的暴力の被害者」に言及し、「彼女らが生きている間に、心の傷を治す速やかな解決策が必要だ」と強調しました。
朴氏は「過去を認識できずに未来を切り開く道はない」と述べ、日本政府の誠実な対応を促しました。
安倍政権が強行成立させた戦争法については、「最近、北東アジアの安全保障秩序に深刻な結果をもたらしかねない新しい動きがあり、域内諸国の不安につながっている」と述べました。
朴氏は、「日本が最近成立させた国防安保法制は、透明性を持って、地域の平和と安定と地域諸国間の友好関係に寄与するように実行されるべきだ」と強調しました。
( ２０１５年０９月３０日，「赤旗」)
戦争法撤回させよう／山梨県母親大会アピール
第５８回山梨県母親大会（戸田延子実行委員長）が２０日、甲府市のぴゅあ甲府で開かれ、２９０人が参加しました。
医療・介護、平和、教育など五つの分科会のあと、山梨社会福祉労組有志によるミニコンサートで全体会がオープンしました。
元ＮＨＫディレクターの池田恵理子さんが記念講演し、「慰安婦」問題と、その番組制作に関わってきた経験を語り「『慰安婦』被害を否定して歴史を偽造しようとする政治勢力とのたたかいは、戦争をめざすファシズム政権とのたたかいと同じ」と強調。「ＮＨＫなどのメディアを政府の広報機関になど絶対にさせてはならない」と訴えました。
強行された戦争法について「成立に賛成した議員を選挙でみんな落としたい気持ち」と述べ「政権との真正面のたたかいに知恵を出し合いましょう」と呼びかけました。
大会では「戦争法は必ず撤回させる」との大会アピールを採択しました。
(２０１５年０９月２９日，「赤旗」)
次世代議員、自民入りの動き相次ぐ
次世代の党の議員らが自民党に入党・復党する動きが相次いでいます。
自民党岐阜県連は２８日、次世代の党顧問の藤井孝男元運輸相から復党願が提出されたことを発表しました。
２５日には、党首をつとめていた平沼赳夫衆院議員と園田博之衆院議員が離党し、ともに近く自民党に復党する見通しです。平沼氏は、２００５年に小泉純一郎政権の郵政民営化に反対して自民党を離党。園田氏も１０年に自民党を離党していました。
さらに、昨年１２月の総選挙で落選した山田宏前衆院議員（次世代元幹事長）も、来夏の参院選で自民党から比例代表で立候補することが発表されています。山田氏は、「慰安婦」問題で旧日本軍の関与を認めた「河野談話」（１９９３年）の見直しを求める質問を繰り返し、「河野談話」見直しを主張してきた安倍首相と協力してきた人物です。山田氏は自民党からの出馬について、自身のツイッターで「安倍総理からのご要請もあり…」と書いています。
安倍首相は２５日の記者会見で次世代の党について、戦争法に関して対案を出したことにふれ「単なる抵抗野党ではなく責任野党」などと持ち上げました。しかし、党首を含む幹部らの自民党入りの動きは、もともと同党が〝野党〟などとは呼べない実態であったことを改めて示すものです。
( ２０１５年０９月２９日，「赤旗」)
国民的議論必要な時／北星問題シンポ開く／札幌
札幌市で１９日、シンポジウム「『北星問題』の意味するもの～負けるな北星！の会の１年」が開かれました。
元日本軍「慰安婦」証言を初めて報道した元朝日新聞記者で、北星学園大学（札幌市）非常勤講師の植村隆氏と家族に対する陰湿な攻撃は、脅迫事件発覚から１年たった今も、続いています。
内海愛子恵泉女学園大学名誉教授は「北星学園問題は北星だけの問題ではない。『朝日』バッシングも『朝日』だけの問題ではない。いまの日本社会が抱えている問題を映し出す鏡だ」と指摘しました。
元ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏は「日本の平和主義がどうなるのか、国民的議論が必要な時期。健全なメディアが必要だ」と話しました。
植村氏の来年度の雇用継続はまだ確定していません。同大学の勝村務准教授は「警備費が負担になっており疲弊もある。疲弊させれば大学は脅迫者の思い通りになると思われないよう頑張りたい」と、引き続く支援を訴えました。
(２０１５年０９月２６日，「赤旗」)
文化通信／戦後７０年首相談話で歴史学研究会が声明
｢科学的な歴史学｣を発展させることを目的とする学術団体・歴史学研究会は１４日、戦後７０年首相談話に対する声明を発表しました。
首相談話が責任の所在や「反省」の主体を明らかにしていないことを批判し、①１９世紀の日本が朝鮮の主権を侵害し、台湾を植民地化した事実を無視し、日露戦争が帝国主義的な野心をもった戦争だったことに触れず、植民地支配の責任が欧米にあると印象付けている②第２次世界大戦に至る経過を、日本を受動的・被害者的な位置に置いて自己弁護的に描いており、侵略の主体や責任をあいまいにしている③「慰安婦」問題への直接的な言及を避けるなど、植民地支配及び戦争の被害者に対する、加害者としての主体性・責任意識が欠如している―問題を指摘しています。
談話は「独善的な歴史認識に貫かれており」、首相や政府の不見識を国際社会に示すものだと指摘し、加害の歴史を正視せず一方的に幕引きを図ることは「加害国・加害者の横暴」だと批判。「謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任」を誠実に果たすよう求めています。
( ２０１５年０９月２５日，「赤旗」)
「慰安婦」像設置を支持／米サンフランシスコ市議会
【サンフランシスコ＝時事】米サンフランシスコ市議会は２２日、旧日本軍の従軍慰安婦を象徴する像や碑の設置を支持する決議を全会一致で採択しました。これを受け、地元の中国系団体は市と連携して設置に向けた活動を本格化させます。
決議は中国系市議らが提案し、１１人の市議全員が賛成しました。決議では「苦痛と屈辱に苦しんだ少女と女性を追悼する場所」として像や碑の必要性を強調。ロサンゼルス近郊のグレンデール市で慰安婦像が設置されたことを引き合いに、アジア系住民が多いサンフランシスコにも設置するよう求めています。
中国系団体は自ら費用を負担し、像か碑の市営公園への設置を目指しています。設置の時期や場所は未定。
( ２０１５年０９月２４日，「赤旗」)
歴史問題Ｑ＆Ａ改訂版掲載／安倍談話の内容反映／外務省ＨＰ
外務省は、安倍晋三首相の戦後７０年談話発表を受けてホームページから削除していた歴史問題に関する日本政府の立場を示したＱ＆Ａ形式の説明文について、安倍談話の内容を踏まえた改訂版を１８日付で掲載しました。安倍談話と同様、過去の村山談話（１９９５年）などに言及するものの、安倍首相自らの言葉としては語らないという欺瞞（ぎまん）に満ちたものとなっています。
新たに掲載された説明文では、「日本は戦争で被害を受けたアジア諸国に対して公式に謝罪していないのではありませんか」との問いに、「痛切な反省と共に、心からのお詫（わ）びの気持ちは、戦後の歴代内閣が、一貫して持ち続けてきたものです」として村山談話、小泉談話（２００５年）を挙げていますが、安倍内閣としては「こうした歴代内閣が表明した反省とお詫びの気持ちを、揺るぎないものとして、引き継いでいきます」と述べるにとどまっています。
日本軍「慰安婦」問題についても、「これまで官房長官談話や総理の手紙の発出等で…心からお詫びと反省の気持ちを申し上げてきました」との過去の事実と並べて、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」との安倍談話の一説を紹介するだけで、慰安婦問題に対する安倍内閣としての認識をまったく示していません。
一方で、Ｑ＆Ａは「南京大虐殺」について、「非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています」と述べています。極東国際軍事裁判（東京裁判）についても「サンフランシスコ平和条約第１１条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、国と国との関係において、この裁判について異議を述べる立場にはないと考えています」としています。
( ２０１５年０９月２４日，「赤旗」)
日中関係の未来をひらくつどい／中国人戦争被害賠償訴訟弁護団の報告から／加害認識に欠ける日本
次世代に記憶するドイツ
１１日から１３日に東京都内で開かれた「日中関係の未来をひらくつどい」では、日中戦争に焦点を当てた講演やシンポジウム、トーク企画や合唱発表などが行われました。その中で、中国人が受けた戦争被害の賠償請求訴訟の弁護団が行った報告を紹介します。
（米重知聡）
高校歴史教科書の文部省の検定を不服として訴えた家永訴訟や、中国人の日本軍「慰安婦」訴訟に関わった弁護士の大森典子さんは、日本人の加害の認識について語りました。
第３次家永訴訟が提訴された１９８２年ごろまでは、日本の社会全体が「加害」の認識に欠け、ようやく目を向け始めたところだったといいます。「慰安婦」裁判を通じて事実が明らかにされ、その中には「慰安婦」にされた娘を取り返すために両親が家や家畜などを売ってお金をつくり、身代金を払った例もありました。
求められるもの
「被害者が求めているのは、加害の事実を日本が国として認めること。日本が国際社会から孤立しないためにも、近隣諸国との真の安全保障を構築するためにも必要なことは、過去に目を閉ざさない社会をつくることだ」と訴えました。
平頂山事件弁護団の穂積剛さんは、国家と国民の「謝罪」について、日本とドイツを比較しながら、被害者は何を求めているのかを解説しました。
平頂山事件は、３２年９月１５日に中国の抗日義勇軍が満州の撫順炭鉱を攻撃した事件に関連して、平頂山の住民が義勇軍と通じていたとして日本軍が村民を虐殺した事件です。日本軍は村民を崖下に集め銃殺した後、ガソリンをまいて火をつけ、崖をダイナマイトで爆破、虐殺を隠蔽しました。被害者は３０００人とも言われます。生き残った「幸存者」は、事実を明らかにし責任を認めることや、未来に教訓を伝えることを要求しました。
国家和解実現へ
穂積さんは、ドイツの歴史的和解の実情について、ナチスが４４年６月に行った三つの住民虐殺を例に解説。２１８人が犠牲になったギリシャのディストモでは、毎年村で式典が行われ、住民のほぼ全員が記念碑を目指して行進します。イタリアのチビテッラでは１４歳以上の男性が集められ、近隣の村と合わせて２４４人が犠牲になりました。市は訴訟用の資料収集費用と、虐殺の際に破壊された城塞の修復費用をドイツに要求することで解決としました。フランスのオラドゥールでは６５０人が犠牲となり、今も廃虚として保存されています。賠償と謝罪は求めず、関わった者を犯罪者として裁くことと事実を認めることを要求しました。
ドイツは国内の随所に記憶のための資料館やモニュメントなどを置き、自国民の教育や被害国の感情に配慮を重ねています。穂積さんは、日本政府の対応を比較し、いかに日本が歴史的事実を無視し、否定しようとしているかを浮き彫りにし、「被害者が求めているのは現在の私たちの行動。負の遺産を次世代に伝えていくことが、国家和解の実現につながる」と述べました。
( ２０１５年０９月２３日，「赤旗」)
韓国小中高で「慰安婦」問題教育始める
【ソウル＝時事】韓国女性家族省と教育省は２２日、全国の小中高校に旧日本軍による慰安婦問題に関する補助教材を配布し、一部学校で試験的な授業を開始しました。来年から全国の学校で全面的に実施します。
これまでも慰安婦問題は学校教育で扱われていますが、新たな教材を使用するとともに、教員の研修も実施。集中的に教える授業を設けることにしました。ただ、授業の頻度は各校の自主判断に委ねるといいます。
政府は「最近の日本の政府、保守団体による歴史の歪曲（わいきょく）に対抗するとともに、子どもたちがより正確に問題を理解し、人間の尊厳と平和の大切さを認識するため」と説明しています。
配布された教材は、プレゼンテーション用のパワーポイント資料と冊子で、小学校高学年、中学校、高校に分けて作成。２０㌻前後の分量で、「自由がなく、毎日のように暴力、性暴力を受けた」と元慰安婦が受けた被害を説明しているほか、１９９０年代に慰安婦問題が表面化して以降の市民による運動などを紹介しています。
( ２０１５年０９月２３日，「赤旗」)
女性差別撤廃条約批准３０年／ジェンダー格差世界１０４位／来年２月国連機関の日本審査に向けて／柴田真佐子
女性差別撤廃条約は１９７９年に国連で採択され、現在、国連加盟１９３カ国中１８３カ国が条約を批准しています（２０１５年８月現在）。女性の権利全般に関して法的拘束力を持つ国際規定で、「男は仕事、女は家庭」という固定的役割分担意識をなくし「男も女も家庭と仕事」というジェンダー平等の理念を中核に据えました。「法律上の差別」だけではなく「事実上の差別」も撤廃するために全ての適切な措置をとるよう締約国に求めています。
■一定の法整備
日本が批准したのは８５年。国際結婚の際、父親が日本人の場合しか日本国籍を得られなかったのを両親のうちどちらが日本人でも日本国籍を得られるようにした国籍法の改正、男女とも家庭科を学ぶこと、男女雇用機会均等法の制定など、批准にあたって整備が行われました。
批准から３０年、男女平等で人間らしい働き方を求める運動の前進の中で、家族的責任をもつ男女の労働者が差別なく働き続けられるよう定めたＩＬＯ第１５６号条約批准、努力義務だった募集・採用、配置・昇進での差別を禁止規定にした均等法改正（しかし労基法の女子保護規定が廃止されたために女性労働者の働き方に重大な影響を与えました）、育児・介護休業法、パートタイム労働法、男女共同参画社会基本法・同基本計画、配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律（ＤＶ防止法）などの制定も進みました。
■経済など遅れ
しかしまだまだ不十分です。各国の経済、政治、教育、健康の４分野での男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数の日本の順位は１４２カ国中１０４位（２０１４年度）と大変低い。特に遅れているのは、推定所得、管理職・専門職の男女比等から算出する経済（１０４位）と、国会議員や閣僚の女性比率等から算出する政治（１２９位）の分野です。
条約の実施状況について、政府は報告書を提出し、条約に基づく国連機関・女性差別撤廃委員会が審査し、結果を公表します。弁護士で、０８年から同委員会の委員を務めていた林陽子さんが今年２月、日本人で初めて委員長になり話題になりました。
■「勧告」４８項目
同委員会は０９年の審査で、日本では前回の勧告がほとんど実施されていない、条約上の義務を果たす責任は政府にある、と厳しく指摘。差別の定義を国内法に取り入れること、男女で異なる婚姻最低年齢、女性のみの再婚禁止期間、夫婦同姓の強要などの〝民法改正〟、戸籍法における婚外子差別規定の撤廃、日本軍「慰安婦」問題の解決、男女の賃金格差をなくすために具体的な措置を取ることなど４８項目にわたって勧告しました。
特に〝民法改正〟と、雇用と政治・公的分野での意思決定参加における事実上の男女平等実現のための〝暫定的特別措置の実施〟の２点は、すみやかに報告を要する最優先の項目とされ、日本政府は２度にわたり追加報告を提出。しかし同委員会は〝民法改正〟については「勧告不履行」と厳しい評価を下しました。
■平和と平等を
１９９９年に国連が採択した女性差別撤廃条約選択議定書を日本が批准していないのも問題で、同委員会からも批准を勧告されています。この議定書は条約締約国の個人や集団が、条約に定められた権利を侵害された場合、同委員会に直接通報することができると定めています。同委員会は通報に基づき調査・審査を行い、通報した当事者・政府に「意見」「勧告」を送るという内容です。１５年８月現在、１０６カ国が批准しています。条約に実効性を持たせるための重要な議定書で、批准されれば、日本の裁判で敗訴が確定した女性の訴えに、救済の道が開かれることにもなります。
課題は山積していますが、来年２月の女性差別撤廃委員会の日本審査に向け、憲法と女性差別撤廃条約に基づく平和とジェンダー平等の社会を求めていきたいと思います。
（しばた・まさこ 日本婦人団体連合会会長）
( ２０１５年０９月２２日，「赤旗」)
調停を訴訟に替える
【ソウル＝時事】旧日本軍の従軍慰安婦だった韓国人女性らが日本政府に対し、１人１億ウォン（約１０００万円）の慰謝料支払いを求め、ソウル中央地裁に申し立てていた民事調停を訴訟に切り替える方針であることが分かりました。元慰安婦らの弁護士が１７日、明らかにしました。
( ２０１５年０９月１８日，「赤旗」)
志位委員長の著書『戦争か平和か』が教材に／戦後７０年、韓国の大学が出版
「新たな日韓関係と平和への示唆」
日本共産党の志位和夫委員長の著書『戦争か平和か―歴史の岐路と日本共産党』（２０１４年１０月、新日本出版社）が、韓国の建国大学出版部によって韓国語に翻訳編集され、『戦争か平和か―戦後７０年の東北アジア平和』のタイトルで８月に刊行されました。
建国大学は、ソウルと忠州市にキャンパスをもち、約２万５０００人の学生・院生が在学する韓国有数の私学の総合大学です。
翻訳編集された志位氏の著書は、同大学の戦後７０年、日韓国交正常化５０年の記念事業の一環として、また学生向けの教材（テキストブック）として出版されました。
同書は、日本語版『戦争か平和か』に掲載した１２、１３、１４年の党創立記念講演会の講演を収録しています。
志位氏は「韓国語版序文｣で､焦点になっている戦争法案の本質を解明。「安倍政権のもと、みなさんの隣国である日本で何が問題となっているのか。日韓両国・両国民の本当の友好をいかにすれば築くことができるのか。日本共産党という政党の存在と活動がどういう意味を持っているのか。本書がそれらの問題を考える一助となり、日韓両国・両国民の相互理解と友好にとって、ささやかでも貢献となれば」と述べています。
「あとがき」では、日本共産党が提唱している「北東アジア平和協力構想」（注１）と戦後７０年にあたって「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」（注２）についての論考を書き下ろしています。
共産党は良心
建国大学の副総長級で同大学中国研究院院長の韓仁煕(ハン･インヒ）教授は本書に「推薦辞」を寄せ、次のように述べています。
「志位委員長は、日本はこれ以上戦争を追求すべきではなく、周辺国と人類のために平和を追求すべきであることを丁寧に説いている。読者はこの本を通じ、過去の歴史から私達が学ぶべき価値は『平和』であり、それがいかに尊いものかということを切実に認識することだろう」
同研究院の金容民（キム･ヨンミン)研究専任助教授は「解題」で､｢日本共産党の未来を『政権を目標とする､自民党政治の代案政党』に設定し､それに関連した各分野の構想を具体的に解き明かしている点が大変注目される｣と強調しています｡
さらに、日本共産党が提唱している「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」について「これは日本共産党が、我々韓国人にとって『旧友』として、協力すべき日本の良心勢力であるという事実を一番よく表している」と評価しています。
翻訳者の東京大学大学院総合文化研究科の洪相鉉(ホン･サンヒョン）客員研究員は「訳者の後書き」で次のように述べています。
「この本は暗かった過去の歴史と混乱した今日の現実を乗り越えて、新たな日韓関係の地平を考える、そして北東アジアの平和の道を悩む読者たちに意味深長な示唆点を投げかけることができるだろう」
「韓国語版序文」「あとがき」「推薦辞」「解題」「訳者の後書き」は党ホームページ、『前衛』１０月号に全文を掲載
注１＝「北東アジア平和協力構想」
日本共産党は、２０１４年１月の第２６回党大会で、次の四つの目標と原則に立った「構想」を提唱しています。
①域内の平和のルールを定めた北東アジア規模の｢友好協力条約｣を締結する、②北朝鮮問題を｢６カ国協議｣で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる、③領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶ、④日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台となる。
注２＝「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」
日本共産党は今年１月の第３回中央委員会総会で、戦後７０年の今年を日本とアジア諸国の「和解と友好」に向かう年にするために、次の五つを提唱しました。
①「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱり反論する、②日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出す、③靖国神社参拝は、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚の参拝はおこなわないことを日本政治のルールとして確立する、④民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつ、⑤「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくす。
(２０１５年０９月１３日，「赤旗」)
廃案！！戦争法案／私の主張／佐野修道院シスター上田還子さん（６７）栃木県佐野市／戦争放棄は宗教者の願い
カトリック教会は、戦前、戦中、戦争反対の姿勢を公にしなかったことを反省し、今、平和への決意を新たにしています。
戦後７０年を迎えた今も、戦争の傷痕は深く国民の心に残っています。大切な肉親をなくされたご家族、「慰安婦」として大切な青春を奪われた人、植民地支配のもとに悲惨な境遇に置かれた近隣の国々など、多くの人たちの心は今も癒やされていません。そうした人の犠牲を無にしないためにも、二度と戦争を繰り返さないよう、働きかけていかなければなりません。
聖ヨハネ・パウロ２世教皇は１９８１年、広島市での平和アピールで「戦争は人の仕業です。戦争は人間の生命の破壊です。戦争は死です」と話しました。武力で平和は実現しません。ウクライナ、イラク、シリアで逃げ惑う人々の悲しみ、苦しみ、絶望は人ごとではありません。
毎日、国会周辺をはじめ、全国各地で「安保法案」（戦争法案）の廃案を求めて声を上げています。多くの憲法学者、弁護士、元裁判官などが「憲法違反である」と主張しています。安倍首相は、この声に耳をかたむけ、廃案へと舵（かじ）をきるべきです。
佐野市には、偉大な政治家・田中正造がいました。足尾鉱毒事件で堂々と声を上げ、時の中央政治（明治政府）とたたかい、国家間の対立は話し合いで解決すべきと主張しました。彼の平和思想を引き継ぎたいと思います。
戦争放棄は、キリストの福音そのものからくる要請であり、宗教者として「いのち」を尊重する立場からの切なる願いです。
「安保法案」の廃案を求め、力を合わせて最後まで諦めないで頑張りましょう。
（５日、栃木県佐野市の集会で）
(２０１５年０９月１１日，「赤旗」)
「慰安婦」ネット宣伝
日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワークは２日、広島市で「日本政府はハルモニに公式謝罪と賠償をしなさい」との横断幕を掲げ、宣伝しました。約２０人が参加し、「日本軍性暴力被害者は今」をテーマに１０月３日午後１時半から市留学生会館ホールで開く映画会の案内ビラを配りました。
(２０１５年０９月１０日，「赤旗」)
本立て／戦後７０年・残される課題 未解決の戦後補償Ⅱ／中山武敏ら著
日本軍「慰安婦」や朝鮮人・中国人の強制連行、在外被爆者、空襲被害…。日本の裁判所でいくつもの被害事実が認定されました。本書はこれらの裁判に関わってきた弁護士、研究者、支援者らが執筆。補償問題に「解決済み」と背を向けてきた日本政府の不誠実さを浮き彫りにします。
未解決の戦後補償を問うことは「再び過ちを繰り返さない」ため。安倍政権のもと、再び戦争の道にすすむのか。一人ひとりが問われているいま「その判断をする大事な助けとなることを願う」と記します｡(創史社 １８００円）
(２０１５年０９月０６日，「赤旗」)
「慰安婦」消せない痕跡／韓国人・安さん東京で写真展
日本軍「慰安婦」にさせられた女性たちを取材し続ける韓国人写真家の安世鴻（アン・セホン）さん（４４）＝名古屋市＝の写真展「重重 消せない痕跡」が４日、東京都新宿区の「神楽坂セッションハウス２Ｆガーデン」で始まりました。
安さんは２０１４年、フィリピン、インドネシア、東ティモール、中国、韓国に住む約６０人の被害女性たちを訪問。その約７０点を展示しています。カラー写真を展示するのは初めてで、安さんは「決して過去のことではなく、現在進行形の問題なのだと伝えたかった｣といいます｡
安さんは「７０年前のことを鮮やかに語る女性たちは、怒りや痛みをずっと抱いてきました。記録を残すため、今後も取材を続けたい｣と話しました｡
安さんは現在、ニコンサロン（新宿）で開いた「慰安婦」の写真展が突然中止決定されたのは違法だとして、ニコンを相手に表現の自由をめぐり係争中です。
写真展は１３日まで。正午から午後８時。入場無料。毎日、午後５時から安さんによるミニギャラリートーク（写真説明）を行います。問い合わせは０８０（６９５２）７８４９（重重プロジェクト事務局）へ。
( ２０１５年０９月０５日，「赤旗」)
「慰安婦」問題／橋下市長、米都市に公開書簡／旧日本軍を擁護
大阪市の橋下徹市長は３日の会見で、日本軍「慰安婦」問題をめぐり、戦場での女性への人権じゅうりんは、大戦中の米英仏や、朝鮮戦争・ベトナム戦争での韓国軍でも存在すると述べ、旧日本軍の行為を「戦場の性」の問題に一般化するすり替えを行いました。
「慰安婦」の碑または像の設置を支持する決議案を審議中の姉妹都市サンフランシスコ市の市議会あてに、橋下市長名で、慎重な対応を求める公開書簡を送付（８月２７日）したことに関して述べました。公開書簡にも同様の記述を行っており、旧日本軍の行為を特異事例とする事実認識は誤りだとしています。
( ２０１５年０９月０５日，「赤旗」)
（８月）ヘッドライン
戦争、テレビはどう伝える／今後の課題、制作者３人が語る／横浜でセミナー
慰安婦で積極姿勢を
土曜人とき／日本軍「慰安婦」問題解決に取り組む野口千恵子さん（７７）北九州市／原点は被害者との対面
「慰安婦」問題の責任、安倍談話認めず／「宮城の会」が批判
邦楽／新内・岡本宮之助公演／貫いた反戦の信念受け継ぐ
戦後７０年にあたって―「安倍談話」と日本共産党の立場／日本共産党志位委員長が談話
日韓会談１９６５／吉澤文寿著／評者関原正裕歴史教育者協議会会員
志位委員長の著書『戦争か平和か』／韓国の建国大学が出版／学生向け教材として
力を合わせ戦争法案廃案に／「戦争の痛み・苦しみ、体験者から受け継いだ」／ＳＥＡＬＤｓ長棟はなみさんの国会前スピーチ
米、７０年談話「望んだほど前向きでない」
外務省ＨＰの歴史Ｑ＆Ａ削除
言聞録／２０１５年８月９日～１５日
歴史偽る「安倍談話」／各団体・労組が声明
韓国民団「光復節」記念式典での小池副委員長あいさつ
安倍談話／海外から厳しい批判／中国外務省／韓国大統領／勧告市民団体
安倍談話／海外メディア厳しく批判／韓国／中国／シンガポール／米国／豪州／ドイツ
「安倍談話」を検証すると／「村山談話」どう投げ捨てたか
〝バッシングに屈しない〟／慰安婦報道で元朝日記者
安倍首相「７０年談話」／「過去形で遠回し」「巧妙に逃げた」／韓国の与野党
戦後７０年にあたって―「安倍談話」と日本共産党の立場／日本共産党幹部会委員長志位和夫
東京芸術座「戦争と青春のつどい」２０日に
これが国民の７０年談話／平和へ不断の努力／弁護士らシンポ
「慰安婦」告白／２４年前、ハルモニの勇気／韓国学生「受け継ぐ」／「８・１４を記念日に」
日本大使館前で慰安婦問題抗議／「被害者に名誉・人権を」／水曜デモが１１９１回／韓国
「８月１４日を記念日に」／「慰安婦」ネットが宣伝／広島
７０年談話／「侵略」明記、「おわび」求めず／有識者会議が報告書
戦争やめて／各地で展示・集い／平和の思いびっしり／堺
８月（本文）
３１
戦争、テレビはどう伝える／今後の課題、制作者３人が語る／横浜でセミナー
加害の歴史、恐れずしっかりと／立正大教授・元ＮＨＫ桜井均さん／長崎県立大教授・元熊本放送村上雅通さん／東海テレビ阿武野勝彦さん
今年の夏、テレビ各局で「戦後７０年特番」が放送されました。８０年、９０年と伝え続けていくためにはどんな課題があるのでしょうか。１３日に横浜市内で公開セミナー「テレビが伝える戦争の記憶と記録」（主催・放送番組センター）が開かれ、３人のテレビ制作者が語り合いました。
パネリストは、元ＮＨＫの桜井均さん（立正大教授）、元熊本放送の村上雅通さん（長崎県立大教授）、東海テレビの阿武野勝彦さん。司会は放送作家の石井彰さん。
桜井さんは「チョウムンサンの遺書 シンガポールＢＣ級戦犯裁判」を制作しました。罪を受け入れ、処刑の直前まで故郷への思いをつづった朝鮮出身のチョウさんの遺書。「彼の遺言を読んだ以上は記録しなければならないと思いました。加害の歴史は思い出したくない。でも、忘れたい話こそ覚えておかなくてはなりません」
村上さんは「封印～脱走者たちの終戦」の取材で、「南方に送られた兵士の３分の２が病死や餓死だった」ことを知ります。銃殺された脱走兵も、飢えで食糧を探しに部隊を離れた人たち。しかし、生還者の口は重く、「半年間、１５回通ってようやく１人が証言してくれました」。村上さんの執念で証言者の数は増え、人の肉を食べた事例も浮かび上がります。
阿武野さんが「村と戦争」を制作したきっかけは、旅先で偶然見つけた村の戦没者や帰還者の経歴が記された本でした。「まるごと戦争を内包した村を掘り起こせば、何かが見えてくると思いました」。名古屋市の本社から岐阜県東白川村まで車で約２時間。１年半通い続け、当時のフィルムで２００時間以上撮影したといいます。
描けなかった責任
石井さんは、戦争体験者が亡くなるなかで「私たちは戦争の何を描けていなかったのか｣と問いかけます｡
桜井さんは「戦争に関しては、取材をしながら（放送として）出せなかったことの責任は重い」と述べ、安倍晋三官房副長官の圧力で日本軍「慰安婦」を扱ったＥＴＶ番組(２００１年)が改ざんされた問題を例示しました。「加害兵士の『やった』という証言を落としたことで、全部なしにされてしまった。出していれば、今は違う議論ができたのではないでしょうか」
村上さんは「これまでの取材体験を、後輩や学生に伝えること」に力を入れています。「制作者の中で『自虐的』という言葉が使われていることに驚きます。私たちは恐れず、戦争の負の側面、加害の側面もしっかり伝えなくてはならないと思っています」
阿武野さんはこの８月、「戦後７０年 樹木希林ドキュメンタリーの旅」（全６回）を制作しました。ローカル局の戦争番組を、樹木希林さんの旅とゲストとの対談を挟んで伝える試みです。「第１回ゲストの笑福亭鶴瓶さんが、ドキュメンタリーを見て『憲法９条はいろたら（触ったら）アカン』とおっしゃった。間口を広げてみなさんに見ていただく一助となれば、と思います」
パネリストの３作品
ＮＨＫ「チョウムンサンの遺書 シンガポールＢＣ級戦犯裁判」（９１年） 朝鮮半島から南方に送られた日本軍軍属のチョウさんは戦後、捕虜虐待の容疑で絞首刑に処せられます。チョウさんの遺書から戦争で裁かれたものを問います。
熊本放送「封印～脱走者たちの終戦」（９６年） ４５年８月３１日、南太平洋ブーゲンビル島で熊本第六師団の兵士３０人余が脱走罪で銃殺されます。なぜ、軍法会議にかけられることなく殺されたのか、元兵士たちが証言します。
東海テレビ「村と戦争」（９５年） 人口３０００人の岐阜県東白川村では９０９人が戦場に送り込まれ、２０３人が戦死しました。村人による平和祈念館建設を追いながら、戦争が残した苦しみを浮かびあがらせます。
※各番組は横浜市の放送ライブラリーで視聴できます（無料）。
( ２０１５年０８月３１日，「赤旗」)
慰安婦で積極姿勢を
【ソウル＝時事】韓国外務省報道官は３０日、慰安婦問題について「日本政府は速やかな解決のために、より積極的な姿勢を見せねばならない」と求める論評を出しました。憲法裁判所が元慰安婦の賠償請求権に関し、韓国政府が日本と交渉する努力をしないのは違憲と判断を示してから４年となるのに合わせて出されました。報道官は「（韓国）政府は昨年４月以来、韓日の局長級協議を８回行うなど、解決に向け多角的な努力を傾けてきた」と強調しました。
( ２０１５年０８月３１日，「赤旗」)
土曜人とき／日本軍「慰安婦」問題解決に取り組む野口千恵子さん（７７）北九州市／原点は被害者との対面
キリスト者や退職者らでつくる「日本軍『慰安婦』問題解決のために行動する会・北九州」代表を務めます。北九州平和資料館（北九州市若松区）で９月３日から９日（日曜を除く正午から午後４時半）まで開く「中学生のための『慰安婦』パネル展」の準備に忙殺される毎日です。
クリスチャンです。山口県下関市出身。大阪の大学を卒業後、下関市と福岡県中間市の市立中学校で英語教師として勤務。教師時代の毎年８月６日は「平和授業」で教壇に立ち、「１５年戦争」のことも教えたことがあります。
活動の原点は退職後、友人と訪ねた韓国「ナヌムの家」での日本軍「慰安婦」被害者との対面です。その後も３度訪韓して被害者の証言を聴き、韓国日本大使館前の水曜集会にも参加。この間、福岡で活動する人々と知り合ったのが縁で、証言集会やドキュメンタリー映画の上映会などを手伝いながら、この活動を北九州でもしたいという意識が高まってきました。
「活動の原点は、日本の植民地支配と侵略戦争にある」といい、「ひとりでも多くの被害者の命があるうちに、被害者が望む解決策を日本政府が示すこと」を願います。
日本軍「慰安婦」問題の真の解決に向けて、街頭での宣伝・ビラ配布などに奮闘しています。
「人権侵害で今も苦しむ被害者に関するパネル、資料を見ながら、戦争と平和を一緒に考えましょう」と訴えています。
（福岡県・大岡真）
(２０１５年０８月２９日，「赤旗」)
「慰安婦」問題の責任、安倍談話認めず／「宮城の会」が批判
日本軍「慰安婦」問題の早期解決をめざす宮城の会は２５日、安倍首相の戦後７０年談話を批判する声明を発表しました。
声明では「首相自らは、日本の侵略と植民地支配の罪や、『慰安婦』問題の国家責任を認めず、解決の意思を示していない」と批判。「慰安婦」問題の国家責任を認め、真相究明、謝罪と賠償に取り組むよう求めています。
(２０１５年０８月２８日，「赤旗」)
邦楽／新内・岡本宮之助公演／貫いた反戦の信念受け継ぐ
新内は哀れを語るものだが、芸の魂には反骨の精神が流れていると反戦新内を創作し世に送り出した岡本文弥｡古曲を大切にし､そこから逸脱することなく新作を作り続けていたと、芸を継承する宮之助は言う。
曲目「カッパの道行」は、すすきを担いだ川太郎の酒を飲んで浮かれた様子、幼なじみのオカワと出会い、〝叫べども炎が燃えさかる、Ｂ２９の数知れず〟ともだえ泣く美しかったオカワの、やけどして変わり果てた姿に恐ろしい爆撃のせいだと憤り、今のご時世は…と泣くふたりの姿が哀れ。
「ぶんやありらん」は、１０１歳で亡くなった文弥が兵隊の犠牲となった従軍｢慰安婦｣問題を取り上げ信念を貫いた最後の作品。２０年の時が過ぎたが、宮之助はその精神を確かに受け継ぎ､生けにえとなった｢慰安婦｣の悲痛な思いを伝える｡
「西部戦線異状無し」は反戦三部作のひとつ。さらに深みが増し、殺した者の慟哭、殺される者の慟哭、戦争に敵も味方もない、戦争は嫌だと泣き叫ぶ兵士の声が、宮之助の声となって訴えかける。名作だ。
今また真価が問われている。前線で血を流し戦うのはこれからの将来ある若者たちなのだ。老人の思い出話ではない、今の若者の問題だという宮之助の言葉に深くうなずかされる。
かつてＮＨＫや商業新聞でも取り上げた反戦新内だった。平和を願う方、日頃関心のない方もぜひ、反戦文弥の新内に胸を熱くしてほしい。
浄瑠璃・岡本宮之助、三味線・鶴賀喜代寿郎、上調子・岡本文之助。ゲストは柳家さん八。
（梅左・芸能評論家）
１日、東京・谷中・宗善寺。４日、お江戸日本橋亭
( ２０１５年０８月２６日，「赤旗」)
戦後７０年にあたって―「安倍談話」と日本共産党の立場／日本共産党志位委員長が談話
安倍晋三首相は１４日、官邸内で記者会見し、戦後７０年にあたっての談話を発表しました。これについて日本共産党の志位和夫委員長は同日、「戦後７０年にあたって―『安倍談話』と日本共産党の立場」と題する談話を発表しました。
志位氏は、安倍首相の戦後７０年談話について、「侵略」「植民地支配」「反省」「お詫（わ）び」などの文言がちりばめられているが、「日本が国策を誤り」、「植民地支配と侵略」を行ったという「村山談話」に示された歴史認識はまったく語られていないと指摘。「反省」「お詫び」も過去の歴代政権が表明したという事実に言及しただけで首相自らの言葉として語らず、「欺瞞（ぎまん）に満ちたもの」と厳しく批判しました。
韓国の植民地化をすすめた日露戦争を、「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」とのべたことについて「乱暴きわまりない歴史の歪曲（わいきょく）」だと批判。「安倍談話」は、「全体として『村山談話』が表明した立場を、事実上、投げ捨てるに等しいもの」だとのべました。
日本共産党は、戦後７０年にあたり、日本とアジア諸国との「和解と友好」へ、日本の政治がとるべき五つの基本姿勢（別項）を提唱していることを紹介。北東アジアの平和と安定を築く基礎は信頼であり「信頼は、歴史の真実に正面から向き合い、誠実かつ真摯（しんし）に誤りを認め、未来への教訓とする態度をとってこそ得ることができる」と強調しています。
いま、安倍政権が戦後７０年の平和の歩みを断ち切り、戦争法案を強行し、日本を「海外で戦争をする国」につくり変えようとしていると指摘。この憲法破壊の暴走に対し、日本共産党は「戦争法案を許さない」の一点で共同を広げに広げ、必ず廃案に追い込む決意を表明。党が提唱する「北東アジア平和協力構想」こそ、戦争法案に対する真の平和的対案だとのべ、その実現のために力をつくす決意をのべています。
（全文は「赤旗」日刊紙１５日付、党ホームページで）
五つの基本姿勢
①「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとる②日本軍「慰安婦」問題の被害者への謝罪と賠償③靖国神社参拝は、少なくとも首相や閣僚はおこなわないことをルールとする④立法措置を含めて民族差別をあおるヘイトスピーチ根絶を⑤「村山談話」「河野談話」で表明してきた過去の誤りへの立場を、学校の教科書に誠実に反映させる
(２０１５年０８月２３日，「赤旗」)
日韓会談１９６５／吉澤文寿著／評者関原正裕歴史教育者協議会会員
交渉過程から考える両国の未来
１９５１年から１４年間にわたった日韓国交正常化交渉（日韓会談）では、日韓両政府当局の植民地支配に対する歴史認識の応酬が繰り返された。著者は、戦後日韓関係を専門とする研究者で、これまでのご自身の研究成果をふまえ、近年公開された両政府の膨大な外交文書を読み解き、交渉経過をていねいに追い、どこで対立し、その結果どう妥結にいたったかを一般の読者にも分かるように整理している。
安倍首相の「７０年談話」は、９５年の「村山談話」が示した｢植民地支配と侵略｣の歴史認識を語らなかったが、日本政府が植民地支配に対してどのような言説を展開してきたかを本書から確認することで、国交正常化５０年に至るも解決されない両国の歴史認識の隔たりをつかむことができる。
財産請求権協定では、結果として経済協力方式がとられ、請求権が「完全かつ最終的に解決された」とされたことが「慰安婦」問題解決の前に立ちはだかる大きな壁となっている。交渉の経過を丹念にたどると、解決されたとする「請求権」の内容が必ずしも日韓間で合意されていたわけではないことが見えてくる。日本側がすべての「請求権」を消滅させるのに血眼になっていたのに対して、韓国側は国交正常化以後に現れた請求についてはそれぞれ個別的に対処すべきだという立場だったという。
「慰安婦」問題をはじめ植民地支配責任を問う日韓両国市民の運動と２０年間日韓会談の研究を続けてきた著者の努力が結びついて、壁は少しずつ崩れているようだ。日韓の未来を考えるうえで必読の書といえるだろう。
よしざわ・ふみとし ６９年生まれ。新潟国際情報大学教授。『戦後日韓関係』
( ２０１５年０８月２３日，「赤旗」)
志位委員長の著書『戦争か平和か』／韓国の建国大学が出版／学生向け教材として
日本共産党の志位和夫委員長の著書『戦争か平和か―歴史の岐路と日本共産党』（２０１４年１０月、新日本出版社）が韓国の建国大学出版部により韓国語に翻訳編集され、『戦争か平和か―戦後７０年の東北アジア平和』とのタイトルで今月１０日、刊行されました。
建国大学は、ソウルと忠州市にキャンパスをもち、１５の学部と１２の大学院に約２万５０００人の学生・院生が在学する韓国有数の私学の総合大学です。今回、韓国語に翻訳編集された志位氏の著書は、同大学の戦後７０年、日韓国交正常化５０年の記念事業の一環として、また学生向けの教材（テキストブック）として出版されました。
同書は、日本語版『戦争か平和か』に収録された１２、１３、１４年の日本共産党創立記念講演会での講演を収録。さらに志位氏が「韓国語版序文」で、いま焦点になっている戦争法案の本質を「違憲性」「対米従属性」「歴史逆行性」の三つの角度から解明しています。
そのなかで志位氏は「安倍政権のもと、みなさんの隣国である日本で何が問題となっているのか。日韓両国・両国民の本当の友好をいかにすれば築くことができるのか。日本共産党という政党の存在と活動がどういう意味を持っているのか。本書がそれらの問題を考える一助となり、日韓両国・両国民の相互理解と友好にとって、ささやかでも貢献となれば、筆者にとって大きな幸せです」と韓国の読者への言葉を述べています。
「あとがき」では、日本共産党が提唱している「北東アジア平和協力構想」（注１）と戦後７０年にあたって「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」（注２）についての論考を書き下ろしています。
建国大学の副総長級で同大学中国研究院院長の韓仁煕教授は本書に、「日本は戦争より平和を選択するのが歴史の正しい流れだ」と題する「推薦の辞」を寄せ、出版の意味は「非常に大きい」としたうえで、次のように述べています。
「志位委員長は、日本はこれ以上戦争を追求すべきではなく、周辺国と人類のために平和を追求すべきであることを丁寧に説いている。読者はこの本を通じ、過去の歴史から私たちが学ぶべき価値は『平和』であり、それがいかに尊いものかを切実に認識することだろう」
同研究院の金容民研究専任助教授は「解題」で、本書に収録された講演・論考について、「日本共産党の未来を『政権を目標とする、自民党政治の代案政党』に設定し、それに関連した各分野の構想を具体的に解き明かしている点が大変注目される」と述べています。
さらに日本共産党が提唱している「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」について、「これは日本共産党が、我々韓国人にとって『旧友』として、協力すべき日本の良心勢力であるという事実を一番よく表している」と評価しています。
翻訳者の東京大学大学院総合文化研究科の洪相鉉客員研究員は「訳者あとがき」で、「この本は第二次世界大戦終戦７０周年を迎える今年に、日本共産党と日本社会の変革について語り、最終的には北東アジア平和協力構想という巨大な未来のロードマップを提示する論著である」「そのような意味でこの本は暗かった過去の歴史と混乱した今日の現実を乗り越えて、新たな日韓関係の地平を考える、そして北東アジアの平和の道を悩む読者たちに意味深長な示唆点を投げかけることができるだろう」と述べています。
志位氏の著書が韓国で出版されるのは、『今、日本共産党』（日本語版タイトルは『日本共産党とはどんな党か』）、『新たな躍進の時代をめざして』に続いて３冊目となります。
志位氏の「韓国語版序文」と「あとがき」の日本語原文（全文）、「推薦の辞」、「解題」、「訳者あとがき」の日本語翻訳（全文）は、日本共産党のホームページ（ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｊｃｐ．ｏｒ．ｊｐ／ｗｅｂ＿ｔｏｋｕｓｙｕ／２０１５０８－ｓｅｎｓｏｋａｈｅｉｗａｋａ／０１．ｈｔｍｌ）に掲載されます。また『前衛』１０月号にも掲載されます。
注１＝「北東アジア平和協力構想」
日本共産党は、２０１４年１月の第２６回党大会で、次の四つの目標と原則に立った「構想」を提唱しています。①域内の平和のルールを定めた北東アジア規模の｢友好協力条約｣を締結する、②北朝鮮問題を｢６カ国協議｣で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる、③領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶ、④日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台となる。
注２＝「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」
日本共産党は今年１月の第３回中央委員会総会で、戦後７０年の今年を日本とアジア諸国の「和解と友好」に向かう年にするために、次の五つを提唱しました。①「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱり反論する、②日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出す、③靖国神社参拝は、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚の参拝はおこなわないことを日本政治のルールとして確立する、④民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつ、⑤「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくす。
( ２０１５年０８月２３日，「赤旗」)
力を合わせ戦争法案廃案に／「戦争の痛み・苦しみ、体験者から受け継いだ」／ＳＥＡＬＤｓ長棟はなみさんの国会前スピーチ
ＳＥＡＬＤｓの長棟はなみさん（大学３年生）が１４日夜、国会正門前でおこなったスピーチ（要旨）を紹介します。
◇
夏が来るたびこの国は戦争のにおいがして、光り輝く夏は少しかげりを見るような気がしていました。私が小さいころ、広島に近い山口県に住んでいたので、なおさらだったのかもしれません。
８月６日、毎年同じ日、同じ時間に、遠くから聞こえるサイレンをお母さんと一緒に手を合わせて聞きました。ああ今年も夏が来たなあ、と毎年感じていました。｢火垂るの墓｣をきょうだいで泣きながら見たり、『はだしのゲン』を夢に出るほど読んだり。学校では毎年戦争の授業があって、戦争の話を聞きました。
嫌がりながら日本国憲法を覚えたり、９条のプリントだけなぜか配られたり。戦争は理不尽なもの、あってはならないものと幼いころから学んできたように感じます。
高校生になってから、実際に戦争を経験された方がたからお話を聞く機会ができました。空襲から逃げまどった人。日本兵として人を刀で斬った人。守るために自分の母親と弟の首を自分の手で絞めて殺した人。雨のように降り注ぐ砲弾の中を逃げた人。ピカドンを見て片目をなくした人。「慰安婦」にされた人。壮絶な話でした。想像もできない事実でした。彼らはいいました。「二度と繰り返さない。そのために私は語るのだ」と。
今回、この戦争法案が話題になったとき、戦争を知らない若い世代が、「戦争はイヤだ」といいました。なぜかと考えると、戦争を間接的に学び、戦争を知っているつもりだからです。私を含めた彼らは、戦争というものを想像するしかありません。しかし、知っているのです。あの戦争の痛みを、悲しみを、苦しみを、多くの戦争を体験した世代から受け継いだのです。
この国は、日本国憲法、とくに９条とそれによる平和を誇り、しっかりと教育してきた国だと私は思っています。私が受けた教育は間違っていなかった。いまここで声を上げる私をつくりました。私はそんな国と学校を誇りに思っているし、これからもそうありたい。
７０年間戦争をしなかった、他の国の人に対し直接銃口を向けなかった、一人も殺さなかった、という事実がこの国を守っている。このことを誇りに思うべきです。
しかし、他国から日本が直接攻撃されていないにもかかわらず武力行使ができるというのは、違うんじゃないでしょうか。なぜ他国との戦争に日本が参加するのでしょうか。
どうか、だれかのいう「きれいごと」「理想」をここで叫ばせてほしい。戦争はしたくない。人を殺したくない。殺されたくない。武力ではなく対話を。この叫びが「きれいごと」であってたまるか。
先の戦争はまちがっていました。私は日本人として、なにより人間として、戦争を繰り返してはならないという、意志と責任をたくさんの命から受け継いだのです。
私は私の言葉を語ります。言葉が足らずとも若くとも、私は現政権と安全保障関連法案に断固反対します。
（１４日、国会正門前）
( ２０１５年０８月２０日，「赤旗」)
米、７０年談話「望んだほど前向きでない」
【ワシントン＝時事】米ワシントンの保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」で１８日、安倍晋三首相の戦後７０年談話に関するシンポジウムが行われました。日韓両国がこれを土台に関係改善に取り組むことに期待する意見が相次ぎました。
エバンス・リビア元国務副次官補は「韓国の人々の苦しみにも個別に言及すべきだった。従軍慰安婦問題に明示的に触れるチャンスを逸した」と指摘。「私たちが望んだほど前向きではなかった」とする一方、「過去の首相談話に光を当てたことに前向きな点は見いだせる」と語りました。
マイケル・グリーン元国家安全保障会議アジア上級部長も、韓国に触れたくだりが少なかったことを「戦略ミスだ」としつつ、「日韓間の問題に対処する機運が少し出てくる」と予想。外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員は、１４日の首相談話、翌日の朴槿恵（パク・クネ）韓国大統領の演説ともに「関係後退につながらないよう注意が払われていた」と分析しました。
( ２０１５年０８月２０日，「赤旗」)
安倍談話批判／婦団連が声明
日本婦人団体連合会は１７日、安倍晋三首相が１４日に発表した「戦後７０年談話」に対する柴田真佐子会長の声明を発表しました。
声明は、「談話」が日本軍「慰安婦」問題解決への責任や「河野談話」に触れていないのは重大だと指摘。侵略戦争を反省せず、「戦争する国づくり」をすすめる安倍政権に抗し、女性の共同の力を強め戦争法案を廃案に追い込み、「いのち・くらしを守り、平和と平等を実現するために力を尽くす」と表明しています。
( ２０１５年０８月１９日，「赤旗」)
外務省ＨＰの歴史Ｑ＆Ａ削除
外務省が、歴史問題に関する日本政府の立場を示したＱ＆Ａ形式の説明文を、ホームページ（ＨＰ）から１４日に削除していたことが分かりました。
削除前のＱ＆Ａは、日本語と英訳の両方あり、戦後５０年の村山富市首相談話を引用し、「わが国は、かつて植民地支配と侵略によって、アジア諸国に多大の損害と苦痛を与えた」と記述。「慰安婦問題」や「南京大虐殺」についても政府の立場を説明していました。
首相は、戦後７０年談話で「侵略」や「植民地支配」「おわび」など村山談話のキーワードに触れる一方、引用の形にとどめ、首相個人が侵略などについて認めるかどうかは明確にしていません。このためＱ＆Ａ削除には、「村山談話を引き継ぎたくない首相の思いが反映された」といった見方がネット上などで出ていました。
外務省はＨＰで削除の理由を明らかにしていませんが、同省の担当者は１８日、「近く再掲載する。首相も歴代内閣の立場は『揺るぎない』と述べており、内容に大きな変更はない」との見解を示しました。
( ２０１５年０８月１９日，「赤旗」)
言聞録／２０１５年８月９日～１５日
○「（広島・長崎への原爆投下は）核兵器とすべての大量破壊兵器を禁止せよとの人類への永続的な警告となっている」（フランシスコ・ローマ法王）＝９日、バチカンのサンピエトロ広場で聴衆を前に言明。
○「日本政府はいまだに、強制的に連れて行ったことも認めていないし、犠牲者に謝罪もしていない」（元「慰安婦」の金福童〈キム・ボクトン〉さん＝写真、栗原千鶴撮影）＝１２日、ソウルの日本大使館前での抗議行動で発言。
○「筆舌に尽くしがたい苦悩と怒り、恥辱を覚える」（潘基文〈パン・ギムン〉国連事務総長）＝１２日、中央アフリカ派遣の国連平和維持活動要員が少女に性的暴行を加えた疑惑をめぐり、同部隊の責任者を更迭すると発表の際に言明。
○「現在、協議対象になっていない。が、遠い将来は分からない」（ケリー米国務長官）＝１４日、ハバナでの会見で、キューバのグアンタナモ米海軍基地の返還について言及。
○「（欧州連合が）大幅な債務軽減を具体的に確約することが、ギリシャの中長期的な財政の持続のために重要だ」（ラガルド国際通貨基金専務理事）＝１４日、欧州連合ユーロ圏諸国の対ギリシャ追加融資正式合意にあたっての声明で言明。
( ２０１５年０８月１８日，「赤旗」)
歴史偽る「安倍談話」／各団体・労組が声明
安倍首相が１４日に発表した「戦後７０年談話」について、各団体・労組が談話・声明を発表しました。
全労連は井上久事務局長の談話で、日本による「侵略」や「植民地支配」、「従軍慰安婦」問題などの歴史的事実の指摘と、それに対する「反省」や「お詫（わ）び」とはなっていないと指摘。「積極的平和主義」を具現化する戦争法案の廃案にむけて総力をあげるとしています。
憲法会議は声明「歴史を偽る『安倍談話』を糾弾し、戦争法案廃案と日本憲法が生きる日本とアジアをめざして奮闘します」を発表。「アメリカと一体になって地球規模で戦争する国」づくりへ「邁進（まいしん）する決意表明」だとしています。
日本平和委員会の声明は、「植民地支配と侵略」への「痛切な反省」と「心からのおわび」という歴史認識の核心をあいまいにし、事実上否定する重大な内容だとしています。
日本宗教者平和協議会は森修覚事務局長の談話で、「村山談話」が示した立場を事実上投げ捨てたものであり、自らの誤りを認めない欺瞞（ぎまん）の談話だとしています。
日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会は声明で、日本が侵略戦争にむかった理由に「経済のブロック化」をあげ、責任を欧米諸国に押し付けていると指摘。これは侵略戦争肯定の論理であり、戦後世界秩序の原点の否定にほかならないとしています。
全教は小畑雅子書記長談話で、アジア・太平洋戦争が侵略であったことを認めようとせず、歴史の真実をゆがめる姿勢に怒りを禁じえないとしています。
( ２０１５年０８月１８日，「赤旗」)
２０
韓国民団「光復節」記念式典での小池副委員長あいさつ
１５日、都内で開かれた在日本大韓民国民団（民団）の「光復節」中央記念式典で日本共産党の小池晃副委員長が行ったあいさつは次の通りです。
こんにちは、日本共産党の小池晃です。今日は韓国の皆さんにとり、日本帝国主義による植民地支配からの解放を記念する大事な日であり、日本共産党を代表して心からお祝い申し上げます。また、この日にあたり、日本の侵略戦争で犠牲となった２０００万を超すアジアの人々を追悼し、過ちを二度と繰り返させない決意を申し上げます。（以上、韓国語。どよめきと拍手）
今年は戦後７０年、日韓国交正常化から５０年です。私はこの節目の年が、日本と韓国との真の和解と友好に向かう転機となるよう、全力を尽くしたいと思います。
日本側の姿勢として必要なのは、なによりも歴史に誠実に向き合い、侵略と植民地支配への反省を明確にすること、そしてそれにふさわしい行動を貫くことです。（拍手）
都合の悪い事実であっても、目を背けることなく誤りはきちんと認め、清算をおこなう。歴史の教訓をしっかりと私たちが引き継ぎ、学校の教科書にも反映させる。そうしたことを果たしてこそ、日韓両国民の心の通う友情が築けるのではないでしょうか。（拍手）
特に、日本軍「慰安婦」問題の解決は待ったなしです。先日東京で開かれた日韓・韓日議員連盟の合同総会でも、言葉に尽くせない被害を受けた女性たちに対し、「名誉回復と心の痛みを癒やすことができるような措置を早急に講じるように共に努力する」と確認されました。私たちも具体的な行動を日本政府に強く求めていきたいと思います。(拍手)
ヘイトスピーチの根絶も緊急の課題です。１９９８年の日韓パートナーシップ宣言は、在日韓国人の皆さんが、日韓両国民の交流・相互理解の懸け橋であり、地位向上のため両国政府が協議するとのべています。民族差別をあおるヘイトスピーチなど論外です。
世論と運動の高まりの中、参議院では、人種差別撤廃法案の審議が始まりました。ヘイトスピーチ根絶のため、政治の役割をしっかり果たす決意です（拍手）｡さらに永住外国人の地方参政権という懸案についても、実現に向かって動き出せるよう努力したいと思います。（拍手）
いま日本では、二度と海外で戦争をする国にするな、憲法９条を守れという声が、大きく広がっています。日本共産党は戦前、過酷な弾圧をうけながらも、朝鮮における独立のたたかいと連帯し、日本軍国主義による侵略戦争と植民地支配に反対を貫きました。そうした党として私たちは、広範な市民の皆さんとともに、日韓の関係改善と北東アジアの平和のため、頑張りたいと思います（拍手）｡
民団の皆さんの活動もいっそう発展するよう心から願って、ごあいさつといたします。カムサハムニダ（ありがとうございます）。
( ２０１５年０８月１６日，「赤旗」)
安倍談話／海外から厳しい批判／中国外務省／韓国大統領／勧告市民団体
重大な原則問題「ごまかし」批判／中国外務省
【ハルビン（中国黒竜江省）＝小林拓也】中国外務省の華春瑩・副報道局長は１４日夜、安倍談話についてコメントを発表し、「重大な原則問題でごまかしをすべきではない」と批判しました。
華副局長は「日本は、軍国主義による侵略戦争の性質と戦争責任に対し、はっきりした明確な説明を当然すべきであり、被害国人民に誠実なおわびをし、軍国主義の侵略の歴史と徹底的に決別しなければならない」と強調しました。
その上で、「中日国交正常化以降、日本が歴史問題で中国に行った厳粛な態度表明と約束を順守し、侵略の歴史を直視して深刻に反省し、平和発展の道を堅持し、実際の行動でアジア隣国と国際社会の信頼を得るよう促す」と日本政府に求めました。
中国の張業遂・筆頭外務次官は１４日夜、日本の木寺昌人・駐中国大使を外務省に呼び、戦後７０年談話に対する「中国側の厳しい立場」を伝えました。
「物足りない」／韓国大統領
【ソウル＝栗原千鶴】韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領は、日本の植民地支配からの解放記念日である「光復節」の１５日、ソウル市内で開かれた記念式典で演説し、前日に発表された戦後７０年の安倍談話に対して、「物足りない部分が少なくない」と語り、談話が歴代内閣の立場は揺るぎないとした点について「一貫して誠意ある行動で裏付け、国際社会の信頼を得る」よう求めました。
朴大統領は、１９６５年の日韓国交正常化以来、日本が河野談話や村山談話などで表明してきた歴史認識が「日韓関係を支えてきた根幹だった」と指摘。高齢となっている日本軍「慰安婦」被害者の問題を、早期に解決するよう求めました。
「正しい歴史認識を土台にして、新しい未来へ一緒に進まなければならない時だ。北東アジアと世界の平和、繁栄のために一緒に貢献していくことができることを期待する」と語りました。
中身ない反省文／韓国市民団体
【ソウル＝栗原千鶴】韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会は１４日夜、安倍談話に関する声明を発表しました。「日本の植民地支配と侵略戦争の過程でおきた『慰安婦』問題をはじめとした反人道的犯罪行為の事実認定と、国家的責任を探し出すことのできない安倍談話は、中身のない反省文にすぎない」と厳しく批判しました。
同声明は、談話に植民地支配、侵略などの言葉は盛り込まれたが、謝罪は過去に行われたものであり、植民地支配の国家責任も取り上げなかったと指摘。「過去を明確に認め、心から謝罪し戦犯国の責任を履行することで未来に進むことができるという事実をいまも否定している」としています。
「日本軍が組織的に行った性奴隷犯罪である『慰安婦』問題に対する明確な記述さえ探し出すことはできなかった」「被害者の涙を止める意志さえない日本政府に、これ以上、平和を論じる資格はない」と酷評しました。
( ２０１５年０８月１６日，「赤旗」)
安倍談話／海外メディア厳しく批判／韓国／中国／シンガポール／米国／豪州／ドイツ
韓国
【ソウル＝栗原千鶴】朝鮮日報１５日付の社説は、安倍首相談話が村山談話にある「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」という言葉を引用しているものの、「他人の口を借りて反省・謝罪している印象を与えている」と批判しました。
東亜日報の同日付社説も、「（安倍首相の）歴史認識に失望とともに、怒りを感じる」と非難。ソウル新聞の同日付社説は、「慰安婦」被害者に対する真剣な謝罪を求め、「真心に欠けた態度では、パートナーとして一緒に歩むことはできない」と主張しました。
中国
【ハルビン（中国黒竜江省）＝小林拓也】１５日付の中国共産党機関紙・人民日報は論評を掲載し、「文脈や誠意では『村山談話』との違いが甚だしい」と非難しました。
国営新華社通信の論評は、村山談話の「おわび」の主体は「日本政府と全国民を代表する首相だった」として、安倍談話のおわびは間接的だと指摘。「そうしたやり方で世間を欺くことはできない」と批判しました。
シンガポール
【ジャカルタ＝井上歩】シンガポールの英字紙ストレーツ・タイムズ（電子版）は１５日、談話は安倍首相の歴史認識に対する批判と、右派的基盤の間の「微妙な線上を歩くために、入念に仕上げられたように見える」と報じ、談話は「韓国と中国の人々から適切とみなされそうにない」と指摘しました。
米国
【ワシントン＝島田峰隆】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル（電子版）は１４日、「安倍首相は第２次世界大戦中の日本の行為について自らの言葉で謝罪するには至らなかった」と伝え、「戦争に関して日本がどう責任を負うべきだと安倍氏が感じているのか、あいまいなままだった」と指摘しました。
ニューヨーク・タイムズ紙（電子版）は同日、「安倍首相は過去の第２次大戦の謝罪を繰り返したが、何も付け加えず」と題して報道。ワシントン・ポスト紙（電子版）も同日、「日本の指導者は第２次大戦の謝罪に至らず」と伝えました。
豪州
オーストラリア・エージ１５日付は「将来の世代が謝罪を続ける必要性によって重い責任を負わせられないようにするとして、新たな謝罪を発表しなかった」と報道。安倍談話の言葉遣いは中国や韓国で重大な外交上の課題となると認識されていると指摘しました。
ドイツ
フランクフルター・アルゲマイネ紙は１５日、「不信は残った」との見出しで論評し、「安倍氏は侵略については歴史家の議論に任せるとして明確な謝罪を避けた」と批判。南ドイツ新聞は、首相が直接の謝罪を避けた狙いは「歴史に対する自らの評価を変えない」ことだと指摘しました。
( ２０１５年０８月１６日，「赤旗」)
「安倍談話」を検証すると／「村山談話」どう投げ捨てたか
安倍晋三首相が１４日に発表した戦後７０年談話。村山富市首相の戦後５０年談話をいかに実質的に投げ捨てたのか、いくつかのテーマに即して見てみました。
侵略／日本の行為と言わず
「安倍談話」は「侵略」について、「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も…」と一般論としていっています。侵略が日本自身によるアジア侵略だったという肝心のことを語らず、「安倍談話」の戦前の歴史部分にはでてきません。これは村山談話にある「国策を誤り」「植民地支配と侵略によって…アジアの諸国の人々に対し多大な損害と苦痛を与え」たとの認識とは異質で、事実上これを否定するものです。
「安倍談話」は、戦前の日本が、欧米列強の「経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受け」その「行き詰まりを、力の行使によって解決」しようとしたと描いています。昭和史に詳しい作家の保阪正康氏は「経済ブロックが戦争の原因だという言い方は、１９３０年代の日本が太平洋戦争を起こすときの論理と通底している」と指摘します。（１４日テレビ朝日「報道ステーション」）
さらに日本が日露戦争で｢植民地支配のもとにあった､多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた｣とのべています｡しかし､日露戦争は､朝鮮や中国東北部(満州)の支配権をめぐってはじめた､日露双方からの､いわば〝強盗〟同士の戦争でした｡
植民地支配／主体がだれか、語らず
「安倍談話」は、植民地支配について、「植民地支配から永遠に訣別（けつべつ）」すると、戦後の誓いのなかでいっています。しかし、日本が戦前、朝鮮半島と台湾を長く植民地支配したという、支配した主体がだれなのか、肝心のことが語られていません。
日露戦争にふれながら、その戦争の目的だった韓国併合（１９１０年）＝朝鮮半島の植民地化にも言及なしです。
朝鮮半島は併合から敗戦までの３５年間、日本の軍事強権下で独立・自由を完全に奪われ、日本の侵略戦争に動員されて多くの命を奪われました。「韓国への誠意が感じられない」（マイク・モチヅキ・ジョージワシントン大教授、「東京」１５日付）といわれて当然の内容です。
「慰安婦」問題／談話で一言も触れず
談話は、「二十世紀において、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた」といいますが、人ごとのような言い方です。肝心の日本軍「慰安婦」問題にまったくふれていません。
女性の問題をとりあげるのなら、当然「慰安婦」問題にふれて、「当時の軍の関与」を認めた河野談話（１９９３年）にも言及すべきでした。それがいま日本の謝罪を求める、高齢になった被害者の声に応える道です。そうしなかったことに安倍首相の「慰安婦」問題への態度があらわれています。
「お詫び」／首相自身の意思表明なし
「安倍談話」は、「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫（わ）びの気持ちを表明してきました」としました。「お詫び」が首相自身の意思と責任によるものではなく、まさに人ごとで欺瞞（ぎまん）に満ちたものであることを露呈させました。
戦後５０年の村山談話は、「私は…心からのお詫びの気持ちを表明いたします」と明言していました。これと比べても、「安倍談話」の主体性なき「お詫び」ぶりは一目瞭然です。「安倍談話」を「内閣総理大臣談話」としている以上、安倍首相本人の意思表明のない「お詫び」は意味を持たないはずです。
「安倍談話」は「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と強調しました。自ら謝罪しないことに加えて、その必要は今後も一切ないといっているに等しい異常な姿勢です。
「積極的平和主義」／戦争法案推進と一体
「安倍談話」は結びの部分で、「価値を共有する国と手を携えて、『積極的平和主義』の旗を高く掲げ、世界の平和と安全にこれまで以上に貢献してまいります」と表明しました。
首相が唱える「積極的平和主義」とは、「平和」の文字とは裏腹に、「戦争する国づくり」を推進するためのスローガンにほかなりません。
それは、集団的自衛権行使を容認した閣議決定（昨年７月）が「国際協調主義に基づく『積極的平和主義』の下、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するためには、切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備しなければならない」としていることからも明白です。
「安倍談話」が村山談話を投げ捨てるとともに「積極的平和主義」を掲げたことは、安倍首相の歴史認識と戦争法案の推進姿勢が一体ということをあらためて浮き彫りにしました。
( ２０１５年０８月１６日，「赤旗」)
〝バッシングに屈しない〟／慰安婦報道で元朝日記者
【ソウル＝時事】元朝日新聞記者で従軍慰安婦報道に関わった北星学園大（札幌市）非常勤講師の植村隆氏が１３日、ソウルで記者会見し、「不当なバッシングには絶対に屈しない」と強調しました。
植村氏は「１９９１年の記事で、当時韓国で慰安婦の意味で使われていた『挺身（ていしん）隊』という言葉を使った。それが原因で『捏造（ねつぞう）だ』などと激しいバッシングを受けてきた」と説明。「当時は他のメディアも同様の表現を使っていた。私は捏造記者ではない」と述べました。また、「勤務先の大学だけでなく、家族まで脅迫される異常な事態になった。攻撃の異常さが違う」と訴えました。
( ２０１５年０８月１５日，「赤旗」)
安倍首相「７０年談話」／「過去形で遠回し」「巧妙に逃げた」／韓国の与野党
韓国の与党・セヌリ党の報道官は１４日、安倍晋三首相の戦後７０年談話について、「日本の侵略史に対する反省と謝罪を直接に言及するよりも、過去形で遠回しに表現した。『慰安婦』についても間接的に言及したことは残念だ」と批判しました。
野党・新政治民主連合の報道官も同日、「『４大キーワード』である植民地支配、侵略、謝罪、反省をすべて使ったが、巧妙な方法で責任から逃げた」と指摘。「『慰安婦』問題についても、『尊厳が傷つけられた女性』という表現で逃げたことは非常に遺憾だ」と非難しました。
( ２０１５年０８月１５日，「赤旗」)
戦後７０年にあたって―「安倍談話」と日本共産党の立場／日本共産党幹部会委員長志位和夫
２０１５年８月１４日
日本共産党の志位和夫委員長は１４日、党本部で記者会見し、戦後７０年にあたって次のような談話を発表しました。
（１）
戦後７０年の終戦記念日にあたって、日本共産党は、日本軍国主義の引き起こした侵略戦争と植民地支配の犠牲となった内外の人びとに、深い哀悼の意を表明します。
いま、日本の政治は、戦争か平和かの歴史的岐路に立っています。戦争の惨禍と反省を踏まえて日本国民が得た世界に誇る宝――憲法９条を守り抜き、この条項を生かした平和日本を築くために、思想・信条の違い、政治的立場の違いを超えて、平和を願うすべての国民が力をあわせることを、心から呼びかけるものです。
（２）
本日、発表された「安倍談話」は、「侵略」「植民地支配」「反省」「お詫び」などの文言がちりばめられていますが、日本が「国策を誤り」、「植民地支配と侵略」を行ったという「村山談話」に示された歴史認識はまったく語られず、「反省」と「お詫び」も過去の歴代政権が表明したという事実に言及しただけで、首相自らの言葉としては語らないという欺瞞に満ちたものとなりました。
暴力と強圧をもって韓国の植民地化をすすめた日露戦争を、「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」とのべていることは、乱暴きわまりない歴史の歪曲にほかなりません。
全体として「安倍談話」は、戦後５０年にあたって「村山談話」が表明した立場を、事実上、投げ捨てるにひとしいものであり、国内外のきびしい批判を招くことは避けられません。
戦後７０年の首相談話が、このような有害な内容となった根底には、安倍政権が、侵略戦争を肯定・美化し、歴史を偽造する極右勢力によって構成され、支えられているという問題があります。
戦後の世界秩序は、日独伊３国による戦争は侵略戦争だったという判定の上に成り立っており、それを否定するものは国際政治に参加する資格がないことを、きびしく指摘しなくてはなりません。
（３）
日本共産党は、戦後７０年という節目の年が、日本とアジア諸国との「和解と友好」に向かう年となることを強く願い、そのために、日本の政治がとるべき次の五つの基本姿勢を提唱しています。
第一は、「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱりと反論することです。
第二は、日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すことです。
第三に、国政の場にある政治家が靖国神社を参拝することは、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚による靖国参拝はおこなわないことを日本の政治のルールとして確立することです。
第四は、民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつことです。
第五は、「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくすことです。
北東アジアの平和と安定を築く基礎となるのは信頼です。そして信頼は、歴史の真実に正面から向き合い、誠実かつ真摯に誤りを認め、未来への教訓とする態度をとってこそ、得ることができる――これが私たちの確信です。
日本共産党は、侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた党として、歴史を偽造する逆流を大本から断ち切り、日本とアジア諸国との「和解と友好」を実現するために全力をつくします。
（４）
日本は、戦後７０年間、他国と直接の戦火を交えることはなく、自衛隊は、半世紀余にわたって、一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出していません。
こうした平和の歩みを支えてきたのは、何よりも、憲法９条が存在し、平和を希求する国民の世論と運動が脈々と続いてきたことによるものです。この力が、歴代内閣をも縛り、「自衛隊は軍隊ではない」「海外での武力行使は許されない」「集団的自衛権行使は許されない」という憲法解釈をとらせてきたのです。
いま、安倍政権は、戦後７０年の平和の歩みを断ち切り、歴代内閣の憲法解釈を根底から覆して、戦争法案を強行し、日本をアメリカとともに「海外で戦争をする国」につくりかえようとしています。しかし、この憲法破壊の暴走に対して、これまでにない広大な人々が抗議の声をあげ、立ち上がっています。いま発揮されている国民のたたかいのエネルギーは、その広がりにおいても、その深さにおいても、空前のものとなっています。それは、戦後７０年を経てつくりだされた日本国民の平和と民主主義を希求するエネルギーがいかに巨大なものであるかを示しています。
「殺し、殺される」日本への逆行を絶対に許してはなりません。
日本共産党は、「戦争法案を許さない」という一点で、国会内外の共同を広げに広げ、圧倒的な国民世論で安倍政権を包囲し、戦争法案を必ず廃案に追い込むために、全力をあげて奮闘するものです。
わが党は、北東アジアに平和と安定を築くために、「北東アジア平和協力構想」を提唱し、その実現のために関係各国との対話を続けてきました。この「構想」こそ、安倍政権の戦争法案に対する真の平和的対案であると確信しています。その実現のために、引き続き知恵と力をつくす決意です。
( ２０１５年０８月１５日，「赤旗」)
東京芸術座「戦争と青春のつどい」２０日に
東京芸術座の「戦争と青春のつどい」が２０日に開かれます。「つどい」は平和の願いを込めた劇団の朗読企画としてこれまで開催されてきました。今回は広く実行委員会形式で行われます。テーマは「教科書から消された戦争」です。
「朗読と映像と音楽で表現する舞台です」と語るのは、台本構成・演出の杉本孝司さん。「安倍政権が日本を戦争する国に変えていこうとしている中、政府が教科書検定でいかに憲法９条や基本的人権を歴史的に攻撃してきたか、何を隠そうとしてきたのかを知ってもらう機会にしたい」
教科書裁判や沖縄戦での住民虐殺、天皇の戦争責任、南京大虐殺、日本軍「慰安婦」問題などを取り上げます。杉本さんは「劇団の役者だけでなく、一般の方たちも舞台に立ちます。日本の戦争についての加害責任と、平和をどう築いていくかについて一緒に考えられればいいですね」と話しています。
＊２０日午後２時／７時、東京・練馬区立生涯学習センター。℡０３（３９９７）４３４１東京芸術座
( ２０１５年０８月１４日，「赤旗」)
これが国民の７０年談話／平和へ不断の努力／弁護士らシンポ
安倍政権が発表する戦後７０年談話に先立ち、民主的な立場からこれに立ち向かう「国民（私たち市民）の７０年談話」が１３日、都内で開かれたシンポジウムで採択されました。主催は、憲法訴訟に関わってきた弁護士の有志らでつくる同実行委員会（代表＝新井章弁護士）です。
「談話」は、日本によるアジア侵略や植民地支配、日本軍「慰安婦」問題などに言及し、政府に対して「被害を受けた国とそこに住む人々に対し、痛切な反省の意を表し、心からのお詫（わ）びの気持ちを表明すること」を強く求めています。
また戦後７０年間、日本国憲法のもとで戦争に加担せず、非軍事で世界平和に貢献してきた貴重な経験を心に刻み、「平和な世界を構築するために不断に努力を続けていく」と宣言。立憲主義に反し、平和の歩みを踏み外す戦争法案の廃案をめざして、粘り強く活動していく決意を表明しています。
シンポジウムには１９０人が参加。新井弁護士をはじめ、元日本教育学会・日本教育法学会会長の堀尾輝久氏、埼玉大学名誉教授の暉峻淑子氏、一橋大学名誉教授の杉原泰雄氏が発言。「『戦後』をふたたび『戦前』にしてはならない」（堀尾氏）などと述べました。
会場からもＳＥＡＬＤｓ（シールズ＝自由と民主主義のための学生緊急行動）や「安保関連法案に反対するママの会」のメンバーらが平和や憲法を守る決意を語りました。
( ２０１５年０８月１４日，「赤旗」)
「慰安婦」告白／２４年前、ハルモニの勇気／韓国学生「受け継ぐ」／「８・１４を記念日に」
【ソウル＝栗原千鶴】「とても勇気がある人だったと思う」「心が強い人。尊敬できる女性です」―。そんな言葉が大学生たちから次々と聞かれました。１９９１年８月１４日に自ら「慰安婦」だったと名乗り出た金学順さん。８月１４日をメモリアルデーにしようとソウル市内で１２日、世界日本軍「慰安婦」メモリアルデー文化祭が韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会の主催で開かれました。
ソウル中心部にある市庁前広場に設置された舞台では、大学生のグループが歌や踊りを披露。被害者の証言を劇化した映像や金学順さんの写真も映しだされ、参加者は被害者に思いをはせました。
「慰安婦」問題解決に向けて活動し、同文化祭の運営を担当した「平和のチョウ・ネットワーク」の代表キム・セムさん(２２)は「たくさんの人が来てくれて、感動しました。この様子を見て韓国の人が関心を持つきっかけにしてくれればうれしい」と語ります。１９９７年に亡くなった金学順さんとは会ったことはありません。でも「とても勇気がある人だったに違いない。声をあげてくれたハルモニ（おばあさん）の勇気を、私たちが引き継がなければ」と力強く語りました。
９１年当時、日本の国会では政府が「慰安婦」制度は軍（国）が関わっていたのではなく、民間業者がやったことだと発言。金学順さんは「そんなはずはない。生き証人がここにいる」と告発したのです。
以降、世論は大きく変わりました。同年１２月、金学順さんは謝罪と賠償を求め日本政府を提訴。その後、フィリピンやオランダ、中国、台湾、インドネシアなどで被害者が声を上げ、９０人以上が裁判を起こしました。
スタッフとして文化祭に関わった大学１年生のチョン・ジュヨンさん(１９)はいいます。「（生存している）ハルモニたちが諦めていないのに、私たちが諦めるわけにはいきません。これからも運動を継続します。日本政府は、ハルモニたちの命あるうちに謝罪して、被害者の名誉を回復してほしい」
今月８日、米国に住む韓国人「慰安婦」被害者のパク・ユニョンさんが９３歳で亡くなりました。今年に入り、８人が亡くなり、韓国政府が認定した２８３人のうち生存者は４７人になりました。
( ２０１５年０８月１４日，「赤旗」)
日本大使館前で慰安婦問題抗議／「被害者に名誉・人権を」／水曜デモが１１９１回／韓国
【ソウル＝栗原千鶴】韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会（挺隊協）は１２日、「慰安婦」問題に対する日本政府の謝罪と早期解決を求め、ソウル市内の在韓日本大使館前で抗議行動を行いました。「（被害者に）名誉と人権を」「日本政府は公式な謝罪を」などと書いたプラカードなどを手にした参加者２０００人以上が、大使館前の通りを埋めつくしました。１９９２年１月から毎週行われている水曜デモは、１１９１回を迎えました。
支援者の歌が披露され、これまでの水曜デモの映像が流れると涙する人も。参加者全員で、日本政府に対し「慰安婦」問題が性奴隷の犯罪であることを認め、公式謝罪することや韓国政府に問題の解決に力を尽くすよう要求する声明を拍手で確認しました。
金福童（キム・ボクトン）さん、李容洙（イ・ヨンス）さん、吉元玉（キル・ウォンオク）さんら３人の被害者も参加しました。代表してマイクを握った金さんは「日本政府はいまだに、強制的に連れて行ったことも認めていないし、犠牲者に謝罪もしていません。しかし、みなさん挫折しないで力強く行動を続けていきましょう」と呼びかけました。
高麗大学１年生のチュ・ジユンさん（２０）は、「ハルモニが言っているように、私たちの世代が記憶していかなければいけないことだと思いました。この問題は韓国だけでなく人権問題です。世界の人とも連帯して、戦争のない平和な世の中をつくるために努力したい」と語りました。
日本人留学生の尾﨑美咲さん（２０）は、初めて水曜デモに参加しました。「これまで映像を見たことはありましたが、すぐに来ようという気持ちになっていなかった」といいます。「でもきょうはきてよかったです。こうやって週に１回、声をあげる人がいなければ、忘れさられてしまう。大事なことだと思いました」
◇
集会の最中に会場のそばで男性が焼身自殺を図りました。警察などによると、男性は８０歳で、遺書に日本に抗議する文書を持っていました。全身やけどで意識不明の重体です。
( ２０１５年０８月１３日，「赤旗」)
「８月１４日を記念日に」／「慰安婦」ネットが宣伝／広島
日本軍「慰安婦」問題解決・ひろしまネットワークは１２日、広島市中区で「８月１４日を日本軍『慰安婦』メモリアル・デーの国連記念日にしよう」と宣伝しました。
１９９１年８月１４日に韓国の金学順(キム･ハクスン）さんが被害者として初めて名乗り出ました。日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議は２０１２年１２月の第１１回会議で８月１４日をメモリアル・デーと決め、１４年６月の第１２回会議で国連記念日とする運動を展開しようと決定しました。
宣伝には約２０人が参加し、「日本政府は公式謝罪と賠償をしなさい」と書いた横断幕を掲げて街頭署名。土井桂子共同代表らがハンドマイクで「名誉と人権の回復を求めている被害者が存命中に問題を解決するよう、世界の国々が求めている」と訴えました。
インターネットのフェイスブックには「８月１４日を国連記念日にしよう！」キャンペーンがオープン。宣伝参加者は「運動を応援します」と書いたＡ３判サイズのポスターをそれぞれ手にした集合写真を、サイトにアップするために撮影しました。
( ２０１５年０８月１３日，「赤旗」)
１０
７０年談話／「侵略」明記、「おわび」求めず／有識者会議が報告書
戦後７０年談話に関する有識者会議「２１世紀構想懇談会」（座長・西室泰三日本郵政社長）は６日、安倍晋三首相に報告書を提出しました。
報告書は、最大の焦点となる歴史認識について「先の大戦への痛切な反省」を明記。「植民地支配」や「侵略」という表現も記載する一方、戦後５０年の村山富市首相談話（１９９５年）にある「おわび」の踏襲は求めませんでした。
報告書は、「日本は満州事変以降、大陸への侵略を拡大し、世界の大勢を見失い、無謀な戦争でアジアを中心とする諸国に多くの被害を与えた」「民族自決の大勢に逆行し、１９３０年代後半からは植民地支配が過酷化した」としました。こうした「植民地支配」と「侵略」について「国策として日本がアジア解放のために戦ったと主張することは正確ではない」と述べ、過去の日本の侵略戦争を肯定・美化する「靖国」史観をしりぞける姿勢を示しています。
日本軍「慰安婦」問題の存在があることを認めつつ、国の関与を認め誠実に謝罪するという根本には触れず、「永続する和解を成し遂げるため、韓国の国民感情にいかに対応するかを共に検討し、和解の方策を考え、責任を共有する」などとしました。
戦後日本の平和国家としての歩みを強調する一方、「中国、韓国との間では和解が完全に達成されたとは言えない。中韓とは地道に和解に向けた話し合いを続け、東南アジアの国々には過去を忘れずに謙虚な態度で接することが重要だ」と述べました。
今後の日本のとりくみでは、「安全保障分野で日本が今後、世界規模で従来以上の役割を担うことが期待されている」として安倍政権が「積極的平和主義」の名で進める軍事的対応も提言。戦後７０年にあたってとるべき具体的施策では、近現代史教育の強化や多国間の歴史共同研究の実施などを列挙しました。
( ２０１５年０８月０７日，「赤旗」)
戦争やめて／各地で展示・集い／平和の思いびっしり／堺
「戦後７０年 平和をつなぐパネル展・堺～戦争をふりかえる～」が７月２５日から３０日まで、サンスクエア堺ギャラリーで催されました。
同パネル展は「堺平和のための戦争展２０１５」の連携企画として開催。４６０人を超える幅広い市民の賛同で実行委員会を結成し、半年以上の準備を経て開催しました。
会場には、「堺大空襲展」や広島・長崎の「原爆」写真、「沖縄戦」の様子、「日本による朝鮮植民地支配」、「中国・東南アジアへの戦争」、「日本軍『慰安婦』問題」のパネルが最新の資料も加味して展示され、７００人を超える来場がありました。
小中学生連れの家族の来訪も多く、アンケートには「戦争の被害と加害の実相が今まで以上にリアルに伝わってきた」「人を殺し、殺される戦争を再び起こしてはならない」など平和への熱い思いがびっしりと記されていました。
(２０１５年０８月０５日，「赤旗」)
（７月）ヘッドライン
近づく終戦７０年／各地で特別展／「平和のための京都の戦争展」／来月４日から９日
「慰安婦」問題／自民党の提言に「深刻な憂慮」／韓国外務相
「慰安婦」問題で政府に反論要求／自民党特命委
育鵬社教科書を不採択／名古屋市教委／侵略美化、市民がノー
〝ともにかたり、学ぶ〟／全国私学夏季研究集会が閉会
「慰安婦」問題、偏見なき清算を／欧米の日本研究者の声明に賛同続々
潮流
平和願い母親大会／戦争を防ぐのは人間／愛知
願い結ぶ／参院選大阪選挙区候補わたなべ結物語／上／平和の願いを国会へ
岡本宮之助さん来月公演／「反戦新内」の精神を今に／師匠・文弥の３曲演奏
ＮＨＫ経営委員と語る会／戦争法案報道「国民目線で」／籾井会長や百田氏の資質、批判と注文噴出／大津
「反ファシズム勝利７０年」展示／「両国民の交流が大事」／中国抗日戦争記念館
「慰安婦」の事実否定
「慰安婦」問題は包み隠して／森元首相が不見識発言／ＢＳ番組
侵略の反省明記を／「７０年談話」で文書／平和遺族会
背表紙／『ぼくらの民主主義なんだぜ』……多彩な言論から問い直す
学問の自由守ろう／「学園監視」に対抗／札幌でシンポ
日韓・韓日議連が合同総会開く／村山・河野談話の立場再確認
日韓関係改善目指す／両国駐米大使
韓国外相が歴史認識継承を求める
芸能テレビ／「〝記憶〟と生きる」／監督土井敏邦さん／日本軍「慰安婦」の戦後、等身大の証言
ニコン「慰安婦」写真展中止事件裁判／弁護士、ニコン裁判弁護団李春熙さん／フォトジャーナリスト樋口健二さん
ニコン「慰安婦」写真展中止事件裁判／原告、韓国人写真家安世鴻さん／表現の自由、萎縮させない
補償と謝罪求め元「慰安婦」訴え／在米大使館前集会
歴史の真実伝えたい／学んで侵略美化「ノー」の意思表示／母親らが「教科書カフェ」／名古屋
言論弾圧／沖縄侮辱／許さない、負けない／緊急集会各氏の発言
韓国外相「懸案進展なら首脳会談」
党派超え戦争法案反対／初めての共同行動／「平和外交こそ大事」／静岡・磐田
７月（本文）
３１
近づく終戦７０年／各地で特別展／「平和のための京都の戦争展」／来月４日から９日
３５回目を迎える「平和のための京都の戦争展」が８月４日（火）から同９日（日）まで、立命館大学国際平和ミュージアム（京都市北区）で開かれます。
今回の初展示は、▽米国立公文書館で見つかった戦後の京都で活動する進駐軍の写真７点（伏見区の工場や舞鶴工廠、仮宿舎など）▽上海慰安婦資料館から提供された慰安所の調査記録や被害者証言▽８月１５日午後１時に配達される予定だった臨時召集令状（奈良県立図書情報館提供）―などです。
前回に続き、中国戦線に２年半従軍し、戦場を撮影した村瀬守保さんの写真から未公開２５点を紹介します。
「戦後７０年特別展」として、反核・平和運動の軌跡も写真などで振り返ります。
戦争体験者の証言（シベリア抑留、軍国主義教育）、講演会、子ども向けの紙芝居、映画上映など多彩な企画もあります。
連日、午前９時半から午後４時半まで。入場無料。問い合わせは、実行委員会まで電話０７５（２３１）３１４９
(２０１５年０７月３０日，「赤旗」)
「慰安婦」問題／自民党の提言に「深刻な憂慮」／韓国外務相
【ソウル＝時事】韓国外務省は２８日、従軍慰安婦問題に関し、自民党が国際社会に積極的に反論するよう求める提言書を安倍晋三首相に手渡したことについて、「深刻な憂慮を表明せざるを得ない」と批判するコメントを出しました。
外務省は「慰安婦に対する募集、移送、管理などの強制性は国際社会が明白な判定を下した歴史的真実だ」と強調。「日本の政治家は、歴史の真実を歪曲（わいきょく）しようとするいかなる試みも、国際社会からさらに大きな反発を買うという現実を直視し、即刻中断しなければならない」と求めました。
( ２０１５年０７月３０日，「赤旗」)
「慰安婦」問題で政府に反論要求／自民党特命委
自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」（委員長・中曽根弘文元外相）は２８日、日本軍「慰安婦」問題に関し、国際社会に事実誤認があるとして、積極的に反論するよう政府に求める提言を了承しました。了承後、稲田朋美政調会長らが首相官邸で安倍晋三首相に提言書を手渡しました。首相は「しっかりと受け止める。誤った点は直していかなければならない」と応じました。
提言は、「慰安婦」問題で「強制連行があったかのような事実に反する認識」が国際社会に広まっているとして、「慰安婦」問題に関する諸外国の報道や出版物について事実誤認と判断した場合は、政府が率先してウェブサイトや新聞に投稿し、日本の立場を説明するよう要請。「性奴隷」との表現を含む「慰安婦」の碑や像を設置する動きのある各国の地域に中止の圧力をかけるよう事実上求めています。
一方で、提言は「戦時中に慰安所が設置され、女性を民間業者が募集し、働かせたことは事実であり、根本的に女性の人権と尊厳を著しく傷つけたという点に議論の余地はない」などと、旧日本軍による人権侵害を「民間」によるものへとわい曲・矮小（わいしょう）化しています。
( ２０１５年０７月３０日，「赤旗」)
育鵬社教科書を不採択／名古屋市教委／侵略美化、市民がノー
来年４月から中学校で使用される歴史・公民教科書を決める名古屋市教育委員会の臨時会が２９日、市役所庁舎内で開かれ、委員による無記名投票の結果、侵略戦争美化の育鵬社・自由社の教科書が不採択となりました。河村たかし市長が日本軍「慰安婦」や南京大虐殺の存在を否定する発言をしている中、市民の運動で押しとどめた成果です。
教科書展示会で中学校教科書に寄せられた市民の意見は１６６４通。前回と比べ５倍弱。審議の中で市教委事務局は「侵略戦争を美化し戦争を肯定する教科書はふさわしくないとの声が８６％を占めた」とのべました。
複数の委員が「南京大虐殺の表現を避けたものが望ましい」「天皇が千数百年続いたことが他国にない特色」などの持論を展開。
別の委員は「歴史は事実を忠実に書くべきだ」とし、〝アジア解放のための自存・自衛の戦争だった〟とする「大東亜戦争」の記述が「国民を欺いた」と批判しました。
服部はつ代委員長は意見が割れたことを理由に無記名投票を提案。１回目の採決で教育出版３､育鵬社２､東京書籍１。上位２社による決選投票で教育出版が採択されました。
公民は１回の投票で東京書籍４、日本文教出版２でした。投票による教科書採択は名古屋市教委では初めて。
服部委員長は、教科書展示会で８割超が侵略美化教科書の不採択を求めていたことについては「多様な意見の一つとしての参考」としました。
傍聴席４０に７８人の希望者が殺到。小３の子を連れ審議を聞いていた三原香奈子さん（４２）は「育鵬社に２票も入りびっくりしたが、多くの市民が反対の声をあげていることがわかりよかった」と笑顔で語りました。
名古屋市内の４０代社会科教師は「戦争美化する教科書を授業で使うことになれば、お国のためという軍国主義のあやまった教育を繰り返しかねず、今回の結果はホッとした」と話していました。
( ２０１５年０７月３０日，「赤旗」)
〝ともにかたり、学ぶ〟／全国私学夏季研究集会が閉会
岩手県花巻市で開かれた第４６回全国私学夏季研究集会（全私研）は２７日、閉会しました。２５日からの３日間で、各教科の授業実践などをテーマとした２７の分科会と「ともにかたり、学ぶ小学校での教育づくり」の特設分科会が行われました。
２５日の「平和・人権と国際連帯の教育」分科会では、大阪府の私立の教員が「性暴力について考える授業とは？」を報告。多様な性や「慰安婦」問題を教室で学んだ後に「生の誕生、出産」を学習する中で、高校生が自分の性についても向き合って考えるようになり、人間らしい性のありかたについて認識を深めていく様子を話しました。
２６日の夜には「養護教職員交流会」が開かれ、養護教員のネットワークづくりなどを話し合いました。
高校生らが並行して開いた「全国高校生交流集会」には約１２０人が参加。愛知県の私立高校生が呼びかけた「戦後７０年『未来』プロジェクト」に呼応して各地で取り組んできた平和学習などを交流しました。
プロジェクトの一環である自転車ピースリレーの出発式が２７日にあり、教師・父母らも含む約２００人の声援に見送られて、「平和の灯（あか）り」を携えた約２０人が元気よく出発しました。灯火は北海道や九州まで自転車で受け継がれます。
職場の先輩に誘われ、初めて青森から参加した教員の青山文平さん（２３）は「全国の先生たちがみんな『どうすれば生徒に楽しく学んでもらえるか』を真面目に考えて授業を工夫していることに感動しました」と語りました。
( ２０１５年０７月２８日，「赤旗」)
「慰安婦」問題、偏見なき清算を／欧米の日本研究者の声明に賛同続々
日本軍「慰安婦」問題解決の促進を求め、欧米の日本研究者１８７人が５月に出した「日本の歴史家を支持する声明」は、２カ月で世界各国５００人に賛同が広がっています。「声明」の取りまとめ役と賛同者の学者に聞きました。
神田晴雄記者
憲法の意思継ぐ７０年談話に／「声明」の取りまとめ役の一人、コネティカット大学教授（日韓現代史、国際史）アレクシス・ダーデンさん
「声明」はシカゴで３月に開かれたアジア研究協会年次会合の際、約３０人の仲間が集まり、議論したことがきっかけです。
「声明」が焦点をあてたのは「慰安婦」と呼ばれたかつての日本軍性奴隷問題です。その歴史がゆがめられていることは、学問の自由、報道の自由にもかかわります。
大学教授が声明を出したことに一部の人は驚いたでしょうが、私たちには自然なのです。
日本の歴史学研究会が昨年１０月、声明を出しました。ここでは、安倍内閣とその応援団が「慰安婦」強制連行への日本軍の深い関与と実行というよく知られた、証明済みの歴史を消し去ろうとしていると批判しました。声明の名称を「日本の歴史家を支持する声明」としたのはここに着目したからです。
実際、私たち歴史家が知り得た事実や学生に教えている内容を発信し、また、国とどんなに論争になろうと、研究の成果を公表しつづける姿勢を明確にすることは歴史家の責任です。
このような理由で「声明」とその賛同者を組織することは容易でした。ツイッターなどを通じて多くの人が広めてくれました。
これまでに米国や欧州、南米､豪､ロ､中､韓､日本など世界中から約５００人が賛同してくれました。特に欧州の学者には、大きな学会の指導的立場の人も含まれています。
６月２５日、ザイド国連人権高等弁務官が安倍首相に、ソウルを訪ね被害女性たちに直接謝罪するよう求めました。私も同感です。
安倍首相は戦後７０年談話を出すそうですが、歴代首相の談話を継承すべきなのはもちろんですが、日本国憲法に導かれた戦後日本の歩みを受け継ぐ意思を示すものを望みます。それは世界が歓迎するでしょう。
人権の保障こそ国家の使命／賛同署名をした、ハーバード大学歴史学部名誉教授入江昭さん
敗戦から７０年、世界は様変わりしてきました。日本はどうでしょうか。最近、私を含め米国などの歴史学者が発表した声明では、１９４５年以後の日本はそれ以前と異なり、民主主義、人権、言論の自由などが尊重される国になったとされています。
しかしどこまで日本が変わったといえるでしょうか。国家と個人の権利がどのように変わってきたのかを考えてみたい。
１９４５年まで、日本の国家主権は海外領土や勢力範囲にまで及んでいました。１９世紀末の台湾統治、さらに２０世紀初頭の朝鮮半島支配などを通して、日本帝国と呼ぶものをつくり上げていきました。
今日の世界では地理的国境の持つ意味は、戦前とは比べものにならないほど弱まっています。経済のグローバル化の故です。
グローバル化は国家だけではなく、人間の国境を超えたつながりも含みます。そしてその場合の基本概念が人権です。人権、すなわち個人の自由や権利が保障されてはじめて、グローバルな交流が可能となり、平和な世界へとつながっていきます。
日本では、政治家をはじめそのような変化に抵抗する人たちが少なくないようです。人権よりは国権を重んじ、日本固有の伝統なるものを教育の基礎にしようとしています。あるいは外国人、とくに在日朝鮮人などを排斥し、「慰安婦」問題を無視しています。これではグローバル化にも、世界の歴史の進歩にも逆らうことになります。
２１世紀の日本は経済のみならず、ましてや軍事力ではなく、人権を海外にもたらすことを国家の目標、市民の使命としていきたいものです。
（米独立記念日にボストンで）
「日本の歴史家を支持する声明」／抄録
元「慰安婦」たちの身に起きたことを否定し、過小なものと無視したりすることは受け入れられない。
特定の用語に焦点をあてて狭い法律的議論を重ねたりすることは、被害者が受けた残忍な行為から目をそむけることだ。過去の過ちについて全体的で偏見なき清算をこの時代の成果として残そう。
(２０１５年０７月２６日，「赤旗」)
潮流
こんな教科書で学んだら世界が違って見えたかもしれない。検定に合格し、市販もされている「学び舎」の中学歴史教科書『ともに学ぶ人間の歴史』を、ドキドキしながら手に取りました▼執筆者約３０人は全員が現職・元職の教員。子どもの視点で教科書をつくろうと、５年間、毎月学習会を重ね、議論を経て執筆してきました。資本金を集め、ゼロから会社を創業。経理を担当するため、専門学校に通って簿記の資格を取った会員もいます▼その努力の結晶である教科書は、おとなが読んでも面白い。歴史教科書で必ず見る重要語句の太字がありません。歴史を干からびた暗記科目にしないための配慮からです。充実しているのは時代に生きる人々の姿。民衆の声を生きいきと伝えているのも特徴です▼教科書づくりを支えた研究者の一人、宮瀧交二・大東文化大学教授が、こんな推薦文を寄せています。３代前の曽祖父母は８人だが、１０代前まで遡るとその数は１０２４人になる―。｢各時代を生きぬいた､名も知れぬ人々への共感を！」▼「問い直される戦後」の項目にも注目しました。資料として慰安婦問題での「河野談話」の要点を掲載。韓国人の元「慰安婦」、金学順さんの名前も。１９９７年度版の中学歴史教科書で７社全てに記述された「慰安婦」の用語が、皆無になっていた事実を思えば感慨深い▼何のために歴史を学ぶのか。偏狭なナショナリズムに陥らず「負の歴史」と向き合うことは、国際人として生きる上で不可欠です。
( ２０１５年０７月２４日，「赤旗」)
平和願い母親大会／戦争を防ぐのは人間／愛知
愛知県安城市で１９日、第６１回愛知母親大会が開かれ、１３００人が参加しました。
主催者あいさつで、代表委員の安藤のり子さんは「戦争法案は国民がいつか来た道を思い起こさせる。憲法の大切さを改めて感じてほしい」と話しました。
全体会では愛知大学の長峯信彦教授が「今こそ輝け、日本国憲法！安倍政権の戦争法制と歴史的『今』における私たちの責任」と題して記念講演し、「戦争というのは自然発生的に起こるものではなく、貧困、大失業、経済破綻など非軍事的な理由から発生します。まさに人為的災厄であり、それを防ぐのは人の努力です。軍事力でどうにかしようとするのは、甘えであり怠慢です」と語り、大きな拍手が沸き起こりました。
各団体の活動報告で、「慰安婦」問題早期解決を求める会、新婦人愛知県本部、愛商連婦人部、愛労連婦人協、愛保協の代表が報告しました。
全体会に先立ち、「憲法と女性の人権」「教科書問題」「安倍内閣の社会保障改悪」などをテーマにしたシンポジウムなど１９の分科会が開かれました。
全体会終了後、スローガンや「平和な未来を子どもたちへ！」と書かれた横断幕を掲げ、市内をパレードしました。
(２０１５年０７月２３日，「赤旗」)
願い結ぶ／参院選大阪選挙区候補わたなべ結物語／上／平和の願いを国会へ
大阪から、沓脱タケ子さん以来の女性参院議員誕生を―。２０１２年、１４年の衆院選を大阪３区小選挙区候補として奮闘した、わたなべ結さん（３４）は、来年夏の参院選で大阪選挙区候補として、辰巳孝太郎議員に続く連続議席獲得をめざしてたたかいます。
結（ゆい）さんは、１９８１年、３人きょうだいの長女として大阪市住吉区に生まれました。結の名前には「大事なものを未来につないでいけるように」という意味と「仲間と助け合いながら、どんな困難も乗り越えていけるように」との願いが込められています。
「戦争はあかん」
結さんの活動の原点は「平和を守る」です。
少女時代、戦争をテーマにした劇や映画をみるなかで、子ども心に「戦争はあかん。絶対にしたくない」と思うようになりました。
小学４年の時、湾岸戦争が開戦。共働きだった結さんの母は、家をあけることを心配しつつも「戦争反対のビラをまきに行きたい」と子どもたちに相談します。子どもたちは「３人で留守番するから、お母さん行ってきて」と送り出しました。
「二度と戦争をしない平和な日本であってほしい」。その思いから、反戦平和を貫いた共産党に共感し、１８歳で入党しました。
アジア、欧州など、これまで７カ国を１２回訪れた結さん。結さんを地区の専従に誘った、共産党木津川南地区委員会の能勢みどり委員長は「彼女は、自分の目で直接見ることの大切さを知っています。いろんな地域に足を運んでいるから視野も広い」。初めての海外はアメリカ、１６歳の夏のことです。
片言の英語ながら、異国の言葉や文化にふれる楽しさを実感。「世界の人々とつながりたい」と思い、外国語大学への進学を決めます。
ハルモニと会い
大学時代、専攻していたタイ語を学びに１０カ月間、タイへ留学。日本文化を学ぶ講義で、友人が「日本はアメリカの５１番目の州」だと発言。世界的にみても、日本の対米従属度は異常だと痛感しました。
治安の良さが日本とは違い、夜間は暗く女性が一人で出歩くのは危険だったり、食事が体に合わないこともありました。「言葉が通じないときもあり大変でした。でも、今でも交流のある親友ができた。言葉や文化は違ってもつながれるんだと感じました」
２００７年、強制収容などの歴史を見に行こうとドイツを訪問。日本と違って自国の侵略戦争と向き合い、過去の歴史を反省する姿を目にします。１２年には、韓国で元「慰安婦」のハルモニと会い、問題の解決を求めて２０年以上続いている、日本大使館前での水曜集会に参加。日本政府に、公式の謝罪と賠償を求めスピーチしました。
結さんはいいます。「過去の歴史を反省し、武力での解決ではなく、憲法９条を生かした平和外交で、未来ある日本をつくりたい。戦後７０年続いた平和の願いを国会へと結びます」
（つづく）
(２０１５年０７月２２日，「赤旗」)
岡本宮之助さん来月公演／「反戦新内」の精神を今に／師匠・文弥の３曲演奏
新内演奏家の岡本宮之助さんが、８月、「いま反戦文弥作品を語る」を公演します。師匠・岡本文弥が創作し演奏した曲目です。
１０１歳で亡くなるまで現役で活躍した岡本文弥（１８９５～１９９６）は、明治、大正、昭和、平成にわたって活躍。代表作「そば」「鶴女房」など江戸浄瑠璃の流れをくむ新内の演奏家として知られます。昭和初期には、プロレタリア新内を語り、「赤い新内」とも呼ばれました。
今回、宮之助さんは、「反戦新内」のうちから３曲を演奏します。
「西部戦線異状なし」は、昭和の初め、新築地と築地小劇場がレマルクの同名の小説を翻訳して公演したとき、文弥が創作（１９３０～３１）したもの。「遊里遊女の世界を唄うことをその特徴とみられてきた新内」にあって、「世間からの狂気扱い」を受けましたが、「戦争で苦しむ人びとの嘆きと怒りを代弁する」作品が「遊女の嘆きと怒りを代弁」する「新内の語り物となることは少しも不思議ではない」（『赤い新内まんじゅしゃげ』）と後に語っています。
日本人として「謝罪寸志」
「ぶんやアリラン」は、文弥９８歳で完成させた作品。「従軍慰安婦」たちの怒りと悲しみをつづり、「じつに許しがたい犯罪」「政府は反省もなくつぐなう気もない」との憤りから、日本人として詫びる気持ちで作った「謝罪寸志」（『長生きも芸のうち 岡本文弥百歳』)の作品です。人形劇団プークの川尻泰司と組んで芝居にして上演しました。
「河童の道行」は、アメリカの無差別爆撃・東京大空襲でひどい目に遭った本所に住む河童の話。（１９５５年初演）
「ほかに、広島の被爆詩人、峠三吉のノーモア・ヒロシマに重ねた『にんげんを返せ』などがありますが、これは次にやりたいですね。文弥さんは、いつも戦争はイヤだといい、アメリカは嫌い、筋金入りの嫌米家でした。徴兵検査は丙種合格。新内の稽古中に警官に『この非常時に女の声を出すとは』といわれ、戦争になると芸もできなくなる、といつも言っていました」と宮之助さんは師匠を語ります。
庶民の感覚で戦争反対主張
「戦争になるとくみ取りが来なくなり、東京はくそだらけになる。戦争は散らかすからいけない（笑い）と、庶民感覚で戦争反対を言い続けた芸人でしたね」
安倍内閣は、自衛隊を米軍の戦争に動員する「戦争法案」を、国民多数の反対を踏みにじって衆院で強行採決しました。
「あの戦争がいかに悲惨で人命を奪ったか。忘れてはいけない。それをつづった浄瑠璃、文弥作品です。節目となる戦後７０年の今年夏、岡本流を継ぎ背負った者として演じたい」と宮之助さん。
文弥は生涯で古典もの４０曲余を演奏し、創作を３００曲作り、多くの愛好者に支えられてきました。
２００余年の伝統を持つ「小さな三味線音楽」も、現代に生きて役立つ、「いかにしてお客に喜んでもらえる演奏ができるか」（『ぶんや かたりぐさ』）の精神を舞台にのせたい、と宮之助さんは意欲を燃やします。
(澤田勝雄)
＊「戦後７０年・いま反戦文弥作品を語る」 演奏・岡本宮之助、三味線・鶴賀喜代寿郎、上調子・岡本文之助、ゲスト・柳家さん八「東京大空襲夜話」▽８月１日（土）午後５時、東京谷中・宗善寺（台東区谷中１の７の３１）▽８月４日（火）午後１時、東京・お江戸日本橋亭（地下鉄「三越前」）。２５００円。協力・民族芸能を守る会。問い合わせ℡０３(３８２１)２２３３岡本
( ２０１５年０７月２２日，「赤旗」)
ＮＨＫ経営委員と語る会／戦争法案報道「国民目線で」／籾井会長や百田氏の資質、批判と注文噴出／大津
「視聴者のみなさまと語る会～ＮＨＫ経営委員とともに」が４日、ＮＨＫ大津放送局で開かれました。参加した２５人の視聴者のうち、９人がＮＨＫの政権寄りの報道姿勢を批判。戦争する国へと暴走する安倍政権に追随するＮＨＫに、参加者から危機感と不満が噴出しました。
真っ先に発言した男性は、２月末までＮＨＫ経営委員を務めた百田尚樹氏が、６月２５日の自民党会合で「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」などの暴言を吐いたことを「沖縄県民を愚弄（ぐろう）する発言だ」と批判しました。
本田勝彦委員長代行（日本たばこ産業顧問）は、「経営委員を辞めた方の個人的見解」と回答を避けました。
右寄りの姿勢
２人目の男性は、「百田さんを任命して経営にあたっていたところをみると、ＮＨＫの放送姿勢は右寄りではないか」と追及しました。
本田氏は「ご批判のようなことはない」と答えました。
別の男性は、自民党が「クローズアップ現代」のやらせ問題などを口実に４月と５月にＮＨＫ幹部を呼びだして事情聴取したことを指摘。「放送法第３条で『（番組は）何人からも干渉又は規律されることがない』との規定に違反している」とただしました。
自民党に出向いた堂元光副会長は、「その席に行ったからといって放送事業に何か介入をされたとかいうことは一切ない」と釈明しました。
ＮＨＫの籾井勝人会長は、従軍慰安婦問題について「政府のスタンスがよく見えない中で放送するのが妥当か慎重に考えなければならない」（今年２月の会見）などの発言を繰り返しています。
籾井会長の罷免を求めた男性は、２月まで経営委員長代行を務めた上村達男氏が一貫して会長の資質を問題視していることを指摘。「会長に対する経営委員会と監査委員会の監視機能を強化しなければ、ハイヤーの公私混同問題などがまた起こる」とただしました。
監査委員も務める上田良一委員（三菱商事元副社長）は、「再発防止策を着実に遂行するよう執行部に申し入れをしている」と答えました。
戦争法案に対するＮＨＫの報道姿勢に多くの批判が出ました。
ある男性は「国会周辺では反対する大々的なデモが起きているのに、ＮＨＫは一部しか取り上げない。政府寄りの報道ではなく、国民目線に立って報道して」と要望。
別の男性は、政府が戦争法案を強行成立させようとしていることを「暴挙だ」と批判し、「今こそＮＨＫが正しい能力を発揮してほしい」と訴えました。
不公正な編集
６月２０日放送の「ニュース７」を批判した男性もいました。戦争法案への地方議会の意見書について、３議会の「賛成」と５３議会の「慎重」の議員の映像だけを流し、１８１議会の「反対」の立場を無視したことを挙げ、「『公平公正』の放送法に違反している」と批判しました。
森永公紀理事は、「大変多くのご意見をいただいた。反対の立場が落ちていた」と回答。「語る会」終了後、報道陣に改めて問われ、「意図的ではない」と釈明しました。
最後に発言をした男性は、「私は８４歳。戦争体験者はみんな戦争は絶対嫌。安倍政権のままでいったら必ず戦争になる。少数意見も取り上げるのが本当の民主主義」と力説しました。森永氏は「安保法制など国論を大きく分ける問題は多くの観点から論点を明らかにする」と述べるだけでした。
( ２０１５年０７月２２日，「赤旗」)
２０
「反ファシズム勝利７０年」展示／「両国民の交流が大事」／中国抗日戦争記念館
北京市郊外にある中国人民抗日戦争記念館で始まった「世界反ファシズム戦争勝利７０年」を記念する展示に、多くの学生や市民らが詰め掛けています。記念館の羅存康副館長は「ぜひ多くの日本人にも来てほしい」と語っています。
（北京＝小林拓也 写真も）
記念館は、日本の中国への本格的侵略のきっかけとなった盧溝橋事件（１９３７年）の現場近くに、８７年に建てられました。事件から７８年となった７月７日、準備のため半年間の休館を経て再オープン。大型展示「偉大な勝利、歴史への貢献」が開幕しました。
７日午後には、習近平国家主席や李克強首相ら、中国共産党の最高指導部である政治局常務委員７人全員が参観。一般開放初日の８日には約７８００人が入館し、大盛況となりました。
１５００点以上が初公開
展示の総面積は６７００平方㍍。１１７０枚の写真と２８３４点の当時の銃や手紙などの文物が展示されています。休館前の２倍以上に増え、うち１５００点以上の文物は初公開。多くが、中国各地の民間の収集家や元兵士の家族らからの寄付だといいます。
とくに目を引くのは日本軍の侵略行為の展示です。日本軍の無差別爆撃の写真や細菌兵器の展示などに多くの人が見入っていました。戦時中、日本に強制的に連行され炭鉱などで過酷な労働を強いられた「強制連行」の展示は、新たに被害者の名簿や写真などが大きく飾られ、内容が充実しました。
展示の最後の部分では、「近年、日本の右翼勢力は、靖国神社参拝や歴史教科書、『慰安婦』などの問題で間違った行動を繰り返している」と批判。一方で、日本の友好団体などから寄せられた平和を求めるメッセージも飾られ、日中友好を強調しています。
湖北省武漢市から来た劉興策さん（８０）は、「当時の日本軍の罪が具体的に分かった。若い人たちに、歴史を忘れず、いまの幸福な暮らしを大事にするよう伝えたい」と感想を語りました。
北京で法律関係の仕事をしている方鴻博さん（２８）は友人と見学。「日中の間には良くない記憶があるが、避けてはいけない。日中の国民が交流することが大事だと改めて感じた」と話しました。
反日目的ではない
羅副館長は、「展示は歴史をしっかり記憶し、悲劇を二度と繰り返してはいけないということを伝えるのが目的だ。その中で、中国人民が人類平和のために貢献したことを紹介している。日本への抗議や反日では決してない」と強調。「日本には中国とは考えが違う人もいる。そういう人こそ記念館を参観し、私たちと意見交換してほしい。私たちは民間交流を重視している」と語っています。
( ２０１５年０７月２０日，「赤旗」)
「慰安婦」の事実否定
自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」（委員長・中曽根弘文元外相）は１７日、党本部で会合を開き、歴史認識に関する対外発信の強化などを政府に求める提言案をまとめました。党内手続きを経て、近く政府に提出します。
提言案では、旧日本軍による｢慰安婦｣の「強制連行」は事実に基づかず、実際にはなかったなどと主張しています。
「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録をめぐる日韓の対立にも触れ、当時の徴用政策は日本人にも適用されていたため、「強制労働」には当たらないと主張しました。
( ２０１５年０７月１９日，
「慰安婦」問題は包み隠して／森元首相が不見識発言／ＢＳ番組
森喜朗元首相は１７日、ＢＳ朝日の番組収録で、日本軍「慰安婦」問題について「戦争の悲劇は世界中どこにでもある。肯定しているわけではないが、そっと包み隠していく方が進む道として良いのではないか」と述べました。
「慰安婦」問題は旧日本軍による重大な戦争犯罪であり、この問題にどう臨むかは世界から注視されています。日本政府も「河野談話」で、日本軍の関与を認め、おわびと反省を表明しています。森氏の発言は元首相の発言としてあまりに不見識です。韓国をはじめ世界から批判を招くものです。
( ２０１５年０７月１８日，「赤旗」)
侵略の反省明記を／「７０年談話」で文書／平和遺族会
平和遺族会全国連絡会はこのほど、「戦没者遺族は戦後７０年談話に対して訴える」文書を安倍晋三首相あてに送付しました。
文書では「再び遺族をつくらない、再び被害者にも加害者にもならない」と誓い、同会を結成した遺族にとって戦争法案は「許しがたい｣と批判｡首相が発表する戦後７０年談話に①侵略戦争や植民地支配を反省・謝罪し､｢従軍慰安婦」に対する旧日本軍の関与を認め、謝罪し、補償問題に取り組む②戦争法案を取り下げ、日本の平和は武力によらない非核平和外交と国際社会が抱える貧困･格差の是正､民間交流の強化、経済・技術の互恵的関係の発展で築く―と表明するよう求めています。
( ２０１５年０７月１２日，「赤旗」)
背表紙／『ぼくらの民主主義なんだぜ』……多彩な言論から問い直す
作家の高橋源一郎氏が「朝日」で月１回執筆している論壇時評が１冊の本になりました。『ぼくらの民主主義なんだぜ』（朝日新聞出版・７８０円）です。収録しているのは執筆を始めた２０１１年４月から今年３月の分まで。
執筆開始直前に起きた東日本大震災と原発事故やＴＰＰ、ヘイト・スピーチ、自民党改憲案、日本軍「慰安婦」問題など４年間でそのときどきに問題になった論点を提示します。
論壇誌にとどまらず、ドキュメンタリー映画や舞台、ツイッターでのつぶやきと、すくいあげてきた多彩な言論から、社会のあり方を根本から問い直します。民主主義とは何か。「たくさんの、異なった意見や感覚や習慣を持った人たちが、一つの場所で一緒にやっていくためのシステムのこと」といいます。
異なる意見に全く耳を貸さず、白を黒といってはばからない安倍政権の構想する社会は民主主義とは相いれないこと、それに対し自分たちの手で民主主義をつくりあげようとする人々の意志をくみとる―。書き手の視点は明快です。
（子）
( ２０１５年０７月１２日，「赤旗」)
学問の自由守ろう／「学園監視」に対抗／札幌でシンポ
札幌市で８日、ネット時代のマッカーシズムともいうべきキャンパスウオッチ（学園監視）に対抗しようと、シンポジウム「狙われる学園 守ろう学問の自由」が開かれました。
キャンパスウオッチは米国で生まれたもので、自分たちの意に沿わない教員らを監視し、集中的に攻撃します。
授業で日本軍「慰安婦」問題を題材としたドキュメンタリー映画を上映したことに対して一部メディアやネットで中傷された広島大学の崔真碩（チェ・ジンソク）准教授が講演し「攻撃は歴史修正主義、嫌韓、ヘイトスピーチがからみあったもの」と指摘。理性や知性を否定し、教育をつぶそうとする動きに対して、「大学を超えた連携・連帯で立ち向かうことが必要だ」と語りました。
「ねつ造記者」とバッシングされている元朝日新聞記者の植村隆・北星学園大学非常勤講師、道立高校で弁護士を招いて憲法の授業をしたら道議会で「問題だ」と取り上げられた川原茂雄教諭らが、攻撃の不当性とそれに屈せず声をあげる決意を語りました。
司会を務めた北海道大学の姉崎洋一特任教授は「声を出すことに勇気が必要な時代になっている。つながりを大事にがんばっていこう」とのべました。
(２０１５年０７月１１日，「赤旗」)
日韓・韓日議連が合同総会開く／村山・河野談話の立場再確認
日韓・韓日議員連盟の第３８回合同総会が１０日に都内で開かれ、日本側が「河野談話」や「村山談話」など歴代政権の立場を継承していくことを再確認し、「両国議員連盟は、河野談話、村山談話の精神にふさわしい行動をとる」などとした共同声明を全会一致で採択しました。
「慰安婦」問題の当事者たちの名誉回復と心の痛みを癒すことができるような措置を、早急に講じるよう努力することも盛り込みました。
総会には両国の国会議員約１５０人が出席。開会式や分科会、晩さん会などに日本共産党からは市田忠義副委員長、小池晃副委員長、穀田恵二国対委員長、笠井亮衆院議員らが参加し、韓日議員連盟の徐淸源（ソ・チョンウォン）会長ら韓日議連の議員とあいさつを交わしました。
共同声明では、両国議員連盟は安倍首相の「戦後７０年談話」に歴代政権の立場が反映され、相互信頼に基づいて２１世紀のパートナーシップ関係を深めるよう努力することにも合意。日本国内の「ヘイトスピーチ」を防止する方策を模索するとしました。
開会あいさつで日韓議員連盟の額賀福志郎会長は「日韓・韓日議員連盟が両国の友好協力関係の発展に寄与するよう皆様の協力をお願いしたい」とよびかけ、徐会長は「両国の国交正常化５０周年に開催される今回の合同総会が、韓日関係の修復と新しい次元の協力を図っていく上で大変重要なモメンタム（勢い）になると思います」と語りました。
開会式には大島理森衆院議長、山崎正昭参院議長が来賓として出席しました。
( ２０１５年０７月１１日，「赤旗」)
日韓関係改善目指す／両国駐米大使
【ワシントン＝時事】日韓両国の駐米大使が８日、ワシントンで開かれたシンクタンク主催のシンポジウムに出席し、冷え込んだ日韓関係の改善を目指す姿勢をそろって示しました。
佐々江賢一郎大使は「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録が実現したことに触れて「最も重要なのは日韓両国が話し合い、合意に達したことだ」と述べ、両国が妥協点を見いだしたことを前向きに捉えるべきだと指摘。その上で、いわゆる従軍慰安婦問題について「（両政府間で）真剣な話し合いが進んでいる。将来、合意に達することを望んでいる」と語りました。
韓国の安豪栄大使も「（日韓国交正常化５０周年に当たる）６月２２日は前向きな雰囲気で通過した。（世界遺産をめぐる）合意の精神を他の全ての課題に生かすべきだ」と強調しました。
両大使と共にシンポジウムに出席したソン・キム米国務副次官補は「３人が一緒にステージに立ったことは意義深い」と述べ、日韓関係改善に期待を示しました。
( ２０１５年０７月１０日，「赤旗」)
韓国外相が歴史認識継承を求める
【ソウル＝時事】韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相は９日、ソウルで記者会見し、安倍晋三首相が夏に発表する戦後７０年談話について「（日韓国交正常化の）１９６５年以来、両国関係を支えた歴史認識を後退させるのではなく、過去の首相の認識をそのまま継承し、未来志向で進めることを示してほしい」と述べました。
ただ、「どんな内容が盛り込まれれば期待に沿うのかは、日本政府自らが分かっていると思う」と、具体的文言への言及は避けました。
尹氏は「難しい交渉を首脳に任せるのは良いことではない」として、日韓首脳会談の前に慰安婦問題などを実務レベルで進展させるべきだとの基本的立場を表明。その一方、「懸案があるとき、結局は首脳が決断しなければならない場合も多い」と語り、首脳同士で政治決着を図る可能性にも含みを残しました。
日中韓首脳会談に関しては「今年下半期に開催される可能性が相当高い」と指摘。「首脳らが会えば、いろいろな形で対話できる状況が生じ得る」と述べ、その機会に日韓首脳会談も行えるとの認識を示唆しました。
「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録をめぐり、日本代表の発言の解釈に日韓で食い違いが出ていることに関しては「英文を読めば解釈は火を見るより明らかで、議論の余地はない」と自信を示しました。
( ２０１５年０７月１０日，「赤旗」)
１０
芸能テレビ／「〝記憶〟と生きる」／監督土井敏邦さん／日本軍「慰安婦」の戦後、等身大の証言
ドキュメンタリー映画／彼女たちの人生埋もれさせない
戦後７０年、韓国の元日本軍「慰安婦」を記録した映画「〝記憶〟と生きる」（土井敏邦監督）が４日、公開されます。撮影から２０年。その証言を通じ戦争を問い直します。
山本長春記者
「悲惨な戦争体験が人生に影を落とし続け、一生苦しませているという事実に怒りと悲しみが押し寄せてきました」（２０代女性）。６月、東京都内での完成披露上映会は、２００人を超える参加者で満員でした。
映画は２部構成で３時間半以上の長編。第１部は、ソウルの「ナヌム（分かち合い）の家」で共同生活を送る７人の元「慰安婦」、ハルモニ（おばあさん）の記録です。世話好きの女性、結婚せず孤独だった女性…。性格も境遇も違いながら共に日本政府に謝罪・補償を求め、時にけんかもする日常に密着しました。
金順徳(キム・スンドク）さんは１７歳の時、日本で働けるとだまされ、上海や南京で４年間「慰安婦」にされました。その事実を息子にも隠してきましたが、日本側からの「慰安婦たちは金目当て」という中傷に怒り、名乗りでました。
土井監督は１９９４年１２月から約２年間、ナヌムの家に通いました。撮影した百数時間の映像の一部は９５年、ＮＨＫのＥＴＶ特集で紹介されました。今回、映画公開に踏み切ったのは、橋下徹大阪市長の「慰安婦制度は必要だった」発言（１３年）に危機感を深めたからです。
「彼女たちの証言を今世に出さないと、永遠に埋もれてしまう。『慰安婦』問題は集団で捉えられがちですが、一人ひとりに人生がある。等身大の彼女たち、その〝記憶〟に耳を傾けてほしい」
第２部は、ハルモニたちのリーダー的存在だった姜徳景（カン・ドクキョン）さんの特集です。１５歳で「女子挺身（ていしん）隊」として富山県の工場に動員されました。２度逃亡して捕まり日本で「慰安婦」にされ妊娠。帰国後出産した子は釜山の孤児院に預けますが病死―。
「日本政府は…大きな罪を犯したのだから罰を受けるよ」と訴え続けた姜さん。その体験を絵にして大きな反響をよびました。肺がんに冒され９７年他界。６８歳でした。
「『慰安婦』問題は戦争中の話だけではありません。ハルモニたちは、戦後も重荷を背負って生きてきました。それを伝えるのは、ジャーナリストの役割です」と監督。
「女たちの戦争と平和資料館」の池田恵理子館長は「アジア･太平洋戦争で､日本はアジアの人たちに大きな被害を与えました。中学の歴史教科書から『慰安婦』が消されていっている今、この映画公開は大きな意味があります」と語ります。
＊４日から東京・渋谷アップリンクで公開、順次全国で。２１５分
どい・としくに＝１９５３年生まれ。「沈黙を破る」「異国に生きる―日本の中のビルマ人―」など
(２０１５年０７月０５日，「赤旗」)
ニコン「慰安婦」写真展中止事件裁判／弁護士、ニコン裁判弁護団李春熙さん／フォトジャーナリスト樋口健二さん
弁護士、ニコン裁判弁護団李春熙さん／不当な攻撃に屈するのは誤り
ヘイトスピーチを繰り返す「在日特権を許さない市民の会」（在特会）や、ネット右翼から攻撃されると、企業や自治体が萎縮して施設を貸さないという事例が増えています。ニコンも彼らの攻撃に萎縮し、自らの企業防衛を考えたのではないでしょうか。抗議を受けると安さんに相談せず、２４時間以内という短時間で写真展中止を決定したのはその証拠です。ニコンのおかした過ちは正されなければなりません。
本来ならニコンは安さんとともに表現の自由の抑圧者に立ち向かうべきです。
排外主義的な攻撃があったからという理由で会場提供が中止になっても、写真家や表現者がだれでも訴訟をやれるわけではありません。
この裁判でいい結果を出して、こんな不合理な息苦しい状況を押し戻したい。
フォトジャーナリスト樋口健二さん／ドキュメンタリー写真の本流
ドキュメンタリー写真とは時代を表現するものであり、当然、政治性、社会性をもつものです。「政治的な写真展に会場を貸せない」というニコンの主張はドキュメンタリー写真の否定です。これでどうして「ニコンサロンの目的は写真文化の向上です」などと言えるのでしょうか。
安さんの朝鮮人日本軍「慰安婦」の写真は、日本という国家が隠したいおぞましい出来事の被害者を訪ね、写真と証言でおばあさんたちになりかわって訴えたものです。
私は弱者に寄り添うことこそドキュメンタリーの本流だと思う。その意味で安さんの写真はすばらしいドキュメンタリー写真です。
(２０１５年０７月０５日，「赤旗」)
ニコン「慰安婦」写真展中止事件裁判／原告、韓国人写真家安世鴻さん／表現の自由、萎縮させない
被写体も観客も被害者
日本軍「慰安婦」を題材にした写真展が、会場を運営するニコン（東京都港区）によって突然、中止させられたのは許せない―。韓国人写真家・安世鴻（アン・セホン）さんがニコンに損害賠償や謝罪広告を求めた裁判が結審（６月５日）しました。原告の思いは。
神田晴雄記者
結審の日、東京地裁は判決（１０月３０日）に向け、和解協議を提案しましたが、予断を許しません。私はニコンに公開謝罪、損害賠償、再発防止策を求めてきました。これは譲れません。
写真展が中止になるということは表現する側（写真家）だけの被害ではなく、被写体―この場合は「慰安婦」被害女性や、写真を見ようと思っていた観客も被害を受けます。三者の自由が侵されるということです。
和解によってニコンが間違いを認め、表現の自由のために共に頑張っていこうという立場に立ってほしいと思っています。
私の写真を見れば、「慰安婦」被害女性が７０年前の少女時代に受けた、今でも忘れることのできない苦痛を知ることができます。写真展には、戦争弱者である女性が苦痛を受けてはいけないというメッセージを込めました。
被害者のおばあさんたちは「自分に降りかかった痛みがほかの人にも起きなければいいな」とおっしゃいます。同じ痛みを繰り返さない、戦争を再び起こさないというメッセージにつながります。
日本の若い人は、社会問題について自分の考えを持っていてもそれを内に隠して温めている人が多いようです。それをもっと外に出して実践することが大事ではないでしょうか。私の写真展がその実践に向けた土台になればと思います。
ニコン「慰安婦」写真展中止事件
安世鴻さんが２０１２年、日本軍「慰安婦」のおばあさんたちを撮影し写真展を開こうとしていたところ、直前にニコンから会場＝新宿ニコンサロンの提供を断られました。
※ニコン「慰安婦」写真展中止事件裁判支援の会ホームページ＝http://oshietenikon.net
１９７１年、韓国・江原道生まれ。日、韓、米など各地で写真展や講演会を開催。著書に『重重 中国に残された朝鮮人日本軍「慰安婦」の物語』（大月書店）
(２０１５年０７月０５日，「赤旗」)
補償と謝罪求め元「慰安婦」訴え／在米大使館前集会
【ワシントン＝時事】米ワシントンの日本大使館前で１日、韓国人元従軍慰安婦の金福童さん（８９）も参加し、いわゆる慰安婦問題をめぐる日本政府の対応に抗議する集会が開かれました。関係者によると、元慰安婦が在米日本大使館前の集会に加わったのは初めて。
集会はソウルの日本大使館前で毎週行われている会合に倣って「水曜デモ」と名付けられ、支援者を含め約５０人が参加。金さんは「私が韓国からはるばるやって来たのは、日本政府が補償と公式の謝罪をしていないからだ。私が死ぬ前に解決してほしいと心から願っている」と語りました。
( ２０１５年０７月０３日，「赤旗」)
歴史の真実伝えたい／学んで侵略美化「ノー」の意思表示／母親らが「教科書カフェ」／名古屋
戦争する国づくりの教科書を子どもに渡したくない―。名古屋市の新日本婦人の会は、「教科書カフェ」で侵略美化の中学校歴史教科書が採択される危険性を学びあい、期日が迫る教科書展示会（５日まで）でノーの声を届けようと急ピッチです。
（吉岡淳一）
新婦人緑支部が６月２５日に団地集会所で開いたカフェには子連れママ、おばあちゃん世代の８人が参加。子どもが駆け回るなか、元中学教師から、教科書採択の現状を聞きました。
実物チェック
そのあと、近隣図書館の教科書展示会へ６人で直行。８畳ほどの別室に案内され、教科書の山の中から育鵬社版歴史・公民を探します。
「東日本大震災で日本人は我慢したと書いてあるのは変」「主要政党っていうけど、何で自民、公明、民主、維新しか載ってないの？」―。わいわい意見を言いながら「育鵬社と自由社はダメ」と感想用紙に書き込みました。
前回採択時、展示会で賛否が割れたものは教科書にふさわしくないとされ、育鵬社などは不採択になりました。相手を上回る感想を出さないと採択の口実を与えてしまうので、母親たちは懸命です。
３歳と小２の子がいる伊藤育美さんは「戦中や３・１１を引き合いに出し、日本人は我慢強く勤勉な民族であることを強調しているのはおかしい。子どもに歴史の真実を伝え、自分の頭で考えることができる教科書を選んでほしい」と話します。
福島原発事故後、名古屋に避難した三原香奈子さんは、夫を千葉に残し小３の子と緑区内で暮らしています。「原発事故が少ししか載ってない。子どもたちの命をかえりみない日本政府と教科書出版社とのつながりがぬぐえない」と、感想用紙に思いをぶつけました。
名古屋市教委は、２３日から８月５日の間に採択を予定。緑支部は、その前に市教委へ要請もしようと準備中です。
戦争法案一体
教科書採択は子育て世代だけの問題ではないと、多くの市民が立ち上がっています。
新婦人北支部のカフェには、祖母世代や教職員、若い男性ら３５人が参加。支部長の津田由紀さんは「みなさんの関心の高さを感じる。侵略美化教科書といわれても実物を読んだ人は少なく、内容を学んだ上で展示会に行こうと思い開いた」といいます。
名古屋大学大学院の石井拓児准教授が講演。「かつて『教育勅語』と『修身（戦中の道徳）』によって国民を侵略戦争に駆りだしたが、全く同じ動きが安倍政権のもとで進行している」と指摘。侵略美化教科書採択、戦争法案、道徳教科化は一体だと警鐘を鳴らしました。
「孫のためにこんな教科書は認められない」という女性（７７）は、「アウシュビッツ強制収容所、南京大虐殺記念館も訪問したが、日本軍が朝鮮人を拷問・処刑した韓国の刑務所跡を見たときが一番衝撃を受けた。安倍首相は侵略を否定しているが自分の目で見てほしい」と語気を強めます。
新婦人県本部の佐々木ゆかりさんは、市教委主催の教科書シンポに参加し、「慰安婦」や南京大虐殺を否定する河村市長が本気で育鵬社の教科書を採択させるつもりだと感じたといいます。「子どもたちの未来が心配でたまりません。自由社、育鵬社の教科書を使えば、自ら国家に身をささげるような軍国少年になってしまう。日本の民主主義を守るためにも、教科書展示会で意見を出してほしい」
(２０１５年０７月０２日，「赤旗」)
言論弾圧／沖縄侮辱／許さない、負けない／緊急集会各氏の発言
自民党議員らの勉強会での言論弾圧発言に抗議するために６月３０日、国会内で開かれた「言論の弾圧を許すな！ 怒りの緊急集会」での各氏の発言要旨を紹介します。
沖縄の状況にゆがみ／琉球新報東京支社報道部長島洋子さん
自民党の会合で沖縄の２紙が「ゆがんでいる」といわれました。面積で日本の０・６％の小さな島に米軍専用施設の７３・８％があり、駐留米国軍人が事件・事故を起こしても日米地位協定によって被害者の権利まで奪われるという沖縄の状況がゆがんでいるのです。
私たちはその矛盾をつくために仕事をしています。圧倒的に大きな日本政府と南の端っこにある小さな沖縄県の利害が米軍基地をはさんで対立している。やはり、沖縄県民の側に寄った報道をしていくことが地元紙である私たちの仕事なのです。
「（地元紙は）偏向している」「県民をあおっている」というのは、沖縄の人たちが判断能力がなくて新聞の意見をうのみにしていると言っている気がします。まさにレッテル貼りで、政権党の若い議員さんは沖縄の人たちにたいして失礼です。
これからも沖縄の地元紙として、政府寄りではなく、沖縄に「偏向」した報道をしていきたい。
政権の本音露呈した／沖縄タイムス東京支社報道部長宮城栄作さん
（問題の）発言は、安倍政権の底流にある本音があけすけになったとみるべきです。
沖縄タイムスは当初から基地被害を強く告発していたわけではありません。米軍の理不尽な事件・事故に怒る住民の背中に押され不条理を告発できるようになりました。復帰前からほとんど変わらないような（沖縄の）現実が厳しい論調へと鍛え上げたのです。
辺野古新基地建設で沖縄の民意が意のままにならず、世論形成に多少なりとも影響している地元２紙は彼らからすると憎むべき存在です。でも、われわれの報道は、県民世論に突き動かされたものです。
政府の言うことを聞かない報道を〝偏向〟と呼ぶのなら呼んだらいい。どこに軸をおくかで偏りは違ってきます。沖縄に軸足を置けば、安倍政権の考え方こそが偏向といわざるをえない。今後とも、われわれの軸を大事にして報道を続けたい。
不埒な発言、歯止めを／武蔵大学教授永田浩三さん
報道に対して「偏向」という言葉が最近よく使われますが、私はＮＨＫ時代の２００１年に、日本軍従軍「慰安婦」を扱った「ＥＴＶ特集」をめぐり、「偏向プロデューサー」の烙印を押されました。内容が問題だとしてＮＨＫ幹部を呼び付けて改編させたのが、当時の官房副長官・安倍晋三氏（現首相）でした。ＮＨＫはその後、総理となったその人に屈してしまった。この間まで経営委員だった百田氏は安倍氏の〝盟友〟の一人です。
自民党の不埒な議員たちの発言は油断ならんと思います。昨年も自民党からテレビ局にさまざまな要請がされましたが、今回の件もその一連であり、手を緩めるわけにはいきません。これ以上ひどくなる前に歯止めをかけなければなりません。
危険で水準低い議員／新聞労連委員長新崎盛吾さん
今回のことをきっかけに二つの良いことがあったと思います。
一つは安倍政権を支える議員のレベルがここまで低いということを世の中にアピールしたこと。彼らは憲法も言論・表現の自由もまったく理解していません。もう一つは、ようやくメディアが「萎縮の壁」を破って声をあげ始めたこと。「朝日」「毎日」「東京」、そして「読売」までが社説をかかげ、保守的とされてきた各地の地方紙も危機感を持って声明を出しています。
危険な、視野の狭い自民党の議員たちが戦争法案、沖縄の新基地建設をすすめています。私たち新聞業界は幅広い視野で、さまざまな意見をしっかり世の中に伝えることで、そういう政権とたたかっていきたい。
ひるまずたたかおう／出版労連中央執行委員樋口聡さん
出版労連、そして出版社の活動のよりどころは、憲法２１条にうたわれている言論・出版・表現の自由です。民主主義の根幹である権力にたいする批判の自由をないがしろにする事件が自民党本部で起きたと考えています。
百田氏の発言は、「冗談」、「いや本気」、「冗談」と二転三転し、作家の言動としてあまりにも軽い。その背景には、国会で安倍政権が成立をめざす戦争法案の違憲性があらわになり、日増しに反対の世論が高まっていることへのあせりといら立ちがあると思います。
「戦争で最初に犠牲になるのは真実」の言葉が示すように、戦争と表現の自由は相いれません。政権与党の言論弾圧にひるむことなく、みなさんとともにたたかっていきたい。
国民の側に立ち報道／民放労連書記次長岩崎貞明さん
「メディアへの広告を自粛せよ」とは、５０年以上前から自民党がとってきた手法です。１９６２年に、ＲＫＢ毎日の「ひとりっ子」（自衛隊と憲法の矛盾を突くドラマ）の放送が、東芝がスポンサーを降りて中止になりました。背景には、右翼や自民党の圧力があったといいますが、こうした圧力を民放労連は決して許さない。
一番悪いのはこういう言動をする自民党議員ですが、もう一歩メディアにがんばってほしいのは、政治家からの圧力をちゃんと報道すればいいということです。安倍さんと食事をしていると後ろめたいのでしょうが、メディアは国民の側に立って、今回の法案や安倍さんが何をやろうとしているのか、毅然と報道してほしい。
( ２０１５年０７月０２日，「赤旗」)
韓国外相「懸案進展なら首脳会談」
【ソウル＝時事】韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相は１日の国会答弁で、日韓関係に関して「さまざまな懸案が進展すれば、首脳会談を行う環境が成熟するだろう」と述べました。従軍慰安婦問題などを念頭に、日韓首脳会談を行うには、日本の前向きな姿勢が必要だとの基本的な立場を強調したものです。
尹氏は同時に、「年内の韓日中首脳会談を議長国として推進しており、いろいろな（懸案の）進展と合わせ、その機会も見守る必要がある」と指摘。日中韓首脳会談の機会を利用した日韓首脳会談も視野に、懸案の進展を促していく考えを示しました。
また、慰安婦問題に関し「日本政府が河野洋平官房長官談話をどう強調し続けていくかに関心を持っている」と語りました。旧日本軍の関与を認めて謝罪した河野談話を明確に継承することが、解決の前提になるとの認識を示したものとみられます。
( ２０１５年０７月０２日，「赤旗」)
党派超え戦争法案反対／初めての共同行動／「平和外交こそ大事」／静岡・磐田
静岡県磐田市で６月２８日、戦争法案に反対する市民実行委員会がＪＲ磐田駅前と商業施設前で街頭宣伝を行い、３０人余が参加しました。
同会は、野沢正利・日本共産党元市議、寺田伊勢男・社民党元県議が呼びかけ人となり、党派や諸団体の垣根をこえて組織している団体です。同市で党派をこえた共同行動は初めてです。
野沢、寺田の両氏と共産党市議団（３人）、社民党市代表者らがマイクを握り、「武力でなく対話による平和外交こそが大事。日本が再び戦争に向かわないように共同して、憲法違反の法案を廃案に追い込みましょう」と訴えました。
４日午後２時から国分寺公園でおこなう法案反対の集会と平和行進のビラを配布。「頑張ってください」との買い物にきた女性の声援、じっと止まって見入る男性など注目を集めました。
通りがかりにビラを受け取った男性（２５）は「日本は過去の侵略戦争で市民の虐殺や女性を慰安婦にした。それを隠したり、なかったことにしようとしたりしている今の政府は信用できない。もう戦争なんかしないでほしい」と話していました。
(２０１５年０７月０１日，「赤旗」)
（６月）ヘッドライン
テレビ時評／「慰安婦」問題、本格的番組を／元ＮＨＫディレクター戸崎賢二
ひと／日本軍「慰安婦」の記録映画をつくる中国人監督班忠義さん（５７）
おはようニュース問答／日韓条約締結、国交正常化から５０年だね
誤った歴史認識怖い／教科書展示会に参加／各地の新婦人／徳島／佐賀
慰安婦問題早期解決を／韓国大統領
「慰安婦」問題／国連弁務官「蛮行放置できぬ」／日本に対応要求
〝日中韓首脳会談の際に日韓も〟
子どもに明るい未来を／静岡県母親大会に１５００人
バッシングに反論／グリーン九条の会、植村氏迎え講演会／札幌
近づく日本母親大会／８月１・２日、神戸市中心に開催／世代超え平和の願い結集
日韓首脳会談へ意欲
韓国・朴大統領「歴史問題解決を」
慰安婦問題の協議継続／世界遺産登録へ協力／日韓外相
日韓国交正常化５０年／慶北大学法学専門大学院教授金昌禄さんに聞く／新たな法的枠組みが必要
日韓国交正常化５０年／不法な植民地支配、日本が認めてこそ／過去を直視、和解・友好の関係へ
主張／日韓国交５０年／真の和解と友好への転機に
本立て／日本人「慰安婦」／「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター編
文化／ドキュメンタリー映画「沖縄うりずんの雨」監督ジャン・ユンカーマンさん／沖縄の草の根の力に明るい希望感じた
元朝日記者が講演会
韓国外相２１日に４年ぶり来日
韓国外相〝慰安婦問題、妥結見えず〟
「慰安婦」問題で安倍政権を批判／福井・新婦人学習会
二度と起こらぬように／戦争伝えるドキュメント制作／名古屋・同朋高校放送部
戦争法案／市長は反対表明を／鳥海議員迫る／さいたま市議会
「歴史キャンプ」／中高生など募集／日中韓来月３１日から
本立て／知っていますか？日本の戦争／久保田貢著
民主主義と公民館考える／「九条俳句」問題で市民の集い／さいたま
「慰安婦」問題・戦後補償、もっと知りたい／締結５０年日韓条約学び、未来切り開く／韓国・仁川の学生
韓国外相訪日は継続協議に
戦争ＮＯ／母親大会各地で／宮崎・貧困と格差が学力に影響／高知市・隣国との関係改善し平和に
日本の戦争実態伝える／京都で写真展開催中
潮流
「慰安婦」問題解決を／日韓歴史問題、学者ら２８１人が声明
戦争法案阻止へ共同／県民組織結成へ準備会／山形
「慰安婦」記念館開館へ／台湾
菅長官「取りやめを」
「慰安婦」ネット／謝罪求めて宣伝／広島
韓国大統領、日韓関係正常化へ「努力したい」
「慰安婦」問題、歴史家の声明／資料に基づく事実指摘／米韓から共鳴
６月（本文）
３０
テレビ時評／「慰安婦」問題、本格的番組を／元ＮＨＫディレクター戸崎賢二
ＮＨＫスペシャル「戦後７０年ニッポンの肖像」は、６月に戦後外交の歴史を３回シリーズで放送した。
そのうち第１回の「信頼回復への道」（６月１９日）が注目を集めた。アジア諸国への賠償など、戦争責任にかかわる外交の歴史をたどる番組の中で、２００１年の番組改変事件以来、１４年間放送されなかった日本軍「慰安婦」に関する内容が含まれていたからだ。
「慰安婦」部分の構成は次の通りである。
「慰安婦」とされた韓国のキム・ハクスンさんの記者会見、日本政府の聞き取り調査から河野談話、村山談話に至る歴史、アジア女性基金の設立とそれに対する反発の動きなど韓国での経過をたどった部分が約８分、続いて、女性基金がきっかけだという位置づけで、オランダの戦争被害者や元「慰安婦」と日本政府との和解が進んだとする部分が８分、計およそ１６分であった。
分かれる評価
この１６分について、「慰安婦」問題に取り組んできた人びとからすれば、大戦中誰がこの性奴隷制を作ったのか、その責任者についての言及がなく、また、アジア女性基金が国家の責任をあいまいにし、その後の補償要求の運動を阻んだことの検証も弱い、といった批判はありうるだろう。
この不足感は筆者も共有するが、一方で別の見方も必要と思う。
ＮＨＫ現会長は、就任時、「慰安婦」は公娼（こうしょう）と同じ、とも取れる主張を展開した。今年１月の国際放送審議会では「河野談話は政府の方針ではない」と発言している。この会長の側近が理事として放送全体を統括している中で、番組は、被害者の会見やオランダ女性が日本軍に連行された事実を伝えた。少なくとも会長や右翼政治家の「慰安婦」バッシングの主張には一切顧慮していない。これはＮＨＫの局内事情のなかではぎりぎりの努力の結果と見てよいだろう。
本来、番組批評は放送されたものだけを対象とすべきであって、局内事情などへの配慮は不要である。しかし、ことこのテーマに限っては、ＮＨＫの歴史的事情のうえで考えざるをえない。それは現在のＮＨＫがいかに異常な状況であるかということでもある。
ＮＨＫの使命
視聴者としては、この番組を一つのステップとして、「慰安婦」問題の本格的な番組を今すぐ企画、制作せよと強く要請すべきであろう。
「慰安婦」問題は決して歴史の一ページではない。現在の喫緊の問題である。生存する被害者はもはやわずかであり、状況は切迫している。
日本人の多くは、アジア諸国の被害者を無関心という形で放置してきた。その原因の一つは、この問題をタブー視してきたメディア、なかんずく公共放送ＮＨＫの姿勢であり、その罪は限りなく深い。
巨大ドラマに億単位の予算を投入するのであれば、一方でこの事実に迫る大規模な調査報道も可能であり、制作者の能力にも不足はないはずだ。
大戦中、日本が行った歴史上例を見ない大規模な性奴隷制の事実に迫ることは、日本人の道義として本来欠かせないことであり、それは日本の公共放送の国際的使命でもある。
（とざき・けんじ）
( ２０１５年０６月３０日，「赤旗」)
ひと／日本軍「慰安婦」の記録映画をつくる中国人監督班忠義さん（５７）
日本軍「慰安婦」をテーマにした３作目のドキュメンタリーを制作中。「チョンおばさんのクニ」「ガイサンシーとその姉妹たち」に続く「太陽がほしい」です。題名は中国山西省で真っ暗なヤオトン（地中の住居）で性暴力を受けた女性の声からとりました。
「原点は戦争世代とのつながりです」。１９５８年、遼寧省撫順市生まれ。日本があやつる「満州国」成立前から、南満州鉄道が経営する産炭地として日本が支配した町でした。「父母から聞かされたのは日本軍の残酷さと日本人のまじめさでした。私にとって日本は世界のどこより近い国。暗くて明るい国でした」
戦後、帰国できなかった日本人が市内や周辺の村に住んでいました。中学生のとき日本語を教えてくれたのは「満蒙開拓団」員だった中国名「曽おばさん」。後に日本留学を支えてくれたのも日本人でした。
９２年、元「慰安婦」、万愛花さんと出会い、聞き取り調査を始めました。インタビューした被害者は８０人。加害側の元日本軍人も取材し、収録した映像は４００時間にのぼります。
「日本軍の性暴力は、日本の裁判所も認めた不動の事実です。それがひっくり返されようとしています。話してくれた被害者はほとんど亡くなりました。証言を日本と中国の人々に共有してほしい」
広島県内の自宅で膨大な映像の編集作業。７月の完成をめざして東京との往復が続きます。
文 山田 俊英
( ２０１５年０６月３０日，「赤旗」)
おはようニュース問答／日韓条約締結、国交正常化から５０年だね
みどり あー、また韓国行きたいな。
のぼる 先月も行ったよね。よく飽きないね。
みどり 毎回、新しい出会いがあるから飽きないよ。今年は日韓国交正常化５０年で、市民が参加できる交流行事もあるし。
５００万人が行き来
のぼる 日韓条約が結ばれたのは１９６５年６月２２日だったね。当初は、両国を行き来する人は１万人ほどだったらしいけど、いまは５００万人を超えている。市民の交流は盛んになったね。
みどり ２２日は、韓国外相が安倍首相を表敬訪問した。ここ数年行われていない首脳会談が開かれるきっかけになってくれるといいけれど。政治が冷え込んでいる要因は歴史認識の問題だね。
のぼる そもそも日本が、朝鮮半島の植民地支配に対して無反省だというのが問題だ。戦争直後から日本政府は、１９１０年に大韓帝国と結んだ韓国併合条約を不法なものと認めていなかった。日韓条約の交渉中も、その姿勢を前提にしていた。
みどり 当時の日本側の交渉担当者は、ひどい発言をしているよ。戦前の日本の戦争を「侵略」と規定したカイロ宣言が、日本による朝鮮半島の植民地支配について奴隷状態という言葉を使ったのは、戦争で興奮していたからだとかね。
のぼる ひどいね。いまも、無反省な姿勢は変わっていない。
侵略美化の逆流
みどり そうなのよ。でも９０年代には変化もみられた。戦争被害者が、日本に謝罪と補償を求めて裁判を起こすと、日本でも解決を求める世論が高まったの。それを受けて日本政府も、９３年に河野談話を発表して「慰安婦」問題で軍の関与を認め謝罪し、９５年の村山談話では植民地支配に対する反省と謝罪をした。
のぼる ９８年には日韓の首脳が共同でパートナーシップ宣言を出したよね。そこには日本による植民地支配への反省とおわびを明記された。そのうえで両国は、過去を直視し相互理解と信頼に基づいた関係を発展させていこうと書いている。
みどり いま安倍政権は､河野談話､村山談話を見直そうとするなど、侵略戦争を美化する逆流が起きている。今年は戦後７０年でもある。この逆流を許さないたたかいで真の友好に貢献したいな。
( ２０１５年０６月２９日，「赤旗」)
誤った歴史認識怖い／教科書展示会に参加／各地の新婦人／徳島／佐賀
徳島
新日本婦人の会徳島支部は２５日、教科書展示会を訪れ、意見書の提出に取り組みました。
参加者たちは、育鵬社と自由社、その他の出版社の歴史・公民教科書を見比べました。「『聖断』などの言葉遣いが気になるね」「戦前の女性の記述が少ない」などと意見を出し合いました。
徳島市の秋山清美さん（４４）は「育鵬社の歴史教科書では、日本の戦争は正義の戦争だと、子どもが受けとめかねない。間違った歴史認識を教えられそうで怖い」と話しました。同市の角田恵美さん（５５）は「すべての教科書に『慰安婦』の記述がないのが気になる」とのべ、「育鵬社の公民教科書は、『家族の価値』が強調され、家族に責任転嫁されている気がする。非正規で働き、結婚ができない状況を見ていない」と語りました。
今年は、２０１６年度から使う中学教科書採択の年。徳島市では、７月２日まで教科書展示が行われ、意見書を提出できます。
佐賀
新日本婦人の会佐賀県佐賀支部は２５日、佐賀市内で開かれている教科書展示会に参加しました。
古川みどり事務局長は「以前、扶桑社の教科書を見たときもひどかったが今回の育鵬社の教科書はそれよりもひどい。この育鵬社の教科書を全国に１２万冊以上採択させようと、狙っていると思うと子どもたちの将来が不安になる」と話しました。
同行した佐賀中央法律事務所の東島浩幸弁護士は「育鵬社と自由社の教科書は憲法９条を変えたいという考えが前面に出ている教科書だ」と語りました。
古川事務局長は「今後の活動として間違った教育を進める育鵬社と自由社の教科書を採択させないよう、意見書などを提出することも考えたい」と決意をのべました。
(２０１５年０６月２７日，「赤旗」)
慰安婦問題早期解決を／韓国大統領
【ソウル＝時事】韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領は２５日、訪韓中のザイド・フセイン国連人権高等弁務官と会い、「慰安婦問題の解決は、韓日関係の未来志向の発展のためにも重要だ」と早期解決の必要性を訴えました。大統領府が発表しました。
大統領は、慰安婦問題について「戦時の女性人権保護の問題でもある。苦痛を覚えながら暮らしている被害者が生きているうちに、名誉と尊厳を回復させることが重要だ」と語りました。
一方、２３日に国連の北朝鮮人権事務所がソウルに開設されたことに関し、大統領は「北朝鮮の人権問題に対する国際社会の関心がかつてなく高まっている現状を活用し、人権状況の実質的改善を図っていかなければならない」と強調しました。
( ２０１５年０６月２７日，「赤旗」)
「慰安婦」問題／国連弁務官「蛮行放置できぬ」／日本に対応要求
【ソウル＝時事】ザイド・フセイン国連人権高等弁務官は２５日、訪問先のソウルで記者会見し、慰安婦問題について、「このような蛮行をそのまま放置できない」と述べ、日本政府がさらなる対応を取るよう求めました。弁務官は２４日、元慰安婦３人と面会しました。
弁務官は「性奴隷だった時、一部の女性と少女は数千回にわたり性的暴行を受け、多数の女性が命を失った」と発言。「解放後も適切な治療や支援を受けられぬまま、過去を隠して生きねばならなかった」と述べました。
その上で、「日本が取ってきた一連の意味のある措置にもかかわらず、被害者は、自らが受けた苦痛が理解されているとは感じられずにいる」と強調。「十分な措置が取られたかどうかを決められるのは被害者だけだ」と語りました。
( ２０１５年０６月２６日，「赤旗」)
〝日中韓首脳会談の際に日韓も〟
【ソウル＝時事】韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相は、聯合ニュースが２５日報じたインタビューで、年内開催を目指している日中韓首脳会談の際に日韓首脳会談を行うことを念頭に置いていることを明らかにしました。
尹氏は「韓日中の首脳が会えば、２国間の接触は自然に行われる。早く（日韓首脳会談の）環境が醸成されればいいが、時間がかかれば、それを補完する多様な努力があり得る。その一つが韓日中首脳会談だ」と指摘。慰安婦問題などで目立った進展がない段階でも、韓国が議長国を務める日中韓首脳会談の際の日韓首脳会談は可能だという認識を示唆しました。
同時に、「懸案解決の努力を強化し、関係改善を模索しなければならない時期ではないか」と強調。「懸案で互いに満足できる進展があれば、首脳会談を行える時期も早まるのではないか」と述べ、慰安婦問題を進展させ、早期に単独の首脳会談を行うことが望ましいという基本的立場も示しました。
慰安婦問題に関しては「被害者と国際社会の期待に沿うものでなければならない」と指摘。安倍晋三首相が発表する戦後７０年談話についても「形式、内容で周辺国と国際社会が期待してきた水準になることが重要だ。そうなれば、関係改善の絶好の機会になる」とくぎを刺しました。
( ２０１５年０６月２６日，「赤旗」)
子どもに明るい未来を／静岡県母親大会に１５００人
「初めて参加したが、多くの人が真剣に考え共鳴するのはすごい」―。第５３回静岡県母親大会が２１日、富士市で開催され、参加した母親ら１５３５人は、過去を正しく知り、未来を希望あるものにしていこうと学び、戦争法案廃案へ力をあわせようと誓いあいました。
全体会で粕谷たか子実行委員長は、「広島・長崎の被爆と戦後７０年。日本が世界に誇れる憲法９条と原水爆禁止運動をはじめ、子どもたちに明るい未来を手渡すため、学び、考え、語りあおう」と呼びかけました。
明日の自由を守る若手弁護士の会メンバーの太田啓子弁護士が記念講演。太田氏は、「憲法は国家権力に枠をはめ乱用を防ぐためのものであるにもかかわらず、安倍政権が解釈改憲により憲法違反の集団的自衛権の行使容認の閣議決定と実行する法律の成立をすすめている。戦争法案をストップさせるため、あらゆる方法で反対世論を高めよう」と強調しました。
特別企画「戦後７０年～みんなで語ろう『女性と戦争』」では、８８人が学びあいました。
平井和子・一橋大学特任講師は、旧日本軍が侵略したところにはほぼすべて慰安所があったと述べ、逃げることができないもとで人を物のように扱い強制的に性の相手をさせたことは戦時下であっても許されない人権侵害だと力説しました。
３人の戦争体験者が、「中国大陸で性病検査のため慰安婦女性の体から粘液を採取した」（８８歳男性）、「国語の教科書を戦後に７割近く塗りつぶすことになって間違いを教わっていたことを知り悔しかった」（８２歳女性）、「疎開により戦火はまぬがれたが子どもたちは飢餓状態のもと、元の生活よりさらに愛国的教育が植えつけられた」（８１歳女性）などと語りました。
参加した小柳絵里加さん（２２）＝保育士＝は「戦争のために洗脳する教育をしていたことを実感した。全ての人を加害者にも被害者にもする戦争そのものを起こしてはいけないと思った。安倍政権は戦争でなく対話で物事を解決するようにしてほしい。子どもたちを戦争から守りたい」と語りました。
(２０１５年０６月２４日，「赤旗」)
バッシングに反論／グリーン九条の会、植村氏迎え講演会／札幌
札幌市の中小企業経営者らでつくる「グリーン九条の会」は２０日、元朝日新聞記者で北星学園大学（札幌市）の非常勤講師を務める植村隆氏を迎えて、講演会を開きました。
記者時代に日本軍「慰安婦」報道にかかわった植村氏に対する攻撃は、大学に対する脅迫事件にまでエスカレートしました。平和を考える講演会に取り組んできた同会が、「難しいテーマだが、かみ砕いて話してもらい、周りの人たちに伝えていけるようにしたい」（主催者あいさつ）と開いたもの。大学関係者や市民らも多数参加しました。
植村氏は、自身のジャーナリストとしての歩みを紹介するとともに、「ねつ造」攻撃に反論。米国の研究者が「慰安婦」問題などの「偏見なき清算」を求めた声明などを紹介しながら、攻撃の狙いが「慰安婦」問題の否定にあることを指摘。「私はねつ造記者ではありません。不当なバッシングには絶対に屈しません」と訴えると、参加者は激励の拍手で応えました。
(２０１５年０６月２４日，「赤旗」)
近づく日本母親大会／８月１・２日、神戸市中心に開催／世代超え平和の願い結集
「女の平和」行動など戦争法案の廃案を求めるたたかいが大きくなるなか、第６１回日本母親大会ｉｎ兵庫が８月１、２の両日、神戸市を中心に行われます。今年の大会の魅力は―。
今年は戦後・女性参政権７０年、女性差別撤廃条約批准３０年の節目の年です。開催地・神戸では阪神淡路大震災から２０年、非核「神戸方式」から４０年です。
４７都道府県の参加者が集まる全体会（１日）は２会場で開かれ、それぞれ記念講演があります。「戦後・女性参政権７０年」を記念し、弁護士の金杉美和さんが「憲法・平和、ジェンダー平等の実現を！」と題して講演します。
神戸女学院大学の石川康宏教授は「戦後・被爆７０年 日本国憲法とともにあゆみつづける―子どもの未来･くらし･平和」と題して講演します。「憲法違反の戦争法案を許さない｣｢安倍政権の暴走ストップ」と全国津々浦々で声をあげる女性・母親の「今日の運動」が二つの会場に持ち寄られます。会場は神戸国際展示場１、２号館です（午後０時４５分～５時）。
◎ ◎
日本母親大会は、１９５４年に米軍のビキニ環礁での水爆実験で第五福竜丸をはじめ多くの漁船が被爆したことを契機に、「核戦争から子どもを守ろう」という女性の声から始まりました。戦争法案反対のたたかいを交流し、それぞれの課題や要求を持ち寄り、学び、話し合う場です。
実行委員会では母親大会の６１年の歴史をつなごうと若い世代の参加を呼びかけています。「学びカフェ 若者からみた平和・核と原発を考える」、イラク・シリアの取材などから「世界を知ろう、考えよう」などの特別企画があります。名護市辺野古への新基地建設反対でがんばる「オール沖縄」のたたかいに連帯し、「映画『標的の村』を観て、沖縄のたたかいを日本全国へ」を話し合う特別企画もあります。
安倍内閣の歴史偽造を許さないと､分科会｢日本軍『慰安婦』問題の解決を若い世代とともに｣やシンポジウム｢安倍政権の『教育再生』と私たちの求める教育｣もあります｡
◎ ◎
分科会は、「遊んで学んで子育てキラキラ！」「阪神淡路大震災と東日本大震災の復興状況と教訓・課題」「『戦争する国』にしたくない！」「女性の人権は今」など、子どもと教育、くらしと権利、女性と人権、平和と民主主義など３６のテーマで話し合います。場所は、神戸国際展示場、神戸国際会議場、神戸市外国語大学の３カ所です（午前１０時～午後３時）。
両日とも大物産展、母親売店、書籍バザールを開催します。
会員券（１日２５００円)が必要です｡保育あり（１歳以上、７月１７日までに申し込みを）。問い合わせ・申し込み＝日本母親大会実行委員会℡０３（３２３０）１８３６
( ２０１５年０６月２４日，「赤旗」)
日韓首脳会談へ意欲
安倍晋三首相は２２日、来日中の尹炳世（ユン・ビョンセ）韓国外相の表敬訪問を受け、国交正常化５０周年を迎えた日韓関係について意見交換しました。この中で首相は「日韓にはさまざまな課題や問題があるが、課題があるからこそ胸襟を開いて話し合うことが重要だ」と指摘。その上で「朴槿恵（パク・クネ）大統領と次の半世紀のため、関係を改善させていきたい」と語り、一度も行われていない朴大統領との首脳会談の実現に意欲を示しました。
尹外相は会談で、朴大統領のメッセージを伝達。この中で大統領は、いわゆる従軍慰安婦問題などを念頭に「国交正常化５０年という意義深い年に協力を強化し、残された懸案を進展させ、今後の新たな５０年の元年となるよう努力しよう」と呼び掛けました。
( ２０１５年０６月２３日，「赤旗」)
韓国・朴大統領「歴史問題解決を」
韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領は２２日、東京都内で開かれた日韓国交正常化５０周年記念式典にメッセージを寄せ、いわゆる従軍慰安婦問題を念頭に「歴史問題という重荷を、和解と共生の心を持って下ろしていくことが大切だ。両国がそうしたスタートを示すとき、５０周年の今年は韓日両国が新たな未来を共に切り開く元年になるはずだ」と述べました。
また、朴大統領は「韓日両国が新たな協力と共存共栄の未来を目指して共に歩んでいくことのできる転機にすべきだ。これは後世に対する私たちの責務だ」とも強調しました。
( ２０１５年０６月２３日，「赤旗」)
慰安婦問題の協議継続／世界遺産登録へ協力／日韓外相
岸田文雄外相は２１日、東京都内で韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相と夕食会を含め約３時間会談しました。韓国が反対していた「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録について、韓国が申請した「百済の歴史地区」と共に登録されるよう協力していくことで合意しました。両外相は、安倍晋三首相と朴槿恵（パク・クネ）大統領による首脳会談の適切な時期の実現に向け、努力していくことも確認しました。日韓外相会談は３月にソウルで行われて以来。
産業革命遺産をめぐり、韓国側は一部施設で朝鮮半島出身者が強制徴用されたと主張、記念碑などで「負の側面」を明確にするよう求めていました。岸田氏は外相会談で、「歴史全体」の表示に応じる考えを示したとみられています。これにより登録の可否が決まる２８日からの世界遺産委員会を前に両国の対立は解消することになりました。
外相会談後、岸田氏は記者団に「日韓関係の前進に向け、前向きな議論を行った」と強調。首脳会談については、「適切な時期に実現すべく共に努力していくこととした」と述べましたが、尹氏は記者団に「時期を話す段階ではない。環境を整えることが重要だ」と述べるにとどめました。
焦点の「慰安婦」問題をめぐっては、両国がそれぞれの立場を主張しました。両外相は外務省局長級の協議継続を確認しました。尹氏は首相が夏に表明する戦後７０年談話について、戦後５０年の村山首相談話など「歴代内閣の歴史認識がはっきりと表明されるよう期待する」と述べました。
尹氏は岸田氏の年内訪韓を招請し、岸田氏も調整を約束。両外相は、国際会議の場での日韓外相会談を定例化することで一致しました。
( ２０１５年０６月２３日，「赤旗」)
日韓国交正常化５０年／慶北大学法学専門大学院教授金昌禄さんに聞く／新たな法的枠組みが必要
日韓条約の交渉文書などの研究をする慶北大学法学専門大学院の金昌禄（キム・チャンノク）教授に、いまこの条約をどう見るかを聞きました。
日韓条約の締結の意義は、やはり国交が正常化したことでしょう。この５０年間、市民の交流は進み、互いの理解も深まりました｡その面では､積極的な意味がありました。
条約自体に問題
しかし現在、２国間の関係は、史上最悪と言われています。どうしてこうなってしまったのか。私は、６５年の条約そのものに問題があったのではないかと考えています。
諸条約の交渉は、日本による３６年間の植民地支配を清算するためのものでした。しかし、その問題が置き去りにされ、日韓条約は締結されたのです。
原因の一つは安保です。当時は東西冷戦で、韓日は米国の傘のもとにいた。正常化交渉の開始には、米国の強い要請がありました。
もう一つは経済です。韓国には資金の必要性、日本にはアジアへ資金を投入する狙いがあった。つまり「安保」と「経済」が前面に出て、過去の清算は後景に追いやられたのです。
しかし、９０年代に入り、過去の清算の議論が活発化しました。背景には、冷戦崩壊と韓国の民主化があります。
冷戦時代の日本と韓国は、「味方」でした。味方を傷つける行動はしてはいけないという雰囲気があり「慰安婦」被害者や強制動員された人たちは声を上げることができず、社会も注目しませんでした。
８７年に軍事政権が崩壊し民主化され、その後冷戦も終わると、被害者は初めてこの問題を提起できるようになりました。日本政府に対し謝罪と賠償を求める裁判を起こすと、日韓条約で棚上げされていた過去の歴史問題が再燃します。
９０年代に被害者が起こした裁判は、日韓条約でつくられた体制に対し、大きな疑問を投げかけました。
異なる条文解釈
日本政府は裁判で、「日韓請求権協定で解決済み」との立場を主張しました。しかし、韓国人被害者たちは、請求権は残されていると主張しました。同じ条文をめぐって、解釈が違う。それなら条文に立ち返ろうと、交渉時の資料を公開させる運動が起きました。
韓国では２００５年に全面的に公開され、日本でも多くの文書をみることができるようになりました。そこで朝鮮半島の支配の問題が整理されておらず、植民地支配の責任が曖昧なままだということがはっきりしたのです。
核心の部分で解釈が違うということでは、もはや１９６５年の諸条約は機能していないと言わざるを得ません。私は、新しい法的な枠組みが必要ではないかと考えています。植民地支配の問題を整理し、これまでと違った５０年の歴史を作っていく。両政府は、締結５０年の今年を、その原点にすべきです。
１９６１年生まれ。ソウル大学で法学博士学位取得。法学研究院院長。韓国法学専門大学教授協議会共同代表。
( ２０１５年０６月２２日，「赤旗」)
日韓国交正常化５０年／不法な植民地支配、日本が認めてこそ／過去を直視、和解・友好の関係へ
日本軍による「慰安婦」問題／人道上も解決は急務
日本と韓国は１９６５年６月２２日、「日韓基本条約」を締結し、国交を正常化しました。市民の間では交流が進み、いまや年間約５００万人が行き来するまでになりました。一方、両国の首脳会談は３年以上行われておらず、冷え込んでいます。締結から５０年、関係改善、和解と友好のためには何が必要でしょうか。
（栗原千鶴）
日韓条約は、５１年の予備会談に始まり、締結までに１４年を費やしました。日本政府が１９１０年から３６年間にわたる朝鮮の植民地支配に対して、「不法」だと認めなかったからです。１９１０年に結んだ「韓国併合条約」は、韓国の自由意志に基づいた有効な条約だとして、日本の植民地支配は正当であり、合法だと主張しました。
反省なき暴言
無反省を示す象徴的な発言は、第２次、第３次会談で首席代表を務めた久保田貫一郎氏のものです。５３年１０月の請求権委員会で、「日本の朝鮮統治は必ずしも悪い面ばかりではなく、よい面も多かった」「（カイロ宣言に朝鮮人民の奴隷状態という言葉が使われているのは）戦争中の興奮した心理状態で書かれたもの」と述べ、中断は約４年半にわたりました。
第７次会談で首席代表を務めた高杉晋一氏は、６５年１月の就任記者会見で植民地支配を美化。「敗戦でだめになってしまったが、もう２０年間、朝鮮を持っていたら、こんなことにならなかったかもしれない」と述べるなど、植民地支配を「合法」との考えの上に、交渉を進めたのです。
そして基本条約第２条に「１９１０年８月２２日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定はもはや無効であることが確認される」との文言を盛り込むことになりました。日本政府は「もはや無効」との表現で、併合条約を締結した当時は条約として〝有効だった〟と解釈できる余地を残したのです。
謝罪と賠償を
そして日本と韓国の間で最大の懸案となっている日本軍「慰安婦」問題にも、この日韓条約の問題が横たわっています。
「慰安婦」問題は、９１年に金学順（キム・ハクスン）さんが被害者だと名乗り出たことにより、表面化しました。被害者らは日本政府に対して謝罪と賠償を求める裁判を起こします。
日本政府は「請求権問題は解決済みであり、紛争は存在しない」と拒否。この根拠となったのが基本条約と同時に結んだ「請求権・経済協力協定」です。協定第２条には「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と盛り込まれ、両国は互いに請求権を放棄しました。
これにより日本政府は韓国へ無償３億㌦、有償２億㌦、民間協力資金３億㌦を供与しました。植民地支配の結果、生み出された被害への賠償を過去の償いではなく「経済協力」の形で決着をつけたのです。
しかし、同協定の第３条１項は、両国間で紛争がある場合、「まず外交上の経路を通じて解決するものとする」としています。日本共産党の笠井亮衆院議員は、この条項について外務省がまとめた文書「解説・日韓条約」（『法律時報』６５年９月号）で「今後、生じることのあるすべての紛争が対象になるべき」だと説明していたことを明らかにしました。
被害者は高齢となっており、後遺症に苦しむ人や病気で外出もままならない人も多い。日本政府は人道的にも早期解決へ努力をする必要があり、声を上げている戦争被害者らに真摯（しんし）に向き合うべきです。
戦争被害者らの裁判や運動によって９０年代は、日本政府にも変化がありました。日本軍「慰安婦」問題で軍の関与と強制を認め謝罪した河野談話（９３年）と植民地支配を認め謝罪した村山談話（９５年）を出しました。
これに対し、２０００年代になると逆流がおきます。首相や閣僚による靖国神社参拝、「河野談話」を無力化しようとする動きなど、過去の日本軍国主義による侵略戦争や植民地支配を肯定・美化する動きです。
重みある宣言
いま、改めて注目されるのは、１９９８年には日韓の首脳が共同で２１世紀の発展を見据えた「パートナーシップ宣言」を発表したことです。
同宣言は、日本の小渕恵三首相と韓国の金大中（キム・デジュン）大統領によるものです。「韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対し、痛切な反省と心からのおわびをのべた」。国名をあげ、植民地支配への反省とおわびを正式の共同文書で表明したことは、格別の重みをもつものでした。
日本政府はいまこそ、パートナーシップ宣言にたちかえり、ふさわしい行動をとるべきです。
日本共産党の志位和夫委員長は自著の韓国語版『いま、日本共産党』（２０１３年刊）の序文で、「日本の政界の中に存在する植民地支配への無反省の根拠として、１９６５年に締結された日韓基本条約の問題点をあげなければなりません」として、１０年の「韓国併合」を不法なものと認めていないことを指摘。２０１５年に締結５０年になることをあげて、「この機会に日本は『韓国併合』について『不法・不当』なものだったことをきっぱり認めるべきだ」とのべています。
互いを知り未来へ
「韓国の人は日本を嫌いでしょう？」。そんな疑問をぶつけられることがあります。韓国に１６年住む男性に話を聞いてみると、「それは人それぞれ。僕は日本人だからといって、いやな思いなんてしたことがない」。
韓国で日本の文化開放が始まったのは１９９８年。いまや書店には日本語の本が積み上げられ、日本の作家や漫画家のサイン会には若者が集まります。日本のアニメや映画を見て、日本式のラーメン屋で昼食をとるのも、日常になりました。
日本でも２０００年代、韓国ドラマ「冬のソナタ」が爆発的なヒットを見せ、韓流ブームが到来しました。いまもドラマや映画、音楽に親しみ、ハングルを習う人も多い。こうした交流の中から、ここ１０年で生まれた日韓カップルは３万組といわれます。
１９９８年に両国の首脳が共同で出した「日韓パートナーシップ宣言」にはこうあります。「善隣友好協力関係を構築していくためには、両国が過去を直視し、相互理解と信頼に基づいた関係を発展させていくことが重要であることにつき意見の一致をみた」
国交正常化から５０年。お互いをよく知り、ともに歩む道を話し合えるような真のパートナーになりたい。
日韓条約
日本の佐藤栄作政権と韓国の朴正熙（パク・チョンヒ）政権が１９６５年６月２２日に締結した国交正常化を定めた基本条約と４協定（請求権・経済協力協定、漁業協定、在日韓国人の法的地位協定、文化財協定）の総称。締結まで第７次にわたる交渉が行われました。
日韓条約に関する年表
１９４５年８月 ポツダム宣言受け入れ、日本敗戦
４８年８月 大韓民国政府成立
９月 朝鮮民主主義人民共和国政府成立
５０年６月 朝鮮戦争勃発
５１年９月 サンフランシスコ講和条約調印
１０月 日韓国交正常化にむけた予備会談
５２年１月 韓国が李承晩（イ・スンマン）ラインを設定
２月 第１次会談開始
４月 サンフランシスコ講和条約発効
５３年７月 朝鮮戦争休戦協定調印
１０月 第３次会談始まる。久保田発言により会談が決裂
５７年１２月 会談再開合意を日韓共同発表。日本側は久保田発言を取り消し
５８年４月 第４次会談開始
６０年４月 不正選挙に端を発した反政府運動で李承晩大統領が退陣。会談は中断
１０月 第５次会談開始
６１年５月 韓国で軍事クーデター発生。交渉中断
１０月 第６次会談開始
６２年１１月 大平正芳・金鐘泌（キム・ジョンピル）会談。請求権協定問題で妥結
６４年６月 韓国で締結反対を訴える大規模なデモが発生。戒厳令発令。中断
１２月 第７次会談開始
６５年６月 基本条約および４協定に調印
１２月 基本条約批准書を交換、発効
( ２０１５年０６月２２日，「赤旗」)
主張／日韓国交５０年／真の和解と友好への転機に
日本ともっとも近い隣国である韓国との国交が１９６５年の日韓基本条約の締結により正常化され､２２日で５０年となります｡いま両国は首脳会談も開けない困難を抱えていますが、この半世紀を振り返れば､内外の状況の変化の中で､関係は大きく発展しました。５０年の歩みを踏まえ、節目の年を本当に心の通う友好に向かっての転機にする努力が求められています。
植民地支配の反省求め
５０年前、両国では国民から条約署名に反対の声が上がっていました。日本共産党も、条約が戦前の日本による植民地支配への反省と賠償を欠いていること､韓国を｢朝鮮にある唯一の合法的政府」と規定していることなどを批判しました。当時の韓国が軍事独裁政権だったという問題もありました。
しかしその後の両国関係は、とくに８０年代後半から、歴史的な変化が起こりました。韓国では国民の大きな運動で軍事政権が倒され、民主化が実現。９１年には北朝鮮とともに国連に同時加盟し、韓国が朝鮮半島の｢唯一合法政府｣との規定は事実上否定されました。
その変化のなか、これまで声を上げられなかった韓国の元日本軍「慰安婦」の被害女性たちが名乗り出るなど、日本の過去の侵略戦争と植民地支配の責任と反省を問う動きも、両国で顕著になりました。運動と世論の広がりを前に日本政府が出したのが、当時の「河野官房長官談話」（９３年）や「村山首相談話」（９５年）でした。
９８年には当時の小渕恵三首相と韓国の金大中大統領が、共同宣言「２１世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」に署名しました。そこでは「（日本が）韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた」と明記されました。
これは、日韓基本条約が１９１０年の「韓国併合」を「もはや無効」とのべるだけで、日本側の責任や反省になんら触れていないのとくらべ、大きな進歩でした。今の日韓関係の困難を打開するうえで日本側に必要なのは、こうした到達に立ち返り、それにふさわしい行動をとること、過去の侵略戦争や植民地支配を肯定・美化する動きを許さないことです。
とくに、日本軍「慰安婦」問題の解決は、被害者らの年齢を考えても緊急の課題です。超党派でつくる日韓・韓日議員連盟が昨年１１月の合同総会で声明したように「正しい歴史認識のもとで、当事者達の名誉回復と心の痛みを癒すことが出来るような措置が早急に取られるように日韓双方がともに努力すること」がいよいよ重要です。
両国の間には他にも、領土をめぐる紛争問題などがあります。そうした諸懸案についても、日本が過去の植民地支配に対して誠実な態度をとることで冷静な話し合いの土台がつくられ、解決に向け進むことができるでしょう。
歴史ゆがめる逆行許さず
日本共産党は戦前、過酷な弾圧にもかかわらず、朝鮮における独立のたたかいと連帯し、日本軍国主義による侵略戦争と植民地支配に反対を貫きました。そうした党として、日本の過去の歴史をゆがめ美化する動きを許さず、国交５０年の節目を迎えた日韓両国と国民が、真の友好を発展させることができるよう､力を尽くす決意です｡
( ２０１５年０６月２２日，「赤旗」)
本立て／日本人「慰安婦」／「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター編
なぜ日本人「慰安婦」は人々の関心の外に置かれ続けてきたのか。この疑問から発足した民間プロジェクトチームが、足掛け３年にわたった調査研究をまとめました。見過ごされてきた日本人「慰安婦」の被害を問う一冊です。
日本人「慰安婦」はどう集められ、扱われたのか、軍や業者はどう関与したのかを当時の資料や慰安所業者への聞き取りなどを通して検証。「からだを小さくして生活をしていた」と遺書を残し４８歳で自殺した被害女性の証言など、戦後の苦難の人生にも光を当てています。（現代書館 ２８００円）
(２０１５年０６月２１日，「赤旗」)
文化／ドキュメンタリー映画「沖縄うりずんの雨」監督ジャン・ユンカーマンさん／沖縄の草の根の力に明るい希望感じた
１９８０年代から、平和を希求する視点で日本を撮り続け、ドキュメンタリー「映画 日本国憲法」（２００５年）で知られるアメリカ人のジャン・ユンカーマン監督（６２）。新作ドキュメンタリー映画「沖縄 うりずんの雨」で、沖縄の抑圧の実態と、県民の不屈のたたかいをとらえました。
湯浅葉子記者
映画は、主に沖縄戦から辺野古に米軍基地をつくらせない運動までを、元海兵隊員、学者、平和運動に携わる人など１９人の証言でつづります。
「日米双方の視点で見ると、沖縄の現状をより深く理解できます。特権意識を持つ米軍と沖縄の声を無視する日本政府。その中で県民は反戦・反基地闘争を続けており、深く尊敬します」と監督。
「うりずん」とは、草木が芽吹く３～５月頃を示す沖縄の言葉で、「潤い初め」が語源とされています。１９４５年３月末から始まり、県民の４人に１人が死亡した沖縄戦の時期とも重なります。
「この時期になると沖縄戦の記憶がよみがえり、体調を崩す人もいます。希望の季節に悲しみが潜んでいるのです。慰霊の日（日本軍の組織的戦闘が終了した６月２３日）に、毎年あちこちの部落で小さな慰霊祭が行われるのを知った時、全島が犠牲になった厳しい戦争だったのだと痛感しました」
捕虜にした住民から｢頭を撃ってくれ｣と懇願された元米兵。爆弾を抱えて戦車に突っ込んだ戦友を思う元日本兵。「集団自決」を逃れた女性。多様な立場からの証言で、国家によって殺し合いをさせられた両国民の悲しみを浮き彫りにします。
戦後、沖縄を「戦利品」とみなし県民の人権を侵害してきた米軍。映画は多発する米軍の性犯罪にも迫り、９５年の少女暴行事件の犯人の一人が、証言者として登場します。
監督は、「レイプ事件を、どういう人がどんな気持ちで起こしたのかを知りたかった。彼は本当に普通の兵士でした。米軍には、性犯罪が起こる構造があるのです」。
米軍内の人種・性差別を指摘する専門家や、「レイプは特別なことではなかった」と話す元海兵隊員の証言をまじえ、性犯罪の背景を考えます。
残酷な現状を凝視する一方で、監督は草の根のたたかいに「明るい希望を感じた｣といいます｡
「沖縄戦を体験した方々は、自分だけが生き残ったという責任を感じています。犠牲になった人々の魂を大事に大事にして、平和の運動を続けてきた。沖縄には命を大切にする文化、抑圧に負けず現実を変えようという精神があります」
監督が留学で来日したのは、ベトナム戦争中の６９年です。自分はベトナムで人を殺せるのかと自問し、この戦争に反対していた頃でした。
「日本へ来て初めて平和憲法を知りました。日本には、戦争で国際紛争は解決できないという憲法９条の精神が根付いていて、居心地が良かった」
憲法をないがしろにして、戦争法案を推し進める安倍政権を危ぐします。
「東アジアは緊張が高い地域です。狭いところで、中国や韓国、アメリカ、ロシア、北朝鮮、台湾も強い軍隊を持っている。日本がさらに武装すれば戦争の可能性が高まります」
監督は「日本の歴史家を支持する声明」（５月）に名を連ねています。欧米の日本研究者１８７人が、加害責任を認めない一部の政治家やメディア等に、日本軍「慰安婦」問題に誠実に向き合うよう求めたもの。
「最近、間違った歴史認識を、平気で国会で発言できる国になってきたことを、日本を長年研究してきた学者たちが非常に懸念しています。間違った歴史認識で考えられた政策は間違ったものになる。戦後の日本が歩んできた平和の道を、捨てないでほしい」
１９５２年、アメリカ生まれ。主な作品に映画「老人と海」（９０年）、「チョムスキー９.１１」（２００２年）、「映画 日本国憲法」（０５年）など。現在、日米を拠点に映画を製作｡「沖縄 うりずんの雨」は、２０日から東京･岩波ホール、沖縄・桜坂劇場で公開、順次全国で
(２０１５年０６月２１日，「赤旗」)
２０
元朝日記者が講演会
広島マスコミ九条の会はこのほど、広島市中区で「安倍政権のメディア戦略と朝日バッシング」をテーマに講演会を開きました。朝日新聞元記者で北星学園大非常勤講師の植村隆氏が「私は『慰安婦捏造（ねつぞう）記者』ではない 不当なバッシングには屈しない」と題して講演しました。
同会の結成１０周年を記念して開いたもの。１３９人が参加し、地元国会議員が戦争法案を廃案にするよう求める要請文を採択しました。
植村氏は、右翼勢力による自身や家族への脅迫などを振り返り、「言論、報道の自由、大学の自治など日本が戦後７０年守ってきた民主主義に対する攻撃だ」と告発しました。
(２０１５年０６月１９日，「赤旗」)
韓国外相２１日に４年ぶり来日
日韓両政府は１７日、韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相が２１日に来日し、岸田文雄外相と会談すると発表しました。尹氏は２２日に在京韓国大使館が主催する国交正常化５０周年の記念行事に出席。日本側からは日韓議員連盟会長の額賀福志郎元財務相がソウルを訪れ、記念行事に参加します。
韓国外相が来日するのは２０１１年５月の金星煥氏以来、約４年ぶりで、朴槿恵政権では初めて。日韓外相会談は３月にソウルで行われて以来。会談では、いわゆる従軍慰安婦をめぐる問題や、日本からの水産物輸入規制問題など両国間の懸案も話し合われる見通し。
日韓基本条約の署名から５０年の節目に当たる２２日、両政府はソウルの日本大使館と東京の韓国大使館でそれぞれ記念行事を開きます。
( ２０１５年０６月１８日，「赤旗」)
韓国外相〝慰安婦問題、妥結見えず〟
【ソウル＝時事】韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相は１９日の国会答弁で、慰安婦問題について朴槿恵（パク・クネ）大統領が先に「相当な進展があり、最終段階にある」と発言したことに関し「細部を詰めなければならない面があり、現時点で妥結可能な水準かと問われれば、慎重な側面がある」と述べ、事実上、否定しました。
また、２１、２２の両日、韓国外相として約４年ぶりに訪日し、外相会談も行うことに関し「主たる目的は国交正常化５０周年行事への出席だが、両国関係の中長期的な姿や、さまざまな懸案について、前向きな進展があるよう虚心坦懐（たんかい）に議論したい」と述べました。
( ２０１５年０６月２０日，「赤旗」)
「慰安婦」問題で安倍政権を批判／福井・新婦人学習会
日本軍「慰安婦」問題の学習会が１３日、福井市の県教育センターで開かれ、約５０人が参加しました。新日本婦人の会福井県本部の主催。「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク事務局長の坪川宏子さんが講演しました。
坪川さんは、日本軍「慰安婦」問題の本質が慰安所での性行為強制にあることを指摘し、軍が慰安所の設置や管理、「慰安婦」の移送の主体であったことを示す当時の軍の文書を紹介して、安倍首相らが主張する「業者主体論」を厳しく批判しました。
軍による強制連行についても「河野談話」発表（１９９３年）までに政府が調査した資料の中に裏付けとなる資料があった事実を紹介し、安倍政権の「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とする見解を批判しました。
坪川さんは、日本政府による公式の明確な謝罪と賠償や、いっそうの真相究明の必要性を強調し、「若い人に継承するには、歴史教育が大事だ」と指摘。教科書検定基準が「政府の統一的な見解」に基づく記述を求めるものに改悪されたことを告発する一方、学校教科書では初めて「河野談話」を載せた「学び舎」の教科書を紹介しました。
参加者からは「慰安婦」問題に対し、「自分のこととして想像し考えることが大事。孫にも、しっかり話していきたい」との意見が出されました。
(２０１５年０６月１７日，「赤旗」)
二度と起こらぬように／戦争伝えるドキュメント制作／名古屋・同朋高校放送部
名古屋市中村区にある同朋高校では、放送部の生徒たちが６年にわたり、戦争を扱ったドキュメント作品を作り続けてきました。今年も新たな制作が始まっています。
昨年度に作成した「アジア太平洋戦争、中国の２つの戦場」は１月、「東京ビデオフェスティバル２０１５」で最優秀のビデオ大賞を受賞し、大きな注目を受けています。
１３日に同校で行われた「初夏のつどい」（主催・私学をよくする父母懇談会中村ブロック）ではメーン企画で上映されました。
「２つの戦場」は、日中戦争に兵士として参加した６人の元兵士に戦場で何をしたのかをインタビューしたもの。日本軍の兵士となるためには「鬼」になるしかなく、初年兵は中国人捕虜を刺殺、首切りまでさせられたことが語られています。なぜ残酷なことが起きたのか―部内外の生徒に聞くなどして探求していきます。
証言者励まして
同部顧問で不戦兵士・市民の会東海支部事務局長の宮城道良さんは、加害の事実を語ってくれたのは、高校生たちが証言者を熱心に励ましたからと明かしました。
作成の中心となったのは今年の卒業生たちです。後輩はどう受け止めたのか…。
「日本は被爆国だけど、同じくらいひどいことを中国でやっていることがわかった」「戦争となればつらい思いをする人が多くでる。たくさんの人にこの作品を見てほしい」。「すごい作品」と口をそろえます。
今年のテーマは
つどい後の反省会では放送部の萩原秀喜部長（３年生）が「戦争を考えるのは若者の義務。次世代にも伝えていこう」と呼びかけました。
引き継いで作られる今年のテーマは「女たちの戦争」です。担当する前田みちるさん（２年生）は「これまでは男性の証言で作ってきましたが、戦場に駆り出された女性もいます。従軍看護婦や『慰安婦』などがいました。二度と戦争が起こらないようにと願ってつくりたい。いま、証言してくれる人を探しています」と意欲を高めています。
(２０１５年０６月１７日，「赤旗」)
戦争法案／市長は反対表明を／鳥海議員迫る／さいたま市議会
１５日開かれた、さいたま市議会の代表質問で、日本共産党の鳥海敏行市議は、清水勇人市長の戦争法案に対する態度と歴史認識についてただしました。
鳥海氏は戦争法案について、米軍との「切れ目のない」戦争体制を構築するために憲法９条破壊を狙う、過去最悪の法案だと指摘。陸上自衛隊大宮駐屯地を抱え、「平和都市宣言」をした都市の市長として、「市民に苦しみを与えることになる戦争法案にきっぱりと反対の意思を表明すべきだ」と迫りました。
清水市長は答弁に立たず、遠藤秀一副市長が「憲法違反などの意見があるのは承知している。国会で十分な議論の必要がある」と述べました。
鳥海氏は、日本の過去の侵略戦争と「慰安婦」問題で「村山談話」と「河野談話」の市長の評価について質問。中国や韓国の市との交流を進める、さいたま市長として「両談話を否定する動きにきっぱりと反論すべきだ」と強調。民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために国の対策が求められると指摘しました。
清水市長は「歴史認識についてさまざまな議論があるが、話し合いを重ね、理解を深めていく必要がある。戦争の歴史を学び、今後の日本のあり方を考えることは大切だ」と答弁。ヘイトスピーチ防止のために、国として体制整備の検討が必要との認識を示しました。
(２０１５年０６月１７日，「赤旗」)
（Page/Top）
「歴史キャンプ」／中高生など募集／日中韓来月３１日から
日本、韓国、中国の中高生・大学生がともに生活し歴史を学ぶ「第１４回東アジア青少年歴史体験キャンプ」（主催・同実行委員会）の参加者を募集しています。
中国・上海市で「青少年と東アジアの未来― 戦後７０周年の思考」をテーマに、７月３１日～８月６日まで行われます。３国の教員による共同授業や、中国「慰安婦」資料館の見学などを予定。通訳スタッフがいます。
申し込み締め切りは２６日（先着順）。参加費は４万８０００円（航空運賃別）。
問い合わせ＝同実行委員会事務局（子どもと教科書全国ネット２１内）０３（３２６５）７６０６
メールアドレスkyokashonet＠a．email．ne．jp
( ２０１５年０６月１７日，「赤旗」)
本立て／知っていますか？日本の戦争／久保田貢著
「永遠の０」が描かなかったものは？ 「慰安婦」はウソなの？ 首相の靖国参拝がなぜ問題か？ 憲法は押し付けられた？ １９のテーマで素朴な疑問に答え、間違った情報に惑わされないアジア・太平洋戦争の真実を伝えます。
各地の戦跡や資料館の写真、もっと知るためのコラムも豊富です。加害に向き合い続けるドイツにもふれて、歴史を学びあうとりくみを呼びかけます。さらに学びたい人のための参考文献も紹介。大学教員の著者が、若い世代のために書いた一冊です。
（新日本出版社 １６００円)
(２０１５年０６月１４日，
民主主義と公民館考える／「九条俳句」問題で市民の集い／さいたま
表現の自由や公民館のあり方を考える市民の集いが１０日、さいたま市内で開かれ、約１００人が参加しました。
同市の公民館で昨年６月、俳句サークル会員が互選した「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の俳句が公民館だよりへの掲載を拒否された問題がテーマ。
元ＮＨＫプロデューサーの永田浩三・武蔵大学教授が講演して、戦後の民主主義を育ててきた公民館の役割を語りました。
「九条俳句」問題では、市民の発表を後押しする立場の公民館が、逆に制限する側になったと批判し、「公的なものが表現者を守らなくてどうするのか。社会の因習や弾圧から民主主義や理想を守るのが公的機関の役割」と指摘しました。
集会では、東京都国分寺市や埼玉県新座市などで、憲法９条や日本軍「慰安婦」問題、原発ゼロをテーマにした展示が行政や議会の介入で不許可にされた実態が報告されました。さいたま市は「九条俳句」問題で不掲載の姿勢を崩しておらず、参加者は、運動をさらに大きくしていくことを確認しました。
(２０１５年０６月１２日，「赤旗」)
「慰安婦」問題・戦後補償、もっと知りたい／締結５０年日韓条約学び、未来切り開く／韓国・仁川の学生
５０年前の１９６５年６月２２日、日本と韓国の両政府は日韓条約に署名しました。これにより両国は国交を樹立。いまや５００万人の市民が行き来する隣国です。締結５０年を機に同条約を学び、日韓の未来を切り開こうと活動する韓国の学生たちがいます。
（仁川〈韓国〉＝栗原千鶴）
約３０人の学生たちが、仁川市の延世大学国際キャンパスに集いました。今年３月に生まれたばかりのサークル「ＢＥＹＯＮＤ」（ビヨンド）が主催したセミナーです。
学生たちが、同条約に関心を持ったきっかけは、日本軍「慰安婦」被害者との出会いや戦後補償問題。日本政府が同条約の請求権協定で「補償問題は解決済み」との立場で、被害者にいまも不誠実な対応をしていることを知り、怒りを感じたといいます。
サークルの責任者、朴仁圭（パク・インギュ）さんは社会学科１年生（１９）。高校時代に韓国人のサハリン残留問題を知りました。
第２次世界大戦中、日本の植民地下だった朝鮮半島から炭鉱や軍需工場などの労働力として、当時日本領のサハリン南部に数万人が移住。終戦直後には４万３０００人の朝鮮人がいましたが、１９４６年の米ソ協定で日本人の帰還が実現する一方、日本政府は朝鮮人を外国人とみなし、サハリンの地に置き去りにしました。
朴さんは「どうしてこの方たちがサハリンに残るようになったのか、被害者への補償がなぜされないのかなどを考えるなかで、日韓関係の基本であるこの条約を学びたいと思った」といいます。
「戦後補償の問題は、『慰安婦』被害だけでなく、在日韓国・朝鮮人やＢＣ級戦犯などがあります。なるべく多くの人に一緒に考えてほしい」。こう語るのは、社会学科の丁晟元（チョン・ソンウォン）さん（１９）です。高校の歴史の授業で日韓条約を学び、植民地支配の清算がなされなかったことを聞いて「おかしいと感じ、もっと知りたいと思った」と話します。
経営学科の洪瑞佑（ホン・ソウ）さん（１９）は、新聞記事などを通じて、「慰安婦」問題に関心を持ちました。これからは「学生同士のネットワークを生かして、日本の大学生と交流したい」と考えています。
セミナー参加者のほとんどが１９９０年代半ばに生まれた学生たち。条約締結から１００年を迎える２０６５年を展望します。
朴さんはいいます。「５０年後、直接の被害者は亡くなっているでしょう。少なくともそのときには、日本政府からの謝罪と補償がなされ、被害者の名誉回復が実現していることを望みます」
日韓条約
１９６５年６月２２日、日本の佐藤栄作政権と韓国の朴正熙（パク・チョンヒ）政権の間で調印された、日韓基本条約と、請求権及び経済協力などの四つの協定、二つの議定書の総称。１９５１年に交渉を開始し、締結まで１４年を費やしました。国交が樹立された一方、植民地清算がなされなかったことなどの問題も指摘されています。
( ２０１５年０６月１２日，「赤旗」)
韓国外相訪日は継続協議に
日韓両政府は１１日午前、東京都内で外務省局長級協議を行いました。２２日の国交正常化５０周年記念行事に合わせ、韓国側が検討する尹炳世（ユン・ビョンセ）外相の訪日について話し合いましたが、具体的な日程は決まらず、引き続き協議することになりました。
日本側は伊原純一アジア大洋州局長、韓国側は李相徳（イ・サンドク）東北アジア局長が出席。２２日にはソウルの日本大使館と東京の韓国大使館で、５０周年の記念行事がそれぞれ行われます。李局長は会談後、記者団に「政府から誰が参加するか協議を続けていく。具体的に決まっているものはない」と語りました。
局長級協議は３月にソウルで行われて以来。いわゆる従軍慰安婦問題など両国間の懸案についても話し合いました。
( ２０１５年０６月１２日，「赤旗」)
戦争ＮＯ／母親大会各地で／宮崎・貧困と格差が学力に影響／高知市・隣国との関係改善し平和に
宮崎／貧困と格差が学力に影響
宮崎県母親大会（主催・同実行委員会）が７日、宮崎市で行われ、３８０人が参加しました。歌声喫茶や健康体操の楽しい企画や、「カジノ問題」「戦後７０年について」など八つの分科会がありました。
「貧困と格差の連鎖」と題して福岡大学の勝山吉章教授が記念講演しました。
勝山氏は、経済的に豊かな家庭と厳しい家庭の子どもを比較すると、学力や運動能力、自然体験に差があり、「新たな学力社会」に向かっているとのべ、「日本は教育にかける公費が少ないので家庭の経済力に依存することになる」と指摘しました。
戦争法案が通ってしまえば、貧困対策どころか、大増税と社会保障削減がやってくると告発し、「弱肉強食の新自由主義ではなく、福祉国家・社会の実現を」とむすびました。
高知市／隣国との関係改善し平和に
高知市母親運動連絡会が７日、高知市で母親大会を開き、２３０人が参加しました。
県母親大会の畑山佳代実行委員長は伯父が２１歳のとき、ニューギニアで戦死し紙切れ１枚だけが届いたと紹介。「絶対に子どもたち、青年を戦場に送らない。この大会を女性・母親が立ちあがる一歩としよう」と来賓あいさつしました。
韓国の民族問題研究所の金英丸（キム・ヨンファン）さんが講演し、「戦争を知らない人が戦争をしようとしている。韓国も同じ動きがある。戦争の体験を伝え、広げていく活動が今こそ必要です。隣の国同士の関係改善が平和につながる」と訴えました。
日本軍「慰安婦」問題を専門にする弁護士の李相姫（イ・サンヒ）さんは「従軍慰安婦は、国際的に非人道的であり戦争犯罪だと認められている。解決しないといけない問題だ」と語りました。
(２０１５年０６月１１日，「赤旗」)
日本の戦争実態伝える／京都で写真展開催中
フォトジャーナリストの山本宗補氏が取材した国内外の戦争体験者の肖像写真と証言から、日本の戦争の加害と被害の実態を伝える写真展「戦後はまだ…刻まれた加害と被害の記憶」が、京都市北区の立命館大学国際平和ミュージアムで開催中です。
戦前、だまされて日本軍「慰安婦」にさせられ、脱走したら右足のつま先を憲兵に切られたという韓国人女性や、広島に原爆が投下された爆心地から約８７０㍍で被爆した日本人男性など、日本、中国、東南アジアなどの戦争体験者７０人の肖像写真が展示されています。
学芸員の篠田裕介さんは「体験者一人ひとりの表情が見えるので戦争の実態がリアルにつかめると思います」と語ります。
香港から写真展めぐりで訪れた欧陽業鴻（おうよう・ぎょうこう）さん（３３）は「体験者が涙を流している写真の迫力に悲しみが伝わってきた」と話していました。
７月４日まで。時間は午前９時半～午後４時半（入館は４時まで）。月曜日は休館。参観料はおとな４００円、中・高生３００円、小学生２００円。
(２０１５年０６月１１日，「赤旗」)
潮流
元日本軍「慰安婦」のうち、韓国人の生存者は５０人余。日本の歴史学者らが８日、「２０１５年日韓歴史問題に関して日本の知識人は声明する」との文書を発表し、「慰安婦」問題の解決は「共生と和解に向かうための展望を開く世界史的意義を有する」と訴えました▼日韓の歴史問題は２国間の問題にとどまりません。日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会が先月、「東アジア共同体」をテーマに国際シンポジウムを開催。パネリストのインドネシア人研究者は「アジア太平洋地域に平和の共同体を構築する上での課題」の一つとして、安倍晋三首相の歴史認識を挙げました▼パネリストが一様に指摘したのは、東アジア各国間の「信頼の欠如」でした。ここ数年、インドネシア、シンガポール、ベトナムなど東南アジア各国の首脳も同じ懸念を表明しています▼国際政治学者の遠藤誠治・成蹊大学教授は、歴史認識の「政治化」によって「相互不信は以前よりも深くなっている」と指摘。この信頼の問題が「東アジアの国際環境をどのようなものにしていきたいのか、という主体的な選択」の中心にあると言います▼東南アジア各国の首脳は「戦略的な信頼」を呼びかけています。経済の相互依存や人の往来に伴う自然発生的な信頼関係だけでは平和と安定は築けないとして、「戦略」を定めるべきだとの考えです▼日本の「戦略」に不可欠なのは、歴史問題の解決です。安倍首相の歴史認識からは、その展望が見えません。
( ２０１５年０６月１１日，「赤旗」)
１０
本立て／知っていますか？日本の戦争／久保田貢著
「永遠の０」が描かなかったものは？ 「慰安婦」はウソなの？ 首相の靖国参拝がなぜ問題か？ 憲法は押し付けられた？ １９のテーマで素朴な疑問に答え、間違った情報に惑わされないアジア・太平洋戦争の真実を伝えます。
各地の戦跡や資料館の写真、もっと知るためのコラムも豊富です。加害に向き合い続けるドイツにもふれて、歴史を学びあうとりくみを呼びかけます。さらに学びたい人のための参考文献も紹介。大学教員の著者が、若い世代のために書いた一冊です。
（新日本出版社 １６００円)
(２０１５年０６月１４日，「赤旗」)
民主主義と公民館考える／「九条俳句」問題で市民の集い／さいたま
表現の自由や公民館のあり方を考える市民の集いが１０日、さいたま市内で開かれ、約１００人が参加しました。
同市の公民館で昨年６月、俳句サークル会員が互選した「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の俳句が公民館だよりへの掲載を拒否された問題がテーマ。
元ＮＨＫプロデューサーの永田浩三・武蔵大学教授が講演して、戦後の民主主義を育ててきた公民館の役割を語りました。
「九条俳句」問題では、市民の発表を後押しする立場の公民館が、逆に制限する側になったと批判し、「公的なものが表現者を守らなくてどうするのか。社会の因習や弾圧から民主主義や理想を守るのが公的機関の役割」と指摘しました。
集会では、東京都国分寺市や埼玉県新座市などで、憲法９条や日本軍「慰安婦」問題、原発ゼロをテーマにした展示が行政や議会の介入で不許可にされた実態が報告されました。さいたま市は「九条俳句」問題で不掲載の姿勢を崩しておらず、参加者は、運動をさらに大きくしていくことを確認しました。
(２０１５年０６月１２日，「赤旗」)
「慰安婦」問題・戦後補償、もっと知りたい／締結５０年日韓条約学び、未来切り開く／韓国・仁川の学生
５０年前の１９６５年６月２２日、日本と韓国の両政府は日韓条約に署名しました。これにより両国は国交を樹立。いまや５００万人の市民が行き来する隣国です。締結５０年を機に同条約を学び、日韓の未来を切り開こうと活動する韓国の学生たちがいます。
（仁川〈韓国〉＝栗原千鶴）
約３０人の学生たちが、仁川市の延世大学国際キャンパスに集いました。今年３月に生まれたばかりのサークル「ＢＥＹＯＮＤ」（ビヨンド）が主催したセミナーです。
学生たちが、同条約に関心を持ったきっかけは、日本軍「慰安婦」被害者との出会いや戦後補償問題。日本政府が同条約の請求権協定で「補償問題は解決済み」との立場で、被害者にいまも不誠実な対応をしていることを知り、怒りを感じたといいます。
サークルの責任者、朴仁圭（パク・インギュ）さんは社会学科１年生（１９）。高校時代に韓国人のサハリン残留問題を知りました。
第２次世界大戦中、日本の植民地下だった朝鮮半島から炭鉱や軍需工場などの労働力として、当時日本領のサハリン南部に数万人が移住。終戦直後には４万３０００人の朝鮮人がいましたが、１９４６年の米ソ協定で日本人の帰還が実現する一方、日本政府は朝鮮人を外国人とみなし、サハリンの地に置き去りにしました。
朴さんは「どうしてこの方たちがサハリンに残るようになったのか、被害者への補償がなぜされないのかなどを考えるなかで、日韓関係の基本であるこの条約を学びたいと思った」といいます。
「戦後補償の問題は、『慰安婦』被害だけでなく、在日韓国・朝鮮人やＢＣ級戦犯などがあります。なるべく多くの人に一緒に考えてほしい」。こう語るのは、社会学科の丁晟元（チョン・ソンウォン）さん（１９）です。高校の歴史の授業で日韓条約を学び、植民地支配の清算がなされなかったことを聞いて「おかしいと感じ、もっと知りたいと思った」と話します。
経営学科の洪瑞佑（ホン・ソウ）さん（１９）は、新聞記事などを通じて、「慰安婦」問題に関心を持ちました。これからは「学生同士のネットワークを生かして、日本の大学生と交流したい」と考えています。
セミナー参加者のほとんどが１９９０年代半ばに生まれた学生たち。条約締結から１００年を迎える２０６５年を展望します。
朴さんはいいます。「５０年後、直接の被害者は亡くなっているでしょう。少なくともそのときには、日本政府からの謝罪と補償がなされ、被害者の名誉回復が実現していることを望みます」
日韓条約
１９６５年６月２２日、日本の佐藤栄作政権と韓国の朴正熙（パク・チョンヒ）政権の間で調印された、日韓基本条約と、請求権及び経済協力などの四つの協定、二つの議定書の総称。１９５１年に交渉を開始し、締結まで１４年を費やしました。国交が樹立された一方、植民地清算がなされなかったことなどの問題も指摘されています。
( ２０１５年０６月１２日，「赤旗」)
韓国外相訪日は継続協議に
日韓両政府は１１日午前、東京都内で外務省局長級協議を行いました。２２日の国交正常化５０周年記念行事に合わせ、韓国側が検討する尹炳世（ユン・ビョンセ）外相の訪日について話し合いましたが、具体的な日程は決まらず、引き続き協議することになりました。
日本側は伊原純一アジア大洋州局長、韓国側は李相徳（イ・サンドク）東北アジア局長が出席。２２日にはソウルの日本大使館と東京の韓国大使館で、５０周年の記念行事がそれぞれ行われます。李局長は会談後、記者団に「政府から誰が参加するか協議を続けていく。具体的に決まっているものはない」と語りました。
局長級協議は３月にソウルで行われて以来。いわゆる従軍慰安婦問題など両国間の懸案についても話し合いました。
( ２０１５年０６月１２日，「赤旗」)
戦争ＮＯ／母親大会各地で／宮崎・貧困と格差が学力に影響／高知市・隣国との関係改善し平和に
宮崎／貧困と格差が学力に影響
宮崎県母親大会（主催・同実行委員会）が７日、宮崎市で行われ、３８０人が参加しました。歌声喫茶や健康体操の楽しい企画や、「カジノ問題」「戦後７０年について」など八つの分科会がありました。
「貧困と格差の連鎖」と題して福岡大学の勝山吉章教授が記念講演しました。
勝山氏は、経済的に豊かな家庭と厳しい家庭の子どもを比較すると、学力や運動能力、自然体験に差があり、「新たな学力社会」に向かっているとのべ、「日本は教育にかける公費が少ないので家庭の経済力に依存することになる」と指摘しました。
戦争法案が通ってしまえば、貧困対策どころか、大増税と社会保障削減がやってくると告発し、「弱肉強食の新自由主義ではなく、福祉国家・社会の実現を」とむすびました。
高知市／隣国との関係改善し平和に
高知市母親運動連絡会が７日、高知市で母親大会を開き、２３０人が参加しました。
県母親大会の畑山佳代実行委員長は伯父が２１歳のとき、ニューギニアで戦死し紙切れ１枚だけが届いたと紹介。「絶対に子どもたち、青年を戦場に送らない。この大会を女性・母親が立ちあがる一歩としよう」と来賓あいさつしました。
韓国の民族問題研究所の金英丸（キム・ヨンファン）さんが講演し、「戦争を知らない人が戦争をしようとしている。韓国も同じ動きがある。戦争の体験を伝え、広げていく活動が今こそ必要です。隣の国同士の関係改善が平和につながる」と訴えました。
日本軍「慰安婦」問題を専門にする弁護士の李相姫（イ・サンヒ）さんは「従軍慰安婦は、国際的に非人道的であり戦争犯罪だと認められている。解決しないといけない問題だ」と語りました。
(２０１５年０６月１１日，「赤旗」)
日本の戦争実態伝える／京都で写真展開催中
フォトジャーナリストの山本宗補氏が取材した国内外の戦争体験者の肖像写真と証言から、日本の戦争の加害と被害の実態を伝える写真展「戦後はまだ…刻まれた加害と被害の記憶」が、京都市北区の立命館大学国際平和ミュージアムで開催中です。
戦前、だまされて日本軍「慰安婦」にさせられ、脱走したら右足のつま先を憲兵に切られたという韓国人女性や、広島に原爆が投下された爆心地から約８７０㍍で被爆した日本人男性など、日本、中国、東南アジアなどの戦争体験者７０人の肖像写真が展示されています。
学芸員の篠田裕介さんは「体験者一人ひとりの表情が見えるので戦争の実態がリアルにつかめると思います」と語ります。
香港から写真展めぐりで訪れた欧陽業鴻（おうよう・ぎょうこう）さん（３３）は「体験者が涙を流している写真の迫力に悲しみが伝わってきた」と話していました。
７月４日まで。時間は午前９時半～午後４時半（入館は４時まで）。月曜日は休館。参観料はおとな４００円、中・高生３００円、小学生２００円。
(２０１５年０６月１１日，「赤旗」)
潮流
元日本軍「慰安婦」のうち、韓国人の生存者は５０人余。日本の歴史学者らが８日、「２０１５年日韓歴史問題に関して日本の知識人は声明する」との文書を発表し、「慰安婦」問題の解決は「共生と和解に向かうための展望を開く世界史的意義を有する」と訴えました▼日韓の歴史問題は２国間の問題にとどまりません。日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会が先月、「東アジア共同体」をテーマに国際シンポジウムを開催。パネリストのインドネシア人研究者は「アジア太平洋地域に平和の共同体を構築する上での課題」の一つとして、安倍晋三首相の歴史認識を挙げました▼パネリストが一様に指摘したのは、東アジア各国間の「信頼の欠如」でした。ここ数年、インドネシア、シンガポール、ベトナムなど東南アジア各国の首脳も同じ懸念を表明しています▼国際政治学者の遠藤誠治・成蹊大学教授は、歴史認識の「政治化」によって「相互不信は以前よりも深くなっている」と指摘。この信頼の問題が「東アジアの国際環境をどのようなものにしていきたいのか、という主体的な選択」の中心にあると言います▼東南アジア各国の首脳は「戦略的な信頼」を呼びかけています。経済の相互依存や人の往来に伴う自然発生的な信頼関係だけでは平和と安定は築けないとして、「戦略」を定めるべきだとの考えです▼日本の「戦略」に不可欠なのは、歴史問題の解決です。安倍首相の歴史認識からは、その展望が見えません。
( ２０１５年０６月１１日，「赤旗」)
戦争法案阻止へ共同／県民組織結成へ準備会／山形
山形市で４日、戦争法案阻止の一点で共同する県民運動組織の結成準備会が開かれました。山形県の国民大運動実行委員会と憲法共同センター、革新懇の３団体が緊急によびかけたもので、準備会には、県労連、民医連、山商連、新婦人、県九条連絡会、日本共産党など１３団体から１７人が参加しました。
太田俊男党県副委員長が情勢報告、峯田博県革新懇事務局長が会の申し合わせなどを提起しました。
「世論は反対が多数。戦争法案絶対阻止の構えと迫力で県民の中へ入っていき情勢を変えよう」、「昨年の県議会で『慰安婦』問題の『河野談話』見直しを求める意見書提出を断念させたときのような運動が必要だ」と活発に討論しました。
▽会の名称を「戦争法案阻止県実行委員会」（仮称）とし賛同する団体・組織・個人で構成する▽１９日に結成総会をかねた学習決起集会▽毎週デモや集会を行い街頭宣伝を増やす▽国・県・市町村議員への要請▽団体ごと署名推進―などを確認しました。
(２０１５年０６月０６日，「赤旗」)
「慰安婦」記念館開館へ／台湾
【台北＝時事】台湾の馬英九総統は３日夜、抗日戦争勝利７０周年の記念フォーラムに出席し、台湾初となる慰安婦記念館を１２月に開館することを明らかにしました。
馬総統は慰安婦問題に強い関心を持ち、「人権侵害の重大な戦争犯罪だ」と指摘してきました。支援団体によると、台湾の元慰安婦の生存者は現在４人、平均年齢は９０歳を超えるといいます。
馬総統は昨年７月に「慰安婦」と「抗日戦争」に関する二つの施設を２０１５年中に設置する意向を表明していました。
( ２０１５年０６月０６日，「赤旗」)
菅長官「取りやめを」
菅義偉官房長官は５日の記者会見で、台湾初の「慰安婦」記念館を開館すると馬英九総統が述べたことに関し、「そうした動きが本格化するようであれば、わが国の立場と相いれない。台湾側にさまざまなルートを使ってしっかり説明して、取りやめになるように詰めていきたい」と語り、開館見合わせを台湾側に働き掛ける考えを示しました。
( ２０１５年０６月０６日，
「慰安婦」ネット／謝罪求めて宣伝／広島
日本軍「慰安婦」問題解決・ひろしまネットワークは３日、広島市で「日本政府は公式謝罪と賠償をしなさい」と書いた横断幕を掲げて街頭署名をしました。約２０人が参加してビラを配り、メンバー３人がハンドマイクで「安倍政権は歴史を歪曲（わいきょく）して戦争する国づくりへと突き進んでいる」とリレートーク。署名した男性（６５）＝広島市＝は「慰安婦を認めない問題は戦争と一体のものだ」と語りました。
(２０１５年０６月０５日，「赤旗」)
韓国大統領、日韓関係正常化へ「努力したい」
【ソウル＝時事】韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領は１日、森喜朗元首相、韓国の李洪九（イ・ホング）元首相ら「日韓・韓日賢人会議」のメンバーと会談し、「早く関係が正常化できるよう努力したい。皆さんの協力もお願いしたい」と述べました。その上で、安倍晋三首相が今夏に発表する戦後７０年談話に、戦後５０年の村山富市首相談話を反映するよう求めました。同席者や大統領府が明らかにしました。
朴大統領は、最近の日韓財務対話や防衛相会談の実現に触れ「各分野で多様な努力を行うことは望ましい方向だ」と強調。同時に「歴史の懸案解決を通じて、関係改善することを願う」とも語りました。戦後７０年談話について「村山談話、（従軍慰安婦問題に関する）河野洋平官房長官談話など歴代政権の歴史認識を明確に示すことが、関係改善に非常に重要だ」と述べました。
慰安婦問題に関しては「早く被害者の名誉回復に向けた努力をお願いしたい」と要請。首脳会談には言及しませんでした。
( ２０１５年０６月０３日，「赤旗」)
「慰安婦」問題、歴史家の声明／資料に基づく事実指摘／米韓から共鳴
歴史学関係１６団体が発表した「『慰安婦』問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明」(５月２５日発表、２７日付に全文掲載）は、日本軍「慰安婦」強制連行を日本の歴史学者の多数が専門家として事実を認め、過去の過ちを二度と繰り返さない姿勢を政治家やメディアに求めています。アメリカの研究者にも影響を与えた声明に至る過程とその意義を見ます。
標準的多数意見
１６団体の声明は①強制連行された「慰安婦」の存在は史料と研究で実証された②「慰安婦」とされた女性たちが性奴隷状態に置かれていた③「慰安婦」問題に関わってきた大学教員と大学に不当な攻撃が加えられ、学問の自由が侵害されている、と指摘しています。
声明は約半年かけて専門家が議論をして作成されました。先行したのは、昨年１０月に歴史学研究会（歴研）が発表した日本軍「慰安婦」問題についての声明です。この声明は、「慰安婦」強制連行への日本軍の深い関与と実行を「ゆるぎない事実」と指摘し、安倍政権に過去の加害に向き合い、被害者に誠実に対応することを求めました。
歴研の声明発表後、より小さな学会や地方の学会から「横並びで歴史学者の総意を示す形での声明発表」を求める意見が出されました。そこで、それぞれ１０００人以上の会員を擁する４団体―歴史学研究会、日本史研究会、歴史科学協議会、歴史教育者協議会で案文を作成し、全国の学会に賛同を呼びかけました。
歴史学研究会の久保亨委員長（信州大学教授）は「研究者個人ではなく、各学会が正式な手続きをへて声明に賛同しています。数千人の歴史研究者の共通の意思といえます。声明は、立場の違いを超えた標準的な歴史学者の多数意見です」と声明の意義を語ります。
共通の認識確認
昨年１０月の歴研の声明は、アメリカの日本研究者に広く知られ、同国の研究者１８７人の声明につながりました。声明の名称は「日本の歴史家を支持する声明」（５日）となっています。アメリカの研究者の声明は日本軍「慰安婦」問題について、「大勢の女性が自己の意思に反して拘束され、恐ろしい暴力にさらされたことは、既に資料と証言が明らかにしているとおりです」と指摘しています。
アメリカの研究者の意見を取りまとめたある研究者は「日本の歴史学研究会の声明は、安倍政権の『慰安婦』問題に対する姿勢を強く批判する内容でした」（コネティカット大学教授アレクシス・ダデン氏）、「声明は多くの人たちが読み、大きな反響を呼びました」（ジョージタウン大学教授ジョルダン・サンド氏）といいます。
久保氏は「二つの声明は、日米の研究者が共通の認識を相互に確認したことを示しました」と緩やかな連携を指摘します。
今回の声明発表の記者会見には、韓国メディア１０社、中国の新華社通信も参加しました。
ハンギョレ新聞、朝鮮日報、東亜日報など韓国主要紙は声明を会見の翌日に大きく報道しました。日本の歴史研究者の意見表明がアメリカの研究者と共鳴し、さらに韓国でも注目されています。「慰安婦」問題の事実から目をそらす一部の政治家やメディアの態度は、日本の国際的な孤立をもたらすものです。
安倍政権は「戦後７０年談話」を夏に発表しようとしていますが、久保氏は「歴史学者は、これまで『慰安婦』問題を含めて日本の侵略戦争と植民地支配の事実を資料に基づいて明らかにし、反省しないといけないと指摘してきました。事実と反省をふまえて日本の政治の方向を考えるべきです」と指摘します。
（若林明）
( ２０１５年０６月０２日，「赤旗」)
（５月）ヘッドライン
「個人の尊重」考えよう／憲法１３条テーマにシンポ／日弁連など
アジア安全保障会議／〝過ち認める必要ある〟／終戦７０年、日本に苦言／シンガポール首相
女性の地位向上訴え／省庁要請・署名提出／婦団連
論壇時評／田代忠利／歴史認識、「戦争法案」、格差／〝名誉ある〟国のあり方問う
歴史学関係１６団体の「慰安婦」問題の声明
憲法ミュージカル第４弾／原水爆なくそう／市民１００人が熱演／甲府
日本軍「慰安婦」問題の解決へアジア連帯会議／高齢の被害者、たたかう意志
「慰安婦」問題／強制連行否定を批判／歴史学１６団体が声明
「慰安婦」問題解決早く／アジア連帯会議閉幕／ソウル
「慰安婦」問題解決を／アジア連帯会議始まる／ソウル
世界の日本研究者／安倍首相に過去の過ち清算要求／署名賛同４５０人超す
大阪市住民投票／維新の呪縛解く出発点に／新婦人大阪府本部会長川本幹子さん
「日本は隣国と良い関係構築を」／ケリー米国務長官
潮流
大阪「都」構想／橋下氏の７年振り返る／独裁・福祉くらし切り捨て／暴言の数々
日中韓首脳会談目標
世界文化遺産の理解求める
安倍首相の歴史認識／世界が懸念／国際社会復帰の前提覆す／元外務省国際情報局長孫崎享さん
日本人「慰安婦」問題考えた／東京で出版記念セミナー
あすは「母の日」／衆院議員７氏が語るお母さん
安倍首相に送付した日本研究者の声明／要旨
偏見ない過去の清算を／欧米の日本研究者ら１８７人、安倍首相に声明送付
安倍首相の米訪問、識者も警告／「村山談話」否定に利用／米スタンフォード大学ショレンスタイン・アジア太平洋研究センター副所長ダニエル・スナイダー氏に聞く
平和ミュージアム／戦争加害伝える／１２月に徳島市で
安倍首相に抗議デモ
首相米議会演説／各国の反応／首相の「歴史」に懐疑的な見方／米メディア
首相米議会演説／各国の反応／真の謝罪なく非常に遺憾／韓国外務省
〝「慰安婦」は人身売買でなく国家の犯罪〟／安倍首相演説に抗議行動／米議会前
安倍首相、米議会演説／「希望」どころか「屈辱」の同盟／米の歓心得るため国民犠牲
安倍首相、米議会演説／米国で示された安倍氏の歴史認識／政府責任免罪の意図
５月（本文）
３１
「個人の尊重」考えよう／憲法１３条テーマにシンポ／日弁連など
日本弁護士連合会（日弁連）と東京の弁護士会は３０日、シンポジウム「今、あらためて『個人の尊重』を考える―『国益』や『国の名誉』の名のもとに何がおこっているのか」を、東京都千代田区の弁護士会館で行いました。約４５０人が参加しました。主催は日弁連、東京弁護士会、第１東京弁護士会、第２東京弁護士会。
日本国憲法第１３条は、「国家のため」という名目で多くの命が犠牲になった戦争経験から学び、恒久平和と基本的人権の基礎として規定されました。村越進日弁連会長は「個人の尊重がおびやかされ〝国益〟が最優先される風潮を感じる。ともに考えあいたい」とあいさつしました。
パネルディスカッションで、ヘイトスピーチ（差別扇動行為）や、日本軍「慰安婦」の被害者を報じた元新聞記者に対する個人の尊厳を傷つける攻撃などについて、作家の田中伸尚氏、ジャーナリストの青木理氏、弁護士の師岡康子氏、学習院大学教授の青井未帆氏が討論しました。
師岡弁護士は「日本政府は差別を放置している。人種差別撤廃条約に基づいた責任を追及し、国民が差別をなくすために行動することが求められている」と話しました。
青木氏は「憲法に書いてある『不断の努力』（１２条）をしなければ、あっという間に奪われてしまうのが、個人の尊重や言論の自由だと思う。努力を積み重ねるしかない」と語りました。
青井教授が、国会で審議中の「安保法制法案」と秘密保護法をテーマに講演しました。
( ２０１５年０５月３１日，「赤旗」)
アジア安全保障会議／〝過ち認める必要ある〟／終戦７０年、日本に苦言／シンガポール首相
シンガポールのリー・シェンロン首相は２９日、同地で開幕したアジア安全保障会議で基調講演に立ち、第２次世界大戦終結７０周年の今年、日本と中国、韓国の間に「あの戦争の影が差し続けている」として、「日本は過去の過ちを認める必要がある」と指摘しました。
同首相は、「日本の世論は、右翼的な学者や政治家たちによる途方もない歴史解釈をもっときっぱりと拒否しなければならない」と指摘。日本が一般的な言葉で謝罪や反省を表明してきたものの「慰安婦、南京大虐殺など具体的な問題では、よりあいまいな立場をとってきた」と苦言を呈しました。
同首相は、「欧州諸国が行ったように、私たちはとっくの昔にこの（戦争の）歴史を適切に乗り越えていていいはずだ」と述べ、双方の「政治的資質と心の広さ」が求められると強調。中韓両国に対しては、「戦争の歴史を、将来世代に敵意を永続させるために利用すべきではない」などと促しました。（関連６面）
( ２０１５年０５月３１日，「赤旗」)
女性の地位向上訴え／省庁要請・署名提出／婦団連
日本婦人団体連合会は２９日、衆院第２議員会館で男女平等と女性の地位向上を求めて省庁要請を行いました。
柴田真佐子会長はあいさつで今年が第３次男女共同参画基本計画の最終年だとし、「計画の完全実施と実効ある第４次男女共同参画計画の策定を求めます」と訴えました。
要請では内閣府や厚労省、文科省、外務省などに対し、▽民法・戸籍法の改正▽所得税法５６条の廃止▽子ども・子育て支援新制度の見直しと認可保育所増設▽労働基準法や労働者派遣法を改悪しないこと▽公務職場の長時間過密労働の是正と業務量に見合った定員の確保▽国際規範の尊重と慰安婦問題の解決―などを求めました。
参加者は「家族従業者の働き分を認めないことで単価が低く、生きていかれない」（全婦協）、「認可保育所に入れず３年間一時保育を３カ所かけもちしている」（新婦人）、「ＪＡＬでは妊娠を伝えたら、無給で休職させられている」（全労連女性部）など実態を示して早急な改善を求めました。
要請に先立ち、約５万の個人・団体署名を日本共産党の梅村さえこ、畑野君枝両衆院議員に提出しました。署名は▽民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正▽「戦時慰安婦」問題の最終解決▽女性差別撤廃条約選択議定書のすみやかな批准―を求めるものです。
( ２０１５年０５月３０日，「赤旗」)
論壇時評／田代忠利／歴史認識、「戦争法案」、格差／〝名誉ある〟国のあり方問う
戦後７０年の今年、安倍内閣は過去の戦争への反省のないまま「戦争法案」を国会に提出しました。村山富市（元首相）・河野洋平（元衆院議長）「日本の歴史認識とアジア外交の未来」（『世界』）は、安倍内閣が事実上放棄しようとしている村山談話（１９９５年）、河野談話（９３年）の当事者による対談です。
「国際社会での足場失う日本」
村山氏は「侵略と植民地支配という過ちを率直に認めて謝罪の念と再び過ちを繰り返さない決意を表明することによって、日本はアジアの一員としての立場を回復できる」と考えて談話を出したと説明しています。そして最近アジアの信頼をえるような独自外交をしていない日本は「国際社会で発言する足場を失ってしまう」と危惧を表明します。
河野氏は日本軍「慰安婦」問題について、「軍の管理下において多数の女性が名誉と尊厳を無視された痛ましい状況に置かれていたという事実は否定のしようがない」と断言します。甘言、強圧による徴集や、敗戦直後の公文書の大量焼却は事実だし、そういう徴集命令は公文書に残すはずがないことも指摘。河野氏は、女性の集め方だけを取り出す批判者の議論を、「女性たちの人権と名誉の回復という点を全く無視した議論」と非難します。談話は、事実を率直に認めて謝罪し、近隣諸国との和解を進めることで「自国の名誉を少しでも回復したい」と考えて出したといいます。河野氏は極右派からさんざん悪罵を投げつけられましたが、「河野談話については差し引くことも加えることも一切ありません」と毅然とした態度をしめしています。
両氏は安倍内閣の集団的自衛権行使容認も批判します。「脅威」をいいたてる首相にたいして、村山氏は「先進国同士の戦争は過去のものになりつつある」と、また河野氏は「いま日本を侵略しようという意図を持っている国があるでしょうか」と反論します。
河野氏は「日本人ならば狙われることなく安全だという平和国家としてのありかたを大事にしていく」よう求め、軍事的対応の枠組みづくりに疑問を呈しています。
全体主義描いた小説に首相重ね
長谷部恭男（早稲田大学教授）・杉田敦（法政大学教授）「安保法制 安倍政権の『話法』から考える」（「朝日」５月２４日付）は、「平和安全法制」の名称は全体主義を描いたオーウェルの『１９８４年』に登場する「戦争は平和である」のような「新語法」（アベコベ表現）だと指摘しています。長谷部氏は、自衛隊が米軍の軍事作戦を支援しながら戦争に巻き込まれることは「絶対にありえない」とか、自分への批判は「レッテル貼り」だが自分の批判は「言論の自由」だ、などの首相の言明も例にあげます。同書には「無知は力である」というスローガンも出てきますが、杉田氏は、「戦後レジーム」からの脱却をいいながらポツダム宣言を読んでいない首相の姿勢をそれに重ね合わせています。
学力格差を防ぐ教育機会の保障
『中央公論』は「教育格差の正体」を特集しています。前川喜平（文部科学審議官）・耳塚寛明（お茶の水女子大学教授）「対談 学力格差にどう向き合うか」で、前川氏はＯＥＣＤの調査では教員の１週間あたりの勤務時間が日本は５３・９時間、調査参加国の平均は３８・３時間だと紹介し、教員を増やして負担を減らすよう提案しています。耳塚氏は、少人数教育の学校は成果を上げており、学力格差は教育問題というより社会問題なので、「所得の再分配や雇用の確保、保護者の就労支援、教育機会を保障する経済的な支援などがまず必要」と主張しています。
尾木直樹（法政大学教授）「点取り競争から抜け出せない大人が教育を駄目にしている」も、必要な教育は無償で受けられ、教育に貧富の差があってはいけないのが世界の原則だと論じています。
『ＡＥＲＡ』（５月２５日号）は「格差と貧困」を特集しています。池上彰（東京工業大学教授）・佐藤優（元外務省主任分析官）「対談 エリートには貧困が見えない」で、ひどい搾取や格差拡大を食い止める歯止めとして「マルクス経済学的な知性」をあげた池上氏の発言に注目しました。
（たしろ・ただとし）
今月の動向
・瀬藤澄彦（帝京大学教授）「実は『強い』フランス経済」（『週刊エコノミスト』） 手厚い社会保障制度で景気が安定しているフランス経済をリポート。
・本秀紀（名古屋大学教授）「軍事法制の展開と憲法９条２項の現在的意義」（『別冊法学セミナー』） 憲法９条２項こそが、平和な世界を実現する現実的で堅実な選択肢だと主張。(編集部)
( ２０１５年０５月２７日，「赤旗」)
歴史学関係１６団体の「慰安婦」問題の声明
歴史学関係の１６団体が２５日に発表した「『慰安婦』問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明」の全文は次のとおりです。
朝日新聞による２０１４年１０月の記事取り消しを契機として、日本軍「慰安婦」強制連行の事実が根拠を失ったかのような言動が、一部の政治家やメディアの間に見られる。われわれ日本の歴史学会・歴史教育者団体は、こうした不当な見解に対して、以下の三つの問題を指摘する。
第１に、日本軍が「慰安婦」の強制連行に関与したことを認めた日本政府の見解表明（河野談話）は、当該記事やそのもととなった吉田清治による証言を根拠になされたものではない。したがって、記事の取り消しによって河野談話の根拠が崩れたことにはならない。強制連行された「慰安婦」の存在は、これまでに多くの史料と研究によって実証されてきた。強制連行は、たんに強引に連れ去る事例（インドネシア・スマラン、中国・山西省で確認、朝鮮半島にも多くの証言が存在）に限定されるべきではなく、本人の意思に反した連行の事例（朝鮮半島をはじめ広域で確認）も含むものと理解されるべきである。
第２に、「慰安婦」とされた女性は、性奴隷として筆舌に尽くしがたい暴力を受けた。近年の歴史研究は、動員過程の強制性のみならず、動員された女性たちが、人権を蹂躙（じゅうりん）された性奴隷の状態に置かれていたことを明らかにしている。さらに、「慰安婦」制度と日常的な植民地支配・差別構造との連関も指摘されている。たとえ性売買の契約があったとしても、その背後には不平等で不公正な構造が存在したのであり、かかる政治的・社会的背景を捨象することは、問題の全体像から目を背けることに他ならない。
第３に、一部マスメディアによる、「誤報」をことさらに強調した報道によって、「慰安婦」問題と関わる大学教員とその所属機関に、辞職や講義の中止を求める脅迫などの不当な攻撃が及んでいる。これは学問の自由に対する侵害であり、断じて認めるわけにはいかない。
日本軍「慰安婦」問題に関し、事実から目をそらす無責任な態度を一部の政治家やメディアがとり続けるならば、それは日本が人権を尊重しないことを国際的に発信するに等しい。また、こうした態度が、過酷な被害に遭った日本軍性奴隷制度の被害者の尊厳を、さらに蹂躙することになる。今求められているのは、河野談話にもある、歴史研究・教育をとおして、かかる問題を記憶にとどめ、過ちをくり返さない姿勢である。
当該政治家やメディアに対し、過去の加害の事実、およびその被害者と真摯（しんし）に向き合うことを、あらためて求める。
歴史学関係１６団体
日本歴史学協会
大阪歴史学会
九州歴史科学研究会
専修大学歴史学会
総合女性史学会
朝鮮史研究会幹事会
東京学芸大学史学会
東京歴史科学研究会
名古屋歴史科学研究会
日本史研究会
日本史攷究（こうきゅう）会
日本思想史研究会（京都）
福島大学史学会
歴史科学協議会
歴史学研究会
歴史教育者協議会
( ２０１５年０５月２７日，「赤旗」)
憲法ミュージカル第４弾／原水爆なくそう／市民１００人が熱演／甲府
市民ミュージカル「鯨波（とき）の声～ラッキードラゴンと呼ばれた船、第五福竜丸」が２４日、甲府市のコラニー文化ホールで上演され、昼夜２回公演に３０００人を超す観客が集まりました。
主催は、山梨憲法ミュージカル２０１５実行委員会（春日正伸委員長）。これまで憲法や原水爆、慰安婦問題をテーマに、上演しており今回で４回目。
「鯨波の声」は、マグロ漁船「第五福竜丸」（静岡県焼津市）が１９５４年３月、太平洋・ビキニ環礁付近で米国の水爆実験による「死の灰」を浴びた事件を題材にしたもの（原案＝諏訪部農、構成・演出＝小笠原）。
公募で集まった小学生から８０代までの市民１００人が歌や踊りで表現しました。
公演には、実行委員会の招きで第五福竜丸元乗組員の大石又七さん(８１)＝東京都＝も来場。聴衆から大きな拍手が寄せられました。
初公演から連続して出演してきた甲府市の根深なづきさん（１７）は､｢小さいころはテーマを理解するのが大変だったけど、今は〝原水爆はなくすべきだ〟としっかり理解できて演じられました。大勢の人に見てもらってよかった｣と話しました｡
(２０１５年０５月２６日，「赤旗」)
日本軍「慰安婦」問題の解決へアジア連帯会議／高齢の被害者、たたかう意志
第１３回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議が２２～２４日、韓国のソウルで開かれました。「慰安婦」被害者や各国・地域の支援者らが集い、戦後７０年の節目の年に何としても問題を解決しようと決意を固め合いました。
（ソウル＝栗原千鶴 写真も)
「『慰安婦』をつくったのは日本じゃないですか。私は元『慰安婦』ではなく、李容洙（イ・ヨンス）です」
開会式の会場に被害者の一人、李容洙さん(８６)の声が響きました。
日本の対応批判
１９９１年８月１４日、金学順（キム・ハクスン）さん（故人）が韓国で初めて「慰安婦」被害者を名乗り出て２４年。いまだ問題が解決していない現状に、被害者は口をそろえて、日本の不誠実な対応を批判しました。
今年、同会議に参加した被害者は韓国とフィリピンの６人。生存している被害者は台湾が５人、東ティモール９人、フィリピン９５人、韓国５３人―。ほとんどが８０代後半となり、外出すらままならない人もいます。
東ティモール人権協会のビクトリア・ロペス・フェルナンデスさんは、同国政府が日本政府に対して真相究明を求めていない姿勢が被害者に２次的苦痛を与えていると語ります。
フィリピンでは１９９２年以降、全国各地で約１７０人の被害者が立ち上がりましたが、現在、活動できる被害者は６人ほど。支援団体リラ・ピリピーナのレチルダ・エクストレマドゥラさんは、犠牲者たちの体は弱ったが、同じ被害者を生み出さない社会のためにたたかい続ける強い意志を持ち続けていると報告しました。
後世に受け継ぐ
多くの犠牲者が亡くなっていくなか、後世に受け継ぐ活動も活発に行われています。
東ティモールでは人権協会が、日本軍が同国を侵略した日を持続的に記憶する行事を開催したり、被害者の証言を映像に残す活動を行ったりしています。
台湾では学生たちが、写真の展示会や懇談会を開催。中国や香港ではテレビ局が時事番組で特集を放送するなどの努力が行われています。韓国では第２の都市・釜山や主要都市である大邱などに博物館の建設が予定されています。
閉会式で採択した決議は「日本政府の責任を厳重に問」うとし、実践を強めると再確認。昨年、同会議がまとめた「日本政府への提言」（別項）を早急に実行するよう各国の日本大使館に働きかけていくことや、各国の歴史教科書に記述を推進する活動などを呼び掛けました。
被害者の金福童（キム・ボクトン）さん(８９)は閉会式で、「これだけたたかっているのだから、必ずいつか解決するときがくるでしょう。各国に戻って一人でも多くの人に事実を知らせてほしい」と語りました。
日本政府への提言
①政府と軍が「慰安所」を立案･設置し、管理･統制した②本人たちの意に反して「性奴隷」にされ、強制的な状況におかれた③被害は多様で甚大であり、現在も続いている④当時の国内法・国際法に反する―の４点の事実を認めた上で、▽明確な謝罪▽謝罪の証しとしての賠償▽真相究明▽教科書記述などの再発防止措置―を求めています。
( ２０１５年０５月２６日，「赤旗」)
「慰安婦」問題／強制連行否定を批判／歴史学１６団体が声明
歴史学研究会など歴史学関係１６団体は２５日、日本軍「慰安婦」問題に関する声明を国会内で記者発表し、一部政治家やメディアが日本軍「慰安婦」の強制連行を否定する言動を行っていることを批判しました。
声明は、「強制連行された『慰安婦』の存在は、これまでに多くの史料と研究によって実証されてきた」と指摘。「慰安婦」たちが筆舌につくしがたい暴力をうけ、「性奴隷状態に置かれていた」と述べています。その上で、「慰安婦」問題の事実から目をそらす一部政治家やメディアの無責任な態度は、「日本が人権を尊重しないことを国際的に発信する」ことになると指摘しています。
声明は、歴史学研究会、日本史研究会、歴史科学協議会、歴史教育者協議会などが呼びかけ、半年近い時間をかけて準備されてきました。現在１６の団体から賛同が寄せられ、今後も賛同団体は増える予定です。
歴史学研究会の久保亨委員長は「声明は立場をこえた多数の歴史家の標準的な考え方だ。政治家が『専門家の意見を聞く』というならば、この声明に耳を傾けるべきだ」と述べました。
会見には、服藤早苗歴史科学協議会代表、丸浜昭歴史教育者協議会事務局長らが同席しました。
( ２０１５年０５月２６日，「赤旗」)
「慰安婦」問題解決早く／アジア連帯会議閉幕／ソウル
【ソウル＝栗原千鶴】ソウル市内で開かれた第１３回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議は２３日、日本政府に対し、「慰安婦」問題を早期に解決するよう求める決議を採択し閉会しました。
同決議は、日本軍「慰安婦」問題をはじめ侵略戦争と植民地支配に対する責任を否定している日本政府が、いま軍国主義を露骨に推し進め、一層アジアとの対立を引き起こしていると指摘。「日本政府の平和に反する行動に警告を送り、速やかにやめさせることを確認」しました。
その上で、日本政府に対し、昨年の同会議で採択した日本政府への提言（別項）を即時履行するよう要求。戦後７０年にあたって安倍政権が準備を進めている「安倍談話」に、河野談話、村山談話を継承・発展させるよう求めました。
また、被害国の政府に対しても、国内での被害者の人権回復を求めるとともに、支援を強化するよう求めています。
同会議は、韓国挺身隊協議会（尹美香〈ユン・ミヒャン〉常任代表）の主催で行われ、フィリピンと韓国の被害者が参加。東ティモール、中国、台湾、米国、日本、韓国、フィリピンの支援団体の関係者が集い、オランダ、カナダ、ドイツ、北朝鮮の各関係団体が書面で報告を寄せました。
日本政府への提言
①政府と軍が「慰安所」を立案・設置し、管理・統制した②本人たちの意に反して「性奴隷」にされ、強制的な状況におかれた③被害は多様で甚大であり、現在も続いている④当時の国内法・国際法に反するという４点の事実を認めた上で、▽明確な謝罪▽謝罪の証しとしての賠償▽真相究明▽教科書記述などの再発防止措置――を求めています。
( ２０１５年０５月２４日，「赤旗」)
「慰安婦」問題解決を／アジア連帯会議始まる／ソウル
【ソウル＝栗原千鶴】日本軍「慰安婦」問題の解決に向け話し合う第１３回アジア連帯会議が２２日、ソウルで始まり、韓国とフィリピンの被害者をはじめ、アジア各国から支援者らが参加しました。被害者が次々と亡くなるなか、参加者の間には、戦後７０年の節目の年に何としても解決させようという思いが広がりました。
６人の被害者は、それぞれ思いのたけを発言しました。フィリピンから参加したエステリータ・バスバーニョ・ディさん（８５）は、被害にあった当時の様子を涙ぐみながら話し、「二度と若い世代に同じことがおきないようにしたい。戦争はダメだ」と語りました。
被害者だと名乗り出てから２３年がたった李容洙（イ・ヨンス）さん（８６）は、「日本にも、米国にも行って体験を話してきた。安倍さんには聞こえていないのでしょうか。そして、反省もしていないのに、また戦争をしようとしている」と日本政府を厳しく批判しました。
同会議を主催した韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会（挺隊協）の尹美香（ユン・ミヒャン）常任代表は基調報告で、第１回が開催された２３年前は韓国と日本以外に支援団体などがなかった現状に触れながら、「連帯活動は、『慰安婦』制度の真実を世界に知らせ、戦時性暴力が人道に反する犯罪だということなどの基準をつくってきた」と強調。今回の会議では、国連次元での真相調査を要求することや、さらに多くの国々や市民団体などと連帯し、日本政府に解決に向けた行動をとるよう圧力をかけることなどを提案しました。
日本からの特別報告を行った日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表の梁澄子さんは、安倍首相が、当時の「慰安婦」を「人身売買の犠牲」などとした発言に言及。「強制連行ではないと印象付けるもくろみだ」とし、「安倍政権への批判を結集させていくことが、解決への道だ。戦後７０年の今年こそ解決しなければならない」と語りました。
会議には、中国、東ティモール、台湾、米国などからも参加。各国・地域の報告が行われ､行動提起､決議を採択し､２３日閉会します｡
( ２０１５年０５月２３日，「赤旗」)
世界の日本研究者／安倍首相に過去の過ち清算要求／署名賛同４５０人超す
【ワシントン＝時事】戦後７０年の節目に日本の過去の過ちの清算を安倍晋三首相に促した日本研究者ら１８７人の声明に新たに約２７０人が加わり、署名者が４５０人を超えたことが１９日、分かりました。新たな賛同者には、米バード大のイアン・ブルマ教授らが名を連ねています。
声明は４日に首相官邸に送付されました。いわゆる慰安婦問題などを念頭に「私たちは大胆な行動を首相に期待してやまない。過去の過ちについて、でき得る限り偏見なき清算をともに残そう」と提唱。一方で「慰安婦問題は日本だけでなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によって、あまりにゆがめられてきた」などとも指摘しています。
呼び掛け人の１人、米コネティカット大学のアレクシス・ダデン教授は「学者の世界の狭さを考えれば、署名者数は本当に印象的。西欧、東欧、米国、南米、タスマニア、オーストラリア、日本など（居住国も）多様だ」と語り、声明に幅広い支持が集まっている意義を強調しました。
( ２０１５年０５月２１日，「赤旗」)
２０
大阪市住民投票／維新の呪縛解く出発点に／新婦人大阪府本部会長川本幹子さん
７年半の維新政治の呪縛を解く出発点です。橋下徹大阪市長はあらゆることに対立を持ち込んできました。公務員と民間、若者と高齢者、教員と保護者…。分断をもちこんで、自分の生活の苦しさがその相手にあると思いこませる手法です。
大阪の女性は、橋下市長の一連の言動からみても「都」構想が決してバラ色でないことを見抜いてきました。橋下市長の「慰安婦」暴言を許さない、男女共同参画センターを守れ、の共同が広がりました。「女性は『都』構想に反対です」のビラには立場の違いを超えて１００人以上の女性が賛同しました。
中学３年生までの子ども医療費助成も豊かな市の財政があってこそ、の呼びかけに子育て世代の大きなうなずきがありました。暮らしの視点で対話すること、要求でつながり合う大切さを学んだ今回のたたかいでした。
(２０１５年０５月２０日，「赤旗」)
「日本は隣国と良い関係構築を」／ケリー米国務長官
【ソウル＝時事】韓国訪問中のケリー米国務長官は１８日、外務省で尹炳世（ユン・ビョンセ）外相と会談しました。ケリー氏は「歴史問題は癒やしと和解の方向で対応してほしい」と述べ、日韓の首脳会談実現と関係改善を促しました。会談後の共同記者会見で明らかにしました。
ケリー氏は会見で「日韓の建設的な関係は地域の平和と繁栄に最も重要だ」と強調。「慰安婦問題は残酷で甚だしい人権侵害だ」との認識を示し、「米国は日本に対し、過去から踏み出し、隣国とより良い関係を構築するよう促している」と説明しました。その上で、「日韓両国が、敏感な歴史問題に自制心を持って対応し、対話を継続し、互いに受け入れ可能で未来志向的な解決策を見いだすことを望む」と求めました。
また、韓国が懸念する日米の新たな防衛協力の指針（ガイドライン）に関し「韓国が承認しない行動は絶対にしない」と語りました。
( ２０１５年０５月１９日，「赤旗」)
潮流
かつて永六輔さんがこんなことを言っていました。「民主主義というのは、ゆっくり機能するものなのです。テキパキやりたいなら、独裁主義にしないと」▼自分たちの権利や生活を守るため国民同士が話し合い、主権者となって国を動かしていく。それには手間暇もかかるというのでしょう。その意味からいえば、似つかわしくない人物が盛んに「民主主義」を口にしていました▼政治生命をかけた政策に市民からノーを突きつけられた橋下徹大阪市長。会見で、日本の民主主義をレベルアップさせた、民主主義はすばらしい、と。「日本の政治で一番重要なのは独裁」と言い放った彼が、民意によって否定されました▼テレビで人気のタレント弁護士から政治の世界に転じて７年余。大阪の府知事や市長を務め、政党を立ち上げ、やろうとしたことは何だったのか。性急で強引な手法、過激な言動。福祉や文化を後退させ、日本軍慰安婦について「当時は必要だった」と発言。改憲にも前のめりでした▼市民を巻き込み、対立をもたらした「都」構想も、みずからの野望のため。巨額の借金、急速に進む少子高齢化、全国最多の生活保護受給者…。大阪が抱える課題を巧みにすり替えて、期待の声を集めようとしたのです▼賛成票を投じた若者は「大阪を変えてくれると思って」と話していました。先行きの見えない現状のなかで、変化をもとめる市民は多い。今度はくらしや民主主義に足場を置いた勢力が共同して、それをかなえていく番です。
( ２０１５年０５月１９日，「赤旗」)
大阪「都」構想／橋下氏の７年振り返る／独裁・福祉くらし切り捨て／暴言の数々
大阪府・市政を担った７年間で数々の詭弁（きべん）・暴言を弄してきた橋下徹大阪市長。その言動を振り返ります。
「政治家を志すっちゅうのは、権力欲、名誉欲の最高峰だよ」（２００６年１２月、著書『まっとう勝負！』）
「２万％ない」（０７年１２月６日、府知事選出馬について）→同１２日、出馬表明
指揮官を１人に
【大阪市廃止・解体】
「府市を解体して指揮官を１人にすれば、全ての問題は解決する」（１０年２月２２日）
「大阪市の権限、財源をむしり取る」（１１年６月２９日、政治資金パーティーで）
「（大阪市を）バラバラにしない。五つにまとめるだけ」（１４年３月９日、出直し市長選の第一声）
「８割の人が大阪都構想、よく分からないと言ってます。でもいいんです」（１４年１０月１１日、街頭で）
「単純な話、今やっている維新政治を誰が知事になっても継続していくことだ」（１４年１０月２５日、街頭で）
「大阪都構想やったからといって、お金が極端に増えるわけでもありません」（１５年４月２７日、住民投票告示日に街頭で）
「格差と言うか特色と言うかは言いよう」（同日、大阪市を廃止してつくる五つの特別区間に住民サービスの格差が生まれるとの指摘に）
公立病院の廃止
【くらし切り捨て】
「大阪市民は非常にぜいたくな住民サービスを受けている」（１２年４月５日、記者団に）
「地下鉄に乗らずに歩くことで健康になる人はいっぱいいる」「１駅分２駅分敬老パス使わずに、なければ歩いて行こう」（１２年５月２３日、市議会民生保健委で、「敬老パス有料化で高齢者の外出の頻度が落ちれば健康のレベルが下がる」と指摘され）
｢ばくだいな公金を投入して公立病院を維持するのは､行政のありかたとして間違っている｣(１５年１月２２日､市議会民生保健委で､存続を求める署名７万人分が提出された市立住吉市民病院廃止に関し)
カジノ法案を
【大型開発・企業優先】
「強い国になるためにカジノ法案を通してほしい」「小さいころから勝負を積み重ねて勝負師になれないと世界に勝てない」（１０年１０月２８日、カジノ推進団体の総会で）
「原発の再稼働を認めなければ（府県民には）応分の負担がある」「産業には影響を与えないようにする」（１２年４月２６日、関西広域連合の会合・囲み取材で）
自己責任の国
【教育】
「日本は自己責任の国。いやなら出ていくしかない」（０８年１０月２３日、私学助成を削減しないよう訴えた高校生に）
「教育とは２万％強制」（１１年６月１２日、ツイッターで）
「蹴られた怖さ、腹をどつかれた痛さが分かれば歯止めになる」（１２年１０月、教育振興基本計画有識者会議で）
重要なのは独裁
【強権】
「日本の政治のなかで一番重要なのは独裁」（１１年６月２９日、政治資金パーティーで）
「皆さんは国民に命令する立場になった」（１２年４月２日、新規採用職員に対し）
「市長の顔色をうかがわなくてだれの顔色をうかがうのか」（１２年４月１３日、市議会財政総務委で）
「民主主義はフィクション（つくり事）」（１４年１月６日、記者団に）
憲法９条が原因
【憲法・ほか】
「（震災）がれき処理になったら一斉に拒絶。全ては憲法９条が原因」（１２年２月２４日、ツイッターで）
「慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」（１３年５月１３日、記者団に）
「憲法改正は絶対必要だ｡もう安倍総理しかできないと思う｣｢その予行練習ですよ､大阪都構想は｣(１５年１月１５日､記者団に)
(２０１５年０５月１４日，「赤旗」)
日中韓首脳会談目標
【ソウル＝時事】韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相は１２日付の中央日報掲載のインタビューで、日中韓首脳会談を開催することが「今年後半の最大の目標」と述べました。その上で、最近、日中首脳会談が行われたことなどを指摘し、「環境がだいぶ良くなった。（中国が３カ国首脳会談に）反対する大義名分も相当弱まった」と述べました。
互いが相手国を訪れる形での首脳会談の実現には「国民が望む結果を念頭に置かねばならず、慰安婦問題を含むいくつかの進展が必要だ」と語りました。
また、安倍晋三首相と朴槿恵（パク・クネ）大統領が昨年１１月、北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）の夕食会で対話したことに関し、「隣の席で１時間以上話した」と説明。「当時は、儀礼的な話だけだったと言われたが、実際には踏み込んだ話もたくさんした」と明らかにしました。
( ２０１５年０５月１４日，「赤旗」)
世界文化遺産の理解求める
【ソウル＝時事】超党派の国会議員でつくる日韓・韓日議員連盟の合同幹事会が１１日、ソウルで開かれ、７月前半に東京で総会を行うことで大筋合意しました。また、日本側は、国連教育科学文化機関（ユネスコ）の諮問機関が明治日本の産業革命遺産を世界文化遺産として登録するよう勧告したことについて、韓国側の理解を求めました。日本側幹事長の河村建夫元官房長官が記者団に説明しました。
世界文化遺産に関し、日本側は、申請の対象時期と、一部施設で朝鮮半島出身者を強制徴用した時期とは異なると説明。韓国側からは「両国に信頼関係がない中で出てきたため、微妙な問題になってしまった」といった発言はありましたが、反発の声はなかったといいます。
また、幹事会では、日韓首脳会談に向けた雰囲気づくりに努力することで一致。慰安婦問題など歴史認識に関しても率直に意見交換していくことを確認しました。
( ２０１５年０５月１２日，「赤旗」)
安倍首相の歴史認識／世界が懸念／国際社会復帰の前提覆す／元外務省国際情報局長孫崎享さん
改めて問われる軍国主義の総括
戦後７０年談話をめぐり、米国や韓国など諸外国は、安倍首相が日本の侵略を認めず、謝罪しないでいいような形で乗り切ろうとしていると見ています。
安倍首相や、その周辺の人々は、旧日本軍「慰安婦」や南京事件の一部を否定する形で、あたかも問題自体がなかったようにしようとしています。これは、極東軍事裁判（東京裁判）受諾を含むサンフランシスコ講和条約という、日本が国際社会に復帰した大前提も覆す歴史修正の動きと受けとられています。
しかし、これでは米国との関係も非常にぎくしゃくしたものになる可能性があります。安倍首相の訪米を前にしたローズ大統領副補佐官の発言は異例です。米国の危機感の現れといえます。
世界では、第２次世界大戦を引き起こした日本の軍国主義は、ドイツのナチと同列で扱われます。「ナチとは違う」といっても、世界は受け入れません。
安倍政権自身による歴史修正の動きで、米国を非常に不安にさせ、世界から改めて日本が第２次大戦の総括をどうするのか注目を集める結果となってしまっています。歴史問題で重要な位置を占める村山談話を継承し、同じように自国の侵略を認め、謝罪を明確にする必要があります。
日米防衛ガイドラインも改定されました。世界各地での米軍の作戦に自衛隊を派遣する体制づくりです。集団的自衛権同様、その本質は、米国の戦略のために自衛隊を使えるようにすることです。
不安定招く米戦略／参加する理由なし
よく〝冷戦後の国際社会の安全保障環境が変化し、日本も応分の協力をすべきだ〟と言われます。しかし米国が行った軍事介入で世界はまったく安定化に向かっていません。イラク戦争、アフガニスタン戦争、リビア攻撃、シリア攻撃は、すべてが地域の不安定をもたらし、その不安定が世界に拡大する流れになっています。それに日本が参加すべき理由はありません。
米国は現在、民主党オバマ政権ですが、来年の大統領選で、軍事介入に積極的な共和党政権になれば、同盟国に軍事作戦への参加をさらに強く求めてくるでしょう。その時に、集団的自衛権の行使を容認しガイドラインを改定した本当の危険が現れてくることになります。
（聞き手・藤川良太記者)
まごさき・うける＝１９４３年生まれ。駐イラン大使、駐ウズベキスタン大使、外務省国際情報局長などを歴任
(２０１５年０５月１０日，「赤旗」)
日本人「慰安婦」問題考えた／東京で出版記念セミナー
「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター（ＶＡＷＷ ＲＡＣ）は９日、『日本人「慰安婦」―愛国心と人身売買と―』（現代書館）の出版記念セミナー「戦後７０年・植民地解放７０年を考える― 日本人『慰安婦』―愛国心と人身売買と―」を東京都内で行いました。編者や執筆者がリレートークしました。
西野瑠美子共同代表は、遊郭にいた女性や人身売買された農村出身の女性、甘言や詐欺的な方法で集められた女性が、戦地などで日本人「慰安婦」にされたと説明しました。また、「お国のため」「死んだら靖国神社にまつられる」などと、軍は女性たちの愛国心を利用したと指摘しました。
西野氏は「『売春婦』ならば被害者にならない、問題がないという考えは人権の視点が抜け落ちており、女性を二分化するもの。さらに日本人『慰安婦』の実態を明かしていく」とのべました。
安倍晋三首相がワシントン・ポスト電子版で日本軍「慰安婦」を「人身売買の犠牲」（３月２７日）と発言したことにふれ、「人身売買・商行為なら自由意志であり、日本軍に責任はないと責任回避をしたように受け取れる」と批判しました。
小野沢あかね立教大学教授は「（当時は）日常的にあった人身売買と性奴隷とも言える公娼制度が、『慰安婦』制度に利用されていたことがわかる」と指摘しました。
( ２０１５年０５月１０日，「赤旗」)
１０
あすは「母の日」／衆院議員７氏が語るお母さん
１０日は母の日。先の衆院選比例代表ブロックで初当選した７人の日本共産党の国会議員に、母への思いを書いてもらいました。（６月２１日の父の日にあたって、同じく初当選の６人の国会議員に思いを書いてもらう予定です）（地名は比例ブロック）
東京／池内さおりさん３２歳／「投票する」に号泣
母を思う時、一番はじめに思い出すのは働く姿です。私の実家はレストランを営んでいました。学校から帰ると、仕事の合間を縫って、母は私をよく抱きしめてくれました。言葉で、スキンシップで、母の深い愛情を感じながら私は育ちました。
東京への大学進学も一番応援してくれたのは母でした。「女でも一人で生きていけるだけの力をつけなさい」とは母の教え。両親を早くに亡くし、進学等さまざまなことを諦めざるを得なかった母の言葉は、私にズシリと響きました。
私は大学で日本共産党に出合い、小林多喜二の人生を通して決意して入党。母は猛烈に反対しました。母を苦しめるために選択したのではない！ むしろ母が強いられた数々の「諦め」に私は憤り、そして怒りを燃やしてきたからこその選択でした。
真意はなかなか伝わらず何度も何度も衝突しました。
入党後、私は全力で学び、寸暇を惜しんで行動。被爆者、元日本軍「慰安婦」被害者、ハンセン病患者…たくさんの出会いが私の心を鍛え、たくさんの仲間が私を成長させてくれました。蓄えた力で再び母に対峙し、対話に臨んだ参院選。激論の末に「共産党に投票する」と母が言ってくれた時、私は辺りをはばからず号泣しました。
女性であるが故に進学も断念させられ、経済力がないために苦労が絶えなかった母。身を粉にして人一倍働く姿に、私はどんな教科書よりも多くを学びました。誰もが幸せになる社会へ。私も母のように人一倍努力し、これからもたたかいます。
北関東／梅村さえこさん５０歳／戦争さえなければ
優しい母が大好きでした。そんな母がよく言ったのが「戦争さえなければ苦労もなく、上の学校にも行けたのに｣でした｡
母方の祖父は、母が５歳の時、名古屋の大空襲で死亡。母たち５人きょうだいは、女手一つで育てられ、母たちは「女だから」と中学を卒業し働きました。結婚し「嫁いだ」先は農家。農業経験のない母には苦労もあり、農作業しながら｢嫁｣として休む暇なく食事を準備する姿に私は「女性として幸せに生きるとは？」と考え、育ちました。
戦争はダメと思ってきた私は、京都の大学に入学し、すぐ民青同盟や日本共産党に参加｡しかし､それが今度は母を悩ませました｡大学１年の時､奨学金の有利子化反対の国会行動に参加すると、後日｢アカにだけはなるな｣と手紙が届きました｡大学４年の時、民青同盟の専従になると伝えると、教師になって帰ってくると待っていた母は寝込むほど落胆しました。
話せば私もつらく、決意が揺らぎそうで、気持ちをきちんと伝えられないまま卒業式。その日の前後に開かれた京都府立体育館での大集会に母を誘うと、規模と内容に少し安心してくれたのか「今日から自立です。しっかりやって下さい」と下宿に手紙を残して帰りました｡その後の選挙で､天安門事件のなか、母は共産党に投票。その深い愛情に涙があふれました。母は自分の道を切り開き、子育てしながら資格を取り、給食センターで定年まで働きました。
お母さん心配ばかりかけてごめんなさい。そしてありがとう。元気で長生きしてね。
中国／大平喜信さん３７歳／お好み焼きで育つ
広島には、１０人も座れば満席になるような、小さなお好み焼き屋さんがあちこちありまして、私の母もそんな「お好み焼き屋のおばちゃん」の一人でした。
忙しい日の夜ごはんはいつも決まってお好み焼き。母１人でやっているものですから、よく「キャベツとそば、買ってきて！」と近所のスーパーに走らされました。
まだ幼稚園児だった頃、母が恋しくて店をのぞくと、「お客さんがおるんじゃけ、あんたが来たら仕事にならん。あとにしんさい！」と怒られたことなど、つらいことも多々ありましたが、いま振り返れば、貧しいわが家で、食べ盛りの私や兄を育てるため、お客さんが減らないようにと、母は毎日必死で働いていたんだろうなと思います。
３７年間の人生の中で一度だけ母にほっぺたをたたかれたことがありました。小学生の頃、近所の友だちにお菓子をおごってもらったことを隠して、嘘をついていたことが知られたときでした。「そんな子に育てた覚えはない！」と思いっきり怒られ、泣きながら友だちの家に行って謝りました。本当に情けない気持ちになり、「もう嘘はつかないようにしよう」と思ったものでした。
そんな母も今年６６歳。今は「生活と健康を守る会」の活動に精を出しています。
５０歳、６０歳と節目の年を迎えるたびに、「人生は○○歳からよ！」とますます意気込む姿に、安心と心配をしつつ、あらためて親孝行をせねばと思っているところです。
東海／島津幸広さん５８歳／朝も夜も働いて
女手ひとつで私と妹を育ててくれた母は、１２年前に病死しました。
私が小学校低学年のとき、朝起きると目ヤニでまぶたが開かないことが続き、母は毎朝、ホウ酸をお湯でとかして目を洗ってくれました。あるとき薬局から買ってきたホウ酸が、いつもの粉末状でなく結晶状態でした。母は「もし違う薬だったら」と、まず自分の目を洗って試しました。そのとき、母の目が見えなくなったら「どうやって暮らしていくのか」と、母の心配より自分のことを考えたことを思い出し、今でも申し訳ない気持ちと感謝の思いで胸がいっぱいになります。
母は、朝早くから夜も遅くまで働いていましたが、くらしは楽になりませんでした。それでも、教材など学校で必要なお金は滞納することなく、食事もおなかいっぱい食べさせてくれました。相当苦労してやり繰りしていたと思います。
こんな姿を見て「母のように真面目に働く人が報われる世の中に」と思うようになり、日本共産党を知って入党しました。私の政治家としての原点は、まさに母です。
初めて選挙に立候補したときには、選挙事務所にきて「息子をお願いします」と何度も頭を下げてくれました。
生前は、恥ずかしくて面と向かって言えませんでした。「お母さん、本当にありがとう」
近畿／清水忠史さん４７歳／ママ、べっぴんや
うちでは子どものころから母親のことを「ママ」と呼んでいました。よく友達からはからかわれることもありましたが、それでも「お母さん」とか「お母ちゃん」とは呼んだことはありませんでした。
「パパ」と違ってママは働き者でした。夜も寝ずに３人の子どもを食べさせるために働いてきたと今でも誇らしげに語ります。ママからは「あなたはパパみたいになったらあかんのよ。医者か弁護士になりなさい」と期待されて育ちました。ママは学歴志向も強く、私に一流大学に入学することを願っていましたが、受験に失敗。一浪して入った大学も途中でやめてしまい、共産党の職員になったときには、何でそんな貧乏な党に行くのかと嘆かれました。
「ママ、僕は出世するために共産党で働くんとちゃうねん。世の中をよくするためやねん」――なかなか理解してもらえませんでしたが、国会議員に当選したことを報告した時には「さすがママの息子や！」と喜んでくれました。
いつも高額な化粧品を手放さず、「どう？ わたし７０歳に見えるかしら？」と、美容に気を使うママ。「いや～、どう見ても６９歳にしか見えへんよ」「なんでやねん！」と、漫才風の掛け合いをするとママは喜びます。
いろんな苦労もあったと思いますが、できるだけ笑顔でいてもらいたい。「ママ、今日もべっぴん（美人）さんや」――これからもそう言い続けてあげたいです。
九州沖縄／田村貴昭さん５４歳／にじむ手紙の文字
今年８０歳になる母は、韓国の慶尚南道で生まれました。祖父が傷痍軍人となって家族ともどもひきあげ、九州、大阪と移り住みました。
小学生の時は学童疎開を経験し、その時に家が空襲で焼けたことなどを、時折聞かせてくれました。幼心に戦争の怖さを感じました。
小さい頃の私は、体がとても弱く、思い出といえば氷枕と薬と、そして額に手をあてる母の姿…。「すぐによくなるからね」。母はいつもやさしく看病してくれました。
小学校の頃、母は家計を助けるために働きに出ました。食品工場でのきつい仕事。年々丈夫になる私とは逆に、体調を時々崩し、入院までしました。見よう見まねで炊事や洗濯をしましたが、出来が悪くても母は決まって褒めてくれました。
進路選択も学生運動も自由にさせてくれた母ですが、「北九州で党の専従になる」と告げた時だけは反対されました。「ちゃんと就職してほしい…」。下宿に送られてきた手紙の文字はにじんでいて、それが母の涙だったのか、自分のものだったのかは、忘れてしまいました。
「貴昭を九州に行かせてよかった。たくさんの人の役に立って」。そう言ってもらえるのに時間はかかりませんでした。
いまは、「しんぶん赤旗」を読んで応援してくれています。
子の考えを尊重して、のびのび育ててくれたお母さん、ありがとう。いい季節になりました。また食事につきあってください。
北陸信越／藤野保史さん４４歳／名前に保育の保
私の名前の保史の「保」は、保育の「保」です。これは、母が保育士をしていたからです（ちなみに、「史」は父が社会科の教師をしていたからです）。福岡の保育運動の草分け的存在だった母は、長野県（山ノ内町）で毎年夏開かれていた保育の全国合同研究交流集会、通称「合研」に参加していました。まだ幼かった私も、母に連れられ、毎年長野に行っていました（写真は長野県上高地）。私はこの「合研」で、民主的な運動の息吹を吹き込まれたと思っています。
母は旅行が好きです。私の家族が海外旅行に行くようになったきっかけも母の発案だったそうです。
初めての家族旅行は旧ソ連。私はまだ４歳、兄は９歳でした。それ以来、「ない金をかき集めて、スッテンテンになるまで遊びまわる」（祖母）とあきれられながら、各国を旅行してきました。「世界の流れの中で日本を見る」という視座が私の中に培われたのも、母が言い出した家族旅行の経験が根っこにあります。
共働きの母はいつも時間に追われていたと思いますが、手際よく料理する姿が印象に残っています。母が作った「がめ煮」（筑前煮）はふるさとの味。父の漬物と並ぶ私のソウルフードです。８０歳近い今でも、公私ともに忙しそうにしている母を見ると頭が下がります。これからも元気でいてほしいです。
( ２０１５年０５月０９日，「赤旗」)
安倍首相に送付した日本研究者の声明／要旨
【ワシントン＝時事】欧米を中心とする日本研究者１８７人が４日、安倍晋三首相に送付した声明の要旨は次の通り。
戦後日本が守ってきた民主主義、自衛隊への文民統制、警察権の節度ある運用と政治的な寛容さは、日本が科学に貢献し他国に寛大な援助を行ってきたことと合わせ、全てが祝福に値する。しかし、世界から祝福を受けるに当たっては障害がある。それは歴史解釈の問題だ。
最も深刻な問題の一つに、いわゆる（従軍）慰安婦制度の問題がある。この問題は日本だけでなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、ゆがめられてきた。しかし、彼女たちの身に起こったことを否定したり、過小なものとして無視したりすることは受け入れられない。
女性の移送と慰安所の管理に対する日本軍の関与を明らかにする資料は、相当発掘されている。確かに被害者の証言はさまざまで、記憶も一貫性を持っていない。しかし、証言は全体として心に訴えるもので、元兵士その他の証言だけでなく、公的資料によっても裏付けられている。
慰安婦の正確な数について歴史家の意見は分かれているが、女性が尊厳を奪われた事実を変えることはできない。「強制的」に慰安婦になったかどうかについて異論を唱える歴史家もいるが、大勢の女性が意思に反して拘束され、暴力にさらされたことは、資料と証言が明らかにしている。
米国、欧州諸国、日本を含めた帝国列強の中で、無数の市民に与えた苦しみに十分に取り組んだと言える国はまだない。
今年は日本政府が過去の植民地支配と侵略の問題に立ち向かう絶好の機会だ。４月の米議会演説で首相は、人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、他国に与えた苦しみを直視する必要性について話した。こうした気持ちを称賛し、その一つ一つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやまない。可能な限り完全で、偏見のない（過去の）清算を共に残そう。
( ２０１５年０５月０８日，「赤旗」)
偏見ない過去の清算を／欧米の日本研究者ら１８７人、安倍首相に声明送付
〝「慰安婦」問題否定受け入れられない〟
【ワシントン＝洞口昇幸】日本を研究する欧米などの学者ら１８７人が、日本軍「慰安婦」などに関する安倍晋三首相の歴史認識問題を取り上げ、「われわれは、可能な限り完全で偏見のない過去の過ちの清算を(後世に)残さなければならない」と呼びかける声明を、安倍首相に送付したことが６日までに分かりました。
声明には、エズラ・ボーゲル・ハーバード大名誉教授、ハーバート・ビックス・ニューヨーク州立大名誉教授、ジョン・ダワー・マサチューセッツ工科大名誉教授らが名を連ねています。
声明は４日に送付され、「日本が近隣諸国との（戦後）７０年間の平和」を祝い、戦後日本の民主主義などの歩み「全てが祝福されるものだ」と言及。その上で、「歴史解釈の問題が祝福を受けるに当たっての障害になっている」と指摘しています。
最も深刻なのは「慰安婦」問題だとし、元「慰安婦」の被害者に起こったことを「否定したり、過小なものとして無視したりすることは受け入れられない」と強調。日本軍の関与や大勢の女性が自分の意思に反して残虐行為にさらされたことは、多くの資料や証言ですでに明らかになっているとしています。
声明は、「過去にたどったあらゆる道筋を慎重に考察し、前後関係を評価した結果だけが公正な歴史となる」と指摘。その作業は、政府の改ざん・検閲、個人的な脅迫などから自由でなければならないと指摘。全ての政府に対して歴史研究の自由を守ることも訴えています。（声明要旨４面）
( ２０１５年０５月０８日，「赤旗」)
安倍首相の米訪問、識者も警告／「村山談話」否定に利用／米スタンフォード大学ショレンスタイン・アジア太平洋研究センター副所長ダニエル・スナイダー氏に聞く
「安倍晋三首相は今回の訪米と米政府からの歓迎を『村山談話』を葬り去るために扱うかもしれない」―。日米同盟を肯定する米識者からも警告の声が上がっています。日本の歴史問題や政治をよく知る米スタンフォード大学ショレンスタイン・アジア太平洋研究センター副所長のダニエル・スナイダー氏に聞きました。
（聞き手 ワシントン＝洞口昇幸）
安倍首相は、日米首脳共同会見や米議会での演説などで、先の大戦について主に米国民に向けて話をしました。元日本軍「慰安婦」などの犠牲者については、従来の表現を越えず、議会演説ではむしろ意図的に言及を避けました。
演説で「自らの行いがアジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない」と若干踏み込んだ言い方をしました。
やるべきなのは大きく一歩踏み出すことです。安倍首相自身が、日本の「侵略と植民地支配」を認める「村山談話」や「慰安婦」における日本政府の強制性を認めた「河野談話」の言葉を自らの言葉として採用することです。
もし日本がアジアで指導性を発揮したいなら、過去の教訓を理解し、将来同じことを繰り返さないという点で、他国から信頼されねばなりません。ドイツは、その必要を理解しています。訪米中の発言からみる限り、安倍氏が歴史の教訓を理解しているという確証は持てませんでした。
今回の訪米は、日米両国政府にとっては、成功だったといえます。安倍首相が、政策の中心に日米同盟を据え続けると明言し、環太平洋連携協定（ＴＰＰ）調印の見通しを語った点です。米国の耳には心地よかったことでしょう。
私は、訪問の成果についてもっと懐疑的です。日本が米国側に立って広範で積極的な軍事的役割に乗り出していくという印象を与えたことで、（米側に）非現実的な期待が生じる危険があります。
沖縄では、（辺野古新基地建設反対の）県民の意向を無視するという決断で、米軍基地体制の存続自体が危うくなる危険があります。日本国民が日本の防衛を超えた安全保障上の役割を支持していないことは、世論調査で示されています。
歴史問題で米国側は、安倍氏が訪米によって現実的になり、和解への道を選ぶだろうと期待しています。
しかし安倍氏は、今回の訪問と米政府から得た歓迎で、「白紙委任」を得たと考えるかもしれません。「村山談話」を葬り去り、日本の侵略と植民地支配を認めもせず、謝罪もしない自らの談話に置き換える、そして靖国神社を参拝する、という彼の念願を追求してもよいのだ、と。そうなれば、米政府関係者の多くが裏切られたと感じるのではないでしょうか。
( ２０１５年０５月０５日，「赤旗」)
平和ミュージアム／戦争加害伝える／１２月に徳島市で
瀬戸内寂聴（僧侶・小説家）、湯浅良幸（郷土史家）、岸積（元徳島新聞論説委員長）の各氏が呼びかけ人となり、戦争の加害と被害の事実を正しく認識することを目的に「戦後７０年平和ミュージアムとくしま」が１２月に徳島市で開催されることになりました。
呼びかけに応えこのほど、県内各界の有志１４人が集まり実行委員会を結成、吉成努弁護士を事務局長に選出しました。空襲・被爆などの資料とあわせ、７３１部隊や従軍「慰安婦」問題など日本の戦争加害の歴史展示が大事であることを確認、会場を徳島大学常三島キャンパスの「けやきホール」と同大学体育館などで１２月１２、１３両日に行うことを決めました。
実行委員会はさらに呼びかけ人を広げることや、学生など若い世代を含め幅広く実行委員を募ることにしています。
実行委員会への参加申し込みなど、問い合わせは吉成努弁護士事務所０８８（６５６）２０５１まで。
(２０１５年０５月０３日，「赤旗」)
安倍首相に抗議デモ
【ロサンゼルス＝時事】安倍晋三首相が米議会演説で植民地支配やいわゆる従軍慰安婦問題に言及しなかったことに対し、韓国と中国系団体が１日、米ロサンゼルスで抗議デモを行いました。参加者は首相の宿泊ホテル前で「慰安婦に謝罪せよ」などとシュプレヒコールを上げました。主催者によると、デモには約５００人が参加しました。
( ２０１５年０５月０３日，「赤旗」)
首相米議会演説／各国の反応／首相の「歴史」に懐疑的な見方／米メディア
【ワシントン＝時事】安倍晋三首相の２９日の米議会演説に対し、米主要メディアは環太平洋連携協定（ＴＰＰ）交渉と歴史認識に重点を置いて伝えました。ＴＰＰ交渉については「明確な譲歩は示さなかった」（ニューヨーク・タイムズ紙）と報道。歴史認識でも、いわゆる従軍慰安婦問題を「遠回しにほのめかしただけだった」（ワシントン・ポスト紙）と、首相の姿勢に懐疑的な見方を示しました。
首相訪米前の社説で歴史問題へ誠実に向き合うよう求めたニューヨーク・タイムズは、「謝罪」について「安倍氏はまたしても具体的ではなかった」と強調しました。
( ２０１５年０５月０１日，「赤旗」)
首相米議会演説／各国の反応／真の謝罪なく非常に遺憾／韓国外務省
【ソウル＝時事】韓国外務省報道官は３０日、安倍晋三首相の米議会演説について、「正しい歴史認識を通じて周辺国との本当の和解と協力が行える転換点になり得たのに、そのような認識も真の謝罪も示されなかったことを非常に遺憾に考える」と批判する声明を発表しました。
声明は「日本が世界平和に寄与しようとするのなら、歴史を率直に認め、反省を通じて国際社会と信頼・和解の関係を結ぶことが重要だ」と強調。「行動はその反対に向かっている」と主張しました。
その上で、「日本は植民地支配と侵略の歴史、慰安婦被害者に対する残酷な人権じゅうりんを直視する中で、正しい歴史認識に基づき周辺国との和解と協力の道を進まなければならない」と求めました。
一方、報道官は今年が日韓国交正常化５０周年である点に触れ、「新しい関係の元年にしたい希望がある」と強調。「歴史問題には断固対応するが、安保や経済などの協力は積極的に進めたい」と述べました。
( ２０１５年０５月０１日，「赤旗」)
〝「慰安婦」は人身売買でなく国家の犯罪〟／安倍首相演説に抗議行動／米議会前
【ワシントン＝洞口昇幸】米議会での安倍晋三首相の演説に合わせて４月２９日、韓国系米市民らでつくる「ワシントン慰安婦問題連合」（ＷＣＣＷ）など約２００人が議会前に集まり、安倍氏が「『慰安婦』は人身売買の犠牲者」と述べて日本の国家的責任を矮小（わいしょう）化していることに抗議する集会を開きました。
「安倍さん、（元）『慰安婦』におわびを、歴史を認めて」―。手描きのプラカードを掲げていたキン・ウンチュさん（５２）はバージニア州から参加。「『慰安婦』は人身売買という問題ではなくて、国家の戦争犯罪。日本政府の代表として安倍首相がおわびすれば、和解できるでしょう。日本は距離も文化も近い。共に助け合いたい」と語りました。
集会は安倍氏の演説前から開始。ニューヨーク州選出のスティーブ・イスラエル下院議員（与党・民主党）、カリフォルニア州選出の日系米国人のマイク・ホンダ下院議員（民主党）、韓国人の元「慰安婦」の李容洙（イ・ヨンス）さん（８６）らも参加しました。
イスラエル氏は集会で、日米韓の次世代の安全や安定、繁栄のため、「日本政府は（過去の）誤りを認めたほうがいい。それから未来のことに取り組もう」などと訴えました。
米議会専門紙ザ・ヒル（電子版）によると、ホンダ氏は安倍氏の演説後、「慰安婦」に対する残虐行為の責任の言及を安倍政権が避け続けていることは、「恥ずべきことだ」と批判しました。
( ２０１５年０５月０１日，「赤旗」)
安倍首相、米議会演説／「希望」どころか「屈辱」の同盟／米の歓心得るため国民犠牲
「戦争立法」・ＴＰＰ・沖縄新基地
これほど深刻な主権放棄・対米従属の姿勢を公然と示した首相はいないのではないか―。４月２９日（日本時間３０日未明）、米上下両院合同会議で行われた安倍晋三首相の演説を聞いて、そう思わざるをえませんでした。
「世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たす。そのために必要な法案の成立を、この夏までに必ず実現します」。首相は、自衛隊が米軍の戦争に地球規模で参戦する「戦争立法」についてこう表明しました。
同法案は、まだ国会にも提出されていません。加えて、国民の大多数は、若者を戦場に送り、命の危険にさらす「戦争立法」の成立反対、または慎重審議を望んでいます。
しかし、首相はおかまいなしです。同日午後（日本時間３０日早朝）、ワシントンで開かれた笹川平和財団主催のシンポジウムでは「日米が力をあわせ、アジア・太平洋、インド洋の平和と安定を確かなものにする」とも述べました。「極東」という日米安保条約の地理的範囲すら超え、地球規模で軍事作戦を行う米大統領の｢副官｣気取りです。
議会演説では、農業や医療など、あらゆる分野で日本の主権を米国に明け渡す環太平洋連携協定(ＴＰＰ)について、「日米間の交渉は、出口がすぐそこに見えている」と言明。早期妥結に強い意欲を示しました。
驚くことに、首相は、１９９０年代のＧＡＴＴ（関税貿易一般協定）交渉で、農産物輸入自由化の圧力をかける米国に自身が抗議していたのは「血気盛んな若手」のころだったとして、事実上の自己批判までしました。
議会演説では触れませんでしたが、これに先立つ２８日の日米首脳会談で沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設推進を表明したことで、県民の怒りはさらに高まっています。
「希望の同盟」。首相は演説をこう締めくくりました。日本の首相として初めて合同会議での演説を認められたことで、舞い上がっていました。しかし、米の歓心を得るために、これだけ国民に犠牲を強いようとしているのです。これでは「希望」どころか、「屈辱の同盟」です。
（竹下岳、洞口昇幸、山田英明）
安倍首相、米議会演説／米国で示された安倍氏の歴史認識／政府責任免罪の意図
安倍晋三首相の米議会演説で最も注目されたのは、日本の過去の侵略戦争や植民地支配に対する認識でした。同演説が、首相が８月に発表する「戦後７０年談話」の骨格になるとみられているからです。
首相は、「先の大戦に対する痛切な反省」を口にしましたが、日本によるアジア諸国に対する「植民地支配と侵略」に言及せず、おわびの意思も示しませんでした。
また、旧日本軍「慰安婦」について言及せず、中国、韓国からはさっそく厳しい批判の声が上がりました。
首相は、自身の歴史認識は「歴代総理と全く変わるものではない」と強調しました。しかし、戦後５０年の「村山談話」や戦後６０年の「小泉談話」には、「植民地支配と侵略」とともに、「お詫（わ）びの気持ち」という言葉が語られています。
訪米直前のアジア・アフリカ会議（バンドン会議）首脳会議（４月２２日）での演説でも、「日本の植民地侵略と侵略」「おわび」に一切言及しなかった安倍首相。「（村山談話などと）同じことなら談話を出す必要がない」と語る首相の「戦後７０年談話」の骨格が垣間見えてきました。
旧日本軍「慰安婦」問題について首相は、オバマ大統領との共同記者会見（同２８日）などで「人身売買」との認識を示しました。
これは、米議会下院本会議の決議（２００７年７月）が、「慰安婦」問題を「２０世紀最大の人身売買」と断じたことを念頭におき、米側とのあつれきを避ける狙いがあったとみられます。
しかし、同決議は、日本政府に対し、旧日本軍が女性たちを「慰安婦」という性奴隷にしたことを「十分に認め､謝罪し､明確であいまいでないやり方で歴史の責任を受け入れよ｣と迫る内容でした｡
一方、安倍氏が使う「人身売買」という言葉からは、「慰安婦」問題を民間業者が行った問題と矮小（わいしょう)化することで､政府の責任を免罪する意図が透けて見えます。
こうした安倍首相の歴史認識に対して、議会演説を聞いた米議員からも、「首相が組織的残虐行為の責任を認めなかったことは、恥ずべきことだ」（マイク・ホンダ下院議員）との声が出ています。
歴史認識にかかわる首相の主な談話・発言
戦後６０年／小泉首相談話
我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。こうした歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのお詫（わ）びの気持ちを表明するとともに（後略）
（２００５年８月１５日）
戦後７０年／米議会での安倍首相の演説
戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません。
（２０１５年４月２９日）
( ２０１５年０５月０１日，「赤旗」)
（（４月）ヘッドライン
人権無視市長にノーを／橋下氏辞任訴えパレード／大阪
日米首脳会談・共同会見／要旨
米上下院演説で安倍首相謝罪を／韓国元慰安婦ら集会
「慰安婦強制は反人道的な罪」／中国
「慰安婦」は「人身売買」／共同記者会見で首相発言
「慰安婦」問題解決早く／市民ら３００人緊急シンポ
韓国、日中首脳会談を評価
３閣僚靖国参拝／世界を「だまし討ち」、批判必至
在日韓国大使「侵略など三つ明記を」
〝戦時の歴史に誠実に向き合え〟／安倍首相訪米前に米紙が社説
原発・「慰安婦」考える講演会／〝歴史見ない安倍政権、国際的に通用しない〟／さいたま
新談話／「引き継ぐ」が「書かない」？／安倍首相の矛盾
ベトナム戦の被害者を招く／加害の歴史直視も／韓国
主張／歴史教科書／過去の誤りと向き合う教育を
中学教科書／「旧土人保護法」はアイヌに「土地あたえた」？／歴史ゆがめる検定
村山・河野談話の継承を／「歴史認識の基本原則」／中国首相
朝の風／政権の歴史認識押し付ける検定
中学教科書公民・歴史／地域で採択阻むたたかいを／子どもと教科書全国ネット２１常任運営委員・歴史教育者協議会元委員長石山久男さん
中学教科書公民・歴史／文科省が検定結果公表／戦争への人づくり育鵬社版
週間日誌／１５年４月５日～１１日
ひと／負の歴史を見据える舞台に出演前東美菜子さん（２６）
新座市教委、「慰安婦」展不許可／埼玉ＡＡＬＡが抗議
おはようニュース問答／ＮＨＫ予算、また「全会一致」が崩れたね
第２次世界大戦終結７０年／強制連行・「慰安婦」の謝罪賠償では／韓国の崔鳳泰弁護士に聞く
激戦区の様相／京都府議選／京都市山科区（定数３）本庄たかお６６元／反戦の訴え、自民支持層にも響く
政府見解強制やめよ／教科書ネットが談話発表
２０１５焦点・論点／安倍政権の圧力―問われるメディア／桂敬一さん／青木理さん
中学校教科書検定／「加害責任」前進なし／検定結果に見解発表／出版労連
中学校教科書検定／教科書統制強める安倍政権／検定基準改悪、政府の意向記述求める
中学校教科書検定結果について／党国会議員団文部科学部会長畑野君枝議員の談話
中学校教科書検定／「慰安婦」記述を大幅削除／歴史問題など安倍色前面
「慰安婦」問題と向き合う／研究者、弁護士らシンポ／東京
世界に生きる／文・工藤律子／フィリピン／「慰安婦」問題に学ぶ
民青加盟相次ぐ／同盟員の思い／安倍政権を止めたい／「行動に挑戦できる」
５・３憲法集会／主な内容
選挙情報／右翼ぶり「一貫」／和歌山市区自民県議
県政変える脇氏ぜひ／藤野議員訴え／富山・朝日町
ＮＨＫ予算承認／籾井会長問題は未解決／共産党など反対／吉良氏反対討論／参院本会議
４月（本文）
３０
人権無視市長にノーを／橋下氏辞任訴えパレード／大阪
橋下徹大阪市長の「慰安婦制度は必要だった」との暴言（２０１３年５月）から２年になるのを前に、「橋下市長の『慰安婦』･性暴力発言を許さず辞任を求める会」は２９日、大阪市・心斎橋で市長辞任を訴えました。
参加者はスカーフや風船など赤い色を身につけ「『慰安婦』暴言あやまらない 橋下市長 さようなら」「いいことなしの『都構想』 橋下市長 さようなら」と声を合わせました。街頭から手を振る人など、注目を集めました。
同会の中野冬美代表は事前集会であいさつし、「橋下氏の発言は、被害者女性の心を踏みにじっただけでなく、男性もおとしめる発言｣と振り返りました｡同様の暴言が繰り返されていると指摘し､｢辞任も謝罪もせずに居座り、ついには自分の意のままにならないと大阪市をつぶそうとしている。人権無視、性暴力発言を繰り返す橋下氏に今こそ力を結集してノーと言いましょう｣と呼びかけました｡
１０カ月の娘を連れて参加した女性(４０)＝東住吉区＝は「（橋下市政で）区役所に行くバスが廃止されて、子どもが生まれてから大変です。『都』構想が通ったらさらに住みにくくなる。橋下さんには辞めてもらいたい」と話しました。
集会では、日本軍「慰安婦」問題関西ネットワーク、性暴力許さない女性の会、入れ墨調査拒否者の不当処分を撤回させる会、反貧困ネットワーク、ＰＥＡＣＥ・ＷＥＳＴ ＷＯＭＥＮ、国際婦人年大阪の会、ピースおおさかの危機を考える府民・市民の声を実行委員会の７団体が発言しました。
( ２０１５年０４月３０日，「赤旗」)
日米首脳会談・共同会見／要旨
安倍晋三首相とオバマ米大統領が２８日（日本時間２９日未明）、ワシントンで行った共同記者会見の要旨は次の通りです。
【冒頭発言】
オバマ ７０年間、日米は同盟国として成長した。私たちはグローバルなパートナーだ。米国はアジアへのリバランス（再配置）政策を進め、アジアを重視する。
日米の新たな防衛協力の指針（ガイドライン）は、より柔軟性を高めるものだ。海洋安全保障から災害の対応まで、ともに訓練を行い、サイバー脅威に対応する。日本はより大きな役割と責任を太平洋、世界で果たす。
新ガイドラインは、沖縄の負担軽減を含む在日米軍再編を含んでいる。在沖縄海兵隊のグアム移転についても再確認した。
日米安保条約の５条は尖閣諸島も含めて、すべて日本の統治する地域に適用される。
米国は朝鮮半島の平和的な非核化に関与する。北朝鮮の挑発に対応し、拉致の被害者にたいしての日本の対応を支持する。
ＴＰＰ（環太平洋経済連携協定）にむけて前進しており、合意にむけて強く決意している。ＴＰＰで土俵が平らになり、労働者、環境を守り、２１世紀の貿易をおこなうことができる。企業の基準が引き上げられる。
日米がＴＰＰの二大経済として、ＴＰＰパートナーを率いて迅速に合意に達したい。
安倍 半世紀を上回る日米同盟の歴史に新たな１ページを開いた。それは世界の中の日米同盟とも呼ぶべきものだ。ゆるぎないきずなで結ばれた日米同盟はアジア・太平洋地域のみならず、世界の平和と安定になくてはならない。
在日米軍再編を着実に進める。住宅や学校に囲まれた普天間基地の危険性を辺野古移設で一日も早く除去する。沖縄の基地負担の軽減を日米の強い信頼関係の下で進める。
ＴＰＰの早期妥結へ、二国間の残された課題について、大きな進展があったことを歓迎。引き続きＴＰＰ交渉の最終局面を主導するために協力し、早期かつ成功裏の妥結にむけてともに取り組む。
【対中関係】
オバマ 日米同盟はアジア・太平洋地域、世界の平和と安定の基礎であり、中国もそこから利益を受けている。中国が経済大国になったのは、世界の貿易に統合されたからだ。強い日米同盟が挑発とみなされるとは考えていない。
中国の平和的な台頭を支持するが、本当の緊張が中国との間で生じていることを過小評価するつもりはない。われわれは中国にたいし、どの国にでも同じような状況で言うことを言う。すべての地域の国と協力して、基本的な国際規範を守るよう確認していく。
【「慰安婦」問題】
安倍 人身売買の犠牲となった筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、心が痛む。この点について歴代の総理と変わりない。河野談話は継承し、見直す考えはない。
【集団的自衛権の行使についての日本国内の懸念】
安倍 新ガイドラインと安保法制で、戦争に巻き込まれるといったレッテル貼り的な議論が行われていることは残念だ。
１９６０年に安保条約を改定したときに、日本は米国の戦争に巻き込まれるという批判があったが、その間違いは歴史が証明している。安保条約で日本の安全は守られ、戦後の繁栄があり、アジア・太平洋地域の平和と安定が守られてきた
新ガイドラインで切れ目のない対応を可能にしていくことで、抑止力と対応力を高めていくことで、日本の平和と安定、そして地域の平和と安定に資する。法制整備で、国会で丁寧に説明する。
オバマ 日米同盟を構築し、侵略や攻撃から国を守ってきた。新ガイドラインは集団的自衛権を提案しているが、こうした中核的な機能を実施するための能力をさらに引き上げるものだ。
【ＴＰＰは中国を意識したものか】
安倍 ちがう。中国の経済的な発展は日米、世界にとっても大いなるチャンスだ。ＴＰＰは多くの国々や中国にとっても模範となるような新たな経済圏を作るという野心的な試みだ。
ＴＰＰの早期妥結で、ＴＰＰに入っていない国々にとっても、ルールを作って自由な経済圏を作っていくことが繁栄につながる。
【中国が設立を目指すＡＩＩＢ（アジア・インフラ投資銀行）】
安倍 アジアには膨大なインフラ需要があり、それにこたえる金融システムが重要であるという認識を日本も共有している。
日本はＡＩＩＢへの参加を決定していない。これだけ大きな金融機関を作る以上、まず、公正なガバナンスが必要。理事会による個別案件の審査や承認が不可欠だ。
オバマ 私たちはＡＩＩＢに反対してはいない。多国間の融資機関を持つのであれば、その運用の基準が必要だ。一番大きな拠出国がそれだけ加重投票ができるというような透明性が必要だ。
( ２０１５年０４月３０日，「赤旗」)
米上下院演説で安倍首相謝罪を／韓国元慰安婦ら集会
【ソウル＝時事】元従軍慰安婦の支援団体「韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会」は２９日、ソウルの日本大使館前で集会を開き、安倍晋三首相が同日の米議会上下両院合同会議での演説で、韓国への植民地支配を謝罪するよう求める声明を発表。元慰安婦ら約１００人が参加しました。
声明は安倍首相の訪米に関し、「資格がないのに（日本に）免罪符を与える米国の舞台演出も、その舞台に立つ安倍首相のショーも、目をつぶるには日本の戦争、植民地犯罪の責任があまりに重い」と日米双方を批判。従軍慰安婦問題で国家責任を認め、法的責任を果たすよう日本政府に要求しました。
( ２０１５年０４月３０日，「赤旗」)
「慰安婦強制は反人道的な罪」／中国
【北京＝時事】中国外務省の洪磊・副報道局長は２８日の定例会見で、安倍晋三首相が米大学でのスピーチで慰安婦問題に関し「人身売買」との表現を使ったことについて、「慰安婦の強制は日本が第２次世界大戦で犯した深刻な反人道的な罪だ」と主張、「動かぬ証拠があり、今でも被害者に心の傷を与えている」と不快感を示しました。
洪副局長は日本に対し「責任ある態度で適切に問題を解決し、アジアの隣国と国際社会の信用を得なければならない」と求めました。
( ２０１５年０４月３０日，「赤旗」)
「慰安婦」は「人身売買」／共同記者会見で首相発言
安倍晋三首相は２８日（日本時間同日深夜）、ワシントンで開かれた日米首脳会談後の共同記者会見で、旧日本軍「慰安婦」問題について問われ、「人身売買」との認識を示しました。
その上で、「犠牲となった筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む」と述べ、旧日本軍による強制性を認めた１９９３年の「河野談話」について、「継承し、見直す考えはない」と述べました。
「慰安婦」問題では、首脳会談に先立つハーバード大ケネディスクールでの懇談でも学生から「政府と軍の関与を否定するのか」との質問が出され、「人身売買」との認識を示していました。
ただ、日本国内で首相はこのような表現を用いていません。首脳会談での「友好」ムードを演出するため、米政府と調整の上、「人身売買」発言を行っていると見られます。
首脳会談では、首相の歴史認識＝侵略戦争美化の問題は議題になりませんでした。
( ２０１５年０４月３０日，「赤旗」)
「慰安婦」問題解決早く／市民ら３００人緊急シンポ
安倍晋三首相の訪米を前に、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動と「日本の戦争責任資料センター」は２３日、「『慰安婦』問題、解決は可能だ」と題した緊急シンポジウムを国会内で開き、約３００人が参加しました。（写真）
梁澄子・同行動共同代表は、日本軍の「慰安婦」への関与と強制性を認めて謝罪した「河野談話」を「安倍首相はなきものにしようとしている」と批判。「河野談話が認めた事実に基づき、これを発展させることが被害者にも受け入れられる『現実的な解決策』につながる」と話しました。２０１４年６月に発表した「日本政府への提言」は、被害者も交えつくりあげたもので、同提言に従い日本政府は解決へ踏み出すべきだとのべました。
日本軍「慰安婦」としての被害経験を語った金福童さん（８８）は「安倍首相は過去をわい曲している。私たちが死ぬ前に解決を」と訴えました。
尹美香・韓国挺身（ていしん）隊問題対策協議会常任代表は「戦後７０年。『慰安婦』問題の解決は、被害者たちの名誉回復への道となるだけでなく、国際社会で日本の名誉を高めることになる」と話しました。
日本共産党の田村智子参院議員、池内さおり、梅村さえこ、畑野君枝、本村伸子各衆院議員が参加しました。
( ２０１５年０４月２４日，「赤旗」)
韓国、日中首脳会談を評価
【ソウル＝時事】韓国外務省報道官は２３日の記者会見で、安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が会談したことについて、「議長国として韓日中の首脳会談の早期開催に努力しており、日中関係の改善は助けになる」と前向きに評価しました。
一方、２３日付の韓国紙は、日中の接近で韓国が孤立すると懸念する論調が多く、これについて報道官は、日中関係と日韓関係は「ゼロサム」の関係ではないと指摘。「日本との関係では、われわれなりの原則に基づき積極的に努力している」と強調しました。
また、日韓首脳会談実現のためには「慰安婦問題の進展と日本の指導者が正しい歴史認識を表明することが重要だ」との見解を改めて示しました。
( ２０１５年０４月２４日，「赤旗」)
３閣僚靖国参拝／世界を「だまし討ち」、批判必至
靖国神社は、過去の日本の侵略戦争を「自存自衛の正義のたたかい」「アジア解放の戦争」と美化・宣伝することを存在意義とする特殊な施設です。同神社に首相をはじめ閣僚が参拝することは、侵略戦争を肯定・美化する立場に自らを置くことを意味します。
安倍晋三首相は中国の習近平国家主席と２２日に会談し、「あるていどの関係の改善」を確認したばかりです。習主席は安倍首相に「歴史を直視し積極的なメッセージを」と求めていました。
その直後に３閣僚が靖国参拝を強行し、政権首脳がこれを擁護することは「だまし討ち」といわれても仕方ありません。
首相官邸は日中首脳会談の実現に向けた調整が続く中では、会談への影響を恐れて高市氏らに参拝を見送るよう求めていました。複数の政府関係者が２２日夜、明らかにしています。安倍首相自身も２１日に自ら参拝することはやめ、真榊（まさかき）奉納で批判をかわす姿勢を印象づけていました。
その姿勢をかなぐり捨て、首脳会談が開催されたのを見届けた上で閣僚参拝を「解禁」したのならまさに「だまし討ち」です。
戦後７０年の今年、世界が安倍政権の歴史認識をめぐる対応を注視しています。その中で、こうした不誠実な対応で歴史と国際秩序に挑戦する動きは、世界の厳しい批判を自ら呼び込むものです。
安倍首相は２０日のＢＳ番組で今夏発表する７０年談話をめぐり、歴代内閣の歴史認識の「基本的な考え方は継いでいく」とする一方、「植民地支配と侵略」など村山談話の核心的命題を「書く必要はない」と明言。２２日のバンドン会議６０周年記念首脳会合では、それら核心命題には一切触れませんでした。
日本軍「慰安婦」問題でも「河野談話」の継承をいう一方、「性奴隷といういわれなき中傷」などとして事実上否定する、二枚舌の対応です。
２６日からの訪米で、米上下両院合同会議での安倍首相演説も予定されています。ある政府関係者は「米政府関係者、有識者の多くが『歴史問題での安倍の発言は危険をはらむ』と見ている」と述べます。歴史への反逆は「同盟国」からも、激しい反発を呼び起こすことは避けられません。
（中祖寅一）
( ２０１５年０４月２４日，「赤旗」)
在日韓国大使「侵略など三つ明記を」
韓国の柳興洙（ユ・フンス）駐日大使は２２日、東京都内で開かれた内外情勢調査会で講演し、安倍晋三首相が今夏発表する戦後７０年談話について「侵略と植民地支配、反省という三つのキーワードが入るか入らないかだ」と指摘しました。その上で、三つ全てを明記すれば、「歴史に対して正しい認識を持っているという確実なメッセージを周辺国に伝えることができる」との考えを示しました。
いわゆる日本軍「慰安婦」問題に関しては「被害者の方々が納得できる誠意ある政策をもって解決するよう期待している」と述べ、日本側の対応を求めました。柳氏は「慰安婦」問題など日韓間の懸案について「難しい問題だが両国が知恵を絞っていけば、克服できると信じている」と強調しました。
いまだ実現していない安倍首相と朴槿恵（パク・クネ）大統領との正式な首脳会談については「さまざまなレベルでいろいろな話が進んでいる。年内にできるように祈っている」と述べました。
( ２０１５年０４月２３日，「赤旗」)
〝戦時の歴史に誠実に向き合え〟／安倍首相訪米前に米紙が社説
【ニューヨーク＝時事】米紙ニューヨーク・タイムズは２０日付の社説で、今月下旬からの安倍晋三首相の訪米が成功するか否かは、日本が開戦の決定や、中国や韓国に行った「残酷な占領」、「多数の女性を性奴隷として働かせた」慰安婦問題といった戦時の歴史に対し、首相がどれだけ誠実に向き合うことができるかに懸かっていると主張しました。
「安倍氏と日本の歴史」と題した社説は、「日本の戦時の歴史は既に決着しているべきだが、そうでないのは多分に安倍首相と、歴史に疑問を持ち続け、書き換えようとすらしている右翼の政治的盟友の責任だ」と批判しました。
また、安倍政権が戦時の「歴史の歪曲（わいきょく）」を試みた最近の事例として、中学教科書に歴史や領土問題で日本政府の統一見解を反映させるよう求めた検定基準が適用されたことや、政府が昨年、慰安婦を性奴隷と位置付けた１９９６年の国連人権委員会報告の内容の一部撤回を要請したことを挙げあました。
さらに、日本が過去に対する批判を拒絶しようとするなら、「今世紀の主導的国家として広範な役割をきちんと果たすことはできない」と説きました。
( ２０１５年０４月２２日，「赤旗」)
原発・「慰安婦」考える講演会／〝歴史見ない安倍政権、国際的に通用しない〟／さいたま
福島原発事故や日本軍「慰安婦」問題などを学ぼうと、任意団体「『平和とくらし』埼玉」（伊藤恭一代表）が２１日、さいたま市南区でフォト・ジャーナリストの中村梧郎氏を招いて講演会を開き、約４０人が参加しました。
「平和とくらし」埼玉は今年４月、核兵器廃絶や医療問題への意見発信、行政への要請や学習・啓発を目的に結成。伊藤氏の呼びかけで、共産党の村岡正嗣県議ら地元議員や識者が賛同人に名を連ねています。
主催者あいさつで伊藤氏は「憲法が保障する平和や生存権などが脅かされる中で、市民と議員が協力して、皆さんの願いが実現する取り組みを進めていきたい」と話しました。
中村氏は、自身の取材経験を基に、米国内では福島の事故を機に反原発運動が盛り上がっている現状を報告。日本軍「慰安婦」問題では、軍の強制性を認めない安倍政権に米国内から批判が起きていると述べ「歴史の事実をなかったことにしようとする安倍政権の動きは、国際的に通用しない」と訴えました。
参加した富士見市の眞木眞一さん(７２)は「安倍首相は根拠なく『慰安婦』問題を否定している。当時の真実をもっと掘り起こすよう、共同を広げたい」と話していました。
( ２０１５年０４月２２日，「赤旗」)
新談話／「引き継ぐ」が「書かない」？／安倍首相の矛盾
安倍晋三首相は２０日のＢＳ番組で「心からのおわび」「植民地支配と侵略」などを明記した村山談話（１９９５年８月）の核心について、今夏発表するとしている７０年新談話では「書く必要はない」「私の考え方がどのように伝わっていくかが大切だ」と述べました。また「歴史認識においては（歴代内閣の）基本的な考え方は継いでいくと申し上げている。そこ（過去の談話）に書かれていることについては、引き継いでいく」と語りました。
しかし、｢基本的な考え方｣を引き継ぐなら、戦後７０年という節目で、談話の核心部分を再確認するのが当然です。「引き継ぐ」といいながら｢書かない｣と断言するのは大きな矛盾です。
｢村山談話｣の継承を否定する発言を繰り返し、｢慰安婦｣の強制性を事実上否定してきた安倍首相が､結局､｢村山談話｣のキーワードを｢書かない｣ことに固執すれば、｢歴史偽造｣そのものと受け取られるのは当然です。
安倍首相は２２日からのバンドン会議６０周年記念首脳会議に出席したのち、２６日から訪米して２９日に米上下両院合同会議で演説する予定です。そこで安倍首相が、歴史問題にどんな姿勢を示すのかが世界の注目を集めています。
米紙ニューヨーク・タイムズ２０日付社説は、安倍首相の訪米を前に、戦時の歴史に対し首相が「どれくらい誠実に向き合うかにかかっている」と指摘。安倍首相は公式に侵略に対する反省を表明してきたとしつつ、「首相がコメントに曖昧な限定を付け加えていることは、真剣な反省をせず、歴史をごまかすのではないかという疑いを呼び起こしている」と批判しています。
元外務省高官の一人も、「『全体として引き継ぐ』とか『基本的に』という曖昧さを残す言い方は、村山談話を薄めるもので非常に問題がある。疑義の余地なくそのまま明確に引き継ぐのでなければ混乱を引き起こすだけだ」と指摘。「韓国は『植民地支配』、中国は『侵略』、そして両方とも『反省と心からのおわび』を求めてくる、一部を削れば収拾がつかなくなる。米国は『パールハーバー（真珠湾）』と、フィリピンで米兵らを虐待した『バターン死の行進』の記憶を求めるが、アメリカ向きに、そこだけ触れてアジアへの謝罪を消すのはばかげたことだ。仮に米議会演説を乗り切れても、批判とブーイングが巻き起こるだろう」と述べます。
戦後７０年の節目にアジア侵略に対する明確な反省に背けば、安倍政権への国内外での批判で行き詰まりを深めることは必至です。
( ２０１５年０４月２２日，「赤旗」)
ベトナム戦の被害者を招く／加害の歴史直視も／韓国
【ソウル＝時事】韓国で、ベトナム戦争での韓国軍による民間人虐殺という加害の歴史を見詰め直す動きが出ています。「日本の責任を問う以上、過去の自らの過ちを直視すべきだ」と、被害者遺族２人を初めて韓国に招待。今年に入り、虐殺事件を取り上げた本も刊行されました。しかし、依然韓国社会でこうした事実はタブー視され、反発も根強いものがあります。
「慰安婦」「ベトナム」 両方取り組む
韓国にとって、今年は解放７０周年であると同時に、ベトナム戦争への本格参戦から５０年、ベトナム戦争終戦から４０年です。虐殺地の様子などを記録した写真展がソウルで開催されるのに合わせ、ベトナムからグエン・タン・ラン氏（６３）とグエン・ティ・タン氏（５４）の男女２人が４～１０日、訪韓しました。
ラン氏は１０００人以上の住民が殺された１９６６年のタイビン村事件、タン氏は住民７４人が虐殺された６８年のフォンニ・フォンヤット事件の生き残り。ラン氏の母と妹は事件で死亡し、自らも手りゅう弾の破片が体内に残ります。タン氏は母、姉、弟ら家族・親戚５人を失い、自らも腹に銃弾を受け重傷を負いました。
招いた市民団体「平和博物館建立推進委員会」は、慰安婦問題とベトナム問題の両方に取り組んできました。
７日の歓迎行事では、ラン氏が「過去の事実を直視するとき、真の協力関係を結べると思ってやってきた」と訴えました。２人は８日、「同じ戦争被害者として応援する」（タン氏）と、元慰安婦らが日本大使館前で毎週開いている「水曜集会」にも参加しました。
大統領謝罪も負の側面は教えられず
２月にフォンニ・フォンヤット事件を取り上げた本「１９６８年２月１２日」を出版した韓国紙・ハンギョレ新聞の高○兌（コ・ギョンテ）記者は「韓国人は日本などからの被害を強調するが、ベトナム戦争は韓国人が加害者。しかし、韓国人は片方だけしか記憶していない」と話します。
韓国軍による虐殺は、高氏が所属していたハンギョレ発行の雑誌で、９９年に初めて報じられました。その後、市民団体が被害者への医療支援や慰霊碑建立などに取り組み、２００１年に当時の金大中（キム・デジュン）大統領が「ベトナム国民に苦痛を与えたことを申し訳なく思う」と謝罪。政府レベルでも学校、病院などを建設しました。
しかし、多くの韓国人にとって、ベトナム戦争は今でも「共産主義とたたかい、高度経済成長をもたらした聖戦」（高氏）。学校で負の側面が教えられることはありません。
７日、２人の歓迎行事の会場近くでは、元軍人団体が「でっち上げだ」「ベトナム参戦勇士を侮辱するな」と３００人規模の抗議集会を開きました。
韓国のベトナム派兵
韓国の朴正熙（パク・チョンヒ）政権は、ベトナム戦争で南ベトナムを支援するため、１９６５年から戦闘部隊を派遣。７３年に撤収するまで、米国に次ぐ規模の約３２万人を派兵。米国からの援助や特需は高度経済成長を後押しした一方、韓国軍は少なくとも９０００人以上の民間人を殺害したと言われます。一部は米公文書にも記録されていますが、真相解明は進んでいません。
（ソウル＝時事）
( ２０１５年０４月２１日，「赤旗」)
主張／歴史教科書／過去の誤りと向き合う教育を
日本とアジア諸国との「和解と友好」にとって歴史問題はきわめて大切な課題です。アジア諸国は日本の侵略戦争と植民地支配により、深刻な被害を受けた国々に他ならないからです。
アジアとの共生に不可欠
その一つの重要な分野に歴史教育があります。近現代史を学び、過去の誤りを知ることは、日本の子どもたちがアジアの人々と共生していくためにも不可欠です。しかし、かつての戦争について「しっかりと教わった」という人は日本では１３％で、ドイツの４８％と大きく違います（「朝日」１４日付）。戦後７０年の今年、社会全体で解決にあたる必要のある課題です。
ところが、安倍晋三政権のすすむ方向は正反対です。
今月発表された中学校教科書の文部科学省の検定結果では、国際的にも注目されている日本軍「慰安婦」の実態や証言の記述に、「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」などの意見をつけ、結果として記述は縮小を余儀なくされました。
「政府の統一的見解」とは、「軍や官憲」による「強制連行を直接示すような資料は発見されていない」という第１次安倍政権の政府答弁書のことです。
しかし政府自身が知っているはずのＢＣ級戦犯裁判や東京裁判の判決には強制連行が明記されています。日本の裁判所も強制連行の数々の事実を認定しています。強制性を認定した河野洋平官房長官談話（１９９３年）こそ教科書に生かすべきで真実性のない答弁書で検定するなど言語道断です。
大多数の教科書が２０００年代以降､自民党などの圧力により､｢慰安婦｣記述を自主規制してきた問題もあります｡｢歴史の真実を回避することなく｣｢歴史教育を通じて…永く記憶にとどめ､同じ過ちを決して繰り返さない｣という河野談話の立場をどう誠実に歴史教科書に反映させるのか､国民的に考える必要がある問題です｡
さらに深刻なのは、安倍自民党が「日本は正しい戦争をやった」という極右的な立場に立つ育鵬社と自由社の歴史教科書をこの夏、全国で採択させようと狙っていることです。４年前の採択の際にも党をあげてとりくんでいます。
これらの教科書は太平洋戦争を「自衛のための戦争」「アジア解放の戦争」と描き、戦争への反省をＧＨＱが国民に植え付けたものといい、公民教科書も子どもたちを改憲に誘導するなど一般の教科書と一線を画す特異なものです。
安倍政権は今月、教員など各教科の専門家や保護者の意見が尊重されるべき採択について、教育委員会の「判断と責任」を強調する通知をだしました。４年前、教員も校長会もＰＴＡ連合会も反対し、住民の６割が採択すべきでないとした育鵬社公民教科書を、教科書を読んでいない教育委員らが強行した沖縄・八重山採択地区を想起させます。教育委員会制度が今年度から改悪された下で、極右的思想をもつ首長が教育委員らに圧力をかける危険もあります。
侵略戦争の美化を許さず
こうした侵略戦争美化の動きは、安倍政権がすすめる「戦争する国」づくりと一体です。この流れを断ち切り、過去の誤りに誠実に向き合う歴史教育をすすめる流れを確かなものとするために、国民的な共同を心からよびかけます。
( ２０１５年０４月２１日，「赤旗」)
２０
中学教科書／「旧土人保護法」はアイヌに「土地あたえた」？／歴史ゆがめる検定
〝政府の統一見解に基づいて記述せよ〟と、日本の侵略による南京大虐殺や強制連行、日本軍「慰安婦」問題などで政府の意向に沿った記述にさせた来年４月から使う中学校教科書検定。６日に結果公表され、明治政府が制定した「旧土人保護法」をめぐる検定意見についても、批判の声が広がっています。
社会科歴史教科書の申請図書の一つは、「（明治）政府は、１８９９年に北海道旧土人保護法（「保護法」）を制定し、狩猟採集中心のアイヌの人々の土地を取り上げて、農業を営むようにすすめました」と記述。これに、「生徒が誤解するおそれのある表現である（旧土人保護法の趣旨）」との検定意見がつきました。
「…狩猟や漁労中心のアイヌの人々に土地をあたえて、農業中心の生活に変えようとしました」と修正させ、検定合格に。検定意見は、「旧土人保護法」に〝土地を与える〟との文言があることを理由にするもの。
「子どもと教科書全国ネット２１」の俵義文事務局長は、６日に発表した談話で、「前回検定（２０１０年度）合格の現行本と同じ記述に検定意見をつけた」「『旧土人保護法』制定当時、アイヌの土地を取り上げたということは、歴史研究では通説となっている」と指摘します。
「強制同化政策」をおしすすめ、アイヌ社会に決定的な打撃を与えた明治政府。アイヌに生活安定を図る名目で「旧土人保護法」が制定されますが、差別的なもので窮状は改善されませんでした。同法は１９９７年に廃止されました。
俵氏は先の談話で、２００７年の国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」、０８年の衆参両議院本会議で全会一致で採択された「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」を指摘。「（これらにも）反するものである。『正確性』を理由に歴史の事実をゆがめ、逆に不正確にして歴史わい曲の検定である」と批判しています。
（教科書問題取材班）
( ２０１５年０４月１７日，「赤旗」)
村山・河野談話の継承を／「歴史認識の基本原則」／中国首相
【北京＝時事】中国の李克強首相は１４日、北京訪問中の日本国際貿易促進協会の河野洋平会長（元衆院議長）と人民大会堂で会談しました。李首相は「植民地支配と侵略」や「痛切な反省と心からのおわび」を明記した１９９５年の「村山談話」と、河野氏が９３年の官房長官時代に出した慰安婦問題をめぐる「河野談話」に関し、「日本政府が歴史を正しく認識する基本的な原則精神となった」と指摘。安倍晋三首相の戦後７０年談話を念頭に、両談話の継承を求める姿勢を示しました。
会談には訪中団の一員として、沖縄県の翁長雄志知事も同席しました。
( ２０１５年０４月１５日，「赤旗」)
朝の風／政権の歴史認識押し付ける検定
中学校教科書の検定結果が発表された。昨年１月に改定された検定基準の効果がはっきりと表れたようだ。
改定検定基準は政府見解にもとづいて記述することを求めているが、それが歴史認識にまで適用され、新規参入した教科書の「慰安婦」記述が大幅に削除された。｢慰安婦｣という用語は資料として載せた河野官房長官談話の中に残っているが、本文からは消えた。
政府見解に基づく記述になっていないという文科省の指摘の根拠は、河野談話発表までに政府が発見した資料の中には強制連行を直接示す記述は見当たらなかったという２００７年閣議決定による答弁書と、国連のクマラスワミ報告書に重大な懸念があり留保するという２０１２年閣議決定による答弁書だ。
だが、河野談話発表時でも、その後においても、強制連行を示す資料は多数発見されている。また、連行時の暴力的強制の有無が本質的な問題ではなく、連行後の「慰安所」における性暴力の強制こそが重要だとの指摘もされてきた。
そうした歴史研究における議論を無視して、日本軍｢慰安婦｣という歴史事実の認定を政府が決めること、そして安倍政権の歴史認識まで教科書を通して子どもたちに押し付けるのは、実に驚くべきことではないか。
（比）
( ２０１５年０４月１４日，「赤旗」)
中学教科書公民・歴史／地域で採択阻むたたかいを／子どもと教科書全国ネット２１常任運営委員・歴史教育者協議会元委員長石山久男さん
文部科学省は昨年１月、教科書編集や指導の指針となる学習指導要領の解説書を改訂し、尖閣諸島と竹島について「我が国固有の領土」などと政府見解を明記しました。
そのため、すべての歴史と公民の教科書に領土問題が記されました。改訂前は双方の主張の相違について書けましたが、改訂後は日本政府の主張だけを教え込むものになりました。近隣諸国との対話を閉ざしかねません。
南京事件については「さまざまな説がある」など、あいまいな記述が目立ちます。虐殺数など通説がない事項は、そのことを明示するとした検定基準の改訂で、出版社が自主規制した形です。
政府の検定意見によって、ある社の「慰安婦」の文言が本文から全部削られたことは重大です。
育鵬社版公民は「公共の福祉による基本的人権の制限」という別表まで付けて「人権の制限」を強調したり、「天皇を精神的支柱として国民が一致団結」したと書くなど、国民主権よりも天皇の地位を重要視しています。
安倍政権は育鵬社版が採択されやすいように、教育委員会制度を改悪しました。右翼団体の日本会議や自民党は、育鵬社版の採択を迫るでしょう。これに対し広く地域から共同のたたかいをつくり、打ち破っていくことが重要です。
(２０１５年０４月１２日，「赤旗」)
中学教科書公民・歴史／文科省が検定結果公表／戦争への人づくり育鵬社版
文部科学省が６日に検定結果を公表した中学校教科書（２０１６年度から使用）。そのうち一部の社会科教科書に「戦争する国」づくりをねらう安倍自民党政権の姿勢が強く現れています。その内容は―。
本吉真希記者
「自衛隊違憲論」削除／「辺野古」は政府代弁
安倍晋三首相の意をくんでいる「育鵬社」の公民と歴史の教科書が、今回も検定に合格しました。
安倍氏は首相就任前の１１年、育鵬社版を「新しい教育基本法の趣旨を最もふまえた教科書」だと絶賛していました。自民党は０６年に教育基本法を改悪し「愛国心」や「公共の精神」を教育目標に据えました。「戦争する国」に忠誠を尽くす国民を育てるためです。
育鵬社の公民教科書は、現行版にある「自衛隊違憲論」の記述を削除しました。自衛隊の災害救助への国民の期待や「国際貢献」の〝実績〟を列記する一方、「国防の義務がない徹底した平和主義は世界的には異例」などと平和憲法を敵視。２㌻を割いて「憲法改正のしくみ」を説き、改憲へと子どもたちを誘導する内容です。
新たに加えた「沖縄と基地」と題するコラム（写真下）では「日米安保体制は日本の防衛の柱であり、アジア太平洋地域の平和と安定に不可欠」だと指摘。沖縄の「負担軽減」として「普天間飛行場の辺野古への移設などを進めています」と、政府の主張を代弁しています。
同社の歴史教科書では、日本の侵略戦争を「自存自衛」の戦争、つまり日本が生きるためのやむにやまれぬ戦争だったとあべこべに描き、「戦争の名目」を「欧米による植民地支配からアジアの国々を解放し、大東亜共栄圏を建設すること」だと記載。「大東亜戦争」と当時の政府や軍部が使った呼称で書いています。
日本の植民地や占領した国の被害実態や人々の苦しみにはふれていません。
新規の出版社本から「慰安婦」削除させる
今回、新規の出版社が初めて歴史教科書を検定に申請しました。この教科書は戦時中の日本軍「慰安婦」について、軍に突然、連行された被害女性の証言や軍関与を認めた１９９３年の河野洋平官房長官談話を用いて２㌻にわたり詳述。補償問題や日本政府の国際的な責任にも触れました。
ところが文科省は「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」などの理由を付し、「慰安婦」関連の記述は大幅削除となりました。
「戦時下の女性への暴力と人権侵害」という一文は入ったものの、「慰安婦」の文言は本文から消えました。脚注の「河野談話」の抜粋は残りました。
ただ同じ脚注に「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような資料は発見されていない」という第１次安倍政権時の閣議決定（２００７年）が加わりました。なぜか―。
文科省は昨年１月、小中高校の教科書検定基準を改悪し、社会科について▽政府見解がある事項はそれに基づき記述▽近現代史で通説がない事項はそのことを明示―など３点を追加。今回から適用されました。
背景に、侵略の歴史を子どもたちの目から隠そうとする自民党の教科書攻撃があります。「慰安婦」の文言は０５年の検定以後、すべての中学校教科書の本文から消えました。
日本を孤立させるもの／共産党畑野議員
日本共産党の畑野君枝国会議員団文部科学部会長は６日、育鵬社版教科書が合格したことについて談話を発表し、「『日本は正しい戦争をやった』という安倍首相らのゆがんだ歴史認識を、教育を通じて社会に持ち込み、日本を世界とアジアから孤立させるものだ」と批判しました。
(２０１５年０４月１２日，「赤旗」)
週間日誌／１５年４月５日～１１日
政治・経済
◆翁長知事、菅官房長官と初会談 沖縄県の翁長雄志知事が、那覇市内で菅義偉官房長官と会談し、名護市辺野古米軍新基地建設の中止を求める「オール沖縄｣の民意を訴える｡那覇市の県庁前には多くの県民が集まり（写真）、知事を激励(５日)
◆今年度予算が成立 参院本会議で政府予算（一般会計総額９６兆３４２０億円)が自民､公明などの賛成多数で可決・成立。軍事費は過去最高、社会保障予算は合計３９００億円削減する内容（９日）
◆ブラック企業規制法案を提出 日本共産党国会議員団が、労働実態の改善や企業の違法行為の是正を求めた法案を参院に提出（９日）
◆新基地反対「辺野古基金」設立 安倍政権が強行する沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設に反対する県内外の有識者や経済人、議員らが会見。新基地建設反対の世論を広げるための「基金」設立を発表（９日）
◆株価が一時２万円超え 日経平均株価が一時２万円の大台。取引時間中としては２０００年４月１７日以来１５年ぶり（１０日）
社会・国民運動
◆「慰安婦」記述を大幅削除 文部科学省は、２０１６年４月から使われる中学校教科書の検定結果を発表。教科書の右傾化に乗り出す安倍政権による検定基準などでの改悪後初の検定。日本軍「慰安婦」、関東大震災の朝鮮人虐殺事件の人数など近現代史をめぐり、検定意見がつき、記述が修正・大幅削除（６日）
◆「故障」表示が直前に３回 北海道と青森県を結ぶ青函トンネルで特急電車から煙が出たトラブルで、ＪＲ北海道は、始発駅を出てトンネルに入るまでの約４０分間に、モーターの制御装置の故障を示す表示が３回出ていたと発表（８日）
◆東寺、橿原神宮で油まかれる 世界文化遺産に指定されている京都市南区の東寺で、国宝の御影堂など計５カ所に油のような液体をまいた跡があったことが判明。奈良県橿原（かしはら）市の橿原神宮でも同様の被害が発覚（９日）
国際
◆暴力停止、平和共存をローマ法王が訴え フランシスコ・ローマ法王は復活祭のミサで、中東やアフリカで続く暴力の停止と平和共存を訴え、国際社会に「人道的悲劇」への対応を要求（５日）
◆ギリシャが戦時賠償額を算出 ギリシャのマルダス副財務相が、ナチス・ドイツに占領を受けた当時の損害に対する賠償額を２７８７億ユーロ（約３６兆円）と算出したと議会で発表（６日）
◆トルコ・イラン首脳が、イエメン戦闘終結で一致 トルコのエルドアン大統領が、イランのロウハニ大統領と会談し、紛争が拡大しているイエメンの戦闘を一刻も早く終結させることで合意(７日)
◆ノルウェー首相が第２次大戦時のロマ差別を謝罪 ノルウェーのソルベルグ首相が第２次世界大戦前後に行われた少数民族ロマへの差別を国史の汚点と謝罪し、賠償金の支払いを約束（８日）
◆米とキューバ外相が会談 米国のケリー国務長官とキューバのロドリゲス外相が５７年ぶりに会談（９日）
( ２０１５年０４月１２日，「赤旗」)
ひと／負の歴史を見据える舞台に出演前東美菜子さん（２６）
５年前に文学座研究所に入り、今月、文学座座員になったばかり。劇団期待の若手の一人です。１６日から、スイスの劇作家、ルーカス・ベアフース作、中野志朗演出の舞台「２００００ページ」（３０日まで、東京・文学座アトリエ）に出演します。
自国の負の歴史を見据えた〝ＳＦ演劇〟です。ある日、落ちてきた本から２００００㌻分の自国の現代史が、主人公の頭の中に入ってしまいます。奇想天外な展開で、第２次世界大戦中にスイスが、ナチス・ドイツからの大量のユダヤ人難民の入国を拒んだとされている歴史を問いかけます。
「スイスが抱えている問題は、いまの日本の『慰安婦』問題に似ているな、と。〝過ぎたこと〟として歴史の事実をあいまいにしたままでは、前に進めないと思います」。演じるのは主人公の恋人役。「夢とうつつが入り混じる中、現実を感じさせる役なので、地に足をつけて演じたい」と話します。
茨城県出身。小学生のころから絵を描くことが大好きで、中学､高校は美術部｡筑波大学美術専攻洋画コースで油絵を学びました。
「人生で何が大切かを探す大事な学生時代に、一人でアトリエにこもっていていいのか」と悩み、友だちに誘われ演劇サークルへ。「絵よりもダイレクトに伝わる」演劇を選びました。
「現代を生きる俳優として自国の歴史に無関心ではいられません」。しっかり前を見て言いました。
文 寺田 忠生
( ２０１５年０４月１１日，「赤旗」)
１０
新座市教委、「慰安婦」展不許可／埼玉ＡＡＬＡが抗議
埼玉県新座市教育委員会が、市民団体が公共施設のロビーで計画した「中学生のための『慰安婦』展」（３月２７日～４月７日）を不許可にした問題で、埼玉アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会（小島民子理事長）は２日、市教委に抗議文を送りました。
抗議文は、日本軍「慰安婦」問題を謝罪した「河野談話」が、過ちを繰り返さないための歴史教育の大切さを強調していることに触れ「学ぶ場として公民館をはじめ公共の施設もその責任を担っている」と指摘し、会場使用不許可を取り消すよう求めています。
(２０１５年０４月０９日，「赤旗」)
おはようニュース問答／ＮＨＫ予算、また「全会一致」が崩れたね
のぼる ＮＨＫ予算の国会承認で賛否が分かれたんだね。
みどり ３月末の衆参本会議で、２０１５年度のＮＨＫ予算案が与党の賛成で承認されたけど、日本共産党など野党各党が反対した。２年連続して「全会一致」でなかったのは異常事態よ。
のぼる なんで全会一致が大事なの？
みどり ＮＨＫは国民・視聴者の受信料で成り立っているでしょ。だから、その予算は国民の総意を代表する国会が承認することを放送法第７０条で定めてあるの。
公共放送なのに
のぼる なるほど。さまざまな思想・信条を持つ国民が支える公共放送だからこそ、すべての会派が承認できる予算がベストなわけだね。
みどり その通り。共産党も、自民議員による番組改変事件が起きたときなどに反対したことはあるけど、ほとんどの年度で賛成してきたのよ。
のぼる 昨年度は、籾井（もみい）勝人会長の就任会見での「政府が右というものを左というわけにいかない」などの暴言が主な理由で、野党が反対したよね。今回は何が問題になったのかな。
みどり 会長の私的なゴルフのハイヤー代をＮＨＫが一時立て替えていたことが、内部告発で明らかになったの。
のぼる ひどい。その代金って受信料だろ！
みどり 暴言も相変わらずよ。２月５日の記者会見で日本軍「慰安婦」関連番組をつくるかどうかを問われ、「政府のスタンスがよく見えない。いま放送することが妥当かを考えなければならない」と発言したの。
のぼる 国民に代わって権力を監視すべきＮＨＫが、逆に「政府の広報機関になります」と宣言したのも同然だ。
みどり 国会での審議を聴いても、ＮＨＫが戦前に国民を戦争に駆り立てた痛恨の教訓を、籾井会長はまったく理解していなかった。
会長には不適格
のぼる 国家権力からの独立は生命線だよ。公共放送の基本すら貫けず、ハイヤー代までごまかそうとするトップのもとでつくられた予算は、とても承認できないよ。
みどり 参院総務委員会での審議で、吉良よし子議員は籾井会長にズバリと言ったわ。「ＮＨＫ会長として不適格。今すぐ辞めるべきだ」と。
( ２０１５年０４月０９日，「赤旗」)
第２次世界大戦終結７０年／強制連行・「慰安婦」の謝罪賠償では／韓国の崔鳳泰弁護士に聞く
被害者の声反映必要
第２次世界大戦中の朝鮮人強制連行・強制労働や日本軍「慰安婦」問題について、日本政府は１９６５年に韓国と結んだ日韓請求権協定で「解決済み」との立場です。被害者らは日本と韓国で提訴し、いまも日本政府に謝罪と賠償を求めています。問題解決に向け、長年活動してきた韓国の崔鳳泰（チェ・ボンテ）弁護士に話を聞きました。
（栗原千鶴）
この間の日韓の局長級協議や外相会談などでは、「慰安婦」問題も議題となりました。１月の局長級会議後、韓国側は「協議の進展のために相互に努力することにした」と発表しました。肯定的な反応は初めてで、大事な成果だと思います。
一方、心配している問題もあります。
一番大事にされなければならない「慰安婦」被害者の意思を無視し、交渉が進められています。これでは交渉で成果が出ても、その後に被害者の反発なども予想されトラブルの種になります。１９９５年に「償い金」を支払うとしてつくった「アジア女性基金」が被害者に拒否されたことをみれば明らかです。
韓日だけでなく
韓国政府は「慰安婦」問題について、「被害者が納得できる解決策を日本政府が出すべきだ」との立場です。しかし、これは日本政府からみれば、無責任な態度です。まず韓国政府が被害者に会い、日韓で話し合っている内容を伝え意思を確認する。そして韓国側から日本側に解決策を提案すべきです。
もう一つの問題は、「慰安婦」被害が韓日だけで話し合われていることです。本来なら中国や東南アジアなど被害者全体の解決が必要です。そこで私には考えがあります。
昨年６月、「日本軍『慰安婦』問題アジア連帯会議」が開かれました。そこで各国の被害者が要望を出し合い、支援者らとまとめた日本政府に対する要請項目（別項１）を発表しました。
そこでは、日本政府・軍が「慰安所」を立案・設置し管理・統制したことや本人たちの意に反して「性奴隷」にしたことなどを認め、謝罪と賠償を求めています。この要請項目を、韓国側の案として日本に提示したらどうかと思うのです。
この項目は、民主党政権時代の２０１２年に日本側が韓国側に提起した案（別項２）と比べると、少し歩みよれば合意できる内容です。
しかし、政府が合意に至っても法律に照らして問題がある解決案だった場合、再び紛争が起きることがあるかもしれません。それを回避するには、韓日政府や企業が、両国の裁判所の判断を尊重すればいいと考えます。日本には、二つの大事な判決があります。
一つは、韓国人「慰安婦」被害者が日本政府に対し、公式な謝罪と損害賠償を求めた訴訟での判決です。１９９８年山口地裁下関支部は、「河野談話」発表後３年以内に立法を通じて謝罪と賠償をしなければならなかったが、日本政府はそれを怠ったとして、元「慰安婦」３人に各３０万円の賠償を命じました。
もう一つは中国人の強制連行・強制労働の被害者らに、国や企業側が自発的な救済をする必要があるとした２００７年の西松建設に対する最高裁の判決です。これに基づき、中国人の被害者は、西松建設と和解しています。
少なくとも日本の裁判所は、個人の請求権は残されており、国や企業は自発的に救済することが必要だと判断しました。こうした判断が戦争被害者に共通して適用され、包括的な解決の基礎にならなければなりません。
一方、韓国政府は、強制連行・強制動員の賠償問題について、責任を有しているという立場ですから、責任を果たす行動をしなければ、日本政府に意見をいうことはできません。
財団方式を提案
韓国では昨年、請求権協定によって資金の恩恵を得た企業と政府が資金を出し合い、「日帝強制動員被害者支援財団」を設立しました。同財団は、真相究明や被害者の遺族に対する福祉支援などを行う予定です。この財団を発展させ、日本政府と日本の戦犯企業も参加して、被害者に賠償する基金をつくりたい。
そうすれば「解決済み」という国の立場も乗り超えることができるでしょう。日本の支援者のみなさんの力で勝ち取った裁判の結果を生かすことにもなります。
今年に入り、韓国では「慰安婦」被害者２人が亡くなり、政府が認定する被害者は５３人に。中国では２３人だといいます。一日も早い解決が必要です。
【別項１】日本政府に対し､｢河野談話」を継承・発展させ、①政府と軍が「慰安所」を立案･設置､管理・統制した②本人たちの意に反して「性奴隷」にされ、強制された③被害は多様で甚大であり、現在も続いている④当時の国内法・国際法に反する―の４点を認め、「誰がどのような加害行為を行ったのか」を明確にするよう要求。その上で、明確な謝罪▽謝罪の証しとしての賠償▽真相究明▽教科書記述などの再発防止措置―を求めています。
【別項２】民主党政権下で佐々江賢一郎外務次官が「慰安婦」問題について、①日本の首相が公式に謝罪する②被害者に人道主義名目の賠償を行う③駐韓日本大使が被害者を訪問して首相の謝罪文を読み、賠償金を渡す―という内容の解決策を韓国側に提示。当時の李明博（イ・ミョンバク）政権は拒否したといいます。
( ２０１５年０４月０９日，「赤旗」)
激戦区の様相／京都府議選／京都市山科区（定数３）本庄たかお６６元／反戦の訴え、自民支持層にも響く
前回、４７７票差で惜敗した京都府議選・京都市山科区（定数３）の本庄たかお候補（６６）＝元＝は、北山ただお、山本陽子両市議候補や党支部・後援会と「府議会の議席回復・３人全員当選を必ず」と奮闘しています。府議選には、自民、民主、公明、維新の各党が候補者を立てました。
公明党は府議選同区を「激戦区」に指定。山科民主商工会会長宅に３回声がかかるなど、共産党支持者や党員と分かっていても支持依頼する例が相次いでいます。京都新聞６日付は、公明事務所幹部の「数百票差の勝負だ」との談話を載せ、激戦ぶりを伝えています。
「自衛隊員の息子が、今まで２回遺書を書かされた。安倍さんは本気で戦争できるようにしているようで怖い」―。共産党に寄せられたこの話を知らせると、これまで自民党支持だった人が「そんなことになっているなんて。応援します」と変化するなど、「自民・公明への一票は戦争推進の一票」の訴えが、自民党支持層にも響いています。
昨年末、府議会は日本軍「慰安婦」に関する反動的な意見書を可決。同区選出の維新府議（今回、同区市議選に出馬）が「私も賛同した結果１票差で可決」と誇っています。
定数６の市議選も、前回５位・６位当選で、次点との差が４６６票だった激戦。地坂拓晃党地区委員長は「保守層にも支持が広がる情勢をすべての後援会員に伝え、自民党に打ち勝ち、第１党実現で３人全員当選を果たしたい」と話します。
（前田美咲）
( ２０１５年０４月０９日，「赤旗」)
政府見解強制やめよ／教科書ネットが談話発表
「子どもと教科書全国ネット２１」の俵義文事務局長は６日、２０１４年度中学校教科書の検定結果公表で、「政府の見解を一方的に教科書に強制する検定制度は廃止すべきである」との談話を表明しました。
社会科歴史的分野で新たに申請した教科書会社の日本軍「慰安婦」問題に関する記述が、「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」と削除されたことを指摘。このことが「明らかになれば、国際社会からも激しい批判をあびることは必定である」と述べています。
政府見解を押し付ける教科書づくりは「領土問題でも顕著である」と指摘。昨年１月の「学習指導要領解説」の改訂による出版社側の自主規制が大きく働いているとします。
「通説」にかかわる新検定基準に基づく検定について、「戦争の被害や加害の事実を小さく見せようとする意図的政治的なねらいのために、教科書記述を不必要に歪(ゆが)めることがあってはならない」と述べています。
侵略戦争と植民地支配を美化する育鵬社・自由社版教科書の本質を指摘し、両社版の採択を「全国すべての地域で阻止し、『戦争する国』づくりへ痛打をあびせるために全力をあげる」と表明しています。
( ２０１５年０４月０８日，「赤旗」)
２０１５焦点・論点／安倍政権の圧力―問われるメディア／桂敬一さん／青木理さん
安倍首相と政権のいっそうの右傾化と暴走はメディアへの干渉・圧力を大きな特徴としています。ＮＨＫの翼賛放送局化をはじめとしてテレビへの攻勢も目立っています。この事態にメディアと国民はどう立ち向かっていけばいいのでしょうか。研究者とジャーナリストに聞きました。
萎縮を克服し国民とともに／ジャーナリズム研究者桂敬一さん
一昨年の秘密保護法、昨年の集団的自衛権行使容認といった「安倍政治」の暴走は、これまでの戦後史にはなかった現象、露骨な右傾化の動きで、今やそれが行き着く先の危機、戦後民主主義の崩壊が危ぶまれます。
取り込みが特徴
この右派路線は、新聞・テレビなどメディアの取り込みを大きな特徴としており、マスコミ対策の要には、元ＮＴＴ広報部報道担当課長の世耕弘成官房副長官がいます。
ＮＨＫの取り込みでは、安倍人脈の財界人が動いて経営委員会に委員を送り込み、そこの推挙で、あの籾井勝人氏を会長に据えました。籾井会長は就任会見で「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」と述べ、その後のＮＨＫの報道の安倍ベッタリは、目に余るものがあります。
民放も含めた放送全体への干渉もひどい。昨年の総選挙に臨んで自民党は、副幹事長・報道局長名で「公平中立と公正」を求める異例の要望書を在京テレビ局に送りつけました。
メディアの側にも、みずから介入を招く弱点があったのではないかと考えます。
２００９年の総選挙の際、朝日新聞は「政権選択の選挙」を唱え、他紙の「政策選択の選挙」と比べ、民主党政権の実現支持が明白でした。だが、それが実現すると朝日は、与党になったらおとなになれと、鳩山首相のアジア政策をくさしました。
元来朝日は船橋洋一氏を筆頭に、アーミテージなどの「ジャパン・ハンドラー（日本を操る者）」人脈との関係が強く、自民党流の対米重視です。
これでは足元を見透かされてしまう上に、読売・産経が自民一辺倒で、メディア全体としては「慰安婦問題」「歴史認識」「原発」「護憲」、どの点でも安倍政治との対決が不徹底になりやすい。とくに日米安保のゆがみが集中的に現れている沖縄問題、対米経済従属を深めるＴＰＰ（環太平洋連携協定）との対決ができません。
言論の自由危機
メディアが「言論の自由」を標榜し、国家権力の横暴を阻むときは今です。ところが安倍首相が自分の「言論の自由」を口にし、メディアを恫喝する異変が生じています。
昨秋、ＴＢＳに出演した首相は、この局の番組が「アベノミクスの恩恵を感じない」とする町の声を拾って報じたのを「（局が声を）選んでいる」と公然と非難、国会で後日問題にされると、「私にも言論の自由がある」と反発しました。
「言論の自由」とは、国民へのその保障を憲法が政府・国家に義務づけているもので、最高権力者＝首相なら、どこでもなんでも言える、というような自由ではありません。
とくに免許事業である放送の生殺与奪権を握る首相が、テレビで制作者を脅すようなことを言うとは、言語道断です。
「言論の自由」の上に成り立つジャーナリズムの実践に携わるメディアは、単なるビジネスではなく、社会的公共財としての役割発揮が国民から期待されています。
しかし、その自由の実践が安倍流「メディア取り込み」のなかで萎縮しがちで、とくに昨年の「朝日バッシング」以降、メディアの現場のあちこちで自粛が蔓延、大事な自由が使い切れていないのが気になります。
アメリカと一緒に世界中どこででも戦争ができる体制の構築を急ぎ、今国会で安全保障関連法制定を強行しようとする安倍政権に対し、一点共闘の境界を越えた市民が３月２２日、一斉に「ＮＯ！」を突きつける大集会を成功させました。
平和憲法破壊のたくらみを阻止する、こうした「国民の正当な怒り」に依拠するならば、メディアはなにも恐れる必要はありません。萎縮を克服して、「国民とともに起つ」ことこそ、今求められているものです。
（小寺松雄）
かつら・けいいち １９３５年生まれ。日本新聞協会研究所長、東京大学新聞研究所教授、立正大学教授などを歴任（ジャーナリズム研究)｡
伝えるべきは果敢に伝える／ジャーナリスト・テレビコメンテーター青木理さん
僕が出演するのは情報番組が多く、政治ニュースをそれほど扱っていませんが、報道番組を中心に政権の影や圧力が強まっているのは間違いありません。
例えば、ある番組に与党幹部が出演した際、司会者が少し強い調子で批判し、直後に身内の政治部記者から番組にクレームがきた。取材しにくくなることなどを恐れたんでしょう。また、一部のプロデューサーには「政権批判ばかりでなく、いいところも言及してください」などと言ってくる者もいる。直接の圧力ではありませんが、一種の萎縮、自粛でしょう。
以前はこのようなことは無かった。安倍政権になってから顕著です。
自省すべき点も
背景にあるのは、メディアに強圧的な政権の態度です。
昨年、ＴＢＳ「ニュース２３」に首相が出演した際、街頭インタビューが政権批判ばかりだとキレる騒動がありました。バカげた話です。首相を出演させてヨイショの声を伝える方が異常でしょう。むしろ批判を積極的に紹介し、首相も丁寧に応じてこそ意味がある。民主主義社会におけるメディアと権力者の役割です。
しかも、直後に自民党は在京キー局に「公正中立」な報道を求める文書を送りつけた。こうした強圧的な態度にメディアも戦々恐々としている。
メディア側にも自省すべき点があります。特に大手メディアは記者クラブ制度などの悪弊をあらためず、「権力監視」といいながら、自らも特権階級に身を置いている。そこを市民に見透かされ、メディア批判はかつてないほど広がっています。政権と対峙することを放棄し、萎縮や自粛傾向を強めれば、メディア不信はさらに広がり、政権のやりたい放題となってしまう。
巷の書店には嫌韓・嫌中本が並んでいます。情報番組でも中国のコピー商品などの話題を大きく取りあげたり、韓国の事故や事件を盛んに取りあげたりし、「日本はスゴい」といった内容が増えている。視聴率が取れるんだそうです。
ネット右翼と呼ばれる連中が多数派とも、日本の世論を左右しているとも思いません。ただ、自国を優越視し、隣国を下に見る風潮が強まっている。また、ネット右翼のような連中は、意に沿わない報道に露骨な攻撃を仕掛けてくる。電話だったりメールだったり、ツイッターなどでも盛んに批判を繰り広げる。
僕も経験がありますが、そうした抗議への対応は面倒だから、刺激するような話題は避けよう…そう考える番組制作者がいるのも事実です。
もちろん、制約のなかで頑張っている制作者もいます。一方、現実には今のテレビや新聞の過半は政権応援団と化している。メディアの役割を理解しない政権下、かつてないほど悪い状況が生まれています。
声援励まし必要
テレビもジャーナリズムの重要な一翼を担っている以上、どんなに政権が強圧的でも、伝えるべきは果敢に伝えないといけない。辛うじてファイティングポーズをとっている番組には、声援や励ましの声を届けることも必要でしょう。
戦後７０年、今ほど異常な状況はありません。特定秘密保護法が強行成立し、集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、安保法制の整備を含め、これまでの歯止めは次々と取り払われてしまいつつある。憲法「改正」も企まれている。
メディアとジャーナリズムの矜持にかけて、踏ん張らねばならない。私たちは歴史の岐路に立っています。
（和田肇）
あおき・おさむ １９６６年生まれ。共同通信記者としてソウル特派員など務める。２００６年退社。１１年からテレビ朝日「モーニングバード」などでコメンテーター。
■２０１３年以降の安倍政権とメディア
１３年１０月 安倍内閣が、首相に近い５人をＮＨＫ経営委員（新４人、再１人）に任命（のちに国会で承認）
１２月 ＮＨＫ経営委員会が財界出身の籾井勝人氏を会長に任命
１４年１月 籾井会長が就任会見で「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」など数々の暴言
１３～１４年 安倍首相とメディア幹部との会食がひんぱんに
１４年１１月 安倍首相が、出演した民放番組で街の声について「（局が）選んでますよ」とクレーム。２日後に自民党が在京テレビ局に選挙報道で「要望」
１５年２月 籾井会長が「従軍慰安婦」番組について「政府のスタンスを見てから対応」
１５年３月 テレビ朝日「報道ステーション」でコメンテーターの古賀茂明氏が「番組を降りるが、菅官房長官ら官邸からバッシング」と発言。菅長官が記者会見で「事実無根」「放送法があるので、まずテレビ局がどう対応するのか」
( ２０１５年０４月０８日，「赤旗」)
中学校教科書検定／「加害責任」前進なし／検定結果に見解発表／出版労連
６日に発表された中学校教科書検定結果について、日本出版労働組合連合会教科書対策部は見解を発表しました。
歴史修正主義や憲法「改正」に導くような教科書は、育鵬社および自由社の２社のみであったことについて、「この点では著者・編集者の努力を評価したい」としています。
一方で南京虐殺、「従軍慰安婦」、沖縄戦など、日本の戦争加害責任については目立った前進がほとんどなかったことについて、「厳しい検定と採択制度の改悪によるものとはいえ、残念であるといわざるをえない」と指摘しています。
社会科の領土問題については、全社が「政府の統一的見解」に記述をそろえたことを挙げ、「さまざまな見解を教科書に自由に載せて中学生に問題解決の糸口を考えさせるのが教科書の本来の役割のはずであるが、これでは日本のナショナリズムを一方的に煽（あお）り立てて近隣諸国との対立を激化させることにつながりかねない」と述べています。
２００３年から毎年、教科書研究センターで行われる検定結果の公開日数が年々短縮されていることについて「教科書検定結果は広く国民に公開されるべきであり、文部科学省自身がいう『開かれた教科書採択』という方針にも反するものである」と批判しています。
( ２０１５年０４月０７日，「赤旗」)
中学校教科書検定／教科書統制強める安倍政権／検定基準改悪、政府の意向記述求める
文部科学省が６日に結果を発表した中学校教科書の検定は、検定基準を改悪し、改悪教育基本法の精神で教科書を書き換えさせたいという安倍晋三政権の意図を背景に行われました。
（教科書問題取材班）
２００６年の教育基本法改悪で、教育の目標に「我が国を愛する態度を養う」ことなどを盛り込んだ安倍首相。政権復帰後は、「教育基本法を変えて…愛国心、郷土愛というものも書いたが、残念ながら、検定基準においてはこの改正教育基本法の精神は生かされていなかった」（１３年４月１０日衆院予算委員会）と教科書検定に狙いを定めてきました。首相の意向に沿って文科省は昨年、社会科の検定基準を改定しました。
その内容は、①未確定な時事問題で特定の事柄を強調しない②近現代史で通説的な見解がない数字などの事項については、通説的見解がないことを明示する③政府の統一見解や最高裁判決がある場合はそれらを踏まえた記述にする―の３点です。日本の侵略による南京大虐殺や強制連行、日本軍「慰安婦」などの問題で、政府の意向に沿った記述にさせようという狙いがあります。
さらに教科書の合否の判断を決める「審査要項｣が改定され､教育基本法や学校教育法、学習指導要領が示す目標などに照らして「重大な欠陥が見られる」とされた教科書は一発で不合格になることになりました。改悪教育基本法が掲げた「愛国心」が書かれていないという理由でも、不合格にされかねない仕組みです。
改悪された基準の下で初めて実施された今回の検定は、さっそく新基準を適用。韓国の元「慰安婦」の証言について全面的に削除させ､｢『慰安婦』問題について強制連行を直接示す資料は発見されていない」との政府見解を書き込ませました。
ほかにも関東大震災のときに虐殺された朝鮮人の人数が、「通説的見解でない」という新基準の適用で書き直されました。新基準の適用ではありませんが、消費税増税の記述に「拡大する社会保障費を国民全体で広く負担しようという、『社会保障と税の一体改革』が進められるなか」と、政府の言い分が書き加えられました。
教科書の記述は、時の政府に都合のいいものにするのではなく、子どもたちが基本的な知識を学び、幅広い視点から考えを深められるものにすべきで、執筆者・出版社の自主性が大切にされなければなりません。
安倍政権による教科書統制のおおもとには「日本は正しい戦争をやった」というゆがんだ歴史認識があり、それは「戦争立法」など「戦争する国」づくりに連なっています。
今後、焦点は各地での教科書採択になります。前回党をあげて育鵬社版の採択を推進した安倍自民党。その狙いを許さないため世論と運動を広げるときです。
「慰安婦」２㌻分ほぼ削除／〝強制連行の資料ない〟と注釈
今回教科書検定で初めて参入した教科書会社の中学校社会科歴史教科書は一度「不合格」となりました。日本軍「慰安婦」を正面から取り上げた「問い直される戦後」の見開きページには多くの「指摘」を受けました。
〝話題の選択が､具体の事項に偏っており、全体として調和がとれていない〟〝生徒が誤解するおそれのある表現である〟などです｡
元日本軍「慰安婦」の「金学順（キム・ハクスン）の証言（全体）」には、「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」との指摘がされました。
不合格後、この教科書会社は再申請しました。再申請図書では、「慰安婦」の記述を大幅削除。「調査の結果、長期に、広い地域に、慰安所が設けられ、数多くの慰安婦が存在したことが認められる…」との河野洋平官房長官談話（１９９３年）＝一部要約＝は残しました。そこに「現在、日本政府は『慰安婦』問題について『軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような資料は発見されていない』との見解を表明している」という注釈を加えて、それが検定合格となりました。
自民党などの攻撃で、日本軍「慰安婦」の記述がすべての中学校教科書から消えたのは２００５年の教科書検定。今回、「河野談話」が掲載され、「慰安婦」の説明がでたこと自体は１０年ぶりのことです。
( ２０１５年０４月０７日，「赤旗」)
中学校教科書検定結果について／党国会議員団文部科学部会長畑野君枝議員の談話
６日発表された中学校の教科書検定結果について、日本共産党国会議員団の畑野君枝文部科学部会長（衆院議員）は次の談話を発表しました。
一、日本軍国主義による侵略戦争であったアジア・太平洋戦争を「自存自衛」「アジア解放」のための戦争だったと描く、歴史を偽る歴史教科書、憲法の平和的民主的原則をゆがめて描く公民教科書が引き続き合格となり、自民党などがその採択を進めようとしていることはきわめて重大です。
一、今回の検定は、安倍政権が検定基準を改悪したもとではじめて行われましたが、そのなかで、日本軍「慰安婦」を記述しようとした教科書の記述の大幅削除などがおきていることも看過できません。
一、これらは「日本は正しい戦争をやった」という安倍首相らのゆがんだ歴史認識を、教育を通じて社会に持ち込み、日本を世界とアジアから孤立させるものです。わが党はこうした逆流を許さないため国民とともにたたかい、「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、教科書に誠実かつ真剣に反映させるために奮闘します。
( ２０１５年０４月０７日，「赤旗」)
中学校教科書検定／「慰安婦」記述を大幅削除／歴史問題など安倍色前面
文部科学省は６日、２０１６年４月から使われる中学校教科書の検定結果を発表しました。教科書の右傾化に乗り出す安倍政権による検定基準などの改悪後初の検定で、日本軍「慰安婦」問題を正面から記述しようとした教科書の記述が大幅削除されるなどしました。日本共産党国会議員団文部科学部会長の畑野君枝氏（衆院議員）は、「歴史を偽る逆流を許さず、過去の誤りへの反省の立場を、教科書に反映させるために奮闘する」との談話（２面）を発表しました。（関連３・１４面）
今回の検定では日本軍「慰安婦」、関東大震災の朝鮮人虐殺事件など近現代史をめぐって、〝政府の統一的な見解に基づいた記述に〟〝通説がないことを明示せよ〟などと検定意見がつき、記述が修正される事例がありました。
また、昨年１月に行われた沖縄県の尖閣諸島と島根県の竹島についての学習指導要領解説書の改定を受け、各社とも「領土問題」の記述が増えました。自民党政権の立場を子どもたちに教え込む方向の強まりが懸念されます。
一方、侵略戦争を美化する立場の歴史教科書が引き続き合格。合格したのは、「日本教育再生機構」が主導する育鵬社（扶桑社の子会社）と、「新しい歴史教科書をつくる会」が主導した自由社の２種です。育鵬社は公民教科書も申請し、合格しました。
両社の歴史教科書は、太平洋戦争を「自存自衛」「アジア諸国の解放」のための戦争と描くなど「日本は正しい戦争を行った」という認識を子どもたちに持ち込むものとなっています。育鵬社の公民教科書は戦前の大日本帝国憲法を美化する一方、戦後の日本国憲法をアメリカに押しつけられたものと描き、憲法第９条などの改憲へと誘導するものとなっています。
◇
今回検定では、中学校教科書（９教科）１０４点の申請があり、１０２点が合格。社会科の歴史教科書２社２点が不合格とされましたが、再申請後の再検定で合格しました。高校教科書は外国語で１点の申請があり、合格しました。公立中学校で使われる教科書は夏までに各教育委員会が決定します。
( ２０１５年０４月０７日，「赤旗」)
「慰安婦」問題と向き合う／研究者、弁護士らシンポ／東京
日本軍「慰安婦」問題で５日､｢シンポジウム 朝日新聞問題を通して考える『慰安婦』と日本社会･メディア｣が東京都府中市で開かれ、約５００人が参加しました。
主催は、朝日新聞が設置した「慰安婦」報道を検証する第三者委員会の構成員や報告書に対し申し入れを行ってきた研究者や弁護士ら８人。
呼びかけ人の一人、林博史関東学院大学教授は、昨年８月に朝日新聞に検証記事「慰安婦問題を考える」が掲載されて以来、日本軍「慰安婦」そのものがなかったかのような論調や、激しいバッシングが繰り広げられてきたといいます。
松原宏之立教大学教授は、学生の間で「慰安婦」問題にかかわることに「重い」「なぜいまさら」など、ためらいがあると話しました。「歴史は現代とつながっている。歴史教育・研究の場でじっくり向き合ってほしい」とのべました。
国際人権ＮＧＯ「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の伊藤和子弁護士は「セクハラやレイプ被害など、性暴力で大きな証拠となるのは被害者の証言。日本は、戦時下の性暴力被害者の言葉に全く価値を置いていない」と指摘しました。
朝日新聞第三者委員会のメンバー林香里東京大学大学院教授は、「慰安婦」問題が多く報道されたのは、第１次安倍内閣（２００６年～０７年）と第２次安倍内閣（１２年～）だと指摘。「吉田清治氏と朝日新聞の影響というよりは、安倍首相の言動が国際世論に影響し、報道されている」と話しました。
( ２０１５年０４月０６日，「赤旗」)
世界に生きる／文・工藤律子／フィリピン／「慰安婦」問題に学ぶ
国際女性デーの３月８日、首都マニラの市役所横の広場には、女性の貧困問題や国軍による女性への暴力などを放置し、人権を軽視するアキノ大統領に退陣を要求する数千人の市民が集まった。そのなかには､アジア･太平洋戦争の際、フィリピンを占領した日本軍に「慰安婦」にされていた女性たちを支援するグループ、約７０人の姿も。
ショッピングセンターのレジで働くロダリン・サオイさん(２２)は、８０、９０代となった元「慰安婦」たちが命を削りながら、歴史的事実の認定と日本政府による謝罪および補償を求める運動を、応援している。
「（女性運動に関わる）母に連れられて、初めて元『慰安婦』のおばあさんたちに会い、その体験を聞いた時は、怒りがこみ上げてきました」
フィリピンの学校では一般に、詳しい説明はされない「慰安婦」問題。その中身が、幼い少女や女性たちを性奴隷にした加害者（日本政府）が未だに罪を認めも償いもしないという問題だと知って、愕然とした。
「この問題は、女性に対する人権侵害であり､犯罪です｡フィリピン政府は、おばあさんたちの尊厳を回復するために、もっと日本政府に強く働きかけるべきです」
とはいえ、日本を憎んだり、恨んだりしているわけではない。日系人の友人を持つ彼女にとって、日本はとても親しみのある国で、問題は今の日比関係ではなく、歴史に対する認識だからだ。
「おばあさんたちは今、未来に二度とこのようなことが起きないようにするために、正義を求めています。両国で私たち若者がそうした歴史をきちんと学ぶ努力をしてこそ、再発を防げると思います」
そう話すと、彼女は大勢の参加者と共に、大統領府へ向かってデモ行進した。
（月１回掲載）
( ２０１５年０４月０６日，「赤旗」)
民青加盟相次ぐ／同盟員の思い／安倍政権を止めたい／「行動に挑戦できる」
「安倍政権の暴走を止めたい」「政治や社会のことを学びたい」という青年の思いが高まるなか、日本民主青年同盟（民青）に大きな注目と関心が寄せられ、今春各地で加盟が相次いでいます。政治の動きや若者の変化をどう感じ、どんな民青にしていきたいのか。３人の同盟員の思いは―。
（土田千恵､ 前田智也）
問題の解決法がつかめる／大学４年・男性（２２）／３月、憲法宣伝で加盟
「民青なら、社会の見方や解決法がつかめると思いました。選挙で共産党の躍進にも注目していたので、加盟しました」
今年３月、憲法破壊を許さない宣伝で加盟した関東の大学４年の男性(２２)はこう語ります。
１０代のころから米軍基地問題や日米安保条約に関心を持っていました。高校時代、修学旅行で沖縄を訪れ、普天間基地や、米軍ヘリが墜落した沖縄国際大学を見学しました。しかし、周りの友人らと政治や社会の話を積極的にしませんでした。
変化のきっかけは、２０１１年の東日本大震災。原発事故を目の当たりにして、「何か、おかしい」との思いを強めてきました。
そして、安倍政権の発足を迎えます。秘密保護法の強行成立、集団的自衛権の行使を容認する「閣議決定」、沖縄・辺野古への米軍新基地建設の強行…。「政府のやり方に幻滅した」と語気を強めます。
「考えているだけでなく、おかしいことには意見を言わないといけないと実感しました。どこが問題点で、どう変えていけばよいのか、これから民青で学びたい」
学び、議論し、成長したい／大学２年・男性（１９）／大学班の班長
昨年３月に民青に加盟した関東の男子学生(１９)＝２年生＝は今年度、民青大学班の班長を務めます｡１年間､被災地ボランティア､街頭での生活･労働相談のボランティア、日本軍「慰安婦」にさせられた女性の話を聞く韓国フィールドワークなどに取り組んできました。
今年は、平和問題や、集団的自衛権行使への法整備について学びます。「学生も不安に感じて、学びたがっています」と語ります。
班の仲間とデモや行動などにも参加する予定です。
「最初は、震災復興が遅れている問題や、貧困問題など、社会問題に対して『仕方ない』と思っていました」といいます。
しかし、問題が起きている現場に足を運び、当事者の話を聞き、民青の仲間と解決の方法や、科学的社会主義を学び議論するなかで、変化がありました。「おかしいことを『おかしい』と感じられるようになり、問題の根本に何があるのか考えるようになった。民青で学んだことで、こういう見方ができるようになったんだと思います」
今年度の抱負は―。
「この１年、民青の活動は楽しかったし、民青に入って本当によかったと思います。新しい仲間を迎えて、さらに楽しく勉強して班を発展させたい。そして社会を変えるために、学ぶだけじゃなく行動にも挑戦できる班になりたいです」
エネルギーさらに大きく／都出浩介さん（２７）／民青愛知県委員長
「多くの青年にとっても、同盟員にとっても『安倍政権の政治がとても怖い』『安倍政権を止めたい』というのが強い思いになっています」と話すのは、民青愛知県委員会の都出（といで）浩介委員長(２７)です。
愛知県委員会は昨年、８０人の仲間を迎え入れました。「大学に入ったら、政治に対して声をあげるところに入りたかった」など、社会を変える運動に大きな注目と関心がよせられています。
学生同盟員が、日本共産党の綱領や科学的社会主義を学んで、「今の政治はおかしいとモヤモヤしていたものが晴れた。もっと綱領を広げたい」と、積極的に学習企画を計画したり、自らビラをつくって宣伝を始めています。
「学び、対話すると、実はみんな『安倍政権をどうにかしたい』と思っていることが見えてくる」と都出さん｡｢今年の目標は、安倍政権を打倒する青年のエネルギーや運動をつなげ、さらに大きくしていくことです」
日本民主青年同盟（民青）
日本共産党を相談相手に、学び、行動する全国的な青年組織。全国の１５～３０歳までの青年が活動しています。震災復興ボランティア、憲法を守る学習やデモ、ブラックバイトの根絶や、無利子奨学金の実現に向けた取り組みなど、多彩な活動をしています。
( ２０１５年０４月０６日，「赤旗」)
５・３憲法集会／主な内容
５月３日に横浜市内でおこなわれる「平和といのちと人権を！５・３憲法集会」は幅広い団体・グループが参加して実行委員会を構成しています。参加・賛同団体と当日の主な内容を紹介します。
参加・賛同団体
５・３憲法集会実行委員会（２０１４年）＝「憲法会議」「許すな！憲法改悪・市民連絡会」などで構成／フォーラム平和・人権・環境／安倍教育政策ＮＯ！ネット／ｍネット・民法改正情報ネットワーク／沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック／改憲問題対策法律家６団体連絡会／解釈で憲法９条を壊すな！実行委員会／かながわ憲法フォーラム／原発をなくす全国連絡会／「国連・人権勧告の実現を！」実行委員会／さようなら原発１０００万人アクション／首都圏反原発連合／戦時性暴力問題連絡協議会／戦争する国づくりストップ！憲法を守り・いかす共同センター／戦争させない１０００人委員会／脱原発をめざす女たちの会／日韓つながり直しキャンペーン／日本軍「慰安婦」問題解決全国行動／「秘密保護法」廃止へ！実行委員会／立憲デモクラシーの会
スケジュール
５月３日、横浜市のみなとみらい地区にある「臨港パーク」（横浜高速鉄道「みなとみらい駅」下車）で開催。
午後０時半からプレコンサート。
１時半からメーンステージ。作家の大江健三郎氏らの発言や沖縄からの発言。戦争、原発、貧困、差別をめぐってリレートーク。政党からの発言。
( ２０１５年０４月０３日，「赤旗」)
選挙情報／右翼ぶり「一貫」／和歌山市区自民県議
○…県議会副議長を売り物にしている和歌山市区の自民党現職は、県議会で「村山談話を許してしまったことは痛恨のきわみ」（２００９年９月）、「従軍慰安婦問題の元凶とも言うべき河野談話」（２０１３年９月）と一般質問する右翼ぶりを最近配布したビラでも発揮。「一貫して保守主義に基づき行動しています。保守主義とは理性の暴走をおそれ、その限界を知り」と政治信条をのべ、イラストの子どもたちに「昔の日本人はえらいなぁ」などと語らせています。
(２０１５年０４月０１日，「赤旗」)
県政変える脇氏ぜひ／藤野議員訴え／富山・朝日町
富山県の日本共産党新川地区委員会は３月２８日、朝日町で藤野保史衆院議員を迎えて演説会を開きました。下新川郡選挙区（入善町、朝日町、定数２）に立候補する脇しげお県議候補（７３）を必ず押し上げようと開いたものです。
脇氏は、県議会の自民党が早期改憲を求める意見書や「日本軍慰安婦」を否定する意見書を提出し、公明党などと強行可決したことを厳しく批判しました。朝日町長を担ってきた経験から、福祉をよくし、地域の農業を守っていくためには県の支援がどうしても必要だと強調。県議会に共産党議員が増えないと県政は変わらないと訴え、下新川から必ず当選させてほしいと訴えました。
藤野氏は、総選挙で日本共産党が躍進したことで、全国的な問題と地域の切実な問題を取り上げて首相や大臣に大きく迫ることができるようになったと指摘。藤野氏自身も、福井県の原発集中立地問題と富山県の農業関係者の声をもとに農業問題を質問したことを紹介しました。安倍政権は、日本がアメリカといっしょに海外で戦争できる｢戦争立法｣を５月の連休後に提出しようとしていると批判。脇氏を必ず勝利させ、党議席を大きく増やして戦争立法を阻止しようと呼びかけました。
入善町から参加した女性（６５）は、「日頃、政治のことを話すことは少ないが、今日の話で、安倍内閣が戦争へ向かっていることにびっくりした。脇さんにはぜひ当選してほしいと強く思った」と話していました。
(２０１５年０４月０１日，「赤旗」)
ＮＨＫ予算承認／籾井会長問題は未解決／共産党など反対／吉良氏反対討論／参院本会議
ＮＨＫの２０１５年度予算案は３月３１日、参院本会議で自民、公明などの賛成多数で承認されました。日本共産党と民主、維新、社民、生活などの野党が反対。籾井（もみい）勝人会長の資質やハイヤー私的利用問題が未解決なまま与党側が採決を強行し、ＮＨＫ予算の全会一致での承認は、衆院に続いて崩れました。
日本共産党の吉良よし子議員が反対討論に立ち、ＮＨＫ予算の承認にあたっては「国家権力からの独立などの基本が貫かれているかが問われる」と指摘。籾井会長の一連の暴言は「政府の広報機関に成り下がることを宣言したもので、辞任・罷免を求める視聴者、国民の厳しい声がいっそう広がっている」と強調しました。
本会議に先立って開かれた総務委員会で吉良議員は、籾井会長が２月５日の記者会見で日本軍「慰安婦」問題を問われ、「政府のスタンスがよく見えない。いま放送することが妥当かを考えなければならない」と発言したことに対し、「これでＮＨＫは権力の監視ができるのか」とただしました。
籾井会長は「言葉足らずだった」と答弁。吉良議員は「ＮＨＫが政府と対立することがあっても、ジャーナリズムとしての確固たる立場に立てば視聴者が守り抜いてくれる。籾井会長の発言は、こうした決意に裏打ちされているとは思えない」と述べ、「籾井会長はいますぐ辞めるべきだ」と要求しました。
( ２０１５年０４月０１日，「赤旗」)
（３月）ヘッドライン
「慰安婦」問題をすりかえ／首相「人身売買」発言／「河野談話」にも反する／米紙インタビュー
ＮＨＫトップ失格／公金意識の欠如／元ＮＨＫ経営委員国立音楽大学名誉教授小林緑さん
安倍首相発言を批判
「慰安婦」展拒否は不当／共産党、新座市に撤回要請／埼玉
日本共産党議員の国会質問／「慰安婦」問題／政府は資料収集を／塩川氏に参事官「扱い調整する」／衆院内閣委
「河野談話」撤廃求める陳情／全会一致で不採択／都議会
ＮＨＫ予算案を承認／共産党などが反対／衆院本会議
ＮＨＫ予算案、４党反対／籾井会長の反省は形だけ／田村・梅村両氏ただす／衆院総務委
政府追随、会長に不適格／田村貴議員、ＮＨＫ籾井氏を批判／衆院総務委
県・市議会が閉会／石川県議会／富山県議会／浜松市議会
日韓外相が会談
憲法守れ／戦争立法ノー／沖縄に連帯／各地で／富山／静岡／新潟／長野／金沢
米で安倍首相の議会演説に異論
日韓条約５０年／日本と朝鮮半島のこれから／いまこそ求められる植民地支配の清算／畑田重夫
河野談話「はっきりせず」／籾井会長の発言をＮＨＫ専務認める
〝ＮＨＫは危機的状況〟／元女性ディレクターが講演／水戸でつどい
韓国女性相「悪事の歴史は記録を」
ＮＨＫ国策放送化の危険／元ＮＨＫディレクター戸崎賢二さんが寄稿／自立求める視聴者団体続々
作家赤川次郎さん／芸術から原発まで、新エッセー集出版／改憲なんとか止めたい
中韓団体が「慰安婦」像建立計画
自民提案の「慰安婦」意見書／９団体「不採択に」／議長に申し入れ／富山県議会
「慰安婦」問題で二階氏「独首相にも言われた」
日韓・日中高官が協議、関係改善を探る
私たちは声あげる／国際女性デー各地で旺盛に／「いま世界は」１２０人学びあう／富山
安倍政権にレッドカード／暮らし・権利・平和のために／国際女性デー各地で行動
おはようニュース問答／ＮＨＫ会長の選出のあり方を考えよう
各地で国際女性デー／福岡／佐賀／熊本／宮崎／鹿児島と奄美／徳島／松山／岡山／山口
元「慰安婦」が日本政府提訴へ／１人２．４億円請求／米連邦地裁
「政府に追従」をＮＨＫ会長否定
日韓・韓日議連の「共同声明」／議員会館で学ぶ会／紙議員が発言「声上げよう」
教科書「慰安婦」記述／日本政府の訂正要求、米で波紋／言論・学問の自由侵害
韓国、「日本は誠実に」国連で訴え
元朝日記者への脅迫／言論の自由守る／自由法曹団声明
菅官房長官〝日韓首脳の対話を重視〟
日本政府は歴史に責任を／中国政協報道官
地方選、国民の願い示そう／共産党演説会各地で／定数２で県議を／仁比参院議員／高知・南国でも
潮流
「正しい歴史認識で未来を」／韓国大統領が演説／三・一独立運動記念
「慰安婦」問題を／から考える／歴史学研究会・日本史研究会編／評者川田文子ジャーナリスト
戦後７０年米次官、日中韓協力を強調
「慰安婦」日本批判が続出／終戦７０年識者討論／米ＮＹ
３月（本文）
３１
「慰安婦」問題をすりかえ／首相「人身売買」発言／「河野談話」にも反する／米紙インタビュー
安倍晋三首相は２７日付の米紙ワシントン・ポストのインタビュー記事で、日本軍「慰安婦」問題について「人身売買の犠牲」と述べました。政府・軍による「性奴隷」化という「慰安婦」問題の本質を民間業者による人身売買にすりかえる発言で、「慰安婦」問題で旧日本軍の関与を認め謝罪した「河野洋平官房長官談話」（１９９３年８月４日）の内容にも反するものです。
安倍首相は同紙で「慰安婦」問題についての見解を問われ、「人身売買（ｈｕｍａｎ ｔｒａｆｆｉｃｋｉｎｇ）の犠牲になり、筆舌に尽くしがたい痛みと苦しみを経験した人々を思うとき、私の心は痛む」などと語りました。
同紙は「首相が『人身売買』という言葉を公に使ったのは初めて」とする側近の解説も伝えています。
安倍首相は３０日の衆院予算委員会で、この記事に関し、「さまざまな議論がなされている中で、人身売買についての議論も指摘されてきたのは事実であり、その観点から人身売買という言葉を使った」と認めるとともに、自身の発言を正当化しました。
韓国政府当局者は「責任を民間業者に転嫁し、政府の関与と責任を否認しようとする狙いなら、問題の本質をごまかすことだ｣と反発しています｡
( ２０１５年０３月３１日，「赤旗」)
ＮＨＫトップ失格／公金意識の欠如／元ＮＨＫ経営委員国立音楽大学名誉教授小林緑さん
あきれてものがいえませんね。一番の問題は公金意識の欠如です。私用でハイヤーを使ってはいけない、ということになっているのに、そんなことどこ吹く風で会長はそれを命ずる。部下もおかしいと思うことなく手配する。ＮＨＫという巨大組織の腐敗した部分が、ハイヤー問題というわかりやすい形で噴出した気がします。
私は６年間、経営委員を務めました｡会長は、政府の方から根回しがあった人を追認するだけ。私たちが選んだという感覚は全くありませんでした。公募で会長を選び、面接試験までするＢＢＣ（英国放送協会）とは大きな違いです｡
籾井会長は就任会見で、慰安婦制度はどこの国にもあったと発言し、世界から猛烈な批判を浴びました。後で発言を取り消しましたが、１年たっても本質は変わっていません。こういう人が公共放送のトップにいることが本当に恥ずかしい。
(２０１５年０３月２９日，「赤旗」)
安倍首相発言を批判
【ソウル＝時事】安倍晋三首相が米紙ワシントン・ポスト掲載のインタビュー記事で、いわゆる従軍慰安婦問題に関し「人身売買（ｈｕｍａｎ ｔｒａｆｆｉｃｋｉｎｇ）の犠牲」と述べたことについて、韓国政府当局者は２８日、「日本政府が慰安婦問題の責任をはっきりと認めることが解決の第一歩だ」と強調。聯合ニュースが報じました。
( ２０１５年０３月２９日，「赤旗」)
「慰安婦」展拒否は不当／共産党、新座市に撤回要請／埼玉
埼玉県新座市の市民団体「にいざジェンダー平等ネットワーク」が企画した「中学生のための『慰安婦』展」について、市教委が市施設ふるさと新座館ロビーでの展示を不許可にした問題で２７日、日本共産党市議団（笠原進団長）と石島よう子県政対策委員長（県議候補）は、金子廣志教育長に対し、不許可撤回を求める要望書を提出しました。
要望書は、市教委が不許可の理由として「ロビーは特定の団体に貸し出す場所ではない」「世論を二分する『慰安婦』問題は、使用要領で許可しないこととした『事業、活動の啓発・推進を目的にするもの』に該当する」などをあげたことについて「いずれも正当性がない」と指摘。
ロビーでは、これまでもさまざまな団体が展示会を行っていたことや、社会問題の多くは世論を二分しており、それを不許可にすれば、市民の知る権利や学習権、表現の自由を侵害することになると批判しています。
また、「啓発事業」の解釈を広げれば、あらゆることが不許可にされてしまうとして、使用要領の当該部分の削除を求めています。
石島氏は、志位委員長の見解「歴史の偽造は許されない―『河野談話』と日本軍『慰安婦』問題の真実」を手渡し、「慰安婦」問題での教育長の認識をただしました。
(２０１５年０３月２８日，「赤旗」)
日本共産党議員の国会質問／「慰安婦」問題／政府は資料収集を／塩川氏に参事官「扱い調整する」／衆院内閣委
塩川鉄也議員は２５日の衆院内閣委員会で、「慰安婦」問題での日本軍の関与と強制性を認めた「河野談話」を裏付ける新資料の収集についてただしました。
政府は「河野談話」発表以降も、日本軍「慰安婦」関連の資料があれば関係省庁は内閣官房に報告するよう求めています。塩川氏は、この間、研究者らの手によって多くの資料発掘が行われているが、政府は関係資料収集の努力を怠ってきたと批判。一例として、関東学院大学の林博史教授が公表した「日本海軍占領期間中蘭領東印度西部ボルネオに於ける強制売淫行為に関する報告」について、「日本軍『慰安婦』関連資料であることは明らかだ」と指摘。同資料が国立公文書館に保管されているとして、「内閣官房に報告したのか」とただしました。
内閣府の福井仁史官房審議官は「当該文書を保有する省庁が公文書館に移管する前に判断するものと考えている」と答弁。文書を保有していた法務省の萩本修司法法制部長は「現在の法務省が判断する立場にはない」と述べ、食い違った答弁を行いました。
塩川氏は、資料収集の努力を怠り、報告の責任を押し付け合う省庁の態度を批判し、「しっかり収集すべきだ」とただしました。内閣官房の佐々木裕介内閣参事官は「資料の取り扱いを調整する」と述べました。
( ２０１５年０３月２８日，「赤旗」)
「河野談話」撤廃求める陳情／全会一致で不採択／都議会
東京都議会は２７日の本会議で、都に対し「慰安婦」問題への旧日本軍の関与と強制性を認めた「河野談話」の撤廃を国に求める陳情を共産党、自民党、公明党、民主党、維新の党、かがやけ、生活者ネットなど全会一致で不採択としました。
陳情は「慰安婦の真実国民運動」（加瀬英明代表）が提出したもの。「慰安婦」問題をめぐる「河野談話」を撤廃するか、強制連行の事実と性奴隷の実態がなかったとする新たな談話を出すことや、文科省に教科書の「慰安婦」問題の記述を「是正」することを求める意見書の提出を要求したものです。
陳情を審議した２月１６日の都議会総務委員会で日本共産党の徳留道信都議は、反対する立場から発言し「河野談話の真実性は、日本の司法の事実認定によっても証明されている」「河野談話の見直しや『慰安婦』問題、強制性を否定する主張は、世界で通用しない」と強調する中で、自民党は賛成したものの、反対が多数となっていました。
自民と維新は、総務委員会では陳情の採択を求めましたが、本会議では不採択に態度を変更しました。
( ２０１５年０３月２８日，「赤旗」)
ＮＨＫ予算案を承認／共産党などが反対／衆院本会議
ＮＨＫの２０１５年度予算案が２６日、衆院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で承認されました。日本共産党、民主、維新、生活、社民が反対しました。
採決に先立ち、日本共産党の梅村さえこ議員が反対討論に立ち、「（ＮＨＫ予算案は）予算の内容とともに、経営姿勢が、放送法にのっとり、国家権力からの独立、表現の自由の確保といった基本が貫かれているのかが問われる」と指摘しました。
その上で梅村氏は、籾井勝人会長は放送法に対して著しく不理解を示し、日本軍「慰安婦」問題などについて歴史の事実をゆがめる発言を行うなど「会長としての資質が深刻に問われた」と批判。一連の発言への会長の反省は形だけのものであり、「『辞任・罷免』を求める視聴者・国民の厳しい声が広まっている事態はきわめて重大だ」「予算を承認することはできない」と主張しました。
昨年に引き続きＮＨＫ予算案が全会一致で承認されませんでした。
( ２０１５年０３月２７日，「赤旗」)
埼玉・新座市の「慰安婦」展拒否／党市議ら撤回求める／教育長と面会
埼玉県新座市の「にいざジェンダー平等ネットワーク」が市施設のふるさと新座館ロビーで企画した「中学生のための慰安婦展｣(３月２７日～４月７日）について、新座市教育委員会がロビーの利用を認めなかった問題で２５日、日本共産党市議団(笠原すすむ団長､５人)は市役所で金子広志教育長に面会を求め、事実経過を確認しました。石島よう子県政対策委員長（県議候補）が同席しました。
金子教育長は「ロビーは、人通りが多くふさわしくない。会議室で行ってほしいと伝えてある。中学生や子どもがこのような展示を見て、帰宅して親に聞かれても困る｡『慰安婦』は教科書にも指導要領にも載っていない」などと述べました。
笠原団長は「展示の内容が『慰安婦』で、世論が二分する問題だから好ましくないという教委の見解は、正しくない。市民の知る権利、市民の表現の自由にかかわります」と指摘。
石島氏は「今、戦争の実態を隠そうという流れがあり、埼玉の平和資料館も『慰安婦』や加害の歴史を省いています」と述べ、市教委に再考を強く求めました。
市議団は、展示を認めるよう、２７日に改めて市教委に申し入れることにしています。
( ２０１５年０３月２６日，「赤旗」)
ＮＨＫ予算案、４党反対／籾井会長の反省は形だけ／田村・梅村両氏ただす／衆院総務委
ＮＨＫの２０１５年度予算案は２５日、衆院総務委員会で採決され、日本共産党、民主党、維新の党、社民党が反対しましたが、自民党、公明党が賛成して承認されました。２６日の衆院本会議にかけられる見通しです。ＮＨＫ予算案は通例、全会一致で承認されますが、籾井勝人会長のもとで今年度に続いて全会一致が崩れるという異常事態が続いています。
予算案の採決に先立ち、日本共産党の梅村さえこ議員が反対討論に立ち、歴史を歪曲（わいきょく）する暴言を繰り返す籾井会長に対し、「反省が形だけのものであったことは明らか」だと批判。ハイヤーの私的使用などの問題も、視聴者の不信や「罷免・辞任」を求める国民の声を広げているとして、「こうしたもとでは予算を承認することができない」とのべました。
委員会の質疑で日本共産党の田村貴昭議員は、籾井会長が受信料の支払いについて「義務化できればすばらしい」と発言した問題を取り上げました。田村議員は籾井会長に対し、「自ら視聴者の信頼を失わせておきながら、強制徴収でまかなおうとする姿勢は、視聴者の神経を逆なでするものではないか」とただしました。
籾井会長は「義務化はまだ先の話」としつつ、「義務化で支払いが１００％になれば不公平感がなくなる」と持論を展開しました。田村議員はハイヤー問題とも併せて、「会長として不適格。辞任すべきだ」と要求しました。
梅村議員は、籾井会長が日本軍「慰安婦」問題の報道について「８月の政府談話が出た後で」と答弁した姿勢を、「放送法から逸脱し、政府におもねるものだ」と指摘。ＮＨＫ経営委員会が視聴者から意見を聞く「語る会」でも籾井会長の姿勢に厳しい声が上がっているなどの事例を示し、「参加者の声が会長に伝わるように運営を改善すべきだ」と経営委員会に求めました。
( ２０１５年０３月２６日，「赤旗」)
政府追随、会長に不適格／田村貴議員、ＮＨＫ籾井氏を批判／衆院総務委
日本共産党の田村貴昭衆院議員は２４日の総務委員会で、籾井勝人ＮＨＫ会長が昨年１月の就任直後から今日にいたるまで、政府の主張に沿った思考を、個人的意見としてＮＨＫ会長として公の場で表明し続けている問題を追及しました。
田村議員は、籾井氏の「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」という就任時の発言や､｢従軍慰安婦」番組について「正式に政府のスタンスが見えない」という今年２月の発言に対して、浜田健一郎経営委員長に見解を求めました。
浜田氏は「籾井会長の誤解を招くような言動により、ＮＨＫをとりまく状況が混乱していることは残念。ＮＨＫ会長は大きな影響を持つということを、一層強く自覚していただきたい｣と述べました｡
田村議員は、戦後７０年関連番組の制作・放映について現場に検討を求めているのかと追及しました。籾井氏は「日本が廃虚から立ち上がり今日に至ったということも放送してくれればという期待を持っていると言った」と自らの意見を表明。「慰安婦」問題について「政府談話が出た後で、広く意見を拾う」と述べました。
田村議員は、この間経営委員会が会長に４回も注意・申し入れをしたこと自体が前代未聞であり、ＮＨＫのトップにふさわしくないと改めて指摘しました。
また田村議員は、籾井氏が私的ゴルフでハイヤーを使用した問題で､｢秘書室に手配を要請したことが公私混同そのものだ。トップが自ら規律違反をしている」と批判しました。
( ２０１５年０３月２５日，「赤旗」)
日韓外相が会談
【ソウル＝時事】岸田文雄外相は２１日、ソウルで韓国の尹炳世外相と会談しました。尹外相は安倍晋三首相が今夏発表する戦後７０年談話への関心を表明し、岸田外相は「安倍内閣は歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく」と説明しました。両外相は、いわゆる従軍慰安婦問題や産経新聞前ソウル支局長の在宅起訴などの懸案についても協議しましたが、具体的な前進はありませんでした。あ
安倍首相と朴槿恵大統領の首脳会談について、両外相は適切な環境の下で早期に開催するため意思疎通を緊密化していくことで一致。岸田外相の訪日招請に、尹外相は「適切な時期の訪日を検討していく」と答えました。外務・防衛当局の局長級による安全保障対話の早期再開に向けて調整していくことでも合意しました。
両外相の会談は、電話を除けば昨年９月にニューヨークで開催されて以来、約半年ぶり。
( ２０１５年０３月２２日，「赤旗」)
県・市議会が閉会／石川県議会／富山県議会／浜松市議会
石川県議会
石川県議会２月定例会は１８日、新年度一般会計予算案など７２議案と意見書案３件、請願１件を可決して閉会しました。日本共産党の佐藤正幸、大桑初枝両県議は一般会計予算案など１２議案と意見書案２件、請願１件に反対し、残る議案と請願に賛成しました。
佐藤県議は予算関連議案について、▽社会福祉費や教育費が全国的にも最低水準であり、安倍政権の社会保障削減、暮らし圧迫の悪政から県民を守るには不十分▽白山トンネルや総工費すら明らかにできない手取川架橋、北陸新幹線金沢以西延伸に１３００億円など不要不急の大型開発偏重の内容で土木費は全国７位▽再生可能エネルギー導入の数値目標も示さない原発再稼働容認の姿勢―を指摘し反対。共産党以外の会派は知事提出議案にすべて賛成、「オール与党」の姿が浮かびあがりました。
党議員団が提出した政党助成金廃止を求める意見書について、佐藤県議は「企業・団体献金に抜本的なメスを入れると同時に、『身を切る改革』というなら政党助成金廃止こそ」と賛同を求めましたが、他会派は反対しました。
富山県議会
富山県議会２月定例会は１６日、２０１５年度一般会計予算案など８４議案と７意見書を可決し、閉会しました。
日本共産党のひづめ弘子県議は、一般会計予算案など１１議案に反対しました。
一般会計予算案については、消費税が増税されながら介護事業費負担金や生活保護給付費など民生費が減額となっていることや、産業政策の中心がグローバル企業、成長産業の育成など「アベノミクス」と同じ立場にあることなど４点を指摘しました。
意見書では、日本共産党などが提案した｢安全･安心の医療･介護の実現と夜勤改善・大幅増員を求める意見書」など６本が全会一致で可決されました。
自民党が提案した「慰安婦問題に関する適切な対応を求める意見書」は、日本共産党、民主・県民クラブ、社民党が反対しましたが、自民党と公明党、無所属の会の賛成で可決しました。「子どもと教科書ネット２１富山」など９団体が、共同で抗議声明を発表しました。
浜松市議会
静岡県浜松市議会は１７日、２０１５年度予算など４８議案を自民党、公明党、民主党系の賛成多数で可決し、閉会しました。日本共産党市議団（２議席）は国の悪政をそのまま市民に押し付ける一般会計予算など１２議案に唯一反対しました。
反対討論にたった北島さだむ市議団長は、新年度予算は「人口減少」「自治体消滅」などと安倍政権が進める福祉切り捨て政策に呼応したものと指摘し、「いま地方自治体に求められていることは、福祉切り捨てや消費税増税、道州制を狙う国の政治から市民の暮らしを守る防波堤の役割だ」と強調しました。
市行政経営諮問会議は廃止するべきだと主張。「答申どおり小中学校統廃合、幼稚園・保育所などの民間委託、区の再編を進めれば、住民自治が破壊され地域はますます衰退する」と訴えました。
(２０１５年０３月２１日，「赤旗」)
２０
憲法守れ／戦争立法ノー／沖縄に連帯／各地で／富山／静岡／新潟／長野／金沢
昼休みデモ／富山
「平和憲法を守れ！海外で戦争する集団的自衛権行使ストップ」―。富山県の安保廃棄実行委員会と国民大運動実行委員会は１７日、富山市内で昼休みデモ行進をしました。約５０人が参加。集団的自衛権行使のための安保法制立法化反対や、名護市への新基地建設阻止などを訴えました。
主催者を代表して増川利博県労連議長は、沖縄の行動で出会った、安倍政権の強引なやり方と必死にたたかう沖縄県民の姿を報告。富山でも沖縄に連帯する運動を強めようと呼びかけました。
参加者は、「軍事費を削れ！」「閣議決定は撤回せよ！」とシュプレヒコールし、富山駅前目抜き通りを歩きました。昼休みデモ行進は４月、５月も行う予定です。
「閣議決定」撤回求めて街頭署名／静岡
静岡県革新懇は１７日、静岡市で集団的自衛権行使容認の「閣議決定」撤回などを求める街頭署名宣伝を行いました。世話人の松浦敏夫・静岡市長候補（共産党推薦）も参加しました。
北野庄次事務局長と松浦候補は、「閣議決定」を具体化する「戦争立法」は米国のあらゆる戦争に切れ目なく自衛隊が参戦するものと説明し、「日本をふたたび戦争する国にさせないために力をあわせよう」と訴えました｡
署名した人たちは安倍政権の暴走へ不安や怒りを寄せました。お墓参りで通りがかった女性(７６)は「終戦のころに傷痍（しょうい）軍人の姿をみて、子ども心に怖い思いをした。足のない人など本当にかわいそうだった。もう二度と戦争なんてしちゃいけない」と話しました。小さい娘を連れた母親は「子どもたちの将来を危うくすることはやめてほしい」と語っていました。
戦争の中の人間／憲法カフェ交流／新潟
新潟県憲法会議は１３日、第４回憲法カフェを新潟市内で開き、１１人が参加しました。常連の参加者と、新聞案内を見た母親が５歳の女の子を連れて初参加しました。
今回のテーマは「『戦争できる国』はどんな人間をつくるのか」。話題提供の金子修弁護士の話に耳を傾け、活発な意見が出されました。
金子氏は「自衛隊のイラク派兵１万人のうち、自死した２８人は、日本人の自殺率１０万人当たり２４人に比べて１０倍だ」「安倍首相が今準備している集団的自衛権行使となれば自衛隊員が直接戦闘地域で人を殺し、自分が殺される」「自衛隊員が人を殺せるようになるために米軍の経験から人を殺しても平気でいられる特殊の訓練が行われる」と指摘しました。
参加者から「なぜそこまで安倍首相は憲法を変えたいのか」「自衛隊に入る青年がいなくなる」「高校生に入隊案内が送付された」「徴兵制の危険性もあるのでは」などの質問や意見が出ました。
初参加の母親は「今日は衝撃的な話を聞いた。安倍首相の言動に流されず、戦争は人殺しなんだとの意識を持って日々暮らしていかないと大変なことになる」と感想を話しました。次回の憲法カフェは５月２２日に開店します。
新基地許さない／革新懇など集い／長野
長野県革新懇など５団体共催で「沖縄に連帯する長野県民のつどい」が１５日、長野市内で開催され、１７０人が参加しました。
沖縄革新懇代表世話人の仲山忠克弁護士が「オール沖縄の闘いと新基地建設の現状」と題して記念講演をおこないました。
仲山氏は、「オール沖縄」のたたかいについて「１９９６年に移設条件付きで普天間基地を返還し、移設先は辺野古」としたＳＡＣＯ（沖縄に関する日米特別行動委員会）最終報告に唯一反対した共産党の呼びかけに集まった「１４人から始まった」と語り、「社会正義は少人数から始まり、多数に変化する」と振り返りました。
知事選と総選挙での勝利後の現状にもふれ「辺野古新基地建設阻止は安保への最大最強の痛打であり、改憲阻止闘争の前哨戦としての役割を担っている。本土のいっせい地方選挙で自民党を追い詰めることこそが、沖縄県民への最大の励ましだ」と述べました。
有馬理恵さんと「慰安婦」考える／金沢
石川県平和委員会は１５日、金沢市内で日本軍「慰安婦」問題について考えるつどいを開催し、市民約８０人が参加しました。俳優の有馬理恵さん（日本平和委員会代表理事）を招き、芝居や朗読など多彩な方法で考えました。
有馬さんは、「慰安婦」として被害を受けた女性たちの証言や調査などをもとに構成された芝居、朗読劇で女性たちが強いられた過酷な体験を表現。「私の青春時代を返してほしい」「日本政府は『慰安婦』の真実を認め、尊厳と人権を回復する手だてを取って」などと女性たちの悲痛な叫びを込めて演じました。
つどいでは、日本平和委員会の岩月康範事務局次長が「慰安婦」問題の歴史的経過や問題解決に向けた動向について報告。「日本政府は、被害を受けた女性たちが現在も人権侵害やさまざまな後遺症に悩む現状を誠実に認め、謝罪や賠償、誤った歴史認識を許さない行動をすぐに起こすべきだ」と訴えました。
(２０１５年０３月２０日，「赤旗」)
米で安倍首相の議会演説に異論
【ワシントン＝時事】安倍晋三首相が４月下旬からの訪米中に検討している米議会演説に反対する韓国系団体の全面広告が、１８日付の議会専門紙ザ・ヒルに掲載されました。第２次世界大戦で戦死した米軍人の遺族らでつくる団体も同日、演説の受け入れに条件を付ける書簡を議会に送付しました。
米国では逆に演説を認めるべきだとの意見もあり、ベイナー下院議長（共和党）はこれらを踏まえ、演説の可否を近く最終判断する見通しです。
米紙に広告を出したのは「韓国系米国人フォーラム」。２０１３年１２月に靖国神社を参拝した首相の写真と元従軍慰安婦の写真をそれぞれ掲載し、「首相は議会演説を模索する前に性奴隷（慰安婦）の犠牲者に謝罪しなければならない」「演説前に戦争犯罪の責任を認めよ」などと記しました。
フィリピンで旧日本軍と戦って死亡した米軍人の遺族らでつくる団体「全米バターン・コレヒドール防衛兵の会」は、上下両院の委員会に書簡を提出。演説を受け入れるのは、「敗戦はファシズムの毒と犯罪政権の非人道的目標から日本を解放したと首相が認める場合」に限るよう求めています。
首相は２月に訪日した下院議員に演説への意欲を伝えています。
( ２０１５年０３月２０日，「赤旗」)
日韓条約５０年／日本と朝鮮半島のこれから／いまこそ求められる植民地支配の清算／畑田重夫
今年は戦後・被爆７０年という歴史的節目の年である。この節目は極めて重い意味をもつが、それとも密接にかかわりがあるいま一つの節目として、今年は隣国の韓国との間で１９６５年に結ばれた日韓条約５０年という年にも当たっている。
安倍首相の「７０年談話」が、「村山談話」との関係で話題になっているが、日本の朝鮮にたいする植民地支配や中国にたいする侵略の歴史的事実に正面から向き合うことは１月末に亡くなったドイツのワイツゼッカー元大統領の名演説ならずともいまこそ日本に切実に求められているところである。
近隣の２国に足踏み入れず
ところが、安倍首相は、「地球儀を俯瞰する外交」と言いつつ地球上の各地・各国をめぐり歩いているが、肝心の地理的にもっとも近い韓国や中国へは２０１２年末の首相就任後、一度も足をふみ入れたことはなく、冷え切った日中韓の３国関係については、このほど来日したドイツのメルケル首相やアメリカのオバマ大統領らもふくめ国内外から不安や憂慮の目が注がれている。
日韓条約は、「日韓基本条約」と「財産・請求権・経済協力協定」その他の付属協定からなる。同条約は、長期にわたる開始・中断・再開・また中断また再開という交渉の末やっと締結をみたのであるが、日本による植民地支配の清算が必ずしも十分ではなく、いまだに果たされないままの課題も多い。
日本軍「慰安婦」問題、朝鮮人被爆者問題、教科書問題など、しばしば国際的に問題が表面化するのもすべて日本政府の歴史的反省と補償をふくむ過去の植民地支配の清算の不十分さがその根本原因となっているのである。
朝鮮半島は、３８度線付近の軍事境界線によって南北に分断されたままであるが、これについては、まず日韓基本条約の第３条が、南朝鮮の政権を「朝鮮にある唯一の合法的な政府である」としていることに注目する必要がある。南北朝鮮の自主的・平和的統一は朝鮮人民の悲願であるが、われわれは日韓基本条約の第３条がその悲願実現のうえでの最大の障害の一つとなっていることに無関心であってはならない。
日韓の首脳の話し合いから
さらに、朝鮮戦争が１９５３年７月に停戦協定が結ばれただけで、いまだに平和条約が締結されていないという事実も忘れてはならない。朝鮮戦争によって南北の分断は一段と固定化されたのであった。
北朝鮮との間では２００２年の日朝ピョンヤン宣言やいわゆる「６者協議」によって核・ミサイル問題や拉致問題などを包括的に解決する方向へ、韓国との間ではとりあえず日韓両国の首脳同士の話し合いを手はじめに、平和的・外交的に諸懸案を解決する方向への努力が求められるわけである。
日本と日本国民にとって重要なことは、朝鮮の自立的・平和的統一に役立つことは何でもするし、逆に、妨げになることは一切おこなわないということである。それこそが、ＡＳＥＡＮ（東南アジア諸国連合）を土台とする東南アジアのように、北東アジアにおいても平和や地域的協力のための枠組みを構築するうえの第一歩である。
はただ・しげお 国際政治学者。１９２３年生まれ。著書に『輝いて生きる』『新安保体制論』『河上肇』ほか。
( ２０１５年０３月１８日，「赤旗」)
河野談話「はっきりせず」／籾井会長の発言をＮＨＫ専務認める
ＮＨＫの籾井勝人会長が、「慰安婦」問題で旧日本軍の関与と強制性を認めて謝罪を表明した「河野洋平官房長官談話」（１９９３年８月４日）について、「国の方針としてはっきりしていない」と発言した事実を、衆院総務委員会理事懇談会に出席した板野裕爾ＮＨＫ専務理事が認めました。
籾井氏による発言は、１月９日のＮＨＫ国際放送番組審議会で、日中、日韓関係など国際的緊張に対する考慮が議論になったなかで行われました。日本政府の政策や公式見解を報道するにあたり、「領土問題は日本政府の方針がはっきりしているが、河野談話についてはそうではないので、難しい」というものでした。
板野氏は、「籾井会長は、河野談話が閣議決定を経ていないこともあり、政府方針としてどう判断するか難しいという思いで申し上げたが、会長自身は河野談話がわが国の公式見解にあたると認識しています」と説明しました。
( ２０１５年０３月１８日，「赤旗」)
〝ＮＨＫは危機的状況〟／元女性ディレクターが講演／水戸でつどい
茨城県水戸市で１４日、「国際女性デー水戸のつどい」が開かれ、ＮＨＫの元ディレクター、池田恵理子さんが「ＮＨＫの危機～戦後７０年『従軍慰安婦』問題の真実は？」と題して講演しました。
このなかで池田さんは秘密保護法などをめぐる問題で、ＮＨＫが政府の言い分ばかりを報道してきた偏向ぶりを批判。２００１年に慰安婦問題を扱った番組「問われる戦時性暴力」が、安倍首相（当時は官房副長官）らの介入で改ざんされたと指摘しました。
そのうえで、ＮＨＫ当局にとって〝好ましくない〟職員が地方局や関連企業に配転させられていることも告発。「『慰安婦はどこの国にもあった』などという籾井（勝人）会長は右翼と同じ。ＮＨＫは政府の広報機関なのか」と疑問を呈し、「職員も現状を誰もいいとは思っていないが、内部からは声を上げられない」というＮＨＫ全体を覆う体質を危ぶみ、「問題のある番組には抗議を。いい番組には激励の声を上げていくことも大切」と述べました。
( ２０１５年０３月１６日，「赤旗」)
韓国女性相「悪事の歴史は記録を」
【ニューヨーク＝時事】ニューヨークで開会中の国連の「女性の地位委員会」年次会合で１２日、「戦時の性暴力」と題した韓国政府と女性人権団体共催の関連イベントが開かれ、同国の金姫廷（キム・ヒジョン）女性家族相は慰安婦問題について、「悪事の歴史はしっかりと記録されなければならないと思う」と述べました。
イベントには韓国のほか、アフリカや中東出身者ら約６０人が出席。金氏は「性奴隷の被害者は７０年間、心の傷に悩まされながら生きている」と、慰安婦問題は未解決と説明しました。
( ２０１５年０３月１６日，「赤旗」)
ＮＨＫ国策放送化の危険／元ＮＨＫディレクター戸崎賢二さんが寄稿／自立求める視聴者団体続々
籾井会長〝政府の姿勢みて考える〟
籾井（もみい）勝人氏のＮＨＫ会長就任から１年。権力監視と程遠い発言に批判が高まっています。公共放送ＮＨＫはどうあるべきか。元ＮＨＫディレクターの戸崎賢二さんに寄稿してもらいました。
昨年からＮＨＫは危機的状況だといわれてきました。その「危機」はよく指摘されるように二つの事実から明らかです。
一つは、言うまでもなく籾井勝人会長の存在です。
２月５日の定例記者会見で籾井会長は､｢慰安婦」問題の番組制作について、「正式に政府のスタンスがよくまだ見えない。慎重に考えなければならない」などと述べ、批判が集中しました。
最近でも２月１８日、民主党の総務部門会議に出席した際、侵略と植民地支配について謝罪した村山談話について問われ、「〝いまのところは〟いいと思います」などと述べ、「いまのところは」とした理由を、「政権が代わって、村山談話はもういらないというかもしれない｣と説明しました｡
放送内容も歴史認識も、政府の主張に沿って考えるという人物が、今なお会長にとどまり続ける異常な事態です。
会長の罷免を求める署名は、現在７万２千筆を超え、ＮＨＫ退職者による罷免申し入れも賛同者が２千人に達しました。
もうひとつの危機的な事実は、ＮＨＫの報道姿勢が政府広報的な傾向を強めていることです。
集団的自衛権行使容認の閣議決定に至る報道で「ニュースウオッチ９」は、首相補佐官や自公の政治家など推進側の政治家３人をナマ出演させたのに対して、市民の反対行動、批判する発言はほとんど取り上げませんでした。
昨年３月、山口県上関原発建設反対、鹿児島県川内原発再稼働反対の地元での大規模な市民集会も、地域のメディアがそろって報じたのにＮＨＫは報道せず批判を浴びました。
昨年末の総選挙報道でも､他のテレビ局が､選挙の争点と関連させて貧困格差の実態などをドキュメントで伝えたのに対し、ＮＨＫニュースではそのような報道は皆無でした。
幹部の圧力か
政府の政策･主張は､国民に大きく影響するので、それらを伝える報道自体はありうることです。
しかし、首相や政府の主張の報道量が増える一方、政権批判につながる社会の実態や、反対運動の報道が長期にわたって抑制されるとすれば、ＮＨＫは国民の間に、政府を批判せず、支持する空気をつくる役割をはたすことになります。
こうした傾向の背景になにがあるのか。ＮＨＫ内部からの声を聞くかぎり、筆者は政権寄りの報道局政治部あるいは政治部出身の幹部の圧力を疑っています。
市民が各地で
一見平穏に見えるＮＨＫの深部で、容易ならぬ危機が進行していると言えます。この状況に対し、いま全国各地で、ＮＨＫの自主・自立を求める市民団体が続々誕生し始めました。ＮＨＫと視聴者の関係では、かつてない大きな変化です。
２０１３年までは、そのような団体は五つくらいしかありませんでしたが、昨年初めから所沢、滋賀、岐阜、秋田、屋久島、広島、茨城、の各地でＮＨＫやメディアの問題を考える市民団体が発足しました。京都では、市民団体や個人が広く参加する「ＮＨＫを憂える運動センター・京都」が結成されています。
このほか埼玉でも準備する動きがあり、この３月には、「ＮＨＫ問題を考える奈良の会」が発足集会を開催する運びです。
視聴者市民が懸念するＮＨＫニュースの「国策放送化」は、戦争中のような戦意高揚番組や軍人の講演、といったあからさまなものではなく、客観報道の外観のもと、巧妙な形で進むでしょう。
自衛隊の海外での活動が拡大されようとしている今、ＮＨＫのこのような傾向はたいへん危険です。
ＮＨＫ問題に取り組む市民団体がＮＨＫの放送を組織的に監視し、政府からの自立を要求し続けることの意義は、極めて大きいのです。こうした草の根の運動が広がることを強く期待したいところです。
(とざき･けんじ＝元ＮＨＫディレクター）
(２０１５年０３月１５日，「赤旗」)
作家赤川次郎さん／芸術から原発まで、新エッセー集出版／改憲なんとか止めたい
安倍首相の武器輸出解禁は戦争望むのと同じこと
作家の赤川次郎さんがエッセー集『三毛猫ホームズの遠眼鏡』（岩波書店・税別８００円）を出しました。扱っているテーマは舞台芸術から原発まで広く、安倍政権への鋭い批判も。いまの時代をどうみているのかを聞きました。
金子徹記者
新エッセー集は、２０１２年７月から１４年末にかけて月刊誌『図書』に連載したものなどをまとめました。木下恵介監督の映画の魅力や日本軍「慰安婦」問題、鼠（ねずみ）小僧が主人公の自作の話など多彩です。
「連載中、社会的なニュースでは楽しいものが少なかったです」
いま、もっとも懸念していることは―。
「いつ大地震がくるかということです。もう原発事故はおこらないという前提で国が動いていることが一番心配です。福島第１原発事故からたった４年しかたっていません。毎週のように地震はあるのに、原発事故を思い出さないのか。福島であれだけの事故が起きても、原発を推進してきた人たちは誰も責任をとらず、罪にも問われない」
無責任さの背景にあるのは―。
「第２次大戦での戦後処理のあいまいさが、いまも尾をひいていると感じます。人間は、嫌なことは忘れたがる。でも忘れてはいけないことまでは、忘れてはいけない。それをいうべき立場の人、例えば作家がもっと発言していかないといけないと思います」
不寛容な社会
原発を再稼働させようとする動きが強まっています。
「再稼働しないと電力が足らないというならまだわからないでもありません。でも、原発が全然動いていなくても誰も困っていないじゃないですか。謙虚に自然の恐ろしさに向き合うことが必要だと思います。大きな地震がひとつきたら、未来はこなごなになってしまいます。東京に放射能がきたら、現実には避難なんてできない。それなのに、そういう事態を考えようとしない。考えないことと、起こらないこととは、全然違います」
昔の都市伝説を引き合いに、安倍首相の言動は「口裂け女」ならぬ「恐怖の口先男」だと痛烈に皮肉。口先だけのイメージ戦略に警鐘を鳴らします。
「安倍首相は、世界の舞台でいうことと、国内でいうことが全然違う。こういうことがまかり通るのは日本だけではないか。国際社会では通用しませんよ。それなのに、日本の大手のジャーナリズムは、まったく内向きになっている。海外からの視点がもっと報道されないといけないと思います。ジャーナリストの後藤健二さんの殺害事件では、日本国内の自己責任論にたいする批判が海外では強かった。アフリカに住む知人からは、日本の社会がとても不寛容になっているといわれました」
戦後の発展、９条のおかげ
講演嫌いですが､｢九条の会」主催の講演は引き受けることも。
「改憲の動きが進んでおり、なんとか止めたい。戦後日本の経済発展は、憲法９条があったからです。アメリカを見ればわかりますが、あれだけ軍事費にばく大な予算を使えば、社会のインフラは貧しくなります。アメリカのような〝立派なお手本〟があるのに、日本の経済界はその後を追おうとする。いったい何を考えているのかと思ってしまいます」
安倍首相は武器輸出を解禁しました。
「９条が最後の歯止めになっています。武器輸出は、どこかで戦争をしてほしいということです。砲弾やミサイルを使ってもらうため〝戦争が起こってほしい〟という立場になる。それだけは日本はやってはいけない。軍事産業が産業界を支配するのは本当に怖い」
道徳は行動で
これまで出した本は５６０点を突破。そのなかに、異色作『さすらい』というミステリーがあります。人気作家が政府の言論弾圧により国外へ、という筋立てで、小泉政権のころに書いた作品です。
「あの小説では、国家の方針に従わない作家を描きました。最近は、あの小説が現実に近くなってきたようで、嫌だなと思います。作家のなかにも、喜んで権力にすりよっていくように見える人もでてきた。あの小説に書いたような、『日本を励ますための小説を書こう』という動きが出てこないとも限らない」
「道徳」を教科にしようという動きにも。
「道徳は、言葉でなく、行動で教えるものでしょう。政治家が、原発事故のような臭いものにはフタというようなことをやっておいて、道徳を教えるというのはおかしい。そんな政治家こそ道徳は最低点でしょう（笑い）」
人間にとって、文化の力とは。
「いうべきことを、いい続けていく。それにはエネルギーの補充が必要です。例えばコンサートへいって、世の中にはこういう美しいものがあるということが､救いになる｡つらいことに立ち向かっていく元気になる。そういう役割が芸術・文化にはあると思います」
赤川作品では、殺人が年々、減少傾向に。
「僕はとことん悪い登場人物はあまり作りません。悪い人物でもどこか憎めない。殺してしまうと後味が悪いんです。だから、架空の人物でも助かるのなら助けようかと。僕も若いころは１０人くらい平気で『殺して』いたんですが（笑い）。最近の若い人の小説を読むと、理由なく大量に殺人があったりする。若い人がそういうものに慣れてしまうのは怖い。書き手の責任を感じます」
あかがわ・じろう＝１９４８年福岡県生まれ。７６年、『幽霊列車』でオール読物推理小説新人賞を受賞しデビュー。映画化されたベストセラー『セーラー服と機関銃』『ふたり』などのほか、『三毛猫ホームズ』シリーズ、『鼠』シリーズなど
(２０１５年０３月１５日，「赤旗」)
中韓団体が「慰安婦」像建立計画
【ソウル＝時事】韓国の市民団体と在米中国人団体が共同で、日本の植民地支配からの解放記念日である８月１５日に、韓国南部の釜山市に従軍慰安婦の少女像を建てる計画であることが分かりました。韓国側団体が１２日、明らかにしました。
中韓双方がそれぞれ自国の少女像１体をつくり、並べる計画。韓国側は、ソウルの日本大使館前にある少女像と同じ彫刻家に依頼し、中国側は中国でつくり、釜山に運ぶといいます。
韓国側は、慰安婦問題で日本の謝罪と補償を求める運動を行っている団体が主体となり、昨年５月に推進委員会を設置しました。その後、中国人団体が賛同し、共同で進めることになりました。
推進委は「半島全域から連れて来られた女性の集結地だった釜山に建立することで、日本の真の反省を導き出したい」としています。
韓国側団体は今後、２億１０００万ウォン（約２２６０万円）を目標に募金活動を本格化させます。
( ２０１５年０３月１３日，「赤旗」)
自民提案の「慰安婦」意見書／９団体「不採択に」／議長に申し入れ／富山県議会
富山県議会で「慰安婦問題に関する適切な対応を求める意見書」の採択を求める動きがあることから、県内の９団体は１１日、高平公嗣議長に対し、同意見書を採択しないよう申し入れました。申し入れ書には、子どもと教科書ネット２１富山、自由法曹団県支部、県平和運動センター、県労働組合総連合、新日本婦人の会県本部などが名前を連ねています。
同意見書は、自民党が提案しているもの。朝日新聞の「慰安婦」問題での誤報が発端となり「多くの国益を失」ったとして、「正しい歴史認識が形成されるよう」、政府に対応を求めています。
申し入れに参加した子どもと教科書ネット２１富山の松浦晴芳世話人代表らは、「この意見書の趣旨は全く不適切」だと指摘。朝日新聞が記事を取り消すことになった吉田清治氏の証言の真偽にかかわらず、日本軍の関与のもとに強制連行された「慰安婦」が存在したことは他の歴史資料や証言により明白な事実であることを説明。「日本が過去の侵略戦争と植民地支配という加害の事実に向き合い、被害者の名誉や尊厳を回復することこそが、近隣諸国の信頼を得ることになるし、平和につながる」とのべました。
応対した高平議長は、「ご意見があったことは、（自民党に）伝えておく」とのべました。日本共産党のひづめ弘子県議と、社民党の田尻繁議員が同席しました。
(２０１５年０３月１２日，「赤旗」)
「慰安婦」問題で二階氏「独首相にも言われた」
自民党の二階俊博総務会長は１１日、東京都内で講演し、いわゆる日本軍「慰安婦」問題について「日本から大いに言い分はあるが、解決していないことは事実だ。ドイツのメルケル首相にもちゃんとやりなさいと言われた。今の時代に早く解決しておくことが大事だ」と述べ、政府に事態打開への努力を改めて求めました。
( ２０１５年０３月１２日，「赤旗」)
日韓・日中高官が協議、関係改善を探る
【ソウル＝時事】杉山晋輔外務審議官は１１日、ソウルでの日中韓外務次官級協議に合わせ、韓国の李京秀外務次官補、中国の劉振民外務次官とそれぞれ約１時間協議しました。
杉山氏は李氏との協議で、産経新聞前ソウル支局長が朴槿恵大統領への名誉毀損（きそん）で在宅起訴され、出国を禁止されている問題で、人道的な配慮を要請。一方、李氏は従軍慰安婦問題で日本の前向きな対応を改めて求めたとみられます。
一方、劉氏との協議では、昨年１１月の日中首脳会談を踏まえ、さらなる関係改善に向けた対話の継続を提案。これに対し、劉氏は安倍晋三首相が８月に発表する戦後７０年談話を念頭に、歴史を直視するよう要求したとみられます。
( ２０１５年０３月１２日，「赤旗」)
私たちは声あげる／国際女性デー各地で旺盛に／「いま世界は」１２０人学びあう／富山
２０１５年国際女性デー富山県集会が８日、富山市で開かれました。主催は、県内の女性団体や労組、民主団体などでつくる実行委員会。１２０人が参加しました。
富山県アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会代表委員の渡邊眞一氏が「いま世界はどうなっているの？―経済・格差・紛争・女性の人権」と題して講演。紛争については、過激組織ＩＳやウクライナ問題の経過を説明し、「武力でなく話し合いで解決を」で結束するＡＳＥＡＮ（東南アジア諸国連合）の立場こそが重要だとのべました。
参加団体の代表が介護、教育、米軍基地問題など発言しました。
今県議会に自民党が提出した日本軍「慰安婦」の事実を否定しようとする「慰安婦問題に関する適切な対応を求める意見書」を採択させないための緊急の活動も提起されました。
(２０１５年０３月１１日，「赤旗」)
安倍政権にレッドカード／暮らし・権利・平和のために／国際女性デー各地で行動
世界の女性が連帯して、暮らし、権利、平和のために行動する国際女性デーが８日、各地で行われました。
■北海道／平和の思いをそれぞれ発信
札幌市では、全道集会が開かれ、５２０人が参加しました。
日本共産党の紙智子参院議員が「歴史の節目である今、女性が行動し、平和や男女平等、人々の権利を保障する新たな共同の前進をつくりだしましょう」と呼びかけました。
作曲家の池辺晋一郎氏が講演。「平和は常に努力しないと保てない。メンテナンスが必要。私は音楽を通じて日々の暮らしを表現し､暮らしに関わる政治について話す｡それぞれの方の思いで平和を発信すればいいと思います｣と語りました｡
新日本婦人の会会員と池辺氏のピアノ伴奏で参加者が「早春賦」「ふるさと」を合唱。
集会後、怒りと情熱を表す赤い帽子やマフラーなどを身に着けパレードしました。
■青森／「慰安婦問題」国は償いして
青森県では「国際女性デー八戸集会」が、同市で開かれ４５人が参加しました。
「『慰安婦問題』とジェンダー平等ゼミナール」の運営委員の五十嵐吉美さんが講演。「従軍慰安婦制度」が軍のためにつくられ、軍によって運営されたこと、日本軍が進出した各国各地につくられ、多くは植民地だった朝鮮の女性が強制的、あるいはだまされて性奴隷とされたと指摘し、「こうした行為は今も当時も犯罪なのだと解き明かし、まっとうな謝罪と償いを国として行うことが唯一の解決だ」と述べました。
質疑では、過去の歴史と真剣に向き合うドイツに比し、過去から目をそむけさせようという日本の支配層の動きが憤りとともに語られました。
■岩手／子どもの貧困なくす施策を
盛岡市では、岩手県集会（実行委員会主催）が開かれ８０人が参加しました。
小野寺けい子氏（川久保病院小児科医師）が「診察を通して子どもや親の貧困を実感している。国は軍事費などの無駄な予算を削り、１８歳以下の医療費無料化を実施すべきだ」と講演。いわて労連の金野耕治議長、日本共産党の斉藤信県議があいさつしました。
集会後、参加者は、市内をアピール行進しました。
津波被災地の岩手県釜石市でも、釜石地区集会が開かれ３７人が参加。若い母親は「子どもの未来を考えると、戦争の問題に関心を持たねばと強く思った」と話し、米英軍による釜石艦砲射撃（１９４５年）を体験した８０代の女性は「戦争は絶対にダメだ」と涙声で訴えました。
■山形／過労死のない社会のために
山形県では、山形市、鶴岡市、酒田市、米沢市の４市で女性デーが開かれました。
山形市では「慰安婦」問題のビデオを上映し、「あぶない教科書を許さない山形県民の会」事務局長の多田眞敏氏が講演。日本共産党の渡辺ゆり子県議、佐藤亜希子山形市議が参加しました。
鶴岡市では田川地区集会が開かれ、１１０人が参加。医療関係者から看護師不足の深刻な実態、農家から政府の農協「改革」への批判が出されました。
松丸正弁護士が「命より大切な仕事ってなんですか。過労死のない社会のために」と題して講演。日本共産党の関とおる県議候補（鶴岡市区）が出席しました。
■福島／生活の向上と男女平等語る
福島県では、国際女性デー県集会が福島市内で開かれ、生活向上と男女平等、戦争する国づくりを許さないため手をつなごうと語りあいました。
福島県労連の斎藤富春議長が講演。「ブラック企業の非人間的な使い捨て労働に対し、女性たちがたたかいの先頭に立っている。国民的課題を掲げている今春闘をともにたたかおう」と訴えました。
働く女性の相談コーナーや健康体操、「昔あそび」体験など交流。戦後、被爆、女性参政権獲得からいずれも７０年、女性差別撤廃条約批准と雇用機会均等法から３０年という節目の今年、希望を持って生活できる社会、戦争も核兵器も原発もない世界へ粘り強くたたかおうと「アピール」を採択しました。
(２０１５年０３月１１日，「赤旗」)
おはようニュース問答／ＮＨＫ会長の選出のあり方を考えよう
みどり ああ、白木の箱しか帰らないなんて、涙が止まらない。戦争なんて絶対に嫌。
晴男 ＮＨＫの「マッサン」を見ていたのか。ちょうど太平洋戦争末期を描いているね。
みどり 若い人が自分の意思でなく戦地に行かされて…家族や慕う人の願いは届かなかった。だから今、「戦争ができる国」へ突っ走る安倍首相が信じられない。
与党の主張７割
晴男 ＮＨＫのドラマやドキュメンタリーはさすがだけど、ニュース報道は変だ。「放送を語る会」の調べでは、集団的自衛権問題での報道は政府与党の主張の紹介が７割を占め、批判的な分析は見られなかった。
みどり 籾井（もみい）勝人会長の影響かしら。〝政府が右と言うことを左とは言えない〟という人でしょう。最近も、日本軍「慰安婦」問題で「政府の正式なスタンスがまだ見えないから慎重に」と。きっとＮＨＫは政府広報だと思っているのよ。こんな人がどうして会長になれたの。
晴男 会長を選ぶのは経営委員で、１２人全員が「籾井会長」に賛成した。経営委員は、国会の同意を得て首相が任命する。安倍首相が経営委員に〝お友達〟の作家・百田尚樹氏ら５人を送り込み、籾井氏を会長にしたといえる。
みどり 籾井氏に批判的だった元経営委員長代行の上村達男・早稲田大学教授は、籾井氏の選任では「経営委員に責任がある」と語っていた｡｢２０～３０分の面接では、信条まで分からない」とも。
改革を求める声
晴男 今、会長や経営委員の選考について透明性や民主性を求める声が盛り上がっているんだ。９日に、ＮＨＫ問題を考える市民集会が国会内で開かれた。メディア研究者の松田浩氏や元東大教授の醍醐聰氏は、第三者による経営委員と会長の選任制度を定めるよう提案した。権力からの自立の担保や公募･推薦制度による視聴者参加を目指している。
みどり 籾井会長の考えは、はっきり間違っている。ＮＨＫにこういう会長が選ばれないような改革は必要だと思う。
晴男 今月は１９２５年にラジオ放送が始まってちょうど９０年だ。戦争推進の一翼を担った歴史の反省に立ち、放送の今後を考えていきたいね。
〔２０１５・３・１１（水）〕
( ２０１５年０３月１１日，「赤旗」)
１０
各地で国際女性デー／福岡／佐賀／熊本／宮崎／鹿児島と奄美／徳島／松山／岡山／山口
男女が平等の職場つくろう／福岡
福岡市では７日、４７人が参加して集会を開きました。
原田直子弁護士が講演し、待婚期間、年金など性差別や働くうえでの女性の困難を指摘。女性が幸せに生きるため「男女の平等が分かる人を議会に送り出し政治を変えよう」と呼びかけました。
集会後、参加者は黄色に色づいたミモザの花の枝を手に繁華街で街頭宣伝をしました。男女共に働きやすい環境の実現や「戦争する国づくり」反対を訴えました。
参加した公務員の女性（４３）は「比較的平等な自分の職場でもトップは全て男性で、まだまだと感じる。現状を変えるため権利を勝ち取った歴史を知る機会をもっととりたい」と話しました。
オール沖縄のたたかい報告／佐賀
佐賀市では７日、約７０人が参加して国際女性デー佐賀県集会を開きました。
「オール沖縄の前進と辺野古・高江のたたかいの展望」と題して沖縄のやんばる統一連の吉田務代表が記念講演。「県民の総意としてまとめた『建白書』を政府に突きつけ､保守､革新の幅を超え一点共闘体制が作られた」とオール沖縄のたたかいを報告しました。
発言では教育問題、国立病院の状況、「消費税が１０％になれば」「引き下げられる年金」など各分野から報告がありました。「憲法を守り暮らしに活（い）かしていきましょう」と決議をあげました。
シンボルの花、手に持ち訴え／熊本
熊本市では７日、国際女性デー熊本行進をし、７０人がシンボルの「ミモザの花」を手に、「男女差別をなくそう」「戦争する国づくり反対」「保育施設の増設を」などと唱和しました。
行進前の集会で参加者は「いっせい選挙で女性の思いの分かる議員の一人でも多い誕生を」「障害者が地域でともに暮らせる社会に」「新保育制度を運動で良い方向に」などをアピールしました。
子と孫と３世代で行進した今村須美子さん（６４）は「女性の権利向上のアピールができた」と話していました。
日本共産党の山本のぶひろ、ますだ牧子（現市議）両県議候補、上野みえこ市議（市議候補）も参加し、連帯あいさつしました。
楽器の演奏や憲法学ぶ講演／宮崎
国際女性デー宮崎集会実行委員会は８日、宮崎市中央公民館で集会を開きました。
成見幸子実行委員長は、主催者あいさつの中で、今年は、女性参政権制定から７０年、女性差別撤廃条約批准から３０年など、女性にとって大切な年にあたると強調。労働法制の悪化で貧困が広がり、教育の現場では、政治的中立をうばう教育のおしつけなど政治をめぐる問題は山積みで「女性がやるべきことはたくさんあるが、楽しく力強くやっていきましょう」としめくくりました。
集会では、ハープとフルートの演奏や、宮崎産業経営大学法学部の阿部純子氏を講師に「憲法９条は何のためにあるの？」の講演をしました。集会の最後に、集会アピールを採択しました。
春呼ぶ集いに取り組み多彩／鹿児島と奄美
鹿児島県では８日、鹿児島市や奄美市でつどいや宣伝をしました。鹿児島市の「春をよぶつどい」には４００人が参加し、劇団俳優座の有馬理恵さんが差別を乗り越え反戦平和をテーマにした一人芝居を交え講演。福島原発事故後、仮設住宅で生活する人々に思いをはせ、「ともに生きているということを忘れてはいけない」と訴えました。
大迫より子実行委員長は、「人間の権利を脅かす社会情勢に声をあげましょう」と呼びかけました。
奄美市では、３０人が赤いコートやマフラーを身につけ、女性の人権を守ろうと訴えました。「集団的自衛権行使ヤメテ！」と書いたプラスターを掲げアピール。同実行委事務局の荒田まゆみさんは、「世界中の国々で女性の参政権や地位向上を訴えて行動しています」と紹介しながらビラを配りました。
おそろいの赤、身につけ宣伝／徳島
徳島県の母親大会実行委員会や新日本婦人の会などでつくる国際女性デー徳島集会実行委員会は８日、ＪＲ徳島駅前で宣伝とリレートークを行い「戦争する国なんて許さない」などと訴えました。
怒りと情熱を表現する赤いマフラーやジャケットを着た参加者らは、飴つきビラ５００枚を配布しました。
県労連女性部の津川博美部長は、女性の賃金は男性並みの労働条件で７割程度だと指摘し「アベノミクスの『女性の活躍』とは低賃金で女性を利用するものです」と批判しました。県母親大会実行委員会の有川マサ子委員長は、子どもが保育所に入れず職場に戻れない実態を示し「子育てがハンディにならない社会にしよう」と呼びかけました。
「対馬丸」事件、生存者が語る／松山
国際女性デー第５６回愛媛中央集会が８日、松山市で開かれ、学童疎開船「対馬丸」事件の生存者・平良啓子さんが「対馬丸と私」と題して講演しました。「真に女性が輝く社会の実現に向けて取り組もう」とのアピールを採択しました。
学童約１６００人が乗った｢対馬丸｣は、本土への疎開航海中に、米軍潜水艦の魚雷攻撃で沈没。平良さんは奇跡的にいかだにつかまることができ、６日間の漂流後、奄美大島近くの無人島に漂着し漁船に救出されます。
平良さんは「いま、日本で再び戦争の臭いがし始めました。絶対に戦争を繰り返してはなりません」と力を込めて訴えました。
沖縄県の山本翠さんが、辺野古新基地建設反対闘争をめぐり、いま沖縄で起きていることを報告しました。
戦争反対の声、継承呼びかけ／岡山
国際女性デー岡山県集会が８日、岡山市内で開かれました。
「戦争する国なんて許さない！ 戦後７０年・女性の役割を考える」と題して長久啓太県労働者学習協会事務局長が講演しました。
長久さんは、ポーランドのアウシュビッツ強制収容所の映像や、ドイツ政府が国内にあった数多くの強制収容所を追悼施設・資料館として若い世代に伝えようとしていることを紹介し、日本では加害のことを学べる公的資料館がなく学べる場がないことを指摘しました。
侵略戦争否定の安倍政権、自民党政治ではアジアに「真の友人」を得ることができないとし、「過去の歴史に向き合い、学び、話し合おう。命と生活に根ざした女性の声をつなぎ、組織化し、政治に反映させよう」と呼びかけました。
「慰安婦」問題、弁護士が講演／山口
「春のつどい 国際女性デーin山口」（同実行委員会主催）が８日、山口市で開かれました。
つどいでは、「慰安婦」被害女性たちの訴えを集めたＤＶＤを視聴し、内山新吾弁護士が「『慰安婦』問題を考える」と題して講演しました。
内山氏は、「強制連行かどうかや連行の仕方だけでなく、慰安所での扱いこそが問題で重大な人権侵害」と強調し、「アジア、世界の平和をつくるには、過去の事実と向き合い責任を明らかにし、被害者を救済することが必要だ」と語りました。
〝安倍政権にレッドカードを″と赤い服を着て参加した女性たちは、「日本を戦争する国に変えることは絶対に許さない」とした特別決議を採択しました。
(２０１５年０３月１０日，「赤旗」)
元「慰安婦」が日本政府提訴へ／１人２．４億円請求／米連邦地裁
【ロサンゼルス＝時事】旧日本軍の従軍慰安婦となり人権を侵害されたとして、韓国や米国に住む女性らが日本政府や日本企業を相手取り、損害賠償を求める訴訟を準備していることが７日分かりました。原告代理人によると、月内にも米サンフランシスコの連邦地裁に提訴します。
原告側は、国際法上の人道に対する罪や、海外での違法行為の責任を米国内で問うことができる米連邦法を根拠に、１人当たり２００万㌦（約２億４１００万円）の賠償を求める方針。
訴訟では、「慰安所の設置や運営に関与した」として、三井や三菱の旧財閥系企業などの責任も問います。また、天皇の戦争責任も追及したい構え。
米国では２０００年に韓国などの女性１５人が日本政府に対する損害賠償訴訟をワシントンの連邦地裁に起こしましたが、連邦最高裁は０６年、元慰安婦に対する賠償問題は日韓政府間などで決着済みとして訴えを退けました。このため、提訴しても受理されるかは不透明です。
( ２０１５年０３月０９日，「赤旗」)
「政府に追従」をＮＨＫ会長否定
ＮＨＫの籾井勝人会長は５日の記者会見で、自身の発言と政府の意向との関係について、「政府におもねって番組を作れと言ったことはない」と述べました。
籾井氏は２月の会見で、日本軍「慰安婦」問題を番組で取り上げるかどうかについて「政府のスタンスがまだ見えないので、放送は慎重に考える」と表明しています。これ自体が政府におもねっている発言で、いくら否定しても政府の顔色をうかがっているという本質に変わりはありません。
( ２０１５年０３月０６日，「赤旗」)
日韓・韓日議連の「共同声明」／議員会館で学ぶ会／紙議員が発言「声上げよう」
超党派の国会議員でつくる日韓・韓日議員連盟が昨年開いた合同総会で採択した「共同声明」を学ぶ集会が５日、参院議員会館で開かれました。主催は、「強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動」。
共同声明は、日本側が「河野談話」と「村山談話」を継承することを再確認。同議連は「談話の精神にふさわしい行動をとることにした」と明記しています。
日本軍「慰安婦」問題が議論された社会文化委員会に出席した日本共産党の紙智子参院議員は「談話を継承することと、『ふさわしい行動をとる』という言葉が盛り込まれたのは大きい。一方で、安倍晋三首相が談話を継承すると言いつつ否定する言動に、国内外から不安の声が上がっている」と指摘。総会での議論を生かし、世論とともに声を上げる必要があるとのべました。
同委員長を務める民主党の白眞勲参院議員は、「慰安婦」問題を議題にした経緯などを報告。「友好的に議論することができた。歴史の事実は一つしかない。日韓は絶対に仲良くなれる」と語りました。
張完翼（チャン・ワンイク）弁護士が、韓国で日本企業を相手に争われている強制動員訴訟の現状を報告しました。
( ２０１５年０３月０６日，「赤旗」)
教科書「慰安婦」記述／日本政府の訂正要求、米で波紋／言論・学問の自由侵害
【ワシントン＝時事】旧日本軍の慰安婦問題をめぐり、日本政府が米国の高校教科書の記述訂正を求めたことが、米国で波紋を広げています。２日には歴史学者２０人が連名で安倍政権を批判する声明を発表しました。
問題になっているのは、日本政府が昨年１２月、世界史教科書の訂正を出版元の米マグロウヒル社に求めたことです。「日本軍は１４～２０歳の２０万人もの女性を強制的に徴用した」とする記述に対し、ニューヨーク総領事館を通じて「重大な事実誤認がある」と申し入れました。
歴史学者の声明は米歴史協会の会報３月号（電子版）に掲載されました。「安倍政権は愛国教育を促進する努力の一環として、実証された慰安婦の歴史に声高に疑問を投げ掛けている」と指摘。「歴史家として教科書を変更させようという試みに失望を表明する」と記しました。
また「被害女性の人数が数万か数十万か、軍が正確にどのような役割を演じたかに関しては論争が続いている」と日本政府の主張を一部認めながら、「国が支援する性奴隷システムの本質的特徴に議論の余地はない」と明記しています。
反発が広がった背景には「日本政府は学問の自由を侵害した」（日米関係筋）と受け止められたこともあるようです。教科書の共著者の１人であるハーバート・ジーグラー・ハワイ大准教授はワシントン・ポスト紙に、日本政府関係者２人が大学のオフィスに約束もなく現れ、「いかに私が間違っているかを座って話し始めた」と証言。「言論の自由、学問の自由の侵害だ」と批判しました。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は２月、「安倍晋三首相の歴史観が日米の絆を曇らせる」との見出しの記事を掲載し、批判の広がりに懸念を示す下院議員らの声を紹介しました。知日派の有識者の１人は「日本政府の想像以上に米国は慰安婦問題を重くみている」と警鐘を鳴らしています。
( ２０１５年０３月０５日，「赤旗」)
韓国、「日本は誠実に」国連で訴え
【ベルリン＝時事】韓国の趙兌烈（チョ・テヨル）外務第２次官は３日、ジュネーブで開会中の国連人権理事会で演説し、旧日本軍の慰安婦問題への日本政府の対応は不十分と表明しました。被害者が受け入れられる解決に向け「誠実で勇気ある姿勢」を日本政府に求めました。
趙氏は、高齢化する元慰安婦には生きているうちに名誉を回復する権利があると強調。国連の人種差別撤廃委員会が２０１４年、被害者への謝罪や補償を日本政府に要請したことに触れ「日本政府が国際社会の声に耳を傾けるよう希望する」と訴えました。
これに対し、嘉治美佐子ジュネーブ国際機関代表部大使は、慰安婦問題は解決済みだが、日本政府は元慰安婦に最大限の協力を行ってきたと理事会で説明しました。
( ２０１５年０３月０５日，「赤旗」)
元朝日記者への脅迫／言論の自由守る／自由法曹団声明
自由法曹団（荒井新二団長）は４日、「元朝日新聞記者植村隆氏とその関係者及び弁護団に対する脅迫・業務妨害行為を強く非難し、言論・表現の自由を守り抜く声明」を発表しました。
植村氏は日本軍「慰安婦」問題で、自身の記事を「ねつ造」とした週刊誌発刊会社などを相手に名誉棄損訴訟を起こしています。声明は、「昨年来、本人はもとより、その家族、同氏が勤務する北星学園大学及びその関係者に対する脅迫等が行われ、現在も続いている」と指摘。
「このような卑劣極まりない犯罪行為を座視することは、わが国の民主主義社会に対する破壊行為を見逃すことにほかならない」とし､｢言論・表現の自由を抑圧しようとするあらゆる策動を許さない取り組みに全力を挙げる」とのべています。
( ２０１５年０３月０５日，「赤旗」)
菅官房長官〝日韓首脳の対話を重視〟
菅義偉官房長官は２日の記者会見で、韓国の朴槿恵大統領が日本に従軍慰安婦問題の解決などを求める演説を行ったことについて、「個別の問題があるからこそ、両国のリーダーをはじめ、高い政治レベルでの対話を重視している。わが国の考え方に理解を求める努力をしていきたい」と強調しました。
菅長官は「日韓の間には難しい問題が存在するが、韓国と意思疎通を図ることはアジア太平洋地域の平和と安全に極めて大事なことだ」と指摘。「幅広い分野の実務的な協力や、さまざまなレベルでの対話、交流を積み重ね、大局的観点から重層的な未来志向の日韓関係を構築したい」と述べました。
( ２０１５年０３月０３日，「赤旗」)
日本政府は歴史に責任を／中国政協報道官
【北京＝小林拓也】中国国政への助言機関・全国政治協商会議（政協）の呂新華報道官は２日、同会議の３日の開幕を前に記者会見し、日本政府・与党の政治家に対し、「歴史教科書や靖国神社、『慰安婦』、南京大虐殺などの問題で事実を隠し、歴史の正義と人類の良識に挑戦している」と批判しました。
呂報道官は「戦後７０年たち、深刻に歴史を反省する時だ」と指摘。「日本政府は歴史に責任ある態度をとり、戦争の性質をはっきりとさせ、平和発展の道を歩んでほしい」と求めました。
( ２０１５年０３月０３日，「赤旗」)
地方選、国民の願い示そう／共産党演説会各地で／定数２で県議を／仁比参院議員／高知・南国でも
高知県の日本共産党東部地区委員会は２月２８日、仁比聡平参院議員を南国市に迎え、県議選勝利をめざす党演説会を開きました。
仁比氏は「現職の防衛大臣の地元から共産党県議を誕生させ、戦争できる国づくりを進めている安倍政権に大きな打撃を与えよう」と呼びかけました。
南国市区（定数２）で日本共産党の初議席をめざす岡田芳秀候補は「県議会で『慰安婦』問題の河野談話見直しの意見書を自民党が多数で可決しました。歴史を後戻りさせ、安倍政権の悪政を県政に持ち込む自民党の独占を許さず、日本共産党議席をたたかいとります」と決意表明しました。
( ２０１５年０３月０２日，「赤旗」)
潮流
国策放送がよみがえろうとしていないか。市民がＮＨＫに問いかけています。戦争中、「こぞって国防、そろってラヂオ」を合言葉に報道統制が敷かれ、大本営発表に至った、いまわしい国策放送▼当時、政府はＮＨＫラジオで「夜７時のニュースの次に『政府の時間』を設けて政府の方針を述べる」と宣言しました。いまのＮＨＫニュースに目を向けると、多くを安倍首相の登場に割いています。政府の方針を粛々と報じ、政権にあけ渡したともいえる状況です▼ＮＨＫの籾井会長は昨年、「政府が右と言うものを左とは言えない」と発言。今年２月には「慰安婦の番組は政府のスタンス（立場）が見えないので慎重に」と言い放ちました▼この立場がＮＨＫの報道に反映されているのが腹立たしい。沖縄の辺野古新基地建設については、沈黙の構えです。原発再稼働を進める動きは報じても、問題を掘り下げるのは避けています▼籾井会長を任命したのは経営委員会です。籾井氏の発言について議論はしたものの、中身の公表はなし。昨年末の総選挙の際、自民党がテレビ各局に報道要請という形で規制をかけた件についても、ＮＨＫは要請があったのかどうかも「お答えできない」としています▼閉ざされていくＮＨＫ。市民は黙っていません。茨城県に続き、東北の各地でもＮＨＫを考える会をつくろうと意気盛んです。２２日は放送記念日、ラジオ放送が始まって今年は９０周年の節目。市民の手に公共放送を取りもどす時です。
( ２０１５年０３月０２日，「赤旗」)
「正しい歴史認識で未来を」／韓国大統領が演説／三・一独立運動記念
韓国の朴槿恵大統領はソウルで１日、日本による植民地支配からの独立を目指して１９１９年に起きた「三・一独立運動」の記念式典で演説しました。大統領は、「今年は韓国と日本が国交正常化５０周年を迎える意義深い年」だと述べ、日本政府に対して「正しい歴史認識に基づいた韓日関係の未来を展望する」よう呼びかけました。
日本軍「慰安婦」問題については、「両国が未来をともに歩む上で必ず解決すべき歴史的課題」だとして、「被害に遭ったおばあさんたちの人権問題を早期に解決する」ことを要求。生存している５３人の被害者の平均年齢が９０歳に近づいており、「この方々の名誉を回復する時間はあまり残っていない」と強調しました。
また、「日本政府の教科書わい曲の試みが続いていることも隣国関係を傷付けている」と指摘しました。
大統領は、国交正常化後の「両国が積み重ねてきた交流協力の成果は驚くべきもの」であり、「両国の国民は文化を通じて交流し近しくなっている」と評価。「日本が勇気を持って正直に歴史の真実を認め、韓国と手を取り合って、さらに今後５０年のパートナーシップの歴史を書き記していくことを望む」と述べました。
( ２０１５年０３月０２日，「赤旗」)
「慰安婦」問題を／から考える／歴史学研究会・日本史研究会編／評者川田文子ジャーナリスト
矮小化論に歴史研究の成果対置
「『慰安婦』は公娼」、各国の軍隊にも慰安所があったなど、日本軍「慰安婦」矮小化論に踏み込み、今日までの研究成果を歴史家が各専門分野から論考した書だ。
「コメのなる田畑は道路になり、口の利ける友は監獄に入り、キセルをふかす老人は共同墓地に行き、器量よしの娘は遊郭に行き」。植民地支配下の朝鮮のはやり歌を掲げ、宋連玉は「慰安婦」の故郷の日常世界を詳述する。１９４０年代初め朝鮮人女子の就学率は約３０％、日本語普及率は８％弱、「慰安婦」を集める際、だましやすく、慰安所での軍の機密保持に好都合だった。韓国併合後、日本の公娼制度が導入され、貧困層の子が遊郭などに売られた。軍事目的による「慰安婦」と経済収奪による「売春婦」、いずれも植民地化の所産だ。
「慰安婦」だけでなく、戦地に流れた芸娼妓や酌婦らがいわゆる売春宿で日本の軍人や民間人の相手をすることもあった。「戦時性暴力被害者の実存を見失」ってはならないが、「慰安婦」か否かで線引きを急ぐあまり「被害女性の分断に手を貸」してはならないとの宋のことばは深い。
藤永壯は９７年から論調を転換した読売新聞の社説をたどり、ゆがんだ認識の拡散は戦後民主主義の解体過程を象徴する出来事とのべる。同年から使用の中学校全歴史教科書の「慰安婦」記述は０６年検定で消えた。だが、教育実践は深まった。その貴重な実践を「歴史教育の共有財産」とみるのは小川輝光だ。宮城晴美の、沖縄の大学でさえ学生が橋下大阪市長の｢慰安婦｣フーゾク発言に傾倒、講義を沖縄の｢慰安婦｣証言と陣中日誌に重点をおくと学生の反応が変わったとの報告も重要だ。
執筆者･長志珠絵､永原陽子､吉田裕､吉見義明ほか。
( ２０１５年０３月０１日，「赤旗」)
戦後７０年米次官、日中韓協力を強調
【ワシントン＝時事】シャーマン米国務次官（政治担当）は２７日、ワシントン市内で講演し、オバマ政権が戦後７０年の今年、日中韓３首脳に訪米を招請したことを踏まえて「われわれが正しい目的で力を合わせることができれば、より良くなれる。これが３首脳へのメッセージだ」と強調しました。
シャーマン氏は、今年は日韓国交正常化５０年に当たるとも指摘。「（将来の）日中韓首脳会談につながる」として、３月に予定されている日中韓外相会談に期待感を示しました。
尖閣諸島をめぐる日中対立や慰安婦問題などに触れて「理解できるが、もどかしくもある」と語りました。
日本に対しては「（戦後）国際法と発展を支えてきた」と評価した上で、現代的な要求と過去の厳しい教訓との折り合いをつけようとしていると述べました。
さらに、中国について「米国は中国の安定と繁栄を望んでいる。中国の成功はわれわれの利益だ」と強調。一方で、人権や自由の問題を提起し続けるとも語りました。
( ２０１５年０３月０１日，「赤旗」)
「慰安婦」日本批判が続出／終戦７０年識者討論／米ＮＹ
【ニューヨーク＝時事】第２次大戦終結７０周年を記念する討論会が２６日、日米の識者をパネリストに招き、ニューヨークのジャパン・ソサエティーで行われました。パネリストからは慰安婦制度をめぐり、強制性を否定する日本での一部論調に批判的な意見が相次ぎました。
中国出身の楊大慶ジョージ・ワシントン大准教授（歴史学）は、強制性について「（日本による）植民地システムの構造内に強制力が埋め込まれていた」との認識を示しました。
討論には楊氏のほか、吉見義明中央大教授（歴史学）、キャロル・グラック・コロンビア大教授（同）、イアン・ブルマ・バード大教授（人権・ジャーナリズム）が参加しました。
楊氏は「（強制性を裏付ける）公的な文書がないからといって、（そうした）歴史上の行為が存在しないというのは誤解を招く」との考えを強調しました。
吉見教授は、慰安所について「（慰安婦に）居住や外出、軍人との性行為を拒否する自由はなく、慰安婦をやめる自由もなかった。強制があったことは明らかだ」と指摘しました。
一方、ブルマ教授は「過去の日本の政権は、間違いを犯したことについて謝罪した。今の政権が意を翻したいのなら、それは全く非生産的に思える」と安倍政権をけん制しました。
( ２０１５年０３月０１日，「赤旗」)
（２月）ヘッドライン
米の「慰安婦」像判断に菅長官「残念」
韓国、元慰安婦の遺族会発足へ
稲田氏暴言／侵略戦争の事実を否定
〝「慰安婦」強制はない〟／自民・稲田政調会長が暴言
侵略戦争美化許さない／党京都府委がつどい
「慰安婦」像撤去、加州も棄却
「籾井」体制への布石、安倍政権の戦略問う／永田浩三さん講演／マスコミ問題を考える秋田の会
ＮＨＫ会長批判／大津市で学習会
文芸時評／石井正人／新しい対象を新しい方法で「原発問題」を前にした探求
メディアをよむ／須藤春夫／ＮＨＫ会長また問題発言
共産党が代表質問／安倍政権と対決／対案示し転換迫る／山下芳生書記局長／参院
視聴者が声をあげていこう／マスコミ問題考える学習会／秋田
「慰安婦」問題／「捏造記事ではない」／植村元朝日記者が講演／ＪＣＪ集会
山下書記局長の質問への安倍首相の答弁／その１
山下書記局長の質問への安倍首相の答弁／その２
山下書記局長の代表質問／参院本会議
「慰安婦」放送は妥当か／「村山談話」不要言うかも／ＮＨＫ会長、政府追随発言／民主党会合
志位委員長の質問への安倍首相の答弁
志位委員長の代表質問／衆院本会議
安倍政権と対決、転換迫る／志位委員長が代表質問／衆院本会議
訴え続け職場で新入党員／「今こそ世代的継承を」／２年越しの働きかけ実る／北海道の医療関係支部
選挙のページ／日本共産党の躍進で橋下・維新政治の野望を打ち破ろう／山下書記局長の演説から／大阪
「植村応援隊」発足で集会／名誉毀損裁判支えよう／札幌
「慰安婦」問題解決で一致
教科書訂正要求は「注意喚起」
高知で植村隆氏講演
「建国記念の日」／各地で反対集会／北海道江別／秋田
レーダー／ＮＨＫ職員のいま／番組を通じ訴えたい
自民・二階氏に要請／朴大統領「『慰安婦』問題解決を」
「建国記念の日」反対／各地で集会／青森／北海道／宮城／山形／福島
いっせい地方選挙政策アピール／日本共産党を伸ばし、住民の声がまっすぐ届く政治の実現を
二階氏ときょう会談
「建国記念の日」／アジアで平和の連帯を／各地で不承認のつどい／大阪／京都／神戸／和歌山／奈良
戦争許さない／「建国記念の日」不承認パレード／埼玉県民集会
米教科書への訂正要求／日本総領事館認める
〝歴史問題、慎重対応を〟／米副長官、安倍政権に注文
「植民地支配と侵略」〝削除〟狙う／「７０年新談話」企てる首相に内外から反発
「戦後７０年新談話」／国政の根本「専権」は乱暴
おはようニュース問答／世論の力で百田氏のＮＨＫ経営委員再任阻んだ
「慰安婦」問題／ＮＨＫ会長辞任せよ／３団体が経営委に申し入れ
「慰安婦」記事／「捏造は名誉毀損」／元朝日記者が提訴
「慰安婦」記述削除狙う安倍政権／米の教科書まで介入／歴史家１９氏が抗議へ
文化／映画「ＳＨＯＡＨ（ショア）」１８年ぶり公開／元ＮＨＫプロデューサー・立正大学教授桜井均
慰安婦問題、あらゆる手段で広報
〝政府の姿勢見てから〟／「慰安婦」番組制作でＮＨＫ会長／放送の自律性・自由否定
北星学園大に脅迫文／学長宛て「試験会場で危害」
「建国記念の日」反対／各地の２・１１集会
本立て／「慰安婦」・強制・性奴隷 あなたの疑問に答えます／日本軍「慰安婦」問題ｗｅｂサイト制作委員会編
躍進した力を国民のために／志位委員長あいさつ／日本共産党国会議員団総会
〈報道写真〉と戦争 一九三〇―一九六〇／白山眞理著／評者志葉玲ジャーナリスト
抵抗の拠点から／青木理著／評者阿部裕新聞ジャーナリスト
岐路に立つＮＨＫ／３／立ち上がる市民、各地で団体結成／「政府広報放送」だめ
私と「赤旗」／創刊８７周年１９２８―２０１５／鈴鹿医療科学大学薬学部客員教授中村幹雄さん／世の中の変革へ期待わく
２月（本文）
２８
米の「慰安婦」像判断に菅長官「残念」
菅義偉官房長官は２５日の記者会見で、米カリフォルニア州地裁が同州グレンデール市に設置された日本軍「慰安婦」像の撤去を求めた日系人住民らの訴えを退ける判断を示したことに関し、「像の設置はわが国政府の立場や取り組みと全く相いれず、極めて残念だ。民族や出身国によって意見の異なる案件を市民生活の中に持ち込むのは適切ではない」と述べました。
原告は控訴する方針で、菅氏は「原告関係者を含め、在留邦人と総領事館幹部を通じて緊密に連携を取っている」と説明しました。
( ２０１５年０２月２７日，「赤旗」)
韓国、元慰安婦の遺族会発足へ
【ソウル＝時事】旧日本軍の元慰安婦が共同生活する韓国京畿道広州市の民間施設「ナヌムの家」は２５日、元慰安婦の遺族会が２８日に発足すると明らかにしました。元慰安婦の家族は公の場に出ることは少なく、遺族会がつくられるのは初めて。
遺族会は、生存している元慰安婦と共に、日本政府に公式な謝罪と賠償を求めるほか、証言活動や、死亡者の追悼事業などを支援します。
韓国政府が認定した元慰安婦は２３８人で、存命者は５３人。
( ２０１５年０２月２６日，「赤旗」)
稲田氏暴言／侵略戦争の事実を否定
稲田朋美自民党政調会長の発言は、第１回有識者会合など安倍首相の「戦後７０年新談話」に向けた動きが本格化する時期に合わせ、政権党の政策責任者として日本の侵略戦争を正当化し、「慰安婦」制度の問題を否定する意思を強く示したもので極めて重大です。
戦後の国際政治へ日本が復帰をはたす一つの土台となったサンフランシスコ平和条約は１１条で、日本の侵略戦争とその開戦責任をはじめとする戦争犯罪を断罪した東京裁判の判決を受諾しています。この東京裁判について稲田氏は「判決主文は受け入れたが理由中の判断に拘束されない」と述べました。
これは日本の戦争指導者への「死刑」を宣告するなどした判決の「主要部分」は受け入れるが、その前提となる事実認定は受け入れないというもので、日本の戦争が侵略戦争だったという事実を否定することに等しい認識を示したものです。
東京裁判判決を受け入れ、侵略戦争否定の歴史認識を示すことで日本は国際連合中心の戦後の国際秩序に加わり、憲法前文で確認した平和と民主主義を戦後日本政治の原点としました。これを否定する稲田氏の発言は、安倍政権がよりどころとする「同盟国」＝アメリカとの軋轢（あつれき）も激しくすることになります。そもそも裁判で宣告された刑は受け入れるが、犯罪の事実の認定は認めないなどというのも、まったく成り立たない稚拙な議論です。
（中祖寅一）
( ２０１５年０２月２６日，「赤旗」)
〝「慰安婦」強制はない〟／自民・稲田政調会長が暴言
自民党の稲田朋美政調会長は２５日のＢＳ番組で、安倍晋三首相が目指している「戦後７０年新談話」をめぐり、「（村山談話にある『植民地支配と侵略』など）個々のどのキーワードが入っているかどうかは、総理自身もいっているように、私はそういうことではないと思う」と述べました。
また日本軍「慰安婦」問題について謝罪した「河野談話」について稲田氏は、「強制性はなかった。（韓国側と）すりあわせた形での政治的決着として談話ができたことは確定、検証された」と述べ、「性奴隷」として強制された実態を否定しました。
稲田氏は２４日にも都内で、「マスコミや野党の一部は（村山談話の）ある言葉を入れろとか、いろいろいっているが、総理の談話だから総理に任せるべきだ」と述べました。
さらに日本の戦前の戦争指導者の責任が断罪された「東京裁判」について、「サンフランシスコ条約１１条は、（東京裁判判決の）主文は受け入れているが、（判決）理由中の判断に拘束されるいわれはない」と述べました。「東京裁判で思考停止になるのではなく、戦争を総括し反省する」とも述べました。全面的な歴史偽造を推進する宣言です。
稲田氏は１１日、広島県呉市で「日本会議」が建国記念の日に開いた式典でも、「いわれなき非難に対して断固として日本の立場を示すことも、『東京裁判』史観からの脱却につながる」などと述べていました。
( ２０１５年０２月２６日，「赤旗」)
２５
侵略戦争美化許さない／党京都府委がつどい
侵略戦争を美化する動きや教科書改悪を許さない取り組みを強めようと、日本共産党京都府委員会と京都府日本共産党後援会は２２日、京都市中京区の京都アスニーで、「安倍政権の歴史認識と教科書問題を考えるつどい」を開き、１２５人が参加しました。
渡辺和俊府委員長があいさつし、維新の党府議による「テロ政党」発言に触れ「根底には右翼的潮流の台頭がある。歴史修正主義とのたたかいは正念場だ」と強調しました。
パネリストの鰺坂真･関西大学名誉教授､大八木賢治・子どもと教科書京都ネット２１事務局長、立命館大学国際平和ミュージアムでボランティアガイドをつとめる足立恭子さん、大学院生の松田裕一さんが報告しました。
鰺坂氏は、安倍首相が約２０年前、侵略戦争美化論の本をまとめた自民党の歴史・検討委員会に所属してきたことなどを指摘し「『侵略戦争』とは認めない安倍首相の本音はここに表れている」と批判しました。
大八木氏は、今夏の中学校教科書の採択を前に、京都でも昨年４月に「つくる会」などがシンポジウムを開くなど教科書攻撃が強まっていることに警鐘を鳴らしました。
足立氏は日本軍「慰安婦」問題を中高生に伝える努力について、松田氏は「ヘイトスピーチ」問題について述べました。
日本共産党の加藤あい京都市議が発言しました。
２０１４年１１月「赤旗まつり」の不破哲三さんの講演ＤＶＤを視聴しました。
(２０１５年０２月２５日，「赤旗」)
「慰安婦」像撤去、加州も棄却
【ロサンゼルス＝時事】米ロサンゼルス近郊のグレンデール市に設置された旧日本軍の韓国人慰安婦を象徴する少女像をめぐり、地元の日系人らが同市に像の撤去を求めた訴訟で、カリフォルニア州地裁は２３日、原告の訴えを退ける判断を示しました。
( ２０１５年０２月２５日，「赤旗」)
「籾井」体制への布石、安倍政権の戦略問う／永田浩三さん講演／マスコミ問題を考える秋田の会
元ＮＨＫプロデューサー
就任１年を過ぎても歯止めのかからない籾井勝人ＮＨＫ会長の暴言に、各地の市民・視聴者団体が「公共放送の役割を改めて考えよう」という動きを強めています。市民団体「マスコミ問題を考える秋田の会」は１９日、「戦後７０年―ＮＨＫの今」と題した学習会を秋田市内で開きました。
学習会の講師を務めたのは、元ＮＨＫプロデューサーの永田浩三さん（武蔵大学教授）。自民党議員の圧力で内容を改変された番組「ＥＴＶ２００１」の編集長を務めていた人でもあります。
永田さんは籾井会長の一連の暴言を振り返り、「ここまで時の政権におもねる公共放送のリーダーはいなかった」と断言します。
籾井会長は今月５日の会見で、日本軍「慰安婦」番組について「正式に政府のスタンスがよく見えないなかで放送するのが妥当か」と発言。１８日には民主党の会合に出席し、「村山談話」に対して「今のところはいい。政権がかわって『もういらない』と言うかもしれない」と述べました。
「これほどすさまじくお粗末な会長が誕生した背景には『布石』があった」と永田さんは指摘します。
経営委を支配
その一つが、安倍晋三内閣によるＮＨＫ経営委員会の支配。会長の任免権を持つ１２人の委員会に、百田尚樹氏（作家）や長谷川三千子氏（埼玉大学名誉教授）ら５人の〝安倍首相のお友達〟を送り込み、「実質的には安倍さんの意のままに経営委員会を運営できる状況に変えてしまいました」。
もう一つが、安倍首相のメディア戦略。永田さんは、２００１年の番組改変事件を体験した当事者として､｢安倍首相とＮＨＫの１４年間にわたる確執」を詳しく説明しました。
日本軍「慰安婦」問題を正面から取り上げた番組に、圧力をかけてきた中心人物が当時官房副長官だった安倍氏でした。０１年１月の放送前日、安倍氏は国会担当局長、放送総局長らＮＨＫ幹部を呼びつけ、「おまえ、勘ぐれ」と言い放ったといわれます。ＮＨＫに戻った総局長から永田さんに対し、「あれ変えろ、これ変えろ」と指示が出されました。
視聴者の声を
０５年１月、関係者らを取材した「朝日」記事と、番組デスクを担当した長井暁さんの記者会見で事件が世に明るみにでます。「しかし、窮地に立たされた安倍さんを助けたのがＮＨＫ。国民が信頼するニュース番組を悪用して、『政治家の介入はなかった』と延々と伝えたのです｣と永田さん｡
「事件の当事者であるＮＨＫが、ニュース番組で『そんな事実はない』というのはアウト。大事にしてきた客観報道をかなぐり捨てたその日は、ＮＨＫが死んだ日です」
永田さんは参加者に、「ＮＨＫへのおきゅうのすえ方」をいくつか提案しました。効果が大きいのは番組への意見を直接ぶつけること。「いい番組には『よかった』と言うことも大事。視聴者の声が集まれば再放送されるなどちゃんと反応します。それぐらいの健全さは残っている組織だと思います」と語りました。
国策放送化に懸念広がる
学習会には会場いっぱいの１４０人が参加しました。主催した「マスコミ問題を考える秋田の会」事務局の畠山与一さんは「予想以上の人が集まったのは、国策放送局化するＮＨＫに疑問を感じる人が増えたためではないか」と分析します。
参加者からも「安倍政権のＮＨＫへの圧力は、民主主義に対する攻撃だという視点での運動が必要」などの感想が寄せられました。
同会は、籾井会長の暴言を機に各地で視聴者・市民団体が誕生する流れを受け、昨年５月に結成されました。畠山さんは「東北各県での会の結成につなげていきたい」と話しました。
( ２０１５年０２月２５日，「赤旗」)
ＮＨＫ会長批判／大津市で学習会
ＮＨＫ問題を考える滋賀連絡会は２１日、県立大学講師（朝鮮近代史）の河かおる氏を迎え、大津市内で学習講演会「日本軍『慰安婦』問題と報道」を開きました。
連絡会世話人の川端俊英氏（同朋大学名誉教授）はあいさつで、安倍政権と一体化したＮＨＫの籾井（もみい）勝人会長の言動を批判し、集会が「ＮＨＫを受信料を払っている国民の手に取り戻すための機会になれば」と述べました。
河氏は、安倍首相（当時官房副長官）の介入を受けて、日本軍「慰安婦」問題を取り上げたＮＨＫの番組が作り変えられた事件（２００１年）を詳しく説明しました。河氏は、日本軍「慰安婦」について政府の見解を明らかにした「河野談話」の意義を強調し、「見直しや撤回など絶対にさせてはいけない」と述べました。
集会では、ＮＨＫ大津放送局に対し、視聴者・県民の声を届けようと呼びかけられました。
(２０１５年０２月２４日，「赤旗」)
文芸時評／石井正人／新しい対象を新しい方法で「原発問題」を前にした探求
本紙に連載されていた風見梢太郎「再びの朝」が完結した。民主的研究者の青春と人格形成、企業研究所における思想差別との過酷な闘い、志を貫いて迎えた定年後の新たな課題、取り分け原発問題との対決。風見作品ならではのテーマが総出だ。しかも今回は６９回分にもわたって主人公・真下裕造の創作作品「物語 内なる巨人の解放」が挿入されるという実験が行われている。
風見が現実の中で得た人間関係を創作の中で作り替えて設定し、それがさらに作中作品の中で作り替えられて再設定されるという二重構造の意味を詳しく分析して解き明かすことよりは、ＳＦ風エンターテインメントとして構想されたこの作中作品自体を楽しみたい。原発問題を前にして、かつて「原爆文学」がそうであった以上に、文学者はみな全く新しい対象を全く新しい方法で描くことを余儀なくされている。風見の実験もより多くの読者に訴える方法を探求したものと推測する。
希望が持てる文学への信念
『民主文学』は「〝次代〟の創作特集」を組んでいるが、文学運動の未来を感じさせる。印象的だったのは、人と人との結びつき、愛と信頼のあり方というものを、形にとらわれず根元から問い直そうとする姿勢がどの作品からも伝わってきたことだ。文学というものへの素朴な信念が貫かれていて希望が持てる。
渥美二郎「空の巣の日々」は、夫婦は離婚し、父親と暮らしていた一人娘も独立し、形の上でばらばらになった家族にも存在する強い心の絆をしゃれた筆致で描き出す。おしゃれを狙いすぎた感じがするかもしれないが、これでこそラストの急展開が生きてくるのだと思う。
石井斉「妻と星空」では統合失調症を患う夫婦が困難な生活の中で見せる献身と慈しみに心が揺さぶられる。浅野尚孝「きみのとまり木」は家庭環境が複雑でメンタルに問題のある恋人の女性にどこまでも寄り添い支えていこうとするけなげな主人公の姿が美しい。浅野の作品は視点がよく構成され、安易に全ての事実を提示せず、あくまで戸惑う若い主人公の目線から描いていく。結果として全ては十分に説明されないのだが、それがリアリティーをうみ、また未来への展望を呼び覚ます。
今月は『文学界』が面白かった。羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」は、この作家らしく焦眉の社会問題や社会現象を積極的に取材し独特の物語に仕立てる。今回は介護問題だが、それが孫の世代の再就職や、健康志向で流行する筋トレと一つの物語によりあわされる。寝たきりになりかけ、甘えてばかりいて一族の厄介者になりつつある祖父と正面から向き合う中で、孫が確かな身体感覚や生活設計を育んでいく姿は、ひねくれた語り口であっても清新なものである。
また同誌の平野啓一郎と金杭の対談「憎悪はなぜ連鎖するのか―慰安婦・テロ・資本主義」は読み応えがあった。日韓の論客の間に真の国際化に向け、批判性に裏付けられた相互理解の言葉が交わされることに大きな安堵を覚えると同時に、強く励まされる。
充実し幸福な人生の手触り
『すばる』の山崎ナオコーラ「社会に出ない」では、大学を出てから１２年、大学時代の友人たちとの淡々とした交流の中で、改めて社会に出て働くことの意味を考える主人公が寓話的に描かれる。辻原登「首飾り」（同）は２組の熟年夫婦のやまない浮気沙汰や微妙な気持ちのずれをビバルディの音楽やベネチア旅行を背景に軽やかに描く。充実して幸福な人生の手触りが、卑俗と気取りの中に伝わってくる。
『新潮』では筒井康隆「メタパラの七・五人」が貫禄を見せる。１９８０年代の『虚人たち』以来の問題意識を発展させ、文学的虚構とは何かという問題についてこみ入った議論を展開し、読者の参加する小説という実験に取り組む。これを楽しく読ませる技量にいつもながら驚嘆するが、筒井には人間の知的営みが本来持つ健やかさに対して深い信頼があるからなのかと今回思い至った。
（いしい・まさと 千葉大学文学部教授）
( ２０１５年０２月２４日,「赤旗」)
メディアをよむ／須藤春夫／ＮＨＫ会長また問題発言
ＮＨＫの籾井勝人会長が５日の定例記者会見で、またも問題発言をしました。
戦後７０年の節目に「慰安婦」問題を取りあげる可能性を記者から問われ、「政府の正式なスタンスがまだ見えないので、われわれが放送するのが妥当かどうかは慎重に考えないといけない」と答えたのです。ＮＨＫの番組は「政府の意向」に沿うとの表明であり、放送の自主・自律を否定するとんでもない発言です。
籾井会長は１年前の就任会見で「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」と発言。公共放送のトップを担う資質に強い疑念と批判をあびました。今回の発言もそれと同根です。もはや会長の任に堪えないのは明白です。
日本ジャーナリスト会議と放送を語る会、「ＮＨＫを監視・激励する視聴者コミュニティ」は、この発言が報じられると直ちに会長の辞任と経営委員長に対して会長罷免を求める申し入れを行いました。「視聴者コミュニティ」は、経営委員会が会長を罷免しないのであれば、経営委員長が辞任することを求めています。
これまで経営委員長は、国会審議の場などで会長の問題発言をかばい続け、管理監督を明言してきました。しかし、会長は相変わらず妄言を繰り返しています。
籾井会長の１年を検証した毎日新聞の記事(４日付)によると、すでにＮＨＫ内部には政権におもねる籾井会長の言動をそんたくする風潮が強まっているそうです。心ある職員が格差､貧困､原発などの社会問題を浮き彫りにする番組を作り続けているものの、その役割を果たし続けることができるのか、危機感を覚えると指摘しています。
複数の職員の証言では、与党の方針に異をとなえる内容を自主規制する傾向も強まっているといいます。
ＮＨＫの自主・自律の回復には、一刻も早い籾井会長の退場が欠かせません。
（すどう・はるお＝法政大学名誉教授）
(２０１５年０２月２２日，「赤旗」)
共産党が代表質問／安倍政権と対決／対案示し転換迫る／山下芳生書記局長／参院
集団的自衛権／閣議決定撤回を／〝集団的侵略〟そのものだ
集団的自衛権行使容認の安倍内閣の「閣議決定」。それを具体化する法整備について、志位氏は２点にしぼってただしました。
第一は、米軍などを自衛隊が支援する「恒久法」。アフガン・イラクのような米軍の戦争で、自衛隊はこれまで行かなかった「戦闘地域」にまで行き、軍事支援し、攻撃されたら武器を使用。米軍と肩を並べて戦争します。
第二は、米国などが先制攻撃を行った場合でも、日本が集団的自衛権を発動するのかという問題です。
先制攻撃は国際法違反の侵略行為。米国はベトナム戦争、イラク戦争など先制攻撃を繰り返してきました。
「集団的自衛権を発動すれば、集団的侵略そのものではないか」と追及し閣議決定撤回を求めた志位氏。首相は「個別具体的状況に照らして判断する」とのべるだけで、発動を否定しません。
沖縄新基地建設／強権政治を批判／民意を受け止め断念せよ
沖縄・名護市への米軍新基地建設で沖縄県民が一連の選挙で明確に「ノー」の意思を示したのに、首相は聞く耳も持たず新基地建設に突き進んでいます。
志位氏は「こんな野蛮な強権政治は、民主主義の国では絶対に許されない」と厳しく批判。「普天間移設は負担軽減になる」という首相の主張の誤りを６点にわたって示しました。
①普天間基地は１本の滑走路だが新基地では１８００㍍滑走路が２本になる。
②新基地は４万㌧を超える強襲揚陸艦が接岸でき、海兵隊の一大出撃拠点になる。
③普天間基地にない広大な弾薬庫エリアを建設する。
④キャンプ・シュワブや辺野古弾薬庫と一体運用され、その面積は普天間基地の約５倍になる。
⑤キャンプ・ハンセン、北部訓練場、伊江島飛行場とも連動し、海兵隊の基地機能は飛躍的に強化される。
⑥耐用年数は２００年。沖縄を２３世紀まで基地の鎖で縛り付けることになる。
志位氏は、「選挙結果を真摯（しんし）に受け止める」というなら新基地建設を断念し、普天間基地の無条件撤去を米国と交渉すべきだ、とせまりました。
戦後７０年／アジアとの「和解と友好」へ／「五つの基本姿勢」を提唱
安倍首相は今年予定されている「戦後７０年談話」で、「村山談話」（１９９５年）にもりこまれた「植民地支配と侵略」への「痛切な反省と心からのおわび」という核心的内容をあいまいにし、事実上否定する姿勢です。
志位氏は「このような立場に立った『談話』ならば百害あって一利なし」と指摘。日本とアジア諸国の和解と友好のための「五つの基本姿勢」（別項）を提唱し、首相の見解を求めました。首相は「全体として（歴代内閣の談話を）引き継ぐ」とのべるだけで、まともに答えず、「首相の靖国参拝」では「国のリーダーとして当然」と居直りました。
参院代表質問では、山下氏が､広島･長崎の被爆７０年にふれ、核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連総会決議に、棄権し続けている日本政府の態度を改めるように求めました。
五つの基本姿勢
①「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きにきっぱりと反論する。
②日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出す。
③国政の場にある政治家の靖国神社参拝は、侵略戦争肯定の意思表示を意味し、少なくとも首相や閣僚による靖国参拝は行わないことを日本の政治のルールとして確立する。
④民族差別をあおるヘイトスピーチ根絶のため、立法措置を含めて、政治が断固たる立場に立つ。
⑤「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくす。
震災復興、原発、農協「改革」でも論戦
参院の代表質問に立った山下氏は､｢暮らしと経済」「沖縄・米軍新基地」「戦後７０年」の問題で、志位氏の代表質問を受けて、さらに安倍首相を追及するとともに、東日本大震災と福島原発事故や「農協改革」で論戦を行いました。
賠償打ち切り厳しく批判
今年は阪神・淡路大震災２０年。山下氏は、粘り強い運動によって被災者生活再建支援法を実現したことを振り返り、「人々の切実な願いにこたえ、絶望を希望に変え、社会を進歩させていくことにこそ政治の原点がある」と訴えました。
そして東日本大震災では「住宅の再建・確保は一刻の猶予もできない」とのべ、災害公営住宅の建設を急ぐとともに、住宅再建支援を強化することなどを要求。福島原発事故による営業にかかわる損害賠償を来年で打ち切ろうとしていることも取り上げ、「これが総理の言う『復興』なのか」と厳しく批判しました。
さらに「原発ゼロ」の政治的決断と再生可能エネルギーへの抜本的転換を求めました。
米価暴落への緊急対策こそ
安倍首相は今国会に農協「改革」法案を出そうとしています。
山下氏は、この農協「改革」は「現場の声と必要性から出発したものではない｣と指摘｡ＴＰＰ（環太平洋連携協定）反対の要になっている〝ＪＡ全中つぶし〟ではないか―とただしました。そして、「いま必要なことは暴落米価への緊急対策」と指摘しました。
(２０１５年０２月２２日，「赤旗」)
視聴者が声をあげていこう／マスコミ問題考える学習会／秋田
マスコミ問題を考える秋田の会は１９日、秋田市内で元ＮＨＫチーフプロデューサーの永田浩三武蔵大学教授を迎え、学習会を開き１４０人が参加しました。
永田氏は、この１年のメディア状況、過激組織ＩＳによる人質事件、朝日新聞などに対するバッシングや、日本軍「慰安婦」問題についてとりあげたＥＴＶ２００１番組改変事件について、ＮＨＫの編集者として経験したことなどについて詳しく説明。「安倍政権の進める集団的自衛権、秘密保護法、原発再稼働、沖縄辺野古ごり押しなどについて、いかにひどいことであるかということを大手メディアがきちんと指摘できなくなっている」と述べました。
籾井勝人ＮＨＫ会長の会見などでの発言についてふれ「ここまで権力におもねり、左右される公共放送のリーダーはいなかった」と語り、「ＮＨＫは戦争の旗振りをし、国民を悲劇に追いやった放送局です。戦後、二度とそんなことはくり返してはならないとして、新生を誓った。放送法第一条には『健全な民主主義の発達に資するようにすること』と書かれています。放送という事業を通じて、民主主義の発展のため国民に判断する材料を提供し、国民の知る権利に奉仕するということがすべてなんです」と強調。視聴者が声をあげ届けることが大事だと述べました。
参加者からは、受信料問題や放送に対する政治の影響などについて質問や意見が出されました。
また、ＮＨＫ問題を考える会兵庫の西川幸事務局長が激励のあいさつをしました。
(２０１５年０２月２１日，「赤旗」)
２０
「慰安婦」問題／「捏造記事ではない」／植村元朝日記者が講演／ＪＣＪ集会
日本ジャーナリスト会議（ＪＣＪ）は１７日、緊急集会「慰安婦証言、ねつ造ではない 私は闘う―元朝日記者・植村隆さんを迎えて」を東京都内で開きました。ジャーナリストや市民など約３２０人が集まりました。
現在、北星学園大学（札幌市）の非常勤講師を務める植村さんは、元日本軍「慰安婦」にされた女性の証言など自身が取材した「慰安婦」問題に関する報道が、一部の週刊誌や新聞から「捏造（ねつぞう）記事」だとして、２０１４年１月からバッシングを受けています。
過去の自身の記事と他紙を比較しながら、「事実のねじ曲げや、捏造などは絶対にない」と話しました。
植村さんは同年３月、神戸市にある大学に教授として就職が決まっていましたが、外部から抗議が多数来たため、就職が取り消しになりました。「本当に悔しかった。そんな中、私を継続雇用した北星大学の勇気に感謝している」とのべました。
「捏造記事」と書かれたことに対し、週刊誌や発言した知識人を相手に､名誉毀損(きそん）で札幌地裁に訴えた植村さんは、「言論と司法の両方の場で、たたかっていきます。不当なバッシングには絶対に屈しません｣と力強く語りました｡
( ２０１５年０２月１９日，「赤旗」)
山下書記局長の質問への安倍首相の答弁／その１
日本共産党の山下芳生書記局長の参院本会議代表質問（１８日）に対する安倍晋三首相の答弁（要旨）は次のとおりです。
◇
【安倍政権の基本姿勢】
政治の役割は、意欲ある誰もが頑張ることができる環境をつくり、頑張った人たちが報われる真っ当な社会をつくりあげることだ。その根本は自立精神だ。自助自立を第一とし、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人には援助の手を差し伸べていくのが私たちの基本的な考え方だ。
【被災者の住宅再建支援】
仮設住宅での生活が長期化するなか、災害公営住宅建設の加速化、仮設住宅の補修・補強、被災者の心身のケアなどにしっかり取り組んでいく。被災地の市町村の判断で、医療費の窓口負担を減免した場合は一定の要件のもと、１０分の８以内を国が財政支援する措置を講じている。被災者生活再建支援制度の拡充は、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案し慎重に検討すべきだ。
【福島の復興】
今後の営業損害の賠償については、東電が資源エネルギー庁とともに検討を進めている。地元関係者の意見をよく聞き、被害者に寄り添った対応を行うことが重要だ。昨年末に解除された南相馬市の特定避難勧奨地点の住民への損害賠償は、原子力賠償紛争審査会が定めた中間指針に基づき、解除後も３カ月間賠償が続く。除染には引き続き財政的・技術的支援を行い、政府として責任を果たしていく。
【原発再稼働】
新規制基準に適合すると認めた原発は、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく。避難計画を含め、緊急時の対応については、地域の自治体と連携し実効性ある取り組みを進めていく。燃料輸入増、電力料金の上昇、温室効果ガスの排出量増加を踏まえれば、国民生活や産業活動を守り、責任あるエネルギー政策を実現するためには、原発ゼロというわけにはいかない。
【実質賃金減少】
「３本の矢」の政策により景気が回復し、雇用が増加する過程において、パートで短時間働く人が増えたため、１人当たりの平均賃金が下がっている現象がある。ただし、賃金・所得の動向は総雇用者所得でみることが重要だ。名目では２０１３年４月以降、前年比で２１カ月連続プラスで、実質でも消費税率引き上げの影響を除けば、２０１４年６月以降７カ月連続プラスで推移している。
【労働者派遣法改悪】
派遣労働者のキャリア形成は、雇用契約の当事者である派遣会社が一次的な責任を負うべきだ。労働者派遣法改正案では、派遣会社の責任を強化し、派遣期間満了の場合には正社員になったり、別の会社等で働き続けられるようにする措置を新たに義務づける。法案では、派遣先事業所での継続的な派遣労働者の受け入れに３年という期間制限を課した上で、延長する場合には過半数組合等からの意見聴取を義務づけ、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップを支援していくとしている。正社員から派遣への置き換えを進めるものではない。
【介護報酬引き下げ】
今回の改定では、全体として、事業者の安定的経営に必要な収支差が残るようにしつつ適正化を図り、最重要課題である介護職員の確保を図るため、他の報酬とは別枠で１人あたり月額１万２０００円相当の処遇改善を実現するための加算を設ける。質の高いサービスや小規模な地域密着型サービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われる。
【法人税改革】
今回の法人税改革は、法人税を成長志向型の構造に変え、より積極的な賃上げへの取り組みや下請け企業の価格転嫁といった取り組みを促すものであり、大企業に単なる減税を行うものではない。
【消費税引き上げ】
「３本の矢」政策により、経済の好循環は確実に生まれ始めている。
( ２０１５年０２月１９日，「赤旗」)
山下書記局長の質問への安倍首相の答弁／その２
他方、昨年４月の消費税率引き上げが個人消費に影響を及ぼしたのも事実で、アベノミクスの成功を確かなものとするため、１０％への引き上げを１８カ月延期することにした。社会保障を次世代に引き渡す責任を果たし、わが国の信任を確保するため、２０１７年４月の１０％への引き上げは確実に実施する。
【景気の実感】
昨年４月の消費税率引き上げ等の影響で景気の回復の実感が地方に暮らす方々や中小・小規模事業者の方々に届いていないのも事実だが、足元では街角の景況感が多くの地域で改善し、先行きはすべての地域で改善するなど、景気回復の兆しもみられる。２０１４年度補正予算を迅速かつ着実に実行し、賃上げの流れを来春、再来春と続けていくことで、景気回復の実感を全国津々浦々に届けていく。
【農協改革】
農業活性化は待ったなしだ。意欲ある農業の担い手が活躍しやすい環境となるよう農協改革を行う。意欲ある担い手と地域農協が力をあわせ、創意工夫を発揮して、ブランド化や海外展開など自由な経済活動を行うことで農業者の所得向上に全力投球できるようにする。「農協つぶし」という指摘は当たらない。
【米価対策】
１４年産米の価格下落については、収入減少の影響を緩和する「ならし対策」に加え、「ならし対策」に加入していなかった方にも国として減収の一部を補填（ほてん）するとともに、米の直接支払い交付金の早期支払いなど、米農家の当面の資金繰りを支援してきた。１４年度補正予算で機械の共同利用など稲作生産コスト低減を図る取り組みなど緊急的に支援する。
【ＴＰＰ交渉】
日米協議は、いまだ多くの課題が残っており、なんら確定していない。着地点をさぐっているところだ。アジア太平洋地域の成長を日本に取り込む潜在力を持つＴＰＰは、成長戦略の主要な柱の一つだ。交渉は最終局面にあり、交渉からの脱退に言及することは不適切だ。
【普天間移設】
沖縄における選挙結果は真摯（しんし）に受け止めたい。住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は絶対に避けなければならない。これが大前提であり、政府と地元の共通認識だ。辺野古「移設」は米軍抑止力の維持と普天間の危険性除去を考え合わせれば唯一の解決策だ。考え方に変わりはない。
【最新鋭巨大基地】
辺野古の埋め立て面積は普天間飛行場の３分の１以下で、滑走路も大幅に短縮される。滑走路が２本になるのは、地元の要望を踏まえ離陸着陸のいずれの経路も海上になるようＶ字形に配置するためだ。騒音も大幅に軽減される。岸壁整備は、滑走路の短縮により、故障した航空機を搬出する輸送機が着陸できなくなるため、代わりに運搬船が接岸できるようにするものだ。強襲艦運用を前提とするものではまったくない。現在の弾薬の保管、搭載機能の「移設」に当たっては、辺野古にある既存の弾薬庫を活用し効率的に整備する。最新鋭の巨大基地建設とのご指摘は全く当たらない。
【歴史認識】
安倍政権は、村山談話、小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく。
慰安婦問題についてはこれまで累次の機会に言ってきたとおり、筆舌に尽くし難いつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む。この点の思いは歴代総理と変わらない。同時に、この問題を政治問題、外交問題化させるべきではない。
【安保法制整備】
昨年７月の閣議決定は、国民の命と幸せな暮らしを守るため、必要最小限度の自衛の処置が許されるとの従来の憲法解釈の基本的な考え方を変えるものではない。戦闘地域まで行って、軍事支援するとのご趣旨は定かではないが、先般の閣議決定では、今後わが国が行う支援活動は、現に戦闘行為を行っている現場では実施しないこととしている。海外で戦争する国づくりだとのご指摘はまったく当たらない。
【核兵器廃絶】
核兵器禁止のための国際約束を策定することは、核兵器国を含む多くの国が受け入れておらず、交渉が開始できる状況にはない。
国際社会の厳しい現実を踏まえ、現実的かつ実践的な取り組みを通じ、唯一の戦争被爆国としての国際的責務を果たしていく。
( ２０１５年０２月１９日，「赤旗」)
山下書記局長の代表質問／参院本会議
日本共産党の山下芳生書記局長が１８日の参院本会議で行った代表質問は次の通りです。
私は日本共産党を代表して総理に質問します。
ことしの１月１７日は、６４３４人が犠牲となった阪神・淡路大震災から２０年目の日でした。当時、住宅を失った被災者が、復興への道を歩み始めるうえで最大の障害となったのが、「私有財産制の国では個人の財産は自己責任が原則」という立場をかたくなに取りつづけ、住宅再建のためには一円も出さないとした政府の姿勢でした｡しかし､被災者が中心となった粘り強い共同とたたかいが取り組まれ、一歩一歩それが政治を動かし、被災者生活再建支援法を実現させ、ついに国の制度として、全壊世帯に３００万円を支給するところまで前進しました。この制度は、運動の発端となった阪神・淡路の被災者には適用されませんでしたが、のちに発生した東日本大震災の被災者の大きな支えとして働いています。人々の切実な願いにこたえ、絶望を希望に変え、よりよい社会へと進歩させていく――私は、ここにこそ政治の役割があると思います。
こうした視点にたって、安倍政権の基本姿勢と政策をみるとき、そこにどんな希望を見いだすことができるでしょうか。
東日本大震災と福島原発事故――被災者支援強化と賠償・除染に責任を
まず、東日本大震災と福島原発事故の被災者に対する対応です。
東日本大震災の被災地では、４度目のきびしい冬のさなか、いまだ２３万人にも及ぶ人々が避難生活を強いられています。長期化する仮設住宅のくらしで、心身ともに疲弊の限界に達しています。住宅の再建・確保はもはや一刻の猶予もできません。災害公営住宅の建設を急ぐとともに、被災者生活再建支援金を少なくとも５００万円に引き上げ、被災者の住宅再建に対する支援を強化すべきです。あわせて、仮設住宅の生活環境を抜本的に改善すること、極度に疲弊した被災者の医療費の窓口負担をなくすことを求めます。
総理は「福島の復興なくして日本の再生なし」といいます。しかし、政府が福島でやっていることはなにか。福島第１原発事故による営業にかかわる損害賠償について、事故から５年となる来年２月で打ち切ろうとしています。県商工会連合会会長は、「到底納得できる内容ではない。怒りを覚える」と述べています。
さらに政府は、南相馬市における「特定避難勧奨地点」を解除しました。「街には戻れないのに、慰謝料だけが打ち切られる」と住民は途方に暮れています。総理、これがあなたのいう｢福島の復興｣なのですか。
現地の新聞、福島民報（１２月２９日付）は、「『福島の復興なくして日本の再生なし』とする安倍晋三首相は、賠償の無期限延長を指示すべきだ」と主張しています。当然です。総理、加害者である国と東電が、賠償と除染の責任を果たしきることは、「福島の復興」への大前提ではありませんか。
政府は、鹿児島県川内原発、福井県高浜原発を皮切りに、全国の原発を再稼働させようとしています。しかし、福島第１原発の事故はいまだ収束しておらず、事故原因も明らかになっていません。県民の多くは故郷に帰れず、苦しみ続けています。くわえて、再稼働の前提となる「新規制基準」には、過酷事故に対する住民の安全確保も、複数の原発が同時に事故を起こした場合の対策も考慮されていません。これで原発を再稼働するなど絶対に許されません。総理の見解を求めます。
国民の多数は再稼働に強く反対しています。この声に真摯（しんし）に耳を傾け、「原発ゼロ」の政治決断をおこない、再生可能エネルギーへの抜本的転換をはかる――これこそ３・１１を経験した日本が進むべき道ではありませんか。
国民のくらし破壊するメニューでなく「希望ある道」への転換こそ
国民のくらしはどうでしょうか。
総理はこの間、「アベノミクス、この道しかない」と繰り返しています。しかし厚生労働省の調査でも、働く人の実質賃金は１８カ月連続で減りつづけています。「アベノミクス」のもとで実質賃金は減り続けた、これがまぎれもない現実です。総理はこの現実を率直に認めるべきではありませんか。
こうした状況のもとで、安倍内閣が国民に示したメニューはいったいなにか。
働き方のルールの改悪――「残業代ゼロ」・派遣法改悪の断念を
第一は、働き方のルールの改悪です。
政府は、どんなに長時間働いても残業代を払わないですませる「残業代ゼロ」法案とともに、労働者派遣法改悪法案を提出しようとしています。総理は、「派遣先企業への直接雇用の依頼など正社員化への取り組みを派遣元に義務付けます」と述べました。
しかし、「正社員化への取り組み」を「義務付け」るべきは、派遣元ではなくて、実際に派遣労働者が働いている派遣先大企業ではありませんか。現行法には、派遣先企業に対し、同じ仕事での派遣受け入れは「原則１年・最大３年」という期間制限を課し、期間を超える場合には、直接雇用を義務付けるとの規定があるのです。それでも大企業はその義務を果たさず、派遣労働者を直接雇用することを拒否したり、直接雇用しても短期間で雇い止めしたりしてきました。こうした実態を踏まえるなら、派遣先大企業の雇用責任を明確にすることこそ必要ではありませんか。
ところが、今回の労働者派遣法改悪法案は、この期間制限を撤廃し、３年ごとに派遣労働者を入れ替えさえすれば、同じ仕事で無制限に派遣労働者を使い続けることができるようにしています｡総理､これでは､正社員から派遣への大量の置き換えが起こるのではありませんか｡｢正社員化｣どころか､｢正社員ゼロ｣社会になるのではありませんか。
正社員として働くことを希望しながら、ずっと派遣の働き方を強いられているある派遣労働者は、この法案を「絶望国家法案」と呼びました。総理はこの声にどうこたえますか。これらの法案の提出は、断念すべきではありませんか。
社会保障の大改悪――介護現場の実態わかっているのか
第二は、社会保障の大改悪です。
来年度予算案で政府は、社会保障費の「自然増」を抑制するとしています。とくに重大なのは、介護報酬の２・２７％引き下げという過去最大規模の削減です。いま介護の現場は、深刻な人手不足にあえぎ、それが「介護難民」増大の一因ともなっています。
先日、北海道で、「すまん、母さん」と書き置きして、認知症の妻を夫が殺害するという事件が起こりました。警察庁によれば、過去５年間で、介護・看病疲れによる「殺人」「自殺」は１７４１件、年平均３４８件にのぼります。毎日のように、こうした痛ましい事件が日本のどこかでおきているのです。総理、異常だと思いませんか。介護報酬の引き下げは、この事態にいっそう拍車をかけるのではありませんか。
いま政府がやるべきは、介護を必要とするすべての人が安心して介護を受け入れられるよう体制を整備することです。そのカギとなる介護職員の待遇を改善することです。政府は、介護職員に対して、処遇改善加算をするといいますが、事業者への報酬全体を大幅に引き下げて、どうして職員の処遇が改善できるのですか。
一方で、総理は、法人実効税率を２・５％引き下げるといいました。深刻な介護現場に対する報酬を減らし、大もうけしている大企業に大減税する――政治の根本がゆがんでいるのではありませんか。
消費税の１０％への引き上げ――消費税増税に頼らぬ二つの改革を
そして第三に、消費税の１０％への引き上げです。
１６日に発表されたＧＤＰ（国内総生産）速報によれば、昨年１年間の家計消費はマイナス１・３％、この２０年で最大の落ち込みとなりました。一番の原因は、４月に消費税を８％に増税したことにあります。
日本共産党は、消費税増税ではなく、①富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革②大企業の内部留保を活用して、国民の所得を増やす経済改革――この二つの改革で、財源をつくり、税収を増やすことを提案しています。国民のふところを直撃し、くらしと経済をいっそう行き詰まらせる、消費税１０％への増税はきっぱり中止すべきです。
以上のように、総理が「この道しかない」と言い続けている「この道」とは、結局、雇用ルールの破壊、社会保障の切り捨てであり、消費税の再増税にほかなりません。「この道」のどこに希望があるのでしょうか。１月８日に発表された日銀の「生活意識に関するアンケート調査」の結果をみると、「１年後、景気は悪くなる」と悲観する人が調査のたびに増え、いまでは３７・８％にもなりました。逆に、「良くなる」と答えた人は減り続け、１年前の半分以下、わずか７・３％にすぎません。国民の多くは、総理の「この道」に希望を見いだすことができないのです。総理、この結果をどう受け止めますか。
いま求められているのは、「この道」の方向を転換することです。大企業応援から、国民のくらし第一に切り替えて、①人間らしく働ける雇用のルールをつくること②社会保障を切り捨てから充実へと転換すること③富裕層と大企業に応分の負担を求める税制に改革すること――ここにこそ政治の役割があり、そうしてこそ「希望ある道」がみえてくるのです。総理の見解を求めます。
政府の農協「改革」はＴＰＰ反対の農協つぶしが狙い
農業問題について質問します。
総理は、農協「改革」を、「戦後以来の大改革」の冒頭にあげました。しかし、この「改革」は、現場の声や必要性から出発したものではありません。ＴＰＰ（環太平洋連携協定）反対の中心となってきたＪＡ全中、農協をつぶそうと考えたのではありませんか。農協の改革は協同組合にふさわしく自主的に行うべきです。
安倍政権のもとで、農村は空前の米価暴落に襲われ、円安による生産費の高騰も加わって、未曽有の危機に直面しています。政府が力を入れる大規模経営の農家からも「所得倍増どころか赤字倍増だ」と悲鳴が上がっています。米価暴落への緊急対策こそ実施すべきではありませんか。
ＴＰＰ交渉が重要な局面を迎えています。全国の農家は、交渉内容を何も知らされず、不安を募らせています。日米合意に向け、日本側はコメなど重要５項目について譲歩案を検討していると報道されていますが、これは事実ですか。アメリカ型の市場原理主義を「国際ルール」として押し付け、農業や食品安全、医療など広範な分野で日本の経済主権を脅かすＴＰＰ交渉からただちに撤退することを強く求めます。
沖縄県民の「意思」踏みにじる新基地建設強行は許されない
総理は、「総選挙で示された国民の意思」に「全身全霊を傾けその負託にこたえていく」と述べました。ならば伺います。沖縄県民の｢意思｣にはどうこたえるのですか｡昨年１年間に､沖縄県民は､名護市長選､沖縄県知事選、総選挙と、民主主義のもっとも基本的で大切な手続きを通して、辺野古への新基地建設ＮＯ！ 基地のない平和な沖縄を！ という意思を疑いようもなく明白に示しました。
ところが政府は、新基地建設のための予算を、昨年度と比べて８０倍に増やし、建設を強行しています。すでに辺野古の海は、投げ込まれた巨大なコンクリートブロックによって貴重なサンゴ礁が破壊され始めています。
つくられようとしている新基地は、滑走路を２本持ち、強襲揚陸艦も接岸できる巨大な軍港、広大な弾薬搭載エリアなどを備えた最新鋭の巨大基地であり、その耐用年数は２００年とされています。こんなものがつくられるなら、沖縄は、半永久的に基地の島でありつづけなければなりません。これほど県民の「意思」を踏みにじる暴挙があるでしょうか。
総理に求められているのは、普天間基地の無条件撤去、辺野古への新基地建設中止を決断し、それこそ「全身全霊を傾け」アメリカと交渉することではありませんか。
第２次世界大戦終結７０年――「和解と友好」への新たな一歩に
ことしは、第２次世界大戦が終結して７０年の歴史的節目の年です。この年が、日本とアジア諸国との「和解と友好」に向かう新たな一歩となることを、アジアをはじめ世界の多くの人々と大多数の日本国民が願っています。
「村山談話」の核心的内容の堅持を戦後の歩み否定する法整備やめよ
そのためには何が必要か。
私は、政府が「村山談話」の核心的内容である「植民地支配と侵略」への「痛切な反省」との態度を堅持すること、日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すことが大切だと考えますがいかがですか。
戦後７０年間、日本が、戦争によって１人の外国人も殺さず、１人の戦死者も出さなかったのは、日本国憲法、とくに戦争を放棄した第９条があったからだと思います。
ところが総理は、この〝世界の宝〟ともいうべき憲法９条の解釈を勝手に変更し、集団的自衛権行使容認を柱とした法案の準備に入っています。それは、この間の国会論戦で明らかになったように、アフガン戦争、イラク戦争のような戦争をアメリカがひき起こしたさいに、自衛隊が「戦闘地域」まで行って軍事支援する――すなわち「海外で戦争する国」づくりにほかなりません。戦後の日本の歩みを否定する安保法制の整備は絶対にやめるべきです。
広島・長崎被爆７０年――核兵器禁止条約の交渉開始訴えよ
ことしはまた、広島・長崎の被爆７０年の年であり、５年ぶりに核不拡散条約（ＮＰＴ）再検討会議が開催される年でもあります。「核兵器のない世界」の実現は国民的悲願であり、人類生存の緊急課題です。筆舌に尽くしがたい核兵器の惨禍を体験した国として、日本は核兵器廃絶をめざす世界の先頭にたたなければなりません。
核兵器を全面的に禁止し廃絶する条約の、交渉開始を求める国は、国連加盟国の３分の２をこえました。核兵器の非人道性を告発し、その廃絶を訴える共同声明には１５５カ国が賛同しました。ところが、日本政府はかたくなに、核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連総会決議に「棄権」の態度を取りつづけています。総理、被爆国として、あまりにもはずかしい態度ではないでしょうか。この条約の交渉開始を強く訴えることこそ、被爆国としての国際的な責務ではありませんか。
私は冒頭、政治の役割は、国民に希望を示し、よりよい社会へと進歩させることだと述べました。しかし安倍政権からは、国民への希望あるメッセージは伝わってきません。日本共産党は、国民多数の願いと逆行する安倍政権の暴走と正面から対決し、抜本的な対案、希望ある道を示し、国民とともに、新しい政治を起こすために全力で奮闘することをのべて、質問を終わります。
( ２０１５年０２月１９日，「赤旗」)
「慰安婦」放送は妥当か／「村山談話」不要言うかも／ＮＨＫ会長、政府追随発言／民主党会合
ＮＨＫの籾井（もみい）勝人会長は１８日、中期経営計画の説明のため衆院議員会館で民主党が開いた会合に出席し、日本軍「慰安婦」問題などへの対応をめぐって激しいやりとりがありました。
民主党側は、籾井氏が５日の記者会見で、「慰安婦」問題を番組で取りあげるかと問われ、「政府のスタンスがよく見えないなかで、放送するのが妥当か慎重に考えなければいけない」と発言したことを取り上げました。
籾井氏は「極めて大きな外交問題に発展するおそれがあるので、よく考えて『慰安婦』の問題は扱っていかなければならない」「これだけワーワー言われているから、『慰安婦』問題をああだこうだ言うわけがない」などと述べ、政府から独立すべき公共放送のあり方に反する立場に固執しました。
また籾井氏は「村山談話」について「今のところはいい。将来のことはわからない。政権がかわって、その人が、『村山談話はもういらない』と言うかもしれない」と発言しました。
籾井氏が就任後にＮＨＫの理事から辞表を集めたことを民主の出席者が非難すると、籾井氏は「なぜ蒸し返して１年前に戻るのか」「こんなことで呼ばれるのはごめんだ」などとけんか腰になる場面もありました。
籾井氏のこうした対応について、安住淳国対委員長代理は記者会見で「政府の顔色をうかがって、それを忖度（そんたく）しながら発言している人は、ＮＨＫ会長として失格」と語りました。
( ２０１５年０２月１９日，「赤旗」)
志位委員長の質問への安倍首相の答弁
日本共産党の志位和夫委員長の衆院本会議代表質問（１７日）に対する安倍晋三首相の答弁（要旨）は次のとおりです。
【ＩＳＩＬへの対応】
国際社会は一致団結してＩＳＩＬとたたかう決意を鮮明にしており、国連安保理はＩＳＩＬを非難し、資金の提供、武器の供与、戦闘員の移動、身代金の支払い等を禁じる決議を累次にわたり採択している。わが国もＩＳＩＬ関連の安保理決議を厳格に履行し、国際社会と連携して邦人テロ殺害事件の犯人を追い詰め法の裁きにかけると決意している。
【邦人人質事件への政府の対応の検証】
今回の事件の対応については検証委員会のもと、政府部内において検証作業を進めている。検証結果の公開は今後委員会において議論するが、インテリジェンス（秘密情報）や諸外国との関係などを考慮しつつ、今後のテロ対策に資するものについては積極的に公表していく。
【自衛隊による在外邦人救出】
邦人が危機にさらされたときの救出に対応できるようにすることは、国として当然の責務だ。法制度の不備で邦人の命を守れないということはあってはならない。領域国の受け入れ同意を前提に、自衛隊による邦人救出を行えるよう法整備を行っていく。
自衛隊の救出活動は、武力行使を伴うものではない。海外の厳しい環境下でも自己完結的に活動することができる、他の組織にはない自衛隊の特性や能力を活用するもので、あくまでも警察的な活動の範囲内で行う。自衛隊員の安全確保に配慮するのは当然だ。海外で戦争する国づくりを進めるとのご指摘はまったくあたらない。
自衛隊によるイラクでの人道復興支援活動、インド洋での給油活動は国会も承認した適切な活動だった。
【安倍内閣の経済政策】
安倍内閣が目指しているのはトリクルダウンではなく経済の好循環の実現、地方経済の底上げだ。政労使による賃上げ、設備投資の促進や下請け企業への転嫁や地方創生などにも取り組んでいる。
格差に関する指標はさまざまで、格差が拡大しているかどうかは一概に言えないが、わが国の場合、当初の所得に比較して、税や社会保障による再分配後の所得の格差はおおむね横ばいで推移している。
【消費税率引き上げ】
「３本の矢」の政策により、有効求人倍率が２２年ぶりの高水準となるなど、経済の好循環は確実に生まれ始めている。
他方、昨年４月の消費税率引き上げが個人消費に影響を及ぼしたのも事実だ。アベノミクスの成功を確かなものとするため、１０％への引き上げを１８カ月延期することとした。
社会保障を次世代に引き渡す責任を果たし、わが国の信任を確保するため、２０１７年４月の１０％への引き上げは確実に実施する。
昨日（１６日）公表のＧＤＰ（国内総生産）速報では、３四半期ぶりに実質ＧＤＰが前期比プラス成長となり、２四半期連続で個人消費がプラスとなった。雇用・所得環境の改善を背景に、消費は緩やかに回復すると期待される。こうした動きを確かなものとするため、「３本の矢」の政策をさらに前に進め、経済再生と財政健全化の両立を目指す。
社会保障制度の財源には、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定していること、勤労世代など特定の者への負担が集中しないことから、消費税がふさわしい。
【介護報酬改定】
高齢者が大きく増加するなか、介護保険制度の持続可能性を確保しつつ、適切なサービスと人材を確保することは重要な課題だ。今回の改定では、全体として事業者の安定的経営に必要な収支差が残るようにしつつ適正化を図り、最重要課題である介護職員の確保のため、１人あたり月額１万２０００円相当の処遇改善を実現する加算を設け、中・重度の要介護者や認知症高齢者を受け入れた場合等にきめ細かく加算し、小規模な地域密着型サービスなどは高い報酬を設定するなど、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われる。
２０１５年度からは、都道府県に設置した基金に約７００億円を充て、介護施設等の整備や介護人材の確保に向けた取り組みをいっそう推進する。これらにより介護職員の処遇改善は確実に実施され、介護難民を引き起こすものではない。
【法人税改革と社会保障費】
今般の法人税改革は経済の好循環の定着化に向けて、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げ等に取り組むよう促す観点から行うものだ。
一方、急速に少子高齢化が進むなか、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくため、誰もが安心できる持続可能な社会保障制度の確立を図ることが必要だ。このため、消費税率の１０％への引き上げを延期するなかでも、子育て支援、医療、介護など社会保障の充実については可能な限り予定通り実施しつつ、重点化、効率化も同時に進めていく。
【雇用ルール】
働きすぎの是正や労働者の処遇の改善は重要な課題だ。働きすぎの是正を図るため、賃金不払い残業や過重労働等が疑われる企業に重点的な監督指導を行っている。
本年１月からは長時間残業への監督指導の徹底を図っていく。さらに、企業が自主的に労働環境の改善に取り組むよう、その促進に努めている。
労働時間制度の見直しにおいては、中小企業における時間外労働への割増賃金率を引き上げ、時間でなく成果で評価する新たな制度について、対象者の健康が損なわれることのないよう、一定の休日を必ず与えるなどの措置を企業に求める方針であり、過労死が蔓延（まんえん）することは考えられない。
労働者派遣法改正法案は、派遣先事業所での継続的な派遣労働者の受け入れについて、３年の期間制限を課した上で、延長する場合には過半数労組等からの意見聴取を義務づける、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップを支援していく。正社員から派遣への置き換えを進めるものではない。
全国一律の最低賃金制は地域間の経済事情等を考慮すれば困難だ。２年連続で大幅に引き上げた最低賃金について中小企業等への支援を図りつつ、引き上げに努めていく。
【他国軍支援の「恒久法」】
指摘の戦闘地域までいって軍事支援を行うとの趣旨は定かではないが、先般の閣議決定では、今後わが国が行う支援活動は現に戦闘行為を行っている現場では実施しない。万が一、状況の変化により、自衛隊が活動している場所が現に戦闘行為を行っている現場となる場合には、直ちに活動を中止、または中断する。武器で反撃しながら継続するようなことはない。
自衛隊の派遣については、自らの国益に照らして主体的に判断するものであり、わが国の平和及び安全の確保や国際社会への安全、安定への貢献とおよそ関係なく自衛隊を派遣することはありえない。まして、米軍と自衛隊が肩を並べて戦争をするための法整備ではないかという理論は根拠はない。
【先制攻撃と新３要件】
憲法上、武力行使が許されるのはあくまで閣議決定にある新３要件を満たす場合に限られ、わが国またはわが国と密接な関係にある他国に対し武力攻撃が発生したことを前提としている。いかなる場合に新３要件を満たすかは個別具体的な状況に照らし総合的、客観的に判断される。
昨年７月の閣議決定は国民の命と幸せな暮らしを守るため、必要最小限度の自衛の措置が許されるという従来の憲法解釈の基本的考え方を変えるものではない。
【普天間基地の辺野古「移設」】
辺野古への移設は米軍の抑止力の維持と普天間の危険性除去をあわせたとき、唯一の解決策だ。この考え方に変わりはない。辺野古の埋め立て面積は普天間飛行場の３分の１以下であり、滑走路も大幅に短縮される。滑走路が２本になるのは地元の要望をふまえ、離陸、着陸のいずれの飛行経路も海上になるようＶ字形に配置するためのものだ。騒音も大幅に軽減される。岸壁の整備は、滑走路の短縮により輸送機が着陸できなくなるため、代わりに運搬船が接岸できるようにするためだ。強襲揚陸艦の運用を前提とするものではまったくない。
現在の弾薬の保管、搭載機能の移設に当たっては辺野古にある既存弾薬庫を活用し効率的に整備する。普天間の三つの機能のうち、辺野古に移るのはオスプレイなどの運用機能のみだ。空中給油機は全機、山口県岩国基地へ移った。緊急時の航空機受け入れ機能も本土へ移す。オスプレイは県外訓練等を着実に進める。
負担軽減に取り組む政府の姿勢が民主主義に反するとは考えていない。基地機能強化、巨大基地建設とのご指摘は全くあたらない。
【歴史認識】
安倍内閣としては、村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく。河野官房長官談話を安倍内閣として見直すことは考えていない。
【「慰安婦」問題】
「慰安婦」問題については、筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む。この点についての思いは歴代総理と変わらない。同時に、この問題を政治問題、外交問題化させるべきではない。
【靖国参拝】
靖国神社を参拝し、国のためにたたかい、貴い命を犠牲にした方々に尊崇の念を表し、御霊（みたま）安かれと冥福を祈ることは、国のリーダーとして当然で、世界共通のリーダーの姿だ。
閣僚が私人として参拝するかどうかはもとより自由だ。
【ヘイトスピーチ】
一部の国、民族を排除する行動はきわめて残念で、あってはならない。ヘイトスピーチに対する立法措置は各党の検討や国民的議論の深まりを踏まえ考えていく。今後とも、一人ひとりの人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を実現するため、教育や啓発の充実に努める。
【村山談話・河野談話と教科書】
教科書にどのような事項を取り上げ、どう記述するかは教育基本法や学校教育法、学習指導要領等にもとづき、教科書発行者が判断するもので、教科書検定では教科書発行者が申請した内容について、教科書検定基準にもとづき検定がなされるものだ。今後とも、教育基本法の趣旨を踏まえ、バランスよく記載された教科書を用いながら、わが国の歴史について子どもたちがしっかりと理解を深めていくことができるよう取り組んでいく。
( ２０１５年０２月１８日，「赤旗」)
志位委員長の代表質問／衆院本会議
日本共産党の志位和夫委員長が１７日の衆院本会議で行った代表質問は次の通りです。
ＩＳを名乗る過激武装組織への対応について
私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
この間、ＩＳを名乗る過激武装組織によって、２人の日本人の命が奪われるという事態が起こりました。残虐で卑劣なテロ行為を断固糾弾するとともに、ご家族に心からの哀悼の意を表します。
国連中心に、国際法、国際人道法を厳格に守った行動を
ＩＳへの対応で、いま求められているのは、国際社会が一致結束して、一連の国連安保理決議に基づき、外国人戦闘員の参加を阻止し、資金源を断ち、テロ組織を武装解除と解体に追い込んでいくことであります。
この点で、国連の潘基文（パン・ギムン）事務総長が「あらゆる対テロ行動は、国際人権法・人道法と合致したものでなければならない」と述べていることは重要です。相手が最も野蛮で無法な組織であるからこそ、国際社会の側が、国連中心に、国際法、国際人道法を厳格に守って行動することが何よりも重要であり、そういう態度を堅持することこそテロ組織を追い詰めていく一番の力になると考えます。総理の見解を求めます。
日本外交の対応について――三つの問題点を問う
こうした悲劇を繰り返さないためにも、この間の日本外交の対応について、冷静な検証が必要です。私は、三つの問題点を指摘しなければなりません。
第一は、総理が、「テロに屈する」の一言で冷静な検証を拒否する態度をとっていることです。国会質疑で、わが党議員が、総理の中東歴訪での言動を指摘し、「そういう言動をとれば、２人の日本人に危険が及ぶかもしれないという認識があったのか」とただしました。総理は、質問に答えず、〝そういう質問をすること自体が、テロに屈することになる〟と答弁しました。「テロに屈する」の一言で、異論を封じ、冷静な検証を拒否するという態度でいいのか。私は、こうした態度をあらためることを強く求めます。２人の日本人が拘束されてから今日にいたるまでの政府の対応について、国民に納得のいく説明を行うとともに、検証にとって必要不可欠な情報を公開することを強く求めるものです。
第二に、総理は、米軍が行っているＩＳへの空爆への支援について、「政策的にはやらない」としながら「憲法上は可能だ」と述べました。さらに、日本人人質事件と絡めて、「このように海外で邦人が危害に遭った時、その邦人を救出するため、自衛隊が持てる能力を十分に生かすことはできない。そうした法制も含めて法整備を進める」と述べました。しかし、そもそも「救出作戦」とは、相手を制圧する軍事作戦です。それは人質の命も自衛隊員の命も危険にさらすことになります。自衛隊がそうした作戦を行うことは、憲法違反の武力行使にあたることは明白ではありませんか。今回の事件を機に、「海外で戦争する国」づくりを進めるなどということは、断じて許されるものではありません。
第三に、ＩＳのような過激武装組織がどうして生まれたか。そのきっかけとなったのが、２００１年、米国が開始したアフガニスタン報復戦争でした。「テロへの対抗」を名目にした戦争は、テロを根絶するどころか、その温床を広げる結果となりました。さらに２００３年のイラク侵略戦争は、「地獄の門」を開き、泥沼の内戦を引き起こしました。これらの戦争が引き起こした混乱のなかから、モンスターのようなテロ組織が生まれ、勢力を拡大していったのです。それは、マレーシアのナジブ首相が、「１人の悪魔を攻撃して、より大きな悪魔が現れた」と批判している通りであります。戦争でテロはなくせない、法と理性にもとづく世界の一致結束した行動によってこそテロは根絶できる、これこそ真の歴史的教訓ではないでしょうか。アフガン・イラク戦争に、日本政府は支持を与え、自衛隊を派遣しました。世界から無法なテロを一掃するためにも、アフガン・イラク戦争と日本政府の対応についての真摯（しんし）な歴史的検証を行うべきではないでしょうか。
以上、３点について、総理の見解を求めるものであります。
暮らしと経済――経済政策の三つの転換を提起する
暮らしと経済の問題について質問します。
安倍政権の経済政策の根本は、「大企業がもうかれば、その恩恵がいずれ庶民の暮らしに回る」というものです。しかし現実はどうでしょう。円安と株高によって、大企業は空前のもうけをあげ、内部留保は２８５兆円に達しました。所得が１０億円を超える富裕層は１年間で２・２倍に急増しました。しかし、働く人の実質賃金は１８カ月連続マイナス、年収２００万円以下の「働く貧困層」といわれる方々は史上最多の１１２０万人に達しました。総理、あなたの経済政策の根本が誤りだったこと、もたらしたものは格差拡大だけだったことは、事実が証明しているではありませんか。答弁を求めます。
消費税１０％は中止し、破たんした「消費税頼みの道」からの転換を
日本共産党は、三つの点で、経済政策の抜本的転換を提起するものです。
第一は、消費税増税路線からの転換であります。
日本経済は、昨年４月の消費税増税によって深刻な危機に陥っています。経済の６割を占める個人消費は昨年１年間、過去２０年間で最大の落ち込みとなりました。「とても暮らしが成り立たない」「商売が立ち行かない」という怨嗟（えんさ）の声が広がっています。
内閣府が１月に発表した「ミニ経済白書」は、「消費税率引き上げによる物価上昇は実質所得の減少をもたらし、将来にわたって個人消費を抑制する効果を持つ」と認めました。総理、今日の景気悪化の原因が消費税増税にあること、増税による個人消費の抑制は一時のものではなく長期にわたるという認識はありますか。
総理は、１０％への増税を２年後に必ず実施するとしています。しかし消費税増税は、必ず景気を壊します。１９９７年の５％への増税は大不況への引き金を引きました。昨年の８％への増税も景気悪化の引き金を引きました。２度も失敗しているのに、３度目で景気が悪くならないとどうして言えるのですか。はっきりとした答弁を求めます。
日本共産党は、「消費税に頼らない別の道」として、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革で財源をつくる、大企業の内部留保を活用し、国民の所得を増やす経済改革で税収を増やす――この二つの政策をあわせて実施することで、社会保障充実と財政再建のための財源を確保することを提案しています。消費税１０％は中止し、破たんした「消費税頼みの道」から転換すべきではありませんか。答弁を求めます。
「介護難民」を激増させる報酬削減――社会保障費の自然増削減路線からの転換を
第二は、社会保障費の自然増削減路線からの転換であります。
「社会保障のため」といって消費税増税を強行しながら、来年度政府予算案は、社会保障費の自然増削減路線を復活させ、介護、年金、医療、生活保護など、あらゆる分野で社会保障の切り捨てを進めるものとなっています。
政府予算案には、介護報酬の２・２７％引き下げ、過去最大規模の削減が盛り込まれています。いま介護の現場は、深刻な人手不足にあえいでいます。東京都高齢者福祉施設協議会が昨年１２月に行った調査によると、都内の約半数の特養ホームで、職員が定数に満たない状況です。低賃金のために職員が集まらない。職員が足らないため、「部屋は空いているが新規入居者は受け入れない」「施設の一部を閉鎖している」「ショートステイの受け入れをやめた」などの事態が起こっています。
介護報酬引き下げが、現場の危機に拍車をかけることは明瞭ではありませんか。政府は、介護職員に対して処遇改善加算をするといいます。しかし、加算も含めた事業者への報酬全体を大幅に引き下げて、どうして介護職員の待遇改善ができますか。「介護難民」を激増させる介護報酬削減は中止すべきです。
来年度予算案は、福祉の費用を削りに削りながら、空前のもうけをあげている大企業に、２年間で１・６兆円もの大減税をばらまこうとしています。しかし、いくら大企業に減税しても、賃上げや設備投資に回らず、内部留保が積みあがるだけで何の効果もない。これはこの間の経過でも明らかではありませんか。社会保障費の自然増削減路線は中止し、大企業にばらまくカネがあるならば社会保障にこそ使うべきです。答弁を求めます。
雇用のルール破壊を許さず、人間らしく働けるルールを
第三は、雇用のルール破壊を許さず、人間らしく働けるルールをつくることです。
総理は、日本を「世界で一番企業が活躍しやすい国」にする、その邪魔となる「岩盤規制」を打破するとして、雇用に関する二つの重大法案――労働者派遣法改悪法案、「残業代ゼロ法案」を提出しようとしています。
しかし、日本の雇用のルールの現状は「岩盤」というべきものでしょうか。派遣・パートなど非正規雇用が、全体の４割近くにまで広がっています。異常な長時間労働、「サービス残業」、「ブラック企業」が横行し、「過労死・過労自殺」がこの１５年間で４倍近くに増加しています。最低賃金があまりにも低く、懸命に働いても貧困から抜け出せません。「岩盤」どころか、働く人を守るルールがあまりにない。ずぶずぶの「軟弱地盤」というのが現状ではありませんか。
労働者派遣法改悪法案は、同じ仕事での派遣受け入れは「原則１年、最大３年」という期間制限を撤廃し、３年ごとに派遣労働者を入れ替えさえすれば、同じ仕事で無期限に派遣労働者を使い続けることができるようにするものです。こんな大改悪がやられれば、正社員から派遣への大量の置き換えが進むことは明瞭ではありませんか。
「残業代ゼロ法案」は、一定の年収を超えた労働者には、時間外労働協定――残業の上限を決める労使の協定を結ばなくてもよいし、残業代を払わなくてもよいとするものです。しかし、だいたい現状はどうか。経団連、経済同友会の役員企業の時間外労働協定を調べたところ、３５社中２８社で「過労死ライン」とされる「月８０時間以上」の時間外労働協定を結んでいます。この現状をどう考えますか。ただでさえ「過労死ライン」を超える異常な長時間労働を強制している財界・大企業に、こんな法律を与えたら、「過労死」がいよいよ蔓延（まんえん）することは火を見るより明らかではありませんか。
安倍政権が提出しようとしている雇用に関する二つの重大法案は、ただでさえずぶずぶの「軟弱地盤」の現状を、「底なし沼」へと悪化させる歴史的大改悪です。国会提出を断念することを強く求めます。
日本共産党は、次の３点で人間らしく働ける雇用のルールをつくることを提案します。
一つは、派遣労働を臨時的・一時的業務に厳しく限定する派遣法抜本改正を行い、均等待遇のルールをつくり、非正規から正社員への流れをつくることです。
二つは、「サービス残業」、「ブラック企業」をなくし、「残業は月４５時間まで」と定めた「大臣告示」を法律化し、異常な長時間労働をただすことです。
三つは、中小企業支援の抜本的強化と一体に最低賃金を時給千円以上に引き上げるとともに、地域間格差を是正し、全国一律最低賃金制を確立することです。
総理の答弁を求めます。
集団的自衛権を問う――「閣議決定」の撤回、法改悪の中止を求める
集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を具体化する法整備に関わって、２点にしぼって質問します。
第一は、米軍等を自衛隊が支援する「恒久法」をつくると伝えられていることについてです。わが党の国会論戦をつうじて、アフガン・イラク戦争のような戦争をアメリカが引き起こしたさいに、自衛隊が従来の「戦闘地域」までいって軍事支援を行うことになる。相手から攻撃されたら「武器の使用をする」ことになる。そのことを総理は認めました。これを具体化するのが「恒久法」ではありませんか。米軍と自衛隊が肩を並べて戦争をするための法整備ではありませんか。
第二は、総理が、国会質疑の中で、米国等が先制攻撃を行った場合でも集団的自衛権の発動はありうるのかと問われて、「（日本が）武力行使をするのは新３要件を満たすか否かの中で判断する」と述べ、発動を否定しなかったことについてです。先制攻撃は国際法違反の侵略行為です。そして、米国が、ベトナム戦争、イラク戦争など先制攻撃を繰り返してきたことはまぎれもない歴史的事実です。米国が違法な先制攻撃を行った場合でも、「新３要件」を満たしていると判断すれば集団的自衛権を発動するというのですか。そうであるなら集団的自衛でなく集団的侵略そのものではありませんか。明確な答弁を求めます。
日本共産党は、憲法違反の「閣議決定」を撤回し、「閣議決定」を具体化する一切の法改悪の作業を即時中止することを強く求めるものです。
沖縄米軍新基地建設――選挙結果を「真摯に受け止める」なら断念せよ
沖縄・名護市辺野古への米軍新基地建設について質問します。
昨年、沖縄県民は、県知事選挙、総選挙で、新基地建設反対の「オール沖縄」の意思を、疑いようのない明確さで示しました。
総理は、選挙結果を「真摯に受け止める」と述べました。しかし、やっていることはどうでしょう。翁長知事との対話を拒否する。沖縄振興予算を一方的に減額する。住民の抗議行動を暴力的に排除して海上作業を再開する。県民がどんな審判を下そうと、「聞く耳」をもたず、新基地建設につきすすむ。こんな野蛮な強権政治は、民主主義の国では絶対に許されないと考えますが、いかがですか。
総理は「普天間移設は負担軽減になる」と繰り返しています。しかし、辺野古の米軍新基地は、普天間基地の単なる「移設」などという生やさしいものではありません。
第一に、滑走路は、普天間基地では１本ですが、新基地では１８００㍍の滑走路が２本になります。
第二に、新基地には、３００㍍近い岸壁が建設され、４万㌧を超える強襲揚陸艦が接岸できるようになり、空と海からの海兵隊の一大出撃拠点が造られます。
第三に、新基地には、普天間基地にはない広大な弾薬搭載エリアが建設されます。
第四に、新基地は、キャンプ・シュワブや辺野古弾薬庫と一体運用され、その面積は普天間基地の約５倍にものぼります。
第五に、さらに、キャンプ・ハンセン、高江など北部訓練場、伊江島飛行場などとも連動して、海兵隊の基地機能は飛躍的に強化することになります。
そして第六は、耐用年数は２００年。２２世紀どころか２３世紀まで沖縄を基地の鎖でしばりつけることになります。
総理、このどこが「負担軽減」ですか。老朽化した普天間基地に代えて、大幅に機能強化され、半永久的に使用できる最新鋭の巨大基地を建設する――これがいま進められていることの正体ではありませんか。
総理が、選挙結果を「真摯に受け止める」というなら、新基地建設をただちに断念すべきです。普天間基地の無条件撤去を求めて米国政府と交渉すべきです。答弁を求めます。
戦後７０年――「和解と友好」のための五つの基本姿勢を提唱する
今年は、戦後７０年の節目の年です。
総理が発表するとしている「戦後７０年談話」に、内外から懸念と批判が広がっています。総理は、「村山談話」について「全体として引き継ぐ」と言います。しかし、１月２５日のＮＨＫインタビューで、その核心的内容――「植民地支配と侵略」への「痛切な反省と心からのお詫（わ）び」という「キーワード」を引き継ぐのかと問われ、最後まで引き継ぐとは言わず、さらに「キーワードを同じように使うことではないのか」と問われて、「そういうことではない」と明言しました。
これは「村山談話」の一番の核心的内容をあいまいにし、事実上否定する姿勢をあからさまにしたきわめて重大な発言です。このような立場に立った「談話」ならば、百害あって一利なしと言わなければなりません。
日本共産党は、この節目の年が、日本とアジア諸国との「和解と友好」に向かう年となるために、日本の政治がとるべき五つの基本姿勢を提唱するものです。
第一は、「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱりと反論することです。
第二は、日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すことです。
第三は、国政の場にある政治家が靖国神社を参拝することは、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚による靖国参拝は行わないことを日本の政治のルールとして確立することです。
第四は、民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場に立つことです。
第五は、「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくすことです。
以上について総理の見解を問うものです。
日本共産党は、侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いてきた党として、戦後７０年の今年が、日本とアジア諸国との心通う友好に向かう年になるように、全力をあげて奮闘する決意を表明して質問を終わります。
( ２０１５年０２月１８日，「赤旗」)
安倍政権と対決、転換迫る／志位委員長が代表質問／衆院本会議
日本外交・暮らしと経済・集団的自衛権・沖縄新基地
日本共産党の志位和夫委員長は１７日の衆院本会議で代表質問にたち、日本の政治を危険な方向に導く安倍政権の暴走を真正面からただし、行き詰まった道からの転換を提起しました。過激武装組織ＩＳへの対応、暮らしと経済、集団的自衛権、沖縄米軍新基地建設、戦後７０年での基本姿勢など暴走政治の核心を突く質問に対し、安倍晋三首相は正面から答えず、居直る姿勢に終始しました。
（代表質問４・関連２・３・答弁５面）
テロへの対応は、「国連中心に、国際法、国際人道法を厳格に守って行動することが何よりも重要だ」と主張した志位氏。ＩＳによる日本人殺害事件に関しては、「テロに屈する」の一言で異論を封じ、冷静な検証を拒否する首相の態度を改め、検証に必要な情報を公開するよう要求。事件を機に「海外で戦争する国」づくりを推進しようとする動きを批判しました。さらに、テロの温床を広げる結果となったアフガン・イラク戦争と日本政府の対応の歴史的検証を求めました。
首相は「テロとたたかう国際社会において、日本としての責任を毅然として果たしていく」というだけで、自らの態度や歴史的検証についてまともに答えませんでした。
志位氏は、安倍政権の経済政策の根本にある〝大企業がもうかれば、その恩恵がいずれ庶民の暮らしに回る〟という考え方の誤りを指摘。消費税増税、社会保障費の自然増削減、雇用のルール破壊という三つの点で、経済政策の抜本的転換を提起しました。
このなかで志位氏は、首相が「岩盤規制」の打破として持ち出した労働者派遣法改悪案、「残業代ゼロ」法案の問題点をあげ、「ただでさえ『軟弱地盤』の現状を、『底なし沼』へと悪化させる歴史的大改悪だ」と批判。長時間労働の是正など人間らしく働けるルールづくりを提案しました。
首相は「経済の好循環は確実に生まれはじめている」と強弁。「働きすぎの是正や労働者の処遇の改善は重要な課題」といいながら、雇用破壊の２法案については「過労死がまんえんすることは考えられない」などと開き直りました。
志位氏は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回し、具体化する一切の法改悪の作業を即刻中止するよう要求。沖縄・名護市辺野古への米軍新基地建設については、「（地元の）負担軽減になる」という首相のごまかしを「普天間基地の単なる『移設』などという生やさしいものではない」と具体的にただし、「選挙結果を『真摯に受け止める』というなら、新基地建設をただちに断念すべきだ」と迫りました。
戦後７０年／志位氏「和解と友好」の基本姿勢提唱／首相、靖国参拝「当然だ」と居直り
志位和夫委員長は代表質問で、安倍晋三首相が今年発表するとしている「戦後７０年談話」に関し、首相が「村山談話」にある「植民地支配と侵略」への「痛切な反省と心からのおわび」という核心的内容をあいまいにし、事実上否定する姿勢を示していることを厳しく批判しました。
そのうえで、「『村山談話』の核心的内容を継承する」「首相や閣僚による靖国参拝は行わない」など日本共産党が提唱する「日本とアジア諸国との和解と友好に向けた日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」を提起し、安倍首相の見解をただしました。
安倍首相は靖国神社参拝について「国のためにたたかい尊い命を犠牲にした方々に対し、尊崇の念を表し、御霊安かれとごめい福をお祈りするのは、国のリーダーとして当然のことだ」と明言。閣僚の参拝についても「私人として参拝するかどうかは、もとより自由であると考えている」と問題視しない考えを示しました。
日本とアジア諸国との「和解と友好」へ「五つの基本姿勢」
①「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱりと反論する。
②日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出す。
③国政の場にある政治家が靖国神社を参拝することは、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚による靖国参拝は行わないことを日本の政治のルールとして確立する。
④民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつ。
⑤｢村山談話｣｢河野談話｣で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくす。
( ２０１５年０２月１８日，「赤旗」)
訴え続け職場で新入党員／「今こそ世代的継承を」／２年越しの働きかけ実る／北海道の医療関係支部
北海道で活動する医療関係の支部は今月、４０代の介護職員の女性を党に迎えました。
支部は３中総決定を受け、党の躍進に確信を深め、「今こそ新しい党員を迎えて、支部の世代的継承をすすめよう」と討議。２年ほど前から何度も入党を働きかけてきた女性に、改めて入党を訴えました。女性は「赤旗」日刊紙を購読しています。
これまで女性は、党に対してさまざまな質問を寄せ、支部はそのつど丁寧にこたえてきました。昨年の総選挙前、支部が開いた〝従軍慰安婦〟問題の学習会に女性を招いたところ、女性は「すごくよくわかりました」と語り、総選挙では職場の党後援会員として、ビラ折りなどに協力してくれました。
支部の人たちが「国政に続き、地方選挙でも党を大きく伸ばしたい。ぜひ入党して一緒にがんばりましょう」と呼びかけると、女性は総選挙の躍進を喜び、「安倍政権がすすめる介護保険制度改悪をやめさせたい。家族からも『そろそろ（入党しても）いいんじゃない』とすすめられました」と語って、快く入党を決意しました。
支部は「くり返し訴えてきてよかった」と喜び合い、ほかの日刊紙読者にも、改めて入党を働きかけることにしています。
( ２０１５年０２月１７日，「赤旗」)
選挙のページ／日本共産党の躍進で橋下・維新政治の野望を打ち破ろう／山下書記局長の演説から／大阪
日本共産党の山下芳生書記局長が１３日、大阪市内で開かれた「躍進のつどい」で行った演説のうち、大阪府政・市政部分の要旨を紹介します。
住民投票「容認」――民主主義を蹂躙する二重の暴挙
大阪府政、大阪市政はいまどうなっているのでしょうか。
昨年１０月、「大阪都」構想の協定書（制度設計案）が大阪府議会と大阪市議会で、維新以外の会派の反対で否決され、橋下・維新の会は窮地に陥っていました。ところが昨年末に事態が急変しました。公明党が突然、「大阪都」構想は「住民投票までは認める」と態度を百八十度転換したのです。菅官房長官が動いて創価学会本部を通じて大阪の公明党の態度を変えさせたと報道されています。
これが事実とすれば、二重の意味で民主主義を蹂躙（じゅうりん）する暴挙です。第１は、安倍首相と官邸が主導して、大阪府・市議会でいったん決着がついた問題をひっくり返すという、地方自治への乱暴な介入です。
第２は、官邸の意向をうけて創価学会が、公明党府本部の態度を変更させるという最悪の政教一体です。
「闇取引」「鶴の一声」によって、２月府議会・大阪市議会で協定書が承認され、５月１７日に大阪市の２１４万人の有権者を対象にした住民投票が実施されようとしています。
大阪の市民は怒っています。創価学会員からも「今度のことは納得いかない」との声が出ています。
４月のいっせい地方選挙、そして５月に実施されようとしている住民投票で、立場を超えた共同の力で民主主義蹂躙の暴挙に断固ノーの審判を下そうではありませんか。（拍手）
「大阪都」構想――庶民のまち壊す三つの重大問題
「大阪都」構想とは何か。私は三つの重大問題があると思います。
①「大阪都」にはならない――大阪市をなくし、２４区もなくす
第１に、「大阪都」構想は大阪市をなくす構想であり、２４区もなくす構想だということです。
「大阪都」構想といいますけども、住民投票で仮に協定書が認められたとしても「大阪都」にはなりません。根拠となる大都市地域特別区設置法にも、協定書にも「大阪都」の文字はありません。大阪府は大阪府のまんまです。結局「大阪都」構想の本質・実態は、「大阪市廃止・解体」構想にほかなりません。住民投票では「大阪市を解体して五つの『特別区』に分割する」ことの是非が問われるだけです。
いいんでしょうか。大阪は庶民のまちです。歴史と文化と人情あふれるまちです。長年の人々の営みによっていまの大都市・大阪が形づくられてきました。
たとえば大阪は「八百八橋（はっぴゃくやばし）」で知られています。川と橋が多い。江戸時代には２００の橋がかかっていたと言われています。当時の江戸では３５０あった橋の半分は幕府が架けた公儀橋だったのに対し、大坂では公儀橋は天神橋、高麗橋などわずか１２だけで残りはすべて町人が生活や商売のために自腹を切って架けた町人の橋です。淀屋橋は淀屋という一代で財をなした商人がつくりました。町民がまちづくりの先頭に立ったのです。
ＮＨＫ連続テレビ小説「マッサン」のなかでも、大阪はいつでもマッサンとエリーを温かく迎える心のふるさと、人情のまちとして描かれています。
この大阪市をなくし、「大阪府」に一本化し、２４区をすべてなくして五つの「特別区」にバラバラにする。大阪市民という言葉もなくなり、大阪市民が大阪市のことを決めることができなくなります。それでいいのか。乱暴勝手なやり方で、いまある大阪市、それぞれ愛着もある２４の区をなくしていいのか。庶民のまち・大阪の誇りにかけても大阪市をつぶさせるわけにはいかないという答えをみんなで出そうではありませんか。（「そうだ」の声、拍手）
②市民プールも地下鉄も――住民サービスを切り捨て、暮らしをつぶす
第２に、「大阪都」構想は、住民サービスを切り捨て、くらしをつぶす構想だということです。
これまでも橋下市長によって、地下鉄・市バスの敬老パスが有料化されました。そのため、市バスの乗降客は１日あたり３万人近くも減少しています。７万を超える存続署名が提出されたのに、住吉市民病院の廃止が決定されました。国民健康保険料も黒字が続いているのに値上げ。「次世代重視」といいながら、新婚家庭の家賃補助は打ち切りです。さらに、保育所・幼稚園の民営化や生活保護行政の締め付けなどなど、橋下市長になって、どれほどの市民いじめ、くらしつぶしがすすめられてきたことでしょうか。
それでも、市民の運動や市議会での共同の力で、ストップをかけてきたものがあります。例えば、市立のプール、老人福祉センター、子育てプラザの廃止・統合計画などは、市民の声で〝待った〟がかかっています。
ところが、「大阪都」構想で、大阪市そのものがなくなったら、市民運動で守ってきたサービスを守る土台が失われることになります。実際、協定書では、これらを切り捨てることが前提になっています。市民プールはいま２４区すべてにあり、年３６０万人に利用されていますが、「大阪都」構想の計画では９カ所にしてしまいます。
それだけではない。市民の運動、市議会の共同で民営化にストップをかけた地下鉄・市バスも大阪市がなくなったら守ることはできません。現に橋下市長は「地下鉄は府に移して民営化する」と断言しています。
大阪市営地下鉄は、全国最初の公営地下鉄です。大阪市民の税金や寄付金で築いた財産です。それを大阪府が没収したうえで、民間に売り飛ばして、大阪府の財源にしようというのです。市民がつくった大阪城、天王寺動物園や天王寺美術館など大阪市民の財産が次々と大阪府に没収されることになります。
「大阪都」構想は、問答無用で、市民サービスを切り捨て、市民の貴重な財産を没収することとセットの構想なのです。
こんなこと許してはならないという声を、みんなであげようではありませんか。（拍手）
③「特別区」は権限も財源も半人前――「一人の指揮官」のやりたい放題にする
第３に、「大阪都」構想では、大阪市を解体したあとにできる五つの「特別区」に、半人前の権限・財源しか与えられません。政令市であるいまの大阪市と比べてはるかに「弱い自治体」にされ、その結果、大阪府知事―橋下氏のいう「一人の指揮官」のやりたい放題の体制がつくられます。
いまの大阪市の税収のうち、「特別区」に直接入る税収は４分の１に激減します。政令市なら徴収できる法人市民税、固定資産税、都市計画税、事業所税が徴収できなくなるからです。これらは大阪府が徴収することになります。大阪市の税収が府に吸い上げられる。橋下市長は、吸い上げても「特別区」のために使うというのですが、全部使われる保証はまったくありません。財源の多くが府の意向に従属するしくみになってしまいます。
国から配分される地方交付税も、五つの「特別区」には直接渡されず、大阪府にまとめて渡されることになります。まさに半人前の権限、財源となるのです。
国民健康保険、介護保険、水道、ごみ、情報システムなど、住民に身近なサービスは、単独の「特別区」では担えません。五つの「特別区」にまたがる巨大な「一部事務組合」をつくって、そこで１００を超える事務を一手に引き受けるといいます。これでは「住民に身近」どころか、いまの大阪市より住民の声が届きにくくなることはあきらかです。
東京都の特別区の区議会議員の定数は３０人から５０人です。ところが、「大阪都」構想では区議会ができても、議員の定数は１２人から２３人です。住民の声を反映させる住民自治という点で、東京都の特別区と比べても格段に劣っています。
では、大阪市を解体し、弱体化させ、大阪府知事という「一人の指揮官」のもとでやろうとしていることはなにか。
大阪市から吸い上げた財源と福祉切り捨てで浮かせた財源を、高速道路「淀川左岸線」の延伸（概算事業費３０００億～４０００億円）、大阪の中心部と関西空港の間をたった５分短縮するためにつくる鉄道「なにわ筋線」（約２５００億円）など総額１兆５０００億円もの不要不急の新たな開発計画に投じる。さらにカジノ（賭博場）やリニア新幹線の大阪までの早期建設の財源にする。
「大阪都」構想は、「一人の指揮官」によって好き放題できる独裁・暴走体制づくりにほかなりません。これはノーだという声をご一緒にあげようではありませんか。（大きな拍手）
必要なものを壊すだけ――「二重行政」解消のウソ
「大阪都」構想の本質が知られることを恐れる橋下・維新の会は、盛んに「『二重行政』を解消すればムダが省け、財源が浮く」と宣伝していますが、まったくのウソ、ペテンです。
彼らが「二重行政解消」の名で実際にやってきたことは、「大阪府立」と「大阪市立」の二つの施設があれば、つぶすということにほかなりません。住吉市民病院と府立急性期（総合医療）センターがあるから、住吉市民病院はつぶす。府立大学と市立大学の二つはいらないから統合する。男女共同参画施設も府のドーンセンターと市のクレオ大阪があるから、「二重行政」だといってつぶす。
しかし、府立も市立も、どちらも大事な施設ではないでしょうか。（拍手）
利用者も大変たくさんいて、その方々から「二重だからムダだ」という話は一切ありません。「二重行政」のレッテルを貼って、必要な施設をつぶす。これが「二重行政のムダを省く」の正体ではないでしょうか。（拍手）
松井知事は「二重行政のムダ解消で年間４０００億円浮く」などと豪語していましたが、何の根拠もありませんでした。協定書案が出されると、各党がこぞって分析して、「純粋に『二重行政』といえるものはせいぜい１億円」「逆に特別区をつくったら、庁舎建設など初期コストが６８０億円かかる。５年間で赤字が１０７１億円になる」と次つぎ批判が突きつけられました。これらにまともな反論はありません。
彼らは旧ＷＴＣビルとりんくうゲートタワービルの破たんが「二重行政」の象徴だといいます。これは国が大阪に押し付け、関西財界があおったゼネコン浪費型巨大事業が破たんしたもので、「二重行政」の結果ではありません。「二つあるからアカン」ではなくて、「一つでもあったらアカン」ムダづかいではないでしょうか。（拍手）
維新政治の暴走と対決、府民の共同すすめた共産党
住民投票に先だってたたかわれるいっせい地方選挙で、日本共産党が躍進してこそ、このデタラメな「大阪都」構想ストップ、維新政治ノーの決定打となります。
この間のたたかいで日本共産党が果たしてきた役割は大きいものがあります。
住吉市民病院廃止反対のたたかい、地下鉄・市バス民営化反対、「赤バスを守れ」の運動、府立高校・幼稚園・保育所つぶし反対、市職員への「思想調査」や橋下市長による「慰安婦は必要だった」発言にたいする撤回・謝罪・辞任を求める運動など、あらゆる分野で維新の暴走に正面から立ち向かってきたのが日本共産党です。（拍手）
大阪市議会でのたたかい、堺市長選挙のたたかいなど「維新政治ノー」の共同の発展に、時には縁の下の力持ちとしての役割に徹しながら、誠実に奮闘してきたのも日本共産党です。
「大阪都」構想の危険な本質をいち早く見抜き、ぶれることなく反対の論陣を張ってきたのも日本共産党大阪府議会議員団・市議会議員団です。この日本共産党が伸びてこそ、「大阪都」構想ストップ、維新政治ノーの確かな力になります。
安倍首相の改憲策動を許さない全国的意義
「大阪都」構想をめぐる昨年末の事態急変の背景には、安倍首相の改憲策動の思惑が横たわっています。
安倍首相は１月１４日、関西テレビの報道番組に出演し、「大阪都」構想に賛意を示しました。そして「維新が憲法改正に積極的に取り組んでいることに敬意を表したい。維新にも賛成してもらえればありがたい」と発言しました。この首相の発言に橋下市長は大喜びして、翌１５日、定例会見で「憲法改正は絶対必要。できることがあれば何でもしたい」とのべて協力する意向を示し、「大阪都」構想の住民投票について「（憲法改正国民投票の）予行練習ですよ」とのべました。住民投票を憲法改悪の国民投票の予行練習にさせるわけにはいきません。（拍手）
橋下・維新の暴走を大阪で食い止めることは、安倍政権の改憲策動を許さないという日本の政治の今後にもかかわる全国的意義を持つたたかいとなっています。
当面するいっせい地方選挙で必ず勝利し、５月実施をたくらむ住民投票で、橋下・維新の野望を打ち破ろうではありませんか。「大阪が変われば、日本が変わる」。この合言葉を高く掲げて、「第３の躍進」を本格的に発展させるため、勇躍して前進しようではありませんか。（長く続く大きな拍手）
( ２０１５年０２月１６日，「赤旗」)
１５
「植村応援隊」発足で集会／名誉毀損裁判支えよう／札幌
札幌市で１４日、元朝日新聞記者の植村隆氏を応援する「植村応援隊」の発足記念集会が開かれました。
植村氏は、１９９１年に書いた日本軍「慰安婦」に関する２本の署名記事がもとで、「捏造（ねつぞう）記者」などと攻撃を受け、非常勤講師を務める北星学園大学（札幌市）も植村氏をやめさせるよう脅迫されています。植村氏は記事を「捏造」と主張する西岡力、桜井よし子両氏らを相手取り、東京、札幌両地裁に名誉毀損（きそん）裁判を起こしました。「応援隊」はこうしたたたかいを応援しようと、１月末に結成されました。
集会では、応援隊の呼びかけ人らが発言。「植村氏個人の問題ではなく、大学の自治、報道の自由にかかわる問題だ。全力で支えたい」（朝日新聞ＯＢ）、「歴史の真実がうやむやにされようとしている。私たち一人ひとりが試されている裁判だ」（「慰安婦」問題にとりくむ女性）などの発言がありました。
植村氏は、捏造バッシングをめぐる経緯を説明。「私は捏造記者ではありません。不当なバッシングには絶対に屈しない。みなさんの支援を受けて頑張りたい」と決意を語り、会場から大きな拍手が送られました。
( ２０１５年０２月１５日，「赤旗」)
「慰安婦」問題解決で一致
【ソウル＝時事】韓国を訪問している自民党の二階俊博総務会長は１３日、ソウルの大統領府で朴槿恵（パク・クネ）大統領と会談しました。朴大統領は懸案の従軍慰安婦問題を取り上げ「問題の進展が関係改善の第一歩だ。元慰安婦が生きているうちに解決してほしい」と求めました。これに対し、二階氏は「被害者が生存しているうちに解決することは極めて当然だ」と述べ、早期解決が必要との認識で一致しました。
二階氏は会談後、記者団に「理屈を並べているだけで問題は解決しない。日本は真摯（しんし）に向き合わなければならない」とも語りました。
会談では、今年が日韓国交正常化５０周年に当たることを踏まえ、二階氏が関係改善を呼び掛ける安倍晋三首相の親書を伝達。朴大統領も歴史問題で「双方が慎重に対応していくことが重要だ」と応じました。首相が８月に発表する戦後７０年談話については「みんなが関心を持っているので慎重であってほしい」と要請しました。
( ２０１５年０２月１５日，「赤旗」)
教科書訂正要求は「注意喚起」
【ワシントン＝時事】佐々江賢一郎駐米大使は１３日の記者会見で、日本政府が従軍慰安婦問題をめぐる米国の高校教科書の記述訂正を求めたことを米国の歴史学者１９人が「国家による圧力だ」と批判したことに関し、「干渉ではなく、事実関係についての注意喚起という性格のものだ」と述べ、批判は当たらないとの立場を示しました。
コネティカット大学のアレクシス・ダデン教授ら１９人は、３月に発行される米歴史協会の会報に声明を寄稿。日本政府の要求について「教科書の記述を変更させようという日本政府の試みに失望を表明する。国家や利益団体が出版社や歴史家に圧力をかけることに反対する」などと記しています。
( ２０１５年０２月１５日，「赤旗」)
高知で植村隆氏講演
高知県の「国民主権を守り憲法を暮らしにいかす懇談会」はこのほど、元朝日新聞記者で「慰安婦」記事を書いた植村隆氏（５６）＝北星学園大学非常勤講師＝を高知市に招き講演会を開きました。「言論を暴力で封じることは許されない」との思いをもった３００人が参加し、会場がいっぱいになりました。
植村氏は、元「慰安婦」として証言した女性を記事にしたことなどを語り、「ねつ造攻撃に負けず、不当なバッシングには断固たたかう」と話しました。
(２０１５年０２月１４日，「赤旗」)
「建国記念の日」／各地で反対集会／北海道江別／秋田
■北海道江別／圧倒的多数は改憲には反対
北海道江別市で１１日、憲法第９条を考える集い江別実行委員会が「２・１１平和集会」を行い、９２人が参加しました。
酪農学園大学元教授で江別子どもと教育を考える会代表の井上昌保氏が「自民党改憲案の狙うもの」と題して講演。「安倍首相は来年の参院選後に改憲の発議、国民投票と言いだしました。しかし、有権者の圧倒的多数は改憲に賛成していません。安倍政権の全ての政策が民主主義社会への全面攻撃であることを見抜き、たたかいましょう」と呼びかけました。
会場から「安倍首相の改憲に対する執念が現実味を帯びてきた」「オール沖縄のたたかいに学んで、オール北海道、オール江別でたたかわなくては」などの発言がありました。
■秋田／教育「改革」の危険性を語る
秋田県内の「建国記念の日」に反対する集会が１１日、秋田、大館、能代の各市で開かれました。
秋田市では、県憲法センターの主催で、女性問題研究家の渡部雅子さんが従軍「慰安婦」問題と女性の人権について講演。同制度を否定する動きに対し「敗戦時の焼却・廃棄処分を免れた文書や次々と新たに見つかる資料、『慰安婦』にされた女性の証言は、日本政府・軍が組織的に関与したことを示している。まさに性奴隷制度だ」と指摘しました。
大館市では、安倍内閣の悪政ストップ大館市民連絡会の主催で、高村竜平秋田大学教育文化学部准教授と、教科書ネットの富樫康雄さんが講演。高村准教授は在日韓国人から見た日本のヘイトスピーチなど人種差別の問題点を解説。富樫さんは安倍政権の教育「改革」の「道徳」の教科化を例に、その危険性を語りました。
能代市では、まもろう日本国憲法の集い（同実行委員会主催）が行われ、広島・長崎の被爆の実相について映像を視聴。今こそ憲法９条を守ろうと、議論しました。
(２０１５年０２月１４日，「赤旗」)
レーダー／ＮＨＫ職員のいま／番組を通じ訴えたい
ＮＨＫの籾井（もみい）勝人会長がまたも露骨な安倍政権追随の姿勢を示しました。５日の記者会見で、戦後７０年にあたって日本軍「慰安婦」を取り上げるかどうかという質問に、「政府のスタンスがまだ見えない。夏にかけて政府のきちっとした方針が分かるのかがポイントだろう」と答えました。
「夏にかけての政府の方針」とは「安倍談話」のことです。それを見て判断するというのですから、ＮＨＫは安倍政権の方針に沿った放送をすると宣言したことになります。ちょうど１年前、就任会見で言い放った「慰安婦はどこの国にもいた」「政府が右と言うことを左とは言えない」は、籾井氏の確固とした信念であることが示されました。
重大なのは、その発言が実際にＮＨＫを侵食しようとしていることです。会長の意向をくみとろうとする上層部の動きがあります。番組制作の現場では、企画提案へのチェックがいっそう厳しくなり、制作局長が編集段階で番組試写をするなど、かつてはなかった監視のシステムが敷かれるようになりました。
そんな中で、少なくない職員らが番組を通して訴えようとしています。
「不当な支配や社会の不正を問うことを仕事としてきた。それが公共放送であることの意味だと思う」
「首相の歴史修正的な見方にどう対置していくかと考えている。あらゆる回路を使って試みたい」
「権力を持っている人物が憲法を変えたいというのは異常な事態だ。戦後７０年ではなく戦前Ｘ年になろうとしている。政府の言うままになるなら大本営発表となってしまう」
「慰安婦」に関する番組は、２００１年のＥＴＶ番組改変事件以来、ＮＨＫでは制作されていません。しかし、「慰安婦」問題をテーマにした企画提案は現在まで途切れることなくさまざまな形で出されています。「絶対に作らなければいけない」「放送したい」。現場の心あるディレクター、プロデューサーたちは決意を込めます。
昨年７月、「クローズアップ現代」が集団的自衛権の問題で菅官房長官にインタビューし、放送直後に官邸からクレームがついたといわれます。年末には、ＮＨＫスペシャル「子どもの未来を救え～貧困の連鎖を断ち切るために」の放送が延期されました。安倍政権の足を引っ張る内容だから、総選挙前に放送するわけにはいかないと判断したと取り沙汰されています。
「一人で声をあげるとつぶされてしまう」「ＳＯＳを発したときに支えてもらえるように市民との信頼関係をどう築いていけるかだと思う」。いずれも現場の痛切な声です。
組合の活動と真剣に向き合うべきだと考える職員もいます。「現場の制作環境をよくするためにできることはある」
まだ市民の目に直接見えることはありませんが、ＮＨＫの中に安倍政権に屈せず政府からの自立を求める職員が確実に存在しています。
（山）
( ２０１５年０２月１４日，「赤旗」)
自民・二階氏に要請／朴大統領「『慰安婦』問題解決を」
【ソウル＝時事】自民党の二階俊博総務会長は１３日、ソウルの大統領府で朴槿恵（パク・クネ）大統領と会談しました。
大統領は懸案の従軍慰安婦問題を取り上げ、「元慰安婦が生きているうちに解決してほしい」と重ねて要請。歴史問題では「慎重に対応していく」とも述べたといいます。二階氏は、首相が８月に発表する戦後７０年談話などを念頭に「日本側も慎重に対応してもらいたいという希望だと理解した」と記者団に説明しました。
( ２０１５年０２月１４日，「赤旗」)
「建国記念の日」反対／各地で集会／青森／北海道／宮城／山形／福島
歴史を直視し未来を切り開こうと、「建国記念の日」に反対し、平和を求める集会が１１日、各地で開かれ、会場ロビーに人があふれるなど熱気につつまれました。
■青森／「慰安婦」問題、謝罪・補償を
青森市では、「紀元節」を復活させた「建国記念の日」を考える集会が開かれました。主催は新日本婦人の会青森県本部と２・１１集会を成功させる各界連絡会の共催です。
「『慰安婦問題』とジェンダー平等ゼミナール」運営委員の五十嵐吉美さんが「戦後７０年…『慰安婦』問題を解決するために」と題して講演。安倍首相らが、「慰安婦」とされたことに「狭義の強制を証拠づける文書がない」と批判している点について「現場での強制性も軍が関与したことも明らかだ」と指摘。日本政府が過ちと責任を認め正式な謝罪をしなければ、被害女性たちの戦争は終わらないと訴えました。
「慰安婦」とされた被害女性の証言が収められたＤＶＤ・「終わらない戦争」が上映されました。
日本政府に対し「村山談話」「河野談話」の継承と「元慰安婦」たちへの心からの謝罪と補償、戦後７０年にふさわしい姿勢を世界に示すことを求めるアピールを採択しました。
■北海道／平和への思い、作品にし発信
北海道室蘭市では、２・１１平和をねがう文化のつどい「第１１回ピースジャンボリー」が開かれました。「戦争する国」への危険が強まる中、日本を「戦争する国にしない」との市民の平和への思いを、絵画や文芸などの作品と舞台から発信し、約５００人の市民が参加しました。
布川一郎同実行委員長が「今日は何の日？」と題して小講演。日本軍「慰安婦」報道に関わった元朝日新聞記者が非常勤講師を務める北星学園大（札幌市）と、非常勤講師への卑劣な脅迫にふれ、「言論・表現の自由と大学の自治が脅かされた時に戦争が起こる」と問題提起しました。
古城一樹さんのテノール独唱やピース合唱団４０人による合唱が観客を魅了しました。
基地問題を扱った沖縄在住のキルト作家大城節子さんの布絵、油彩画、絵手紙、俳句、写真など約２００点が展示されました。
特別展示の「戦後７０年企画」（室蘭子ども環境・平和を創る会）と「八丁平『土壌汚染問題』を考える」（室蘭革新懇）には参加者が絶えませんでした。
■宮城／日本国憲法を変えてはだめ
宮城県では、宗教団体や労働組合、市民団体など５０団体でつくる「靖国神社国家管理反対宮城県連絡会議」が、「信教・思想・報道の自由を守る県民集会」を仙台市で開きました。７５０人以上が集い、会場に入りきれず、ロビーをいっぱいにした市民で熱気にあふれました。
同志社大学大学院教授の浜矩子氏が講演｡浜氏は､安倍政権が目指す｢強い日本｣とは､戦前の大日本帝国であり､日本経済が抱える｢豊かさの中の貧困問題｣をトリクルダウン(滴り落ちる)でごまかし､国民主権を国家主権に逆転しようとしていると批判しました｡
人間を不幸にするのは経済活動ではなく、欲望を抑えるバランス感覚が必要だと指摘。自らの正義を貫くために他人の正義を蹴散らすことが強い国ではなく、人の痛みが分かることが大切だと強調し、「共通するのは日本国憲法の精神だ。一言一句たりとも変えてはならない」と訴えました。
集会後、参加者は一番町商店街などを「建国記念の日反対」「教育への政治介入反対」などと訴え、デモ行進しました。
■山形／平和憲法守る共同広げよう
山形県では２・１１憲法改悪反対山形平和集会実行委員会が山形市で、渡辺治一橋大学名誉教授を招き、講演会を開きました。
渡辺氏は、安倍政権は戦後の歴代自民党政権がやれなかった▽秘密保護法、集団的自衛権行使容認、防衛計画の大綱改定などにみられる憲法改定、軍事大国化の策動▽雇用・労働法制改悪、ＴＰＰ（環太平洋連携協定）などの構造改革―二つの「改革」を進めようとしている危険な内閣だと指摘。改憲を阻止する国民的運動が必要だと強調し、安倍政権打倒のため、九条の会や原発ゼロの運動のような一点共同から面的な共同・運動へ広げて、国民的共同に発展させることを強調しました。
日本共産党の渡辺ゆり子県議が「それぞれの場で平和憲法を守る共同の輪を広げよう」と呼びかけました。
「自由と民主主義、人権と平和憲法を守る地道な取り組みに心を新たにして取り組んでいこう」という内容の宣言を採択しました。
■福島／原発いらないメッセージを
福島市では、「思想・信条の自由を守り軍事大国化に反対する２・１１福島県民集会」が開かれました。福島キリスト者の会、県歴史教育者協議会、県教組、県立高教組、新日本婦人の会県本部、県９条の会など幅広い団体でつくる実行委員会の主催です。
真木実彦実行委員長はあいさつで、「今年は、安倍政権のもとで国民の思想・信条の自由を縛り、軍国主義にまい進する政策を具体化し始めようとする危険な年になっている」と、運動を強化する重要性を述べました。
東京電力福島第１原発事故による被害の原告弁護団長などとして活動している広田次男弁護士が「福島原発事故とのたたかいの現状と課題」と題して講演。「広島、長崎に続いて福島は第３の被ばくと言われる。『原発はいらない』という福島からの新たなメッセージ、効率第一主義でなく人間の命と暮らしを第一義と考える新しいアピールを福島から発信すべきではないか」と訴えました。
(２０１５年０２月１３日，「赤旗」)
いっせい地方選挙政策アピール／日本共産党を伸ばし、住民の声がまっすぐ届く政治の実現を
２０１５年２月１２日／日本共産党
日本共産党が１２日に発表したいっせい地方選挙政策アピール「日本共産党を伸ばし、住民の声がまっすぐ届く政治の実現を」の全文は次のとおりです。
いっせい地方選挙がまぢかにせまりました。それぞれの地方自治体の今後と、住民のくらしがかかった大切な選挙です。この選挙での国民の選択の結果は、国政にも大きな影響をもたらします。
日本の進路が問われる年――安倍政権の暴走に地方から審判を
「暴走ストップ、日本の政治の五つの転換」を訴えます
今度のいっせい地方選挙は、あらゆる分野で民意にそむく暴走をしている安倍政権に対して、地方から国民の審判をくだす重要な機会です。
安倍首相は、昨年の総選挙で「国民が背中を押してくれた」などとして、悪政の加速を「宣言」しています。しかし、自民・公明の与党が３分の２以上の議席を獲得したといっても、それは大政党に有利に民意をゆがめる小選挙区制のもとでの「偽りの多数」です。自民党の得票は、有権者比でみると、比例で１７％、小選挙区で２４％にすぎず、国民は安倍政権の暴走政治を「後押し」などしていません。
それどころか、消費税の１０％への増税、「アベノミクス」、原発の再稼働、沖縄の巨大新基地建設強行、「海外で戦争する国」づくりなど、安倍政権がおし進めようとしているどの問題も、国民の多数が明確に反対しています。
安倍首相は「この道しかない」と言いますが、安倍政権の暴走政治の行き着く先に「希望」や「明るい展望」があるでしょうか。
２度の消費税増税が日本経済を深刻な危機に陥れたのに、その苦い教訓もかえりみず、消費税増税と大不況の悪循環をまた繰り返す……こんな道に未来はありません。しかも、安倍政権は、「社会保障のため」と言って消費税を８兆円も増税しながら、社会保障費の「自然増削減」、制度改悪路線を復活・強化して、介護、年金、医療、生活保護など、手あたりしだいに切り捨てようとしています。「財政がたいへん」と言いながら、２８５兆円もの内部留保がある大企業に、今後２年間で１・６兆円もの大減税をばらまこうとしています。軍事費は、３年連続の増額で史上最大の約５兆円となり、その内容も、ステルス戦闘機やオスプレイ、水陸両用車など自衛隊を「海外で戦争する軍隊」に変質させるものです。
最大の「売り物」の「アベノミクス」も破たんと行きづまりに直面しています。日本銀行の調査でも１年後に景気が「良くなる」は７・３％にすぎず、「悪くなる」は３７・８％にのぼり、「アベノミクス」への幻想は急速にはがれ落ちています。大企業や大金持ちが利益を増やせば、国民にも〝したたり落ちてくる〟――この「アベノミクス」の根本にある考え方が間違っているのです。ＯＥＣＤ（経済協力開発機構）も、昨年１２月に発表した報告書で、格差拡大の経済政策では経済成長は実現しない、トリクルダウン（したたり落ちる）と言う考え方は誤りだとしています。
沖縄の問題でも、安倍首相は翁長（おなが）知事との面会さえ拒否し、県知事選挙と総選挙で示された県民の意思にいっさい耳を傾けないという、民主主義国家として許されない態度をとっています。これは、この政権の異常な反民主主義体質とともに、自民党政権なりの「打開策」さえないことを示しています。原発の再稼働も、「海外で戦争する国」づくりのための法整備も、国民多数の反対を押し切る強行策しか持ち合わせていません。安倍首相自身が「当然賛否は大きく分かれ、激しい抵抗もある」と認めているように、より大きな国民的批判に直面することになるでしょう。
安倍政権にとって、どの問題も暴走の途上です。これを許すかどうかは、国民の世論と運動の広がり、国会内外での国民のたたかいにかかっています。
日本共産党は、安倍政権の暴走政治と真正面から対決するとともに、国民の立場にたった対案を示し、国民のみなさんとの共同を広げます。「安倍政権の暴走ストップ。日本の政治の五つの転換」――①消費税の１０％への増税をやめ、「消費税に頼らない別の道」（「能力に応じた負担」の原則を貫く税制改革と、国民の所得増で税収を増やす経済改革）で社会保障の充実と財政危機の打開をすすめる、②大企業応援から、国民のくらし第一に経済政策の軸足を移し、日本経済をたてなおす、③「海外で戦争する国づくり」を許さず、憲法９条の精神に立った外交戦略で、日本とアジア、世界の平和と安定を築く、④原発再稼働をストップさせ、「原発ゼロ」の日本をつくる、⑤沖縄の米軍新基地建設を中止し、基地のない平和で豊かな沖縄に――を訴えて全力でたたかいます。
日本共産党は、昨年の総選挙で８議席から２１議席に躍進させていただき、参議院に続き、衆議院でも議案提案権を得ました。通常国会冒頭には、衆議院に政党助成法廃止法案を提出しました。参議院に提出したブラック企業規制法案は、厚生労働省に実態調査と違法行為の是正をさせる成果に結びつきました。引き続き、国民の願いにそって現実の政治を一歩でも二歩でも前に動かすため、国会の内外で奮闘します。
戦後７０年、平和と民主主義が花開く政治に
今年は、第２次世界大戦が終結して７０年の節目の年です。日本共産党は、この年を、歴史を過去に逆戻りさせようとする策動を打ち破り、日本国民の平和と民主主義への願いがまっすぐに生きる新しい政治をつくる転機の年にしていくために、全力をあげます。
安倍首相は、「憲法改定は自民党の結党以来の目標」だと公言し、憲法９条を焦点とした改憲への執念をあらわにしています。過去の侵略戦争と植民地支配を肯定・美化する立場に、首相をはじめ閣僚のほとんどが身を置き、「歴史を偽造するのか」との批判と懸念を呼んでいます。
日本共産党は、「海外で戦争する国づくりを許すな」の一点で、広大な国民的共同のたたかいを発展させ、安倍政権の野望を打ち砕くために奮闘します。歴史を偽造する極右勢力による政治支配を一日も早く終わらせ、この節目の年が、日本とアジアの国々との「和解と友好」に向かう年になるように、力をつくします。
そのために、日本の政治がとるべき五つの基本姿勢を提唱します。
①「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱりと反論すること。
②日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すこと。
③国政の場にある政治家が靖国神社を参拝することは、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚による靖国参拝は行わないことを、日本の政治のルールとして確立すること。
④民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつこと。
⑤「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、学校の教科書に誠実かつ、真剣に反映させる努力をつくすこと。
安倍政権の暴走政治にストップをかける草の根からの力を強めるために、日本共産党を大きく伸ばしてください。
地方の衰退を加速する「アベノミクス」から、真の地方再生の道へ転換を
いま地方は、住民のくらしの困難、福祉・医療の危機、地域経済の衰退など、深刻な問題に直面しています。地方の衰退は、長年の自民党政治が招いたものです。
消費税増税と円安誘導による物価高が、くらしと地域経済を直撃しています。福祉・介護・医療への国庫負担の削減は、人手不足や「介護難民」、「医療崩壊」を深刻化させ、保険料などの重い負担を強いています。輸入自由化政策が地方の主要産業である農林水産業や地場産業に打撃を与えています。大規模小売店舗法（大店法）廃止が身近な商店街をつぶすなど、大企業優先の政治が地域経済を破壊してきました。「平成の大合併」の押しつけによって、自治体が住民から遠くなり、住民自治と自治体の機能を大きく後退させました。
安倍政権は、これらの失政への反省もなく、「地方創生」「アベノミクスの地方への波及」などを旗印に選挙をたたかおうとしています。しかし、消費税再増税、社会保障切り捨て、雇用破壊、ＴＰＰ（環太平洋連携協定）推進の「アベノミクス」は、地方の衰退をさらに加速させるだけです。
日本共産党はこれときっぱり対決し、真の地方再生の道への転換を掲げ、住民のみなさんと力を合わせて全力でがんばります。
第一の対決点――自治体が、国の悪政を住民のくらしにそのまま持ち込むのか、くらし・福祉・子育てを守る「防波堤」の役割をはたすのか
安倍政権は、社会保障予算の「自然増削減」路線を復活させ、あらゆる分野での制度改悪・削減に乗り出そうとしています。
「医療改革」と称して、負担増と切り捨てを推進しています。国保の運営主体を市町村から都道府県に移行させる法案を国会で強行しようとしています。その狙いは、市町村が行っている国保への公費支援をやめさせようというもので、国保料（税）のさらなる引き上げにつながります。一方で、高すぎる国保料（税）の引き下げを求める切実な声と運動の広がりのもとで、値下げに踏み切る自治体も生まれており、自治体の姿勢が問われています。後期高齢者保険料の大幅な引き上げ、病床削減・患者追い出しの強化も計画されています。
介護報酬を過去最大規模で削減しようとしています。介護現場の低賃金と慢性的な人手不足を加速させ、３割が赤字経営になっている特養ホームで閉鎖や新増設の中止など、「介護難民」を激増させるものです。「要支援１、２」の介護給付の打ち切り、特養ホーム入所の「要介護３以上」への限定などの改悪も次々と強行されようとしています。
生活保護の生活扶助・住宅扶助・冬季加算の削減など福祉の切り捨ても強行されようとしています。
安倍政権は「子育て支援」「女性の活躍」を言いながら、国・自治体の公的責任を後退させる「子ども・子育て支援新制度」の新年度実施を強行しました。公的保育制度を崩し、基準がさまざまな保育サービスの導入、営利企業参入の拡大、公立保育所の廃止や強引な幼稚園との統合など、保護者の願いに逆行する保育制度の改悪です。父母や保育関係者の批判と運動のなかで、市町村の保育実施義務は残さざるを得なくなりましたが、自治体が待機児童の解消、保育条件の確保に公的責任を果たしていくかどうかが、問われています。
くらしが大変になっているときだからこそ、自治体が、安倍政権の社会保障大削減、くらし圧迫の悪政を、そのまま持ち込み、住民に負担を強いるのか、それとも、住民を守る「防波堤」としての、本来の役割をはたすのかが、鋭く問われています。
日本共産党は、住民のくらし、福祉、子育てを守り応援する仕事に真正面からとりくむ地方自治体にするために全力をあげます。
――高すぎる国保料（税）の引き下げをすすめます。そのために、市町村の一般会計繰り入れを拡充し、都道府県からの独自の財政援助も強めます。国保料（税）の引き上げをもたらす、国保の都道府県化に反対します。保険証取り上げや差し押さえをやめさせます。
――公立病院の統廃合や民営化を中止します。強引な病床削減や患者追い出しをやめさせて、医師・看護師を確保し、地域医療を再生させます。
――介護保険料・利用料の減免にとりくみます。特養ホームなどの介護・福祉の基盤整備をすすめます。介護報酬、障害福祉報酬を引き上げ、介護・福祉労働者の労働条件の抜本的改善をすすめます。
――障害児・者、難病患者の負担を軽減し、生活と権利を守ります。
――生活保護の改悪を中止し、生活困窮者のサポート体制強化をはかります。
――就学援助の充実、ひとり親家庭への支援の強化、「子どもの貧困」の打開をすすめます。
――子どもの医療費無料制度の対象年齢拡大、窓口無料化などをすすめます。地域の子育てサポート体制の整備など、子育て支援を強化します。
――認可保育所の増設を根幹にすえ、待機児童を解消します。すべての保育施設で、保育の質の維持・向上をすすめます。保育料の値上げに反対し、負担軽減をはかります。学童保育を拡充させます。保育士・学童指導員の待遇改善をはかります。
――少人数学級、学校給食無料化など教育条件の整備をすすめます。保護者、住民合意のない学校統廃合に反対します。自治体独自の給付制奨学金の創設・拡充にとりくみます。
第二の対決点――大企業「呼び込み」・大型開発依存の破たんした経済政策か、地域の力を活かす産業振興か
破たんした「呼び込み」型開発からの転換を……外からの大企業「呼び込み」にたよる地域振興策は、全国各地で失敗を繰り返してきました。誘致した大企業が雇用にも地域経済にも責任をとらず撤退する事態も相次いでいます。最大の問題は、「呼び込み」のための大型開発・産業基盤（インフラ）整備や補助金の大盤振る舞いが地方財政を圧迫し、くらしや福祉、地域にある中小企業や産業のための施策が犠牲にされ、それが地域経済の疲弊に拍車をかけたことです。地域経済を支える住民の消費、地域の産業、企業の活動が、「呼び込み」のために犠牲にされるという本末転倒の事態です。
三大都市圏の環状道路建設、国際コンテナ戦略港湾、ＪＲによるリニア中央新幹線など、不要不急の大型開発が「国際競争力の強化」の名のもとに依然として推進されています。安倍政権の大型開発推進は、自治体が必要な事業をすすめる際の入札不調や人手不足などの深刻な問題も招いています。
安倍政権は地方に「特区」（規制緩和）を広げることを地域振興の柱にしようとしていますが、これも破たんずみの大企業「呼び込み」策です。「解雇特区」など働く人間の「使い捨て」を容易にすることで大企業を呼び込もうという規制緩和は、不安定雇用と低賃金を広げ、地域経済の地盤沈下を加速させます。「カジノ解禁」というとばく場の開設まで「呼び込み」の対象にしていますが、ギャンブル依存症を住民に広げ、家庭も地域社会も壊し、疲弊させる、こんなことが地域振興の名に値するものでないことは明瞭です。
地域にある力を応援する振興策に……外からの「呼び込み」と大型開発にたよる破たんした振興策から、地域にある力を活（い）かし、伸ばす産業振興策、経済政策への転換こそ求められています。
地域に根を張ってがんばっている中小企業、産業を応援し、地元の資源を活かした魅力ある事業発展を支援してこそ、ほんとうの地域再生をはかることができます。再生可能エネルギーの拠点を地域につくるなど、地産地消をすすめることも、地元を潤し、雇用の拡大など地域経済の好循環をつくりだします。
地域にある力を元気にする振興策をすすめてこそ、若者をはじめとした定住の拡大、人口回復にもつながり、地方経済と地域社会の持続可能な成長に道を開くことができます。
安定した雇用、生活できる雇用を地域につくります……大企業の身勝手な撤退を許さず、地域経済と雇用への社会的責任を果たさせるために、地方自治体としても最大限の努力を行うようにします。地域の安定した雇用、まともに生活できる雇用を創出するために、労働者派遣法の改悪に反対し、中小企業への抜本的な支援とあわせた最低賃金の引き上げをはかります。自治体としても、非正規雇用から正社員への転換を支援する、労働相談の窓口を広げるなどの努力を強めます。
農林水産業を地域経済の柱に位置づけます……農業委員会・農協の権限を取り上げ、地域を支えてきた農業・家族経営の力を衰退させれば、地域経済はさらに弱体化してしまいます。ＴＰＰへの参加が強行されれば、農林水産業をはじめ地域経済が致命的な打撃を受けることは必至です。日本共産党は、〝食と農〟を守り、地域経済の重要な柱として農林水産業を振興するために力をつくします。
――不要不急の大型開発から生活密着・地域循環型に、新規建設から防災・老朽化に備えた維持・更新に、公共事業を転換します。
――中小企業振興条例を制定し、「選択と集中」から、すべての中小企業・地場産業・商店街を視野に入れた振興・支援策に転換します。住宅リフォーム助成や小規模工事登録制度の創設・改善をすすめます。
――公契約条例を制定し、生活できる人件費の水準確保と人手不足の解消につなげます。
――非正規から正規雇用への転換を促進し、安定した雇用を守り、増やします。「官製ワーキングプア」をなくします。ブラック企業規制条例を制定するなど、ブラック企業・ブラックバイトをなくすとりくみをすすめます。
――若者の定住支援のために、自治体が仕事と住まいの確保やあっせん紹介などにとりくむようにします。
――農林水産業を地域経済の柱に位置づけ、食の安全、環境、関連中小企業などを地域社会の基盤として大切にする政治に転換します。農協を解体しようとする「農協改革」をやめさせます。
――食料主権、経済主権を脅かし、地域経済に大打撃となるＴＰＰ参加に反対します。
――原発の再稼働を許さず、廃炉に踏み切ります。原発立地補助金を根本的に見直し、原発にたよらない地域振興に転換します。さまざまな汚染や廃棄物による環境への悪影響や負担を減らし、循環型の社会をめざします。
――地元の資源を活かした特産品や魅力ある事業へのとりくみを支援します。地域の環境保全に配慮しながら再生可能エネルギーの開発と普及を推進し、雇用の確保や地域経済の好循環につなげます。
第三の対決点――災害から住民の命と財産を守る……被災者支援・復興、防災・減災を最優先に
東日本大震災から４年、阪神・淡路大震災から２０年がたちました。この間の教訓にてらしても、すべての被災者の生活と生業（なりわい）を再建するまで必要な公的支援を行うことを、復興の基本原則にすえることが求められています。
政府は東日本大震災の「集中復興期間」を２０１５年度までとしていますが、期限を切らず、必要な財源を確保して住宅再建や被災者支援に地方の判断で使えるようにすべきです。
福島では、原発事故の甚大な被害が県民のいのちと健康、くらしを脅かし続けているにもかかわらず、安倍政権は原発再稼働に暴走する一方で、原発被害の損害賠償や除染を次々に打ち切ろうとしています。原発推進のために、福島原発事故を「終わった」ものとし、切り捨てる政治は許せません。
阪神・淡路大震災の被災地でも、借り上げ復興住宅からの追い出し中止、災害援護資金や事業者向けの復旧資金の返済免除などが切実な願いとなっています。こうした声にこたえるのが、政治の責任です。
「国土強靱（きょうじん）化」に名を借りた不要不急の大型公共事業でなく、大震災や、この間相次いだ豪雨・豪雪被害などからの復興事業を最優先とすべきです。また、全国で大地震や津波、噴火、異常気象にそなえる防災・減災対策を促進し、災害に強いまちづくりをすすめること、災害時に住民の命を守る地域の医療・福祉のネットワークを強化し、消防・自治体の人員確保を含め体制強化をはかることが急務です。
――被災者生活再建支援法を抜本的に拡充し、支援金を当面５００万円に増額するとともに対象を半壊などにひろげさせます。災害救助法にもとづく応急救助を、被災者の生活と生業の再建に結びつくよう充実させます。
――安倍政権の「福島切り捨て」を許さず、完全な賠償と徹底した除染を国と東電の責任で行わせます。
――災害の危険を無視した開発行為の規制など、経済効率優先でなく防災を重視したまちづくりをすすめます。学校や病院・社会福祉施設、大規模集客施設などだけでなく、すべての住宅の耐震診断・耐震補強を促進します。
――地域防災計画を見直し、高齢者や障害者、住民の安全な避難など地域の防災対策を強化します。
――地震・津波や火山、気象の観測・監視体制を強化します。地方自治体の避難情報の伝達を的確に行えるようにするため、気象・火山現象などの相談機能の確立・強化をすすめます。
第四の対決点――地方の衰退を加速する「集約化」か、住民自治と自治体機能の再生か
安倍政権は「地方創生」の名で、自治体再編をねらった地方切り捨ての「集約化」をすすめようとしています。安倍政権が掲げる「集約化」は、公共施設や行政サービスを「拠点都市」に統廃合し、身近な住民サービスの低下と周辺部の切り捨てをすすめ、地方の衰退を加速させるものです。その先には、新たな自治体再編や道州制がねらわれています。
いま求められているのは、「平成の大合併」で自治体が広大になりすぎ、住民自治の機能が大きく後退している状況を転換し、どこに住んでいても教育や医療をはじめ必要な行政サービスが受けられるよう、自治機能の再生をはかることです。
――住民サービスの「集約化」の押しつけに反対し、現在の市町村が住民に身近なサービスを充実させ、地域の再生がはかれるようにします。
――新たな市町村再編や道州制の導入に反対します。
――合併した自治体や政令指定都市などでは、合併前の旧市町村や行政区などを、自治的な機能をもって地域の福祉と振興を検討できる、住民自治の拠点にしていきます。
――地方の政策・方針決定、意思決定の場に女性の平等な参加を保障するとともに、地方自治体、議会における女性差別やハラスメントをなくします。
――住民の声を議会に反映する道を閉ざす議員定数削減に反対します。多様な意見と民意が反映できる議員定数・選挙区制度にし、都道府県議会などでの定数１、２などの選挙区は合区するなど改善をはかります。
――政務活動費の領収書の住民への開示方法の改善など、透明性の向上・徹底をはかります。住民感覚からかけ離れた高額な議員報酬や政務活動費は適正化します。税金を使った観光旅行となっている海外視察は廃止します。
――地方議会が本来の住民の代表機関としての役割をはたせるよう、少数会派・議員の質問や発言の権利の尊重、審議時間の十分な確保、審議内容や政務活動費などの住民への徹底した公開などをすすめます。
住民のみなさんと力を合わせて――日本共産党の地方議員を増やしてください
いま、安倍政権の暴走と真正面から対決する野党は、日本共産党だけになっています。民主党は、消費税増税、原発再稼働、沖縄新基地建設など、民主党政権時代に手をつけたものばかりで対決する足場が持てません。維新の党は、「憲法改正は絶対必要だ。もう安倍総理しかできない」（橋下徹大阪市長）と公言するなど、安倍政権の暴走をあおりたてる「突撃部隊」になっています。
地方政治の場では、４７都道府県のうち３２都府県で、日本共産党以外の政党が、首長の提案に何でも賛成する「オール与党」の自治体です。国政では「野党」を名のる政党も、文字通りの「与党」となっており、自共対決はいっそう鮮明になっています。
日本共産党地方議員のかけがえのない値打ち
日本共産党の地方議員は、都道府県議会と市区町村議会に約２７００人、女性議員は約１０００人で第１党です。この草の根のネットワークの力を生かし、全国津々浦々で、政治を変え、住民の苦難を軽減する、かけがえのない役割をはたしています。
①建設的な提案で政治を動かし住民要求を実現……日本共産党の地方議員（団）は、住民の運動と共同して、自治体が独自に住民のくらしや福祉、地域経済を守る仕事を、全国にひろげてきました。
子どもの医療費助成は、２００１年にすべての市区町村が、都道府県の補助を受けて実施する制度となり、中学校卒業まで医療費助成を行っている自治体は、４年前の約２割から、通院で５割、入院で６割にひろがりました。
住宅リフォーム助成を行っている自治体も、４年前の約１７０自治体から、現在約６３０自治体へと増えています。自治体が発注する工事などで労働者の適正な賃金水準を確保する公契約条例も、全国１８自治体で制定されました。
相次いだ災害では、真っ先に救援にかけつけ、ボランティアのみなさんと力を合わせて活動し、国会とも連携して、緊急対策と避難所、仮設住宅の改善などに、日本共産党議員が奔走しています。
日常的に旺盛な生活相談活動や住民アンケートを行い、寄せられた願いを行政と議会に届ける、住民の代表、利益の守り手としての議員本来の活動に力をつくしています。
②住民の立場で行政と議会をチェックする監視役……日本共産党は、不要不急の大型開発にきっぱり反対を貫き、「ムダづかいをやめて、くらし・福祉を優先せよ」と住民とともに運動をひろげています。企業・団体献金も政党助成金も受け取らず、あらゆる利権に無縁な党だからこそ、住民の立場から行政の不正や不公正をチェックできます。
政務活動費の問題でも、日本共産党は当初から領収書の全面公開によるチェックと是正を求めてきました。自ら率先して全面公開にとりくみ、改正提案を続けてきました。そしてついに昨年１２月、すべての都道府県で全面公開が実現しました。
③安倍政権の暴走に草の根からストップかける力……日本共産党の地方議員は、安倍政権の暴走に対抗して、平和・民主主義、くらしを守るたたかいを全国にひろげる役割をはたしています。
地方議会で、日本共産党議員が住民の運動と共同して合意をひろげ、集団的自衛権の行使容認反対の意見書が２３８議会で、秘密保護法の廃止・撤回を求める意見書が１７０議会で可決されています。オスプレイ配備反対の意見書は２１４議会、消費税１０％への引き上げ反対の意見書も９１議会であがっています。
この間、改憲団体「日本会議地方議員連盟」に所属する地方議員が「憲法改正の早期実現を求める意見書」などを議会に持ち込んだり、侵略戦争を美化し、改憲を肯定する教科書を学校で使わせようとしたりするなどの策動を強めています。日本共産党はこれを許さないたたかいの先頭に立っています。山形県議会では、「慰安婦」問題で河野談話の見直しを求める意見書が提出される動きがありましたが、共産党県議が県民の運動と共同し、意見書案を撤回に追い込みました。日本共産党の地方議員が増えれば、地域・草の根から安倍政権の暴走にストップをかける力を強めることができます。
④日本共産党議員がいるといないとでは大違い……議会に日本共産党の議員がいるといないとでは、住民要求の実現でも、ムダのチェックでも、天と地の差が生まれます。
ある県議会では、４年前に党議席がなくなってから、すべての議案が全会一致の「翼賛議会」となり、政務活動費による親族雇用、会食への支出などのお手盛りが復活しています。１２年前から党議席がない県議会では、切実な住民要求から出された請願署名が、紹介議員がいないために正式な議題として扱われない状況が続いています。
共産党議員が誕生したことで、出された議案の問題点がしっかり質疑されるようになり、住民の声や要望が初めて議会で審議されるようになった例は少なくありません｡保守系の議員からも､｢共産党がいて、初めて議会が議会らしくなる｣との声が寄せられています｡
どうか、日本共産党の地方議員を全国各地で一人でも多く、議会に送り出してください。首長選挙では、住民のくらしと命、平和と民主主義を守る候補者にご支持をお寄せください。みなさんのご支援を、心からお願いします。
( ２０１５年０２月１３日，「赤旗」)
二階氏ときょう会談
【ソウル＝時事】韓国大統領府は１２日、朴槿恵大統領が１３日午後、自民党の二階俊博総務会長と会談することを明らかにしました。二階氏は会談で、両国の関係改善を呼び掛ける安倍晋三首相の親書を渡す見込み。
日韓は今年、国交正常化５０周年を迎えたが、従軍慰安婦問題などをめぐり対立が続いています。会談で、関係改善への糸口がつかめるか注目されます。
( ２０１５年０２月１３日，「赤旗」)
「建国記念の日」／アジアで平和の連帯を／各地で不承認のつどい／大阪／京都／神戸／和歌山／奈良
近畿各地で１１日、「建国記念の日」不承認・反対のつどいなどが開かれ、歴史をふりかえりつつ、安倍政権による「戦争する国」づくりを許さない決意を新たにしました。
▼大阪／「道徳」教育強化に警鐘
大阪市では、「建国記念の日」反対大阪連絡協議会が「府民のつどい」を開き、３００人以上が参加しました。平和憲法の歴史的意義を理解し、アジア諸地域の人たちと連帯して、平和と民主主義の発展のため何ができるか発信していきたいとの集会宣言を採択しました。
大阪民衆史研究会の島田耕さんが開会あいさつし、都留文科大学文学部の伊香俊哉教授が「歴史に学んで日中関係を考える」と題して講演しました。
３人が意見発表。出版労連大阪地協の代表は、教科書制度改悪と「道徳」の強化について報告し、文科省の「審査要綱」の改定で「教科書は限りなく『国定教科書』になる危険性が高まった」と警鐘を鳴らしました。大阪歴史科学協議会の代表は、侵略・加害の表現をなくしたピースおおさかの展示リニューアルの問題点を報告。大阪市役所労組の代表は大阪市を廃止し、五つに分割する「大阪都」構想を批判しました。
落語家の桂春蝶さんが口演しました。
▼京都／〝新たな戦前〟許さない
京都市では、「『建国記念の日』不承認 京都府民のつどい」（同実行委員会主催）が行われ、１６０人が参加しました。
主催者あいさつした京都教職員組合の河口隆洋委員長は、「イスラム国」人質事件を口実に、憲法を変えて自衛隊の海外出動への道を開こうとする安倍政権の暴走を許さず、「戦後７０年を新たな戦前としないことを確認し合う場にしましょう｣と呼びかけました｡
「子どもと教科書京都ネット２１」の大八木賢治事務局長が基調報告を行い、日本の侵略戦争を美化するような教科書の採択を狙う動きを許さない運動を強めていきたいと語りました。
東京外国語大学大学院の中野敏男教授が講演しました。
中野氏は、日本の「戦後」の核心部には植民地支配と侵略戦争の責任の未清算と責任者たちの権力の継続があり、戦後７０年の今日、その現在に至るまでの権力構造を問い直し、戦争責任の清算をする必要があると訴えました。
▼神戸／改憲めぐる情勢を交流
神戸市では、２・１１「建国記念の日」不承認兵庫県民集会が開かれ、１２０人が参加しました。
石川康宏神戸女学院大学教授が講演。国民主権など日本国憲法制定の経過と戦後政治、現憲法を否定する安倍流改憲論とともに、天皇の元首化や、戦争放棄の条項を削除し国防軍創設など自民党改憲案を示し、憲法をめぐる情勢を解明しました。
石川氏は、日本国憲法の到達点と先駆性を強調。総選挙結果や若い世代の自発的運動など新しい政治を模索する動きと変化に見合った新しい働きかけを呼びかけました。
実践報告では、毎月のＪＲ神戸駅前での朝宣伝や憲法カフェなど、明日の自由を守る若手弁護士の会の活動。住民投票を視野に入れた全行政区でのセンターづくりと著名人８人の憲法アピールへの賛同をひろげる憲法共同センターのとりくみ。「地域の若者を戦場に送らない」という合意と意見書を求める自治体キャラバンの兵庫県高等学校教職員組合が報告しました。
▼和歌山／日本軍の残虐行為告発
和歌山市では、「平和・人権・民主主義２・１１和歌山市集会」が開かれました。
講演した京都市在住の俊正和寛氏（７８）は、工兵隊として中国に送られた父の従軍日記が三十数年前に見つかったことをきっかけに、自分の目で戦跡を訪ね、侵略戦争の実態をつかみたいと思うようになったと自己紹介。日記に、あらゆるものを略奪する侵略軍の蛮行や「日本ピー、朝鮮ピー、支那ピーという言葉が何度も出てくる」と慰安所・慰安婦について記述されていることを示すとともに、広徳で鄭書琴さん（侵略当時１２歳）らに聞いた「銃剣で赤ちゃんを刺し、剣は背中を貫いた。串刺しになった赤ちゃんは、持ち上げられてもてあそばれた」など日本軍の残虐行為を告発しました。
俊正氏は、「日本が正しい歴史認識を持ってほしい」という中国で交流した人々の声を紹介し、過去に学ぶ大切さを訴えました。
▼奈良／「永遠の０」の手法分析
奈良市内では１０日、第４９回「建国記念の日」に反対する奈良県民集会が開かれ、６２人が参加しました。
日本近代文学研究者の秦重雄氏が「百田尚樹作『永遠の０』を検証する」と題して講演をおこないました。
秦氏は、読者を引き付けた「決めゼリフ」や登場人物たちの行動が、戦中戦後の日本で可能だったかを当時の軍隊や価値観を元に検証しました。秦氏は「成立条件が存在しない、小説として最も大切なリアリティーが消えている」と分析しました。
秦氏は、「『美しい国を守るためなら、死んでも惜しくない』『みんな国のために懸命にたたかったのね』という登場人物のセリフに、作者の直接的なメッセージが込められている」と話しました。
参加者からは「百田氏のような作家がどうして出てくるのか」など質問が出され、秦氏が答えました。
最後に集会決議を全会一致で採択しました。
(２０１５年０２月１２日，「赤旗」)
戦争許さない／「建国記念の日」不承認パレード／埼玉県民集会
「『建国記念の日』不承認、軍国主義思想の復活に反対し、思想と信教の自由を守る２・１１埼玉県民集会」が１１日、さいたま市で開かれ、会場いっぱいの２３０人が再び日本を「戦争をする国」にさせない決意を固め合いました。集会後、参加者は浦和駅までパレードしました。
県歴史教育者協議会の関原正裕氏は基調報告で、安倍政権が「戦争する国」づくりを進めるなかで、埼玉県議会でも日本軍「慰安婦」問題で新たな政府談話を出すことなどを求める意見書の可決が強行され、教育では「教科書採択に対する理不尽な政治的介入が続けられている」と指摘。今年夏の中学校教科書採択にむけた運動を強めることを呼びかけました。
戦没画学生慰霊美術館「無言館」館主の窪島誠一郎氏が記念講演し、無言館設立にあたり画学生たちの絵を集めたときに「『もっと絵を描きたい』という声が聞こえた」など思いを話しました。
学業の半ばで戦地に送られた学生たちの絵について「まだまだ発展途上で未熟な絵だった」と述べ、「彼らの絵は『生きて帰って絵描きになりたい』という思いを奪ったあの時代の不条理や二度と過ちを繰り返してはならないという反戦・平和のメッセージだけでなく、私たちがどう生きたか、どう生きていくかを問うている」と語りました。
(２０１５年０２月１２日，「赤旗」)
米教科書への訂正要求／日本総領事館認める
【ワシントン＝洞口昇幸】米歴史教科書の日本軍「慰安婦」などの記述についてハワイ州ホノルルの日本総領事館は１０日、政府の方針を受けて昨年１２月、教科書を執筆した歴史学者に直接、記述の訂正を求めたことを本紙の取材で認めました。
米大手教育出版社「マグロウヒル」（本社・ニューヨーク）の教科書「伝統と遭遇」の共著者、ハワイ大学准教授のハーバート・ジーグラー氏に対し、日本総領事館は「昨年１２月に申し入れた」と述べ、教科書の「事実誤認や日本政府の立場と相いれない部分」を指摘し、訂正を求めたと答えました。
日本総領事館は詳細について「差し控える」としましたが、「東京（政府）の方針を受けてしたこと」と説明しました。
米紙ワシントン・ポスト(電子版)９日付によると、日本総領事館は昨年末、ジーグラー氏にたいし、Ｅメールを通じて、教科書の記述について協議する面会を求めてきました。
同氏は面会を断りましたが､その後､日本総領事館の職員２人が大学の研究室を訪れ、開いていたドアから入って来て座り､｢いかに私が間違っているかを話し始めた｣といいます｡
総領事館の対応について、同氏は「言論と学問の自由の侵害だ」と批判しています。
安倍首相は１月２９日の衆院予算委員会で、米歴史教科書の「慰安婦」などの記述について、「主張すべき点はしっかりと主張していくべきだ」と答弁。
今後も教科書関係者に働きかけるのかとの本紙の質問に日本総領事館は、「東京の指示に従う｣と述べました｡
( ２０１５年０２月１２日，「赤旗」)
〝歴史問題、慎重対応を〟／米副長官、安倍政権に注文
【ソウル＝時事】ブリンケン米国務副長官は１０日、訪問先の韓国で聯合ニュースのインタビューに応じ、日本政府が慰安婦問題に関する米国の教科書の記述の訂正を求めていることに関連し「歴史的な問題では、治癒を促し、人々の敏感な受け止め方を考慮しながらアプローチすべきだ」と安倍政権の慎重な対応を求めました。
聯合によると、ブリンケン副長官は、昨年４月の訪韓時に、オバマ大統領が慰安婦問題を「甚だしい人権侵害」と表現したことにも言及。１２日からの訪日時に、日韓関係改善のための努力を促すと強調しました。
( ２０１５年０２月１２日，「赤旗」)
「植民地支配と侵略」〝削除〟狙う／「７０年新談話」企てる首相に内外から反発
安倍晋三首相が企てる「戦後７０年新談話」。戦後５０年の１９９５年に、旧自社さ政権のもとで出された「村山談話」の核心である「植民地支配と侵略」「痛切な反省」などの文言を「新談話」に盛り込むことに否定的な安倍首相の態度に対し、内外で反発が強まっています。
（中祖寅一）
安倍首相は｢新談話｣について、年初から「村山談話」や日本軍「慰安婦」問題での「河野談話」（１９９３年）について「全体として引き継ぐ」といいつつ、「植民地支配と侵略」など両談話の核心部分を盛り込むかについては、決して触れようとしませんでした。
１月２５日のＮＨＫインタビューでは、新談話で「『植民地支配と侵略』などのキーワードを同じように使うことではないのか」と番組キャスターから問われ、首相は「そういうことではございません」と明言したのです。
米国が懸念
この首相の姿勢について、米政権と接触のある政界関係者は、「米国は安倍政権の『７０年談話』に対して相当の危機感がある。特に『植民地支配と侵略』をはずすことに強い懸念を示していた」といいます。これを裏付けるように、ブリンケン米国務副長官は１０日、韓国訪問の中で歴史問題での慎重な対応を日本に求めました。
米議会調査局がまとめた報告書「日米関係 議会にとっての課題」（１月１３日付）も、この間の安倍首相の「村山談話」見直し示唆、「河野談話」検証発言をあげて、「帝国日本による侵略とアジア人の犠牲という議論を拒否するような、日本の歴史に対する修正主義の見解を抱いていることを示唆している」と懸念を示しています。
また米国の歴史家１９人が、日本政府が国内のみならず米国の歴史教科書にまで日本軍「慰安婦」に関する記述の削除を求めるなど「検閲」のような態度を取っていることに対し抗議声明を準備しています。
与党内でも
与党内でも矛盾が広がっています。菅義偉官房長官が「７０年新談話」について、有識者会合の意見を聞くものの､与党に対しては｢理解を得ていく｣とだけのべ(１月２９日）、与党との事前協議に触れなかったことに公明党が反発。与党協議を求める声が相次いでいます。
これに対し、萩生田光一・自民党総裁特別補佐がＢＳ番組で｢与党も野党も､事前検閲のような話が出ているが、行き過ぎだ」（９日）と発言。翌１０日に公明党の山口那津男代表が記者会見で、「常識的に政府・与党でコンセンサスが当然つくられるだろう」とのべ、与党内のあつれきが表面化しています。自民党の谷垣禎一幹事長も、萩生田発言について事前検閲というが「用語法として適切かどうか議論があるかもしれない」（１０日）と述べました。
元自民党宮城県連青年部長で同県の白石市長を務めた川井貞一さんは、いま「九条を守る首長の会」会長として、安倍首相による改憲の動きに警鐘を鳴らし、歴史修正に対しても厳しく批判します。
「敗戦でめちゃくちゃになったところから日本は平和国家としての歩みを誓った。二度と戦争をしないというのが保守の哲学の根本だ。安倍首相と今の自民党はその反省を投げ出す。大変けしからん」
「戦後７０年新談話」／国政の根本「専権」は乱暴
「首相が専権事項としてやったらいい」
安倍晋三首相が企てる「戦後７０年新談話」について、自民党の萩生田光一総裁特別補佐はこう放言します。
独断で首相が談話の内容を決めるという動きに対し、公明党は山口那津男代表はじめ、井上義久幹事長、漆原良夫中央幹事会長らが次々と批判を表明するという異例の反応です。
中国が安倍首相発言を「侵略の歴史を否定するのか」とけん制していることが背景にあるとされます。
自民党の二階俊博総務会長も３日の記者会見で「各党と調整を図るのが当然だ｣と述べています｡
４日には自民党の谷垣禎一幹事長と公明党の井上義久幹事長の会談が急きょ開かれました。「７０年新談話」で「与党のコンセンサス（合意）」を求める井上氏に対し、谷垣氏は「首相官邸と相談する」と述べました。
憲法研究者の小沢隆一さんはこう述べます。
「歴史認識をめぐる首相談話は、国を代表して日本が行ったアジアへの侵略戦争についての認識と反省を明らかにするもので、外交関係の根本になるものです。こうした国政の根本にかかわる重要問題について決める場合に、憲法が定める議院内閣制の下で国会に対して『連帯して責任を負う』内閣として、国会の意見をよく聞くことは当然のことです」
さらに小沢氏は、戦後の国際秩序が日本やドイツの侵略を断罪したことから出発した経過に触れ、「戦争に対し日本政府がどのような態度を取るかは、国際・国内政治の両面にわたる日本の足場の根本にかかわる重要問題です」と語ります。
安倍首相の意を受けて側近が国政の根本問題で「首相の専権」を振りかざすのはあまりに乱暴で独断的です。
「九条を守る首長の会」の川井貞一さん（宮城県元白石市長）は言います。
「戦前の日本は遅れて帝国主義に突っ込み、軍事力にモノを言わせようとして結局破滅し、帝国主義ではダメだという教訓を得たはずだ。そのことへの真剣なおわびをするべきだ」
( ２０１５年０２月１２日，「赤旗」)
おはようニュース問答／世論の力で百田氏のＮＨＫ経営委員再任阻んだ
みどり ＮＨＫ経営委員の百田尚樹氏が、２月末に委員を退任するね。
のぼる 経営委員の任期は２年でしょ。作家の百田氏は一昨年１１月に就任したばかりでは？
みどり 百田氏は前任者の残り任期を引き継ぐ形で就任したの。安倍首相が意図的にＮＨＫに送り込んだ人物だから再任は有力視されていた。それを早々と退場させたわけで、意義は大きいわ。
のぼる 「意図的」ってどういうこと。
〝お友達〟を任命
みどり 経営委員は、国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する仕組みなの。ＮＨＫを思い通りに変質させたい安倍首相は、会長の任免権を持つ委員に、百田氏や長谷川三千子氏（埼玉大名誉教授）ら〝お友達〟を何人か任命した。
のぼる 「政府が右というものを左というわけにはいかない」と暴言を吐いた籾井（もみい）勝人会長が誕生したのも、必然ということだね。
みどり 暴言は籾井会長の専売特許でなく、百田氏も負けていない。昨年２月の都知事選で元航空幕僚長の田母神俊雄候補の応援演説に立って、「南京大虐殺はなかった」と歴史を偽ったばかりか、他候補を「人間のクズ」呼ばわりした。
のぼる ひどいな！
みどり それだけじゃない。昨年９月に亡くなった元社民党党首の土井たか子氏に対して、「まさしく売国奴だった」などとツイートしたの。
これからも注目
のぼる 放送法では、経営委員に対して「公共の福祉に関し公正な判断をすること」を求めている。公共放送のイロハをわきまえない人に、視聴者の代表でもあるべき経営委員の資格はない。
みどり その通り。全国の視聴者・市民団体が立ち上がったわ。籾井会長と百田・長谷川両委員の罷免を求める署名数は７万を超えたよ。
のぼる すごいね。市民の力が百田氏の再選を阻んだともいえる。
みどり だけど、籾井会長の暴走は止まらない。５日の定例会見で、「慰安婦」番組の制作は「政府の姿勢が見えないなかで放送するのが妥当かどうか」と発言した。
のぼる 籾井会長の〝送り込み役〟といえる安倍内閣の責任も重大だ。経営委員の識見や言動をこれからも大いに注目していきたいね。
( ２０１５年０２月１１日，「赤旗」)
「慰安婦」問題／ＮＨＫ会長辞任せよ／３団体が経営委に申し入れ
ＮＨＫの籾井（もみい）勝人会長が５日の定例会見で、「従軍慰安婦」問題を番組で取り上げるかについて「正式に政府のスタンスが見えない。慎重に考えなければいけない」と述べたことを受け、日本ジャーナリスト会議と放送を語る会、ＮＨＫを監視・激励する視聴者コミュニティは１０日、ＮＨＫの会長と理事、経営委員会に対し、会長の即刻辞任・罷免を求める申し入れ文書を提出しました。
文書は、今回の籾井氏の発言は事実上、番組は政府の方針に従って作ることを表明したことにほかならず、放送の自主・自立の放棄宣言だと指摘。ＮＨＫのトップとして失格だと指摘しています。
また視聴者コミュニティは、①ＮＨＫの内部文書で、「従軍慰安婦」問題では「強いられた」「性奴隷」という用語は使わないと記しているのは、安倍首相の見解を考慮しているか、用語採否の判断の根拠は何か②５日の会見の模様はＮＨＫのホームページに掲載されているが、「従軍慰安婦」問題をめぐるやりとりが掲載されていないのはなぜか―との質問を提出、回答を求めています。
( ２０１５年０２月１１日，「赤旗」)
「慰安婦」記事／「捏造は名誉毀損」／元朝日記者が提訴
元朝日新聞記者で日本軍「慰安婦」報道に関わった北星学園大（札幌市）非常勤講師の植村隆氏（５６）が１０日、「捏造（ねつぞう）記事」などと書かれて名誉を毀損（きそん）されたとして、ジャーナリストの桜井よし子氏や記事を掲載した雑誌の発行元に計１６５０万円の損害賠償や謝罪広告を求める訴えを札幌地裁に起こしました。
訴状によると、桜井氏は自身のホームページのほか、『週刊新潮』、『月刊ＷｉＬＬ』、『週刊ダイヤモンド』などに記事を寄稿。植村氏の記事について「明確な捏造記事」だと述べ、「学生を教える資格があるのか」と植村氏を批判しました。
提訴後に記者会見した植村氏は「これまで自分の記事が捏造でないと根拠を挙げて論証してきたが、大学への脅迫はやまない」と説明。「言論戦だけでなく、司法判断を仰ぎたい」と語りました。
( ２０１５年０２月１１日，「赤旗」)
「慰安婦」記述削除狙う安倍政権／米の教科書まで介入／歴史家１９氏が抗議へ
【ワシントン＝洞口昇幸】安倍晋三政権が日本国内外の歴史教科書の日本軍「慰安婦」に関する記述の削除を求めるなど検閲のような態度を取っていることに、米歴史家１９人が抗議の共同声明を、自分たちの所属する米国歴史協会の雑誌に掲載する予定であることが、９日までにわかりました。
「日本の歴史家に賛同する」と題する同声明は冒頭で、「第２次世界大戦中に日本帝国軍の野蛮な性的搾取制度の下で辛酸をなめ、婉曲的に名付けられた『慰安婦』についての日本や他の国の歴史教科書の記述を削除しようとする最近の日本政府のたくらみに、歴史家として私たちは失望を表明する」と述べています。
声明は、中央大学の吉見義明教授による政府関係資料の念入りな調査や元「慰安婦」の証言から、「慰安婦」制度が、国家が後押しした性的奴隷制の特徴を備えたものだったことは「間違いない」としています。
「安倍首相の政権は、立証された慰安婦の歴史に声高に異議を唱えている」と言及し、対象が米歴史教科書の記述にまで及んでいることを指摘。「政治目的で出版社や歴史家に研究結果を変えるよう圧力をかける国家または特定の利益団体の取り組みに反対する」としています。
声明には日本の近現代史が専門の米コロンビア大学のキャロル・グラック教授や、アメリカン大学のピーター・カズニック教授らが署名。米国歴史協会が発行する「歴史の展望」３月号に掲載予定です。
( ２０１５年０２月１１日， 「赤旗」)
１０
文化／映画「ＳＨＯＡＨ（ショア）」１８年ぶり公開／元ＮＨＫプロデューサー・立正大学教授桜井均
ユダヤ人虐殺生還者、元ナチス親衛隊らの証言記録／「動く証拠」、表情が語る真実
アウシュビッツ強制収容所解放から７０年になる今年、ナチスによるユダヤ人大量虐殺（ホロコースト）の全貌を証言のみで構成したクロード・ランズマン監督の映画「ＳＨＯＡＨ ショア」（１９８５年製作）が１８年ぶりに日本で一般公開されます。１４日からの公開に先立ち、この作品に詳しい元ＮＨＫプロデューサーで立正大学教授（メディア、映像ジャーナリズム論）の桜井均さん（６８）に寄稿してもらいました。
「ＳＨＯＡＨ ショア」が最初に日本に来たのは、１９８７年のこと。イメージフォーラムがまだ東京の四谷にあったころ、『広告批評』の主催で上映され、翻訳者の高橋武智さんの同時通訳で見た。９時間半に及ぶ作品に､私の思考力､集中力は限界にきて途中で退散してしまった記憶がある。結局、この年、日本では一般公開されなかった。
ようやく日の目を見たのは、９５年。東京日仏会館で行われた特別試写会であった。多くの知識人、学生に大きな衝撃を与えた。あわせてランズマン監督も来日し、ＮＨＫのＥＴＶ特集番組で加藤周一、高橋哲哉両氏それぞれとの対談が実現した。この機会にもっと多くの人に見てもらおうと、ＢＳで深夜４回に分けて放映された。
まさに戦後５０年、過去の「植民地支配と侵略」について「痛切な反省」を述べた「村山談話」が出される時期と重なった。アジアの民主化が進むなかで元日本軍「慰安婦」の女性たちが相次いで名乗りを上げ、忘れようとしていた過去をよみがえらせた。国際的には、ユーゴ、ルワンダの内戦で起きた集団レイプが「戦時性暴力」として裁かれようとしていた。
◆ ◇ ◆
映画「ショア」は、日本社会に多くのものを残した。当時、日本軍の関与を示す歴史資料が発掘されたにもかかわらず、ハルモニ（おばあさん。元「慰安婦」女性）たちの証言を疑う声が根強くあった。このとき、「ショア」はほかに置き換えることができない証言が持つ潜在力を私たちに教えてくれた。
ドキュメンタリーを制作していた私は、歴史資料のような「動かぬ証拠」だけではなく、人間の感情や表情の変化を記録する「動く証拠」というものがあることに気づかされた。
こんなシーンを覚えている。同胞をガス室に送り込む仕事をさせられていたユダヤ人男性は、死を悟った女性たちの間から故郷の歌が湧き上がるのを聞いて、自分はもう生きている価値がないと思い、ガス室に入った。すると、一人の女性が近づいてきてささやいた。「あなたはここを出て、私たちが受けた苦しみや不正を証言しなくては…」と。
そう語る彼の表情は見る見る変わり、私をくぎづけにした。絶滅収容所から奇跡的に生還した証言者は、語ることで２度目の「死」を体験し、それを見る私たちをその場所に導く。
日本のメディアも元「慰安婦」の女性たちの声と表情を「動く証拠」として記録しなければならないと思った。
◆ ◇ ◆
ランズマン監督は、言う。「ユダヤ人絶滅は、その肉体的抹殺のみならず、その痕跡の抹消という徹底性にこそその本質がある」。いまは、それにもう一つ加えなければならない。記憶の抹殺が起こっている。戦後７０年、歴史の修正主義が大手を振るい、過去を忘れ、次なる戦争に向かおうとしている。
３０年前よりも、２０年前よりも、今年ほど「ショア」を見たいと思ったことはない｡日々､破滅に向かいつつあるのかもしれない私たちの未来を、この映画の中で見いだし、引き返す力を得ることができるかもしれない。
映画「ＳＨＯＡＨ」
フランスのドキュメンタリー作家、クロード・ランズマン監督（１９２５年～）が、予備調査１４カ国、３５０時間に及ぶ撮影で１０年の歳月をかけて完成させた映像記録。８５年に発表後、８６年ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞し、その後、世界各国の主要な映画賞を２０以上も獲得。しかし、日本で一般公開（９７年）されるまで発表から１０年余の歳月を要した。「ＳＨＯＡＨ」は、「絶滅」の意味。９時間２７分の全編が、ナチスの収容所から生還したユダヤ人、収容所の元ナチス親衛隊員、収容所近くに住むポーランド人農夫らの証言で構成されている。
今回は、「ショア」の続編ともいえる２本の作品「ソビブル、１９４３年１０月１４日午後４時」と、「不正義の果て｣も上映される｡
慰安婦問題、あらゆる手段で広報
＊１４日から３週間､東京･渋谷シアター･イメージフォーラムで公開｡「ＳＨＯＡＨ」は４部に分けて上映。詳しくは℡０３(５７６６)０１１４
(２０１５年０２月０８日，「赤旗」)
慰安婦問題、あらゆる手段で広報
【ソウル＝時事】韓国の趙兌烈（チョ・テヨル）外務第２次官は６日、元従軍慰安婦が共同生活するソウル近郊の施設「ナヌムの家」を訪れ、「慰安婦が韓日間の歴史問題ではなく、普遍的な人権問題であることをあらゆる手段を動員して広報し続ける」と強調しました。聯合ニュースが報じました。
趙次官は「今年は（日本の植民地支配からの）解放７０年、韓日国交正常化５０周年の重要な年だ」と指摘。慰安婦問題などを話し合う日韓外務局長協議について、「両国が新しい気持ちで問題をうまく解決できるよう努力し始めた」と述べました。
( ２０１５年０２月０８日，「赤旗」)
〝政府の姿勢見てから〟／「慰安婦」番組制作でＮＨＫ会長／放送の自律性・自由否定
ＮＨＫの籾井（もみい）勝人会長は５日の定例記者会見で、戦後７０年にあたって従軍慰安婦問題を番組で取り上げるかを問われ、「正式に政府のスタンスがよく見えないなかで、放送するのが妥当か慎重に考えなければならない」と述べました。これは政府が８月に発表するとしている「戦後７０年談話」を待って、番組制作の方向を判断しようとする姿勢を示したものです。
籾井氏はさらに「政府のスタンス」について、従軍慰安婦に関する政府談話について聞かれ、「挑発するような質問はやめてください」とさえぎりました。
籾井氏は昨年１月の就任会見で「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」などと政府追随の発言を繰り返し、厳しい批判をあびました。
戦前の放送の反省から、戦後１９５０年に制定された放送法は「放送の不偏不党」「自律の保障」「表現の自由」をうたい、政府からの独立を理念としています。昨年の発言は放送法の精神を真っ向から踏みにじるものでした。
籾井氏はその後「発言を取り消す」と表明しましたが、国会で「考えは変わっていない」と答弁しました。今回の発言は、籾井氏の政権同調の姿勢が何ら変化はなく、ＮＨＫの放送の自律性、番組制作の自由を会長みずから否定しようとしたものといえます。
( ２０１５年０２月０７日，「赤旗」)
北星学園大に脅迫文／学長宛て「試験会場で危害」
北海道警厚別署は３日、日本軍「慰安婦」報道に関わった元朝日新聞記者が非常勤講師を務める北星学園大（札幌市）に、「入学試験会場などで教職員と受験生に危害を加える」との趣旨の脅迫文が届いたと明らかにしました。同署は威力業務妨害容疑で捜査しています。
同署によると、脅迫文は手書きの封書で、２日に学長宛てに届き、職員が開封。同大は３日、被害届を提出しました。
同大によると、一般入試は６～８日、札幌、旭川、帯広、函館、青森各市と東京都内の６会場で行われます。
田村信一学長は昨年１２月、同元記者の雇用継続を発表しました。
( ２０１５年０２月０４日，「赤旗」)
「建国記念の日」反対／各地の２・１１集会
２月１１日の「建国記念の日」に反対する各地の集会を紹介します。（日付のないものは１１日）
▼北海道 午前１０時、札幌市中央区・ホテルライフォート札幌２階ライフォートホール、講演＝田中伸尚・ノンフィクション作家「戦後７０年 死者を再び殺さないために―靖国・憲法・レイシズムをめぐって」／午後１時半、江別市野幌公民館ホール、講演＝井上昌保・元酪農学園大学教授「自民党改憲案の狙うもの」５００円／午前１０時、函館市民会館大会議室、講演＝清末愛砂・室蘭工業大学准教授「戦争前夜がやってきた～国際社会の動きと日本とのつながり」／午前１０時、室蘭市市民会館、ピースジャンボリー、ピース寄席、うたの広場など、１０００円／午前１０時、帯広市・とかちプラザ視聴覚室、講演＝神保大地・弁護士「安倍政権がめざす戦後レジームからの脱却と教育改革」５００円／午前１０時、サンライフ北見、講演＝佐藤毅・オホーツク自治研副所長「集団的自衛権を考える」
▼青森 午前１０時、県民福祉プラザ大研修室、講演＝五十嵐吉美・「『慰安婦問題』とジェンダー平等ゼミナール」運営委員「戦後７０年…『慰安婦』問題を解決するために」５００円
▼岩手 午前１０時、盛岡市内丸・県水産会館５階大会議室、講演＝佐々木良博・弁護士「『動物会議』（エーリヒ・ケストナー）に学ぶ～安倍政権の暴走」３００円
▼宮城 午後１時半、仙台市民会館小ホール、講演＝浜矩子・同志社大学教授「正義と平和が抱き合う時―いがみ合いの向こう側を目指して」
▼山形 午後１時半、山形県生涯学習センター・遊学館大ホール、講演＝渡辺治・一橋大学名誉教授「安倍政権でくらし、平和、憲法はどうなるか 悪政をはばむ国民的共同を」５００円
▼福島 午後１時半、福島市・福島テルサ３階大会議室あぶくま、講演＝広田次男・弁護士、３００円
▼東京 午後１時半、日本橋公会堂ホール４階、講演＝吉田裕・一橋大学教授「現代日本のナショナリズムと歴史認識の問題」５００円
▼埼玉 午後１時、埼玉教育会館２階、講演＝窪島誠一郎・無言館館主「『無言館』のこと―戦没画学生の絵を思う」２００円
▼神奈川 午後１時、かながわ県民センターホール、講演＝三上満・教育評論家「子どもたちに明るい未来を～建国記念の日に学校・教育を考える」５００円
▼千葉 午後１時２０分、松戸市民会館３階、講演＝宇都宮健児・弁護士「過去の歴史に学ぶ秘密保護法―国の形が変わる、生活が変えられる」５００円／午後２時、木更津市民会館小ホール、講演＝栗原克栄・高校教員「木更津基地の戦中・戦後」、島洋子・琉球新報東京支社報道部長「県知事選挙後の沖縄からの報告」／午後１時半、香取市佐原中央公民館３階第３研修室、講演＝水内宏・千葉大学名誉教授「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように…平和・教育・憲法」５００円
▼山梨 午後１時半、甲府市・男女共同参画推進センター、講演＝小林節・慶応大学名誉教授「閣議決定と立憲主義」、柳沢協二・元内閣官房副長官補「集団的自衛権と自衛隊」
▼新潟 午後１時半、新潟市教組会館３階、講演＝小林昌二・新潟市歴史博物館館長「古代国家の成立と天皇制」５００円
▼石川 午後１時半、金沢・近江町交流プラザ４階集会室、講演＝大森定嗣、東孝二、土田光孝「戦後７０年目を迎えて…今大切に思うこと」５００円
▼富山 午前１０時、高志会館カルチャーホール、講演＝君島和彦・東京学芸大学名誉教授「歴史の歪曲・美化は、戦争への道」
▼福井 午後２時半、福井県教育センター４階ホール、講演＝茂呂信吾・弁護士「『集団的自衛権』についてまじめに考えてみましょう」
▼静岡 午後１時半、静岡県産業経済会館、講演＝山室信一・京都大学教授「岐路に立つ日本―今こそ活かす非戦思想」／午後２時、浜松市地域情報センター、講演＝古関彰一・獨協大学名誉教授「戦争責任と日本国憲法」
▼愛知 午後１時半、イーブルなごや３階ホール、講演＝内田樹・神戸女学院大学名誉教授「グローバル資本主義の終焉と、来るべき世界。」５００円
▼岐阜 ８日午後１時半、岐阜市民会館大会議室、講演＝石山久男・子どもと教科書全国ネット２１常任運営委員「危ない教科書・教科書が危ない～中学校教科書採択を前にして」３００円
▼三重 午後１時半、津市・アスト津３階、講演＝泥憲和・元自衛官「『戦争行』列車あなたと止める！」５００円
▼大阪 午後１時、府教育会館たかつガーデン８階、講演＝伊香俊哉・都留文科大学教授「歴史に学んで日中関係を考える―庶民の論理に基づく交流・関係構築のために」５００円
▼兵庫 午後１時半、神戸市勤労会館３０８号室、講演＝石川康宏・神戸女学院大学教授「戦後レジームからの脱却とは？安倍の皇国史観を斬る！」５００円
▼京都 午後１時半、キャンパスプラザ京都４階第３講義室、講演＝中野敏男・東京外国語大学教授「戦後７０年、日本の植民地責任・戦争責任・戦後責任を考える」５００円
▼奈良 １０日、午後６時半、奈良県教育会館４階大会議室、講演＝秦重雄・日本近代文学研究者「百田尚樹作『永遠の０』を検証する」
▼和歌山 午後１時半、和歌山市・プラザホープ２階多目的室、講演＝俊正和寛・元小学校教員「軍は戦地で何をした～父の日記をもとに足跡をたどる旅」１００円
▼岡山 午後２時、岡山大学文法経講義棟１０番講義室、講演＝菱田哲郎・京都府立大学教授「考古学と記紀研究」、報告＝村田秀石・古市秀治・岡山県歴史教育者協議会「教科書にとりあげられる神話～小・中・高の教科書から」５００円
▼山口 午後１時半、山口県教育会館５階第１研修室、講演＝河上暁弘・広島市立大学准教授「平和憲法の試練と挑戦」５００円／午前１０時、周南保健センター視聴覚室、映画上映＝「時代を撃て・多喜二」、報告＝山本順次・山口県平和委員会事務局長「集団的自衛権の行使でどうなる？」／午後２時、下松教会会堂、講演＝田嶋義介・島根県立大学名誉教授「戦後７０年と安倍政権」
▼鳥取 午後１時半、鳥取市さざんか会館第１会議室、講演＝浜田章作・鳥取県革新懇代表世話人「総選挙後の憲法をめぐるたたかい」５００円／午後１時半、米子市ふれあいの里４階、講演＝一盛真・鳥取大学准教授「沖縄の現状からみた日本と『日本人』」３００円
▼島根 午前１０時、島根県民会館３０７会議室、報告＝諸岡了介・島根大学准教授「死者の歴史と近代の戦争」５００円
▼徳島 午前９時４５分、徳島市文化センター３階２号室、参加者の発言・討論など
▼高知 午前１０時、高知県人権啓発センター、講演＝小幡尚・高知大学准教授「戦争を学ぶこと、戦争を教えること」５００円
▼佐賀 午前１０時、佐賀市メートプラザ１階多目的室、講演＝関家敏正・全国邪馬台国連絡協議会副会長「日本国家の起源と邪馬台国論争」
▼長崎 午後１時、長崎県教育文化会館２階、講演＝木村朗・鹿児島大学教員「忍び寄る『グローバル・ファシズム』の影～戦争前夜の時代状況における日本の選択」
▼熊本 午後１時半、熊本市民会館大会議室、映画上映「ジョン・ラーベ～南京のシンドラー」１０００円
▼宮崎 午前１０時、宮崎市中央公民館大研修室、講演＝島田広・弁護士「『経済』より『命』―大飯原発訴訟福井地裁判決の歴史的意義と憲法の定める生存権」５００円
▼鹿児島 午後１時半、鹿児島市鴨池公民館研修室Ａ・Ｂ、問題提起＝大平政徳・鹿児島県歴史教育者協議会会長「道徳の教科化のねらうもの」、報告＝村末勇介・小学校教諭「小学校での道徳教育実践」５００円
▼沖縄 午後２時、那覇市・教育福祉会館２階中ホール、講演＝安仁屋政昭・沖縄県歴史教育者協議会「沖縄戦から７０年―何をどう伝えるか」
( ２０１５年０２月０２日，「赤旗」)
本立て／「慰安婦」・強制・性奴隷 あなたの疑問に答えます／日本軍「慰安婦」問題ｗｅｂサイト制作委員会編
日本軍「慰安婦」と「公娼（こうしょう）」との違いなど、よくある２３の疑問に専門家が答えます。
たとえば公娼制度とは、「特定の業者と女性に売春営業を公認」し、警察に登録させる制度。女性は親の借金のかたに廃業の自由のない売春を強要されました。「慰安婦」は、日本軍などによって暴力や詐欺・人身売買で集められ、軍の管理下で辞める自由もなく兵隊の相手をさせられた女性です。両者は別物ですが性奴隷という点では共通していました。資料も豊富で、問題理解に役立つ好著です。
（御茶の水書房 １２００円）
(２０１５年０２月０１日，「赤旗」)
躍進した力を国民のために／志位委員長あいさつ／日本共産党国会議員団総会
通常国会が開幕した１月２６日、日本共産党の志位和夫委員長が国会議員団総会であいさつしました。ポイントを紹介します。（全文は「赤旗」日刊紙２７日付、党ホームページに掲載）
来年度予算案／社会保障破壊、大企業優遇、大軍拡の三悪
今国会は、総選挙の躍進後、最初の本格論戦の舞台です。安倍政権の暴走政治は、来年度予算案と一連の法案という形で具体化されます。志位氏は「それにかみあわせて安倍政権を追い詰め、国民の願いを実現する論戦と活動に取り組みたい」と決意を明らかにしました。
来年度予算案は①「社会保障のため」といって消費税大増税を強行しながら、手当たり次第に社会保障の切り捨てを進めようとしている②「財政再建」といいながら、空前のもうけをあげている大企業に２年間で１・６兆円もの大減税をばらまこうとしている③３年連続で軍事費を増額し、史上最大の約５兆円を計上している―「三悪予算」です。
志位氏は「その問題点を徹底的に追及するとともに、国民の立場に立った抜本的組み替えを提起してたたかう」と訴えました。
「規制改革」／「岩盤規制」打破の名で雇用、農協、医療つぶし
法案という点ではどうか―。
安倍首相は「改革断行国会」として、「岩盤規制」を打破すると言って、一連の重大法案を提案しようとしています。
「雇用改革」と称して提出しようとしているのは「残業代ゼロ」法案と、〝生涯ハケン〟〝正社員ゼロ〟に道を開く労働者派遣法の大改悪法案です。
「農協改革」と称して提出しようとしている法案の最大の狙いは、ＴＰＰ（環太平洋連携協定）反対運動の要であるＪＡ全中をつぶすことです。
「医療改革」と称して、〝老いも若きも大負担増〟の改悪がたくらまれています。
安倍首相が「岩盤」として破壊しようとしているのは、雇用でも、農業でも、医療でも、どれも国民の命と暮らしを守る「岩盤」であって、それを破壊するなどということは断じて許されません。
集団的自衛権／具体化の法整備許さない国民的大闘争を
もう一つ、今国会の最大の対決法案が、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を具体化する法案です。
１月２５日のＮＨＫ党首インタビューで、安倍首相は、「イスラム国」に対する米国主導の「有志連合」による軍事行動への支援について、「憲法上は可能だ」と明言しました。きわめて重大な発言です。ここでも「海外で戦争する国」づくりの危険性があらわになってきました。
志位氏は「憲法違反の集団的自衛権行使容認の『閣議決定』の撤回、『閣議決定』を具体化する法整備は許さない―この一点で、国会内で最大限の共同のたたかいをおこなうとともに、国民的大闘争をおこそう」と呼びかけました。
衆参で提案権／国民の願いを法案にして現実政治動かす
さらに「総選挙での躍進によって、衆参両院で獲得した議案提案権を活用し、国民の願いを法案の形で提起し、現実政治を動かす仕事に、新たな意気込みでとりくみたい」と表明。政党助成法廃止法案の提出や、政府の前向きな動きを踏まえ、ブラック企業規制法案をさらに充実・発展させて提起することを明らかにしました。
戦後７０年／歴史に逆行する安倍談話は百害あって一利なし
今年は戦後７０年の節目の年。日本の進路をめぐる論戦も、この国会の重要な課題となります。
１月２５日のＮＨＫ党首インタビューで安倍首相は、８月に発表する「戦後７０年談話」で、「村山談話」の核心的部分――「植民地支配と侵略」への「痛切な反省と心からのお詫（わ）び」という「キーワード」を使うかどうかについて、「こまごました議論だ」「そういうことではない」と明言しました。
志位氏は「これは『村山談話』の一番の核心的な部分を事実上否定していくという姿勢がはっきり出た発言だ。このような立場に立って『安倍談話』を出すことは、百害あって一利なし」と厳しく批判しました。
日本共産党は、１月の第３回中央委員会総会で、日本とアジア諸国との「和解と友好」に向けた五つの基本姿勢（別項）を提唱しました。志位氏は「この立場に立って、国会でも大いに論戦をしていきたい」と強調しました｡
日本とアジア諸国の「和解と友好」に向け五つの基本姿勢
（１）「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱり反論する
（２）日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出す
（３）靖国神社参拝は、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚の参拝はおこなわないことを日本政治のルールとして確立する
（４）民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつ
（５）「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくす
(２０１５年０２月０１日，「赤旗」)
〈報道写真〉と戦争 一九三〇―一九六〇／白山眞理著／評者志葉玲ジャーナリスト
戦争支持へ世論を導いた写真史
「カメラを銃としペンとする…」。本書の主題は、名取洋之助、木村伊兵衛、土門拳など、日本の報道写真の黎明期から発展期を支えた写真家たちが、日中戦争から太平洋戦争まで、いかに当時の日本政府のプロパガンダに関わってきたか､というものである｡
１９３０年代、中国への侵略・占領で急速に悪化していた日本のイメージを改善し、かつ国内世論を戦争支持へと導くため、軍や内閣情報部が目をつけたのが「報道写真」だった。３７年、内閣情報部が「写真報道事業」を提言。翌３８年、内閣情報部は『写真週報』を創刊し、木村の組み写真「街に溢れる愛国行進曲」などを掲載。同年、陸軍の出資、名取が請け負うかたちで英文グラフ誌『ＳＨＡＮＧＨＡＩ』（上海）が創刊され、西洋人がいかに中国人を搾取しているかを訴えた。戦時体制の中でいくつも官製の写真雑誌が創刊される一方、民間誌は統廃合され、テーマも純然な写真文化から、写真の技術をもって戦争に協力するものへと変質させられていく。その中で土門もまた、翼賛写真家の旗振り役となっていくのだった。冒頭の「カメラを銃とし…」は当時の土門の言葉である。
ジャーナリストの端くれとして、戦争の悲惨さを伝えることこそ職責だと考え、写真を撮る評者には、本書の内容は読んでいて、つらくすら感じたが、日本の報道の歴史を学ぶ上で、本書が極めて有益であることは確かだろう。そして今、自民党が従軍慰安婦問題などでの「対外宣伝」のため、新たな官営放送局を検討しようとする中、今後起こりうることの教訓としても重要な一冊なのである。
しらやま・まり ５８年生まれ。日本カメラ博物館運営委員。
( ２０１５年０２月０１日，「赤旗」)
抵抗の拠点から／青木理著／評者阿部裕新聞ジャーナリスト
「朝日叩き」の本質に迫る正義感
「反日」「売国」「国賊」。日本軍「慰安婦」問題をめぐり、おぞましい朝日新聞たたきが今も続く。大型書店の棚もこの手の書籍に占拠されたような状態だ。評者も先日、大手新聞労組のシンポジウムで右派系論客が「朝日は何で国をおとしめることに血道をあげるのか」と平然といいたてるのを聞いた。
メディアをこんな理不尽で厚顔無恥な連中に占有させていいのか！ 気鋭のジャーナリストの正義感と怒りと公憤が全ページにみなぎる。
なぜこうなってしまったのか？ 著者の想像力と取材力と豊富な記者経験の中で培われた人脈を駆使し、「当事者に丹念にあたる」「現場重視」「複眼的な視野」で「朝日バッシングの本質」を具体的な事実を重ね合わせながら、浮き彫りにしていく。
当事者の「朝日」ＯＢで最も標的にされた植村隆氏へのロングインタビュー。「朝日」記者のトップ、元主筆の若宮啓文氏。検証報道の責任者だった市川速水氏（前報道局長）。元編集局長の外岡秀俊氏とも切り結ぶ。問題の核心に迫る著者の気合は迫力満点だ。
こうした複数の当事者との対論を積み重ね、「慰安婦問題」「日韓関係」「朝日の構造的体質」「安倍首相と朝日の関係」「新聞産業の危機」などが複雑に絡み合い、侵略の史実を否定する歴史修正主義と対峙する問題に行き着く。
著者の先輩・斎藤茂男氏の『事実が私を鍛える』を想起し、事実へのあくなきこだわりに共感した。また大先輩ジャーナリスト原寿雄氏が最近強調している「新聞と新聞記者の戦争責任について戦後７０年を機に問い直すべきだ」との言葉がこの問題とも深く関わっていると痛感する。
あおき・おさむ ６６年生まれ。ジャーナリスト。
( ２０１５年０２月０１日，「赤旗」)
岐路に立つＮＨＫ／３／立ち上がる市民、各地で団体結成／「政府広報放送」だめ
籾井（もみい）勝人ＮＨＫ会長の暴言で始まったこの１年、「ＮＨＫを市民の手に取り戻そう」を合言葉に、市民・視聴者団体の運動が大きく前進しました。
昨年２月末から７団体で取り組んだ籾井会長や百田尚樹・長谷川三千子両経営委員の罷免を求める署名は、１月１１日までに７万１１９２人分に達しました。これまで９回にわたってＮＨＫ経営委員会に提出しています。
署名の集約を担当するのは、ＮＨＫ関係者や市民でつくる「放送を語る会」。同会事務局の小滝一志さんは、「ＮＨＫや各メディアは『もはや過去の問題』だという態度ですが、視聴者の批判や怒りはまだまだ続いています」と言います。
途切れぬ署名
小滝さんのもとには、年が明けても署名用紙が途切れることなく届きます。街頭での署名活動では「ＮＨＫのニュースがおかしい」「安倍首相の顔ばかり出てくる」などの声が寄せられています。「怒りの背景には、籾井会長の暴言だけでなく、実際に番組にも影響しているのではないかという不信が大きく作用している」と分析します。
実際に「放送を語る会」が実施した番組モニター調査からも、番組への影響が懸念されるデータが出ています。昨年５月から７月にかけての「集団的自衛権報道」の検証では、いくつかの民放がジャーナリズム本来の目的に沿った番組を多く放送していたのに対し、ＮＨＫの看板ニュース番組は「際立って政府広報的｣と断じています｡
市民団体の結成も相次ぎます。自民党議員の圧力で日本軍「慰安婦」番組が改変された事件の発覚を機に、兵庫や大阪、京都で結成された「ＮＨＫ問題を考える会」は、昨年１年間で新たに７県で結成されました。
兵庫の会事務局の西川幸さんは言います。「市民運動が発展してきたとはいえ、まだまだ力不足。全国４７都道府県にあるＮＨＫ放送局すべてに意見が届けられるよう、市民組織のネットワークづくりが必要です」。兵庫の会では、全国に散らばる会員に、地域の「会」をつくるよう働きかけてきました。
呼び掛けに応えたのが茨城県。１月３１日に「ＮＨＫ問題とメディアを考える茨城の会」（代表世話人＝田中重博茨城大名誉教授）の発足集会が開かれました。
同会の大曽根紀雄事務局長も、元兵庫の会の会員です。大曽根さんは、２０１２年秋の自民党総裁選報道や、その後の「二大政党報道」に疑問を感じ、「不偏不党の看板を投げ捨てるもの」だとする抗議文をＮＨＫに送付しました。その過程でアドバイスを受けた「兵庫の会」に茨城県内の仲間１１人と入会し、今回の茨城での「会」立ち上げとなりました。
黙っていては
「黙っていては、ますますＮＨＫが国策放送になってしまう。自分たちのできることから始めようと発足しました」と大曽根さん。呼び掛け人の大川レイ子さんも「受信料で成り立つＮＨＫは、私たち国民の財産。私たちの声を茨城のＮＨＫに伝えたい」。
一方、ＮＨＫの退職者有志が提出した「籾井会長の罷免を求める声明」の呼び掛け人・賛同者は、現在２０００人。全ＯＢの約２割に相当します。前出の小滝さんもＮＨＫのＯＢ。「番組改変事件に続き、ＮＨＫを良くしようと願う運動の〝第２の波〟が起きていると実感します」と話しています。（つづく）
( ２０１５年０２月０１日，「赤旗」)
私と「赤旗」／創刊８７周年１９２８―２０１５／鈴鹿医療科学大学薬学部客員教授中村幹雄さん／世の中の変革へ期待わく
ざっと５０年、購読しています。１９６０年代後半の「うたごえ運動」を通じて読み始めました。
貴紙が国民に寄り添った報道を今後も続けていかれるなら、真実に触れる人が増え、世の中の変革につながると期待しています。
最近では、ブラック企業、アベノミクス批判、「従軍慰安婦」問題、沖縄をはじめとする米軍基地問題など、他紙にない正確な報道がされてきました。総選挙での躍進はその一つの成果だと思います。
私は、食の安全にかかわる問題にとりくんでおり、微力ながら「赤旗」にも協力していきたい。この問題で貴紙が他紙を超える報道をされることを期待しています。そして憲法９条だけでなく人権、自由、さまざまな国民の権利をうたっている憲法を守ってほしい。
( ２０１５年０２月０１日，「赤旗」)
（1月）ヘッドライン
岐路に立つＮＨＫ／２／職員ら語る現場のいま／息苦しい管理体制に
岐路に立つＮＨＫ／１／元ＮＨＫディレクター戸崎賢二さん／政府監視が重大局面
「慰安婦」問題／大阪でつどい
潮流
国会に市民の声を／雨の御堂筋パレード／１１団体呼びかけ／大阪
文芸時評／平川由美／若い世代が向き合おうとするこの国の歴史と未来
躍進後初の国会論戦―国民の期待にこたえる大奮闘を／志位委員長のあいさつ／日本共産党国会議員団総会
「朝日」第三者委報告書／研究者・弁護士申し入れ要点／抜粋
安倍政権にどう対応し、通常国会でいかにたたかうか／志位委員長の発言／ＮＨＫ日曜討論
歴史認識、憲法問題―「自共対決」が鮮明に／志位委員長が発言／ＮＨＫ「日曜討論」
本立て／抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心／青木理著
第３回中央委員会総会／歴史問題／アジアとの「和解と友好」へ五つの基本姿勢を提唱
地方発／北星学園大学脅迫問題／市民の声が動かした／学びの輪広げ共同さらに発展を／札幌市
「慰安婦」問題を考える／吉見氏迎え講演会／北海道の会
「慰安婦」報道／第三者委報告受け申し入れ／「朝日」に研究者ら
戦後７０年と日本のいま／同志社大学教授岡野八代さん／明治大学教授山田朗さん／上
戦後７０年と日本のいま／下／同志社大学教授岡野八代さん／明治大学教授山田朗さん
米教科書に訂正要求
「戦争する国」許さない／証言語り継ぐ／愛知の小学校教員、平和教材ＨＰ公開
朝の風／詩で中韓との架け橋
旧日本軍慰安所跡が記念館へ／研究者「侵略戦争理解の場に」／年内にも公開／中国・南京
第２次世界大戦終結７０年／第２部／安倍首相と逆流の系譜／３／メディア支配への欲望
危険な安倍「教育再生」／教科書ネット四国で交流会
第２次世界大戦終結７０年／第２部／安倍首相と逆流の系譜／２／「教科書議連」足場に台頭
「慰安婦」被害で中学生向け展示／京都
第２次世界大戦終結７０年／第２部／安倍首相と逆流の系譜／１／侵略美化本と「英才教育」
「慰安婦」問題で日本の努力求める」
第２次世界大戦終結７０年／中国社会科学院近代史研究所元所長歩平氏に聞く／中日韓は対立やめ、ともに未来築こう
在日本大韓民国民団新年会での志位委員長の祝辞
日韓友好転機の年に／志位委員長が祝辞／在日本大韓民国民団の新年会
会談は「条件なしで」
「慰安婦」問題解決を／韓国大統領、日本に求める
戦後７０年談話／「核心」を引き継がない首相／アジア諸国との関係壊れる
シリーズ戦後７０年を考える／今も苦しむ軍「慰安婦」たち／関西学院大学元教授野田正彰さんにきく
ＮＨＫ 新版 危機に立つ公共放送／松田浩著／評者桂敬一元東京大学新聞研究所教授
文芸春秋社など提訴／中傷記事取り消し要求／元朝日記者
北星学園大にまた脅迫文／元記者の雇用継続／「慰安婦」報道関係
第２次世界大戦終結７０年／中国・康健弁護士に聞く／歴史問題解決の最後のチャンス
官房長官、米国の懸念否定
「７０年談話」／米国が異例の反応／近隣諸国の懸念解消促す
２０１５とくほう・特報／安倍自民党と新改憲団体／「草の根」から改憲策動／国民投票に照準
２０１５年外交展望／戦後７０年／「戦争する国」づくりの転換を
1月（本文）（Page/Top）
３１
岐路に立つＮＨＫ／２／職員ら語る現場のいま／息苦しい管理体制に
「アベノミクス推進」「集団的自衛権、沖縄辺野古への基地移転を着実に進めたいとしています」。元日のＮＨＫテレビ「ニュース７」でアナウンサーが告げました。これに安倍晋三首相の昨年末の映像を付けて、政権の取り組みを強調しました。年間企画と銘打った大型番組は、戦争が終わって各地を回る昭和天皇のにこやかな姿を映しだしましたが、戦争責任にはいっさいふれることはありませんでした。戦後７０年の今年、民放テレビが侵略戦争について問う姿勢を見せたのとは、対照的な立ち位置を示しました。
提案が通らず
今、ＮＨＫの内部で何が起こっているのか。
「番組提案が通らない」「提案を自粛してしまう」「見えないところで事態が進んでいる」
制作現場の第一線に立つディレクター、プロデューサーの声です。しかし「それが籾井（もみい）勝人会長になってガラッと変わったということではない」といいます。別の部署からは「会長が何か言ったり、チェックするわけではない」とも聞こえてきます。
昨年、籾井会長は就任会見で「慰安婦はどこの国にもあった」「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」と発言しました。職員たちの間でも大きな問題になり、集会も開きました。しかし、それらの動きが本格的な運動にはなっていません。
ＮＨＫ内部で広がっていく、ものを言えない空気。大きな契機になったのはＥＴＶ番組改変事件です。２００１年に放送。日本軍「慰安婦」を取り上げましたが、当時、官房副長官だった安倍氏が圧力をかけて作り変えられました。０１年に市民が裁判に訴え、０５年には番組放送当時の制作デスクが政治圧力を内部告発しました。
ＮＨＫの中では、政権批判や歴史問題などを扱う企画提案が通りにくくなり、現在では「ＥＴＶ特集」などで制作局長が試写を直々に行う体制が敷かれています。
「上の人は政権のことを気にし、現場がその意向をくんでとなる。息苦しい管理体制になっていったのを感じる」（ドキュメンタリーのプロデューサー）
「現場から発想することができない。工場で一律の製品を作るのと同じ」（情報番組のディレクター）
打開への希望
籾井会長からさかのぼって財界出身のトップが３代続いているのも影を落としています。いずれも安倍首相につながる人物です。
東海道新幹線やリニアなどＪＲを宣伝する番組がふえ、ニュースでトヨタやドコモの商品が大々的に取り上げられ、大企業の宣伝番組のようになっています。
「多くの管理職が意識しているのは会長のバックにいる安倍政権。これでは実質的に国営放送ではないか。しかし、市民の代弁者であるべき公共放送であり続けることの意味をちゃんと考えている職員はいる。死滅してはいない。そこに希望がある」「個人でものを言えばつぶされるが、今こそ組合の本来の意味を考えるべき」
管理職の職員は「どのように視聴者との信頼関係を築いていくのか。公共放送としてジャーナリズムを鍛え続け、政治や社会の課題に突っ込んでいく必要がある」と語ります。
（つづく）
( ２０１５年０１月３１日，「赤旗」)
岐路に立つＮＨＫ／１／元ＮＨＫディレクター戸崎賢二さん／政府監視が重大局面
籾井（もみい）勝人会長就任１年、ＮＨＫをめぐる攻防が続きます。取り込もうとする安倍政権に対して、市民のためのメディアであるべきだと訴える人々の動きが強まっています。放送９０年の機に、４回連載で公共放送のあり方を考えます。第１回は、元ＮＨＫディレクターの戸崎賢二さんに寄稿してもらいました。
思想家田中正造の明治４２年（１９０９年）７月の日記に次のような言葉がある。
「あなた方見て居れば政府は悪事を為さず。見るの力は法律よりも強し。」
数々の政府の「悪事」と生涯闘い続けた正造は晩年、政府の手を抑える究極の力が民衆による「監視の力」であるという認識に到達していた。
今年、安倍政権は原発再稼働、武器輸出、集団的自衛権行使へ向けての法整備、といった政策のうえに、さらに憲法改悪への動きを加速するだろう。民衆による「政府の監視」がこれまでとは比較にならないほど重大な局面を迎えている。
この監視を本来任務とするのは当然のことながらジャーナリズムである。そのことを考えると、ＮＨＫの当面の最大の課題がネットサービスや４Ｋ開発などではなく、これからの政府の行為を批判的に監視できるかどうかにあるのは明らかだ。
政治部圧力？
はたしてこの期待は満たされるだろうか。
昨年、籾井会長就任以降、ＮＨＫの政治報道には安倍政権批判の要素を極力抑制し、政権の主張を国民に効果的に周知するという傾向がしばしば見られた。
集団的自衛権閣議決定のニュースでは、政府と自公の政治家を何回かスタジオに招いたのに対し、批判する市民の動きや識者の声をほとんど報じなかった。３月に開催された上関原発反対、川内原発再稼働にたいする山口、鹿児島各県での空前の大集会を、地域メディアは揃（そろ）って報じたが、ＮＨＫだけが取材もせず、市民から厳しく批判された。
こうした傾向の背景になにがあるのか。ＮＨＫ内部からの声を聞く限り、筆者は政権寄りの報道局政治部あるいは政治部出身の幹部の圧力を疑っている。
政治がらみの番組では、安倍政権に批判的な内容は政治部から横やりが入ることがあるという。安倍政権を刺激しないように、自粛し、自主規制する動きが強まるのは自然なことだ。
１１月末放送予定だったＮＨＫスペシャル「子どもの未来を救え～貧困の連鎖を断ち切るために」が、選挙が決まったあと、選挙後の放送に変更された。これも政権のクレームを恐れてのこと、という見方が局内にある。
ＮＨＫが視聴者の受信料のみで成り立つ仕組みは、この放送局が政府から独立して存在することを前提にしている。そのたてまえが侵食されているならば、法はどうあれ、視聴者は受信料を支払う理由を失う。ＮＨＫ内の人びとは今このことを銘記すべきである。
厳しい批判を
たしかに、ＮＨＫには、ＮＨＫスペシャルから朝ドラまで、視聴者に支持される番組が多い。しかし、視聴者は今このことを理由にＮＨＫ全体を評価してよいかどうか問い直す必要に迫られている。
番組への信頼に乗じて続けられる政治報道に絞って厳しい批判の眼（め）を向けなければ、巧妙な形で国策放送局化が進むだろう。
政府をもっとも監視しなければならない時代に、そうなれば国民の損失は測り知れない。
( ２０１５年０１月３０日，「赤旗」)
「慰安婦」問題／大阪でつどい
日本軍「慰安婦」問題の早期解決をめざす大阪の会は２４日、大阪市内で学習と交流のつどいを開き、６１人が参加しました。
日本共産党政策委員会の小松公生さんが「『吉田証言』をめぐる状況と『慰安婦』問題の真実」と題して講演し、２０１３年５月の橋下徹大阪市長の「慰安婦制度は必要だった」発言を発端にした「河野談話」への攻撃の強まりとその破たん、朝日新聞の「吉田証言」取り消し報道に至る経過を詳述。「慰安婦」否定論に反論するとともに「吉田証言」と「朝日」の報道が世界にはほとんど影響をもたらしておらず、「慰安婦」問題を否定するほど日本への批判が強まっていると述べました。
「慰安婦」問題などの安倍首相の歴史認識、言動が現在の地域の緊張の核心になっており、戦後７０周年の今年、極右勢力で固められた安倍内閣の対応に世界が注意を払っているとする米議会調査局の報告を紹介。「慰安婦」否定論はナチのガス室はなかったとする論理とうり二つだとし、「歴史の真実にむきあってこそアジアに信頼される国になる」と語りました。
参加者から「慰安婦」問題をめぐる地域の動きとたたかいなどの発言がありました。
(２０１５年０１月２８日， 「赤旗」)
潮流
会場全体を見守るように展示されたチマチョゴリ姿の少女像。東京都美術館で展示撤去となった日本軍「慰安婦」の少女像を等身大にかたどったものです▼壁には、展示中止や掲載不許可に追い込まれた絵や写真などの作品群｡｢政治的｣｢議論が二分｣といった理由で消されたものたちが、東京・練馬の「ギャラリー古藤」で開催中の「表現の不自由展」（２月１日まで）で息を吹き返しました▼企画の発端は、２０１２年の東京・新宿ニコンサロンでの安世鴻さんによる日本軍「慰安婦」の写真展への圧力。その後も漫画『はだしのゲン』が学校の図書館から追放されそうになったり、憲法９条をよみこんだ俳句が公民館月報で掲載拒否されたり。「表現の不自由」さは、ますます強まるばかりです▼実行委員会共同代表の永田浩三武蔵大学教授は､｢自己検閲とか配慮､忖度、自粛という言葉が、日本社会を覆っている」と危惧します。自身、ＮＨＫのプロデューサー時代、「慰安婦」問題を扱ったＥＴＶ番組「問われる戦時性暴力」で、安倍晋三官房副長官（当時）らの政治介入を受け、番組を改変させられた経験を持ちます▼そのＮＨＫでは、お笑いコンビ爆笑問題の政治ネタが、お笑い番組で披露を止められたことが問題に。これもやはり、自粛なのでしょう▼「表現の不自由展」は大盛況、これまで約１３００人が訪れました。会場では今夜、テレビドラマ「ひとりっ子」を上映します。突然放送中止になった５０年前の「幻の映像」です。
( ２０１５年０１月２８日，「赤旗」)
国会に市民の声を／雨の御堂筋パレード／１１団体呼びかけ／大阪
「戦争する国づくり・原発再稼働・沖縄新基地建設反対」「安倍政権の暴走にストップを！」。大阪市中心部のメーンストリート・御堂筋で２６日夕、冷たい雨をついて御堂筋パレードが行われました。「国会に市民の声を届けよう！」と淀屋橋からキタの繁華街・梅田まで行進しアピール。大阪憲法会議憲や憲法９条の会・関西など幅広い１１団体が呼びかけたものです。
パレードに先立ち大阪市役所前で開かれた集会には１２０人が参加。安保破棄大阪実行委員会の植田保二事務局長、日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークの方清子（パン・チョンジャ)さん､大阪宗教者９条ネットの小倉雅昭事務局長、とめよう改憲！おおさかネット共同代表の中北龍太郎弁護士があいさつ。
方氏は「民主主義も人権もない『戦争できる国』づくりをすすめる安倍政権は過去の侵略戦争に向き合うべきだ」と述べました。
参加者は、安倍政権をチェンジして、憲法をいかして、いのちと暮らしを守る本物の民主主義のために全力を尽くそうとのアピール文を拍手で採択しました。
(２０１５年０１月２７日，「赤旗」)
文芸時評／平川由美／若い世代が向き合おうとするこの国の歴史と未来
戦後７０年の節目の年が始まった。若い世代もまた自らが生きる基盤として、この国の歴史と未来に向き合おうとしている。
よりよい社会模索する反映
ともに３７歳の作家・中村文則と政治学者・白井聡の対談「『戦後』を動かぬ日本に問う」（『すばる』）は、個々人が偽りなく生きようとすれば、国のあり方と無関係ではあり得ないことを主張する。『永続敗戦論』を著した白井は、軍国支配層が敗戦を終戦とすり替え、責任をうやむやにして戦後も引き続き支配を続けてきたごまかしが、日本の際限ない対米従属とアジアでの孤立を引き起こしていると言う。そして、この無責任体制が原発事故の深刻さを否認する現状につながっていると指摘する。
掌編「Ａ」で中国人の斬殺を命じられた軍人の狂気を、「Ｂ」で「慰安婦」にされた女性をめぐる悲哀を描いた中村は、最新作『教団Ｘ』について、戦後の政治・多国籍企業・軍需産業批判を展開し、「全体主義的な快楽」の駆逐を目指した、と語る。今後も危機意識を持って文学で発信し続けていくと言う。「腐った妥協」はしたくないという両者の志が、安倍政権の欺瞞性を告発する。
アニメ研究会に所属する平凡な大学生が「革命」に挑む４３０枚の長編・嶽本野ばら「純愛」（『新潮』）は、より良い社会を模索する現代の若者の息吹の反映でもある。「あなたの幸せは本当の幸せですか？ 第四世界民主連合」と書かれたビラを配る女子学生に引き寄せられるように、「僕」は運動に足を踏み入れていく。「僕」は石川啄木や宮沢賢治を愛読しており、皆が平等で、こころよく働けて、互いに思い合える社会が理想として描かれる。
著者はブログで、本作を書いたきっかけは原発事故で、原発に対して何もしてこなかった罪悪感がある、と記している。ただ、寓話であるとしても、「革命」が単にクーデターでしかない点が惜しまれる。連帯のうねりには達せず、登場人物は孤独を深め、寂寥感に襲われる結末となった。
人々とともに展望を持って
『民主文学』２編は、「革命」とは未来への展望をもって、多くの人々と共に活動を続けていくことだと示唆する。越広子「小さい空から」は、敗戦直後、戦争孤児の姿に心を痛め、意義ある人生を求めて共産党に入り、党事務所で働くようになった２１歳の明子が主人公。レッドパージの嵐の中で逮捕され、刑務所に勾留される。しかし明子には、独房の小さい窓が大空へ開かれているという確信がある。一緒にたたかう人々に守られているからだ。
風見梢太郎「最後のビラ配り」は、就職以来、組合活動に携わってきた主人公が、定年後の再雇用で働きながら、６５歳で組合大会選挙に最後の立候補をする。生涯をかけて社会変革を目指して歩み続け、次世代に希望を手渡していく。
お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹のデビュー作「火花」（『文学界』）が話題だ。人間を深く掘り下げた小説に何度も救われたという著者が、自分なりに人間を見つめて書いた作品だと語る。芸人の「僕」と、笑いのためだけに生きている先輩との濃密な青春の日々。漫才は「偽りのない純正の人間の姿を晒すもんやねん」という言葉、売れる漫才師は一握りでも、周りの芸人と切磋琢磨して独自の芸が生み出される以上、全ての芸人の存在が必要なのだという述懐など、芸術とは何か、人生とは何かを究めようとする洞察がある。
２００９年、又吉が本紙のインタビューで「お笑いも文学も、現象の中の本質に触れた言葉が人の心をつかむ」と語ったことを思い出す。多くの若い読者は、これほどまでに熱中できる何かと出合う人生を渇望しているのかもしれない。
第１５２回芥川賞を小野正嗣「九年前の祈り」が受賞した。カナダ人の夫に去られ、発達障害の３歳の息子を連れて帰郷した主人公が、ふるさとの海と集落の暮らしに包まれていく。かつて一緒に旅した同郷の女性の、子を思い一心に祈っていた面影が、時空を超えて慈雨のように主人公を救う。連帯と再生の物語として読んだ。
（ひらかわ・ゆみ）
( ２０１５年０１月２７日，「赤旗」)
躍進後初の国会論戦―国民の期待にこたえる大奮闘を／志位委員長のあいさつ／日本共産党国会議員団総会
日本共産党の志位和夫委員長が２６日、国会議員団総会でおこなったあいさつは次のとおりです。
みなさん、おはようございます。通常国会の開会にあたって、ごあいさつを申し上げます。
「イスラム国」の人質事件／残虐非道な蛮行を強く非難――政府は人質解放のためあらゆる努力を
まず、過激組織「イスラム国」による人質事件についてのべます。
人質とされていた湯川遥菜さんが殺害されたとみられる写真がインターネット上に投稿されました。きわめて痛ましい事態であります。
このような残虐非道な蛮行は、絶対に許されるものではありません。強い憤りをもって非難します。
後藤健二さんをすみやかに解放し、ご家族のもとに帰すことを強く要求します。
日本政府に対して、人命最優先で、人質の解放のために、あらゆる可能性・条件を追求して、全力をあげることを求めるものです。
躍進後初の本格論戦／「共産党を伸ばしただけのことはあった」と評価していただける大奮闘を
この通常国会は、総選挙で２１人への躍進をかちとってから、初めての本格論戦の舞台となります。国民のみなさんから、「共産党を伸ばしただけのことはあった」「もっと伸ばしたい」と評価していただけるような大奮闘を、衆参の３２人の国会議員団が力をあわせておこなう決意を、まず固め合おうではありませんか。（拍手）
わが党は、１月２０日に第３回中央委員会総会を開催し、総選挙の教訓、次期国政選挙の目標、当面する日本共産党の政治任務、いっせい地方選挙躍進のための方針を、全面的に明らかにしました。
そのなかで、第３次安倍政権をどうとらえ、どう立ち向かうかの基本姿勢についても､明らかにしました｡
総選挙で私たちが訴えた「暴走ストップ、日本の政治の五つの転換」がそのまま国政の大争点になってくること、戦後７０年にあたって、憲法問題、歴史問題、核兵器問題の三つの大問題で、逆流を打ち破り、未来を開く新しい政治を起こすこと、いわゆる「政治改革」２０年にあたって、政党助成金と小選挙区制という日本の政治を劣化・堕落させている二つの元凶をただすことなどを提起いたしました。この３中総決定の全体を生かして、この国会をたたかいぬきたいと思います。
来年度政府予算案／社会保障切り捨て、大企業優遇、大軍拡推進の「三悪予算」――抜本的組み替えを求める
この国会のたたかいを展望しますと、安倍政権の暴走政治の全体が、一つは、来年度予算案という形で、いま一つは、法案という形で具体化されてきます。それにかみあわせて、安倍政権を追い詰め、国民の願いを実現する論戦と活動にとりくみたいと思います。
まず予算案という点ではどうでしょうか。
政府が決定した来年度予算案は、一言でいいまして安倍政治の害悪がぎっしり詰まった予算案となっています。昨日のＮＨＫ党首インタビューで、私は、三つの大問題がある、「三悪予算」だと厳しく批判しました。
社会保障費の「自然増削減」方針の中止、社会保障の拡充を求める
第一は、「社会保障のため」といって消費税大増税を強行しながら、社会保障費の「自然増削減」、すなわち制度改悪路線を復活・強化して、介護、年金、医療、生活保護など、手あたりしだいの社会保障の切り捨てを進めようとしていることであります。
たとえば、予算案には、介護報酬の２・２７％引き下げ、過去最大規模の削減が盛り込まれています。介護の現場の実態は、介護職員のみなさんが頑張っておられますが、低賃金で慢性的な人手不足に苦しんでいます。特別養護老人ホームの３割は赤字経営に苦しんでいます。そういうもとで介護報酬を引き下げたら、経営が立ち行かなくなり、「介護難民」が激増するとの強い批判がおこっているではありませんか。
社会保障の「自然増削減」方針の中止、社会保障の拡充を求めて、大いにたたかいぬこうではありませんか。（拍手）
大企業に２年間で１．６兆円の大減税――そんな金があるなら福祉と暮らしに使え
第二は、その一方で、「財政再建」といいながら、空前のもうけをあげ、２８５兆円もの内部留保を抱えている大企業に、２年間で１・６兆円もの大減税をばらまこうとしていることであります。
いくら大企業に減税しても、減税分は賃上げや設備投資に回らず、内部留保が積み上がるだけで、何の効果もない。これはこの間の経過を見ても明らかです。そんな金があるならば、福祉と暮らしに使えと強く要求したいと思います。（拍手）
史上最大・５兆円の軍事費――「海外で戦争する自衛隊」への変質を許すな
第三は、３年連続で軍事費を増額し、史上最大の約５兆円を計上していることであります。その内容も、オスプレイや水陸両用車を買い入れるなど、自衛隊を、「海外で戦争する自衛隊」に変質させる重大なものです。
沖縄県民の県知事選挙、総選挙で示された民意を踏みつけにして、辺野古新基地建設に突き進もうとしている。そのための予算を８０倍以上に増やしていることも絶対に許すわけにいきません。
こうして政府予算案は、社会保障切り捨て、大企業優遇、大軍拡推進の「三悪予算」になっています。わが党は、その問題点を徹底的に追及するとともに、国民の立場に立った抜本的組み替えを提起してたたかう決意を表明するものです。（拍手）
「改革断行国会」というが／「岩盤規制」打破と称して、雇用、農業、医療を壊す暴挙を許さない
法案という点ではどうでしょうか。
重大な対決法案がこの国会でたたかわれます。
その一つは､安倍首相が､｢改革断行国会｣と称して、持ち出そうとしている一連の法案であります。首相は、「岩盤規制」を打破する、自分が「岩盤」を破壊する「ドリル」になると言って、雇用問題、農協問題、医療問題などで、一連の法案を提起しようとしています。しかし、「岩盤規制」の打破なるものによって破壊されるのは、国民の暮らしだということを、私は、強調したいのであります。
雇用――「残業代ゼロ」、派遣法改悪を許さず、「人間らしく働けるルール」を
安倍政権が「雇用改革」と称して提出しようとしているのは、「過労死」を促進する「残業代ゼロ」法案、〝生涯ハケン〟〝正社員ゼロ〟に道を開く労働者派遣法の大改悪法案です。派遣法改悪法案は、２度の国会で廃案になったものですが、これを、またぞろ持ち出そうとしています。
首相は、口では「賃上げが必要」と言っている。ところが政府主導で「賃下げ」促進の法改悪をおこなう。こんなことは断じて許すわけにいきません。雇用破壊の二つの悪法を必ず葬り、「人間らしく働ける雇用のルール」をつくるたたかいに、全力をあげてとりくもうではありませんか。（拍手）
「農協改革」――最大の狙いは、ＴＰＰ反対運動の要をつぶすことにある
安倍政権が｢農協改革｣と称して提出しようとしている法案も重大であります。
その最大の狙いは、ＪＡ全中のみなさんが、ＴＰＰ反対運動の要として頑張ってきた、これが邪魔で仕方がない、だったらつぶしてしまえというところにあります。
わが党は、こうした日本農業破壊の企てには、断固反対をつらぬくということを表明しておきたいと思います。
国民の命と暮らしを守る「岩盤」破壊を許すな――共同のたたかいの発展を
さらに「医療改革」と称して、〝老いも若きも大負担増〟の改悪がたくらまれています。国民健康保険の都道府県単位化をはかり、歯止めのない保険料引き上げをすすめる、また、保険外医療の野放図な拡大につながる改悪をすすめようとしています。
こうして安倍首相が「岩盤」として破壊しようとしているのは、雇用でも、農業でも、医療でも、どれも国民の命と暮らしを守る「岩盤」であって、それを破壊するなどということは断じて許されるものではありません。
ナショナルセンターの違いを超えた労働組合のみなさん、全国の農協・農業関係者のみなさん、医療団体のみなさんと共同して、どの分野でも国民の立場に立ったホンモノの改革の対案を示して、安倍政権の暴挙を許さないたたかいに全力をあげようではありませんか。（拍手）
集団的自衛権具体化の法改悪／「『閣議決定』撤回、具体化の法制許すな」の一点で、国民的大闘争を呼びかける
いま一つ、今国会の最大の対決法案となるのが、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を具体化する法案とのたたかいであります。
「海外で戦争する国」づくりの危険性がいよいよあらわに
集団的自衛権行使の現実的な危険がどこにあるか。わが党は、昨年の国会論戦、総選挙の党首討論などで、安倍首相と論戦してきました。すっかり正体は明らかになりました。アフガン戦争、イラク戦争のような戦争を、アメリカがひき起こしたさいに、自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って軍事活動をおこなう。米軍と自衛隊が肩を並べて戦争する――「海外で戦争する国」づくりが正体だということは、すでにはっきりしています。
昨日のＮＨＫ党首インタビューで、安倍首相は、「イスラム国」に対する米国主導の「有志連合」による軍事行動への支援について、「政策判断として当面はやらない。しかし憲法上は可能だというのがわれわれの考えだ」と明言しました。「イスラム国」に対する米軍の空爆などへの支援も憲法上は可能だという、きわめて重大な発言であります。ここでも「海外で戦争する国」づくりの危険性があらわになってきました。
この暴挙を止めるために、党の総力をあげてたたかいぬく
安倍政権は、「閣議決定」を具体化する法案を、５月の連休明けに提出し、国会を延長してでも押し通す構えです。日本共産党は、衆参の国会議員団を先頭に、この暴挙を止めるために、党の総力をあげてたたかいぬく決意であります。
私は心から呼びかけたい。憲法違反の集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の撤回、「閣議決定」を具体化する法整備は許さない――この一点で、国会内で最大限の共同のたたかいをおこなうとともに、国民的大闘争をおこそうではありませんか。院内外が共同しての歴史的大闘争で、憲法破壊の暴挙を必ず葬ろうではありませんか。（拍手）
衆参両院の議案提案権／国民の願いを法案として提起し、現実政治を動かす仕事に新たな意気込みで
法案をめぐるたたかいは、安倍政権による悪法を阻止するたたかいだけではありません。総選挙での躍進によって、衆参両院で獲得した議案提案権を活用し、国民の願いを法案の形で提起し、現実政治を動かす仕事に、新たな意気込みでとりくみたいと思います。
政党助成法廃止法案を提出――論戦と運動で廃止のために全力をつくす
さきほど、日本共産党は、この国会での初仕事として、政党助成法廃止法案を衆議院に提出いたしました（拍手）。各党にもお届けいたしましたが、各党が真剣に検討していただくことを求めたいと思います。
日本共産党は、政党助成金という制度の、国民の思想・信条の自由を侵害する憲法違反の制度という本質、日本の政治をいかに劣化・堕落させているかなどの害悪について、国会論戦でも広く明らかにし、署名運動をはじめ国民的運動も広くおこして、政党助成金廃止のために全力をつくす決意を申し上げたいと思います。
ブラック企業規制法案――政府の前向きの動きを踏まえ充実・発展させて提起する
議案提案権を生かした活動という点では、参議院にブラック企業規制法案を提出したことが、大きな力を発揮し、国会論戦ともあいまって、厚生労働省に実態調査と違法行為の是正をさせるという第一歩の成果に結びつきました。
さらに、その後、厚生労働省は、若者の「使い捨て」が疑われる「ブラック企業」の求人をハローワークで受理しないという方向を決め、通常国会に関連法案を提出する動きとなっています。これも重要な前進と言っていいと思います。わが党は、政府のこうした前向きの動きともかみあわせた形で、ブラック企業規制法案をさらに充実・発展させて、適切な時期に提起するようにしたいと考えています。
衆参での議案提案権というのは、主権者である国民から私たちに与えられた重要な権利であります。これを効果的に、また縦横に活用して、現実政治を一歩でも二歩でも前に動かすために、知恵と力をそそいで頑張り抜こうではありませんか。（拍手）
「戦後７０年」／歴史逆行の「安倍談話」は百害あって一利なし――「和解と友好」へ五つの基本姿勢こそ
今年は、「戦後７０年」の節目の年であり、日本の進路をめぐる論戦も、この国会の重要な課題となります。
昨日のＮＨＫ党首インタビューで、安倍首相は、８月に「戦後７０年談話」を発表するとの方針とのかかわりで、「村山談話」の核心的部分――「植民地支配と侵略」への「痛切な反省と心からのお詫（わ）び」という「キーワード」を引き継ぐのかどうかと、司会者から問われて、最後まで引き継ぐと言わず、司会者から「キーワードを同じように使うことではないのか」と問われて、「そういうことではない」と明言しました。
私は、その直後のインタビューでも批判しましたが、これは「村山談話」の一番の核心的な部分をあいまいにしていく、後退させていく、事実上否定していく、という姿勢がはっきり出た発言であり、きわめて重大であります。このような立場に立って「安倍談話」なるものを出すことは、百害あって一利なし（「そうだ」の声）ということを、きびしく指摘したいと思います。（拍手）
歴史問題では、３中総決定が提唱した、日本とアジア諸国との「和解と友好」に向けた五つの基本姿勢が、たいへん大切であります。ヨーロッパでは、連合軍によるノルマンディー上陸作戦７０周年の昨年、ドイツも含めてヨーロッパの国々が一堂に会して記念式典がおこなわれました。アジアでこうしたことがやれないというのは、異常な事態といわなければなりません。３中総決定が提唱した「和解と友好」に向けた五つの基本姿勢の立場に立って、国会でも大いに論戦をしていきたいと思います。
五つの基本姿勢
①「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱり反論する
②日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出す
③靖国神社参拝は、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚の参拝はおこなわないことを日本政治のルールとして確立する
④民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつ
⑤「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくす
１４人の新人議員／国民の声、国民の願いを、国会に届ける「代弁者」として頑張りぬこう
みなさん。この国会では、総選挙で初当選した１４人の新人議員のみなさんが、初陣を飾る国会となります。すでに立派に初陣を飾った方もおられます。１４人もの新人議員のみなさんが初陣を飾るというのは、わが党の歴史にとっても、おそらく１９７０年代以来の久方ぶりのことだと思います。
ベテランの議員、新人の議員、みんなが力をあわせて、国民の声、国民の願いを、国会に届ける「代弁者」として頑張りたいと思います。この「代弁者」の仕事を、何のしがらみなく、まっすぐにできるのは、私たち日本共産党だけであります。わが党の強さはここにあると思います。この立場にしっかり立って国会論戦をおこなうならば、その論戦は大きな力を発揮することは間違いありません。そのことに自信と誇りをもって、のびのびと力を発揮して、頑張りぬこうではありませんか。（拍手）
以上をもって、開会にあたってのごあいさつといたします。この国会で、国民の期待にこたえる大きな成果をあげるように、みんなの力を合わせて頑張りましょう。（拍手）
( ２０１５年０１月２７日，「赤旗」)
「朝日」第三者委報告書／研究者・弁護士申し入れ要点／抜粋
朝日新聞社が自社の日本軍「慰安婦」報道を検証するため設置した第三者委員会の報告書（昨年１２月２２日公開）について、歴史や人権問題にかかわる研究者・弁護士が２２日に同社に行った申し入れの要点（抜粋）を紹介します。
第１ 報告書の内容の問題点
１ 「慰安婦」問題の本質を否定する議論について
報告書の最大の問題は、軍による強制性をめぐるものです。朝日新聞の１９９７年３月３１日付の「慰安婦報道」特集に関連した社説において「日本軍が直接に強制連行したか否か、という狭い視点で問題をとらえようとする傾向」を批判したうえで、「そのような議論の立て方は、問題の本質を見誤るものだ。資料や証言をみれば、慰安婦の募集や移送、管理などを通して、全体として強制と呼ぶべき実態があったのは明らかである」としたことを、報告書は「議論のすりかえ」と批判しています。
しかしながら、当該社説の見解は、昨年８月５日付の１面でも杉浦信之編集担当の名前で、「慰安婦問題の本質 直視を」と題し、「戦時中、日本軍兵士らの性の相手を強いられた女性がいた事実を消すことはできません。慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです」と明確にこの問題の本質を女性の人権の問題として提示しているとおり、まさに「慰安婦」問題の本質を正しくとらえた論述です。
昨年の自由権規約委員会の日本政府報告審査についての最終見解でも、自由権規約委員会は、この「強制連行」ではなく「強制性」の存在こそが、日本政府の直接的な法的責任を伴う人権侵害であると結論づけています。
朝日新聞の上記のような強制性ないし「広義の強制性」の存在を強調する議論に対し、報告書では、「議論のすりかえ」であると批判するのです。
しかし、朝日新聞のこのような強制性をこの問題の本質とする議論は、当初のこの問題に対する朝日新聞の報道からその後明らかになった事実等を含めた見解の深化・発展というべきであり、また１９９２年以来進められた歴史家による研究の蓄積によって明らかとされてきたところに基づくものです。
この見解を否定することは、「慰安婦」問題の本質そのものを否定することになります。たとえそれまでの朝日新聞が狭義の強制性を強調していたとしても、本来の問題の本質にそった報道姿勢を確立したものとして、むしろ評価すべきものです。それを「問題のすり替え」と否定的に評価するのは、狭義の強制性がなければ「慰安婦」問題は存在しない、とする一部の政治的勢力の見解にそった結論を持ち込むもので、第三者委員会の記事検証という役割からの逸脱といわざるをえません。
２ 女性の人権の視点が欠落していること
この問題は前述のように、被害女性が自らの体験を告発し、その尊厳が奪われたことを訴えて名乗り出たことから、日本社会のみならず国際社会でも認知されるようになりました。つまり問題の本質は女性の人権の侵害とそのような制度を作った日本政府の責任というところにあり、それが問われたのです。
したがって朝日新聞の従前の記事作成過程でも、この視点が欠落していたのではないかと唯一の女性でもある林香里委員が述べているのは、本件にあってはきわめて重要な指摘であり、なぜそうであったかはさらに検証されるべき視点であったはずです。
しかしながら第三者委員会でもこの論点はほとんど取り上げられなかった、ということであり、これもこの報告書の大きな欠落点であるといわざるをえません。
第２ 朝日新聞の第三者委員会報告書を受けての「改革の取り組み」について
第三者委員会の報告を受けて、１２月２６日に渡辺雅隆社長が記者会見をして、翌２７日付紙面において朝日新聞の対応が発表されました。しかしながらこれは昨年８月５、６日の特集記事と比べても大きく後退したものとなっています。
同年８月５日付紙面では上述のように、総括的な論説「慰安婦問題の本質 直視を」（杉浦編集担当）においてこの問題は女性の人権問題であるとの指摘がなされ、それを否定することで「自国の名誉を守ろうとする一部の論調が、日韓両国のナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因をつくっている」のだと、国際関係の悪化を招いている原因の所在も明確に指摘されていました。
かたや１２月２７日の紙面における渡辺社長の見解や、朝日新聞の今後の取り組みの方向を示す特集においては、「慰安婦となった女性の多様な実態と謙虚に向き合い」とか「慰安婦問題をみる視点も時代とともに変わってきています」「いろいろな視点や意見をもつ識者や関係者の見方を紹介するなどして、読者のみなさまがこの問題を考える材料を示していきます」などと述べています。
この問題の本質は、すでに指摘したように、日本国家が組織的に女性の人権を蹂躙（じゅうりん）するような制度を作り実施したことにあります（朝日新聞８月５日の紙面）。
「女性としての尊厳を踏みにじられた」被害者の視点も女性の人権の視点も完全に欠落させて、ただ多様な実態に目を向け、多様な意見を紹介するというのでは、むしろ問題の本質から目を背けようとするものというほかありません。
( ２０１５年０１月２６日，「赤旗」)
安倍政権にどう対応し、通常国会でいかにたたかうか／志位委員長の発言／ＮＨＫ日曜討論
２５日のＮＨＫ「日曜討論 党首に問う」での日本共産党の志位和夫委員長の発言は次の通りです。
中川緑アナウンサー つづいて日本共産党の志位委員長です。よろしくお願いします。
志位委員長 おはようございます。
「イスラム国」日本人拘束／絶対に許せない残虐非道な蛮行／政府は、人命最優先で、人質解放のためにあらゆる可能性の追求を
島田敏男解説委員 まず「イスラム国」。新たな動きが、昨夜からネットの世界でまず情報が飛び交うというかたちで動いています。政府に対してはどのような対応を求めていきますか。
志位 いま彼らがやっていることは、残虐非道な蛮行であって、絶対に許すわけにいかない。強く非難します。そして人質の解放を強く求めたいと思います。
日本政府に対しては、人命最優先で、解放をはかるために、あらゆる手段、あらゆる可能性を追求してほしいと思います。
躍進した力をどう生かすか／議案提案権を活用し、現実政治を前に動かす／国民との共同で暴走政治を止めるために力をつくす
中川 共産党は去年１２月の衆議院選挙のときに大幅に議席を伸ばしましたね。視聴者の方からこんなご意見が来ています。「２１議席をとり、それなりのことができるようになった。どう生かしていくのか」というご意見なんですが、つまり衆議院でも単独で法案を提出できるということになったわけなんですが、それをどう生かしていくかという声なんですね。明日からの通常国会どうのぞみますか。
志位 今度の総選挙で躍進させていただいて、議案提案権を衆議院でも得ることができました。これは国民のみなさんの願いを議案の形で出すことができるようになりましたので、まず明日の召集日には、政党助成金の廃止法案を提出したいと思っております。各党にも真剣な検討を呼びかけていきたいと思っています。そのほかにも雇用の問題をはじめ、この議案提案権をどしどし活用して、現実の政治を一歩でも二歩でも前に動かすために頑張っていきたい。
そして、今年を考えますと､｢アベノミクス｣､集団的自衛権､原発の再稼働､沖縄の新基地建設―安倍政権の暴走とのたたかいがいよいよ正念場の年になると思うので、国民のみなさんとの共同で、また国会論戦も大いに頑張って、暴走を止めるために力をつくしたいと考えております。
「暴走ストップ」の課題は／政府予算案、集団的自衛権、原発再稼働、沖縄新基地――あらゆる面で頑張りたい
島田 その「暴走ストップ」というのは、志位さんが選挙のときにもずっといっていた。それを実現するための一番のポイント、さまざまな課題の中で優先順位をつけていくと最重要ポイントはどれですか。
志位 （課題は）たくさんありますね、これは。
経済の問題、これは今回の（政府）予算案を見ましても、福祉を削って大軍拡と大企業にお金を流そうという、これは許せない。まず予算案の問題が出てきます。
それから今度の国会を考えますと、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の具体化のための安保法制（改悪）という問題が大争点になってきます。
それから原発再稼働も、国民の力でずっと（稼働を）止めているわけですが、いよいよ再稼働とのたたかいが問題になってくる。
沖縄の新基地建設も、県民のああいう審判が下ったにもかかわらず、もうそれに眼中なく、強硬なことをやっていますから、これも歴史的大闘争が必要になってくる。
あらゆる面で頑張っていきたいと思っています。
来年度予算案をどう見るか／社会保障切り捨て、大企業優遇、大軍拡の「三悪予算」――抜本的組み替えを求めてたたかう
島田 その中でもうちょっと予算のことについて聞きますとね、財政再建の要請というものを受け入れて、そのために介護報酬の引き下げですとか、生活保護費の支給額の縮小といったことも含まれてきますよね。社会保障というのが一番大きな予算の中の固まりですから、そこを圧縮しないと財政再建はできませんけども、それについては共産党はどう考えるんですか。
志位 私は、今度の予算案を見て、三つの大問題があると思うんですよ。
第一に、いまいわれた社会保障の問題ですが、（安倍政権は）「社会保障のため」といって消費税増税をやったんですね。にもかかわらず今度の予算案では、社会保障の「自然増の削減」を復活させて、介護、年金、生活保護、医療、あらゆる分野で社会保障の手当たりしだいの切り捨てをやろうとしている。
第二に、その一方で、「財政再建」と言いながら、あれだけもうけをあげている大企業に対しては、２年間で１・６兆円の減税をばらまこうとしています。
第三に、３年連続で軍拡予算を進めています。そして５兆円の軍事費に拡大して、自衛隊を「海外で戦争する自衛隊」につくり変えようとしている。
ですから、社会保障切り捨て、大企業への不当な優遇、大軍拡に道を開く――「三悪予算」だと考えておりまして、抜本的な組み替えを要求してたたかいたいと思っております。
集団的自衛権の「法整備」は／「閣議決定」の撤回、「閣議決定」にもとづく法制は許さない――この一点で、院内外の力を総結集した大闘争を
島田 いま軍拡予算だということをおっしゃっていましたけれども、この集団的自衛権の行使容認、去年７月の「閣議決定」に基づく法整備というのがこの国会のテーマになります。共産党は一貫して反対だといっていますが、与野党各党の意見を聞いてみますと、共産党に近い政党と必ずしもそうではない政党と、さまざまなようですが、どうストップをかけていきますか。
志位 やはり「閣議決定」の撤回ですね。そして、「閣議決定」にもとづく法制は許さない。この一点で力をあわせていきたいと思っています。
この集団的自衛権の行使の一番の危険がどこにあるのかという問題は、国会論戦でも、あるいは総選挙のときの党首討論でも、安倍さんとさんざん議論した問題ですけれども、これは日本の国を守ることでも、国民の命を守ることでもないということです。アフガン戦争、イラク戦争のような戦争をアメリカがおこしたさいに、従来の「戦闘地域」まで行って自衛隊が米軍と軍事行動をやる。つまり米軍と自衛隊が肩を並べて戦争をやるということです。
さきほど、「イスラム国」の問題が出ておりましたけれども、ああいう事態にさいしてアメリカが空爆をやる。それに対する支援について、（首相は）政策上は当面やらない（島田「後方支援ですね」）。しかし、（憲法上は可能だといって）否定はしないと、「枠組みの中で」ということを言われました。非常に重大です。「海外で戦争をする国」づくりは許さないということです。
憲法違反の集団的自衛権行使容認の「閣議決定」は撤回するということです。それを具体化する法整備、あるいは日米「ガイドライン」（軍事協力協定）の再改定はやめるということです。もし、法制が出てきたら、私たちは国会での最大限の共闘を追求しますし、院外での力もあわせて、総結集して、必ずこれを許さない大闘争をやっていくつもりです。
戦後７０年にどうのぞむか／「村山談話」の核心的部分をあいまいにし、後退させる、首相発言は重大／アジア諸国との「和解と友好」に向けて五つの提案
島田 そして、戦後７０年の総理大臣談話、この内容の件ですけれども、安倍総理の先ほどの発言で、過去のキーワードですね、「植民地支配」「侵略」「痛切な反省」、こういったキーワードについて、そのままの単語には必ずしもこだわらないという発言がありました。志位さんはどう考えますか。
志位 さきほどの(首相の)発言を聞いていてですね、島田さんが、「村山談話」の「一番のキーワード」である「植民地支配と侵略」、これを引き継ぐんですかということを聞いたのに対して、「全体としては引き継ぐ」と言いながら、「文言にこだわらない」という発言でした。
これは、（「村山談話」の）一番の核心的な部分はあいまいにしていこうと、そして後退させていこうということが、はっきり出た発言で、非常に重大だと思います。
私は、戦後７０年という年を、日本がアジア諸国とほんとうの「和解と友好」に向かう転機の年にする必要があると思います。そのためには―
第一に、「村山談話」「河野談話」の核心的な部分をしっかり継承して、それにふさわしい行動をとる。
第二に、日本軍「慰安婦」問題については、被害者の方々の人間としての尊厳が回復される解決をはかる。
第三に、首相や閣僚は靖国（神社）参拝はやらないという政治ルールを確立する。
第四に、人種差別をあおるヘイトスピーチは、これをなくすということで、法整備も含めて断固たる対処をする。
第五に、歴史への反省の立場を、（学校）教科書にしっかりと反映させるための真剣な努力をやる。
この五つが必要だと考えています。
これをやってこそ、ヨーロッパで実現したような「和解と友好」が、（日本と）アジア諸国との間で、心が通うかたちで進むと思うのですね。これを求めていきたいと思います。
沖縄新基地問題にどう対応するか／民主主義の国では許されない安倍内閣の強権的な対応――沖縄と本土が一体に、新基地建設反対の大闘争を
島田 もう一つ、安全保障関連になりますが、沖縄の普天間基地の移設の問題です。ここでは衆議院選挙のときにも、他の野党との選挙協力を行って反対する人たちがすべての小選挙区を抑えたと。そしてその前の知事選では、このときにも翁長（雄志）さんの当選ということになりました。ただ、政府は粛々と辺野古移設は進めますといっていますけれども、こうした政府の動きにどう対応していきますか。
志位 昨年、いま言われたように、（沖縄）県知事選挙、あるいは総選挙で、保革の枠組みを超えて、「オール沖縄」で、新基地建設反対の民意がはっきり示されました。
それにもかかわらず安倍政権がやっていることは何かと言えば、翁長新知事への面会や対話は拒否する。沖縄振興予算は削減する。県民のみなさんの抗議行動を強制排除して海上作業を再開する。まさに強権的なやり方で聞く耳を持たないということです。これは民主主義の国では許されない対応だと思うのですね。
私が、沖縄の新基地建設で言っておきたいのは、「普天間基地の移設」ということをよく言われるのですが、おこなわれようとしていることは、「移設」という生易しいものではないということです。つくられようとしている新基地には、長さ３００㍍もの岸壁を持つ、強襲揚陸艦という４万㌧の船が接岸できるそういう軍港までつくられるということです。耐用年数は２００年です。
こんな暴挙は許さないために、沖縄と本土が一体になって、これも大闘争を起こしていきたいと思います。
島田・中川 ありがとうございました。
志位 ありがとうございました。
( ２０１５年０１月２６日，「赤旗」)
歴史認識、憲法問題―「自共対決」が鮮明に／志位委員長が発言／ＮＨＫ「日曜討論」
〈歴史〉
安倍晋三首相は２５日のＮＨＫ番組「日曜討論」の党首インタビューで、８月に発表する「戦後７０年談話」について、「（歴代政権が）いままで重ねてきた文言を使うかということではなく、安倍政権として（戦後）７０年を迎えてどう考えているかという観点から談話を出したい」とのべ、過去の「植民地支配と侵略」に「痛切な反省と心からのおわび」を表明した村山富市首相談話（１９９５年）の文言をそのまま用いることに否定的な考えを明らかにしました。
安倍首相は「今までのスタイルをそのまま下敷きとしておきながら（新談話を）書いていくことになれば、『今まで使った言葉を使わなかった』、あるいは『新しい言葉が入った』という、こまごまとした議論になっていく」とのべました。「キーワードを同じように使うことではないのか」と司会に問われ、「そういうことではない」と明言しました。
同じ番組に出演した日本共産党の志位和夫委員長は首相発言について「（村山談話の）一番の核心的な部分はあいまいにしていこう、そして後退させていこうということが、はっきり出た発言で、非常に重大だと思います」と厳しく批判しました。（志位委員長発言３面）
さらに志位氏は「戦後７０年｣について｢日本がアジア諸国と本当の『和解と友好』に向かう転機の年にする必要があると思います」と強調。歴史的節目の年に際して「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」（別項）を具体的に提案しました。
〈憲法〉
また安倍首相は、過激組織「イスラム国」への空爆など国連決議を伴わない米国主導の「有志連合」による軍事行動について「後方支援は武力行使ではない。憲法上は可能であるというのがわれわれの考えだ。政策的にやるか、やらないかということになる」とのべました。
これに対しても志位氏は「先ほど『イスラム国』の問題がでていましたが、ああいう事態にさいしてアメリカが空爆をやる。それに対する（後方）支援について、政策上は当面やらない、しかし、（憲法上は可能だといって）否定はしない。非常に重大です。『海外で戦争する国』づくりは許されない」と厳しく批判しました。
集団的自衛権行使の一番の危険は、自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って米軍と肩を並べて戦争することにあるとのべ、行使容認の「閣議決定」の撤回とともに、これを具体化する法整備や日米「ガイドライン」の再改定の中止を強く求めました。
歴史認識と集団的自衛権をめぐる重大問題で「自共対決」が鮮明になりました。
五つの基本姿勢
①「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きに対してきっぱり反論する
②日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出す
③靖国神社参拝は、侵略戦争肯定の意思表示を意味するものであり、少なくとも首相や閣僚の参拝はおこなわないことを日本政治のルールとして確立する
④民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、立法措置を含めて、政治が断固たる立場にたつ
⑤「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの立場を、学校の教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくす
( ２０１５年０１月２６日，「赤旗」)
本立て／抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心／青木理著
「歴史修正主義と全面対決」「闘うジャーナリストが、右派の跳梁（ちょうりょう）に抗する」の帯の言葉が熱い。異様なバッシングの渦中にある「朝日」の現役、ＯＢへのインタビューを重ね、「朝日慰安婦報道問題」の「核心」に迫ります。
著者は〝誤報を認め、訂正・謝罪することは当然〟としつつ、問題の本質は別と指摘。「売国」「反日」と攻撃する一部メディア、権力の動きに「日本社会が歪（ゆが）んだ変質を遂げつつあることを示す『歴史的事件』」と警鐘をならします。
（講談社 １４００円）
(２０１５年０１月２５日，「赤旗」)
第３回中央委員会総会／歴史問題／アジアとの「和解と友好」へ五つの基本姿勢を提唱
志位和夫委員長は、第３回中央委員会総会への報告で、戦後７０年の歴史的節目の年にあたり、歴史問題で「日本の政治がとるべき五つの基本姿勢」を提唱しました。
第一は、「村山談話」「河野談話」の核心的内容を継承し、談話の精神にふさわしい行動をとり、談話を否定する動きにきっぱりと反論することです。
第二は、日本軍「慰安婦」問題について、被害者への謝罪と賠償など、人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すことです。
第三は、国政の場にある政治家の靖国神社参拝は、侵略戦争肯定の意思表示を意味し、少なくとも首相や閣僚による靖国参拝は行わないことを日本の政治のルールとして確立することです。
第四は、民族差別をあおるヘイトスピーチ根絶のため、立法措置を含めて、政治が断固たる立場に立つことです。
第五は、「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、教科書に誠実かつ真剣に反映させる努力をつくすことです。
(２０１５年０１月２５日，「赤旗」)
地方発／北星学園大学脅迫問題／市民の声が動かした／学びの輪広げ共同さらに発展を／札幌市
北星学園大学（札幌市）が、朝日新聞記者時代に日本軍「慰安婦」報道にかかわった非常勤講師の植村隆氏を解雇するよう脅迫されていた事件は、いったん解雇の意向を表明した大学側が昨年末、雇用の継続を決めて、解決の道筋が見えてきました。この問題にかかわった弁護士と市民に聞きました。
（北海道・秋山強志）
市民らが２０１４年１０月に立ち上げた「負けるな北星！の会」（マケルナ会）の呼びかけ人の一人、齋藤耕弁護士は、この間の活動を振り返り、「電話や脅迫状による卑劣な攻撃に対して、多くの市民が『大学を応援しよう』と声をあげ、大学当局の決断を促した。市民の運動の大きな成果です」といいます。
雇用継続を決断
大学が脅迫事件を公表してすぐ結成されたマケルナ会は、２回のシンポジウムを開催。多くの大学、法曹関係者、市民の参加で成功させました。これと並行して、全国の弁護士らが大学に対する脅迫状と電話での業務妨害を札幌地検に告発。支援の世論が広がるなかで、当初、元記者の契約を更新しない意向を表明していた大学側は姿勢を変え、雇用継続に踏み切りました。
大学に対する脅迫がすべてなくなったわけではありません。昨年末には新たな脅迫状が送り付けられました。
齋藤氏は「市民の運動が大学を守ったという意味で、大きな成果ではありますが、今後、大学の自治・学問の自由を貫く上で、市民が大学を支援する活動はますます大事になっています」といいます。
区民の枠超えて
同じくマケルナ会の呼びかけ人で「北星学園の平和宣言を支持する厚別区民の会」の新西孝司代表は、「大学は、苦しみながらも、雇用を継続するという立派な結論を下した。僕らも励まされました」と喜びます。
「区民の会」が始めた、「平和宣言」をかかげる北星学園を支援する署名運動は、区民の枠を超えて道内各地に広がりました。
新西さんは「普通の市民が、この問題を自らのこととして自発的に協力を申し出てくれました。いままで経験のないことです」といいます。
日本とアジアの近現代史を学ぶサークルを主宰する新西氏は、大学と元記者へのバッシングに、ヘイトスピーチと共通するものがあると指摘します。
「攻撃の背景に、『慰安婦』問題や南京大虐殺など日本の負の歴史を消しさりたいという意図を強く感じます。学びの輪を広げることで、これに対抗していきたい」と話しています。
(２０１５年０１月２５日，「赤旗」)
「慰安婦」問題を考える／吉見氏迎え講演会／北海道の会
「日本軍『慰安婦』問題の解決をめざす北海道の会」は２０日、中央大学の吉見義明教授を迎え、「慰安婦」問題を考える講演会を札幌市で開きました。
朝日新聞による「吉田証言」報道の取り消しに関わって、「慰安婦」問題自体がなかったかのような論調がある中、改めて考えてみようと開かれたもの。
吉見氏は、軍の統制・管理のもとに戦地に慰安所がつくられていった過程を、関係者の証言・記録をもとに解明。「慰安婦」には「廃業の自由」や「外出の自由」などが認められていたという主張に対して、内務省令や軍慰安所規定、元「慰安婦」の証言を紹介し、「自由はなかった」と反論しました。吉見氏は「日本は、『慰安婦』問題に代表される『過去』を克服することで新たな誇りを持つことができる」と訴えました。
悪天候で交通機関が乱れるなかでしたが、会場いっぱいの約１６０人の市民らが参加しました。「戦争中の行為を正当化しようとする大きな力が働いているようで不安」という女性（６２）は「戦争や日韓関係の歴史を改めて学ぶことが必要だと感じました」と話していました。
(２０１５年０１月２３日，「赤旗」)
「慰安婦」報道／第三者委報告受け申し入れ／「朝日」に研究者ら
朝日新聞社が自社の日本軍「慰安婦」報道について検証するため設置した第三者委員会の報告書が公表されたことを受け、歴史や人権問題に関わる研究者・弁護士は２２日、同社に第三者委員会の構成の適正化などの申し入れをし、国会内で記者会見を行いました。
申し入れを行ったのは、恵泉女学園大学の内海愛子名誉教授、大森典子弁護士、東京外国語大学の金富子、中野敏男両教授、一橋大学の田中宏名誉教授、関東学院大学の林博史教授、歴史学研究会委員長の久保亨氏。「慰安婦」問題の本質を否定する議論や女性の人権の視点が抜けていることなど報告書の問題点を挙げ「検証は、ジャーナリズムの基本に立って、政治的勢力から独立して、この問題の本質をふまえた議論ができる委員によってなされるべき」だと改善を求めました。
１９９７年３月３１日付「朝日」社説の「『慰安婦』の募集や移送、管理などを通して、全体として強制と呼ぶべき実態があったのは明らか」という部分を、報告書は「議論のすりかえ」と批判しています｡林教授は｢報告書の〝最大の問題点〟だ｡『朝日』自身や、研究の到達点が否定されようとしている。報告書は人権問題という視点がなく、委員の構成による問題点が現れてしまった」とのべました。
第三者委員会は２０１４年１２月２２日に報告書を公開し、同社は報告書を受けた「改革の取り組み」を表明しています。
( ２０１５年０１月２３日，「赤旗」)
戦後７０年と日本のいま／同志社大学教授岡野八代さん／明治大学教授山田朗さん／上
自民の教育介入学生に影響・同志社大学教授岡野八代さん／加害体験、歴史として記録を・明治大学教授山田朗さん
戦後７０年、日本は戦争の記憶をどう継承してきたのか、再び戦争をしないため求められていることは何か。山田朗明治大学教授（日本近現代軍事史）と岡野八代同志社大学教授（政治思想史）に語り合ってもらいました。
「戦後５０年」と何がちがうか
岡野 戦後７０年を考える時、２０年前の戦後５０年と比べてみる必要があると思います。元日本軍「慰安婦」として初めて韓国の金学順さんが日本政府に謝罪と補償を求める訴訟を起こしたのが１９９１年でした。世界や東アジアの政治の動きにもおされ、９５年は国家として過去の植民地支配やアジア諸国に与えた戦争被害の議論をどう進めていくかを見直す大きな機会でした。戦後５０年たってようやくこれからというところだったのに、その後の２０年で後退しました。
なぜか。安倍首相が初めて国会議員になったのが９３年です。「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会｣の事務局長なども務め､強烈な巻き返しをはかりました。彼が最初に首相になった２００６年には、教育基本法を改悪しました。
山田 戦後５０年と戦後７０年。何が違うかというと加害体験の消滅です。敗戦時２０歳ですと、戦後５０年で７０歳。この２０年で加害体験者はほとんどいなくなってしまいました。
ドイツではユダヤ人虐殺の記憶は、体験者が語っているだけではいけないと、１９７０年代に新しい世代に継承する努力が行われました。日本では６０年代後半からアジア諸国に対する加害意識が芽生え、ある程度記録もされてきましたが、若い世代に具体的な実相を伝えられないままになっていたと思います。
岡野 一般の市民レベルでは日本国民自身、多大な被害を受けても補償されなかったため、被害者意識が強く、加害性に向き合うのは難しかったのではないでしょうか。加害行為をするから戦争はいけないという振り返り方はしてきませんでした。
土台の継承が不十分な中で
山田 同じ戦争体験でも、被害体験を語れる方はまだいらっしゃるし、家族にも話せます。しかし殺人やレイプ、略奪などの加害体験は、親から子へと語り継ぐことは難しい。歴史として記録しないと風化します。
日中戦争に行った兵士で「慰安所」を知らない人はまずいません。そこにいた女性たちの悲惨な境遇も目にしていました。そうした土台があって、９３年に「慰安婦」問題で日本軍の関与と強制性を認めた河野談話、９５年に植民地支配と侵略のおわびを表明した村山談話を出せたのだと思います。ところが次々体験者が亡くなって土台が崩れ、継承も不十分でした。加害の記憶が空中楼閣のように漂い、今攻撃にさらされています。
岡野 例えば、ルソン島などフィリピン戦線の最前線に当時ピー屋と呼ばれた「慰安所」があったという事実一つとってみても、論理的に考えれば、当然軍隊が関わっていると分かります｡しかし､学生たちは「慰安婦」問題を学ばずに大学に入ってくるので、なかなか信じられない。この十数年「慰安婦」の記述を教科書から削除させるなど、自民党が教育に介入してきたことは大きいですね。
山田 日本軍が「慰安所」を設置したのは１９３２年、第１次上海事変が起きた中国の上海でした。中国から､さらにアジア･太平洋地域へと日本軍が進出していく先々につくられました。まさに日本の侵略戦争から生まれたものでした。
「慰安婦」にされた人には日本の植民地だった朝鮮の女性が多い。この問題には、「慰安所」を必要とした天皇の軍隊のあり方、植民地支配のあり方、女性の置かれた立場、戦後補償のあり方、という大きな四つの問題が折り重なっています。
学校の歴史教育は、なぜそれが起きたのか、なぜ重要なのか、意味を考えるところまでいかないといけません。歴史を通してみると、現代に起こっていることの本質が見えてくることも多々あります。
岡野 「慰安婦」問題は、戦時における女性に対する性暴力として、世界の関心も高い。日本政府に謝罪と補償を求めた元「慰安婦」の女性たちのたたかいが、旧ユーゴ紛争で起きた集団レイプの問題などで責任者を裁く国際法廷の設置などに影響を与えています。日韓問題として議論されがちですが、国際的な視野で考えていくことも大切です。
（つづく）
おかの・やよ １９６７年生まれ。京都９６条の会代表。著書に『法の政治学』『シティズンシップの政治学』『フェミニズムの政治学』ほか。
やまだ・あきら １９５６年生まれ。明治大学平和教育登戸研究所資料館館長。著書に『大元帥・昭和天皇』『日本は過去とどう向き合ってきたか』ほか。
( ２０１５年０１月２０日，「赤旗」)
戦後７０年と日本のいま／下／同志社大学教授岡野八代さん／明治大学教授山田朗さん
岡野八代さん（同志社大学教授）・〝国家は国民のため〟が大前提／山田朗さん（明治大学教授）・新たな犠牲者生む歴史の修正
山田 今の学生にとって戦争は教科書の中に存在しているもので、過去として切り離されています。ただ、自分の地域や学校に、かつて戦争があったことを学ぶと、歴史を振り返る目が変わり、自分も歴史の流れの中にいるという実感をつかむことができます。
岡野 ７０年前のような市民を巻き込んでの総力戦を思い出すだけでは、足りない気がします。アメリカを見ていると、他国を攻撃しているにもかかわらず、国民に戦争の実感がありません。
実態に合わせ自衛隊を正式な軍隊にせよという議論がありますが、軍隊をもつと市民にどういう影響があるのか、議論した方がいい。
民間人を監視、捜査した憲兵
山田 自衛隊をかつての軍隊と比較すると、大きな違いがあります。例えば自衛隊には憲兵がいないことです。憲兵は軍隊の中の警察で、軍隊の治安維持を担いますが、スパイ活動を抑えるために民間人への監視・捜査ができます。
昨年末施行された秘密保護法は、何が秘密であるかを知る人でなければ秘密漏えいなどの事件を取り締まれません。今の自衛隊には逮捕権限がないので、自衛隊の秘密の内容を明かして警察に捜査、逮捕を頼まなければならない。しかし秘密は警察にも知られたくない。そこで軍隊の中で逮捕権を持つ憲兵が必要となると、これは質がガラっと変わる。自衛隊は非常に強力で軍隊に近いものになります。
自民党の改憲草案には、国防軍をつくり、軍事裁判所のようなものを創設するとあります。そうなると憲兵のような存在が必要になる。次にこの点が狙われるのではないか。きちんと批判していかないといけません。
岡野 安倍首相は８月１５日に戦後７０年談話を出すといいます。「グローバル人材の養成」などといいながら、自国の歴史をわい曲していては、他国の人々と議論をしていけません。
山田 過去の失敗は客観的に見ないといけません。例えば日露戦争で日本が勝ったのは、ロシアと対抗していた英米に国債を買ってもらい戦費を調達できたからです。薄氷を踏むような危うい戦争でした。日本が強くて勝ったと単純化されたイメージが後世に引き継がれました。歴史修正主義の人がよく「日本人の誇り」などと言います。では日本人を含め戦争の被害にあった人たちの誇りはどうなるのですかと問いたい。過去の犠牲者に何も感じない政治は、確実に新しい犠牲者を生みだします。
失敗生かした人権、立憲主義
岡野 １９世紀、２０世紀は戦争の世紀で、政治は大きな失敗の連続でした。その中で２０世紀後半にようやく人権や立憲主義といった理念が国連憲章や世界人権宣言、さまざまな条約の形に実りました。日本国憲法も、日本の失敗だけではなく、世界の失敗から学んだ上でできたものです。
自民党の改憲草案では、国民は国家のために存在しているとありますが、国家は国民のために存在しているという大前提を、政治がいかに認識し直せるかが問われています。情報公開や歴史教育のあり方など、根っこから反省して、新たな民主主義に向けて歩んでいく必要があります。
（おわり）
( ２０１５年０１月２１日，「赤旗」)
２０
米教科書に訂正要求
菅義偉官房長官は１９日午後の記者会見で、米国の一部の公立高校で使用されている世界史の教科書について、従軍慰安婦問題などに関する説明に「重大な事実誤認や日本政府の立場と相いれない記述がある」として、出版元の米マグロウヒル社に訂正を要求したことを明らかにしました。
この教科書は、従軍慰安婦に関し「日本軍が１４～２０歳の約２０万人の女性を強制的に徴用した」と記述。別の項目では、日本海とともに韓国側の呼称「東海」も併記した地図を掲載しています。
こうした点について政府は昨年１２月中旬、ニューヨーク総領事館を通じて同社幹部に訂正を申し入れました。
( ２０１５年０１月２０日，「赤旗」)
「戦争する国」許さない／証言語り継ぐ／愛知の小学校教員、平和教材ＨＰ公開
抑留体験者→孫の担任→その教え子
「戦争の本当の姿とはどのようなものだったのか」―。戦争体験者の手記や資料を一冊にまとめ、平和教育の教材としてホームページに無料で公開している学校の先生がいます。
（釘丸晶）
教材のタイトルは、「シベリア抑留と満州棄民～戦後に始まった悲劇の証言集」。作成したのは愛知県日進市の小学校教員・水野晴仁さん（４８）です。同県豊明市の橋詰四郎さん（８９）が書きためてきた手記、橋詰さんが２０年以上取り組んでいる「戦争体験を語り継ぐ集い」の証言が元になっています。
橋詰さんが召集されたのは１９歳の時でした。第２次世界大戦末期、２０歳だった徴兵年齢が１９歳に引き下げられ、「最後の皇軍（天皇の軍隊）」として旧満州（現在の中国東北部）の国境守備隊の一員になりました。終戦直前に参戦したソ連軍と激戦を繰り広げ、１９４５年８月２１日に降伏。シベリアに抑留され、４７年に帰国しました。
橋詰さんは抑留体験を手記にまとめるとともに、８９年から「戦争体験を語り継ぐ集い」を開いています。その中で２００２年、孫の担任だった下原九州男（しもはら・くすお）先生と知り合いました。
師の遺志を継ぎ
下原さんが課外授業で生徒に祖父母の戦争体験を調べてリポートで発表させていると知るとさっそく連絡を取り､交流を開始｡以来､下原さんが生徒を連れて｢集い｣に参加･発表したり､橋詰さんが中学校で戦争体験を語るなど交流が続きました｡
０７年、末期がんの診断を受けた下原さんが「僕の後継者」と橋詰さんに誇らしげに紹介したのが水野さんです。
水野さんは、小学校時代の担任・下原さんに憧れて、教員になる夢を抱いていましたが、大学卒業後は民間企業に就職。その後、教員採用試験の社会人特別選考で合格しました。０８年３月に５９歳で亡くなった下原さんの後を引き継ぐように、翌４月から教員としての一歩を踏み出しました。
橋詰さんが、そんな水野さんに戦争体験の手記や証言集などの資料を託し、昨年１１月、１冊の教材としてまとめられたのです。
ビジュアル配慮
水野さんは｢とにかく資料が膨大でどうまとめたらいいのか悩んだ｣と話します｡それでも｢字ばかりでは読んでもらえない｡もっと写真やイラストを盛り込んだほうが｣と全国強制抑留者協会の展示会や舞鶴引揚記念館､市の図書館､インターネットなどで探しました｡教材の中心となる橋詰さんの手記は戦争体験だけでなく､当時の時代背景や生活が､写真やイラストとともに分かりやすく描写されています｡
証言も兵隊、従軍看護婦や日本軍「慰安婦」、一般市民など多彩。当時満州にいた全階層がどのように戦争に巻き込まれていったのか描かれています。
橋詰さんは｢戦後､日本には天皇や『日の丸･君が代』、靖国神社など僕たちを侵略戦争に巻き込んだものが残され、あの戦争がどんなものだったのか口にしづらい雰囲気を作ってきた。そのため本当のことが隠されてきたのです」と指摘します。
安倍政権が「戦争する国づくり」に暴走するいま、「この教材の中から『隠す戦争、教えない戦争』をぜひ探し出してほしい」と話しています。
◇
同教材は、ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｇｅｏｃｉｔｉｅｓ．ｊｐ／ｍｉｚｎｅｙ＿ｌａｎｄ／ からダウンロードすることができます。
( ２０１５年０１月２０日，「赤旗」)
朝の風／詩で中韓との架け橋
戦前の復活をめざす政治に呼応して、近年中韓に反発する社会風潮がつくり出されているが、逆に中韓との相互理解を深める活動も粘り強く行われている。『詩人会議』２月号は詩で中韓との架け橋をつくり出す業績にスポットをあてている。
佐川亜紀「日韓現代詩交流への大きな励まし」は、佐川さん自身が受賞した韓国の昌原ＫＣ国際詩文学賞の感想である。それは他国の詩人の発掘と韓国文学の世界化のために制定された賞だ。慰安婦問題などでの日本政府の恥ずべき態度にもかかわらず日本の詩人が選ばれた。むろん佐川さんが一貫して日本帝国主義の犯罪、在日コリアンへの差別、アジア各地の被害者の苦しみを描き、韓国詩の日本語訳にも貢献してきたからである。
石子順「愛するものたちへの思いをうたう詩」は中国詩をとりあげている。蒋介石政権下でのホー・チ・ミンの中国語の獄中詩、民主政治を求めて今も獄中にあるノーベル平和賞受賞者の劉暁波の詩も紹介されている。四川大地震の悲しみをうたった日本語の詩集『石の記憶』でＨ氏賞を受賞した中国人詩人田原は、北京で『谷川俊太郎詩選』を出して文学賞を受賞した。多数の現代詩人の訳詩集を出し、中国で日本の詩の評価を高めるのに貢献している。
（槐）
( ２０１５年０１月１９日，「赤旗」)
旧日本軍慰安所跡が記念館へ／研究者「侵略戦争理解の場に」／年内にも公開／中国・南京
中国江蘇省南京市に残る、中国を侵略した日本軍兵士が使用していた慰安所跡が、年内にも記念館として公開される予定です。記念館開館準備が進む同地を訪れました。
（南京＝小林拓也）
南京市中心部の利済巷にある慰安所跡地。約２０００平方㍍の敷地に７棟の建物が残されています。アジア最大の旧日本軍の慰安所と呼ばれています。
建物は、１０年前まで低所得者の集合住宅として使われていました。その後、取り壊し計画があり、住民が立ち退いて空き家に。０８年に火災が起き、今も壁は黒ずみ、多くの窓も割れたままです。
市の保護遺跡
南京の歴史研究者らは、数少ない慰安所跡として保存するよう一貫して要求してきました。１４年６月に南京市の保護遺跡に指定され、今年春から始まる本格的改修工事に向け準備が進んでいます。
この慰安所に詳しい南京師範大学の経盛鴻教授によると、敷地内には二つの慰安所がありました。一つが、主に日本人「慰安婦」がいた「故郷楼慰安所」。その南側にあった「東雲慰安所」には、朝鮮半島から連れてこられた「慰安婦」がいました。２階建てで計３０部屋あり、言うことを聞かない「慰安婦」を閉じ込め、つるし上げてたたく小さな部屋もありました。
経教授による０３年当時の調査では、戦争中に付近に住んでいた複数の老人が、慰安所内に朝鮮服を着た若い女性がおり、毎晩のように軍服を着た日本兵が通っていたと証言。朝鮮半島出身の元「慰安婦」、朴永心（パク・ヨンシム）さん（０６年に８５歳で死去）は０３年にここを訪れ、１９３９～４２年にこの慰安所にいたと断言しました。
１９３７年１２月に南京を占領した旧日本軍は、南京市内に４０以上の慰安所を設置。日本人や朝鮮人だけでなく、現地の中国人女性も強制的に「慰安婦」にしました。
解決へ努力を
記念館建設の意義について、上海師範大学中国慰安婦問題研究センターの蘇智良主任は「訪れた人が、『慰安婦』制度の知識を深め、侵略戦争で起きた日本軍の暴行を理解する場になる」と語ります。また、日本の政府・与党内から「慰安婦」の強制性を否定し、「河野談話」を見直す動きが出ていることを批判し、こう強調します。
「『慰安婦』問題は、日本政府が侵略戦争で犯した罪を認識し反省できるかどうかの重要な試金石だ。戦後７０年の今年、日本政府は主導的に中韓などの被害国と会談し、歴史に残された問題解決の方法を話し合うべきだ」
( ２０１５年０１月１９日，「赤旗」)
第２次世界大戦終結７０年／第２部／安倍首相と逆流の系譜／３／メディア支配への欲望
安倍晋三氏にとって、侵略戦争を肯定・美化する歴史認識に立って、教科書攻撃をした「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」（「教科書議連」）の活動は〝過去〟のものではありません。
否定する運動一貫
昨年１０月３日の衆院予算委員会。朝日新聞の「慰安婦」問題での訂正報道に関連して、首相はつぎのようにのべたのです。
「中川（昭一）さん（元議連会長）を中心に教科書に事実であるかのごとく強制連行を書かれるのはおかしいという運動を展開してきた。ずいぶん時間はかかったが、だんだん強制連行の記述はなくなっていった。さすがに朝日新聞も、この段階においては認めざるをえなくなった、こういうことだろう」
勝ち誇ったかのような発言は、旧日本軍の関与と強制性を認め、謝罪した「河野談話」を否定する運動が首相のなかで一貫していたことを示しています。そこには、「慰安所」での強制使役＝性奴隷状態という本質を無視し、「官憲による人さらい」のような「強制連行」だけに問題をわい小化する、国際的に通用しない立場が現れています。
２０００年から０１年にかけても、首相は歴史改ざんのメディア介入事件を起こしています。０１年１月３０日に放映されたＮＨＫ教育の番組「ＥＴＶ２００１シリーズ 戦争をどう裁くか」の第２回「問われる戦時性暴力」が、政治家の圧力を受けて作り変えられた問題です。
骨抜きとつぶしに
「日経」記者出身でジャーナリストの阿部裕氏は、「この『女性国際戦犯法廷』の放送は真正面から、日本軍『慰安婦』をはじめ戦争犯罪をとりあげたものでした。内部の通報によってそれを知った安倍氏、中川氏はみずからの政治生命にかかわる問題として骨抜きとつぶしにかかりました」と指摘します。
実際、０５年１月の記者会見で当時のＮＨＫ理事は、安倍氏に番組内容を説明したと表明。その理由を、安倍氏らが「教科書議連」の幹部であり、そのなかで番組のことが話題になっていたことをＮＨＫ幹部が知っていたため、と説明します。
この事件は安倍氏の考えに近い人物のＮＨＫ経営委員への選任、籾井勝人会長の選出（昨年１月）への伏線となっています。
阿部氏は指摘します。「第１次政権が失敗した主な原因を『メディア対策』と『官僚の離反』に求めた安倍氏らは、『特ダネ提供』と冷遇という差別・情報操作による『対策』を強化しました。その最中に『朝日』の『慰安婦』検証問題が起きて、戦前・戦中のような翼賛的状況を再現した。これには、欧米の政権やメディアも『戦後秩序の否定』につながると警告したのです」
（つづく）
( ２０１５年０１月１９日，「赤旗」)
危険な安倍「教育再生」／教科書ネット四国で交流会
「子どもと教科書全国ネット２１」と徳島県の教科書ネット、教職員の会は１７日、徳島市で四国ブロック学習交流会を開き、２０１５年の中学校教科書採択で、戦争する国づくりの教科書を採択させない取り組みを強めようと話し合いました。
子どもと教科書全国ネット２１の俵義文事務局長は、安倍「教育再生」政策は、①グローバル競争を勝ち抜く大企業が求める人材育成と、②「国防軍」とそれを支える人材育成をめざすものだ、と指摘。南京虐殺や「従軍慰安婦」を「特定の事柄の強調にあたる」などと政府の主張を押し付ける検定基準改定をした上で侵略戦争美化の「つくる会」系の教科書の採択をすすめていると批判。「安倍政権の教育政策を広く知らせ、さまざまな運動と手をつなぎ、広範な大運動にしよう」と呼びかけました。
参加者は、教科書採択スケジュールを示し「地元の教育委員会の情報をつかみ、機敏な対応が大事だ」と活発に意見交換しました。
阿南市の女性教員（３２）は「特定の価値の押し付けは、生きづらさをもたらす。多様な教科書を採択すべきです」と語りました。
( ２０１５年０１月１８日，「赤旗」)
第２次世界大戦終結７０年／第２部／安倍首相と逆流の系譜／２／「教科書議連」足場に台頭
安倍晋三首相が台頭する舞台となったもう一つの議員連盟が、１９９７年に結成された「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」（略称「教科書議連」）です。日本の侵略戦争と植民地支配を肯定する歴史認識によって、子どもたちの教育を支配しようとつくられました。
自民党の当選５回以下の議員を中心に衆参８７人の議員が参加して結成。会長は中川昭一議員（２００９年死亡）、幹事長は衛藤晟一議員（現首相補佐官）でした。安倍氏はその事務局長に就きます。
「教科書議連」は９７年３月～６月、１９人の講師を招き９回の「勉強会」を開き、それをまとめて『歴史教科書への疑問』（展転社）を出版しました。
河野氏に撤回迫る
教科書ネット２１の俵義文氏は「講師の多くは教科書議連メンバーと考えを同じくする人物です。一方、同議連メンバーと意見を異にする講師には激しい詰問・追及をおこないました」とのべます。「慰安婦」問題で旧日本軍の関与と強制性を認めた談話を発表した河野洋平元官房長官も「会」に呼びつけて、「確たる証拠もなく強制性を先方（＝韓国）に求められるままに認めた」などと非難し撤回を迫ったのです。
同書で安倍事務局長も、河野談話を「事実より外交上の問題を優先し、また、証言者１６人（＝日本政府が聴取した元「慰安婦」）の聞き取り調査を、何の裏付けも取っていないにもかかわらず、…発表したものであることも判明しました」などと非難しました。
「当時の軍を中心とする政府の関与があった」ことを、「慰安所規定」など当時の文献も示して説明した石原信雄元官房副長官にたいしても、安倍氏は「強制的に連れて行かれた」なら周囲はその事実を知っているはずだなどと「強制連行」にのみ話を狭めようとします。
なぜ１３年で首相に
第３次安倍内閣には、９７年当時の「教科書議連」から８人の議員が入閣しています。
「教科書議連」を足場に、０４年に党幹事長だった安倍氏は「国家的重要課題」として地方党組織に「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択に全力をあげるよう通達。安倍政権と「教科書議連」は今日につづく教科書攻撃・歴史改変の教科書採択の震源地になっています。
さらに右翼改憲団体の総本山・日本会議と連携する「日本会議国会議員懇談会」が９７年に結成され、安倍氏は結成時から参加し中心になって活動します。
「安倍氏が議員になってたった１３年で首相になれたのは、まさにこうした議連や仲間にリーダーとして支えられたから。最右翼の議員グループと、民間の改憲勢力が支持基盤なのです」と俵氏は指摘します。
（つづく）
９７年に「教科書議連」に参加していた第３次政権の閣僚
氏名 大臣 議連での役職
安倍晋三 首相 事務局長
高市早苗 総務 幹事長代理
岸田文雄 外務 勉強会参加
下村博文 文部科学 事務局次長
塩崎恭久 厚生労働 勉強会参加
中谷 元 防衛 委員
山口俊一 沖縄北方 委員
菅 義偉 官房長官 委員
( ２０１５年０１月１８日，「赤旗」)
「慰安婦」被害で中学生向け展示／京都
「今こそ『慰安婦』被害者の声を聴こう！『中学生のための「慰安婦」パネル展』」が１６日から「ひと・まち交流館 京都」（京都市下京区）で始まりました。１８日まで。京都市議会に「慰安婦」意見書を求める市民の会、ハーグの会、アムネスティ・インターナショナル日本の主催。
パネル展責任者で市民の会世話人の山下明子さんは「朝日新聞の『誤報』点検記事でこの問題が終わったかのように感じている人や教科書から記述が削除されたことで事実をよく知らない中学生や高校生に『慰安婦』被害者の実態を詳しく知ってほしい」と語っています。
戦時中に日本軍がアジア各地に「慰安所」を設置し、軍のもとで管理・統制された実態を「慰安所」の利用規定などの旧日本軍の資料や当時の写真などで詳しく説明しています。「慰安婦」被害者が証言するドキュメンタリー映画も常時放映しています。
参加した木村幸一さん（６７）＝上京区＝は「展示の記述などがとても分かりやすかった。『慰安婦』問題がまるでなかったかのように伝える報道もありますが、それはおかしい。この事実を若い人にも知らせていきたい」と話していました。
展示時間は午前１０時から午後８時（１８日は午後４時まで）。東京造形大学の前田朗教授による講演会「『慰安婦』に対するヘイトスピーチとは何か」（１７日午後２時）、ドキュメンタリー映画の上映会（１８日午前１０時半、午後１時、午後３時からの３回上映）があります。入場無料。
(２０１５年０１月１７日，「赤旗」)
第２次世界大戦終結７０年／第２部／安倍首相と逆流の系譜／１／侵略美化本と「英才教育」
「『戦後レジーム（＝体制）からの脱却』が日本にとって最大のテーマであることは、私が前回総理を務めていた五年前と何も変わっていない」。著書『新しい国へ』（２０１３年発行）でこう宣言する安倍晋三首相。憲法改悪を公然とめざし、過去の侵略戦争と植民地支配を肯定・美化する歴史逆流の震源地となっている首相の歴史認識は、どこから生まれたのか―。第２部は、その黒い系譜を追います。
『大東亜戦争の総括』（展転社）という大判の本があります。２０年前の１９９５年８月１５日、自民党の「歴史・検討委員会」が編集・発行しました。「大東亜戦争（＝アジア・太平洋戦争）は正しい戦争だった」「南京大虐殺、『従軍慰安婦』はでっちあげ」だなどという侵略戦争美化論をまとめた本です。
安倍氏を〝抜てき〟 なぜこの本が生まれたのか―。
１９９３年８月、「非自民」連立の細川護熙政権が誕生。直後の記者会見で、細川首相はアジア・太平洋戦争について「私は侵略戦争であった、間違った戦争であったと認識している」と発言。これにたいして自民党内の右翼勢力、靖国関係３協議会（「英霊にこたえる議員協議会」「遺家族議員協議会」「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」）が強く反発、「東京裁判に毒された歴史観を建て直し、正しい歴史観を確立」しようと発足したのが「歴史・検討委員会」でした。
この委員会に初当選（９３年）したばかりの安倍氏が〝抜てき〟されて入るのです。
この委員会は後に「新しい歴史教科書をつくる会」を立ち上げる西尾幹二氏や高橋史朗氏らを講師に「見解聴取、討議」をおこない、その結果を『大東亜戦争の総括』にまとめたのでした。
歴史認識引き継ぐ 子どもと教科書全国ネット２１事務局長の俵義文氏は、同委員会の役割について、「『大東亜戦争』はアジア解放の戦争といい、南京大虐殺や日本軍『慰安婦』をでっちあげだと理屈づけることでした」と指摘します。
さらに「もう一つの役割」（俵氏）がありました。委員会の中心にいた奥野誠亮衆院議員（当時、元特高警察課長）、板垣正参院議員（当時、板垣征四郎＝Ａ級戦犯＝の次男）など、「歴史改ざんでは筋金入りの戦前世代の議員の歴史認識を、安倍氏など若手議員に引き継ぐことです。安倍氏は、後に『日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会』（「教科書議連」）を担う若手議員とともに、歴史わい曲の『英才教育』を受け、そのリーダー格になっていくのです」と指摘します。
（つづく）
( ２０１５年０１月１７日，「赤旗」)
「慰安婦」問題で日本の努力求める
公明党の山口那津男代表は１５日、党本部で韓日議員連盟の徐清源会長と会談しました。徐氏は日韓関係について、「中核的問題は慰安婦問題だ。韓国国民は被害者の名誉回復を望んでいる」と述べ、日本側の努力を求めました。
徐氏は「慰安婦問題が円満に解決され、関係改善の糸口を探ることができるようお願いする」と要請。山口氏は「慰安婦問題は日韓で乗り越えなければならない問題だ」と指摘し、「双方が受け入れられる策を立て、努力することが大事だ」と伝えました。
( ２０１５年０１月１６日，「赤旗」)
第２次世界大戦終結７０年／中国社会科学院近代史研究所元所長歩平氏に聞く／中日韓は対立やめ、ともに未来築こう
戦後７０年の今年、日本と中国はどのような関係を築くべきなのか。日中の現代史に詳しい中国社会科学院近代史研究所の歩平・元所長（６６）は、東アジアの協力を進める機会にすべきだと訴えます。
（北京＝小林拓也）
中日韓の東アジアでの協力を進めるべきだという点で、中日韓の学者はほぼ一致しています。しかし、東アジア協力の一番の障害は、日本の一部の右翼的政治家の誤った歴史認識です。歴史認識問題が解決できなければ、東アジアの連帯はできません。
新談話の中身は
戦後５０年の１９９５年に、日本政府は「村山談話」を発表し、侵略の反省とおわびを示しました。東アジアで良い関係を築いていくという決意の表れでした。戦後７０年という時期を利用し、日本政府は、歴史問題の解決のために、アジア諸国との交流を強めるべきです。
安倍首相は今年、「安倍談話」を出すと表明していますが、中国の学者はその中身を心配しています。
安倍首相は、「慰安婦」問題など日本の戦争責任を認めない傾向が強いので、談話の中でも日本の戦争責任にあまり触れないのではないかという懸念があります。日本が戦争責任を認めなければ、東アジアの協力は難しくなります。
また、安倍首相は日本の平和憲法の改定を目指しています。いま自民党が進める改憲は、日本が戦後７０年間歩んだ平和発展の道と対立しているものです。日本が戦争責任を認めない状態で、集団的自衛権の行使解禁などを進める姿勢を周辺諸国は危険視しています。
若者は歴史学べ
一方、一部の中国人は、日本との対立をあおっています。これには賛成できません。いまの日本を侵略戦争時の日本と同じように見るのは間違いです。戦後、多くの日本人が戦争責任を認めて反省したことを認識しなければなりません。戦後７０年の今年は、中日に対立や新たな恨みをつくるのではなく、共に未来をつくるときです。中国と日本の国民は共に平和を愛し、戦争に反対しなければいけません。
日本と同じように、中国でも戦争の歴史を知らない若者が増えています。多くの若者は歴史に関心がありません。また、戦争の歴史に関心はあるものの、一部の極端な情報ばかりを見て、偏狭なナショナリズムを主張する若者も一部にいます。
戦後日本が歩んだ平和発展の道を知らない若者もいます。これは今後重視しなければならない問題です。
日本の若者にも同じような問題があると思います。戦後７０年の今年を、中日韓の多くの若者が交流し、戦争の歴史を学ぶ機会にしてほしいと思います。
１９４８年生まれ。２０１１年９月まで中国社会科学院近代史研究所所長。現在は同研究所学術委員会主任。０６～０９年に行われた「日中歴史共同研究」で中国側座長を務めました。日中韓共同の歴史教科書作りを進めている「日中韓３国共同歴史編纂（へんさん）委員会」の中国側代表。
( ２０１５年０１月１５日，「赤旗」)
在日本大韓民国民団新年会での志位委員長の祝辞
日本共産党の志位和夫委員長が１４日、在日本大韓民国民団の新年会で述べた祝辞（要旨）は次の通りです。
私は日本共産党委員長、志位和夫です。新年おめでとうございます（以上、韓国語で）。
今年は戦後７０年、そして日韓国交正常化５０年の節目の年であり、この年が日韓の本当に心の通った友好に向かっての転機の年になるように、私たちも力を尽くしたいと考えています。
私は、日韓の本当の心の通った友好を築こうとすれば、過去の歴史に正面から向き合い、過ちを真摯（しんし）に反省し、未来への教訓として生かすことが何よりも大切だと考えています。
「村山談話」、「河野談話」については、一番の核心的部分をしっかりと継承しながら、談話の精神にふさわしい行動を取ることが、必要だと思います。
最大の懸案となっている日本軍「慰安婦」問題については、被害にあわれた女性の方々の人間としての尊厳が回復される解決が必要であります。
ヘイトスピーチ（差別扇動行為）の問題は、たいへん恥ずかしい問題であり、これが在日韓国人の方々をどれだけ傷つけているか計り知れません。政治が立法措置も含めて、これをなくす断固たる姿勢を示すことが必要であります（拍手）。
私は、昨年１０月、日韓議員連盟の一員として韓国を訪問し、青瓦台で朴槿恵（パク・クネ）大統領とお会いし、日韓・韓日議員連盟の合同総会に出席する機会がありました。
そこでもさまざまな交流がありましたが、日韓両国の国会議員の努力によって立派な「共同声明」が採択されたことを私たちも喜んでいます。
いろいろ大事な内容が盛り込まれていると思いますが、とくに私は二つの点が大事だと考えています。
一つは、この「共同声明」の中に、「村山談話」、「河野談話」を引き継ぐとともに、「それにふさわしい行動を取る」と明記されていることです。
もう一点は、「慰安婦」被害者の「名誉回復と心の傷を癒やすための措置を早急に取る」ということが明記されていることです。
私はこうした「共同声明」が全会一致で採択されたことは、日韓のさまざまな諸懸案の解決に向けての大きな一歩だと考えています。
こういった前向きの流れも大きな力としながら、今年を日韓の本当の友好が発展する年にするために、私たち日本共産党は、日韓議連の一員としても、そして政党としても、力を尽くすことをお約束したいと思います。
最後に、永住外国人の地方参政権の実現の問題について、私たちは超党派で力を合わせ、知恵を絞って、この実現に向けて努力する（拍手）ということを申し上げまして、ごあいさつといたします。
（韓国語で）ありがとうございました。
( ２０１５年０１月１５日，「赤旗」)
日韓友好転機の年に／志位委員長が祝辞／在日本大韓民国民団の新年会
日本共産党の志位和夫委員長は１４日、都内で開かれた在日本大韓民国民団（民団）中央本部の新年会に各党代表らとともに出席し来賓の祝辞を述べ、呉公太民団中央本部団長、徐清源韓日議連会長ら内外の参加者と懇談しました。
（志位委員長の祝辞４面）
志位氏は、戦後７０年、日韓国交正常化５０年の今年を「日韓の本当に心の通う友好に向かう転機の年に」とあいさつ。「過去の歴史に正面から向き合い、過ちを真摯に反省し、未来の教訓に生かすことが何よりも大切です」と指摘し、日本軍「慰安婦」問題について「被害にあわれた女性の方々の人間としての尊厳が回復される解決」を呼びかけました。
日本で横行するヘイトスピーチ（差別扇動行為）をなくすため「政治が立法措置を含め断固たる姿勢を示すことが必要です」とも述べ、大きな拍手を受けました。
日韓議連の額賀福志郎会長は、「歴史を直視して未来志向に向かう必要がある」と述べ、日本によるアジア諸国への侵略、植民地支配の歴史を、反省すべきところはしながら日韓の関係を築き、１９９８年の両国首脳による「パートナーシップ宣言」に至った歴史を振り返りました。
韓国の朴槿恵大統領のメッセージを柳興洙駐日韓国大使が代読しました。
新年会には日本共産党から穀田恵二、池内さおり、堀内照文、本村伸子、宮本岳志各衆院議員、井上哲士参院議員が出席しました。
( ２０１５年０１月１５日，「赤旗」)
会談は「条件なしで」
菅義偉官房長官は１３日の記者会見で、韓国の朴槿恵大統領が日韓首脳会談には「慰安婦」問題解決に向けた日本の姿勢転換が必要との考えを示したことについて、「『慰安婦』問題を政治問題、外交問題にすべきではないというのが（日本）政府の基本的立場だ。隣国首脳が会うのに前提条件を付けるべきではない」と強調しました。
これに関し、岸田文雄外相は会見で「『慰安婦』問題をはじめとする過去の問題について、わが国としてこれまで最大限取り組んできた」「大局的な観点から未来志向で２国間の関係推進に取り組んでいきたい」と述べました。
( ２０１５年０１月１４日，「赤旗」)
「慰安婦」問題解決を／韓国大統領、日本に求める
【ソウル＝時事】韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領は１２日、年頭の記者会見を行いました。朴大統領は日韓首脳会談について「環境をしっかり整え、意味がある、一歩でも前進する会談にすべきだ。日本の姿勢の転換、変化が重要だ」と述べ、「慰安婦」問題解決のための日本の前向きな姿勢が前提との考えを改めて示しました。
朴大統領は今年、日韓国交正常化５０周年を迎えることに触れ「今年が、正しい歴史認識の下、両国が未来に向けて新たな出発をする契機になることを願う」と関係改善に意欲を表明しました。一方で、「元『慰安婦』は高齢で、早期に解決しなければ永久に未解決で残り、日本にとっても重荷になる」と早期解決を要求しました。
( ２０１５年０１月１３日，「赤旗」)
戦後７０年談話／「核心」を引き継がない首相／アジア諸国との関係壊れる
「安倍内閣としては、村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」（５日、年頭記者会見）
安倍晋三首相は戦後７０年の今年、新たな談話を発表する意向を示しています。その際、繰り返し冒頭のようなフレーズをのべてきました。この「全体として」という文言には、重大なごまかしがひそんでいます。
「侵略」認めず
首相は、「慰安婦」問題で旧日本軍の関与と強制性を認め、謝罪を表明した「河野洋平官房長官談話」（１９９３年８月４日）とともに、植民地支配と侵略に反省とおわびを表明した「村山富市首相談話」（９５年８月１５日）に対して、否定的な発言を繰り返してきました（別表）。
確かにこのなかでは、「受け継ぐ」「見直さない」とも言いましたが、「全体として」とか「現在」といった限定条件がついています。「部分としては引き継がない」「将来は見直す」という意図を読み取ることができます。
村山談話は「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えました」としています。
ところが、首相は植民地支配や侵略を認めた部分を省略して談話を読み上げ、安倍政権の立場だと答弁しています（１４年３月３日、参院予算委）。「植民地支配と侵略」は村山談話の核心部分です。これをかたくなに口にしようとしないところに首相の本音がみえます。
すでに、菅義偉官房長官も９日のＢＳフジの番組で、司会者から「新談話では『植民地支配と侵略』『反省』という言葉は残すのか」と質問されたのに対し、「同じものをやるんだったら新たに談話を出す必要はない」と答え、別の表現にすることを排除していません。
骨抜きになる
河野談話に関しても首相は「継承する」と一方でいいながら、事実上否定する発言を繰り返しています。首相に近い、自民党の萩生田光一総裁特別補佐は昨年１０月、「新たな談話を出すことによって、結果として骨抜きになる」とまで発言しています。
過去の侵略を肯定・美化するゆがんだ歴史認識のもとで新談話を出すならば、アジア諸国との関係は決定的に壊れてしまいます。侵略戦争を断罪した戦後の国際秩序に対する重大な挑戦です。
村山、河野談話をめぐる首相語録
◆河野談話の核心は強制連行。朝鮮半島で家に乗り込んで強制的に女性を人さらいのように連れて行った、そんなことを証明する資料はなかった。子孫の代に不名誉を背負わせるわけにいかない（２０１２年９月１４日、自民党総裁選）
◆（村山談話は）安倍内閣として、そのまま継承しているわけではない（１３年４月２２日、参院予算委員会）
◆（村山談話について）あいまいな点がある。特に侵略の定義は、学界的にも国際的にも定まっていない（１３年４月２３日、参院予算委）
◆（村山談話について）政権としては全体として受け継いでいく（１３年５月１５日、参院予算委）
◆（河野談話について）安倍内閣で見直すことは現在考えておらず、新たな談話を発表することも現在考えていない（１４年１０月１日、衆院本会議）
◆（日本軍「慰安婦」問題に関して）日本が国ぐるみで性奴隷にした、いわれなき中傷がいま世界で行われている（１４年１０月３日、衆院予算委）
( ２０１５年０１月１２日，「赤旗」)
シリーズ戦後７０年を考える／今も苦しむ軍「慰安婦」たち／関西学院大学元教授野田正彰さんにきく
被害者を精神鑑定した関西学院大学元教授（精神医学）野田正彰さんにきく／ナチ収容所生還者と同じ／事実認めることが真の謝罪
戦後７０年―。日本軍「慰安婦」問題で安倍晋三首相は、軍の強制性を否定し、「性奴隷はいわれなき中傷｣と開き直っています｡しかし性奴隷とされた女性は、戦後も重い精神的後遺症に苦しんできました｡その実態を中国･海南島の被害者らを精神鑑定してきた関西学院大学の野田正彰元教授(精神医学)に聞きました。
本吉真希記者
野田さんは２００７年３月と６月に海南島を訪れ、生存者６人の精神鑑定を行いました。６人は海南島裁判（別項）の原告です。
「最悪の精神状態にあった」と野田さんがいう譚亜洞(たん･あどう）さん（１９２５年７月生まれ、２０１０年９月死去)｡１６歳のころ日本軍に徴用され、駐屯地で働かされ、性暴力を受け続けました。譚さんの体験は…。
―兵士の相手をするのを嫌がると谷へ突き落とされ、左の骨盤を骨折。戦後も腰は大きく左へ曲がったまま。
―四つ足の牛のような姿勢をとる拷問を受け、姿勢が崩れるたびにこん棒で打ちのめされた。
―軍慰安所で逃走に失敗した少女の虐殺を見せられた。日本兵は妊娠しているその少女の腹を銃剣で切り裂き､胎児を取り出した｡
「日本兵は徹底して死の恐怖を植えつけた」と野田さん。「いかなる助けも支えもない時間の継続は、生き残った少女たちの精神を変えた｣と指摘します｡終戦後、日本が復興に向かう一方で、被害者には耐え難い戦後が始まりました。
譚さんは野田さんにこう証言しました。
「昼間突然、拷問や強かんの場面が浮かぶ。そんな日は夜も悪夢にうなされる。道端の木が何か叫んでいるように見える。腹を裂かれて殺された少女の夢をよく見る。悪夢で叫んで跳び起きると、冷や汗がべっとりと出ている。…いまの娘たちと同じように私も歌ったり、おしゃべりをして生きたかった」
人格の変化
他の被害者も同様の精神的障害がみられました。１４歳で日本軍の駐屯地に拉致・監禁され、強かんされた陳亜扁（ちん・あへん）さん（２７年１２月生まれ）は、次のように語りました。
「夜、突然緊張し、後ろで音がしたりすると、自分を連れ去る人が来ているような気がする。心臓が躍り、食事ができなくなり、そんな夜は寝られない」
野田さんは、６人すべてが重いＰＴＳＤ（心的外傷後ストレス障害）に苦しみ、うち５人は､ナチス･ドイツの絶滅収容所の生還者にみられる「破局的体験後の持続的人格変化」を伴っていると診断しました。
野田さんはこれらの被害事実を詳細に記した精神鑑定書を東京高裁に提出しました（０７年８月)｡鑑定書の意義について「慰安婦」問題は過去の問題と主張する日本政府に対し「戦後こんなにも被害が継続していることを証明した」と語ります。
高裁も認定
東京高裁判決（０９年３月）は５人について「『破局的体験後の持続的人格変化』に罹患（りかん）している｣と認定しました｡
被害者らは戦後、下腹部の痛みと炎症にさらされ、周囲に「日本の女｣と軽蔑されました｡野田さんは「苦しみのなか、やっと生きてきた」といいます。そんな彼女たちをさらに苦しめているのが、日本で繰り返される「慰安婦」の事実否定です。被害者らは「自分が生きてきたことを全否定されるような気持ちになる」と抗議してきました。
野田さんは加害国の政府の責任についてこう訴えます。
「国の責任で調べ、事実を認識し、明らかにする｡それを報道し､子どもたちに教える。これこそが真の謝罪です。それがあって初めて、困難を耐え抜いた人生の意味を被害者が追認できるのだと思います」
海南島裁判＝２００１年７月、日本政府に謝罪と賠償を求め、被害女性８人が東京地裁に提訴。最高裁まで争いました｡１０年３月、最高裁で原告の請求は退けられましたが、地裁と高裁で認定された事実は認められました。
高裁判決は「当時１４～１９歳の女性で…軍の力により威圧・脅迫して自己の性欲を満足させるために凌辱（りょうじょく）の限りを尽くした軍人らの加害行為は、極めて卑劣な行為であって厳しい非難を受けるべき」だと断罪。「（深刻な被害が）既に癒やされたとか、償われたとかいうことはできない｣としました｡
(２０１５年０１月１１日，「赤旗」)
ＮＨＫ 新版 危機に立つ公共放送／松田浩著／評者桂敬一元東京大学新聞研究所教授
政府から独立した放送の姿提起
同じ著者の前著『ＮＨＫ』の副題は「問われる公共放送」、今回新版のそれは「危機に立つ公共放送」。前著刊行の２００５年は、その４年前のＮＨＫ・ＥＴＶの従軍慰安婦番組改変が安倍晋三官房副長官（当時）の圧力によるものだったことを「朝日」が暴露した。番組ディレクターもその事実を認め、さらに受信料をめぐる不祥事も発生、視聴者の不信が募り、ＮＨＫを批判・監視する市民運動が急速に発展した年だった。
著者はその時点で、ＮＨＫが権力の下僕に堕す危険を察知、これを回避し、真の公共放送となるためには市民に依拠する方策を探れ、と提言していた。だが９年後のＮＨＫは、新版の副題のとおり、「危機」の深みに陥ってしまった感が否めない。
そこに至る経緯を振り返るとき、第２次政権の座に就いた安倍首相が財界と相談、ＮＨＫの会長に籾井勝人元三井物産副社長を任命、経営委員にも作家の百田尚樹氏、大学教授の長谷川三千子氏など超保守主義者や財界人多数を選任、安倍カラーの強い首脳部体制を敷いた動きが見逃せない。会長は就任記者会見で「ＮＨＫは政府が右といったら左とはいえない」と語り、物議を醸した。
著者はこのような直近のＮＨＫの危機を克明に描くとともに、政府から独立した公共放送の確保が目指されている世界的潮流や、安倍政権のＮＨＫ乗っ取りを批判する市民やＮＨＫ・ＯＢたちの組織的な抗議の動きなども詳細に伝える。この危機の克服や、ＮＨＫに限らない、これからの放送全体のあるべき姿を考えるうえで役立つ、多くの示唆を与えてくれる。
まつだ・ひろし ２９年生まれ｡メディア研究者｡『ドキュメント放送戦後史』ほか。
( ２０１５年０１月１１日，「赤旗」)
１０
文芸春秋社など提訴／中傷記事取り消し要求／元朝日記者
元朝日新聞記者で日本軍「慰安婦」報道に関わった北星学園大（札幌市）非常勤講師の植村隆氏は９日、同氏の記事を「ねつぞう記事」などと中傷する記事を掲載した『週刊文春』の発行元である文芸春秋社と中傷するコメントを寄せた西岡力氏（東京基督教大学教授）に対し、記事の取り消しなどを求める訴訟を起こしました。
提訴後、弁護団の主催で提訴報告集会が参院議員会館で開かれ、会場には座りきれないほどの参加者がつめかけました。
昨年１月末の『週刊文春』の報道後、非常勤講師となった北星学園大学への辞任を求める電話や脅迫状などが送り付けられ、家族やその友人までインターネット上での誹謗中傷の標的になったことを紹介。「まったく関係ない家族まで巻き込まれた。悔しくてならない」と、涙で声を詰まらせながら語りました。
植村氏が「名誉回復・人生の再生に向けてたたかう。私はねつぞう記者ではありません。不当なバッシングには屈しません」と話すと参加者から大きな拍手が起きました。
田島泰彦・上智大学教授（メディア法）が、朝日新聞の「慰安婦」や東京電力福島第１原発所長の「吉田調書」記事取り消しの問題などについて報告しました。
( ２０１５年０１月１０日，「赤旗」)
北星学園大にまた脅迫文／元記者の雇用継続／「慰安婦」報道関係
北海道警厚別署は８日、日本軍｢慰安婦｣報道に関わった元朝日新聞記者が非常勤講師を務める北星学園大（札幌市）に、学生に危害を加えるとの趣旨の脅迫文が届いていたことを明らかにしました。同署は威力業務妨害容疑で捜査しています。
同署によると、脅迫文は昨年１２月２７日に郵送で届き、６日に職員が開封。７日に道警に届け出ました。これまでにも、元記者を批判する内容の脅迫文が届いており、同署は関連を調べます。
脅迫文は封書で、「学生の家の何軒かが出荷（出火）する。事件が起こったら拡散する」などと印字された紙が同封されていました。
同大は来年度から元記者を雇用しない意向を表明していましたが、昨年暮れに、雇用継続を発表しました。
( ２０１５年０１月０９日，「赤旗」)
第２次世界大戦終結７０年／中国・康健弁護士に聞く／歴史問題解決の最後のチャンス
約２０年にわたり「慰安婦」問題や中国人強制連行問題などの裁判に関わり、被害者とともに日本政府に対し謝罪や賠償を求めてきた康健弁護士に、第２次世界大戦後７０年の課題などについて聞きました。
（北京＝小林拓也 写真も）
２０年前に「慰安婦」や強制連行などの案件に関わったとき、こんなにも時間がかかり、こんなにも困難があるとは思っていませんでした。
多くの被害者から直接に話を聞く中で、当時の日本兵が最も野蛮な方法で中国人を痛めつけたことがわかりました。彼らがうそをついているとは思えません。客観的事実は存在するのです。調査をし、提訴することはそれほど難しいことではありませんでした。
冷淡な日本政府
日本政府を訴えた裁判の法廷に立ってから、問題の難しさを実感しました。被害者が受けた事実は客観的に存在するのに、法廷で向き合った日本政府の代表は事実に基づいて答えません。「１９７２年の日中共同声明で、中国は対日戦争賠償請求を放棄した」と言うだけです。彼らの態度は非常に冷淡でした。
日中関係は、両国国民同士の真の信頼があってこそ、堅固な友好関係を築くことができます。そのためには歴史問題の解決が必要です。
戦後７０年間、日本政府は、侵略戦争で起こした重大な人権侵害問題について、真剣に解決してこなかったといえます。言葉だけの表面上の謝罪はありましたが、被害者に対する実質的な謝罪はいまだにありません。
被害者が生きているうちに問題を解決することが重要です。被害者本人が死亡した後では、その恨みは遺族の心に残り続けてしまいます。被害者が亡くなっても、事実が風化することはありません。
主導的に謝罪を
日本政府は人類の良識を示し、主導的に被害者に対し謝罪すべきです。戦後７０年は日本政府にとって問題解決の最後のチャンスです。１０年後の戦後８０年にその機会はありません。日本が歴史問題を解決できるのか、すべての中国人と世界の人々が注目しています。
戦争被害の問題に関わって以降、多くの日本の弁護士や支援者との交流がありました。彼らの共通点は、問題に真剣に取り組み、事実に向き合う勇気があることです。彼らは人類共同の良識を持ち合わせ、歴史を正視することで日本の名誉を守っています。
１９５３年生まれ。９５年から大森典子弁護士らと中国人「慰安婦」訴訟に関わる。２０１４年２月、中国人強制連行の被害者と遺族４０人が、日本企業２社に対し謝罪と賠償を求め北京の裁判所に提訴した案件の原告代理人。
( ２０１５年０１月０８日，「赤旗」)
官房長官、米国の懸念否定
菅義偉官房長官は６日の記者会見で、安倍晋三首相が８月に戦後７０年談話を発表することに関し、「安倍内閣は村山談話を含めて歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる。日本の歴史認識は米国にも説明しており、米国も十分理解していると思う」と述べました。
米国務省のサキ報道官が、戦後７０年談話をめぐり、村山富市首相の戦後５０年談話や、日本軍「慰安婦」問題に関する１９９３年の河野洋平官房長官談話の歴史認識を維持するよう求めたことに関する質問に答えました。
首相は同日の政府・与党連絡会議で、戦後７０年談話について「先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後日本としてアジア太平洋地域や世界のために、どのような貢献を果たしていくのか、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込む考えだ」と説明し、理解を求めました。
談話作成に向けた有識者会議の設置など今後の段取りについては、菅長官が会見で「しかるべきタイミングを考えている」と述べるにとどめました。
( ２０１５年０１月０７日，「赤旗」)
「７０年談話」／米国が異例の反応／近隣諸国の懸念解消促す
【ワシントン＝洞口昇幸】安倍晋三首相が８月の敗戦記念日に戦後７０年の「談話」を予定していることに関連して、米国務省のサキ報道官は５日の記者会見で、「村山元首相と河野元官房長官の（談話で）示した謝罪が、日本が近隣諸国との関係を改善するための努力の中で重要な１章を刻んだ」と、米政府の見解として述べました。
米政府として異例の反応で、村山、河野の両談話で示された日本の過去の侵略戦争や旧日本軍「慰安婦」についての歴史認識を、安倍首相が予定する談話で変更しないよう求める立場を示すものです。
安倍首相はこれまで、両談話を「全体として引き継いでいる」と述べるものの、植民地支配と侵略については触れていません。
サキ氏は「多くの機会で示してきたように、われわれは日本に引き続き対話を通じた友好的な方法で、近隣諸国と歴史に対する懸念を解消するために取り組むことを促す」と語りました。
( ２０１５年０１月０７日，「赤旗」)
２０１５とくほう・特報／安倍自民党と新改憲団体／「草の根」から改憲策動／国民投票に照準
安倍晋三首相は通常国会で、集団的自衛権行使容認の閣議決定の法制化を狙うとともに、憲法条文を変える明文改憲を「歴史的チャレンジ（挑戦）」と呼んで執念を見せています。これと歩調を合わせ、改憲勢力が新たな全国組織をつくり運動を強めようとしています。その動向や狙いを探りました。
（特報チーム）
安倍首相は１２月２４日、第３次政権発足直後の記者会見で、憲法｢改正｣について聞かれ､｢３分の２の多数を衆院、参院でそれぞれ構成する必要がある」とのべるとともに、「大切なことは、発議されれば国民投票になる。この投票で過半数の支持を得なければならない。ここが一番大切な舞台。どういう条文から国民投票をするか、またその必要性について国民の理解をまず深める努力をしたい」と、国民投票のやり方まで踏み込んだ発言をしました。
「読売」調査（昨年３月１５日付）でも憲法「改正」賛成が４２％と１年前調査から９ポイントも下がり、９条「改正」賛成が３０％しかないなかで、国民投票に照準をあて「国民の理解を深める」ことに力を入れるという表明です。
「九条の会」に対抗
渡辺治一橋大学名誉教授（九条の会事務局）は「新たな改憲組織『美しい日本の憲法をつくる国民の会』、その中心にいる日本会議もそうですが、みんな地方・地域の組織を重視しています。彼らが改憲がすすまなかった原因と考えているのが九条の会の運動です。地方・地域でこれに対抗するだけでなく、最終的には国民投票でいこうとしている。国民の中にある平和主義への同調をそう簡単には変えられないと思っているのです」と指摘します。
国政・国会での安倍自民党の動きと、地方・地域での運動との二人三脚で改憲運動を前にすすめる―。
「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、その担い手として総選挙前の１０月１日に結成されました。右翼改憲団体の総本山・日本会議の三好達会長が「国民の会」共同代表（３人）、椛島有三事務総長が同事務局長になるなど、日本会議系列の運動組織です。
この会は「平成２８年（＝２０１６年）７月に実施される予定の参議院選挙で、『憲法改正国民投票』の実現と、過半数の賛成による憲法改正の成立をめざ」すと目的を明示しています。首相発言と軌を一にしています。
そのために、１０００万人の賛同者署名の拡大、早期実現の国会議員の署名や地方議会決議の推進、全県に「県民の会」をつくるとしています。改憲内容を紹介するパンフ、リーフレット、賛同署名用紙、ポスターなどを作製し傘下の団体に配布し、「草の根」の運動をよびかけています。
地方議会での「憲法改正早期実現」意見書はすでに２４府県議会、２５市町村議会で可決されています。
共同代表の一人、櫻井よしこ氏（ジャーナリスト）が『週刊新潮』１月１・８日号で安倍首相と対談。そのなかで「総理はかねてより、『自分の歴史的使命は憲法改正だ』と述べてこられた」「私たちは『国民の会』を設立し、２０１６年の参院選の頃に試案を提示しようといっている」と水を向けます。首相は、時期は明示できる状態ではないといいながら「国民投票によって否決されたら一巻の終わりになる。そうならないように国民的な議論を深めていく必要がある」と並々ならぬ構えを見せました。
議連が押し上げ
改憲団体の動向にくわしい俵義文氏（子どもと教科書全国ネット２１事務局長）は「安倍内閣のタカ派度・極右度が〝来るところまで来た〟といえるほど際立っています。一度政権を投げ出した安倍晋三氏が政権に復帰することができたのは、反人権・反憲法、歴史修正主義の議員連盟に支えられたからです。第２次政権に至る自民党総裁選のときに、地方票で上回っていた石破茂氏を議員票で逆転したのは、それら議連の押し上げがあったためです」といいます。
俵氏はそうした議連に、日本会議国会議員懇談会、日本の前途と歴史教育を考える議員の会、神道政治連盟国会議員懇談会、みんなで靖国神社に参拝する議員の会、創生「日本」（安倍首相を会長とする超党派の議連）などをあげます。
「内閣の大臣１９人のうち日本会議議連が１６人、神道議連が１８人など８割、９割を占めます。首相自身が日本会議議連の特別顧問、神道議連の会長を務めています」と指摘します。
これらの議連は日本会議（東京都目黒区）と、全国の神社を傘下に置く神社本庁系列の政治団体・神道政治連盟（同渋谷区）などを協賛し、選挙になれば支援を受けて活動しています。
さらに櫻井氏が理事長を務める「国家基本問題研究所」（同千代田区）は、外交・安保問題で研究会や講演会を開き、日本軍「慰安婦」問題の「河野談話」を攻撃する新聞意見広告をだすなどしています。
これらの改憲団体が「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の中心に座っています。
国民意識との矛盾
国民投票に照準をすえたこうした改憲運動は、彼らの思惑通りにすすむのか―。
１９６９年結成の古い改憲団体の一つ、神道政治連盟と密接な関係にある「神社新報」はその論説（昨年１０月１３日付）で「神政連は、この『国民の会』と『県民の会』の中核となって、これから全力を挙げて国民運動を展開していかねばならない」といい、「各神社においては、氏子や崇敬者の組織を動かし」賛同者の拡大を、と訴えています。
しかし、関西地方の神社関係者の一人は「私たちのところではあまりそういう話は聞きません。総選挙のときに神社系列で推薦候補というのがきていますが…。私の世代は戦後の民主主義の中で育っているから、戦争をしないことはとても大事なことです。そうした多くの国民の願いを無視するようなことはしてほしくない」といいます。
渡辺氏は「改憲勢力にとって、まず閣議決定の法制化という解釈改憲をすすめることが、アメリカの要請にも応える焦眉の課題ですが、安倍首相やタカ派による明文改憲の言説は国民の懸念を増しています」と述べ、改憲派内の矛盾をこう指摘します。
「衆院東京１２区で極右改憲派の田母神俊雄候補（「次世代」副代表）が最下位落選でした。世論調査に見るように、国民のなかには戦前の日本のあり方への反発は根強いものがあります。一方、安倍首相の原動力・エネルギーは明文改憲派、『靖国派』です。この人たちを排除すると改憲運動を盛り上げることができない。平和を志向する国民の意識を突破しなければならないのですが、その馬力を担うのは主権者の国民をないがしろにする人たちです。ここに彼らの運動の矛盾､弱点があると思います｣
日本会議
「新憲法制定」や戦争犯罪人を裁いた東京裁判否定などを掲げる改憲右翼団体。１９９７年に右翼組織「日本を守る国民会議」と宗教系右翼組織「日本を守る会」を統合して結成。副会長に神社本庁総長、代表委員に靖国神社宮司、神道政治連盟会長も。同会議に呼応して「日本会議国会議員懇談会」、地方議員連盟があります。
神道政治連盟
「皇室の尊厳護持運動を活動の第一」に掲げ天皇中心の「建国の精神」に立った国をめざす改憲右翼組織。神社本庁を中心に１９６９年に結成。７０年に同連盟に呼応して神道政治連盟国会議員懇談会が結成され、安倍首相は早くからその要職をつとめています。
( ２０１５年０１月０６日，「赤旗」)
２０１５年外交展望／戦後７０年／「戦争する国」づくりの転換を
曲がりなりにも「平和外交」を掲げてきた戦後日本の歩みを根本から否定し、再び「戦争する国」への道を進もうとしている安倍政権。戦後７０年を迎える今年は、その転換が求められます。
■武器輸出
「地球儀を俯瞰（ふかん）する外交を進める」「７月の閣議決定に基づき、切れ目のない安全保障法制の準備を進める」―。安倍晋三首相は第３次内閣発足を受けての記者会見（昨年１２月２４日）でこう述べ、これまでの外交・安全保障政策の継続を表明しました。
首相は５０カ国に達する外遊先の多くで原発・武器売り込みの「トップセールス」を展開。原発輸出を「成長戦略」の一環として位置付け、国内での原発再稼働と一体で進めようとしています。
昨年４月に閣議決定した「防衛装備移転三原則」に基づき、紛争当事国も含めて武器輸出を拡大する方針です。日本の「平和国家」ブランドを大きく損ねる行為です。
また、政府・与党は１月下旬からの通常国会を「安保国会」（自民党・谷垣禎一幹事長）と位置づけ、５月以降にガイドライン（日米軍事協力の指針）再改定を行うとともに、関連法案を提出。「戦争する国」づくりは重大な岐路を迎えます。
新指針は、集団的自衛権の行使容認の「閣議決定」を反映。地理的な限定も、「非戦闘地域」という自衛隊の活動領域の限定もなくし、自衛隊が米軍とともに、地球規模で戦地派兵する仕組みを狙っています。
■近隣外交
安倍政権の「戦争する国」づくりと、侵略戦争肯定の動きは一体のものとして国際社会に懸念を与え、とりわけ、近隣外交に障害をもたらしてきました。
昨年１１月に北京で開かれたＡＰＥＣ（アジア太平洋経済協力会議）首脳会議で習近平主席と２年半ぶりに日中首脳会談が実現しましたが、尖閣諸島の領有権問題や首相の靖国神社参拝など日本の侵略戦争美化の問題は未解決です。
一方、日韓首脳会談は実現していません。
安倍首相は今年８月の「戦後７０年談話」に関連して、「慰安婦」問題で日本軍の関与と強制性を認め謝罪した「河野談話」（１９９３年）を継承すると述べていますが、自民党の萩生田（はぎうだ）光一総裁特別補佐は「（河野談話は）新談話を出すことによって骨抜きになる」と発言（昨年１０月６日）。国際社会の信用を決定的におとしめる危険があります。
■沖縄と日米
歴代政権が外交・安保政策の骨格に位置づけている日米同盟に痛打を与えたのが、「辺野古新基地断固阻止」を掲げた翁長雄志知事の誕生や、総選挙の４小選挙区で翁長知事を支える「オール沖縄」勢力の完勝など、昨年の沖縄県での一連の選挙結果です。
米議会調査局は昨年８月、翁長氏の勝利を予見し、「県知事は（新基地のための）埋め立て承認の権限を持っている。次期知事は、仲井真県政（当時）による埋め立て承認を取り消すだろう」との報告書を提出。新基地建設が困難になるとの見通しが、現実のものになりつつあります。
翁長氏は今春に訪米し、沖縄の民意を伝えます。安倍政権は新基地推進の姿勢を変えていませんが、状況が一変したのは事実です。本土の世論も盛り上げ、４月下旬～５月上旬の大型連休を軸に調整している日米首脳会談までに、両政府に辺野古新基地を断念させる運動が求められます。
日米首脳会談では、日本の農業と医療を破壊する環太平洋連携協定（ＴＰＰ）をめぐる交渉も重大な局面を迎えることが想定されます。
■９条の精神
安倍首相は第３次内閣発足にあたり、憲法９条改悪について、「自民党の結党以来の目標」「歴史的なチャレンジ（挑戦）だ」と強い意欲を示しました。
一方、日本共産党は総選挙で「憲法９条の精神に立った平和の外交戦略」を掲げ、「北東アジア平和協力構想」を示し、２１議席に躍進しました。
昨年のノーベル平和賞候補に憲法９条がノミネートされ、人々に希望をもたらしました。９条を具体化した平和外交こそ、日本国民や国際社会の多数が求めている道です。
今年の主な外交日程
【１月】
１６～２１日 首相が中東訪問（ヨルダン、エジプト、パレスチナ自治区など）
２１～２４日 首相が世界経済フォーラム（ダボス会議、スイス）に出席
【４月下旬～５月上旬？】
首相が訪米、日米首脳会談
【５月以降】
日米軍事協力の指針（ガイドライン）再改定を決定 同指針関連法案など安全保障法制の審議入り
【６月】
７～８日 主要７カ国（Ｇ７）首脳会議 ドイツ・バイエルン州
【８月】
１５日？ 首相が戦後７０年の新談話
【９月】
国連総会
【１１月】
１７～１８日 アジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）首脳会合 フィリピン・マニラ
１９～２１日 東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）首脳会合 マレーシア・クアラルンプール
【１２月】
１８日 日韓国交正常化５０年
( ２０１５年０１月０４日，「赤旗」)