2017治安維持法】

u  17回顧/映画/ナチス糾明の力作多数

u  名誉回復・国家賠償早く/レッド・パージ反対全国連絡センターが総会

u  全国女性集会を国賠同盟が開く/畑野議員あいさつ

u  小池書記局長の代表質問/参院本会議

u  通勤者らに共闘を訴え/党札幌中央地区

u  民主主義文学会、「共謀罪」に反対/常任幹事会が声明

u  志位委員長の代表質問/衆院本会議

u  経済・外交、安倍暴走政治を問う/抜本的な切り替え策示す/志位委員長の代表質問/衆院本会議/その2

u  戦争法、経済・外交、憲法/国政の根本ただし転換迫る/志位委員長が代表質問/衆院本会議

u  NHK日曜討論/小池書記局長の発言

u  自民幹事長・共謀罪「早期成立をめざす」、改憲発議「状況見て今国会でも」/「絶対に許されない」小池書記局長が厳しく批判/NHK日曜討論

u  安倍政権、「共謀罪」提出表明/思想・信条罰する違憲立法

u  「共謀罪」断念させよう/「暗黒政治許すな」「憲法に違反」/青森で治維法国賠同盟宣伝

u  小森恵著、西田義信編『治安維持法検挙者の記録』刊行/弾圧の実態、解明の入り口に/渡辺治

u  「共謀罪」廃案に/憲法会議が訴え/島根「9の日宣伝」

u  共謀罪許さないと各地で宣伝/共謀罪通れば暗黒政治に/宮城の治維法国賠同盟

u  戦争法と一体、共謀罪/国会提出ノー/4野党・1会派が参加

u  施政方針演説から見えた、安倍流「新しい国」とは

u  共謀罪上程許すな/JR浦和駅前で宣伝

u  共謀罪/犯罪集団のレッテル貼り/法案提出反対で学習会/はたの、藤野、仁比議員参加

u  戦前思い起こさせる/「共謀罪」反対で講演会/愛知・半田

u  戦前の治安維持法/現代の新「共謀罪」/説明そっくり/でも結果は―

u  クローズアップ/東京/歴史学び戦争繰り返さない/市民大学講座主催者の小菅京子さん

u  共謀罪「監視社会に」「乱用の恐れ」/地方紙が社説で反対・懸念

u  これはひどい、ウソ・偽りの安倍政治/安保・外交・憲法

u  潮流

u  「共謀罪」法案の提出許さないたたかいを/小池書記局長が会見

 

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17回顧/映画/ナチス糾明の力作多数

20171215日【文化】

 今年の映画界で特筆されるのは、ナチスの犯罪を追及する外国作品の多さです。1月の「アイヒマンを追え!」から始まり、夫婦で市民に反戦の決起を呼び掛ける「ヒトラーへの285枚の葉書」、ホロコースト否定論者との法廷闘争を描く「否定と肯定」ほか、多様な方法、製作(独、仏、英、米、チェコほか)による10本近い作品が公開され、歴史の真実を明らかにし今日を生きる大きな示唆を与えました。
 ケン・ローチ、故アンジェイ・ワイダ、ダルデンヌ兄弟、アキ・カウリスマキらの名匠も、圧政や難民問題での抵抗の姿勢を鮮烈な映像で示しました。
 日本映画も監督の年輪の刻まれた力作が目白押しでした。喜劇に高齢者の孤独死を溶け込ませた山田洋次監督「家族はつらいよ2」、無償の愛を描いた降旗康男監督「追憶」、戦争に抗う青春を捉えた大林宣彦監督「花筐」、是枝裕和監督の法廷心理劇「三度目の殺人」、老老介護に純愛を映した佐々部清監督「八重子のハミング」など現実が豊かな技量で刻みこまれた作品群です。
 さらに、障害者の愛を真正面から描いた松本准平監督「パーフェクト・レボリューション」、家族の再生の物語「幼な子われらに生まれ」(三島有紀子監督)なども送り出されました。
 荻上直子監督の「彼らが本気で編むときは、」、米アカデミー賞の「ムーンライト」、フィリピンの「ダイ・ビューティフル」ほか性別違和や同性愛差別を超える人生を模索する作品が増え、自由な生き方への関心の強さを示しています。
 ドキュメンタリーでは、オール沖縄につながる瀬長亀次郎の生涯を描いて広く話題を呼んだ「米軍が最も恐れた男」をはじめ沖縄のたたかいが数々記録されました。大震災被災地で復興をめざす人々、治安維持法犠牲者の名誉回復のたたかいなどの作品も粘り強く撮り続けられてきました。
 映画人九条の会は、「ザ・思いやり」1・2の上映会や学習会、自由と生命を守る映画監督の会は、2度にわたって「映画監督と時代」のシンポジウムを開くなど、地道な活動を続けてきました。日本映画復興会議も、国の映画振興政策を考える学習会などを開催。
 映画人は、共謀罪の施行に、表現の自由に関わる死活問題として抗議の声をあげました。これは新年にも引き続く課題です。
 (児玉由紀恵)

名誉回復・国家賠償早く/レッド・パージ反対全国連絡センターが総会

20171212

 レッド・パージ反対全国連絡センターは11日、東京都内で第9回総会を開きました。名誉回復と国家賠償を求める全国のレッドパージ被害者と支援者48人が参加しました。
 レッドパージは、1949〜51年、GHQ(連合国軍総司令部)の示唆で、政府と財界が4万人ともいわれる共産党員と労働組合活動家を「企業破壊分子」「公務阻害者」として暴力的に職場から追い出した人権侵害事件です。日本弁護士連合会は被害者すべての救済を求めて政府に勧告。全国12弁護士会も勧告をだしています。
 あいさつした日本共産党の田村智子副委員長は、人権弾圧のなか憲法尊重、民主主義、平和のためにたたかってきたレッドパージ被害者に敬意を表明。「憲法じゅうりんの安倍政権の暴走を食い止め、新たな政治への一歩を切り開くためにみなさんとともに全力を尽くす」と述べました。
 鈴木章治事務局長が、被害者救済の特別法制定を求める署名の推進、人権救済申し立て運動の拡大、被害者が「語り部」活動に取り組み「自分史」をまとめるなどの運動方針を提案し、採択されました。
 増本一彦弁護士(治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟会長)が記念講演。国際人権活動日本委員会の松田順一事務局長が来賓あいさつしました。

全国女性集会を国賠同盟が開く/畑野議員あいさつ

20171116

 治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟は12日から13日まで、第28回全国女性交流集会を静岡県熱海市内で開きました。北海道から沖縄まで35県から96人が参加しました。
 大石喜美恵女性部長が、活動を交流し、パワーアップした力で、来年3月の同盟創立50周年を迎えようと開会あいさつ。
 日本共産党の畑野君枝衆議院議員がかけつけ、あいさつ。国会情勢を報告し、新しい国会で、憲法改悪を許さないたたかいを一緒にすすめていきましょうとのべました。
 「時代の証言者―伊藤千代子」と題して、歴史研究家が記念講演しました。映像を交えた話は参加者の感動を呼びました。
 増本一彦会長は、総選挙後の情勢にふれながら、市民と立憲野党の共同をいっそう発展させたことの重要性を強調。「女性の治安維持法犠牲者のたたかいと抵抗の歴史を受け継ぎ、広げ、平和と民主主義のための女性運動を」進めようと訴えました。活動方針について田中幹夫事務局長が報告し、当面の最大の政治課題は改憲を阻止することであり、同盟建設としっかり結合して、活動しようと呼びかけました。
 全体集会では、治安維持法で父が犠牲になった女性、親族が準拷問死した菊池誠一さんが発言。活動交流では、5県の代表が発言しました。
 13日は、四つの分散会で、活動を交流しました。

 

小池書記局長の代表質問/参院本会議

 日本共産党の小池晃書記局長が25日の参院本会議で行った代表質問は次の通りです。

格差と貧困を正し、中間層を豊かにするための四つの提案

 日本共産党の小池晃です。会派を代表して、安倍総理に質問します。
 総理は、施政方針演説で「全国津々浦々で、確実に『経済の好循環』が生まれている」と述べました。しかし、国民にはそうした実感は、全くありません。
 たしかに、大企業の経常利益は、3年間で1・5倍近くに増え、内部留保は52兆円増えて、過去最高の386兆円余りに達しました。
 しかし労働者の給与・賞与は、大企業正社員でも1・4%の伸びにすぎず、消費税の増税もあり、実質では大きなマイナスです。中小企業や非正規も含めた全労働者では、安倍政権発足前と比べ、実質賃金で実に年収19万円ものマイナスです。家計消費も、15カ月連続で、前年比マイナスを続けています。
 大企業に巨額の内部留保が積みあがる一方で、実質賃金が下がり、家計消費が落ち込んでいます。これを総理は「経済の好循環」だというのでしょうか。
 国民生活基礎調査では、この20年間、生活が「苦しい」と答えた人が、42%から60%となる一方で、「普通」と答えた人は、52%から36%になりました。「普通」に暮らしていた人々が「苦しい」生活に追い込まれています。いまや、リストラ、病気、介護などで、誰もが貧困に陥ってしまう社会になってしまいました。
 こうした社会のたて直しが、政治の最大の責任なのではありませんか。
 格差と貧困を正し、中間層を豊かにするために、いま政治が行うべきことは何か。
 第一は、税金の集め方の改革です。消費税増税を中止し、富裕層や大企業への優遇をただし、能力に応じて負担する、公正・公平な税制を実現することです。
 第二は、税金の使い方の改革です。軍拡や大型開発中心の予算にメスを入れ、社会保障、教育、子育て支援など、格差と貧困の是正につながる予算を増やすことです。
 第三は、働き方の改革です。長時間労働を規制し、非正規から正規への流れをつくり、最低賃金は時給1500円へ。8時間働けばふつうに暮らせる社会の実現です。
 第四は、産業構造の改革です。大企業と中小企業、大都市と地方などの格差を是正するため、中小企業を日本経済の根幹として支援し、農林水産業の抜本的充実を図るべきです。
 以上が日本共産党の提案ですが、今回は社会保障と雇用の問題について質問します。

大企業への4兆円もの減税をやめ、社会保障の自然増削減を中止し充実を

 総理は「かつて毎年1兆円ずつ増えていた社会保障費の伸びは、今年度予算に続き、来年度予算においても、5千億円以下に抑えることができた」と胸をはりました。
 しかし、この削減は国民に激痛を与え、家計消費を冷え込ませるものにほかなりません。
 安倍政権はこの4年間、年金の削減、入院食費の負担増、介護保険利用料への2割負担の導入など、給付を削り、負担を増やしてきました。
 さらに来年度予算では、後期高齢者医療保険料の大幅な引き上げ、70歳以上の高額療養費の患者負担増、高額介護サービス費の負担増など、保険料負担・患者負担をさらに引き上げようとしています。
 総理は「社会の安定」のためには中間層が重要であり、「中間層が安心して消費ができる状況」が、経済活性化のためにも必要だと述べてきました。しかし、医療や介護の自己負担引き上げは、家計を苦しめ、現役世代の不安を増大させ、中間層の生活の安定と消費の喚起にも大きな障害となります。大企業への4兆円もの減税をやめ、社会保障の自然増削減はきっぱり中止し、充実に向かうべきではありませんか。

「働き方改革」――残業代ゼロ法案はきっぱり撤回すべきだ

 「働き方改革」についても質問します。
 総理は、罰則付きの時間外労働の限度を定める法改正を提出すると述べましたが、その上限は何時間ですか。月80時間で検討しているとの報道もありますが、過労死基準を上限にするなど許されません。大臣告示は「残業は週15時間、月45時間以内」ですから、当然、これを法令にすべきではありませんか。
 勤務の間の休息時間の確保、いわゆるインターバル規制も必要です。EU指令では、「24時間につき、最低連続11時間」とされています。わが国でもこれを法定化すべきではありませんか。
 電通に勤め、24歳の若さで自ら命を絶った高橋まつりさんの無念にこたえ、このような苦しみを繰り返さないために、野党4党は、衆議院に長時間労働規制法案を提出しています。ただちにこれを審議し、成立させようではありませんか。
 政府は「長時間労働の規制」を言いながら、「残業代ゼロ法案」を撤回しようとしません。しかしこれは、そもそも、一定の労働者を労働時間管理の対象から外してしまう法案です。残業時間の上限規制をしながら、その一方で、規制がかからない労働者を増やす。こんなことは許されません。残業代ゼロ法案はキッパリ撤回すべきではありませんか。
 1%の富裕層や大企業ではなく、99%の国民を豊かにする政治を!
 そのために日本共産党は全力をあげる決意を表明するものです。

文科省あっせん疑惑――天下りを自由化した安倍首相の責任は重大

 元高等教育局長の天下りを、文部科学省が組織的にあっせんしていたことが、明らかとなりました。隠ぺい工作や、大学側との口裏あわせまで指摘されており、組織的な天下りあっせんの疑いがあります。
 とりわけ、文科省は、大学運営費交付金や私学助成、さらに科研費などの競争的資金を配分する権限をもっています。そうした権限を背景にして、国立大学の人事を牛耳り、私立大学への組織的な天下りあっせんを行っていたのではありませんか。全容解明を求めます。
 重大なのは、第1次安倍内閣が2007年に、それまでの国家公務員法にあった「離職後2年間の規制期間」や、人事院による「承認」をも撤廃し、「天下り」「天上がり」を原則自由化し、内閣の下で一元化する仕組みをつくったもとで、今回の事件が起きていることです。わが党は、「これは天下り自由化法だ」と批判し、新たな政官財癒着に道を開くと指摘しましたが、その通りの事態になったではありませんか。
 当時、これは「天下り問題を根絶する法案だ」と答弁した総理は、その責任をどう考えていますか。明確な答弁を求めます。

沖縄新基地建設反対の民意無視――民主主義国の政府として許されない

 沖縄では、名護市辺野古の美しいサンゴ礁を埋め立てて、海兵隊の新基地建設が強行されています。東村高江では、やんばるの美しい森を破壊してオスプレイ着陸帯が、伊江島でもF35戦闘機着陸帯の建設が、住民の声を無視して進められています。
 これらは、米軍基地を世界への「殴り込み」の一大拠点として、抜本的に強化・固定化するものにほかなりません。
 沖縄では、これまでの選挙で、繰り返し新基地建設反対の審判が下されています。ところが総理は、施政方針演説で「辺野古沖への移設工事を進める」と明言しました。総理は、保守・革新を超えて示されている「オール沖縄」の民意を、一顧だにする必要がないと考えているのですか。それは、民主主義の国の政府としては許されないことではありませんか。
 昨年12月、米海兵隊のオスプレイが名護市の海岸に墜落した事故は、日本と沖縄の植民地的実態を浮き彫りにしました。
 今回の事故について、海上保安庁が捜査協力を申し入れたにもかかわらず、米軍は無視し、「物証」となる機体の回収を進めました。基地外での日本の警察権行使を拒否し、証拠を隠滅する行為は、日米地位協定上も許されない無法なものではありませんか。
 米軍は、事故後わずか6日でオスプレイの訓練を再開し、事故後3週間余りで空中給油の訓練も再開しましたが、政府はいずれも「理解する」と表明しました。日本の捜査機関は独自の情報を何も持っておらず、米軍の調査でも事故原因は特定されませんでした。
 それなのに政府は、いったいどのような根拠で、「理解」したのですか。
 沖縄県民や国民の安全より「日米同盟」を優先する、主権国家にあるまじき安倍政権の態度を断じて許すわけにはいきません。

異常なアメリカ追随をやめ、対等・平等・友好の日米関係を
 米国のトランプ新大統領の「米国第一」に対して、今までのような「日米同盟第一」という硬直した思考を続けたら、国民との矛盾は深まるばかりです。異常なアメリカ追随外交をやめ、対等・平等・友好の日米関係に切り替えることを強く求めます。

原発再稼働を中止し、再生可能エネの本格的導入に転換する決断を

 東京電力福島第1原発の事故は、時とともにその深刻さがいっそう明らかになっています。今年も8万1130人の方が避難先で6年目のお正月を迎えました。
 国民の経済負担も重大です。安倍政権は、福島原発事故処理費用として、21兆5千億円にのぼる国民負担を、株主や大銀行の責任を問わないまま、電気料金などで押しつけようとしています。
 総理。費用の増大はこれで終わりと断言できますか。
 事故原因の究明どころか、壊れた原子炉の内部状況や溶け落ちた核燃料の所在さえ不明です。汚染水対策も、保管量が増え続ける状態が今後も続き、費用がさらに膨れ上がる可能性を否定できるのですか。
 いったん大事故が起きれば、故郷は奪われ、仕事も奪われ、平穏な暮らしや家庭が壊され、人々の健康と地球環境を危険にさらす、そのうえ、膨大なコストが生じるのが原発です。再稼働せずに、「原発ゼロ」の日本に踏み出すべきではありませんか。
 政府は、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決定しました。「もんじゅ」には1兆円もの資金を投入しながら、初臨界から22年間で稼働したのはわずか250日です。
 総理は、「もんじゅ」は失敗だったと認めますか。
 政府は、「もんじゅ」に代わる新しい高速実証炉の開発に着手するとしています。しかし高速実証炉は、世界でも実用化できるめどは全く立っていません。「もんじゅ」の失敗の総括もなく、なぜ核燃サイクルにしがみつくのですか。たとえまぼろしであっても、核燃サイクルが回るように取り繕っておかないと、「核のゴミ」問題に対策がないことの言い逃れができなくなり、再稼働ができなくなるからではありませんか。
 「使用済み核燃料」の処分方法の見通しが立たないまま、再稼働を強行するのは、あまりにも無責任です。原発再稼働を中止し、再生可能エネルギーの本格的導入に大胆に転換する決断を強く求めます。

憲法を変えるのではなく、憲法を生かす政治こそが必要

 今年は憲法施行70年の節目の年です。総理は「憲法審査会で具体的に議論を深めよう」と述べ、憲法改定に執念を燃やしています。しかし、多くの国民は改憲を求めていません。直近の世論調査でも、「憲法改定の議論を急ぐ必要はない」と過半数が答えています。
 総理は、国民の多くが、改憲が政治の優先課題ではないと考えている事実を認めますか。
 憲法を変えるのではなく、憲法を生かす政治こそ必要です。しかし、憲法施行後の70年間、憲法は生かされるどころか、自民党政治によって、逆に踏みつけられてきました。とりわけ総理は、歴代自民党内閣の憲法解釈を踏み破り、立憲主義を破壊する暴挙を重ねてきました。集団的自衛権行使容認の閣議決定を行い、安保法制=戦争法を、国民の反対を無視して強行成立させ、戦後日本の「一人も戦争で殺さない、殺されない」というあり方を根本から変えようとしています。
 安保法制に基づいて、南スーダンPKO(UNMISS)に派遣されている自衛隊に「駆け付け警護」などの新任務が付与されました。そこで質問します。
 総理は、南スーダンが事実上の内戦状態にあることを認めますか。
 昨年12月の国連人権委員会の南スーダン調査団をはじめ、国連の公式文書は内戦状態であることを繰り返し指摘しています。UNMISSの楊超英・軍司令官代理も「和平合意が維持されているとは言えない」、ジュバの治安状況は「予測不可能で非常に不安定」と述べています。こうした見方はすべて誤っているというのですか。
 危険を危険と認めない安倍政権の態度こそ、最も危険であります。

自衛隊の新任務を撤回し、南スーダンから撤退させよ
 2点目。南スーダン政府軍が、国連PKO、国連施設、職員への攻撃を繰り返している事実を認めますか。
 昨年9月の「南スーダンに関する専門家委員会の書簡」は、政府軍が国際機関のスタッフの居住区画で殺害、レイプ、略奪などを行ったことを明らかにしました。11月の「国連事務総長の南スーダン報告」でも、UNMISSの要員に対する逮捕、拘束、迫害などが指摘されています。このような状況下で、自衛隊が「駆け付け警護」を行えば、自衛隊が南スーダン政府軍に武器を使用することになり、憲法が禁止する海外での武力行使となるのではありませんか。
 自衛隊の新任務付与をただちに撤回し、自衛隊を南スーダンから撤退させ、日本の貢献を非軍事の民生・人道支援に切り替えることを強く求めます。
 日本共産党は、憲法違反の安保法制=戦争法を廃止するために、野党と市民の共闘をさらに発展させていく決意を表明するものです。

思想や内心まで取り締まる「共謀罪」――国会提出を断念せよ

 最後に、安倍政権が国会に提出しようとしている「共謀罪」について聞きます。
 「共謀罪」とは、実際の犯罪行為がなくても、「共謀」、すなわち相談、計画しただけで処罰するものです。これは、「犯罪行為が実行された場合のみ処罰できる」とした刑法の大原則を転換するだけでなく、思想及び良心の自由を保障した憲法19条にそむく違憲立法にほかなりません。たとえ、「テロ等準備罪」と名前を変えても、対象犯罪を絞っても、その本質は何ら変わりません。
 政府は「テロ対策」のためといいますが、すでに日本はテロ防止のための13本の国際条約を締結し、57の主要重大犯罪について、未遂より前の段階で処罰できる国内法も持っています。それなのに、現行法ではテロを未然に防ぐことが不可能だというのですか。
 政府は「共謀罪」創設について、「テロを防ぐ『国際組織犯罪防止条約』を締結するため」としています。しかし、この条約が採択されたのは、同時多発テロ以前の2000年です。その目的は、マフィアや暴力団による経済犯罪への対処であり、テロ対策ではありません。
 総理。条約を締結したのは何カ国で、そのうち、新たに「共謀罪」を制定した国は何カ国か、お答えください。
 ウィーン条約19条は、条約の締結に「留保を付することができる」とし、国連が作成した「立法ガイド」は「締約国の国内法の基本的原則と合致した方法で行う」としています。「共謀罪」を留保しても、条約締約の壁にはなりません。
 「一般人は対象にならない」といいますが、それを判断するのは捜査機関であり、共謀しているかどうかをつかむためには、多数の一般人が盗聴や監視の対象となるのではありませんか。
 「テロ対策」の名で国民を欺き、国民の思想や内心まで取り締まろうという「共謀罪」は、もの言えぬ監視社会をつくるもので、現代版「治安維持法」と呼ぶべきものです。
 「共謀罪」の国会提出は断念することを強く求めて、質問を終わります。
(
2017年01月26日,「赤旗」)

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通勤者らに共闘を訴え/党札幌中央地区

 日本共産党札幌中央地区委員会は17日早朝、地下鉄西11丁目駅前で宣伝し、「市民と野党が力を合わせ、安倍暴走政治をストップさせよう」と通勤者らに訴えました。地域の党員らがのぼり旗をかかげ、ビラを配布しました。
 石橋哲郎地区委員長は、通常国会で、戦前の治安維持法に匹敵する「共謀罪」成立をたくらんでいる安倍政権を批判。使用済み核燃料の処理方法が未確立のままでの原発再稼働や、多くの県民の反対を無視した沖縄・辺野古新基地建設強行など「うそと偽りの安倍政治を国民が見抜きつつある」と強調しました。
 小形香織市議は、「安保法制は違憲」とする訴訟が札幌地裁に提訴されたことを報告し「戦争法はもちろん、自衛隊の南スーダン派遣での『駆け付け警護』は9条に違反することは明らかです」と告発。「TPP(環太平洋連携協定)、年金カット法、カジノ解禁推進法など悪法を廃止する国民的たたかいをすすめよう」と呼びかけました。
(
2017年01月25日,「赤旗」)

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民主主義文学会、「共謀罪」に反対/常任幹事会が声明

 日本民主主義文学会常任幹事会は22日、安倍政権が通常国会への提出を狙う「共謀罪」に反対する声明を発表しました。
 声明は、共謀行為を処罰対象と定める共謀罪が「個人の内心の自由に対し重大な脅威となる危険も否定できない」と主張。安倍政権が五輪のテロ対策を法改正の理由に挙げたことに「現行法によっても十分対応が可能」と批判しました。
 民主主義文学会は、治安維持法により小林多喜二ら文学者の命が奪われた歴史を想起し、共謀罪新設は「戦争のための国家づくりにつながる」としています。
(
2017年01月25日,「赤旗」)

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志位委員長の代表質問/衆院本会議

 日本共産党の志位和夫委員長が24日の衆院本会議で行った代表質問は次の通りです。

南スーダンPKO――深刻な現実に目をつぶり覆い隠す、無責任な態度を問う

 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
 まず安保法制=戦争法の問題です。安倍政権は、昨年11月、安保法制にもとづいて、南スーダンPKOに派兵されている自衛隊に、「駆け付け警護」などの新任務を付与しました。重大なことは、安倍政権が、内戦状態が続き、戦闘が繰り返されている南スーダンの深刻な現実に目をつぶり、覆い隠す、きわめて無責任な態度をとっていることです。三つの点について、総理の見解を伺います。
 一つ。南スーダン政府軍によって、国連PKOに対する敵対的行為が繰り返されているという事実を認めますか。昨年12月の党首討論で、私がこの問題をただしたのに対して、総理は「南スーダンのキール大統領は自衛隊を歓迎している」と答弁しました。しかし建前は「歓迎」でも、実態は、国連PKOに対する敵対的行為が、持続的、組織的、恒常的に繰り返されていることは、国連報告書が克明に述べていることです。こうしたもとで「駆け付け警護」を行えば、自衛隊が南スーダン政府軍に対して武器を使用することになり、憲法が禁止する海外での武力行使となる危険性があることは明らかではありませんか。
 二つ。国連PKOに参加する陸上自衛隊幹部が、首都ジュバで昨年7月に大規模な戦闘が発生したさいの状況を記録した日報を、廃棄していたことが明らかになりました。陸自は廃棄の理由として、「上官に報告したから」と説明していますが、こういう理由で廃棄がまかりとおれば、組織にとって都合の悪い文書はすべて闇に葬られ、国民は南スーダンで自衛隊が置かれている状況について知る術(すべ)がなくなるではありませんか。総理、日報を廃棄した自衛隊幹部の行為を是とするのか非とするのか、明確な答弁を求めます。
 三つ。昨年12月、大量虐殺を回避するために国連安全保障理事会に提出された南スーダンに対する武器輸出を禁止する決議案に、日本政府は中ロなどとともに棄権し、廃案にしてしまいました。米国のパワー国連大使は、「棄権した国々に対して歴史は厳しい審判を下すだろう」と批判しましたが、総理はこの批判にどう答えますか。決議案に賛成すれば、日本政府が現地の危機的な状況を自ら認めることになる――これが棄権した理由ではありませんか。自衛隊の派兵を続けるために、大量虐殺の悲劇を抑え込むための国際社会の努力を妨害するとは、理不尽きわまりないことではありませんか。
 自衛隊への新任務付与をただちに撤回し、自衛隊を南スーダンからすみやかに撤退させ、日本の貢献を非軍事の民生支援、人道支援に切り替えることを強く求めます。
 日本共産党は、憲法違反の安保法制=戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するために、他の野党、市民の運動と連携し、全力をあげることを表明するものです。

1%の富裕層・大企業のための政治でなく、99%の国民のための政治を

富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大が進んだという認識があるか
 次に経済政策はどうあるべきかの根本について質問します。
 まず今日までの20年間に、日本の経済社会にどのような変化が生まれたかについて、総理の基本認識を伺います。私は、三つの特徴的な変化が生まれたと考えます。
 第一の特徴は、富裕層への富の集中が進んだことです。純金融資産5億円以上を保有する超富裕層では、1人当たりが保有する金融資産は、この20年間で、6・3億円から13・5億円へと2倍以上に増えました。
 第二の特徴は、中間層の疲弊が進んだことです。労働者の平均賃金は、1997年をピークに年収で55万6千円も減少しました。政府の国民生活基礎調査では、この20年間で、生活が「苦しい」と答えた人が42%から60%と大きく増える一方で、「普通」と答えた人は52%から36%と大きく減りました。
 第三の特徴は、貧困層の拡大が進んだことです。この20年間で、働きながら生活保護水準以下の収入しかないワーキングプア世帯は、就業者世帯の4・2%から9・7%と2倍以上となりました。「貯蓄ゼロ世帯」は3倍に急増し、30・9%に達しています。
 総理、事実の問題として、今日までの20年間に、富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大が進んだという認識がありますか。その認識があるのならば、格差と貧困をただし、中間層を豊かにすることを、国の経済政策の根本に据えるべきだと考えますがいかがですか。答弁を求めます。

税金の集め方の改革――富裕層と大企業に応分の負担を
 日本共産党は、格差と貧困をただす経済民主主義の改革として、次の四つの改革を提案するものです。
 第一は、税金の集め方の改革です。格差拡大に追い打ちをかける消費税増税を中止し、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革を実行すべきです。
 とくに、日本では、株の配当と譲渡に対する税率は20%と、欧米主要国の30〜40%と比べて著しく低い「大株主天国」となっており、年収1億円を超える富裕層ほど所得税の負担率が軽くなる逆転現象が生まれています。
 大株主優遇の不公平税制の是正は急務であります。経済同友会が昨年10月に発表した税制改革提言でも、「高所得者層の実効税率の適正化を図るためにも、株式等譲渡所得および配当所得への課税を強化する必要がある」と提言しています。大株主優遇税制の是正は、日本共産党からいまや財界まで求める税制改革であり、ただちに実行すべきと考えますがいかがですか。

税金の使い方の改革――社会保障、教育、子育て、格差是正につながる予算を
 第二は、税金の使い方の改革です。5兆1千億円と史上最高となった軍事費や不要不急の大型開発にメスを入れ、社会保障、教育、子育て支援など、格差と貧困の是正につながる予算を増やすべきです。
 自公政権が2000年代になって始めた社会保障費の「自然増」削減額は、合計3兆3千億円にのぼります。総理が、施政方針で、これを「改革の成果」と自慢したことには驚きました。「自然増」削減の一つひとつが、年金、介護、医療、生活保護など、社会保障のあらゆる分野での制度改悪の傷痕をつくり出しています。それによる国民の苦しみの声は耳に入らないのですか。「財源がない」と言いながら、第2次安倍政権だけで4兆円もの法人税減税が行われています。一方で、社会保障費の「自然増」を削りに削って3兆3千億円、他方で、大企業を中心に4兆円もの減税バラマキを行う――これはあまりにゆがんだ政治ではありませんか。社会保障費の「自然増」削減路線を中止し、拡充へと舵(かじ)を切り替えるべきではありませんか。答弁を求めます。
 総理は、施政方針で、給付型奨学金を創設すると表明しましたが、その規模は「スズメの涙」としかいいようのないものです。対象はわずかに2万人。住民税非課税世帯で、かつ成績優秀者に限定される。学生55人に対してたったの1人です。私は、率直に言って、こうした制度設計を行った政府の認識が根本から間違っていると言わざるを得ません。この20年間に、奨学金は貸与額で約5倍、貸与人員で約4倍に急速に拡大し、いまや学生の2人に1人は奨学金を借りています。総理は、その原因はどこにあるとお考えか。この20年間に、中間層の所得が減少し、貧困層が拡大し、学費の値上げもあり、若者自身が借金をしなければ大学に進学できない社会に急速に変わってしまった結果にほかなりません。この現実を正面から直視した改革が必要ではありませんか。日本共産党は、月額3万円の給付型奨学金を70万人――学生総数の4人に1人に支給する制度をまず創設し、規模を拡大することを提案するものであります。

働き方の改革――8時間働けばふつうに暮らせる社会を
 第三は、働き方の改革――8時間働けばふつうに暮らせる社会への改革です。
 格差と貧困の拡大、中間層の疲弊の根底には、人間らしい雇用のルールの破壊があります。その最大の特徴は、労働者派遣法の連続改悪をはじめとする労働法制の規制緩和によって、この20年間で、非正規雇用労働者の割合が20%から37%へと急増したことです。それは、労働者全体の賃下げ、労働条件全体の悪化をもたらし、正社員には異常な長時間・過密労働の常態化を招きました。それは働く人の体と心を深く傷つけ、過労死・過労自殺の労災認定件数は1998年度の52件から、2015年度には189件へと、4倍近くに激増しました。昨年、電通の若い女性社員(の過労自殺)が労災認定され、大きな社会問題になりましたが、こうした痛ましい出来事は個々の企業の問題にとどまりません。自民党政治がつくり出した「政治災害」といわなければなりません。総理にその自覚はありますか。お答え願いたい。
 総理は、施政方針で、「同一労働同一賃金を実現する」とのべました。しかし、政府が作成した「ガイドライン案」は、基本給の格差を容認するなど、正規と非正規との格差を固定化する危険を抱えたものとなっています。本気で格差をなくすというのなら、労働者派遣法を抜本改正して非正規から正規への流れをつくるとともに、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、派遣法などに、「均等待遇」「同一労働同一賃金」の原則を明記すべきです。総理にその意思はありますか。
 総理は、施政方針で、「長時間労働の是正にとりくむ」とのべました。それならば、まず、いくら残業しても残業代を一円も払わなくてもすむ制度――「高度プロフェッショナル制度」を導入する「残業代ゼロ法案」を撤回すべきです。総理は、「抽象的なスローガンを叫ぶだけでは、世の中は変わらない」「時間外労働の限度は何時間なのか、具体的に定めることです」とのべました。日本共産党は、「残業は週15時間、月45時間以内」という厚生労働大臣告示をただちに法定化すること、インターバル規制=連続休息時間として、EUなみの最低11時間を確保することを具体的に提案しています。わが党の提案に対して、「抽象的なスローガン」でなく、具体的な答弁を求めるものであります。

産業構造の改革――「大企業と中小企業の格差是正」を中小企業政策の基本に据える
 第四は、産業構造の改革です。
 大企業と中小企業で働く労働者の間には、事業所規模でみても、中規模で大企業の約6割、小規模では5割程度という大きな賃金格差が存在しています。総理は、「同一労働同一賃金」と言いますが、大企業と中小企業の間の賃金格差を解消する意思はありますか。
 1999年に改悪された中小企業基本法は、それまでの基本法が掲げていた「中小企業と大企業との格差是正」の理念を捨て去ってしまいました。「強いものを育てる」という政策のもとで、中小企業の淘汰(とうた)がすすみ、1999年には423万だった小規模事業者が、2014年には325万に、実に98万も激減しました。「格差是正」という理念と政策目標を、中小企業政策の基本に据えなおすべきです。総理にその意思はありますか。答弁を求めます。
 日本共産党は、「1%の富裕層と大企業のための政治」から「99%の国民のための政治」へと、経済政策を抜本的に切り替えるために、全力をあげて奮闘するものであります。

異常なアメリカ追随外交を根本から見直し、対等・平等・友好の日米関係を

核兵器禁止条約に反対票――唯一の戦争被爆国の政府にあるまじき態度
 次に外交政策はどうあるべきかの根本について質問します。
 総理は、施政方針で、「500回以上の首脳会談」を行ってきたと自賛しました。しかし、問題はその中身であります。安倍首相の外交の最大の致命的問題点は、異常なアメリカ追随外交にあります。私は、二つの問題について総理の姿勢をただしたいと思います。
 第一は、核兵器廃絶の問題です。昨年12月、国連総会は、核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議を、賛成113カ国という圧倒的多数で採択しました。2カ月後には国連本部で締結交渉が開始されます。この動きは、文字通り画期的な意義をもつものです。核兵器禁止条約を、かりに最初は核保有国が拒否したとしても、国連加盟国の多数が参加して条約が締結されれば、核兵器は人類史上初めて「違法化」されることになります。そうなれば、核保有国は、法的拘束は受けなくても、政治的・道義的拘束を受け、核兵器廃絶に向けて世界は新しい段階に入ることになるでしょう。
 ところが日本政府は、アメリカの圧力に迎合して、この歴史的決議に「反対」票を投じました。総理、「地球儀俯瞰(ふかん)外交」といいますが、いったいどこに目をつけているのですか。核兵器廃絶を求める世界の画期的な流れが、あなたの目には入らないのですか。唯一の戦争被爆国の政府にあるまじき、日本国民の意思を踏みにじる態度ではありませんか。しかと答弁をいただきたい。

米軍基地問題――「日米同盟」のためなら沖縄の民意を踏みにじってもいいのか
 第二は、沖縄をはじめとする在日米軍基地の問題です。
 総理は、施政方針で、「日米同盟の強化」を前面に打ち出し、名護市辺野古の新基地建設を強権的に進める姿勢をあらわにしました。「沖縄の基地負担軽減」と言いますが、いま進められていることは正反対のことです。北部訓練場の一部返還の代償に、東村高江のオスプレイ着陸帯の建設が強行されました。辺野古新基地は、普天間基地の「移設」などという生易しいものではありません。1800bの滑走路を2本もち、強襲揚陸艦も接岸できる軍港をもち、耐用年数200年の最新鋭の巨大基地がつくられようとしています。沖縄の海兵隊基地を世界への「殴り込み」の一大拠点として抜本的に強化・固定化する――これがいま進められていることの正体ではありませんか。
 沖縄では、名護市長選挙、県知事選挙、総選挙、参議院選挙と、繰り返し新基地建設反対の圧倒的審判が下されています。総理、「日米同盟」のためなら、沖縄県民の民意を踏みにじってもかまわないというのがあなたの立場ですか。辺野古新基地建設は断念し、普天間基地の無条件撤去を求めてアメリカと正面から交渉すべきではありませんか。
 昨年12月、米海兵隊のオスプレイが名護市の海岸に墜落しました。「不時着」ではありません。墜落です。米軍は、事故後わずか6日でオスプレイの訓練を再開し、事故後3週間余で空中給油の訓練も再開しました。驚くべきことに、安倍政権は、いずれに対しても「理解する」と表明しました。日本の捜査機関が独自の情報を何も持っていないのに、さらには米軍の調査でも事故原因が特定されていないのに、「理解する」とは一体どういうことですか。沖縄県民や国民の安全よりも「日米同盟」を優先する、主権国家の政府とは言えない恥ずべき態度ではありませんか。答弁を求めます。
 トランプ米国新大統領が「米国第一」を宣言するもとで、今後、日本に対する軍事的・財政的負担の強化を求めてくる可能性があります。そのときに、日本政府が、これまでのような「日米同盟第一」「日米同盟絶対」という硬直した思考を続けるなら、その矛盾はいよいよ拡大し、対応不能に陥ることになるでしょう。
 日本共産党は、異常なアメリカ追随外交を根本から見直し、対等・平等・友好の日米関係に切り替えることを、強く求めてたたかうものであります。

憲法改定――どこを変えるのか具体的に提示を、「自民党改憲案」は撤回を

憲法改定、共謀罪について――総理の基本姿勢を問う
 総理は、施政方針で、憲法改定案をつくるため、「憲法審査会で具体的な議論を深めよう」と、改憲への前のめりの姿勢をあからさまにしました。端的に2問伺います。
 第一に、総理は、「新しい国づくり」のためには憲法改定が必要だと主張していますが、総理の考える「新しい国づくり」にとって、現行憲法のどこが問題で、どう変えなければならないとお考えなのか。具体的に提示していただきたい。
 第二に、「自民党改憲案」は、憲法9条2項を削除して「国防軍」創設を明記するとともに、「公益及び公の秩序」の名で基本的人権の大幅な制約を可能にするなど、「憲法によって権力を縛る」という立憲主義を全面的に否定するものとなっています。この案はきっぱり撤回すべきではありませんか。答弁を求めます。
 日本国憲法は、憲法9条という世界で最も進んだ恒久平和主義の条項をもち、30条にわたるきわめて豊かで先駆的な人権規定が盛り込まれています。変えるべきは憲法ではありません。安保法制の強行にみられるような、憲法をないがしろにした政治ではありませんか。

共謀罪法案――国民の思想や内心を処罰する違憲立法は断念せよ
 最後に、共謀罪法案について質問します。政府は名前を「テロ等準備罪」に変えて、今国会に提出しようとしています。法案のレッテルを貼り替えても、共謀=相談、計画しただけで犯罪に問えるという本質は変わりません。それは、犯罪の実際の行為のみを罰するという刑法の大原則に真っ向から反するだけでなく、日本国憲法第19条が「侵してはならない」とする国民の思想や内心を処罰の対象とする違憲立法にほかなりません。
 政府は、オリンピック・パラリンピックに向けて、「テロを防ぐ『国際組織犯罪防止条約』を締結するため」という新たな口実を持ち出していますが、そもそもこの条約はマフィアや暴力団などによる経済犯罪への対処を目的にした条約です。テロ対策というならば、日本はすでにテロ防止のためのすべての条約を締結し、国内法も整備しています。
 「テロ対策」の名で国民を欺き、国民の思想や内心まで取り締まろうという共謀罪は、モノ言えぬ監視社会をつくる、現代版の治安維持法にほかなりません。提出の企てをただちに断念することを強く求めて、私の質問を終わります。
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2017年01月25日,「赤旗」)

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経済・外交、安倍暴走政治を問う/抜本的な切り替え策示す/志位委員長の代表質問/衆院本会議/その2

 深刻な現実を覆い隠す政治は許されるのか、経済政策・外交政策はどうあるべきなのか―。24日の衆院本会議の代表質問で、日本共産党の志位和夫委員長は民意を踏みにじる安倍暴走政治を告発し、抜本的な切り替え策を示しました。

格差と貧困/「四つの改革」を提案
 経済政策はどうあるべきか。志位氏は、この20年間で日本の経済社会に生まれた「三つの特徴的な変化」―富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大を、具体的な数値(下図、グラフ)をもとに明らかにし、「格差と貧困をただし、中間層を豊かにすることを国の経済政策の根本に据えるべきではないか」と提起しました。首相は「成長と分配の好循環をつくりあげてきた」とアベノミクスにしがみつく姿勢を繰り返しました。
 志位氏は、日本共産党が提案している四つの改革への切り替えを示しました。
 第一は、富裕層と大企業に応分の負担を求める税金の集め方の改革です。
 日本は「大株主天国」で、株の配当と譲渡に対する税率は20%。欧米主要国の30〜40%と比べても著しく低いのが実態です。財界の経済同友会も「株式等譲渡所得と配当所得への課税を強化」の提言を出しているとして「大株主優遇税制の是正は、日本共産党からいまや財界までも求める税制改革であり、ただちに実行すべきだ」と迫りました。
 第二は、軍事費や不要不急の大型開発にメスを入れ、社会保障、教育、子育て支援などの予算を増やす税金の使い方の改革です。
 志位氏は、自公政権が2000年代になって始めた社会保障費の「自然増」削減額は合計3兆3千億円にのぼり、社会保障費のあらゆる分野で制度改悪の傷痕をつくりだしている一方、大企業を中心に、4兆円もの法人税減税が行われていると告発。「これはあまりにもゆがんだ政治ではないか」と述べ、社会保障費の「自然増」削減路線を中止し、拡充へとかじを切り替えるよう求めました。
 若者自身が借金をしなければ大学に進学できない社会の現実を直視し、月額3万円の給付型奨学金を70万人―学生総数の4人に1人に支給する制度をまず創設し、規模を拡大するよう求めました。
 安倍首相は、志位氏の指摘には一切答えず、「子どもの相対的貧困率は改善した。アベノミクスの効果」と自身に都合のいい数字を並べたてました。
 第三は、8時間働けばふつうに暮らせる社会への改革です。
 この20年間で、労働者派遣法の連続改悪をはじめとする労働法制の規制緩和によって非正規雇用労働の割合は20%から37%へ急増。労働者の全体の賃下げ、労働条件全体の悪化をもたらし、過労死・過労自殺の労災認定件数も激増しています。
 志位氏は、「自民党政治がつくりだした『政治災害』だ」と怒りを込め「本気で格差をなくすというなら、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、派遣法などに『均等待遇』『同一労働同一賃金』の原則を明記すべきだ」と迫り、「残業代ゼロ法案」の撤回を求めました。
 第四は、「大企業と中小企業の格差是正」を中小企業政策の基本にする改革です。
 志位氏は、大企業と中小企業で働く労働者の間で大きな賃金格差が広がっていることを指摘。1999年に改悪された中小企業基本法で「中小企業と大企業との格差是正」の理念が捨て去られ、99年には423万だった小規模事業者が2014年には325万に激減したと実態を示し、「『格差是正』という理念と政策目標を、中小企業政策の基本に据え直す意思はあるか」と追及。「1%の富裕層と大企業のための政治」から「99%の国民のための政治」へと経済政策を切り替えるようもとめました。

対米従属外交/対等・平等・友好の日米関係へ
 外交政策はどうあるべきか。志位氏は、安倍政権の異常な米国追随外交の二つの問題点をただしました。
 第一は、核兵器廃絶の問題です。
 昨年12月の国連総会で、核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議が、賛成113カ国という圧倒的多数で採択されました。
 志位氏は、核保有国が核兵器禁止条約を最初は拒否しても国連加盟国の多数が参加して締結されれば、人類史上初めて核兵器が「違法化」され、「核兵器廃絶にむけて世界は新しい段階に入ることになる」と画期的な意義を強調。そのうえで、日本政府が米国の圧力に迎合し、この歴史的決議に「反対票」を投じたのは、「唯一の戦争被爆国の政府にあるまじき、日本国民の意思を踏みにじる態度ではないか」と厳しく批判しました。
 首相は「この決議は核兵器国と非核兵器国の間の亀裂をいっそう深め、核兵器のない世界をさらに遠のかせてしまう」と答弁し、核兵器禁止条約を求める圧倒的な国際世論に背を向けました。
 第二は、沖縄をはじめとする在日米軍基地の問題です。
 政府は「沖縄の基地負担軽減」と言いながら、東村高江のオスプレイ着陸帯建設を強行し、辺野古に1800bの滑走路を2本持ち、強襲揚陸艦も接岸できる最新鋭の巨大基地をつくろうとしています。(上図)
 志位氏は、「沖縄の海兵隊基地を世界への『殴りこみ』の一大拠点として抜本的に強化し固定化する―これが今進められていることの正体だ」と指摘。沖縄で下された一連の選挙での民意をふまえ、「辺野古新基地建設は断念し、普天間基地の無条件撤去を求めて米国と正面から交渉すべきだ」と迫りました。
 さらに、昨年12月のオスプレイ墜落事故で、日本政府が飛行再開と、空中給油の再開にいずれも「理解する」と表明したことに、「沖縄県民や国民の安全よりも『日米同盟』を優先する、主権国家の政府とは言えない恥ずべき態度ではないか」とただしました。
 志位氏は、米国のトランプ新大統領が日本に対する軍事的・財政的負担の強化を求めてくる可能性があると指摘。「『日米同盟第一』という硬直した思考を続けるなら、その矛盾は拡大し、対応不能に陥る」と警鐘を鳴らし、米国追随外交を根本から見直し、対等・平等・友好の日米関係に切り替えることを強く求めました。

憲法・共謀罪/変えるべきは憲法ないがしろの政治
 志位氏は、安倍首相が施政方針演説で「新しい国づくり」の名で憲法改定の必要性を主張したことについて、「『新しい国づくり』にとって、現行憲法のどこが問題で、どう変えなければならないと考えるか」を具体的に提示するようただしました。
 首相は「国民的議論の末に収れんしていくものだ」などとして、自身の考えは述べませんでした。
 さらに志位氏は、自民党改憲案を撤回すべきだと追及。9条2項を削除し「国防軍」創設を明記するとともに「公益及び公の秩序」の名で基本的人権の大幅な制約を可能にするなど、「『憲法によって権力を縛る』という立憲主義を全面的に否定するもの」だと告発し、「変えるべきは憲法をないがしろにした政治ではないか」と迫りました。安倍首相は、この問いには答えませんでした。
 志位氏は、政府が「テロ等準備罪」に名前を変えて今国会に提出を狙う「共謀罪」法案について、「共謀=相談、計画しただけで犯罪に問えるという本質は変わらない」と指摘。
 さらに「テロを防ぐ『国際組織犯罪防止条約』を締結するため」との政府の口実に対しては、同条約は経済犯罪への対処を目的にしたもので、日本ではすでにテロ防止のための条約を締結し、国内法も整備していると述べ、「共謀罪は、モノ言えぬ監視社会をつくる、現代版の治安維持法だ。提出の企てを直ちに断念すること」を強く求めました。
 安倍首相は「国際組織犯罪防止条約の締結はテロの未然防止のために国際社会と緊密に連携する上で必要不可欠だ」と、志位氏が矛盾を指摘した説明を繰り返しました。
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2017年01月25日,「赤旗」)

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戦争法、経済・外交、憲法/国政の根本ただし転換迫る/志位委員長が代表質問/衆院本会議

 日本共産党の志位和夫委員長は24日、衆院本会議で代表質問に立ちました。南スーダンPKO(国連平和維持活動)や貧困と格差の拡大が進む日本経済、米国追随が極まる日本外交など、国政の根本問題について安倍晋三首相の見解をただし、日本共産党の対案を示して安倍政治の転換を求めました。(質問全文4・関連2・3・5面)

南スーダンPKO
 「安倍政権は南スーダンの深刻な現実に目をつぶり、覆い隠す、きわめて無責任な態度をとっている」―。志位氏は、内戦状態が続く南スーダンで、同国政府軍が国連PKOに敵対的行為を繰り返していると告発。日本政府が南スーダンへの武器輸出を禁止する国連の決議案に棄権して廃案にしたことを批判して、「決議案に賛成すれば、日本政府が現地の危機的な状況を自ら認めることになるからではないか」と追及しました。安倍首相はまともな理由も示さず「(決議は)生産的ではない」と強弁し、棄権を正当化しました。

格差と貧困ただす
 日本経済について志位氏は、今日までの20年間の特徴的な変化として、富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大が進んだという事実を突きつけ、「格差と貧困をただす経済民主主義の四つの改革」を提案。税金の集め方の改革では、経済同友会が税制改革提言(2016年10月発表)で大株主優遇税制の是正を求めていることも示し、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革が必要だと述べました。
 外交政策について志位氏は、核兵器問題と米軍基地問題での安倍政権の「異常なアメリカ追随外交」を追及しました。
 沖縄問題では、安倍政権が「日米同盟の強化」を前面に掲げて辺野古新基地建設を強行していることに対し、一連の選挙で繰り返し新基地反対の圧倒的審判が下されていると強調。さらに、昨年12月のオスプレイ墜落事故の後、飛行や空中給油の訓練の再開に安倍政権が「理解する」と表明し、県民や国民の安全より「日米同盟を優先」したことについて「主権国家の政府とは言えない恥ずべき態度だ」と指摘し、異常なアメリカ追随外交を根本から切り替えることを求めました。

憲法と共謀罪
 安倍首相が施政方針演説で憲法改定に前のめりの姿勢をあからさまに示したことについて、志位氏は「現行憲法のどこが問題で、どう変えなければならないのか」とただしました。首相は全く答えられず、「国民的な議論の末に収れんしていく」と述べるだけでした。
 志位氏は、政府が今国会で提出を狙う「共謀罪」(テロ等準備罪)法案について、犯罪の実際の行為のみを処罰する刑法の大原則に真っ向から反するだけでなく、憲法19条が保障する国民の思想や内心を処罰対象とする違憲立法だと指摘。政府が「テロ対策」を口実にしているが、すでに日本がテロ防止のためのすべての条約を締結し国内法も整備しているとして、「『テロ対策』の名で国民を欺き、国民の思想や内心まで取り締まろうという共謀罪は、モノ言えぬ監視社会をつくる現代版の治安維持法≠セ」と厳しく批判し、提出断念を迫りました。
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2017年01月25日,「赤旗」)

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NHK日曜討論/小池書記局長の発言

 日本共産党の小池晃書記局長は22日のNHK日曜討論で、20日から始まった通常国会での論戦の焦点について与野党の幹事長らと議論しました。

トランプ新政権/追随外交をやめ対等平等の外交に
 冒頭、「米国第一」を掲げるトランプ氏の大統領就任について問われ、自民党の二階俊博、公明党の井上義久両幹事長は「日米同盟は日本外交の基軸だ」と述べ、米国に追随する姿勢を示しました。
 小池氏は「超大国のリーダーが自国が第一と言ったら、世界各国にその立場が押し付けられる」と指摘。トランプ大統領は環太平洋連携協定(TPP)からの離脱とともに、米国の利益を優先した2国間の貿易協定を進めようとしており、「農業でも医療でも、むき出しの要求が日本に迫られることになる」、「米国への追随外交から抜け出して、対等平等の外交に踏み出すべき時だ」と主張しました。

来年度予算案/社会保障削減、文科省天下りを厳しく追及
 議論は2017年度予算案の問題に移り、自民・二階、公明・井上両氏は早期成立を求めました。これに対し小池氏は、高齢化などで必要な社会保障費の「自然増」分を1400億円も削減する一方、軍事費は5年連続で5兆1000億円を超えていると指摘し、「この問題は厳しく追及し、予算の組み替えを提案したい」と表明しました。自由党の玉城デニー幹事長は「野党とともに真摯(しんし)な論陣を張り、政府に対峙(たいじ)し、政権交代をめざす姿勢だ」と述べました。
 さらに小池氏は、文部科学省での組織的な天下りの違法あっせんについて、第1次安倍政権が07年に官民交流≠フ名で天下り自由化法(国家公務員法改定)を強行成立させたことを指摘。「当時、安倍首相は天下りを根絶する法案だと言ったが、実際は完全なザル法だ。(違法あっせんの)全容解明と天下りの根絶は(今国会の)重要なテーマだ」と述べました。

「働き方改革」/長時間労働規制―野党提出の法案を早く通そう
 予算案をめぐって「反対だけでなく提案してほしい」と述べた自民・二階氏に対し、野党からは、民進、共産、自由、社民の4野党による長時間労働規制法案について「提案しても(与党は)真剣に議論しない」と批判が相次ぎました。
 民進党の野田佳彦幹事長は「今国会の内閣提出予定法案の一覧に(規制法案は)入っていない。過労死の問題は一日も早く対応すべきだ」と述べました。
 小池氏は、▽残業時間は月45時間以内とした大臣告示を法令化し、法的上限規制をつくる▽次の勤務時間まで一定の休息時間を設ける「インターバル規制」を導入し、欧州連合(EU)が定めた最低11時間とする―ことが必要だと主張。「残業代ゼロ法案は撤回して、(共同法案を)真剣に検討し、早く通そうじゃないですか」と呼びかけました。
 二階氏は「今国会で必ず結論を得るようにしたい。(政府法案を)出す」と応じました。

「共謀罪」/違憲の大悪法―現代の治安維持法だ
 過去3回も廃案になった新たな「共謀罪」法案について議論になり、自民・二階氏は今国会での「早期成立をめざす」と言明。公明・井上氏は「対象を犯罪組織に限定した」、「国内法がないから国際組織犯罪防止条約を締結できていない」と言い訳しました。
 小池氏は、「共謀罪」法案は相談・計画だけで逮捕・投獄できるものであり、「思想、良心の自由を保障した憲法に違反する大悪法だ」と強調しました。
 テロ対策は国内法で対応できるうえ、国際組織犯罪防止条約批准のために「共謀罪」をつくる必要はないことを述べ、「一般人は対象外だと言うが、一般人かどうかを判断するために電話やメール、ラインの盗聴がはびこる。ものを言えない密告社会、監視社会になる。そんな国にしていいのかと正面から問いたい」と迫りました。
 自由・玉城氏は「『目配せは共謀罪になる』と、この間の国会答弁にある。国民は不安が膨らむ」、社民党の又市征治幹事長は「戦前の治安維持法と同じだ」と批判しました。
 自民・二階氏は「国際社会の信頼を勝ち取るためにも早期成立をめざす」と強弁。日本維新の会の馬場伸幸幹事長は「2020年の東京五輪に向けて必要な法案だ」と述べました。
 小池氏は、共謀罪の対象は「組織的犯罪集団」に限定し、処罰要件は計画だけでなく「準備行為」を含めると言っても、恣意(しい)的に適用される危険性をあげ、「意思や内心を処罰する本質は変わらない」と述べました。「治安維持法も対象者がどんどん広がっていった。(法案は)まさに現代の治安維持法になっていく。非常に危険な暗黒社会をつくってしまう。五輪は盗聴、監視ができる国じゃないと開けないのか。五輪のイメージが悪くなる。五輪をだしに使うのはやめるべきだ」と主張しました。

天皇の退位問題/個人の尊厳という点で見直すべき―国会で責任ある議論を
 政府が天皇の生前退位の特例法案を検討していることについて、二階氏は「各党の意見も聞いて、集約に取りかかっている」と述べるにとどまりました。
 小池氏は「一人の方がどんなに高齢になっても仕事を続けなければならない今のあり方は、個人の尊厳という点で見直す必要がある」と述べたうえで、「高齢というのは現天皇だけの特別な事情ではないので、皇室典範を改正するのが筋だ」と指摘。「全国民を代表する国会で、各党会派の代表が参加する場を設け、責任ある議論をするべきだ。結論ありきの有識者会議を前提とせず、国民的議論に資するためにも、きちんと議事録をつくって公開することが必要だ」と求めました。

憲法改定/時代逆行の自民改憲案―憲法がめざす政治の実現を
 最後に憲法改定が議論になりました。司会者から「今国会で改憲発議をするのか」と問われた自民・二階氏は「状況を見て判断する」と今国会での発議を否定しませんでした。安倍首相も施政方針演説で、「憲法施行70年の節目にあたり、次なる70年に向かって、(改憲)案を国民に提示するため議論を深めよう」と表明しています。
 小池氏は、「日本を70年以上前に戻すのが自民党改憲案だ」と批判。▽憲法9条2項を削除して国防軍を持ち、無条件で海外での武力行使を可能とする▽「公の秩序」の名で基本的人権を制約する―などの内容を説明して、「こういう時代逆行の自民党改憲案を断じて許すわけにはいかない」と強調しました。
 さらに、「憲法に背くような政治が続けられてきたこと自体が問題だ。いまの日本に必要なのは、憲法を変えることではなく、憲法がめざした政治を実現することです。それが私たちの対案ですし、今国会で発議することは絶対に許されません」と主張しました。
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2017年01月23日,
「赤旗」)

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自民幹事長・共謀罪「早期成立をめざす」、改憲発議「状況見て今国会でも」/「絶対に許されない」小池書記局長が厳しく批判/NHK日曜討論

 22日のNHK日曜討論で与野党の書記局長・幹事長が通常国会の論戦にどう臨むか討論し、この中で自民党の二階俊博幹事長は「共謀罪」の「早期成立を目指す」と言明したほか、今国会での改憲発議も「状況を見て判断する」と発言しました。日本共産党の小池晃書記局長は「絶対に許されない」と厳しく批判しました。
 (小池氏発言)

 小池氏は「共謀罪」について、実際の犯罪行為がなくても相談・計画しただけで逮捕・投獄できるようにするもので、実行行為のみを処罰する刑法の原則と思想・良心の自由を保障した憲法に違反する大悪法だと批判しました。
 与党が国際組織犯罪防止条約を批准するためにも必要だと主張したのに対して、小池氏は同条約が締約国の措置について「自国の国内法の基本原則に従って」としていることを指摘し、「日本は日本の立場で対応すればよい。テロには現行法で十分対応可能だ」と述べました。
 「テロ等準備罪」と名前を変え、「組織的犯罪集団」「準備行為」に対象を限定しているという議論に対しても、政府が恣意的に「組織的犯罪集団」と認定する危険や「準備行為」の概念も漠然としていることを指摘し、「名前を変えても対象を絞っても、意思・内心を処罰する本質に変わりはない。まさに現代の治安維持法だ」と強調しました。
 また、安倍首相が施政方針演説で、憲法施行70年の節目にあたって具体的な改憲案を示そうと呼びかけたことについて、「日本を70年以上前に戻そうというのが自民党の改憲案だ」と述べ、戦力不保持を定めた9条2項を削除して国防軍を持つなどとした同党改憲案の時代逆行性を批判しました。
 その上で、今国会での改憲発議もあり得るとした自民・二階氏の発言について、「びっくりした。こんなことは絶対に許されない。国会でも徹底的に追及していきたい」と語りました。
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2017年01月23日,
「赤旗」)

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安倍政権、「共謀罪」提出表明/思想・信条罰する違憲立法

 安倍政権は20日召集の通常国会に、思想・信条を処罰対象とする違憲立法である「共謀罪」法案(組織犯罪処罰法改定案)を提出すると表明しています。
 日本の刑事法制は、犯罪が実際に行われた場合に処罰するのが原則。共謀罪はこの刑法の大原則に反し、犯罪が実際に行われていなくても、「犯罪を行うことを相談、計画した」だけで犯罪に問うものです。
 共謀罪は過去3回、国会に提出されました。しかし国民の強い批判を受け3回とも廃案になっています。このため安倍政権は「テロ等組織犯罪準備罪」と看板≠変え、「テロ対策」を口実に通常国会での成立を狙っています。
 政府は同法案の対象を、4年以上の懲役または禁錮に該当する犯罪のすべてとしています。殺人や詐欺など広範囲に及び計676の犯罪が該当することになります。不当な取り締まりや冤罪(えんざい)の危険性がいっそう高まります。
 日本共産党の小池晃書記局長は記者会見(10日、国会内)で、共謀罪法案について「治安維持法の現代版ともいえる大悪法だ」と指摘しました。「日本国憲法が保障する思想、信条、表現の自由、基本的人権を侵害するものだ」と厳しく批判。「国会提出を許さず、政府が提出をはかれば総力をあげて廃案のために頑張りぬきたい」と表明しました。
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2017年01月22日,
「赤旗」)

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「共謀罪」断念させよう/「暗黒政治許すな」「憲法に違反」/青森で治維法国賠同盟宣伝

 治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟青森県本部は20日、青森市新町で「ふたたび侵略戦争と暗黒政治を許すな」の横断幕を掲げて街頭宣伝し、安倍首相が今通常国会で提出・成立を狙う「共謀罪」法案阻止へ全力で取り組む決意を訴えました。
 参加者7人は「共謀法許すな」のゼッケンを付け街頭に立ち、「共謀罪」を「テロ等準備罪」と名を変え提出を狙う安倍政権を批判しました。「どんな名であろうと、対象となる罪の大多数が違法性のある行為ではなく意思そのものを犯罪にするという本質は一切変わらない。現代版の『治安維持法』であり、『思想及び良心の自由は、これを侵してはならない』とする憲法19条に違反する危険な法律です」と訴えました。
 「法案提出を断念させる市民の運動を広げ、一緒に安倍政治をストップさせていきましょう」との呼びかけに、足を止め署名した福島県在住の男性(74)は、「海外にいる友人が日本は言論の自由と人権が守られてうらやましいと言ったが、この法案はその自由を奪うものだ」と語りました。「戦争がすぐそこに来ているようで怖い」(85歳女性)、「戦争にすすむ道は絶対に反対です」(75歳男性)―など、戦争体験した高齢者も次々署名しました。
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2017年01月22日,
「赤旗」)

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小森恵著、西田義信編『治安維持法検挙者の記録』刊行/弾圧の実態、解明の入り口に/渡辺治

 本書は、あの悪名高い治安維持法により弾圧された膨大な犠牲者の検挙、勾留、裁判関係の記録の所在を人名別に編集した資料案内である。
 本書のもとになる数千冊に及ぶ書籍の記事から個人別ファイルをつくるという気も遠くなるような作業を行ったのは故小森恵(本名・小黒義夫)氏である。長く東京大学社会科学研究所において図書館司書として職務に携わる傍ら、治安維持法関係の資料の収集、整理を続けた。
 本書は生前からその作業を助けてこられた西田義信氏の手で補正され懇切な解説・手引きをつけられ、文生書院の小沼良成氏が幾多の困難を克服して公刊にこぎ着けた。

党を助けた′実で重罰に
 本書がもつ大きな意義は、本書の記録の検証を通して、治安維持法が戦前日本の社会運動に対して行った弾圧や自由抑圧の規模や手口を知ることができるという点である。1925年制定の治安維持法は、当初は、共産党を「国体」=天皇制の変革をたくらむ凶悪組織として一網打尽にすることをねらってつくられたが、三・一五事件で本格的に発動された直後の28年に改悪され、より広範な人々に刃を向けるようになった。共産党員のみならず、それを支持したり共感したりする人々や組織を一網打尽にしなければ、運動の広がりを抑えられないと考えたからだ。
 そこで新たに登場したのが「目的遂行罪」である。労働組合や文学、演劇運動などで活動している人々を、党のメンバーでなくとも党の「目的」を助けたという口実で重罰の対象とするというものであった。共産党員を家に泊めただけで検挙され投獄された人も少なくない。さらに、日本共産党指導部が壊滅した後、天皇とは異なる神を信奉するのは「国体」の否定だという口実で新興宗教団体やキリスト教、仏教の平和運動などにも発動され、侵略戦争に国民を動員していく大きな梃子となったのである。
 本書を見ると、驚くほど多数の、しかも幅広い分野―社会運動から学問、宗教、文学、絵画、演劇人などが治安維持法の弾圧の対象となっていることが見てとれる。
 たとえば、「寺尾信夫」という本名で宇野重吉が載っている。宇野は、2回にわたり同法で検挙、勾留されているが、理由は、その演劇活動が党の「目的遂行罪」にあたるという口実だったことがわかる。

運動や記憶の掘り起こしに
 著者が本書の編さんにのりだしたきっかけは、治安維持法により弾圧された本人や縁者が、自らがかかわった事件の経緯、判決の所在を問い合わせてきたことに答えたいとの思いであった。本書は、そうした治安維持法の体験を追跡する手がかりとなるだけでなく、戦前、戦時期の治安体制や社会運動の研究者にも大きな武器を提供するものである。治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟の県本部や地域支部、日本国民救援会などでは、ぜひこれを備え、地域の運動や記憶の掘り起こしに、大いに活用していただきたいと思う。
 (わたなべ・おさむ 一橋大学名誉教授)
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2017年01月22日,
「赤旗」)

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「共謀罪」廃案に/憲法会議が訴え/島根「9の日宣伝」

 島根県憲法会議は19日、JR松江駅前で「9の日」宣伝し、共謀罪法案の国会提出に反対する要請署名に取り組みました。5団体から6人が参加し、「戦前の治安維持法の再来となる共謀罪は廃案にしよう」と呼びかけました。
 参加者は共謀罪法案について「テロ対策どころか、公職選挙法や道路交通法など、テロとは全く関係のない市民生活にかかわる犯罪も対象になっている」と指摘。「意思を処罰する共謀罪は刑法の大原則に反し、憲法が保障する思想・信条、表現の自由を侵害するものであり、許してはならない」と訴えました。
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2017年01月21日,
「赤旗」)

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共謀罪許さないと各地で宣伝/共謀罪通れば暗黒政治に/宮城の治維法国賠同盟

 宮城県の治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟(治維法国賠同盟)塩釜支部は19日、塩釜市と多賀城市内5カ所で街頭宣伝を行い、安倍首相が今通常国会で提出を狙う共謀罪法案について「暗黒政治への逆戻り」と強く批判しました。
 同支部は共謀罪について秘密保護法と盗聴法とあわせて、現代版の治安維持法体制を画策していると指摘。「環太平洋連携協定(TPP)承認、年金カット法、カジノ法などの強行採決に続いて、戦争と暗黒政治への逆戻りを許す天下の悪法共謀罪法を強行させるようなことは断じて許すことはできない。本気になって強権政治と暴走政治をやめさせ、市民と野党との共同の力で国民連合政権による新しい政治へ大きく転換させる年にしていきましょう」と訴えました。宣伝では、深刻な内戦状態にある南スーダンに派遣された隊員の即時撤退を訴えました。
 沿道の車からクラクションや手ぶり、「応援してるぞ」との声掛けがありました。
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2017年01月21日,
「赤旗」)

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戦争法と一体、共謀罪/国会提出ノー/4野党・1会派が参加

 「共謀罪の国会提出を許さない1・20院内集会」が20日、国会内で行われ、会場いっぱいの340人が参加しました。
 集会は「解釈で憲法9条を壊すな! 実行委員会」など4団体が主催。代表して同実行委の高田健さんが「共謀罪は戦争法と一体のとんでもない法律。野党4党が結集し、結束することでしか戦争法も共謀罪もなくすことはできない」とあいさつしました。
 民主党政権時代に法相を務めた平岡秀夫弁護士が、これまでの共謀罪をめぐる国会などでの議論の経緯を報告しました。共謀罪をめぐって政府は「国際組織犯罪防止条約の締結に必要」と説明していますが、今回は「組織犯罪防止のため」「テロ未然防止のため」と強調してきている点を指摘。「条約は現行でも締結できる。共謀罪がないと具体的に何に困るというのか」と疑問を呈しました。
 海渡雄一弁護士は「13本ある国連のテロ対策条約を日本はすべて批准しており、国連が推奨するテロ対策の法規はすべてつくられている」と強調。「676もの犯罪を対象とする共謀罪は治安維持法よりも怖い」とのべました。
 集会には共産、民進、自由、社民、沖縄の風の野党4党1会派の国会議員が参加しました。
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2017年01月21日,
「赤旗」)

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施政方針演説から見えた、安倍流「新しい国」とは

 20日に始まった通常国会。ウソと偽りで国民を欺く安倍晋三首相の手法は、施政方針演説でも際立ちました。安倍首相が美辞麗句で飾り立てた言葉の裏には、どのような事実や実態が隠されており、安倍首相が目指す「新しい国」とは、どんな国なのか―。

世界に取り残される国/対米従属むき出し戦争法の危険隠す
 安倍首相は、国内政治を差し置いて、冒頭から日米同盟を全面に押し出す異例の演説を行いました。「世界の真ん中で輝く国づくり」と題するも、核兵器禁止条約の交渉開始をする国連の会議などの国際的な潮流には触れずに、「日米同盟こそがわが国の外交・安全保障政策の基軸」と、対米従属の姿勢をむき出しにしました。
 首相は、「トランプ新大統領と同盟の絆をさらに強化する」と露骨な姿勢をみせました。核戦力の強化をもくろみ、人種差別発言を繰り返す大統領にすり寄る首脳は他に存在しません。
 「米国との信頼関係のもと、抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に、一つひとつ結果を出していく」。沖縄県民の民意を徹底的に踏みにじる宣言をしたのも大きな特徴です。
 首相は、北部訓練場の「4千fの返還が、20年越しで実現した」と豪語しました。一方、不発弾や汚染で使用不可能な返還地であること、昨年12月に強行建設したオスプレイパッド、豊かな自然環境の破壊などの都合の悪い事実には一言も触れません。
 「沖縄県民に寄り添う」というかつての表明は消え、名護市辺野古の米軍基地の建設を「最高裁判所の判決に従い移設工事を進めていく」と強権ぶりを示しました。
 外交の成果として、昨年12月の日ロ首脳会談に触れ、「平和条約の締結に向けて重要な一歩を踏み出した」とアピールしました。しかし、同会談は「領土問題は存在しない」とするロシア側に屈した結果に終わるなど、「安倍外交」の破たんがすでに示されています。
 「自衛隊の活動一つひとつが、間違いなく南スーダンの自立と平和な国づくりにつながっている」
 「積極的平和主義」を掲げる首相は、過去に開催された「全国スポーツ大会」を脈絡もなく取り上げるばかり。深刻な内戦状態に陥っている国内の実態や、戦争法の新任務「駆け付け警護」などに一切触れず、二重に国民を欺いています。
 「世界の真ん中で輝く国づくり」はおろか、いまだに米国の属国として「世界の片隅」にしか居場所がない安倍政権の現実です。

格差と貧困が広がる国/雇用・賃金・消費の改善なく「成長」と
 「全国津々浦々で、確実に『経済の好循環』が生まれている」
 首相は経済問題で、お決まりのフレーズを繰り返し、「力強く成長し続ける国づくり」を進めると豪語しました。しかし、「好循環」など、とんでもないごまかしです。
 「アベノミクス」で、大企業は3年連続「史上最高益」を更新しましたが、労働者の実質賃金は4年のうちに年額で19万円も減少。家計消費は実質15カ月連続で対前年比を下回るなど、賃金や雇用は改善せず、消費は伸び悩んでいるのが現実です。
 首相は、総務省調査をもとに、「子どもの相対的貧困率は2%減少し、7・9%」などと強調しました。しかし、厚労省調査では16・3%(2012年)で、貧困層の増大は依然として深刻です。国民の暮らしから目を背け、問題に真正面から取り組む姿勢がなければ、まともな経済政策は生まれません。
 なかでも、深刻なのが雇用ルールの破壊によってもたらされた非正規雇用労働者の拡大です。労働者派遣法の連続改悪などによって1990年代半ばまでは20%で推移していた非正規の割合は、37%を超えるまでになりました。
 雇用ルールの破壊は非人間的な労働をまん延させ、首相自身も施政方針演説では、「働き方改革」などを打ち出さざるをえなくなっています。しかし、雇用ルールの破壊を進めてきた自らの姿勢を転換しない限り、本当の「働き方改革」など実現するはずもありません。
 実際、首相は「同一労働同一賃金」というものの、昨年12月に出した政府のガイドライン()では、能力や業績・評価などで正規と非正規の間に賃金格差をつけることを容認。企業の主観的判断で格差を固定化させることにつながりかねません。
 首相は「長時間労働の是正」とも述べましたが、それならば、演説では一言もふれなかった、長時間労働野放しの「残業代ゼロ法案」をまず撤回すべきです。
 首相が唱える「成長し続ける国づくり」の実態は、貧困と格差を広げる国づくりでしかありません。

社会保障を破壊する国/拡充とはほど遠い保育所・介護・年金
 「1億総活躍の国づくり」。首相はこのフレーズで、「待機児童ゼロ」「介護離職ゼロ」の受け皿整備を進めると言います。実態はどうか―。
 安倍政権の保育所整備計画には、6万7千人いる「隠れ待機児童」は含まれません。新たにつくる保育所10万人分のうち5万人分は無認可の「企業主導型保育」で、基準緩和で子どもたちを詰め込むものです。
 介護では、受け皿として12万人分を追加しましたが、特別養護老人ホーム待機者52万人には遠く及びません。14年には介護報酬を実質マイナス4・48%と過去最大規模で削減し、介護事業の倒産・休止は過去最高に達しています。
 首相は社会保障費の「自然増」削減を「今年度に引き続き来年度予算においても、5千億円に抑えることができた」と誇りました。
 17年度予算で保育士給与に2%の処遇改善としていますが、月額約6千円で、全産業平均と比べて月10万円も低いのが実態。介護職でも給与改善は1万円にとどまります。
 首相は「年金受給資格を25年から10年に短縮する」と胸を張りましたが、年金の受給資格を10年に短縮することは12年法改正で決められていたのに、消費税10%増税延期に伴い先送りにされていました。世論と国会論戦で実施に追い込まれましたが、納付期間10年では年金額はわずか月1万6252円。低年金者への月5千円の上乗せも見送られています。それどころか、年金カット法を強行し、物価が上がっても賃金が下がればカットされる年金大改悪を行っており拡充≠ニはほど遠いものです。

日本国憲法否定する国/明文改憲前のめり現代版治維法狙う
 安倍首相は、日米同盟を「不変の原則」と言い切る一方で、日本国憲法については「施行70年の節目」「憲法審査会で具体的な議論を深めよう」と明文改憲に踏み込む決意を表明しました。行政府の長が、国会審議を指し図するという三権分立を否定する異常な発言で、閣僚の憲法尊重擁護義務にも反します。
 しかも、安倍首相は、3年後の東京五輪開催に合わせ、「テロなど組織犯罪への対策を強化する」と主張。実際の犯罪行為がなくても、相談、計画をしたというだけで罪に問える「共謀罪」法案の提出にも執念を示しました。
 安倍首相が「共謀罪」でやろうとしていることは、テロ対策の名による思想・内心の弾圧で、戦前の治安維持法体制の現代版です。
 「『戦後』の、その先の時代を開く」と豪語する安倍首相が目指す先は、憲法を否定する国づくり≠ヨとつながっています。
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2017年01月21日,
「赤旗」)

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共謀罪上程許すな/JR浦和駅前で宣伝

 「秘密保護法の撤廃を求める埼玉の会」は13日、安倍政権が20日から始まる通常国会に共謀罪(テロ等組織犯罪準備罪)を含む組織犯罪処罰法改正案を上程しようとしていることに反対し、さいたま市のJR浦和駅前で緊急宣伝しました。
 参加者はビラを配り、署名を呼びかけながら共謀罪の危険性を告発。事件が起きていなくても意思そのものが罪に問われ、戦前の治安維持法に通じる危険があると訴えました。
 署名した人たちから「怖い世の中ですね」「安倍さんは何でも強行採決」「テロ等の『等』が悪い。これでは何でも当てはまってしまう」などの声が寄せられました。
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2017年01月20日,
「赤旗」)

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共謀罪/犯罪集団のレッテル貼り/法案提出反対で学習会/はたの、藤野、仁比議員参加

 「共謀罪(テロ等準備罪)法案の国会提出を許すな」と19日、全労連や自由法曹団、国民救援会の3団体主催の学習会が国会内で開かれ、92人が参加しました。
 学習会では三澤麻衣子弁護士(自由法曹団治安警察問題委員会委員長)が「テロ等準備罪=¥]来の『共謀罪』そのもの」と題して報告しました。
 菅義偉内閣官房長官は同法案について「犯罪の主体を限定するなど一般の方々が対象になることがありえない」と説明しています。
 三澤さんは「法案は共謀した時点で組織的犯罪集団とみなされる。同級生とのひさしぶりの集まりも共謀≠ェあれば組織的犯罪集団となってしまう」とのべました。
 また三澤さんは「一般人か犯罪集団かを決めるのは、政府や警察だ。政府の気にくわない人たちには、犯罪集団のレッテルを貼ることができる」と指摘しました。
 学習会では、国民救援会東京都本部や治安維持法犠牲者国賠同盟の参加者が宣伝や署名などの取り組みを報告しました。
 日本共産党の、はたの君枝、藤野やすふみ両衆院議員と仁比聡平参院議員が情勢報告とあいさつをしました。
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2017年01月20日,
「赤旗」)

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戦前思い起こさせる/「共謀罪」反対で講演会/愛知・半田

 愛知県半田市で14日、安倍政権が20日から始まる通常国会で提出、成立をねらう「共謀罪」について怖さを学び、反対の声をあげようと講演会が開かれました。秘密保護法の廃止を求める知多の会が主催し、会場いっぱいの80人が参加しました。
 あいさつにたった新美治一さんは、「共謀罪は名前を変えて、これまで3度廃案になっている。市民や団体を監視するための法律で、戦前の治安維持法を思い起こさせる。絶対に廃案させよう」と話しました。
 名古屋第一法律事務所の田原裕之弁護士が「共謀罪」の内容と狙いについて講演。国民の批判を受け、「テロ等準備罪」に名前を変えたが、国民を監視する本質は変わっていないと指摘。準備行為の定義はあいまいで、秘密保護法や盗聴法などと組み合わさって犯罪の予防、治安維持、テロ対策を口実に監視する危険性があると述べ、「市民や団体を監視し、反体制側の活動を萎縮させるのがねらい。成立すれば、拡大されていく。学ぶ場を急速に広げよう」と話しました。
 参加した年金生活の男性(65)は、「共謀罪の講演は初めて聞いた。まずは自分から街頭に出て、地元で運動を作っていきたい」と語りました。
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2017年01月18日,「赤旗」)

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戦前の治安維持法/現代の新「共謀罪」/説明そっくり/でも結果は―

戦前の治安維持法「世間の人が心配するほどのものでない」/現代の新「共謀罪」「一般人が対象になることはあり得ない」
 現代版「治安維持法」と呼ばれる新「共謀罪」(組織犯罪処罰法改定案)の法案提出に反対の世論が広がる中、安倍政権が不安打ち消しに躍起です。人権抑圧と思想弾圧で猛威を振るった「元祖」治安維持法が施行される際にも、菅義偉内閣官房長官と同じような説明が振りまかれていました。
 菅長官は6日の会見で「従前の共謀罪とは別物だ。一般の方々が対象になることはあり得ない」と説明しました。治安維持法が施行されたのは1925年5月。当時の新聞報道でも、政府が国民の不安払拭(ふっしょく)に力を入れていたことがわかります。
 「労働者や思想家たちはあまりにこの法案を重大視し悲観的に考えているようであるが(中略)伝家の宝刀であって余り度々抜くつもりでもない」
 施行を前に、東京朝日新聞(1925年5月8日付)は、当時の警視庁当局の説明をこう報じていました。
 治安維持法による逮捕者は数十万人を超え(28〜45年)、送検された人は7万5000人()となっています。同法の弾圧が原因で命を落とした人は、わかっているだけで1682人となっています。
 国民をだまして施行すると、日本共産党や労働運動や農民運動、文化活動や宗教者の集まり、つづり方教育といった教育実践など、国民生活のあらゆる分野に弾圧の手を伸ばしました。
 この記事で、警視庁は「今の時代精神とかけ離れたような旧式の取り締まりもできませんよ。だから世間の人が心配するほどのものでなく、この法のために今の社会運動が抑圧されるなどということはないだろう」と説明。
 同日付で内務省警保局長の「われわれの方でも運用については非常に注意し純真な労働運動や社会運動を傷つけないように心がけている」という発言も報じています。
 読売新聞(同年5月9日付)は「細心の注意を払い 乱用するな」とする小川平吉法相(加藤高明内閣)の訓示を報じています。
 しかし、結果をみれば「一般の方々が対象になることはあり得ない」とする菅長官の説明が方便にすぎないことがわかります。
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2017年01月15日,「赤旗」)

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クローズアップ/東京/歴史学び戦争繰り返さない/市民大学講座主催者の小菅京子さん

夫の遺志継ぎ毎月1回
 本紙「首都圏」のページの「くらしの情報」欄は、8都県の地域や職場で、平和と民主主義を守るため、暮らしを守り、より豊かにするために取り組まれている市民運動や学習・文化活動、余暇活動などのイベントの案内を掲載しています。この欄に月に1度、案内を掲載して10年続けてきた手づくりの市民講座があります。山田朗明治大学文学部教授を講師に迎え、日本の近現代史を学ぶ「市民大学講座」です。共同主催者の1人、小菅京子さんは、2014年に亡くなった夫・善二さん(享年85歳)の遺志を継ぎ、学習会継続のために力を尽くしています。
 (笹島みどり)

 昨年12月、会場の東京都文京区のシビックセンター会議室を訪ねました。講座開始の30分以上前から多くの人が受けつけを済ませ、会場は40人ほどの人で埋まりました。
 京子さんは会場の入り口で「こんにちは」とにこやかに受け付けをしていました。

質問が相次ぐ
 この日、山田教授は、受講者の要望にこたえて「占領と民主化」の特別講義として、皇室典範を取り上げました。山田教授は、皇室典範が男系男子主義であるため、天皇家だけが男女平等原則の特例になっていると解説。有識者会議が皇室をめぐる問題を議論している状況について「女性の天皇を認めないのかなど論点はいくつもある。特措法ですべてを先送りにせず『主権の存する国民の総意』による地位について『天皇制かくあるべし』という根本的な所からの議論をすべき時だ」と話しました。
 質問の手がいくつも上がり、「伝統的な祭祀(さいし)と天皇の関係をどうみるか」「天皇制はファシズムに結びつくのではないか」など、時間いっぱいまで質疑が続きました。

グレーもある
 山田教授に講師の依頼をしたのは、京子さんの夫・善二さんでした。善二さんは、東京革新懇や治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟にかかわっていました。
 人柄について京子さんは「穏やかな人で怒ったことは見たことがない。私は物事をはっきりつけたがる性格なんですが、『人はね、白か黒かじゃないよ。グレーもあるんだよ』と口ぐせのように言っていました」と話します。
 その善二さんが1990年代後半、ある学習会で山田教授の講演を聞き、その日のうちに講師にスカウト=B2000年代初頭には、約90人が集まる人気の講座になりました。
 亡くなる3年ほど前から、善二さんは体調を崩して講座に足を運べなくなりました。京子さんが持ち帰る参加者名簿を見て「この人は久しぶりに来てくれた」「こんな人も参加したのか」とうれしそうに話していました。「講座を続けてほしいという遺言はなかったんですが、あのうれしそうな姿をみていたから、講座を続けようと思ったんです」と話した京子さん。言葉をつづけて…。
 「口にして確認したことはないのですけど、夫があんなに飛びまわって活動していた原動力は『戦争を繰り返してはならない』、その一言なのだと思います。歴史を学び、話しあえるこの講座に新しい年も多くの人が参加してほしいですね」

「くらしの情報」欄
 「首都圏」のページに常設されているイベント案内欄です。ファクスや手紙などで届くチラシや文書をもとに、記者が平均15行程度の記事にまとめます。その記事をイベント主催者に確認を取ったうえで掲載しています。
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2017年01月14日,「赤旗」)

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共謀罪「監視社会に」「乱用の恐れ」/地方紙が社説で反対・懸念

 安倍政権が通常国会に提出をねらう「共謀罪」法案(組織犯罪処罰法改定案)について、地方紙が社説で反対や懸念を表明しています。
 琉球新報(7日付)は見出しで「監視招く悪法は必要ない」とし、犯罪が実際に行われなくても処罰されることをあげ「日本の刑法体系に反する」と強調。特定秘密保護法と組み合わせて治安維持法のように運用される恐れがあるとして「戦前のような監視社会に逆戻りさせてはならない」と書きました。
 高知新聞(11日付)も「捜査当局による乱用の恐れは拭えず、市民活動や思想・信条の自由を脅かしかねない」と批判。これまで3度も国民の反対で廃案となり、政府がテロ対策を前面に出し、適用対象も限定するとしているものの「装いを変えても、捜査当局が恣意的に判断する余地は大きく残っている」と指摘しています。
 信濃毎日新聞(7日付)は、政府が「国際組織犯罪防止条約」を締結するために不可欠と説明していることに反論。「条約は、マフィアや暴力団による経済犯罪への対処を目的にしたものだ」「国際的な要請として共謀罪を導入しなければならない理由は見いだしにくい」と述べ、政府の恣意的判断によって「米軍基地や原発に反対する運動をはじめ、政府の方針に異を唱える市民の活動が標的にされないか。乱用の懸念は消えない」と強調しています。
 京都新聞(11日付)は、人権侵害の懸念を示すとともに「またぞろ土壇場になって与党の『数の力』で押し通すのでなく、速やかに全容を国民に説明すべきであり、国会で徹底的に問題点を洗い出す必要がある」と徹底審議を求めています。
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2017年01月14日,「赤旗」)

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これはひどい、ウソ・偽りの安倍政治/安保・外交・憲法

 事実に基づかず、事実に反することを平然と言い放って「真実」のように装い、強権政治を進めていく―。安倍晋三首相のウソ・偽りの政治が極まっています。安保・外交・憲法分野で首相の発言をみてみました。

「(南スーダンの)首都ジュバは比較的落ち着いている」(2016年12月7日、党首討論)/国連も「内戦状態」と指摘
 安保法制=戦争法の具体化で安倍政権は、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵されている自衛隊に「駆け付け警護」などの新任務を付与し、任務遂行のための武器使用の権限を与えました。
 南スーダンの情勢について安倍首相は「比較的落ち着いている」と繰り返していますが、とんでもないごまかしであり、無責任な態度です。
 南スーダンが内戦状態にあり、戦闘が繰り返されていることは、国連の公式文書で何度も指摘されています。昨年11月15日の国連報告書では、南スーダン政府と軍による南スーダンPKOへの敵対的行為が続いており、「政府軍は、恒常的に国連南スーダン派遣団の任務遂行を妨害している」と述べています。
 南スーダン政府軍が、国連PKOなどへの攻撃を繰り返しているもとで、自衛隊が「駆け付け警護」を行えば、自衛隊が南スーダン政府軍と交戦し、憲法が禁止した武力行使に至る深刻な危険があります。危険を危険と認めない態度こそ最も危険です。

「不戦の誓いを貫いてきた。この不動の方針をこれからも貫いていく」(2016年12月27日、米真珠湾訪問での所感)/戦争する国づくりまい進
 「不戦」どころか、「戦争する国」づくりにまい進してきたのが安倍首相です。
 2012年12月末の政権復帰以降、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(14年7月)、日米軍事協力の指針(ガイドライン)の改定(15年4月)、戦争法成立の強行(同9月)、同法の施行(16年3月)、戦争法に基づく新任務を付与した自衛隊の南スーダンへの派兵開始(同11月)などいずれも「戦争する国」への暴走。その事実を「不戦の誓い」と言いくるめるのか。
 安倍首相は、日本の過去の戦争を「間違った戦争」とは決して認めません。15年8月に発表した「戦後70年談話」は、日本が「国策を誤り」「植民地支配と戦争」を行ったという「村山談話」に示された歴史認識の核心的内容はまったく語られず、首相自らの言葉としての「反省」「お詫び」はありません。反省なき外交では、アジアと世界の諸国民との真の意味での和解と友好を築くことはできません。

「4島の帰属の問題を解決し、平和条約を解決する。しかし、それでは今まで1ミリも動いてこなかった」(8日のNHK日曜討論インタビュー)/歴代政府の建前すら後退
 昨年12月の日ロ首脳会談での領土問題を問われての発言。国境問題にこだわっていたから進まなかった≠ニ領土問題を棚上げし、経済協力を進める仕掛けをつくったことを正当化するものです。
 日ロ領土問題の根本は、「領土不拡大」という大原則に背く第2次大戦の戦後処理の不公正にあります。安倍首相は「1ミリも動かなかった」と言いますが、そもそも日本政府は戦後一度も「戦後処理の不公正をただせ」と正義を主張したことはありません。
 ただ、それでも日本政府の交渉は、経済協力をやる場合には必ず同時並行で領土問題を交渉するのが建前でした。ところが、安倍首相はこの建前さえも覆してしまったのです。
 今回の首脳会談後の共同会見で、プーチン大統領は、占領を正当化し「領土問題は存在しない」と公言しましたが、安倍首相は一言も反論しませんでした。領土問題を棚上げし、「まずは経済協力」という対応では、前に進むどころか、解決を遠のかせるだけです。

「日本人の命を守るため、自衛隊が米国の船を守る。それをできるようにするのが今回の閣議決定だ」(2014年7月1日の記者会見)/邦人の輸送、条件にせず
 戦争法は、2014年7月1日の「閣議決定」を基に立法化されました。この「閣議決定」は、歴代政権が「憲法に反する」として禁じてきた集団的自衛権行使を容認。安倍首相は記者会見で、日本近隣での「有事」の際に、「避難する邦人を輸送する米艦の防護」の事例をあげました。同年5月15日の会見でも使った米艦に女性と子どもが乗る絵が描かれたパネルを掲げ、集団的自衛権行使の「代表例」として説明したのです。
 ところが、「国民の命を守るため」と集団的自衛権を正当化したこの事例は、その後の戦争法の国会審議でごまかしだったことが明らかになりました。中谷元・防衛相(当時)は「邦人が米艦船に乗っているかどうかは絶対的な条件ではない」「邦人が輸送されていることは判断要素の一つ」(15年8月26日の参院安保特別委員会)と答弁したのです。
 安倍首相のウソは、政府自らあげた戦争法の「立法事実」(法の必要性)そのものを覆す性格のものです。

「憲法が国家権力を縛るものだという考え方は、かつて王権が絶対的権力を持っていた時代の主流的な考え方だ」(2014年2月3日、衆院予算委員会)/権力制限の原理ねじ曲げ
 安倍首相は、憲法によって国家権力を縛る立憲主義が過去のものであって、現代では通用しない原理であるかのように述べています。
 全くのでたらめです。大日本帝国憲法のもとで、人権を「法律の範囲」内でしか認めず、治安維持法などで徹底的に国民の思想・言論を弾圧したうえ、侵略戦争の惨禍で言語に絶する苦しみを国民にもたらした―。この痛苦の経験から、戦後制定された日本国憲法は、人権を保障するための権力制限=立憲主義の考えを鮮明に示しています。
 97条は、基本的人権が「侵すことのできない永久の権利として信託されたもの」とし、憲法が人権保障を目的とするからこそ「最高法規」だと定めているのです。
 安倍首相は、同年7月に集団的自衛権の行使を容認する「閣議決定」を強行しました。憲法を破壊するために、憲法による権力制限の原理をねじ曲げたのが、この発言です。

「わが党においては、結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」(2016年10月17日、衆院TPP特別委員会で)/「数の力」枚挙いとまなし
 安倍政権はウソ・偽り政権であることを自ら告白した発言です。
 与野党の合意がなかったり、質疑を与党の「数の力」で一方的に打ち切った強行採決は、戦争法(15年9月)をはじめ枚挙にいとまがありません。
 昨年秋の臨時国会では、冒頭から政府・与党が「強行採決」発言を連発=Bその言葉通りに、環太平洋連携協定(TPP)承認・関連法、「年金カット」法、カジノ解禁推進法の三大悪法を強行しました。
 衆院TPP特別委員会理事だった自民党の福井照議員は、TPPに関して「強行採決という形で実現するよう頑張らせていただく」と発言。これに続き、所管大臣の山本有二農水相が「強行採決するかどうかは、(衆院議運委員長の)佐藤(勉)さんが決める」と述べ、大臣が立法府に介入し強行採決をけしかけるような暴言を吐きました。
 TPPの衆院通過後、安倍首相は「わが党が結党以来、強行採決をしようと考えたことはないのは事実だ」と重ねて強弁(11月14日、参院TPP特委)。しかし、その後も「年金カット」法やカジノ解禁推進法を相次いで強行しました。
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2017年01月13日,「赤旗」)

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潮流

 いよいよというときに使う、とっておきの手段は「天下の宝刀」。そう答えた人が3割超も―。数年前の国語に関する世論調査でこんな結果が表れました▼正解の「伝家の宝刀」は家に代々伝わる大切な刀が転じ、ここぞというときの切り札≠意味します。何度も抜くようでは、使い方がまちがっています。しかし意図的に誤用する人が昔からいました▼「治安維持法は伝家の宝刀に過ぎぬ」。あの悪名高き戦前の弾圧法が施行される直前、当時の東京朝日新聞は警視庁当局の見解を伝え、そんな大見出しをつけました。さらに「社会運動が同法案のため抑圧せられる事はない」と▼世間の人が心配するほどのものではないと安心させ、警保局長は「純真な運動を傷つけはせぬ」と断言。しかしそれが国民を欺くものであったことは、主権在民や反戦の考えをもっただけで逮捕され、拷問され、殺された数々の犠牲者が証明しています▼いままた安倍首相は治安維持法の現代版といわれる共謀罪を国会に出そうとたくらんでいます。姑息にも名前を変え、成立なしに東京五輪は開けないと脅しながら。「犯行」を話し合っただけで罰せられる中身は変わらず、矛先は生活や平和を守る市民の運動まで▼「一般の方々は対象外」という菅官房長官。では、彼らが取り締まる対象とは。それは歴史が雄弁に物語っています。秘密法や戦争法、盗聴法につづく共謀罪。誤った「国家=天下の宝刀」を次々に抜く政権。行き着く先はふたたび破滅の道です。
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2017年01月13日,「赤旗」)

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「共謀罪」法案の提出許さないたたかいを/小池書記局長が会見

 日本共産党の小池晃書記局長は10日、国会内で記者会見し、政府が通常国会に提出を狙う「共謀罪」法案について問われ、「治安維持法の現代版とも言える大悪法だ。国会への提出を許さないたたかいを、他の野党や市民のみなさんと力をあわせて広げていきたい」と表明しました。
 小池氏は、「(共謀罪は)犯罪の行為でなくて、意思そのものを処罰するわけで刑法の大原則に反している。日本国憲法が保障する思想、信条、表現の自由、基本的人権を侵害するものだ」と厳しく批判しました。
 さらに小池氏は、「共謀罪」が対象となる犯罪が676にも上ることについて「本当に幅広い犯罪に適用され、歯止めなく広がっていく危険がある」と指摘しました。
 小池氏は、政府が「共謀罪」を「テロ等準備罪」と称し、テロ対策を同法案提出の口実にしていることを批判し、「共謀罪の本質はまったく変わらない。通常国会への提出は許さないという立場で臨むが、もし政府が提出をはかるようであれば総力をあげて廃案のために頑張り抜きたい」と力を込めました。
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2017年01月11日,
「赤旗」)

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